特許第6950863号(P6950863)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6950863ポラリメトリックSARシステム、プログラム、およびポラリメトリックSARデータ補正方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6950863
(24)【登録日】2021年9月28日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】ポラリメトリックSARシステム、プログラム、およびポラリメトリックSARデータ補正方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/90 20060101AFI20210930BHJP
   G01S 7/40 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
   G01S13/90 176
   G01S13/90 191
   G01S7/40 126
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-222608(P2017-222608)
(22)【出願日】2017年11月20日
(65)【公開番号】特開2019-95226(P2019-95226A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2020年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】小野 清伸
【審査官】 藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−156559(JP,A)
【文献】 特開平07−079112(JP,A)
【文献】 特開2015−194374(JP,A)
【文献】 特開平02−019783(JP,A)
【文献】 特開2004−170188(JP,A)
【文献】 米国特許第08125370(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00− 7/42
G01S 13/00−13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指向性を変更可能に構成されたアンテナを具備するポラリメトリックSAR部と、
少なくとも、前記アンテナの指向性をターゲットに向けるパラメータとして受け付けたプラットフォームを基準とした前記ターゲットの成す角と、プラットフォームの位置姿勢情報を参照して得た姿勢角と、を参照して、前記アンテナの指向性をターゲットに向ける制御角度を算出すると共に、偏波の傾きの補正角を算出する制御部と、
前記制御角度に合わせて前記アンテナの指向性を調整するアンテナ制御部と、
前記制御角度に合わせて前記ポラリメトリックSAR部により観測した観測データについて、算出した補正角を用いて偏波回転処理するSAR観測データ処理部と、
を備えることを特徴とするポラリメトリックSARシステム。
【請求項2】
前記制御部は、前記アンテナの指向性をターゲットに向けるパラメータとして受け付けたプラットフォームを基準とした前記ターゲットの成す角に従って、プラットフォームの位置姿勢情報を参照して得た姿勢角と、前記アンテナを前記プラットフォームに組み付けた取付角と、を参照して、前記制御角度と前記補正角を算出することを特徴とする請求項1に記載のポラリメトリックSARシステム。
【請求項3】
前記制御部は、プラットフォームの位置姿勢情報を、衛星測位信号より取得することを特徴とする請求項1又は2に記載のポラリメトリックSARシステム。
【請求項4】
前記ポラリメトリックSAR部は、前記アンテナを3軸機構を用いずに指向性を変更可能に構成されて成ることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のポラリメトリックSARシステム。
【請求項5】
前記ポラリメトリックSAR部は、前記アンテナを2軸機構を用いて指向性を変更可能に構成されて成ることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のポラリメトリックSARシステム。
【請求項6】
前記ポラリメトリックSAR部は、前記アンテナをフェーズドアレイアンテナと1軸機構を用いて指向性を変更可能に構成されて成ることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のポラリメトリックSARシステム。
【請求項7】
前記ポラリメトリックSAR部は、前記アンテナをアジマス方向とエレベーション方向に走査可能なフェーズドアレイアンテナを用いて指向性を変更可能に構成されて成ることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のポラリメトリックSARシステム。
【請求項8】
前記制御部は、
前記アンテナの指向性をターゲットに向けるパラメータとして受け付けたプラットフォームを基準とした前記ターゲットのオフナディア角に従って、衛星測位信号より取得した前記プラットフォームの位置姿勢情報である姿勢角と、前記アンテナを前記プラットフォームに組み付けた取付角と、を参照して、前記制御角度を算出すると共に、
前記制御角度に合わせて前記アンテナの指向性を3軸機構を用いずに前記アンテナ制御部により調整されて前記ポラリメトリックSAR部により観測される観測データの偏波回転処理用の補正パラメータとして、前記オフナディア角と、前記姿勢角と、前記取付角と、に基づいて、前記観測データの偏波の傾きを示す前記補正角を算出する
ことを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載のポラリメトリックSARシステム。
【請求項9】
指向性を変更可能に構成されたアンテナを具備して、導出された制御角度に合わせて前記アンテナの指向性をターゲットに向けるポラリメトリックSARシステムに含まれる制御部を、
少なくとも、前記アンテナの指向性をターゲットに向けるパラメータとして受け付けたプラットフォームを基準とした前記ターゲットの成す角と、プラットフォームの位置姿勢情報を参照して得た姿勢角と、を参照して、前記アンテナの指向性をターゲットに向ける制御角度を算出すると共に、前記制御角度に合わせて観測された観測データの偏波回転処理用の補正パラメータとして、前記観測データの偏波の傾きを示す補正角を算出する
制御手段として動作させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
指向性を変更可能に構成されたアンテナを具備して、導出された制御角度に合わせて前記アンテナの指向性をターゲットに向けるポラリメトリックSARシステムを用いて、
少なくとも、前記アンテナの指向性をターゲットに向けるパラメータとして受け付けたプラットフォームを基準とした前記ターゲットの成す角と、プラットフォームの位置姿勢情報を参照して得た姿勢角と、を参照して、前記アンテナの指向性をターゲットに向ける制御角度を算出すると共に、偏波の傾きの補正角を算出し、
前記制御角度に合わせて前記アンテナの指向性を調整し、
指向性を調整した前記アンテナでポラリメトリックSAR部によって前記ターゲットを観測し、
前記制御角度に合わせて観測された観測データをSAR観測データ処理部で前記補正角に従って偏波回転処理する
ことを特徴とするポラリメトリックSARデータ補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全偏波を使用する観測モードを有するポラリメトリックSAR(Synthetic Aperture Radar:合成開口レーダ)技術に関する。
【背景技術】
【0002】
SARは、航空機や人工衛星などのプラットフォームに搭載され、電波を用いて地表や海面の画像を取得するレーダである。近年では、送受信に使用する電波の偏波方向として、送信に水平/垂直の2種類の直線偏波、受信にも水平/垂直の2種類の直線偏波の、計4種類の偏波(総じて全偏波と呼ぶ)を使用する観測モードを有するSARが増えている。このような観測モードを有するSARはポラリメトリックSARと呼ばれ、単一の偏波では抽出できないターゲット情報を抽出し、解析することが可能である。
【0003】
偏波とは、電場の振動方向が規則的な電波のことである。水平偏波とは、地表や海面に対して、電場の振動方向が水平な偏波のことをいい、H偏波とも呼ばれる。垂直偏波とは、電場の振動方向が水平偏波に対して垂直な偏波のことをいい、V偏波とも呼ばれる。
【0004】
さらに、送信が水平偏波、受信が水平偏波であることをHH偏波、送信が水平偏波、受信が垂直偏波であることをHV偏波、送信が垂直偏波、受信が水平偏波であることをVH偏波、送信が垂直偏波、受信が垂直偏波であることをVV偏波という。
【0005】
全偏波を使用する観測モードを有する、ポラリメトリックSAR技術では、水平偏波データおよび垂直偏波データが揃うと、各々の振幅を調整することによって任意の傾きの偏波データを生成することができる。加えて位相差も調整することによって、任意の傾きと任意の離心率の楕円偏波データを生成することができる。このことが送信および受信のいずれにも適用できるため、ポラリメトリックSARによる観測データから、任意の偏波で送信および受信を行った観測データを生成することができる。
【0006】
このような技術を出願人は特許文献1や2で開示している。特許文献1では、全偏波観測モードで取得したフルポラリメトリデータを用いて、送信波と受信波の偏波面の傾きを変化させた画像を演算処理によって仮想的に生成する画像処理法を開示している。この手法によれば、送信波と受信波の偏波面の傾きを変化させながら複数枚の画像を得ることで、ターゲットをより鮮明に映し出す画像を得ることができる。また、特許文献2では、全偏波観測モードで取得したフルポラリメトリデータのレンジ信号対虚像比を改善する補正処理法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4973034号公報
【特許文献2】特開2012−32348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電波をターゲットに正確に指向するために、レーダの指向性を可変させる合成開口レーダがある。この種の合成開口レーダでは次のいずれかの方法がしばしば用いられる。
【0009】
(i)プラットフォームに固定されたフェーズドアレイアンテナによりアジマス方向およびエレベーション方向に電波を走査することによって、電波を観測ターゲットに指向する。
【0010】
(ii)ヨー方向およびロール方向に駆動する2軸駆動機構により機械的にアンテナを動かすことによって、電波をターゲットに指向する。
【0011】
(iii)アジマス方向に走査できるプラットフォームに固定されたフェーズドアレイアンテナと、ロール方向に駆動する1軸駆動機構を用い、電波をターゲットに指向する。
【0012】
(iv)エレベーション方向に走査できるプラットフォームに固定されたフェーズドアレイアンテナと、ヨー方向に駆動する1軸駆動機構を用い、電波をターゲットに指向する。
【0013】
ポラリメトリックSARでは、偏波情報を基にした解析を行うために、送受信で使用する偏波の傾きの正確性が非常に重要と云える。
【0014】
ところが、ポラリメトリックSARにおいて指向性を調整する際に上記した方法を使用した場合、プラットフォーム姿勢によらずに電波をターゲットにある程度正確に指向できるものの、その際に偏波の傾きに誤差が生じることが有り得る。
【0015】
実際、3次元空間内で原点からの方向を指定することは、2次元球面上の点を指定することと同値なので、2つのパラメータで方向を指定することができる。よって、プラットフォームからみたターゲットの方向は、2つのパラメータで指定できる。そのため、上記した方法によって、プラットフォーム姿勢によらずに正確に電波をターゲットに指向することができる。
【0016】
一方、送受信で使用する偏波の傾きを変更するには、アンテナ面を、アンテナ法線を軸として物理的に回転させる必要がある。よって偏波の傾きは3つ目のパラメータである。従って、上記方法によって電波をターゲットに正確に指向した場合、プラットフォーム姿勢によっては偏波の傾きに誤差が生じ得る。
【0017】
偏波の傾きは、例えば3軸駆動機構を採用して指向性を定めれば調整できる。しかし、質量の観点では、3軸駆動機構による指向性調整方法は2軸駆動機構やフェーズドアレイアンテナを用いる方法に対して一般的に重くなる。
【0018】
また、例えば3軸駆動機構を有するポラリメトリックSARであっても指向性の調整に誤差を生ずることがあり、偏波の傾き誤差が観測データに生じていることがある。
【0019】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、指向性調整機能を有したポラリメトリックSAR観測に対して、電波をターゲットに指向する場合に偏波の傾きを正確に補正するポラリメトリックSARシステム、およびポラリメトリックSARデータ補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一実施形態に係るポラリメトリックSARシステムは、指向性を変更可能に構成されたアンテナを具備するポラリメトリックSAR部と、少なくとも、前記アンテナの指向性をターゲットに向けるパラメータとして受け付けたプラットフォームを基準とした前記ターゲットの成す角と、プラットフォームの位置姿勢情報を参照して得た姿勢角と、を参照して、前記アンテナの指向性をターゲットに向ける制御角度を算出すると共に、偏波の傾きの補正角を算出する制御部と、前記制御角度に合わせて前記アンテナの指向性を調整するアンテナ制御部と、前記制御角度に合わせて前記ポラリメトリックSAR部により観測した観測データについて、算出した補正角を用いて偏波回転処理するSAR観測データ処理部と、を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明の一実施形態に係るプログラムは、指向性を変更可能に構成されたアンテナを具備して、導出された制御角度に合わせて前記アンテナの指向性をターゲットに向けるポラリメトリックSARシステムに含まれる制御部を、少なくとも、前記アンテナの指向性をターゲットに向けるパラメータとして受け付けたプラットフォームを基準とした前記ターゲットの成す角と、プラットフォームの位置姿勢情報を参照して得た姿勢角と、を参照して、前記アンテナの指向性をターゲットに向ける制御角度を算出すると共に、前記制御角度に合わせて観測された観測データの偏波回転処理用の補正パラメータとして、前記観測データの偏波の傾きを示す補正角を算出する制御手段として動作させることを特徴とする。
【0022】
本発明の一実施形態に係るポラリメトリックSARデータ補正方法は、指向性を変更可能に構成されたアンテナを具備して、導出された制御角度に合わせて前記アンテナの指向性をターゲットに向けるポラリメトリックSARシステムを用いて、少なくとも、前記アンテナの指向性をターゲットに向けるパラメータとして受け付けたプラットフォームを基準とした前記ターゲットの成す角と、プラットフォームの位置姿勢情報を参照して得た姿勢角と、を参照して、前記アンテナの指向性をターゲットに向ける制御角度を算出すると共に、偏波の傾きの補正角を算出し、前記制御角度に合わせて前記アンテナの指向性を調整し、指向性を調整した前記アンテナでポラリメトリックSAR部によって前記ターゲットを観測し、前記制御角度に合わせて観測された観測データをSAR観測データ処理部で前記補正角に従って偏波回転処理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、指向性調整機能を有したポラリメトリックSAR観測に対して、電波をターゲットに指向する場合に偏波の傾きを正確に補正するポラリメトリックSARシステム、およびポラリメトリックSARデータ補正方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1の実施形態のポラリメトリックSARシステム1を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態のポラリメトリックSARシステム1のポラリメトリックSARデータ補正方法の流れを示すフローチャートである。
図3】第2の実施形態のポラリメトリックSARシステム1を示した模式図である。
図4】第2の実施形態で用いる角度に関連するパラメータである。
図5】第3の実施形態のポラリメトリックSARシステム1を示した模式図である。
図6】第3の実施形態で用いる角度に関連するパラメータである。
図7】第4の実施形態のポラリメトリックSARシステム1を示した模式図である。
図8】第4の実施形態で用いる角度に関連するパラメータである。
図9】第5の実施形態のポラリメトリックSARシステム1を示した模式図である。
図10】第5の実施形態で用いる角度に関連するパラメータである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0026】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態のポラリメトリックSARシステム1を示すブロック図である。
【0027】
図1に示すように、ポラリメトリックSARシステム1は、ポラリメトリックSAR部10と、SAR観測データ処理部20と、アンテナ制御部30と、制御部40を含む。
【0028】
ポラリメトリックSAR部10は、指向性を変更可能に構成されたアンテナを具備する。また、ポラリメトリックSAR部10は、アンテナ制御部30から通知されるアンテナの制御角度によってアンテナの指向性を調整する。
【0029】
SAR観測データ処理部20は、ポラリメトリックSAR部10により観測された観測データについて、制御部40によって算出された補正角を用いて偏波回転処理する。なお、偏波回転処理する観測データは、制御部40によって算出された制御角度に合わせてポラリメトリック観測された観測データである。
【0030】
アンテナ制御部30は、制御角度に合わせてアンテナの指向性を調整する。
【0031】
制御部40は、アンテナの指向性をターゲットに向ける制御角度を算出すると共に、偏波の傾きの補正角を算出する。
【0032】
アンテナの指向性をターゲットに向けるパラメータとしては、オペレータ若しくは他の情報処理システムからターゲット方向を受け付けることとすればよい。制御部40は、このアンテナの指向性をターゲットに向けるパラメータと、他の既知のパラメータ(例えば、プラットフォームの姿勢角、アンテナの取付角)とを参照して、アンテナの制御角度(向き)を導出すればよい。アンテナの指向性をターゲットに向けるパラメータは、プラットフォームを基準としたターゲットのオフナディア角が例示できる。また、制御部40は、同パラメータを用いて導出されたアンテナの制御角度で観測された観測データから得られるSAR画像を偏波回転させる補正値である補正角を算出する。この補正角は、ターゲットに向けられたアンテナの指向性を補正(回転させる)する値であり、補正パラメータであり、指向性調整の1軸分を受け持つ。既知のパラメータとして挙げたプラットフォームの姿勢角は、例えば、GPS(Global Positioning System)レシーバと位置姿勢センサとを用いて、衛星測位信号を元にプラットフォームの位置姿勢情報を生成して用いることができる。このように、制御部40は、プラットフォームの位置姿勢情報を、衛星測位信号から取得するように構成してもよい。
【0033】
次に、ポラリメトリックSARシステム1で行われるポラリメトリックSARデータ補正方法を説明する。
【0034】
図2は、本実施形態のポラリメトリックSARシステム1のポラリメトリックSARデータ補正方法の流れを示すフローチャートである。
【0035】
ポラリメトリックSARシステム1(制御部40)は、観測を開始する際に、アンテナの指向性をターゲットに向ける角度(制御角度)を算出すると共に、偏波の傾きの補正角を算出する(S101)。この制御角度は、偏波の傾きを除く、プラットフォームからターゲットに向かうアンテナ指向性の2軸分の調整角を含む。
【0036】
次に、ポラリメトリックSARシステム1(アンテナ制御部30)は、制御角度に合わせてアンテナの指向性を調整する(S102)。
【0037】
次に、ポラリメトリックSARシステム1(ポラリメトリックSAR部10)は、制御角度でターゲットに向けたアンテナを用いてターゲット(ターゲットを含む観測エリア)を観測する(S103)。
【0038】
その後、ポラリメトリックSARシステム1(SAR観測データ処理部20)は、制御角度に合わせて観測された観測データを補正角に従って偏波回転処理する(S104)。補正された観測データは、適宜保存されオペレータに提供される。
【0039】
このように、ポラリメトリックSARシステム1は、指向性調整機能を有したポラリメトリックSAR観測に対して、電波をターゲットに指向する場合に偏波の傾きを正確に補正できる。
【0040】
[他の実施形態]
次に、ポラリメトリックSARシステム1におけるアンテナの指向性調整機能を区分けした幾つかの実施形態を説明して本発明を説明する。また、区分けした指向性調整機能に合わせた演算方法を説明する。以下の実施形態は説明済みの実施形態との差分について説明することとし、共通の部分に関しては説明を簡略化もしくは省略する。
【0041】
[第2の実施形態]
図3は、第2の実施形態のポラリメトリックSARシステム1を示した模式図である。
【0042】
本実施形態は、プラットフォームに固定されたフェーズドアレイアンテナによりアジマス方向およびエレベーション方向に電波を走査することによって、電波を観測ターゲットに指向する場合である。
【0043】
ポラリメトリックSARシステム1は、ポラリメトリックSAR部10、SAR観測データ処理部20、アンテナ制御部30、制御部40に加え、位置姿勢センサ50を具備する。位置姿勢センサ50は、GPSを用いてプラットフォームの位置姿勢情報を出力する。
【0044】
ポラリメトリックSAR部10は、アジマス方向およびエレベーション方向に電波を走査可能なプラットフォームに固定されたフェーズドアレイアンテナ11を備える。このフェーズドアレイアンテナ11は、アンテナ制御部30から制御角度を受け付け、その角度に合わせてアンテナの指向性を調整する。
【0045】
SAR観測データ処理部20は、偏波回転処理部21を備える。この偏波回転処理部21は、制御部40から指定された補正角に従って観測データを偏波回転処理して補正する。
【0046】
なお、図3に示したポラリメトリックSAR部10では、無線観測系回路網として、垂直偏波用受信部、水平偏波用受信部、送信部、送信波切替スイッチ、垂直偏波用サーキュレータ、水平偏波用サーキュレータを図示しているが必要に応じて回路構成を変更してもよい。
【0047】
同様に、図3に示したSAR観測データ処理部20では、垂直偏波分離処理部、水平偏波分離処理部、垂直‐垂直偏波画像再生処理部、垂直‐水平偏波画像再生処理部、水平‐垂直偏波画像再生処理部、水平‐水平偏波画像再生処理部、偏波回転処理部、記憶部を図示しているが必要に応じて回路構成を変更してもよい。
【0048】
例えば、図示したSAR観測データ処理部20では、ポラリメトリックSAR観測によって観測された観測データを取得し、各画像再生処理部にて画像に再生処理した全偏波観測データ(垂直‐垂直データ、垂直‐水平データ、水平‐垂直データ、水平‐水平データ)に対し、通知された補正角を用いてそれぞれ偏波回転処理により正確な傾きの全偏波観測データを算出しそれぞれ記憶部に記録する。この構成では、補正した観測データにあたる偏波回転処理した観測データをそれぞれ垂直‐垂直データ、垂直‐水平データ、水平‐垂直データ、水平‐水平データに分けて記憶部に保存するように描いているが、偏波回転処理する前の観測データを合わせて保存する構成としたり、補正した観測データを1枚の画像に合成して保存する構成としたり、各分離処理部が出力する画像化前の観測データに偏波回転処理を加える構成としてもよい。
【0049】
次に、第3の実施形態のポラリメトリックSARシステム1(制御部40)におけるアンテナの指向性をターゲットに向ける制御角度と偏波の傾きの補正角を算出する演算方法を説明する。
【0050】
図4は、本実施形態で用いる角度に関連するパラメータである。図示したように、入力項目は、α、β、γ、θ、β0、θ0である。また出力項目は、φAz、θEl、ΔH、ΔVである。また変数として、Rx(xi)、 Ry(xi)、 Rz(xi)、R(α,β,γ)を以下のように定義する。
【数1】
【数2】
【0051】
このR(α,β,γ)の定義は、位置姿勢センサ50が一般的なTate-Bryantシーケンスに従ってα、β、γを算出(γ、β、αの順に算出)していることを前提としている。仮に、異なる順に算出する位置姿勢センサを使用する場合は、算出順と逆にR(α)、R(β)、R(γ)を並べればよい。
【0052】
上記のように各パラメータを定めた場合、入力されるα、β、γ、θ、β0、θ0に対して、フェーズドアレイアンテナ11のアジマス指向角度φAz、エレベーション指向角度θEl、および補正角ΔH、ΔVを次のように算出することができる。
【数3】
【0053】
このように、ポラリメトリックSARシステム1は、指向性調整機能としてアジマス方向およびエレベーション方向の2軸に電波を走査可能なフェーズドアレイアンテナ11を用いたポラリメトリックSAR観測に対して、電波をターゲットに指向した後に偏波の傾きを正確に補正可能にできるφAz、θEl、ΔH、ΔVを演算で求めることができる。
【0054】
今日のポラリメトリックSARシステムは、衛星や航空機に搭載されることが多い。例えば航空機などの成層圏内を飛行するプラットフォームであって、飛行時のピッチ角が0度でないことが予めわかっているプラットフォームの場合に、フェーズドアレイアンテナのアジマス方向のピッチ角を飛行時に0度にすべく、β0≠0度で取付けることがある。このような場合でも、β0を設定することで、φAz、θEl、ΔH、ΔVを正確に算出できる。
【0055】
[第3の実施形態]
図5は、第3の実施形態のポラリメトリックSARシステム1を示した模式図である。上述した説明と共通の部分に関しては説明を簡略化もしくは省略する。
【0056】
本実施形態は、プラットフォームに固定された2軸駆動機構を具備したアンテナによって、ヨー方向およびロール方向にアンテナを機械的に稼働して電波を観測ターゲットに指向する場合である。
【0057】
ポラリメトリックSARシステム1は、ポラリメトリックSAR部10、SAR観測データ処理部20、アンテナ制御部30、制御部40に加え、位置姿勢センサ50を具備する。位置姿勢センサ50は、GPSを用いてプラットフォームの位置姿勢情報を出力する。
【0058】
ポラリメトリックSAR部10は、ヨー方向およびロール方向に駆動する2軸駆動機構により機械的にアンテナを稼働可能なプラットフォームに固定されたアンテナ12を備える。このアンテナ12の2軸駆動機構は、アンテナ制御部30から制御角度を受け付け、その角度に合わせてアンテナ角度を調整する。
【0059】
SAR観測データ処理部20は、偏波回転処理部21を備える。この偏波回転処理部21は、制御部40から指定された補正角に従って観測データを偏波回転処理して補正する。
【0060】
次に、第3の実施形態のポラリメトリックSARシステム1(制御部40)におけるアンテナの指向性をターゲットに向ける制御角度と偏波の傾きの補正角を算出する演算方法である。
【0061】
図6は、本実施形態で用いる角度に関連するパラメータである。図示したように、入力項目は、α、β、γ、θ、β0である。また出力項目は、φyaw、θroll、ΔH、ΔVである。また変数として、Rx(xi)、 Ry(xi)、 Rz(xi)、R(α,β,γ)を以下のように定義する。なお、変数の定義は第2の実施形態と同一である。以降の実施形態も同一である変数を用いるため、以降の実施形態では説明を省略する。
【数4】
【数5】
【0062】
上記のように各パラメータを定めた場合、入力されるα、β、γ、θ、β0に対して、アンテナ12の駆動機構のヨー角度φyaw、ロール角度θroll、および補正角ΔH、ΔVを次のように算出することができる。
【数6】
【0063】
このように、ポラリメトリックSARシステム1は、指向性調整機能としてヨー方向およびロール方向の2軸に回転可能な2軸機構を具備したアンテナ12を用いたポラリメトリックSAR観測に対して、電波をターゲットに指向した後に偏波の傾きを正確に補正可能にできるφyaw、θroll、ΔH、ΔVを演算で求めることができる。
【0064】
また、先の実施形態と同様に、航空機などの成層圏内を飛行するプラットフォームであって、飛行時のピッチ角が0度でないことが予めわかっているプラットフォームの場合に、アンテナのアジマス方向のピッチ角を飛行時に0度にすべく、β0≠0度で取付けることがある。このような場合でも、β0を正しく設定することで、φyaw、θroll、ΔH、ΔVを正確に算出できる。
【0065】
[第4の実施形態]
図7は、第4の実施形態のポラリメトリックSARシステム1を示した模式図である。上述した説明と共通の部分に関しては説明を簡略化もしくは省略する。
【0066】
本実施形態は、プラットフォームに固定された1軸駆動機構を具備したフェーズドアレイアンテナによって、ロール方向にフェーズドアレイアンテナを機械的に稼働しつつフェーズドアレイアンテナによりアジマス方向に電波を走査することによって、電波を観測ターゲットに指向する場合である。
【0067】
ポラリメトリックSARシステム1は、ポラリメトリックSAR部10、SAR観測データ処理部20、アンテナ制御部30、制御部40に加え、位置姿勢センサ50を具備する。位置姿勢センサ50は、GPSを用いてプラットフォームの位置姿勢情報を出力する。
【0068】
ポラリメトリックSAR部10は、ロール方向に駆動する1軸駆動機構により機械的にアンテナを稼働可能なプラットフォームに固定されたフェーズドアレイアンテナ13を備える。このフェーズドアレイアンテナ13の1軸駆動機構は、アンテナ制御部30から制御角度を受け付け、その角度に合わせてアンテナ角度を調整する。また、このフェーズドアレイアンテナ13は、アンテナ制御部30から制御角度を受け付け、その角度に合わせてアンテナの指向性を調整する。
【0069】
SAR観測データ処理部20は、偏波回転処理部21を備える。この偏波回転処理部21は、制御部40から指定された補正角に従って観測データを偏波回転処理して補正する。
【0070】
次に、第4の実施形態のポラリメトリックSARシステム1(制御部40)におけるアンテナの指向性をターゲットに向ける制御角度と偏波の傾きの補正角を算出する演算方法である。
【0071】
図8は、本実施形態で用いる角度に関連するパラメータである。図示したように、入力項目は、α、β、γ、θ、β0、θ0である。また出力項目は、φAz、θroll、ΔH、ΔVである。なお、変数の定義は上述の実施形態と同一である。
【0072】
上記のように各パラメータを定めた場合、入力されるα、β、γ、θ、β0、θ0に対して、フェーズドアレイアンテナ13のアジマス指向角度φAz、駆動機構のロール角度θrollおよび補正角ΔH、ΔVを次のように算出することができる。
【数7】
【0073】
このように、ポラリメトリックSARシステム1は、指向性調整機能としてロール方向
に回転可能な1軸機構を具備してアジマス方向に電波を走査可能なフェーズドアレイアンテナ13を用いたポラリメトリックSAR観測に対して、電波をターゲットに指向した後に偏波の傾きを正確に補正可能にできるφAz、θroll、ΔH、ΔVを演算で求めることができる。
【0074】
また、先の実施形態と同様に、航空機などの成層圏内を飛行するプラットフォームであって、飛行時のピッチ角が0度でないことが予めわかっているプラットフォームの場合に、アンテナのアジマス方向のピッチ角を飛行時に0度にすべく、β0≠0度で取付けることがある。このような場合でも、β0を正しく設定することで、φAz、θroll、ΔH、ΔVを正確に算出できる。
【0075】
[第5の実施形態]
図9は、第5の実施形態のポラリメトリックSARシステム1を示した模式図である。上述した説明と共通の部分に関しては説明を簡略化もしくは省略する。
【0076】
本実施形態は、プラットフォームに固定された1軸駆動機構を具備したフェーズドアレイアンテナによって、ヨー方向にフェーズドアレイアンテナを機械的に稼働しつつフェーズドアレイアンテナによりエレベーション方向に電波を走査することによって、電波を観測ターゲットに指向する場合である。
【0077】
ポラリメトリックSARシステム1は、ポラリメトリックSAR部10、SAR観測データ処理部20、アンテナ制御部30、制御部40に加え、位置姿勢センサ50を具備する。位置姿勢センサ50は、GPSを用いてプラットフォームの位置姿勢情報を出力する。
【0078】
ポラリメトリックSAR部10は、ロール方向に駆動する1軸駆動機構により機械的にアンテナを稼働可能なプラットフォームに固定されたフェーズドアレイアンテナ14を備える。このフェーズドアレイアンテナ14の1軸駆動機構は、アンテナ制御部30から制御角度を受け付け、その角度に合わせてアンテナ角度を調整する。また、このフェーズドアレイアンテナ14は、アンテナ制御部30から制御角度を受け付け、その角度に合わせてアンテナの指向性を調整する。
【0079】
SAR観測データ処理部20は、偏波回転処理部21を備える。この偏波回転処理部21は、制御部40から指定された補正角に従って観測データを偏波回転処理して補正する。
【0080】
次に、第5の実施形態のポラリメトリックSARシステム1(制御部40)におけるアンテナの指向性をターゲットに向ける制御角度と偏波の傾きの補正角を算出する演算方法である。
【0081】
図10は、本実施形態で用いる角度に関連するパラメータである。図示したように、入力項目は、α、β、γ、θ、β0、θ0である。また出力項目は、φAz、θroll、ΔH、ΔVである。なお、変数の定義は上述の実施形態と同一である。
【0082】
上記のように各パラメータを定めた場合、入力されるα、β、γ、θ、β0、θ0に対して、フェーズドアレイアンテナ14のエレベーション指向角度φEl、駆動機構のヨー角度θryawおよび補正角ΔH、ΔVを次のように算出することができる。
【数8】
【0083】
このように、ポラリメトリックSARシステム1は、指向性調整機能としてヨー方向に回転可能な1軸機構を具備してエレベーション方向に電波を走査可能なフェーズドアレイアンテナ14を用いたポラリメトリックSAR観測に対して、電波をターゲットに指向した後に偏波の傾きを正確に補正可能にできるφyow、θEl、ΔH、ΔVを演算で求めることができる。
【0084】
また、先の実施形態と同様に、航空機などの成層圏内を飛行するプラットフォームであって、飛行時のピッチ角が0度でないことが予めわかっているプラットフォームの場合に、アンテナのアジマス方向のピッチ角を飛行時に0度にすべく、β0≠0度で取付けることがある。このような場合でも、β0を正しく設定することで、φyow、θEl、ΔH、ΔVを正確に算出できる。
【0085】
以上説明したように、本発明によれば、指向性調整機能を有したポラリメトリックSAR観測に対して、電波をターゲットに指向する場合に偏波の傾きを正確に補正するポラリメトリックSARシステム、およびポラリメトリックSARデータ補正方法を提供できる。
【0086】
なお、実施形態を例示して本発明を説明した。しかし、本発明の具体的な構成は前述の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があってもこの発明に含まれる。例えば、上述した実施形態の特徴の分離併合、スイッチの位置の変更、フローチャートの手順の入れ替えなどの変更は本発明の趣旨および説明される機能を満たせば自由であり、上記説明が本発明を限定するものではない。また、上記説明では指向性可変アンテナ部について1軸若しくは2軸に走査可能なフェーズドアレイアンテナと1軸若しくは2軸に可動可能な駆動機構を用いて説明したが3軸の駆動機構を具備した指向性可変アンテナ部を有するポラリメトリックSARシステムで3軸機構の2軸分の駆動機構を用いた観測に本発明を使用するようにしてもよい。
【0087】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載されうる。尚、以下の付記は本発明をなんら限定するものではない。
[付記1]
指向性を変更可能に構成されたアンテナを具備するポラリメトリックSAR部と、
少なくとも、前記アンテナの指向性をターゲットに向けるパラメータとして受け付けたプラットフォームを基準とした前記ターゲットの成す角と、プラットフォームの位置姿勢情報を参照して得た姿勢角と、を参照して、前記アンテナの指向性をターゲットに向ける制御角度を算出すると共に、偏波の傾きの補正角を算出する制御部と、
前記制御角度に合わせて前記アンテナの指向性を調整するアンテナ制御部と、
前記制御角度に合わせて前記ポラリメトリックSAR部により観測した観測データについて、算出した補正角を用いて偏波回転処理するSAR観測データ処理部と、
を備えることを特徴とするポラリメトリックSARシステム。
【0088】
[付記2]
前記制御部は、前記アンテナの指向性をターゲットに向けるパラメータとして受け付けたプラットフォームを基準とした前記ターゲットの成す角に従って、プラットフォームの位置姿勢情報を参照して得た姿勢角と、前記アンテナを前記プラットフォームに組み付けた取付角と、を参照して、前記制御角度と前記補正角を算出することを特徴とする付記1に記載のポラリメトリックSARシステム。
【0089】
[付記3]
前記制御部は、プラットフォームの位置姿勢情報を、衛星測位信号より取得することを特徴とする付記1又は2に記載のポラリメトリックSARシステム。
【0090】
[付記4]
前記ポラリメトリックSAR部は、前記アンテナを3軸機構を用いずに指向性を変更可能に構成されて成ることを特徴とする付記1から3の何れか一項に記載のポラリメトリックSARシステム。
【0091】
[付記5]
前記ポラリメトリックSAR部は、前記アンテナを2軸機構を用いて指向性を変更可能に構成されて成ることを特徴とする付記1から3の何れか一項に記載のポラリメトリックSARシステム。
【0092】
[付記6]
前記ポラリメトリックSAR部は、前記アンテナをフェーズドアレイアンテナと1軸機構を用いて指向性を変更可能に構成されて成ることを特徴とする付記1から3の何れか一項に記載のポラリメトリックSARシステム。
【0093】
[付記7]
前記ポラリメトリックSAR部は、前記アンテナをアジマス方向とエレベーション方向に走査可能なフェーズドアレイアンテナを用いて指向性を変更可能に構成されて成ることを特徴とする付記1から3の何れか一項に記載のポラリメトリックSARシステム。
【0094】
[付記8]
前記制御部は、
前記アンテナの指向性をターゲットに向けるパラメータとして受け付けたプラットフォームを基準とした前記ターゲットのオフナディア角に従って、衛星測位信号より取得した前記プラットフォームの位置姿勢情報である姿勢角と、前記アンテナを前記プラットフォームに組み付けた取付角と、を参照して、前記制御角度を算出すると共に、
前記制御角度に合わせて前記アンテナの指向性を3軸機構を用いずに前記アンテナ制御部により調整されて前記ポラリメトリックSAR部により観測される観測データの偏波回転処理用の補正パラメータとして、前記オフナディア角と、前記姿勢角と、前記取付角と、に基づいて、前記観測データの偏波の傾きを示す前記補正角を算出する
ことを特徴とする付記1から7の何れか一項に記載のポラリメトリックSARシステム。
【0095】
[付記9]
前記制御部は、
前記アンテナの指向性をターゲットに向けるパラメータとして受け付けたプラットフォームを基準とした前記ターゲットのオフナディア角に従って、衛星測位信号より取得した前記プラットフォームの位置姿勢情報である姿勢角と、前記アンテナを前記プラットフォームに組み付けた取付角と、を参照して、前記制御角度を算出すると共に、
前記制御角度に合わせて前記アンテナの指向性を3軸機構の2軸分を用いて前記アンテナ制御部により調整されて前記ポラリメトリックSAR部により観測される観測データの偏波回転処理用の補正パラメータとして、前記オフナディア角と、前記姿勢角と、前記取付角と、に基づいて、前記観測データの偏波の傾きを示す前記補正角を算出する
ことを特徴とする付記1から3の何れか一項に記載のポラリメトリックSARシステム。
【0096】
[付記10]
指向性を変更可能に構成されたアンテナを具備して、導出された制御角度に合わせて前記アンテナの指向性をターゲットに向けるポラリメトリックSARシステムに含まれる制御部を、
少なくとも、前記アンテナの指向性をターゲットに向けるパラメータとして受け付けたプラットフォームを基準とした前記ターゲットの成す角と、プラットフォームの位置姿勢情報を参照して得た姿勢角と、を参照して、前記アンテナの指向性をターゲットに向ける制御角度を算出すると共に、前記制御角度に合わせて観測された観測データの偏波回転処理用の補正パラメータとして、前記観測データの偏波の傾きを示す補正角を算出する
制御手段として動作させることを特徴とするプログラム。
【0097】
[付記11]
前記制御部を、前記アンテナの指向性をターゲットに向けるパラメータとして受け付けたプラットフォームを基準とした前記ターゲットの成す角に従って、プラットフォームの位置姿勢情報を参照して得た姿勢角と、前記アンテナを前記プラットフォームに組み付けた取付角と、を参照して、前記制御角度と前記補正角を算出する制御手段として動作させることを特徴とする付記10に記載のプログラム。
【0098】
[付記12]
前記制御部を、プラットフォームの位置姿勢情報を、衛星測位信号より取得する制御手段として動作させることを特徴とする付記10又は11に記載のプログラム。
【0099】
[付記13]
前記制御部を、
前記アンテナの指向性をターゲットに向けるパラメータとして受け付けたプラットフォームを基準とした前記ターゲットのオフナディア角に従って、衛星測位信号より取得した前記プラットフォームの位置姿勢情報である姿勢角と、前記アンテナを前記プラットフォームに組み付けた取付角と、を参照して、前記制御角度を算出すると共に、
前記制御角度に合わせて前記アンテナの指向性を3軸機構を用いずに前記アンテナ制御部により調整されて前記ポラリメトリックSAR部により観測される観測データの偏波回転処理用の補正パラメータとして、前記オフナディア角と、前記姿勢角と、前記取付角と、に基づいて、前記観測データの偏波の傾きを示す前記補正角を算出する
制御手段として動作させることを特徴とする付記10から12の何れか一項に記載のプログラム。
【0100】
[付記14]
指向性を変更可能に構成されたアンテナを具備して、導出された制御角度に合わせて前記アンテナの指向性をターゲットに向けるポラリメトリックSARシステムを用いて、
少なくとも、前記アンテナの指向性をターゲットに向けるパラメータとして受け付けたプラットフォームを基準とした前記ターゲットの成す角と、プラットフォームの位置姿勢情報を参照して得た姿勢角と、を参照して、前記アンテナの指向性をターゲットに向ける制御角度を算出すると共に、偏波の傾きの補正角を算出し、
前記制御角度に合わせて前記アンテナの指向性を調整し、
指向性を調整した前記アンテナでポラリメトリックSAR部によって前記ターゲットを観測し、
前記制御角度に合わせて観測された観測データをSAR観測データ処理部で前記補正角に従って偏波回転処理する
ことを特徴とするポラリメトリックSARデータ補正方法。
【0101】
[付記15]
指向性を変更可能に構成されたアンテナを具備して、導出された制御角度に合わせて前記アンテナの指向性をターゲットに向けるポラリメトリックSARシステムを用いて、
少なくとも、前記アンテナの指向性をターゲットに向けるパラメータとして受け付けたプラットフォームを基準とした前記ターゲットの成す角と、プラットフォームの位置姿勢情報を参照して得た姿勢角と、を参照して、前記アンテナの指向性をターゲットに向ける制御角度を算出すると共に、偏波の傾きの補正角を算出し、
前記制御角度に合わせて前記アンテナの指向性を調整し、
指向性を調整した前記アンテナでポラリメトリックSAR部によって前記ターゲットを観測し、
前記制御角度に合わせて観測された観測データをSAR観測データ処理部で前記補正角に従って偏波回転処理する
ことを特徴とするポラリメトリックSARデータ補正方法。
【0102】
[付記16]
前記アンテナの指向性をターゲットに向けるパラメータとして受け付けたプラットフォームを基準とした前記ターゲットの成す角に従って、プラットフォームの位置姿勢情報を参照して得た姿勢角と、前記アンテナを前記プラットフォームに組み付けた取付角と、を参照して、前記制御角度と前記補正角を算出することを特徴とする付記15に記載のポラリメトリックSARデータ補正方法。
【0103】
[付記17]
プラットフォームの位置姿勢情報を、衛星測位信号より取得することを特徴とする付記15又は16に記載のポラリメトリックSARデータ補正方法。
【0104】
[付記18]
前記アンテナの指向性をターゲットに向けるパラメータとして受け付けたプラットフォームを基準とした前記ターゲットのオフナディア角に従って、衛星測位信号より取得した前記プラットフォームの位置姿勢情報である姿勢角と、前記アンテナを前記プラットフォームに組み付けた取付角と、を参照して、前記制御角度を算出すると共に、
前記制御角度に合わせて前記アンテナの指向性を3軸機構を用いずに調整して前記ポラリメトリックSAR部により観測される観測データの偏波回転処理用の補正パラメータとして、前記オフナディア角と、前記姿勢角と、前記取付角と、に基づいて、前記観測データの偏波の傾きを示す前記補正角を算出する
ことを特徴とする付記15から17の何れか一項に記載のポラリメトリックSARデータ補正方法。
【符号の説明】
【0105】
1 ポラリメトリックSARシステム
10 ポラリメトリックSAR部
11から14 アンテナ(指向性可変アンテナ部)
20 SAR観測データ処理部
21 偏波回転処理部
30 アンテナ制御部
40 制御部
50 位置姿勢センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10