(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の接着層(310)は前記ライナー(308)に取り外し可能に結合され、それによって前記第1の装飾層(304)及び前記第2の接着層(310)を前記ライナー(308)に対して再配置することを可能にする、請求項1に記載の装置。
前記第2の接着層(310)は前記ライナー(308)に取り外し可能に結合され、それによって前記第1の装飾層(304)及び前記第2の接着層(310)を、第2の装飾層及び第3の接着層と置換することを可能にし、前記第2の装飾層を前記第3の接着層を介して前記ライナーに結合することを可能にする、請求項1に記載の装置。
前記ライナー(308)は、前記第2の接着層(310)が前記ライナーから結合解除されたときに、前記第2の接着層の残留物が前記ライナーに固着したままになることを抑止する材料からなる、請求項1に記載の装置。
前記第1の装飾層(304)及び前記第2の接着層(310)は、耐火材料からなり、前記パネル(306)は、航空機の表面の一部であって前記航空機に耐火性を提供する、請求項1に記載の装置。
前記第2の接着層を前記ライナーから結合解除することをさらに含み、それによって前記第1の装飾層及び前記第2の接着層を前記ライナーに対して再配置することを可能にすることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
前記第1の装飾層を前記パネルに結合することは、前記第1の装飾層を航空機の表面に結合することを含み、前記第1の装飾層及び前記第2の接着層は耐火材料からなり、前記航空機に耐火性を提供する、請求項16に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図面は原寸に比例しない。代わりに、複数の層及び部位を明確にするため、図中の各層の厚さは拡大されていてよい。図面及び添付の記載の全体を通して、可能な箇所にはすべて、同一のまたは類似の部分を指すために同じ参照番号が使用される。
【0008】
公共の空間にある表面(例えば広告用掲示板、ビルディングの壁、輸送手段のパネルなど)は、しばしば、美観、情報、及び/または広告の目的のための装飾的画像を含む。例えば、既知の航空機及び/または他の輸送手段(例えばバス、列車、トラクタートレーラー、船舶など)は、しばしばその表面に識別及び/または広告の目的のための装飾的画像を含む。ある例では、航空機の内装の可視表面は、その航空機に関連する各航空会社を識別させる装飾的画像を含んでいる。
【0009】
ある既知の装飾的画像は、対応する表面に結合された装飾層(例えば化粧板)上に形成されている。例えば、装飾層は、接着層を介して航空機のパネルに結合されている。ある例では、装飾層または化粧板の一部は、結合されている表面から剥離し得る。例えば、化粧板と表面の間にガス及び/または蒸気(例えば水蒸気)のポケットが形成され得、それによって、化粧板の隣接する部分に気泡が生じ得る。化粧板と表面とがこうして剥離することは、美観目的にとって望ましくない(例えば、化粧板に気泡が発生することは、美観上、魅力的でない)ことであり得、及び/または、時間の経過に伴って化粧板の損傷や表面からのさらなる剥離(例えば層間剥離)を生じさせ得る。
【0010】
ある例では、化粧板が最初に表面に結合されるときに、ガス及び/または蒸気のポケットが、化粧板とパネル表面(例えば、荷物入れやライニング、調度品などの表面といった、航空機のコンパートメントの内装面)の間に捕捉される。即ち剥離は、当初、化粧板が表面に結合されたときに、化粧板が表面と同一平面上に置かれていないことに起因する。
【0011】
他の例では、化粧板と表面の間の剥離を生じさせるガス及び蒸気のポケットは、ガス及び/または蒸気がパネルの材料から漏出し、化粧板とパネルの間に捕捉される(例えば、気泡が形成される)結果として形成される。化粧板が航空機のパネルに結合されるとき、パネルのコア層(例えばハニカムコア、発泡コアなど)からガス及び蒸気(例えば水蒸気)が放出され得、続いて化粧板とパネル表面の間に捕捉され得る。例えば、ガス及び/または蒸気は、パネルのコア層とパネルの外部環境との間に圧力差及び/または温度差があるときに、パネルのコア層から漏出し及び/または放出され得る。例えば、ガス及び/または蒸気は、コア層のより近くの圧力が化粧板のより近くの圧力よりも大きいときに、コア層から化粧板に向かって移動し得る。化粧板がほぼ不浸透性及び/または無孔性の材料からできていて、コア層内のガス及び/または蒸気が化粧板を通り抜けることが抑止及び/または阻害される結果として、ガス及び/または蒸気は、化粧板とパネルの間に捕捉される。捕捉されたガス及び/または蒸気によって、化粧板とパネルとの間に内圧が作り出されて化粧板及び/または表面に力が集中して加えられ、それによって化粧板のパネル表面から(例えば航空機コンパートメント内の内装面などから)の剥離が生じる。さらに、または代わりに、化粧板とパネルとの間に捕捉されるガス及び/または蒸気は、パネル及び/または化粧板の構成要素間の(例えばパネルのコア層と補強層の間、補強層と化粧板に結合された接着剤の間などの)相互作用(例えば、化学反応、物理反応など)にも起因し得る。
【0012】
ガス及び/または蒸気が、パネルに結合された装飾層の一部のパネルからの剥離を生じさせるのを抑止及び/または阻害するため、本書で開示される例示の方法及び装置は、パネルと装飾層との間に配置され、パネルから装飾層へのガス及び/または蒸気の漏出を抑止及び/または阻害する、強力接着層を含む。さらに、本書で開示される例示の方法及び装置は、パネル及び/または装飾層の整備時間及び/または修理費用を削減するために装飾層の再配置及び/または置換を可能にする、第2の接着層を含む。
【0013】
本書で開示される実施例では、強力接着層は、強力接着剤がパネル及び、パネルに固着された強力接着層に固着されるライナーに固着されるのを可能にする、高接着力を有する。さらに、装飾層(例えば第1の装飾層)が、強力接着層に結合されたライナーに、第2の接着層を介して取り外し可能に結合される。強力接着層は、例えば、ほぼ無孔性及び/または不浸透性であってガス及び/または蒸気が強力接着層を通り抜けることを抑止及び/または阻害する、架橋型及び/または半硬質の接着材料(例えば、Cytec社のSurface Master(登録商標)905といった、エポキシ系のコキュア合成剤)からなる。例えば、エポキシ系のコキュア強力接着剤は、高タック性、低クリープ性、低可燃性、及び/または、装飾層及び/またはパネルの性能を向上させる他の特性を、さらに提供する。強力接着層は、パネルと装飾層の間に配置されているため、パネルから放出されたガス及び/または蒸気が装飾層に到達して装飾層とパネル表面の間に内圧を作り出すことを、抑止及び/または阻害する。こうして、強力接着層は、ガス及び/または蒸気が、装飾層の一部に対して圧力及び/または力をかけることを抑止及び/または阻害し、それによって、装飾層のその部分がパネルから剥離することを抑止及び/または阻害する(例えば、装飾層に気泡が発生することを抑止及び/または阻害する)。
【0014】
本書で開示される例示のライナーは、第2の接着層が強力接着層と係合及び/または結合するのを抑止及び/または阻害する。ライナーは、強力接着層に強固に固着したままでいられ、且つ第2の接着層とは取り外し可能に結合され得る、ポリエチレンテレフタラート(例えばMylar(登録商標))、フッ化ビニル樹脂(例えばTedlar(登録商標))、またはポリビニリデンフルオライドといった材料からなる。例えば、ライナーの材料は、第2の接着層がライナーから結合解除されたときに、第2の接着層の残留物がライナーに固着したままになることを抑止する。さらに、第2の接着層は、装飾層が迅速かつ強固にライナーに結合するのを可能にする、感圧接着剤(例えばアクリル系感圧接着剤)からなっていてよい。
【0015】
ある例では、第2の接着層は、取り外し可能にライナーに結合され、それによって第2の接着層に結合された装飾層をライナーに対して再配置可能にし、それによって装飾層の一部がパネルから剥離するのを抑止する。さらに、または代わりに、第2の接着層は、取り外し可能にライナーに結合され、それによって、装飾層及び第2の接着層が、別の装飾層(例えば第2の装飾層)及び別の接着層(例えば接着層)と、それぞれ置換されることを可能にする。例えば、第1の装飾層及び/または第2の接着層が損傷した場合、第1の装飾層及び第2の接着層は置換される。第2の装飾層が第1の装飾層とは異なる装飾的画像を含んでいる場合、第2の装飾層の装飾的画像をパネル上に表示することを可能にするために、第1の装飾層が第2の装飾層と置換され得る。さらに、第1の装飾層及び第2の接着層は、ライナーから取り外され得、それによって、第1の装飾層を損傷することなくパネルを修理することを可能にする。
【0016】
本書で使用する場合、「結合する」「結合された」及び「結合している」という用語は、直接または間接に、1つの物体を別の物体に(例えば、1つの層を別の層に)取り付けることを意味する。例えば、第1の物体の表面が、第2の物体の表面に対して、両者の間にいかなる他の物体も介在しない状態で接している場合、第1の物体は第2の物体に直接取り付けられており、したがって結合されている。第1の物体が第2の物体に直接接触していないが、代わりに第1の物体と第2の物体の間に位置する中間物体(例えば層)を介して第2の物体に固着されている場合、第1の物体は第2の物体に間接に取り付けられており、したがって結合されている。
【0017】
ここで図面を見ると、
図1は、胴体104から横方向外向きに延びる翼102(例えば右翼と左翼)を含む、例示の航空機100を示す。示される実施例の翼102のそれぞれは、パイロン108を介して航空機のエンジン106を支持する。示される実施例の胴体104内には、コンパートメント110(例えば貨物室、客室、操縦室など)が配置されている。翼102と胴体104は、航空機100の外表面112を画定する。
【0018】
本書で開示される例示の装飾層及び例示のパネルを検討する前に、
図2A及び
図2Bに関連して、既知のパネル202及び既知の装飾層204の簡潔な記載が提供される。具体的には、
図2Aは既知の装飾層204及び既知のパネル202の一部の断面図であり、
図2Bは、既知の装飾層204及び既知のパネル202の一部の分解図である。
【0019】
図2A及び
図2Bに示すように、既知のパネル202は、コア層206及び、コア層206に結合された補強層208を含む。補強層208の第1の表面210は、コア層206に係合し、反対側の第2の表面212は、パネル202の表面214を画定する。既知のパネル202の補強層208は、部分的に多孔性及び/または浸透性である材料(例えば樹脂、繊維強化材料など)からなっていてよく、それによって、ガス及び/または蒸気(例えば水蒸気)の一部は、補強層208を通り抜け得る。さらに、(
図2A及び
図2Bに示す既知のパネル202の一部には示されていないが、)別の補強層が、補強層208とは反対側のコア層206の別の表面と係合しており、補強層208、コア層206、及びもう1つの反対側の補強層とで、サンドイッチ構造の複合材が形成される。
【0020】
さらに、既知の装飾層204は、既知のパネル202上に表示される装飾的特徴(例えば色、パターン、ロゴ、テキストなど)を含む。
図2Aに示すように、装飾層204は、パネル202の表面214に結合されており、それによって装飾層204の装飾的特徴をパネル202上に表示することを可能にしている。例えば、装飾層204は、補強層208の第2の表面212に接着的に結合されている。
【0021】
ある例では、パネル202のコア層206内に、ガス及び/または蒸気(例えば水蒸気)が捕捉されている(例えば、パネル202のサンドイッチ構造の複合材の、補強層208と反対側の補強層との間に捕捉されている)。コア層206とパネル202の外部環境との間で圧力差及び/温度差が生じているとき(例えばコア層206のより近くの圧力が装飾層204のより近くの圧力よりも大きいとき)、ガス及び/または蒸気が、パネル202のコア層206から漏出し、及び/または放出される。別の実施例では、パネル202のガス及び/または蒸気は、コア層206の材料(例えばハニカムコア、発泡コア、樹脂、繊維補強材料など)及び/または装飾層204(例えば化粧板、接着層など)の材料間の相互作用(例えば、化学反応、物理反応など)にも起因し得る。
【0022】
パネル202に結合された装飾層204がほぼ不浸透性及び/または無孔性の材料からなっているため、コア層206から放出された蒸気及び/またはガスは補強層208を通り抜け、装飾層204とパネル202の表面214との間で捕捉される。捕捉された蒸気及び/またはガスは内圧を作り出し、この内圧によって、装飾層204及び/またはパネル202の表面214の隣接する部分に集中して力が加えられる。例えば、加えられた力によって装飾層204の一部がパネル202の表面214から離れるように押され、それによって装飾層204のこの部分が、パネル202から剥離する。言い換えれば、既知のパネル202の蒸気及び/またはガスは、既知の装飾層204内に気泡を形成し得、この気泡は美観的に魅力的でない可能性があり、及び/または装飾層204を損傷し得る。
【0023】
図3A〜
図3Cは、本書の教示によって例示の装飾層304と例示のパネル306の間に配置された、例示の強力接着層302を示す。具体的には、強力接着層302、装飾層304、パネル306、ライナー308、及び第2の接着層310の、
図3Aは断面図であり
図3Bは分解図である。さらに、
図3Cはパネル306の一部の断面図である。以下でより詳細に記載されるように、強力接着層302は、ガス及び/または蒸気が装飾層304の一部をパネル306から剥離させるのを、抑止及び/または阻害する。さらに、強力接着層302、装飾層304、及びパネル306は、装飾層304がパネル306と取り外し可能に結合されるのを可能にする。
【0024】
図3Cに示すように、例示のパネル306は、コア層312及び補強層314を含む。補強層314の第1の表面316は、コア層312に結合され、補強層314の反対側の第2の表面318は、装飾層304が結合される、パネル306の表面320を画定する。
図3Cではパネル306のコア層312の一面に結合された補強層(例えば補強層314)が示されているが、一方では、
図3Cに示されていない別の補強層(例えば、補強層314とほぼ同様または同一の補強層)が、補強層314の反対側のコア層312の別の面に結合されており、それによって、パネル306は、補強層314、コア層312、及びもう1つの反対側の補強層によって形成されるサンドイッチ構造の複合材になっている。こうした例では、両側の補強層(例えば補強層314及びもう1つの補強層)が、サンドイッチ構造パネル306のコア層312内のガス及び/または蒸気を捕捉する。さらに、パネル306は、
図1の航空機100の外表面112といった、壁(例えば、広告用掲示板、ビルディングの壁など)及び/または輸送手段(例えば、バス、列車、トラクタートレーラー、船舶など)の表面、及び/または、
図1の航空機100のコンパートメント110内に位置する、荷物入れ(例えば収容棚)、ライニング(例えば側壁、天井など)、調度品(例えばモニュメント、クローゼット、クルー休憩室、洗面所)などの表面を形成する。
【0025】
コア層312は、例えばハニカムコア、発泡コア、及び/またはその組み合わせからなる。こうした例のうちのあるものでは、コア層312は、ハニカムコア及び発泡コアを含む。コア層312は軽量材からなり、コア層312の構造(例えばハニカムパターン)は、パネル306に曲げ強度(例えば曲げ剛性)を与える。こうして、示される実施例のコア層312は、パネル306に、したがってパネル306が表面を形成している構造物(例えば航空機100)に顕著な量の重量を追加することなく、パネル306に、曲げ強度を与える。
【0026】
図3Cに示すように、パネル306の補強層314は、繊維補強層322及び樹脂層324を含む。示される実施例では、繊維補強層322は、樹脂層324とコア層312の間に位置している。他の例では、樹脂層324が繊維補強層322とコア層312の間に位置していてよい。さらに、または代わりに、補強層314は、複数の繊維補強層及び/または複数の樹脂層を含み得る。繊維補強層322は、例えば、ファイバーグラス、グラファイトクロス、合成繊維(例えばアラミド繊維)、天然繊維(例えば木材、亜麻、セルロース、ジュート、大麻、藁、スイッチグラス、ケナフ、綿、コイア、竹など)、これらの組合せ、及び/または、パネル306に圧縮強度を与えることによってコア層312を補強する任意の他の材料からなる。樹脂層324は、繊維補強層322をコア層312に接合し、パネル306を形成する。ある例では、補強層314は、繊維補強層322があらかじめ樹脂(例えば樹脂層324の樹脂)に含浸されている、含浸済みの層(即ちプリプレグ)である。プリプレグに用いられた樹脂は、部分的にキュアされているが、(例えば熱によって)より完全にキュアされて、まだ樹脂が隣接面間(例えば繊維補強層322とコア層312)で接合し得るほどには、硬化されていない。こうして、補強層314がプリプレグ層である実施例では、樹脂層324のプリプレグに用いられた樹脂がキュアされ、繊維補強層322がコア層312と結合し、パネル306が形成される。
【0027】
図3A及び
図3Bに戻ると、強力接着層302は、強力接着層302がパネル306の表面320と結合するのを可能にし、ライナー308がパネル306と結合している強力接着層302と結合するのを可能にする、接着強度を有する。さらに、第2の接着層310は、装飾層304に固着され、ライナー308の表面326に結合されて、装飾層304をパネル306に結合する。
【0028】
示される実施例の強力接着層302は、ガス及び/または蒸気(例えば水蒸気)が通り抜けるのを抑制及び/または阻害する、ほぼ不浸透性及び/または無孔性の接着材料からなる。例えば、強力接着層302は、Cytec社のSurface Master(登録商標)905といったエポキシ系のコキュア合成剤、及び/または無孔性及び/またはほぼ不浸透性である任意の他の架橋型接着材料からなる。ある例では、強力接着層302は、半硬質である。例えば、強力接着層302がエポキシ系のコキュア合成剤からなる場合、強力接着層302は、キュアされることによって硬化し、固まり、及び/または半硬質になる。さらに、強力接着層302の材料は、例えば、高タック性、低クリープ性、低可燃性、及び/または、装飾層304及び/またはパネル306の性能を向上させる他の特性を、さらに提供する。
【0029】
示される実施例では、ライナー308は強力接着層302に結合され、それによって、装飾層304に結合された第2の接着層310が、強力接着層302に(したがってパネル306に)固着されるのを抑止及び/または阻害している。ライナーは、ポリエチレンテレフタラート(例えばMylar(登録商標))、フッ化ビニル樹脂(例えばTedlar(登録商標))、ポリビニリデンフルオライド及び/または、ライナー308が、強力接着層302に強固に固着されたまま、第2の接着層310からの結合解除または取り外されることを可能にする、任意の他の材料からなる。即ち、ライナー308は、装飾層304及び第2の接着層310をライナー308から取り外す外向きの力が装飾層304及び/または第2の接着層310に対して加えられるときに、ライナー308が強力接着層302から分離するのを抑制及び/または阻害する材料からなる。例えば、ライナー308の材料は、第2の接着層310の材料が作り出す表面エネルギーよりも大きい表面エネルギーを作り出し、それによって、装飾層304がパネル306から取り外される際に、ライナー308が強力接着層302から分離するのを抑止及び/または阻害する。さらに、ライナー308の材料(例えばポリエチレンテレフタラート、フッ化ビニル樹脂、ポリビニリデンフルオライドなど)は、第2の接着層310がライナー308から取り外されるときに、第2の接着層310の残留物がライナー308の表面326に固着したままになることを抑止し、それによってライナー308及び/または第2の接着層310が、装飾層304の美観的特徴を毀損するのを抑止及び/または阻害する。例えば、ライナー308は、第2の接着層310の残留物が表面326上に形成されるのを抑止する。なぜならば、ライナー308の材料が作り出す表面エネルギーは、装飾層304の材料が作り出す表面エネルギーよりも小さいからである。他の例では、接着層302とライナー308は、例えば、キュアされると硬化してガス及び/または蒸気が通り抜けるのを抑止及び/または阻害する熱可塑性接着剤からなる単一の層であって、第2の接着層310がパネル306から取り外される際に、この単一の層がパネル306から分離するのを抑止及び/または阻害するのに十分な表面エネルギーを作り出す、熱可塑性接着剤からなる単一の層である。
【0030】
例えば、第2の接着層310は、装飾層304を迅速かつ強固にライナー308に結合するのを可能にする、感圧接着剤(例えばアクリル系感圧接着剤)からなる。ある実施例では、装飾層304をライナー308に結合するのをさらに可能にするため、プライマー及び/またはシーラーが塗布される。示される実施例では、第2の接着層310は、約0.001インチ(0.025ミリメートル)と0.1インチ(2.54ミリメートル)の間の厚さを有する。さらに、または代わりに、第2の接着層310は、第2の接着層310が、結合されたパネル306(例えば航空機100の、外表面112及び/またはコンパートメント110内の表面)に対して耐火炎貫通性を提供するのを可能にする、難燃性添加剤を含み得る。
【0031】
装飾層304は、例えば、(例えば色、パターン、ロゴ、テキストなどの)装飾的特徴を含む積層板からなる。装飾層304はパネル306に結合され、それによって装飾層304の装飾的特徴が、パネル306によって形成される表面上(例えば航空機100の外表面112上及び/またはコンパートメント110の表面上)に表示されるのを可能にする。例えば、装飾層304は、航空機100に関連する航空会社を識別及び/または広告するため、航空機100の外表面112及び/または航空機100のコンパートメント110の内表面に結合される。ある例では、装飾層304は、装飾層304が、結合されたパネル306(例えば、航空機100の外表面112、航空機100のコンパートメント110内の内表面)に対して耐火炎貫通性を提供するのを可能にする、難燃性添加剤を含む。
【0032】
図3A及び
図3Bの実施例に示すように、装飾層304は、ライナー308及び強力接着層302を介してパネル306に結合されており、それによって強力接着層302は、装飾層304とパネル306との間に配置されている。強力接着層302がほぼ不浸透性の材料からなっているため、強力接着層302は、パネル306に由来する(例えば、当初、サンドイッチ構造のパネル306の補強層314と反対側の補強層との間のコア層312内に捕捉されていた)ガス及び/または蒸気(例えば水蒸気)が装飾層304に漏出するのを抑止及び/または阻害する。こうして、示される実施例の強力接着層302は、装飾層304の一部がパネル306から剥離するのを抑止及び/または阻害(例えば、装飾層304に気泡が生じるのを抑止及び/または阻害)する。
【0033】
さらに、第2の接着層310、及びライナー308は、装飾層304をパネル306に取り外し可能に結合すのを可能にする。例えば、装飾層304の一部がライナー308から剥離した場合、第2の接着層310がライナー308と結合解除及び再結合して装飾層304をライナー308に対して再配置することができ、それによって、ライナー308から剥離している装飾層304の部分がないようにする。例えば装飾層304が損傷した場合、第2の接着層310が損傷した場合、及び/または他の装飾層が装飾層304とは異なる装飾的機能(例えば、色、パターン、ロゴ、テキストなど)を含む場合、代わりに、装飾層304及び第2の接着層310がライナー308から取り外され得、別の装飾層(例えば、装飾層304とほぼ同様及び/または同一である第2の装飾層)及び、別の接着層(例えば、第2の接着層310とほぼ同様及び/または同一である第3の接着層)と置換され得る。さらに、強力接着層302、ライナー308、及び第2の接着層310は、装飾層304を損傷することなくパネル306を修理することを可能にする。それによって、装飾層304及び/またはパネル306に関連する整備の時間及び/または費用を削減する。
【0034】
図4は、本書の教示による、例示のパネルと、例示の強力接着層と、例示の装飾層を組み立てるための、例示の方法400を示すフロー図である。例示の方法400は
図4に示すフローチャートに関連して記載されているが、パネル、強力接着層、及び装飾層を組み立てるための、他の多くの方法が代わりに用いられ得る。例えば、ブロックの実行順は変更されてよく、及び/または記載されているブロックの幾つかは、変更、除外、及び/または組み合わされてよい。
【0035】
パネル、強力接着層、及び装飾層を組み立てる方法400は、
図3A〜
図3Cの強力接着層302、装飾層304、パネル306、ライナー308、及び/または第2の接着層310に関連して検討される。さらに、方法400が
図3A〜
図3Cの強力接着層302、装飾層304、パネル306、ライナー308、及び/または第2の接着層310に言及し得ることから、
図3A〜
図3Cで特定されており、以下で記載する構成要素の機能とほぼ同様または同一の機能を有する構成要素を、再度詳細に記載することはしない。代わりに、類似の構造に対しては同一の参照番号が使用される。
【0036】
本書で開示する例示の方法400は、強力接着層(例えば
図3A及び
図3Bの強力接着層302)をパネル(例えば
図3A〜
図3Cのパネル306)に固着することによって、ブロック402で開始される。例えば、強力接着層はパネルに結合されており、それによって、パネルから放出されたガス及び/または蒸気(例えば水蒸気)が、パネルと結合されるべき装飾層(例えば、
図3A及び
図3Bの装飾層304)に到達することが抑制及び/または阻害される。ブロック404では、パネルに固着されている強力接着層に、ライナー(例えば
図3A及び
図3Bのライナー308)が固着される。さらに、ブロック406で、強力接着層に固着されているライナーに、装飾層が第2の接着層(例えば、
図3A及び
図3Bの第2の接着層310)を介して結合される。例えば、装飾層は、第2の接着層を介してライナーに取り外し可能に結合される。
【0037】
ブロック408では、例示の方法400は、装飾層の一部がパネルから剥離しているかどうかを判定することを含む。装飾層の一部が特定された場合、例示の方法400は、第1の装飾層及び第2の接着層を再配置または置換することを含む(ブロック410)。例えばブロック410では、第1の装飾層及び第2の接着層は、ライナーに対して再配置され得、それによって、ブロック408で特定された装飾層の一部はもうパネルから剥離していなくなる。代わりに、第1の装飾層及び第2の接着層は、それぞれ第2の装飾層(例えば、
図3A及び
図3Bの装飾層304とほぼ同様及び/または同一の装飾層)及び第3の接着層(例えば、
図3A及び
図3Bの第2の接着層310とほぼ同様及び/または同一の接着層)と置換され得る。パネルから剥離しているとして特定される装飾層の部分がなくなるまで、ブロック408及び410が反復される。
【0038】
さらに、本開示は下記の条項による実施例を含む。
【0039】
条項1.パネルと、パネルに固着された強力接着層と、パネルに固着された強力接着層に固着されたライナーと、強力接着層に固着されたライナーに、第2の接着層を介して取り外し可能に結合された第1の装飾層とを備える装置であって、強力接着層が、ガスまたは蒸気のうちの少なくとも一方がパネルから漏出することを阻害し、それによってガスまたは蒸気のうちの少なくとも一方が第1の装飾層に対して圧力をかけることを抑止し、それによって第1の装飾層の一部がパネルから剥離することを抑止する、装置。
【0040】
条項2.第2の接着層はライナーに取り外し可能に結合され、それによって第1の装飾層及び第2の接着層をライナーに対して再配置することを可能にする、条項1の装置。
【0041】
条項3.第2の接着層はライナーに取り外し可能に結合され、それによって第1の装飾層及び第2の接着層を、第2の装飾層及び第3の接着層と置換することを可能にし、第2の装飾層を第3の接着層を介してライナーに結合することを可能にする、条項1の装置。
【0042】
条項4.第2の装飾層が、第1の装飾層とは異なる装飾パターンを含む、条項3の装置。
【0043】
条項5.ライナーが、第2の接着層が強力接着層と係合することを抑止する、条項1から4のいずれか1項の装置。
【0044】
条項6.強力接着層が半硬質材料からなる、条項1の装置。
【0045】
条項7.強力接着層が架橋材料からなる、条項1の装置。
【0046】
条項8.ライナーは、第2の接着層がライナーから結合解除されたときに、第2の接着層の残留物がライナーに固着したままになることを抑止する材料からなる、条項1の装置。
【0047】
条項9.ライナーは、ポリエチレンテレフタラート、ポリビニリデンフルオライド、またはフッ化ビニル樹脂からなる、条項1の装置。
【0048】
条項10.第2の接着層が感圧接着剤からなる、条項1の装置。
【0049】
条項11.第1の装飾層及び第2の接着層は、耐火材料からなり、パネルは、航空機の表面の一部であって航空機に耐火性を提供する、条項1の装置。
【0050】
条項12.パネルと、パネルに固着された第1の結合手段と、パネルに固着された第1の結合手段に固着されたライニング手段と、第1の結合手段に固着されたライニング手段に、第2の結合手段を介して取り外し可能に結合された第1のパネル装飾手段とを備える装置であって、第1の結合手段が、ガスまたは蒸気のうちの少なくとも一方がパネルから漏出することを阻害し、それによってガスまたは蒸気のうちの少なくとも一方が第1の装飾手段に対して圧力をかけることを抑止し、それによって第1の装飾手段の一部がパネルから剥離することを抑止する、装置。
【0051】
条項13.第2の結合手段はライニング手段に取り外し可能に結合され、それによって第1の装飾手段及び第2の結合手段をライニング手段に対して再配置することを可能にする、条項12の装置。
【0052】
条項14.第2の結合手段はライニング手段に取り外し可能に結合され、それによって第1の装飾手段及び第2の結合手段を、第2の装飾手段及び第3の結合手段と置換することを可能にし、第2の装飾手段を第3の結合手段を介してライニング手段に結合することを可能にする、条項12の装置。
【0053】
条項15.ライニング手段が、第2の結合手段が第1の結合手段と係合することを抑止する、条項12の装置。
【0054】
条項16.強力接着層をパネルに固着することと、ライナーをパネルに固着された強力接着層に固着することと、第1の装飾層を強力接着層に固着されたライナーに、第2の接着層を介して結合することを含む方法であって、強力接着層が、ガスまたは蒸気のうちの少なくとも一方がパネルから漏出することを阻害し、それによってガスまたは蒸気のうちの少なくとも一方が第1の装飾層に対して圧力をかけることを抑止し、それによって第1の装飾層の一部がパネルから剥離することを抑止する、方法。
【0055】
条項17.第2の接着層をライナーから結合解除することをさらに含み、それによって第1の装飾層及び第2の接着層をライナーに対して再配置することを可能にすることをさらに含む、条項16の方法。
【0056】
条項18.第2の接着層をライナーから結合解除し、それによって第1の装飾層をライナーから取り外すことと、第2の装飾層及び第3の接着層をライナーに結合し、それによって第1の装飾層及び第2の接着層を第2の装飾層及び第3の接着層と置換することとをさらに含む、条項16の方法。
【0057】
条項19.ライナーを強力接着層に結合することが、第2の接着層が強力接着層と係合することを抑止する、条項16の方法。
【0058】
条項20.第1の装飾層をパネルに結合することは、第1の装飾層を航空機の表面に結合することを含み、第1の装飾層及び第2の接着層は耐火材料からなり、航空機に耐火性を提供する、条項16の方法。本書では特定の例示的な方法及び装置が記載されてきたが、本特許出願の範囲はこれらに限定されるものではない。反対に、本特許出願は、本特許出願の、文言的に修正された特許請求の範囲内、または均等論による特許請求の範囲内に公正に当てはまる、すべての方法、装置、及び製品を包含する。