(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(I)バンプが設けられた半導体ウエハの表面に、第1支持シートと熱硬化性樹脂層とがこの順で設けられた第1保護膜形成用フィルムを、前記熱硬化性樹脂層を貼り合わせ面にして貼り合わせる工程と、
(II)前記熱硬化性樹脂層を加熱して硬化させ、保護膜を形成する工程と、
(III)前記第1支持シートを、前記熱硬化性樹脂層を硬化して形成した前記保護膜から剥離する工程と、
(IV)前記半導体ウエハを前記保護膜と共にダイシングする工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
(B-1)第2支持シートと、前記第2支持シート上に設けられた第2保護膜形成層とを備える第2保護膜形成用フィルムを、前記第2保護膜形成層を貼り合わせ面して、前記半導体ウエハの裏面に貼り合わせる工程と、
(B-2)前記第2保護膜形成層を加熱して、第2保護膜を形成する工程と
をさらに備える請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
前記第1支持シートが、第1基材と、前記第1基材の一方の面に設けられた第1粘着剤層とを備え、前記第1粘着剤層の上に前記熱硬化性樹脂層が設けられている請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について、実施形態を用いて具体的に説明する。
(第1の実施形態)
本製造方法において使用される半導体ウエハ10は、
図1に示すように、表面10Aにバンプ11が設けられたバンプ付きウエハである。バンプ11は通常複数設けられる。半導体ウエハ10は、特に限定されないが、シリコンウエハでもよいし、セラミック、ガラス、サファイア系等のウエハであってもよい。半導体ウエハ10の厚みは、特に限定されないが、0.625〜0.825mmであることが好ましい。バンプ11の材料は、特に限定されず、各種金属材料が使用され、好ましくは半田が使用される。また、バンプ11の形状は、特に限定されず、
図1に示すように丸型であってもよいが、その他いかなる形状でもよい。また、バンプ11の高さは、特に限定されないが、通常、5〜1000μm、好ましくは50〜500μmである。
【0011】
本発明の第1の実施形態の半導体装置の製造方法は、少なくとも以下の工程を有する。
(I)バンプが設けられた半導体ウエハの表面に、第1支持シートと熱硬化性樹脂層とがこの順で設けられた第1保護膜形成用フィルムを、熱硬化性樹脂層を貼り合わせ面にして貼り合わせる工程、
(II)熱硬化性樹脂層を加熱して硬化させ、保護膜を形成する工程、
(III)第1支持シートを、熱硬化性樹脂層を硬化して形成した保護膜から剥離する工程、
(IV)半導体ウエハを保護膜と共にダイシングする工程
【0012】
以下、本実施形態の製造方法について工程ごとに詳細に説明する。
[工程(I)]
工程(I)では、まず、
図2に示すように、第1支持シート23と、第1支持シート23の上に設けられた熱硬化性樹脂層25とを備える第1保護膜形成用フィルム20を用意する。そして、第1保護膜形成用フィルム20を、
図3に示すように、熱硬化性樹脂層25を貼り合わせ面にして、半導体ウエハ10の表面(バンプ面)10Aに貼り合わせる。
ここで、第1保護膜形成用フィルム20において、第1支持シート23は、
図2に示すように、第1基材21と、第1基材21の一方の面に設けられた第1粘着剤層22とを備えるとともに、熱硬化性樹脂層25が第1粘着剤層22の上に貼付されるものでよいが、第1粘着剤層22が省略され、第1基材21の上に熱硬化性樹脂層25が直接貼付されたものでもよい。また、第1基材21の一方の面が、表面処理され、又は第1支持シート23に粘着剤層以外の層が設けられ、その層又は表面処理面を介して熱硬化性樹脂層25に貼付されてもよい。さらに、第1粘着剤層22と第1基材21の間に中間層が設けられてもよい。
【0013】
また、第1保護膜形成用フィルム20の熱硬化性樹脂層25の上に、さらに剥離材(図示せず)が貼付されてもよい。剥離材は、第1保護膜形成用フィルム20を使用するときまで熱硬化性樹脂層25を保護する。剥離材は、第1保護膜形成用フィルム20が、半導体ウエハ10に貼付される前に第1保護膜形成用フィルム20から剥がされて除去される。
第1粘着剤層22は、各種の粘着剤から形成されるが、エネルギー線を照射することで硬化して、被着体に対する接着力が低下するエネルギー線硬化型粘着剤により形成されていてもよい。
【0014】
第1支持シート23は、耐熱性を有することが好ましい。すなわち、第1支持シート23を構成する第1基材21としては、工程(II)の加熱により、溶融したり、著しく収縮したりしない基材であることが好ましい。また、耐熱性を有する第1支持シート23は、所定時間加熱しても、被着体に対する接着性が高くならないものである。具体的には、耐熱性を有する第1支持シート23は、工程(II)の加熱後の接着力が10N/25mm未満となるものである。また、第1支持シート23の工程(II)の加熱後の接着力は、加熱後の第1保護膜25Aに対する接着力をより適切にするために、0.3〜9.8N/25mmであることが好ましく、0.5〜9.5N/25mmがより好ましい。
【0015】
なお、上記加熱後の接着力とは、粘着剤層がエネルギー線硬化型粘着剤で形成される場合には、実施される製造方法と同様のタイミング及び条件で、粘着剤層にエネルギー線を照射して硬化し、かつ実施される製造方法と同様のタイミング及び条件で、粘着剤層を加熱した際の接着力を意味する。実施される製造方法で例えば工程(II)の加熱後に、エネルギー線を照射する場合には、加熱後に粘着剤層にエネルギー線を照射して接着力を測定したときの値である。一方で、実施される製造方法で例えば工程(II)の加熱前に、エネルギー線を照射する場合には、加熱前に粘着剤層にエネルギー線を照射して接着力を測定したときの値である。また、接着力測定時の第1支持シートの加熱は、第1支持シートを被着体である熱硬化性樹脂層に貼着した状態で行い、その加熱により熱硬化性樹脂層が硬化されて保護膜となる。接着力の測定方法の詳細は、実施例に記載するとおりである。
【0016】
第1保護膜形成用フィルム20の半導体ウエハ10への貼り合わせは、貼り合わせ温度30〜150℃で行われることが好ましく、40〜100℃で行われることがより好ましい。
また、第1保護膜形成用フィルム20の貼付は、加圧しながら行うことが好ましく、例えば圧着ローラ等の押圧手段により押圧しながら行うことが好ましい。あるいは、真空ラミネータにより、第1保護膜形成用フィルム20を半導体ウエハ10に圧着してもよい。
【0017】
半導体ウエハ10は、第1保護膜形成用フィルム20が貼付されると、
図3に示すように、バンプ11が、熱硬化性樹脂層25を突き抜けて第1支持シート23側に突出する。このようにバンプ11を第1支持シート23側に突出させることで、後述するリフローにより、バンプ11をチップ搭載用基板上の電極等に接触させて固定することが容易になる。
ただし、バンプ11は、第1支持シート23側に突出せずに、熱硬化性樹脂層25の内部に埋め込まれたような状態になっていてもよい。このような状態であっても、工程(II)等において、熱硬化性樹脂層25を加熱により流動させてバンプ11を突出させればよい。
【0018】
第1支持シート23が、基材21と、基材21の一方の面に設けられた第1粘着剤層22とを備え、第1粘着剤層22の上に熱硬化性樹脂層25が設けられる場合、熱硬化性樹脂層25の溶融粘度は、半導体ウエハ10に第1保護膜形成用フィルム20を貼り合わせる際の温度(貼り合わせ温度)において、1×10
2Pa・S以上2×10
4Pa・S未満であるとともに、第1粘着剤層22のせん断弾性率が、貼り合わせ温度において、1×10
3Pa以上2×10
6Pa以下であることが好ましい。また、熱硬化性樹脂層25の上記溶融粘度が1×10
3Pa・S以上1×10
4Pa・S未満、第1粘着剤層22の上記せん断弾性率が、1×10
4Pa以上5×10
5Pa以下であることがより好ましい。
貼り合わせ温度において、第1粘着剤層22のせん断弾性率と、熱硬化性樹脂層25の溶融粘度を上記範囲内とすることで、バンプ11の根元部分であるバンプネックを熱硬化性樹脂層25によって埋め込みつつ、バンプ11の先端を熱硬化性樹脂層25から突出させやすくなる。さらには、後述する工程(II)の加熱時に熱硬化性樹脂層25が流動しすぎることも防止する。
【0019】
熱硬化性樹脂層25の溶融粘度は、例えば、後述する熱硬化性樹脂組成物における各材料の配合量や、各材料の種類を変更することで調整可能である。また、第1粘着剤層22のせん断弾性率は、粘着剤の種類を変更することで調整可能である。さらに、第1粘着剤層22は、エネルギー線硬化型粘着剤で形成される場合には、第1支持シート33を半導体ウエハ10に貼付する前に、エネルギー線を照射して、部分的に又は完全に硬化させることで、せん断弾性率を調整することも可能である。
【0020】
なお、熱硬化性樹脂層の溶融粘度は、レオメーター(HAAKE社製、RS−1)を用いて、パラレルプレート法により測定した値である。より詳細には、ギャップ100μm、回転コーン直径20mm、回転速度10s
-1の条件にて、室温から250℃の範囲で測定を行った際の値である。
また、粘着剤層のせん断弾性率は、厚さ0.2mmの粘着剤層を形成し、せん断弾性率測定装置(レオメトリック社製、ARES)を用いて測定したものである。具体的には、温度を貼り合わせ温度と同じ温度とし、周波数1Hz、プレート径7.9mmφ、及び歪み1%の条件でせん断弾性率を測定したものである。また、貼り合わせ時に粘着剤層がエネルギー線により硬化されている場合には、同様の条件で粘着剤層を硬化させてせん断弾性率を測定する。
【0021】
熱硬化性樹脂層25は、バンプ11の高さ(バンプ高さ)の0.01〜0.99倍の厚みを有することが好ましい。熱硬化性樹脂層25の厚みをバンプ高さの0.01倍以上とすることで、バンプネックを保護膜内部に埋め込みバンプネックの破損を防止しやすくなる。また、0.99倍以下とすることで、バンプの先端を熱硬化性樹脂層25から突出させやすくなる。これら観点から、熱硬化性樹脂層25は、バンプ高さの0.1〜0.9倍の厚みを有することがより好ましい。
なお、熱硬化性樹脂層25の厚みは、特に限定されないが、通常、5〜500μm、好ましくは10〜100μmである。
【0022】
[工程(II)]
上記工程(I)の後に、半導体ウエハ10の表面10Aに積層された熱硬化性樹脂層25を加熱する(工程(II))。この加熱は、
図3に示すように、第1保護膜形成用フィルム20(すなわち、第1支持シート23と、熱硬化性樹脂層25)が積層された半導体ウエハ10を、例えば、加熱炉等の内部に配置して加熱することで行うことが好ましい。熱硬化性樹脂層25は、熱硬化性樹脂を含有するため、上記加熱により熱硬化され、保護膜25A(
図4参照)となる。
上記加熱条件は、熱硬化性樹脂層25に含有される熱硬化性樹脂が硬化されれば特に限定されず、例えば、80〜200℃で、30〜300分間、好ましくは100〜180℃で、60〜200分間行われる。
【0023】
[工程(III)]
上記工程(II)の加熱の後に、工程(III)では、半導体ウエハ10の表面に貼付されていた第1支持シート23を、保護膜25Aから剥離する。この剥離後、保護膜25Aは、
図4に示すように、半導体ウエハ10の上に残されたままとなる。
ここで、第1支持シート23は、上記のように耐熱性を有する場合、加熱しても、保護膜25Aに対する接着力が顕著に向上することはない。したがって、工程(II)の加熱の後であっても、第1支持シート23は、保護膜25Aから容易に剥離することが可能である。
【0024】
第1粘着剤層22がエネルギー線硬化型粘着剤により形成される場合、工程(III)において第1支持シート23を半導体ウエハ10から剥離する前に、第1粘着剤層22にエネルギー線を照射して第1粘着剤層22を硬化させておく。第1粘着剤層22は、エネルギー線照射により硬化することで、接着力が低下するため、熱硬化性樹脂層25との界面で容易に剥離できるようになる。
第1粘着剤層22にエネルギー線を照射して硬化させるタイミングは特に限定されず、第1支持シート23を半導体ウエハに貼付する前に予め硬化させてもよい。また、半導体ウエハ10に貼付した後であってもよく、例えば、工程(II)と工程(III)の間で行ってもよい。また、第1粘着剤層22は、例えば、第1支持シート23を半導体ウエハ10に貼付する前、完全に硬化しない程度にエネルギー線を照射して接着力を低下させるとともに、半導体ウエハ10に貼付した後、さらにエネルギー線を照射してさらに硬化させて、接着力を一層低下させてもよい。
【0025】
[工程(IV)]
次に、保護膜25Aがバンプ面に形成された半導体ウエハ10を、
図5に示すように、ダイシングすることで分割して、複数の半導体チップ15に個片化する。この工程では、半導体ウエハ10とともに、保護膜25Aも、半導体チップ15の形状に合わせて分割される。
ダイシング方法としては、特に限定されないが、ブレードダイシング、ステルスダイシング、レーザダイシングなどの公知の方法を用いることができ、例えば、保護膜25A及び半導体ウエハ10を貫通するように、切り込み17を設けることで行うものである。
ダイシングは、例えば、
図5に示すように、半導体ウエハ10の裏面10B側に第2支持シート33を貼付して半導体ウエハ10を支持するとともに、半導体ウエハ10の表面10A側から切り込み17を入れることで行う。
【0026】
第2支持シート33は、
図5の構成では、第2基材31と、第2基材31の一方の面の上に設けられる第2粘着剤層32とを備えるものであり、第2粘着剤層32を介して半導体ウエハ10に貼付される。ただし、第2支持シート33は、第2粘着剤層32が省略されてもよいし、第2基材31の半導体ウエハ10に接着される側の面が、表面処理がなされ、又は粘着剤層の代わりに粘着剤層以外の層が設けられ、その層又は表面処理面を介して半導体ウエハ10の裏面側に貼り合わせてもよい。また、第2粘着剤層32と第2基材31の間にさらに中間層(図示せず)が設けられてもよい。
第2支持シート33は、半導体ウエハ10より一回り大きく、かつ、その中央領域が半導体ウエハ10に貼付されるとともに、外周領域が半導体ウエハ10に貼付されず、支持部材13に貼付されることが好ましい。支持部材13は、ダイシング時等において、第2支持シート33を支持するための部材であり、例えば、リングフレームが挙げられる。
なお、第2支持シート33の支持部材13への貼付は、第2粘着剤層32を直接貼付する必要はなく、第2支持シート33の外周領域に再剥離接着剤層等を設けて、その再剥離接着剤層等により貼付してもよい。
【0027】
第2粘着剤層32は、各種の粘着剤から形成されるが、エネルギー線硬化型粘着剤により形成されていてもよい。エネルギー線硬化型粘着剤により形成される場合には、後述するピックアップの前に、少なくとも、第2粘着剤層32の半導体ウエハ10の裏面側に貼り合わされる領域(中央領域)に、予めエネルギー線を照射して、第2粘着剤層32を硬化して半導体ウエハ10の裏面に対する接着力を低減させる。エネルギー線を照射するタイミングは、特に限定されないが、半導体ウエハ10に貼り合わせる前に行ってもよいし、ダイシング後、ピックアップの前に行ってもよい。
一方、外周領域はエネルギー線照射を行わなくてもよく、支持部材13への接着を目的として、接着力を高いまま維持しておいてもよい。
【0028】
本実施形態では、ダイシングの後、半導体チップ15をピックアップして、リフローによりチップ搭載用基板等に取り付けた後、さらに、半導体チップ15とチップ搭載基板の間の隙間を封止樹脂により封止する等、必要な工程を経ることで、半導体装置を製造する。
ここで、ピックアップの方法は、特に限定されないが、例えば第2支持シート33を介してピンなどで半導体チップ15を裏面側から突き上げて、半導体チップ15を第2支持シート33から剥離して真空コレット等によりピックアップする方法がある。
【0029】
ピックアップした半導体チップ15は、例えば、以下の方法で、チップ搭載用基板等に取り付ける。
すなわち、
図6に示すように、半導体チップ15は、その表面(すなわち、バンプ面)がチップ搭載用基板40に対向するようにして、チップ搭載用基板40の所定位置に配置される。そして、リフローにより、バンプ11がチップ搭載用基板40に固定され、半導体チップ15とチップ搭載用基板40が電気的に導通させる。なお、リフローでは、例えば、基板40上に設けられた半田等の導電材(図示せず)を溶融させ、その導電材により、バンプ11をチップ搭載用基板40の電極等に融着される。
リフローは、例えば、チップ搭載用基板40と、その基板40上に配置された半導体チップ15とを、加熱炉内部に配置して加熱することで行う。リフローにおける加熱は、例えば、120〜300℃の雰囲気下で0.5〜5分、好ましくは160〜260℃の雰囲気下で1〜2分行うものである。
【0030】
本実施形態の製造方法において、半導体ウエハ10は、裏面研削が行われることが好ましい。裏面研削は、第1支持シート23を、半導体ウエハ10の表面10A側に、貼付した状態で行う。すなわち、半導体ウエハの裏面研削は、工程(I)と工程(III)の間に行う。これにより、第1支持シート23は、熱硬化性樹脂層25を支持するためのシートのみならず、裏面研削時にバンプ面を保護するバックグランドシートとしても使用される。また、半導体ウエハ10の裏面研削は、工程(I)と工程(II)の間に行うことが好ましい。
半導体ウエハの裏面研削は、例えば、第1支持シート23が貼付された、半導体ウエハ10の表面側をチャックテーブル等の固定テープル上に固定し、裏面10Bをグラインダー等により研削することで行う。ウエハ10の研削後の厚みは特に限定はされないが、通常5〜450μm、好ましくは20〜400μm程度である。
【0031】
次に、本製造方法で使用される各部材の材料について詳細に説明する。
(熱硬化性樹脂層)
熱硬化性樹脂層25は、少なくとも熱硬化性樹脂を含むとともに、ウエハ10に対して接着可能であり、後述する加熱硬化工程において加熱されることで、保護膜25Aとなるものである。
熱硬化性樹脂層25に使用される熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂は、単独で又は2種以上併用して用いることができる。熱硬化性樹脂としては、特に、半導体素子を腐食させるイオン性不純物等含有が少ないエポキシ樹脂が好適である。また、熱硬化性樹脂として、硬化剤を含有させることも可能であり、例えば、エポキシ樹脂の硬化剤としてとしてはフェノール樹脂を好適に用いることができる。
なお、熱硬化性樹脂層25において、熱硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂層(すなわち、熱硬化性樹脂組成物)全量に対して、好ましくは、5〜70質量%、より好ましくは10〜50質量%である。
【0032】
また、熱硬化性樹脂層25は、熱硬化性樹脂以外にも熱可塑性樹脂及び充填材を含有する熱硬化性樹脂組成物から構成されることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系ポリマー、フェノキシ樹脂等を用いることができるが、これらの中では、アクリル系樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂層における熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂層(すなわち、熱硬化性樹脂組成物)全量に対して、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜40質量%である。
【0033】
また、充填材としては、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化鉄、炭化珪素、窒化ホウ素等の粉末、これらを球形化したビーズ、単結晶繊維およびガラス繊維等から選択される無機フィラーが挙げられ、これらの中では、シリカフィラー又はアルミナフィラーが好ましい。
熱硬化性樹脂層における充填材は、熱硬化性樹脂層(すなわち、熱硬化性樹脂組成物)全量に対して、好ましくは5〜75質量%、より好ましくは10〜60質量%である。
【0034】
また、熱硬化性樹脂組成物は、それぞれ上記の成分以外にも、硬化促進剤、カップリング剤、顔料、染料などの着色剤等のその他の添加剤を含有していてもよい。
硬化促進剤としては特に制限されず、例えば、アミン系硬化促進剤、リン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、ホウ素系硬化促進剤、リン−ホウ素系硬化促進剤などから選択される少なくとも1種を用いることができる。また、カップリング剤としては、シランカップリング剤を使用することが可能である。
【0035】
(第1及び第2基材)
第1基材21としては、樹脂フィルムを使用することができるが、上記したように耐熱性を有するものが好ましく使用される。第1基材21を構成する樹脂フィルムは、1種の樹脂フィルムからなる単層フィルムであってもよいし、複数の樹脂フィルムを積層した複層フィルムであってもよい。
具体的な樹脂フィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、エチレン−ノルボルネン共重合体フィルム、ノルボルネン樹脂フィルム等のポリオレフィン系フィルム;エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム等のエチレン系共重合体フィルム;ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム等のポリ塩化ビニル系フィルム;ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム;ポリウレタン系フィルム、ポリイミド系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリアセタール系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリスチレン系フィルム、フッ素樹脂フィルム、変性ポリフェニレンオキシド系フィルム、ポリフェニレンスルフィド系フィルム、ポリスルホン系フィルムなどが挙げられる。またこれらの架橋フィルム、アイオノマーフィルムのような変性フィルムも用いられる。
これらの中では、第1基材21に使用される樹脂フィルムとしては、ポリエステル系フィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、ポリイミド系フィルム、およびポリアミド系フィルムが好ましく、ポリエステル系フィルムがより好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。これら樹脂フィルムは、耐熱性を有し、かつ剛性が高いため、工程(II)において熱硬化性樹脂層23が流動することを防いで、膜厚が不均一になることを防止する。
【0036】
また、第2支持シート33に使用される第2基材31としては、樹脂フィルムを使用することが好ましい。第2基材33には、上記した樹脂フィルムから適宜選択して使用可能であるが、第2基材31は、耐熱性を有する必要はなく、また、高剛性にする必要もない。なお、第1及び第2基材31、33に使用される基材は、互いに同じものを使用してもよいし、異なるものを使用してもよい。また、第1及び第2基材21、31は、それぞれ第1及び第2粘着材層22、23を構成する粘着剤がエネルギー線型硬化性粘着剤である場合には、エネルギー線を透過するものであることが好ましい。
第1及び第2基材21、31の厚さはそれぞれ、例えば10〜300μm、好ましくは15〜200μmである。
【0037】
(第1及び第2粘着剤層)
第1及び第2粘着剤層22、32それぞれを形成する粘着剤は、特に限定されないが、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリオレフィン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、フッ素系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤等が挙げられるが、これらの中では、アクリル系粘着剤が好ましい。例えば、第1粘着剤層22にアクリル系粘着剤を使用すると、粘着剤層のせん断弾性率を上記した範囲としやすくなる。
粘着剤は、通常、アクリル系樹脂、ゴム成分、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ビニルアルキルエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、スチレン−ジエンブロック共重合体等の粘着性成分(主ポリマー)に加え、必要に応じて架橋剤、粘着剤付与剤、酸化防止剤、可塑剤、充填剤、帯電防止剤、光重合開始剤、難燃剤等の成分を含有する粘着剤組成物からなるものである。なお、粘着性成分とは、ポリマー自体は実質的に粘着性を有していないが、可塑化成分、粘着剤付与剤の添加等により粘着性を発現するポリマー等も広く含む概念である。
【0038】
第1及び第2粘着剤層22、32は、上記したように、エネルギー線型硬化性粘着剤から形成されてもよいし、エネルギー線を照射しても粘着剤が硬化しない非エネルギー線硬化型粘着剤から形成されてもよい。なお、エネルギー線とは、電磁波または荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものであり、紫外線などの活性光または電子線などを指すが、本製造方法では、紫外線を使用することが好ましい。なお、これら第1及び第2粘着剤層22、32は、いずれか一方のみがエネルギー線型硬化性粘着剤から形成されてもよいし、両方がエネルギー線型硬化性粘着剤から形成されてもよい。
エネルギー線硬化型粘着剤は、具体的には、光重合性不飽和基を有する成分が含有されるエネルギー線硬化型粘着剤からなるものである。エネルギー線硬化型粘着剤としては、特に限定されないが、粘着剤の主ポリマー(例えば、アクリル系重合体)自体に(例えば、主ポリマーの側鎖に)二重結合等の光重合性不飽和基が導入されたものが挙げられる。
また、エネルギー線硬化型粘着剤としては、主ポリマー(例えば、アクリル系重合体)とは別に、光重合性不飽和基を有するエネルギー線重合性化合物が配合されるものであってもよい。この場合、主ポリマーは、光重合性不飽和基が導入されたものであってもよいし、導入されていなくてもよい。
【0039】
第1支持シート23は、上記のように耐熱性を有することが好ましく、そのため、第1粘着剤層22を形成するための粘着剤も耐熱性を有することが好ましい。耐熱性を有する粘着剤とは、上記したように、加熱後でも接着力を低いものに維持できるものであれば特に限定されないが、具体的には、エネルギー線硬化型アクリル系粘着剤(A)、水分散型アクリル系粘着剤(B)が挙げられる。これらの中ではエネルギー線硬化型アクリル系粘着剤(A)が好ましい。なお、エネルギー線硬化型アクリル系粘着剤(A)は、工程(II)の加熱前にエネルギー線を照射させ硬化させることで、耐熱性を発揮させやすくなる。
【0040】
エネルギー線硬化型アクリル系粘着剤(A)の一例としては、側鎖に光重合性不飽和基を有するエネルギー線硬化型アクリル系重合体(A1)を主成分とするものが挙げられる。なお、主成分とは、一般的に、粘着剤層を構成する粘着剤全成分の50質量%以上を構成するものであり、好ましくは70質量%以上である。
エネルギー線硬化型アクリル系重合体(A1)としては、ポリマー鎖に−COOH、−NCO、エポキシ基、−OH、−NH
2などの活性点を導入した(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(A2)の活性点に、光重合性不飽和基を有する化合物(以下、不飽和基含有化合物(X)ともいう)を反応させたものが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(A2)に前記活性点を導入するには、該(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(A2)を重合する際に、−COOH、−NCO、エポキシ基、−OH、−NH
2などの官能基を有する単量体を使用すればよい。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の双方を示す語として用いており、他の類似用語についても同様である。
【0041】
(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(A2)としては、具体的には、アルキル基の炭素数が1〜20である(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、他の単量体との共重合体が挙げられる。
アルキル基の炭素数が1〜20である(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
また、これらの中では、アルキル基の炭素数が6〜14である(メタ)アクリル酸アルキルエステルを使用することが好ましい。ここで、アルキル基の炭素数が6〜14である(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(A2)を構成するモノマー全量に対して、50〜97質量%であることが好ましく、70〜95質量%であることがより好ましい。また、アルキル基の炭素数が6〜14である(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アルキル基の炭素数が8〜12であるものが好ましく、具体的には(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリルがより好ましい。このように、アルキル基の炭素数が6〜14である(メタ)アクリル酸アルキルエステルを使用することで、粘着剤の耐熱性が向上しやすく、高温で加熱しても接着力が上昇しにくくなる。
【0043】
また、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(A2)に使用される、他の単量体としては、上記した−COOH、−NCO、エポキシ基、−OH、−NH
2などの官能基を有する単量体が挙げられる。
ここで、官能基を有する単量体の例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸モノメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノプロピルなどの(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノアルキル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸;(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有(メタ)アクリレ酸エステル;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、3−エポキシシクロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられるが、これらの中では、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルを使用することが好ましい。
これらの官能基を有する単量体は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ここで、官能基を有する単量体は、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(A2)を構成するモノマー全量に対して、3〜40質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。
また、他の単量体としては、ビニルエステル類、オレフィン類、ハロゲン化オレフィン類、スチレン系単量体、ジエン系単量体、ニトリル系単量体、N,N−ジアルキル置換アクリルアミド類などを使用してもよい。
【0044】
また、上記活性点に反応させる不飽和基含有化合物(X)としては、例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、グリシジル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレートなどの光重合性二重結合を有する化合物の中から、活性点の種類に応じて、適宜選択して用いることができる。
【0045】
また、不飽和基含有化合物(X)は、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(A2)の官能基(活性点)の一部に反応することが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(A2)が有する官能基の50〜90モル%に、不飽和基含有化合物(X)を反応させることが好ましく、55〜85モル%反応させることがより好ましい。
このように、エネルギー線硬化型アクリル系重合体(A1)において、官能基の一部が不飽和基含有化合物(X)と反応せずに残存することで、後述する架橋剤によって架橋されやすくなる。なお、反応せずに残存する官能基は、−COOH、−OH、−NH
2の活性水素を有する官能基が好ましく、中でも−OHがより好ましい。
【0046】
また、エネルギー線硬化型アクリル系粘着剤(A)は、上記した側鎖に光重合性不飽和基を有するエネルギー線硬化型アクリル系重合体(A1)に加えて、側鎖に光重合性不飽和基を有しない、非エネルギー線硬化型の(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(A2)を含有していてもよい。この場合、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(A2)は、上記で説明したものと同様のものが使用可能であるが、上記のように−OH等の活性水素を持つ官能基を有することが特に好ましい。
【0047】
また、エネルギー線硬化型アクリル系粘着剤(A)の別の例としては、アクリル系重合体を主成分とし、さらにエネルギー線重合性オリゴマー及びエネルギー線重合性モノマーから選択されるエネルギー線重合性化合物(Y)が配合されたものが挙げられる。
ここで、アクリル系共重合体としては、通常、上記で説明した側鎖に光重合性不飽和基を有していない(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(A2)を使用されるが、側鎖に光重合性不飽和基を有するエネルギー線硬化型アクリル系重合体(A1)を使用することも可能であるし、これら(A2)と(A1)とを併用してよい。
【0048】
エネルギー線重合性オリゴマーとしては、例えばポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系、イミド(メタ)アクリレートとエチレン性不飽和基含有単量体との共重合体である共重合オリゴマーなどが挙げられる。また、エネルギー線重合性モノマーとしては、各種の単官能性(メタ)アクリレート類、多官能性(メタ)アクリレート類が挙げられる。なお、これらエネルギー線重合性オリゴマー及びエネルギー線重合性モノマーの具体例としては、特許4679896号公報に記載されるものが使用可能である。
これらのエネルギー線重合性オリゴマーやエネルギー線重合性モノマーの使用量は、エネルギー線の照射により、上記した耐熱性を有するように選定される。
【0049】
エネルギー線硬化型アクリル系粘着剤は、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤を含有することで、アクリル系重合体を架橋させやすくなるため、耐熱性を向上させやすい。架橋剤としては特に制限はなく、従来アクリル系粘着剤において架橋剤として慣用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、アジリジン系化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩などが挙げられるが、ポリイソシアネート化合物が好ましく用いられる。
ポリイソシアネート化合物の例としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂環式ポリイソシアネートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油などの低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などを挙げることができる。
架橋剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は、架橋剤の種類にもよるが、該粘着剤中のアクリル系重合体100質量部に対し、通常0.01〜20質量部、好ましくは、0.1〜10質量部の範囲で選定される。なお、アクリル系重合体とは、粘着剤に含有されるエネルギー線硬化型アクリル系重合体(A1)、及び、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(A2)等の非エネルギー線硬化型アクリル系重合体の両方を意味する。
【0050】
エネルギー線硬化型アクリル系粘着剤(A)は、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサントン系、アシルフォスフィンオキサイド系、チタノセン系の光重合開始剤が挙げられる。これらは1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、その配合量は、粘着剤中の光重合性不飽和基を有する成分(すなわち、エネルギー線重合性化合物(Y)及びエネルギー線硬化型アクリル系重合体(A1)の合計量)100質量部に対して、通常0.2〜20質量部の範囲で選ばれ、好ましくは0.5〜10質量部である。
また、エネルギー線硬化型アクリル系粘着剤には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望によりアクリル系粘着剤に通常使用されている各種添加剤、例えば粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、充填剤などを添加することができる。
【0051】
また、エネルギー線硬化型アクリル系粘着剤に使用されるアクリル系重合体は、その重量平均分子量が30万以上であることが好ましく、40万〜100万程度であることが好ましい。なお、重量平均分子量は、GPC法で測定した標準ポリスチレン換算の値で、具体的には後述する実施例により測定した方法である。
なお、エネルギー線硬化型アクリル系粘着剤において、アクリル系重合体は、粘着剤に粘着性を付与できる量含有されればよいが、通常、粘着剤全量に対して50質量%以上、好ましくは75質量%以上である。
【0052】
また、水分散型アクリル系粘着剤(B)としては、アルキル基の炭素数が4〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、かつカルボキシル基含有単量体を含有してなる単量体を、乳化剤の存在下で乳化重合して得られた共重合体エマルションを含有するものが挙げられる。ここで、アルキル基の炭素数が4〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、上記した(メタ)アクリル酸アルキルエステルから適宜選択される。また、カルボキシル基含有単量体としては、エチレン性不飽和カルボン酸から適宜選択される。
また、共重合体エマルションは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びカルボキシル基含有単量体以外の単量体もさらに含有するものを乳化重合したものであってもよく、そのような単量体としては、上記した(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(A2)に使用可能な各種単量体から適宜選択される。
水分散型アクリル系粘着剤(B)を使用する場合にも、粘着剤は架橋剤を含有することが好ましく、また、必要に応じて、その他の添加剤が配合されてもよい。
【0053】
第1粘着剤層22の厚さは、バンプ高さに応じて適宜調整されるが、好ましくは5〜500μm、より好ましくは10〜100μmである。また、第2粘着剤層32の厚さは、好ましくは5〜500μm、より好ましくは10〜100μmである。なお、第1及び第2粘着剤層22、32は、同じ材料から形成されてもよいが、互いに異なる材料から形成されてもよい。
第1及び第2粘着剤層22,32は、例えば、上記した粘着剤を、必要であれば希釈液により希釈したうえで、第1及び第2支持シート23、33に直接塗布して、あるいは、剥離材に塗布して、加熱、乾燥して形成する。なお、粘着剤層は、剥離材の上に形成された場合には、第1及び第2支持シート23、33にさらに貼り合わされる。
【0054】
(中間層)
第1及び第2支持シート23、33において使用される中間層は、ウレタン(メタ)アクリレートを含む硬化性材料を硬化してなるものであることが好ましい。硬化性材料が、ウレタン(メタ)アクリレートを含むことで、第1及び第2支持シート23、33に作用される応力を緩和することが可能である。そのため、各工程において、第1及び第2支持シート23、33で生じる振動等を吸収することが可能である。
上記硬化性材料は、ウレタン(メタ)アクリレート以外に、アクリル系モノマー等のモノマー成分を含有していてもよい。アクリル系モノマーとしては、好ましくは、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートなどの脂環式化合物が好ましい。なお、上記硬化性材料は、エネルギー線で硬化させられることが好ましい。なお、硬化性材料は、エネルギー線で硬化される場合、光重合開始剤を含有することが好ましい。
第1及び第2支持シート23、33がいずれも中間層を有する場合、これらに使用される材料は同じであってもよいが、異なっていてもよい。中間層の厚みは、例えば5〜1000μm、好ましくは10〜500μmである。
【0055】
上記で説明した第1の実施形態の製造方法によれば、熱硬化性樹脂層25を加熱して硬化する際、
図3に示すように、熱硬化性樹脂層25の上には第1支持シート23が重ねられている。したがって、熱硬化性樹脂層25を加熱して硬化する際、熱硬化性樹脂の流動性が第1支持シート23によって抑えられ、保護膜25Aの膜厚が不均一になることが防止される。そのため、熱硬化性樹脂層25の硬化物である保護膜25Aは、均一な膜厚を有する状態で、バンプネックを埋め込むように、半導体ウエハ10の表面10A上に積層されるので、バンプ11を適切に保護することが可能になる。
さらに、工程(II)の加熱により、第1支持シート23の熱硬化性樹脂層25に対する接着力が重くなり、工程(III)で第1支持シート23を保護膜25Aから剥離できなくなる剥離不良が生じるおそれがあるが、上記したように、第1粘着剤層22に耐熱性を有するものを使用することでそのような剥離不良が防止される。
【0056】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について第1の実施形態との相違点を説明する。
第2の実施形態の製造工程は、上記第1の実施形態で説明した工程(I)〜(IV)に加えて、さらに工程(A-1)、(A-2)及び(A-3)を有する。
(A-1)第2保護膜形成層を半導体ウエハの裏面に貼り合わせる工程
(A-2)第2保護膜形成層を加熱して、第2保護膜を形成する工程
(A-3)半導体ウエハの裏面上に形成された第2保護膜の上にさらに第2支持シートを貼り合せる工程
【0057】
[工程(A-1)]
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、工程(I)及び(II)を実施した後(すなわち、熱硬化して、半導体ウエハ10の表面10Aに保護膜25Aを形成した後)、半導体ウエハの裏面10B(バンプ面とは反対側の面)に、
図7に示すように、第2保護膜形成層35を貼り合わせる。第2保護膜形成層35は、少なくとも熱硬化性樹脂を含むものであり、後述するように、加熱されることで第2保護膜35Aとなるものである。
本工程では、第2保護膜形成層35からなるフィルム状のものを、半導体ウエハ10の裏面10Bに貼付すればよいが、例えば、支持基材(図示せず)の一方の面の上に設けられた第2保護膜形成層35を、半導体ウエハ10の裏面10Bに貼付してもよい。なお、支持基材は、第2保護膜形成層35を半導体ウエハ10の裏面に貼付した後、第2保護膜形成層35から剥離して除去される。なお、支持基材としては、第1及び第2基材21、31と同様の樹脂フィルムを使用可能である。
【0058】
第2保護膜形成層35は、熱硬化性樹脂層25と同様に、熱硬化性樹脂以外にも熱可塑性樹脂及び充填材を含有する熱硬化性樹脂組成物から構成されることが好ましい。また、熱硬化性樹脂組成物は、さらに、硬化促進剤、カップリング剤、顔料、染料等の着色剤等のその他の添加剤を含有していてもよい。なお、第2保護膜形成層35に使用される各材料及び配合量等の詳細は、第1の実施形態で説明した熱硬化性樹脂層25と同様であるので、その説明は省略する。第2保護膜形成層35は、熱硬化性樹脂層25と同一の材料から形成されてもよいが、異なる材料から形成されてもよい。第2保護膜形成層35の厚みは、例えば5〜500μm、好ましくは10〜100μmである。
工程(A-1)の後、第1の実施形態と同様に、半導体ウエハ10の表面に貼付されていた第1支持シート23を、保護膜25Aから剥離する(工程(III))。
【0059】
[工程(A-2)]
その後、第2保護膜形成層35を加熱して硬化して、第2保護膜35Aを形成する(工程(A-2))。第2保護膜形成層35の加熱は、表面10A側に保護膜25Aが形成され、かつ裏面10B側に第2保護膜形成層35が積層された半導体ウエハ10を、例えば、加熱炉等の内部に配置して加熱することで行うことが好ましい。なお、本工程(A-2)における加熱条件は、工程(II)で説明した加熱条件と同様の条件であるので、その説明を省略する。
【0060】
[工程(A-3)]
工程(A-2)の後、
図8に示すように、半導体ウエハ10の裏面側、すなわち、第2保護膜35Aの上に、第2支持シート33を貼り合わせる。なお、第2支持シート33の構成は、第1の実施形態と同様である。すなわち、
図8では、第2支持シート33が、第2粘着剤層32を介して第2保護膜35Aに貼付される態様を示すが、第2粘着剤層は省略されて第1基材31が直接第2保護膜35Aに接着されてもよいし、第1基材31に表面処理がなされ、又は粘着剤層以外の層が設けられ、その層又は表面処理面を介して第2保護膜35Aに貼付されてもよい。また、第2粘着剤層32と第2基材31の間にさらに中間層が設けられてもよい。
[工程(IV)]
次に、保護膜25A及び第2保護膜35Aが形成された半導体ウエハ10を、
図8に示すように、ダイシングして、複数の半導体チップ15に個片化する。本実施形態の工程(IV)では、半導体ウエハ10とともに、保護膜25A及び第2保護膜35Bもダイシングされ、半導体チップ15の形状に合わせて分割される。ダイシング工程の詳細は、第1の実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0061】
ダイシング工程の後、第1の実施形態と同様に、半導体チップ15を、ピックアップして、リフローによりチップ搭載用基板等に取り付けた後、例えば半導体チップ15とチップ搭載基板40の間の隙間を封止樹脂により封止する等、必要な工程を経ることで、半導体装置を製造する。
【0062】
以上の第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、熱硬化性樹脂を流動しにくくして、バンプ11を保護膜25Aにより適切に保護することが可能になる。また、第2保護膜35Aにより、半導体チップ15の裏面も保護することも可能になる。
なお、以上の第2の実施形態では、ウエハの裏面上に形成された第2保護膜35A又は第2保護膜形成層35に対してレーザー印字を行ってもよい。レーザー印字を行うことで、半導体チップ15の裏面側に各種マーク、文字等を表示すること可能である。
なお、以上の第2の実施形態では、工程(A-2)と工程(A-3)の間に、硬化された第2保護膜35Aが露出されることになる。したがって、工程(A-2)と工程(A-3)の間にその露出した第2保護膜35Aに対してレーザー印字を行うことが好ましい。硬化された第2保護膜35Aに印字を行うことで、硬化前の第2保護膜形成層35に印字する場合に比べて、印字性が良好となる。また、半導体ウエハ10が個片化される前に印字されるので、複数の半導体チップに対して一括印字が可能になる。さらに、露出した第2保護膜35Aに対してレーザー印字を行うことで、効率的な印字が可能になる。ただし、露出しない(すなわち、第2支持シート33によって覆われた)第2保護膜35A、又は第2保護膜形成層35に、第2支持シート33を介してレーザーを照射することで、レーザー印字を行ってもよい。
【0063】
なお、上記第2の実施形態では、工程(A-1)、(A-2)及び(A-3)をこの順に行う態様を示したが、代わりに、工程(A-1)、(A-3)及び(A-2)の順で行ってもよい。
具体的には、工程(I)、(II)、(A-1)及び(III)を実施し、表面10Aに保護膜25Aを形成し、第2保護膜形成層35を半導体ウエハ10の裏面10Bに貼り合わせ、次いで、第1支持シート23を保護膜25Aから剥離する。その後、裏面10B上に積層された、硬化前の第2保護膜形成層35の上に、さらに第2支持シート33を貼り合せる(工程(A-3))。
そして、第2支持シート33を貼り合わせた後、第2保護膜形成層35を加熱により硬化して、第2保護膜35Aを形成し(工程(A-2))、その後は、半導体ウエハ10をダイシングにより個片化して、半導体装置を製造する。
ただし、(A-1)、(A-3)及び(A-2)の順で行う場合、第2保護膜35Aは、硬化により形成された後、ダイシングが終了するまで第2支持シート33に覆われ露出することがない。そのため、硬化された第2保護膜35Aに対して行うレーザー印字は、第2支持シート33を介してレーザーを照射して行うことになる。
【0064】
さらに、(A-1)、(A-3)及び(A-2)の順で行うと、第2支持シート33は、工程(A-2)において、第2保護膜形成層35に貼付された状態で、加熱が行われることになる。そのため、この順で行う場合、第2支持シート33は、耐熱性を有することが好ましい。すなわち、第2支持シート33の第2基材31としては、工程(A-2)の加熱により、溶融したり、著しく収縮したりしない基材であることが好ましい。
また、耐熱性を有する第2支持シート33は、所定時間加熱しても、被着体に対する接着性が高くならないものである。具体的には、耐熱性を有する第2支持シート33は、工程(A-2)の加熱後の接着力が10N/25mm未満となるものが好ましい。また、この接着力は、0.3〜9.8N/25mmがより好ましく、0.5〜9.5N/25mmがさらに好ましい。なお、第2支持シートの接着力の測定方法は、第1支持シートと同じであるが、被着体が第2保護膜形成層となる。
第2支持シート33は、このように加熱後の接着力が比較的低いことで、第2支持シート33から半導体チップ15をピックアップする際に、半導体チップ15がピックアップできない剥離不良が生じにくくなる。
【0065】
耐熱性を有する第2支持シート33としては、第2基材31と、第2粘着剤層32を備えるものであって、かつ、第2粘着剤層32が、上記した第1粘着剤層31と同様に、エネルギー線硬化型アクリル系粘着剤、または水分散系アクリル系粘着剤等から形成されることが好ましい。これら粘着剤を使用することで、加熱後でも接着力が向上しにくい第2支持シート31を提供できる。なお、第1及び第2粘着剤層22、32は、いずれも耐熱性を有する場合には互いに同一の粘着剤から形成されてもよいし、異なる粘着剤から形成されてもよい。
【0066】
さらに、(A-1)、(A-3)及び(A-2)の順で工程を行う場合、加熱硬化(工程(A-2))は、ダイシングの前に行う必要はなく、ダイシングの後に行ってもよい。
具体的には、上記と同様に、工程(I),(II),(A-1)(III)、(A-3)をこの順で行い、その後に、工程(A-2)を行わずに、ダイシング(工程(IV))を行う。したがってダイシングは、表面10Aに硬化された保護膜25Aが形成され、裏面10Bに硬化前の第2保護膜形成層35が積層された、半導体ウエハ10に対して行うことになる。そして、ダイシング後に、第2保護膜形成層35は加熱して硬化することになる(工程(A-2))。
この場合、第2保護膜形成層35の加熱硬化は、ピックアップした後で行うことが好ましく、特に、リフロー時の加熱により行うことが好ましい。
ピックアップ後に第2保護膜形成層35の硬化を行うと、加熱時には半導体チップ15(半導体ウエハ10)が、既に第2支持シート33から剥離されていることになる。したがって、第2支持シート33は、上記のように耐熱性を有していなくても、工程(A-2)の加熱により支持シート33の接着力が重くなって剥離不良が生じたりすることもない。さらに、リフロー時の加熱により第2保護膜形成層35を硬化すると、第2保護膜形成層35を硬化するための工程を別途設ける必要がなくなるので工程が簡略化できる。
【0067】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について第2実施形態との相違点を説明する。
上記第2の実施形態では、熱硬化性樹脂層25と第2保護膜形成層35とを加熱して硬化するタイミングは、別々であったが、第3の実施形態では、これらを同時に加熱して硬化する。すなわち、上記第2の実施形態では、工程(II)と工程(A-2)は別々のタイミングで行っていたのに対して、本実施形態では、工程(II)と工程(A-2)は同じタイミングで一括して行うことになる。
【0068】
具体的には、本実施形態では、工程(I)を実施した後(すなわち、第1保護膜形成用フィルム20を半導体ウエハに貼付した後)、工程(II)及び(III)を行わずに、工程(A-1)を行い、第2保護膜形成層35を半導体ウエハ10の裏面10Bに貼り合わせる。
その後、
図9に示すように、硬化前の熱硬化性樹脂層25及び第2保護膜形成層35が両面に積層され、かつ熱硬化性樹脂層25の上に第1支持シート23が重ねられた、半導体ウエハ10を加熱することで、熱硬化性樹脂層25及び第2保護膜形成層35を硬化して、保護膜25A及び第2保護膜35Aを形成する(工程(II)と工程(A-2))。なお、加熱は、表面に熱硬化性樹脂層25及び第1支持シート23、裏面に第2保護膜形成層35が積層された半導体ウエハ10を、例えば加熱炉内部に配置して行う。加熱方法及び加熱条件は、上記第1の実施形態で説明した工程(II)と同様であるので、その説明は省略する。
その後、第2の実施形態と同様に、保護膜25Aの上に積層されている第1支持シート23を保護膜25Aから剥離する(工程(III))。
【0069】
次いで、工程(A-3)にて、第2保護膜35Aの上に、第2支持シート33を貼り合わせ、引き続き、工程(IV)にてダイシングを行う。本実施形態の工程(IV)では、硬化後の保護膜25A及び第2保護膜35Aを両面に形成した半導体ウエハ10をダイシングすることになる。ダイシング後、本実施形態でも、上記各実施形態と同様に、半導体装置が製造される。
【0070】
以上の第3の実施形態でも、上記第2の実施形態と同様に、バンプを保護膜25Aにより適切に保護するとともに、第2保護膜35Aにより、半導体チップ15の裏面も保護することが可能になる。また、本実施形態では、熱硬化性樹脂層25と第2保護膜形成層35を同時に加熱して硬化するため、工程を簡略化することが可能である。
さらに、熱硬化性樹脂層25及び第2保護膜形成層35は、熱硬化する際、熱収縮を生じ、その熱収縮により半導体ウエハ10に反りを生じさせることがある。しかし、本実施形態では、これら熱硬化性樹脂層25及び第2保護膜形成層35は、一括して加熱硬化することで、硬化時に発生する熱収縮による力は相殺される。そのため、本実施形態では、表面保護膜用樹脂層25や第2保護膜用樹脂層35を熱硬化する際に発生するウエハの反りを低減できる。
【0071】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について第1の実施形態の相違点を説明する。
第4の実施形態の製造工程は、上記第1の実施形態で説明した工程(I)〜(IV)に加えて、さらに以下の工程(B-1)及び(B-2)を備える。
(B-1)第2支持シートと、第2支持シート上に設けられた第2保護膜形成層とを備える第2保護膜形成用フィルムを、第2保護膜形成層を貼り合わせ面にして、半導体ウエハの裏面に貼り合わせる工程
(B-2)第2保護膜形成層を加熱して、第2保護膜を形成する工程
すなわち、上記第2〜第3の実施形態では、第2保護膜形成層と、第2支持シートが、半導体ウエハの裏面側に別々に貼付される態様を示したが、本実施形態では、これらは第2保護膜形成用フィルムとして一括して半導体ウエハの裏面側に貼付される。
【0072】
[工程(B-1)]
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、工程(I)及び(II)を実施した後(すなわち、熱硬化して、半導体ウエハ10の上に保護膜25Aを形成した後)、半導体ウエハの裏面10B(バンプ面とは反対側の面)に、
図11に示すように、第2保護膜形成用フィルム30を貼り合わせる。第2保護膜形成用フィルム30は、
図10に示すように、第2支持シート33と、第2支持シート33上に設けられた第2保護膜形成層35とを備えるものであり、第2保護膜形成層35を半導体ウエハ10の裏面10Bに貼り合わせる。
ここで、第2支持シート33の具体例としては、
図10、11に示すように、第2基材31と、第2基材31の一方の面上に形成された第2粘着剤層32とを備え、第2粘着剤層32の上に第2保護膜形成層35が形成されたものが挙げられるが、第1の実施形態で説明したように、他の構成を有するものであってもよい。
第2支持シート33は、第1の実施形態で説明したように、外周領域がリングフレーム等の支持部材13に接着できるように、例えば、
図10、11に示すように第2保護膜形成層35より一回り大きく形成される。
また、第2支持シート33は、第2保護膜形成層35と同じサイズでもよい。第2支持シート33が、第2保護膜形成層35と同じサイズである場合には、第2保護膜形成層35及び第2支持シート33はいずれも半導体ウエハ10よりも一回り大きく形成され、半導体ウエハ10に接着されない第2保護膜形成層35の外周領域の上に支持部材13に接着するための両面テープ等の接着部材が設けられればよい。
上記工程(B-1)の後、第1の実施形態と同様に、半導体ウエハ10の表面に貼付されていた第1支持シート23を、保護膜25Aから剥離する(工程(III))。
【0073】
[工程(B-2)]
その後、第2保護膜形成層35を加熱して硬化して、第2保護膜35Aを形成する(工程(B-2))。第2保護膜形成層35の加熱は、例えば、表面10A側に保護膜25Aが形成され、かつ裏面10B側に第2保護膜形成層35が積層された半導体ウエハ10を、加熱炉等内部に配置して加熱することで行うことが好ましい。なお、本工程(B-2)における加熱条件は、第1の実施形態の工程(III)で説明した加熱条件と同様であるので、その説明を省略する。
【0074】
次に、両面に保護膜25A及び第2保護膜35Aが形成された半導体ウエハ10をダイシングする(工程(IV))。ダイシング後、半導体チップ15をピックアップして、上記各実施形態と同様に半導体装置を製造する。
なお、本実施形態においては、第2保護膜形成層35を加熱して硬化する際、第2支持シート33が第2保護膜形成層35に貼付されている。したがって、工程(B-2)の加熱時に、第2支持シート33の接着力が重くなることを防止するために、第2支持シート33は耐熱性を有することが好ましい。耐熱性を有する第2支持シート33は、上記で説明したとおりであるので、その説明は省略する。
【0075】
以上の第4の実施形態でも、バンプ11を保護膜25Aにより適切に保護するとともに、第2保護膜35Aにより半導体ウエハ10(半導体チップ15)の裏面を保護することが可能になる。また、本実施形態では、第2保護膜形成層35と、第2支持シート33は、第2保護膜形成用フィルム30として半導体ウエハ10の裏面に一括して貼付されるので、工程を簡略化することが可能である。
【0076】
また、上記第4の実施形態の説明では、工程(B-2)をダイシング(工程(IV))の前に行う例を示したが、工程(B-2)は、ダイシングの前に行う必要はなく、ダイシングの後に行ってもよい。
具体的には、工程(I)、(II)、(B-1)、及び(III)をこの順に行った後、ダイシングを実施する(工程(IV))。すなわち、ダイシングは、表面10Aに保護膜25Aが形成され、裏面10Bに第2保護膜形成用フィルム30(すなわち、第2保護膜形成層35と第2支持シート33)が積層された半導体ウエハ10に対して行う。そのダイシング後に、第2保護膜形成層35を加熱して硬化する工程(B-2)を行う。この場合、第2保護膜形成層35の硬化は、第2の実施形態と同様に、ピックアップした後で行うことが好ましく、特に、リフロー時の加熱により硬化することが好ましい。
【0077】
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について第4の実施形態との相違点を説明する。
上記第4の実施形態では、熱硬化性樹脂層25と第2保護膜形成層35とを加熱して硬化するタイミングは、別々であったが、第5の実施形態では、これらを同時に加熱することで硬化させる。すなわち、上記第4の実施形態では、工程(II)と工程(B-2)は別のタイミングで行うが、本実施形態では、工程(II)と工程(B-2)は同じタイミングで一括して行う。
【0078】
すなわち、本実施形態では、工程(I)を実施した後、工程(II)及び(III)を行わず、工程(B-1)を行う。このようにして、本実施形態では、
図12に示すように、半導体ウエハ10の表面10Aには、第1保護膜形成用フィルム20(すなわち、熱硬化性樹脂層25及び第1支持シート23)が積層されるとともに、裏面10Bには第2保護膜形成用フィルム30(すなわち、第2保護膜形成層35と第2支持シート33)が積層されることになる。
そして、
図12に示すように、このように硬化前の熱硬化性樹脂層25及び第2保護膜形成層35が両面に積層されている、半導体ウエハ10を加熱することで、熱硬化性樹脂層25及び第2保護膜形成層35を硬化して、保護膜25A及び第2保護膜35Aを形成する(工程(II)及び工程(B-2))。
【0079】
加熱硬化後、保護膜25Aに貼付されている第1支持シート23が、保護膜25Aから剥離される(工程(III))。その後、第2支持シート33に支持された半導体ウエハ10を、ダイシングにより、保護膜25Aと第2保護膜35Aとともに個片化して、両面に保護膜25Aと第2保護膜35Aが形成された半導体チップ15を得る(工程(IV))。次いで、半導体チップ15をピックアップし、上記各実施形態と同様に半導体装置を製造する。
なお、本実施形態では、第2支持シート33が、第2保護膜形成層35に貼付された状態で、第2保護膜形成層35の加熱硬化が行われるので、第1支持シートに加え第2支持シート33も、耐熱性を有することが好ましい。耐熱性を有する第2支持シートの構成は、上記したとおりであるので、その説明は省略する。
以上の第5の実施形態でも、バンプ11及びウエハ裏面を適切に保護しつつ、工程を簡略化し、かつ半導体ウエハ(半導体チップ)に生じる反りも防止することが可能である。
【0080】
なお、上記各実施形態において、第1支持シート23が剥離される工程(III)は、工程(II)と工程(IV)の間に行えば、実施されるタイミングは特に限定されない。例えば、第2の実施形態では、工程(A-1)と(A-2)の間に行われたが、工程(A-1)の前に行われてもよいし、その他のタイミングで行ってもよい。
また、第3の実施形態でも、工程(III)は、工程(A-3)の前に行われたが、工程(A-3)の後、すなわち、工程(A-3)と工程(IV)の間に実施してもよい。
さらに、第4の実施形態では、工程(III)は、工程(B-1)と(B-2)の間に行われたが、工程(II)と(IV)の間に行われる限り、工程(B-1)の前に行ってもよいし、工程(B-2)の後で行ってもよい。
【0081】
また、上記第2〜第5の実施形態において、半導体ウエハの裏面研削については、特に言及しないが、半導体ウエハの裏面研削を行う場合には、第1の実施形態と同様に、工程(I)と工程(III)の間に実施すればよいが、工程(I)と工程(II)の間に行うことが好ましい。ただし、裏面研削は、第2保護膜形成層35が半導体ウエハ10の裏面10Bに貼付される場合には、第2保護膜形成層35の貼付前に行う。
また、上記第3〜第5の実施形態でも、第2の実施形態と同様に、第2保護膜35A、又は第2保護膜用形成層35に対して、レーザー印字を行ってもよい。なお、第3の本実施形態では、工程(II)及び工程(A-2)と、工程(A-3)との間に、硬化された第2保護膜35Aが露出されることになる。したがって、第3の実施形態では、工程(II)及び(A-2)と、工程(A-3)との間にその露出した第2保護膜35Aに対してレーザー印字を行うことが好ましい。
【実施例】
【0082】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって制限されるものではない。
【0083】
本実施例、比較例では、以下の方法により各種物性を測定するとともに、第1保護膜形成用フィルムを評価した。
[アクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)]
アクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)は、以下の測定条件でGPC法により測定して、標準ポリスチレン換算で求めた。
東ソー株式会社製の高速GPC装置「HLC−8120GPC」に、高速カラム「TSKguardcolumn H
XL−H」、「TSKGel GMH
XL」、「TSKGelG2000 H
XL」(以上、全て東ソー株式会社製)をこの順序で連結して測定した。カラム温度は40℃、送液速度は1.0mL/分、検出器は示差屈折率計であった。
[接着力測定]
まず、剥離材/熱硬化性樹脂層/剥離材からなる積層体を用意し、この積層体から一方の剥離材を剥がして、第1支持シートの第1粘着剤層側の面に熱硬化性樹脂層を常温にて貼り合わせて、第1支持シート/熱硬化性樹脂層/剥離材からなる積層体(第1保護膜形成用フィルム)を得た。この積層体を幅25mm、長さ150mmの短冊状にした。
なお、これら各部材は、実施例で使用したものと同様のものを使用した。
次に、短冊状の積層体から剥離材を剥がし、SUS304に、熱硬化性樹脂層面とSUS面とが接するように2Kgのゴムローラーを用い70℃で貼付し、照度200mW/cm
2、光量160mJ/cm
2の条件で第1支持シートに紫外線を照射した。次いで第1支持シートを貼付した被着体を130℃、2時間の条件で加熱し、熱硬化性樹脂層を硬化して保護膜とした後、第1支持シートの保護膜に対する接着力を測定した。接着力の測定は、温度23℃、湿度50%RHの条件下、剥離角度180°、剥離速度300mm/分で第1支持シートを被着体から剥離することで行った。
なお、本接着力の測定は、第1保護膜形成用フィルムが半導体ウエハに貼付された後、熱硬化性樹脂層が加熱硬化される前に、エネルギー線が第1支持シートに照射されることを想定して行ったものである。
【0084】
[実施例1]
アクリル酸2−エチルヘキシル80質量部、及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル20質量部の共重合体であるアクリル酸エステル系共重合体に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを、アクリル酸2−ヒドロキシエチル由来の水酸基100モル%基準で、付加率が80モル%となるように付加して得たエネルギー線硬化型アクリル系重合体(重量平均分子量(Mw):600,000)100質量部に、光重合開始剤(商品名:エサキュアKIP150、シーベルヘグナー社製)3質量部、及びトリレンジイソシアネート系架橋剤(商品名:BHS−8515、東洋インキ株式会社製)0.5質量部を配合してエネルギー線硬化型アクリル系粘着剤を調整した。後述する条件で紫外線を照射した後のエネルギー線硬化型アクリル系粘着剤の70℃におけるせん断弾性率が40,000Paであった。
次に、ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる基材(商品名:コスモシャイン、株式会社東洋紡製、厚み:50μm)の一方の面に、ウレタン(メタ)アクリレートを含む硬化性材料をエネルギー線硬化してなる厚み200μmの中間層を設け、その中間層の上に厚みが10μmとなるように、エネルギー線硬化型アクリル系粘着剤を塗布して、第1粘着剤層を形成し、第1支持シートを得た。この第1支持シートの第1粘着剤層は、紫外線を照度150mW/cm
2、光量300mJ/cm
2の条件で照射して硬化させた。
【0085】
また、剥離材の上に、エポキシ樹脂系熱硬化性樹脂組成物を塗布し、剥離材上に厚み100μmの熱硬化性樹脂層を形成した。熱硬化性樹脂層(エポキシ樹脂系熱硬化性樹脂組成物)の70℃における溶融粘度は、5,000Pa・Sであった。また、熱硬化性樹脂層の硬化後(すなわち、保護膜)のせん断強度(対Cu)は、200N/2mmであった。
この剥離材付きの熱硬化性樹脂層を、第1支持シートの第1粘着剤層の上に積層して、基材/中間層/第1粘着剤層/熱硬化性樹脂層/剥離材からなる、第1保護膜形成用フィルムを得た。
その後、剥離材を剥離した第1保護膜形成用フィルムを、70℃で熱硬化性樹脂層が貼り合わせ面となるように、パンプ(バンプ高さ:210μm)が設けられた半導体ウエハ(WALTS株式会社製、サイズ:8インチ(20.32cm)、厚み:730μm)の表面に貼り合わせた(工程(I))。次いで、第1保護膜形成用フィルムを貼り合わせた半導体ウエハを130℃で2時間加熱して、熱硬化性樹脂層を硬化させ、保護膜を形成した((工程(II))。その後、保護膜から第1支持シートを剥離した(工程(III))。
第1支持シート剥離後に、形成された保護膜を観察したところ、保護膜の膜厚が均一となっていた。また、バンプの先端が保護膜から突出し、かつバンプネックが保護膜により適切に埋め込まれていた。したがって、実施例1では、第1支持シートを貼付した状態で、熱硬化性樹脂層を硬化することで、均一な膜厚を有する保護膜によりバンプを適切に保護することができた。
【0086】
[比較例1]
工程(III)と工程(II)とを入れ替えて行う以外、実施例1と同様に実施した。
すなわち、比較例1では、第1保護膜形成用フィルムを、半導体ウエハの表面に貼り合わせた後(工程(I))、熱硬化性樹脂層から第1支持シートを剥離し(工程(III))、次いで、熱硬化性樹脂層が表面に積層された半導体ウエハを実施例1と同様の加熱条件で加熱して、保護膜を形成した(工程(II))。
保護膜形成後、形成された保護膜を観察したところ、比較例1では、保護膜の膜厚が不均一になり、バンプを適切に保護することができないことが理解できる。
【0087】
[実施例2]
実施例1と同様の方法で作製した第1支持シートについて上記接着力測定に従って接着力を測定した。その結果を表1に示す。
【0088】
[実施例3]
架橋剤の配合量を1.5質量部に変更して、エネルギー線硬化型アクリル系粘着剤を作製した点を除いて実施例2と同様に実施した。
【0089】
[実施例4]
架橋剤の配合量を4.5質量部に変更して、エネルギー線硬化型アクリル系粘着剤を作製した点を除いて実施例2と同様に実施した。
【0090】
[実施例5]
架橋剤の配合量を7.5質量部に変更して、エネルギー線硬化型アクリル系粘着剤を作製した点を除いて実施例2と同様に実施した。
【0091】
[実施例6]
使用するエネルギー線硬化型アクリル系重合体を、アクリル酸ラウリル80質量部、及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル20質量部の共重合体であるアクリル酸エステル系共重合体に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを、アクリル酸2−ヒドロキシエチル由来の水酸基100モル%基準で、付加率が80モル%となるように付加して得たエネルギー線硬化型アクリル系重合体(重量平均分子量(Mw):600,000)に変更した点を除いて実施例2と同様に実施した。
【0092】
[実施例7]
使用するエネルギー線硬化型アクリル系粘着剤を、アクリル酸2−エチルヘキシル90質量部、及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル10質量部の共重合体であるアクリル酸エステル系共重合体に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを、アクリル酸2−ヒドロキシエチル由来の水酸基100モル%基準で、付加率が60モル%となるように付加して得たエネルギー線硬化型アクリル系重合体(重量平均分子量(Mw):600,000)100質量部に、光重合開始剤3質量部、及び架橋剤1質量部を配合して得たエネルギー線硬化型アクリル系粘着剤に変更した点を除いて実施例2と同様に実施した。
【0093】
[参考例1]
使用するエネルギー線硬化型アクリル系粘着剤を、アクリル酸ブチル50質量部、メタクリル酸メチル20質量部、及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル30質量部の共重合体であるアクリル酸エステル系共重合体に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを、アクリル酸2−ヒドロキシエチル由来の水酸基100モル%基準で、付加率が90モル%となるように付加して得たエネルギー線硬化型アクリル系重合体(重量平均分子量(Mw):600,000)100質量部に対して、光重合開始剤3質量部、及び架橋剤1.0質量部を配合して得たエネルギー線硬化型アクリル系粘着剤に変更した点を除いて実施例2と同様に実施した。
【0094】
【表1】
【0095】
以上の実施例2〜7では、第1支持シートに使用される粘着剤を、エネルギー線硬化型アクリル系粘着剤とするとともに、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(A2)を特定のモノマーから重合することで、第1支持シートを加熱しても接着力が重くならない耐熱性を有するものとすることができる。そのため、本発明のように、第1支持シートを熱硬化性樹脂層に貼付したまま、半導体ウエハを加熱して熱硬化性樹脂層を硬化しても、第1支持シートの剥離性を良好に維持することが可能になる。
それに対して、参考例1では、第1支持シートを加熱すると、接着力が上昇してしまうため、第1支持シートを熱硬化性樹脂層に貼付したまま、半導体ウエハを加熱して、熱硬化性樹脂層を硬化すると、第1支持シートの剥離性を良好に維持できず、実施例2〜7に比べて作業性が低下することが予想される。