特許第6951134号(P6951134)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6951134-撮像装置用蓋体および撮像装置 図000002
  • 特許6951134-撮像装置用蓋体および撮像装置 図000003
  • 特許6951134-撮像装置用蓋体および撮像装置 図000004
  • 特許6951134-撮像装置用蓋体および撮像装置 図000005
  • 特許6951134-撮像装置用蓋体および撮像装置 図000006
  • 特許6951134-撮像装置用蓋体および撮像装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6951134
(24)【登録日】2021年9月28日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】撮像装置用蓋体および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20211011BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20211011BHJP
【FI】
   H01L27/146 D
   H01L23/02 J
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-126378(P2017-126378)
(22)【出願日】2017年6月28日
(65)【公開番号】特開2019-9381(P2019-9381A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中尾 貴博
【審査官】 柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−041145(JP,U)
【文献】 特開平06−291206(JP,A)
【文献】 特開2005−317598(JP,A)
【文献】 特開2002−359314(JP,A)
【文献】 特開2003−017607(JP,A)
【文献】 特開2009−123848(JP,A)
【文献】 特開2010−278501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、該第1面と反対側の面であって、平面透視で前記第1面の外縁と外縁が同じ位置にある第2面と、前記第1面と前記第2面との間の側面とを備える、透光性材料からなる板状体であって、前記側面全体が前記第1面に垂直な断面視において曲面である撮像装置用蓋体。
【請求項2】
前記側面は、凸曲面である請求項1に記載の撮像装置用蓋体。
【請求項3】
前記側面は、前記第1面に沿って伸びるとともに前記側面の厚み方向に並んでいる複数の溝を有しており、該溝の開口幅は前記板状体の厚みの2.5%以下であり、前記側面の全域にわたって凹凸を有している請求項1または請求項2に記載の撮像装置用蓋体。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の撮像装置用蓋体と、
該撮像装置用蓋体に対向して設けられた撮像素子とを備えている撮像装置。
【請求項5】
前記撮像素子は凹部を有する基板の前記凹部内に搭載されており、前記撮像装置用蓋体は、前記凹部の開口を塞いで前記基板に接合材で接合されている請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像装置用蓋体の前記側面は凸曲面であり、前記接合材は、前記側面の前記基板側の部分と前記基板の上面とを接合している請求項5に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、CCD(Charged-Coupled Device)およびCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子を搭載する撮像装置に用いられる撮像装置用蓋体および撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等に用いられる撮像装置は、撮像装置用基板にCCDまたはCMOS等の撮像素子が搭載されたものが用いられている。撮像装置用基板の凹部の底面に撮像素子を搭載して、撮像装置用基板の上面に透光性の蓋体を接合して撮像素子を気密封止することで撮像装置となる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この蓋体は直方体形状であり、その側面は撮像素子の受光面に対してほぼ垂直な平面であった。そのため、蓋体の上面から側面に入射した不要光が側面で反射して撮像素子に入射しやすくなり、不要光によるフレアやゴーストが発生しやすくなっていた。側面によって反射した不要光の撮像素子への入射を防止するために、側面を傾斜したものが知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−41270号公報
【特許文献2】特開2006−41183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、一眼レフカメラに対してよりコンパクトで扱いやすい、ミラーレス一眼デジタルカメラやコンパクトデジタルカメラに対しても高画質化の要求が高まり、大型の撮像素子が用いられるようになっている。撮像装置に対しては、大型の撮像素子を搭載しつつ小型であることが要求されるようになっている。そして、撮像素子用基板は撮像素子の搭載領域は大型化しても、それ以外はできるだけ小さくしなければならない。そのため、蓋体と撮像装置用基板との接合領域の幅(接合材の幅)が小さくなり、平面視した際の蓋体の側面の位置が撮像素子により近くなっている。
【0006】
側面を傾斜させた従来の蓋体では、上面から入射して撮像素子の表面または撮像素子の周囲で反射した反射光が不要光となり、この不要光が蓋体の側面で反射して、撮像素子へ入射しやすいものであった。また、側面の傾斜角度を大きくしなければ側面で反射した不要光の撮像素子への入射を防止することが難しく、傾斜を大きくすると撮像素子より外側に位置する部分が大きくなり、小型化が困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一つの態様による撮像装置用蓋体は、第1面と、該第1面と反対側の面であって、平面透視で前記第1面の外縁と外縁が同じ位置にある第2面と、前記第1面と前記第2面との間の側面とを備える、透光性材料からなる板状体であって、前記側面全体が前記第1面に垂直な断面視において曲面である。
【0008】
本開示の一つの態様による撮像装置は、上記の撮像装置用蓋体と、該撮像装置用蓋体の下方に設けられた撮像素子とを備えている。
【発明の効果】
【0009】
本開示の撮像装置用蓋体によれば、側面の全体が曲面であることから、小型であっても入射光が側面で反射して撮像素子へ入射する可能性、および撮像素子の表面等で反射した不要光が側面で反射して撮像素子に入射する可能性が低減される。
【0010】
本開示の撮像装置によれば、上記撮像装置用蓋体を用いていることから、不要光が撮像領域に入射され難くなり、フレアまたはゴースト等が抑制されたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】撮像装置の一例を示す斜視図である。
図2】(a)は図1に示す撮像装置の平面図であり、(b)は(a)のB−B線における断面図であり、(c)は(a)のC−C線における断面図である。
図3】(a)および(b)は、いずれも図2(b)におけるA部の一例を拡大して示す断面図である。
図4】撮像装置用蓋体の一例の一部を切断して示す斜視図である。
図5】撮像装置用蓋体の他の例の一部を切断して示す斜視図である。
図6】(a)〜(c)は、いずれも撮像装置の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の撮像装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明における上下の区別は便宜的なものであり、実際に撮像装置用基板等が使用されるときの上下を限定するものではない。図1は撮像装置の一例を示す斜視図である。図2(a)は図1に示す撮像装置の平面図であり、図2(b)は図2(a)のB−B線における断面図であり、図2(c)は図2(a)のC−C線における断面図である。図3(a)、図3(b)はいずれも図2(b)におけるA部の一例を拡大して示す断面図である。図4および図5はいずれも撮像装置用蓋体の一部を切断して示す斜視図である。
【0013】
撮像装置100は、図1および図2に示す例のように、配線基板2と、撮像素子4と、撮像装置用蓋体1とを含んでいる。
【0014】
本開示の撮像装置用蓋体1は、第1面11と、第1面11と反対側の面であって、平面透視で第1面11の外縁と外縁が同じ位置にある第2面12と、第1面11と第2面12との間の側面13とを備える、透光性材料からなる板状体である。そして、側面13が、第1面11に垂直な断面視において曲面状である。
【0015】
本開示の撮像装置用蓋体1によれば、側面13が曲面状であることから、小型であっても入射光が側面13で反射して撮像素子3へ入射する可能性、および撮像素子3の表面等で反射した不要光が側面13で反射して撮像素子3に入射する可能性が低減される。平面透視で第1面11の外縁と外縁が同じ位置にあるとは、側面13上端と下端とを結ぶ仮想線が、第1面11(および第2面12)に垂直であるということであり、従来の撮像装置用蓋体のように、全体として傾斜したものではないということである。また、同じ位置とは厳密に同じ位置でなくてもよい。すなわち、側面13上端と下端とを結ぶ仮想線L(図3図5に示す破線)と第1面11(および第2面12)とがなす角度が厳密な直角でなくてもよい。側面13上端と下端とを結ぶ仮想線Lと第1面11(および第2面12)とがなす角度が85度〜95度程度であればよい。また、図2に示す例のように、側面13は第1面11に垂直な断面視において曲面である。撮像装置用蓋体1の平面視の形状は矩形状であって、平面視における側面13は曲面ではない。言い換えれば、側面13は厚み方向で曲面状である。ここで、側面12が曲面状であるとは、側面13が厳密な曲面でなくてもよいということであって、例えば図4に示す例のように、側面13は凸曲面の頂部13aが平面状となったような形状、側面13における厚み方向の中央部に平面部を有す
る形状であってもよい。この例の場合も、側面13の断面視における全体の形状は曲面状であり、側面13の50%以上は曲面である。凸曲面の頂部13aは、平面視で撮像装置用蓋体1の最外周部であり、撮像素子から最も離れている部分であるので、この部分が平面状であっても不要光の反射による影響は小さい。この、平面状である頂部13aの厚み方向の幅(図4に示すW)は、例えば、撮像装置用蓋体1の厚みの50%以下程度である。
【0016】
撮像装置用蓋体1の側面13は、曲面状であればよく、図2(a)に示す例のような凸曲面であってもよいし、図2(b)に示す例のような凹曲面であってもよい。側面13が図2(a)に示す例のような凸曲面であれば、主面(第1面11および第2面12)と側面13との間が鋭角の角とならず、厚みが極めて薄い部分ができないので、撮像装置用蓋体1に欠け等が発生し難い。また、配線基板2に接合材3で接合した際に、接合材3に角部を起点としてクラックが入り難いので接合信頼性の高いものとすることができる。
【0017】
また、本開示の撮像装置用蓋体1においては、図5に示す例のように、側面13は第1面11に沿って伸びる複数の溝13gを有していてもよい。このような構成であると、側面13に、不要光の進行方向に対して凹凸ができるので、不要光が側面13で乱反射しやすくなり、不要光が撮像素子4へ入射する可能性をより低減できる。また、側面13の外側から入射してくる光も乱反射しやすくなるので、光が側面から入射して不要光となる可能性も低減することができる。溝が撮像装置用蓋体の厚み方向に伸びるものである場合には、撮像装置用蓋体の厚み方向と不要光の進行方向とはほぼ同じであるので、側面の不要光が当たる部分に凹凸が形成されず、不要光が乱反射されない場合がある。第1面11に
沿って伸びる複数の溝13gを形成することで、不要光が当たる部分に凹凸を容易に形成することができる。また、側面13に溝13gを有することで、接合材3で撮像装置用蓋体1を基板(配線基板2)に接合する際に、接合材3が溝13g内に入り込んで接合強度が向上する。このとき、溝13gは撮像装置用蓋体1の第1面11に沿って伸びるもので
あるので、撮像装置用蓋体1が基板(配線基板2)から剥がれる方向に対して、溝13g
に入り込んだ接合材3は、剥がれに対する抵抗がより大きくなる形状となる。
【0018】
本開示の撮像装置100は、上記のような撮像装置用蓋体1と、撮像装置用蓋体1に対向して設けられた撮像素子4とを備えている。撮像素子4の受光部を備える上面(受光面)が撮像装置用蓋体1の下面に対向している。そのため、不要光が撮像素子4の撮像領域に入射され難くなり、フレアまたはゴースト等が抑制された撮像装置100となる。
【0019】
撮像装置100は、図1および図2に示した例では、凹部を有する基板(配線基板2)に撮像素子4が搭載され、撮像装置用蓋体1は配線基板2の上面の凹部の周囲の部分に接合材3で接合されている。撮像装置100は、撮像装置用蓋体1に対向して設けられた撮像素子4とを備えているものであればよく、この例に限られるものではない。
【0020】
ここで、図6(a)〜図6(c)は、いずれも撮像装置の他の例を示す断面図である。図6(a)に示す例においては、配線基板2は、図1および図2に示す例の配線基板2に対して、金属製の板状の枠体6がろう材、ガラスまたは樹脂接着剤等の第2接合材32で接合されたものであり、この枠体6の上面に撮像装置用蓋体1が接合材3で接合されている。枠体6と配線基板2とで構成された凹部を有する基板に撮像素子4が搭載されているともいえる。枠体6は、配線基板2の平面視の外縁より外側に突出した部分を有しており、突出した部分に貫通孔6aを備えている。この貫通孔6aを利用して、例えば、撮像装置100をカメラ内に位置決めしてねじ止め固定することができる。また、図6(b)に示す例では、撮像素子4は平板状の配線基板2に搭載され、配線基板2の上面には第2接合材32で枠体6が接合されており、枠体6の上面を塞ぐように撮像装置用蓋体1が枠体6の上部に接合材3で接合されている。枠体6の厚みは、図6(a)に示す例と比較して
厚いものであり、撮像素子4およびボンディングワイヤ5の配線基板2の上面からの高さより厚いものである。これにより、枠体6の内面と配線基板2の上面とで撮像素子4を収納する空間が形成されている。枠体6と配線基板2とで凹部を有する基板が構成されている。図6(c)に示す例では、撮像素子4は枠状の配線基板2の下側に搭載され、配線基板2の上面には第2接合材32で鏡筒7が接合されており、鏡筒7の上端を塞ぐように撮像装置用蓋体1が鏡筒7の上端に接合材3で接合されている。撮像素子4の受光面は枠状の配線基板2の貫通孔を通して撮像装置用蓋体1と対向している。また、図6(c)に示す例の撮像装置100においては、鏡筒7の上端と下端との間で保持されたレンズ71を備えている。図6(c)に示す例においては、枠状の配線基板2は、下面に凹部を有し、凹部の底面から上面にかけて貫通しているとみることができ、つまり、この例の基板(配線基板2)は凹部を有しているといえる。撮像装置用蓋体1は、図1および図2図6(a)、(b)に示す例の撮像装置100のように撮像装置用蓋体1と撮像素子4との距離が近く、側面13での反射光が撮像素子4に入射しやすいもの(言い換えれば、側面13と撮像素子4の受光部とを直線でつなげられるもの)に適用すると、より効果的である。
【0021】
また、撮像素子4は凹部を有する基板の凹部内に搭載され、撮像装置用蓋体1は、凹部の開口を塞いで基板に接合材3で接合される場合には、撮像装置用蓋体1を接合する際に、撮像素子4は基板の凹部内に収納されているので、撮像素子4が外部のものにぶつかって損傷する可能性が低減される。基板は上述したように配線基板2を含むものであり、配線基板2の配線導体22と撮像素子4の電極4aとが電気的に接続される。基板が枠体6等を備えておらず、貫通していない凹部を有する配線基板2である場合には、撮像装置用蓋体1および接合材3だけで撮像素子4の気密封止ができるので、気密性の信頼性がより高いものとなる。
【0022】
また、図3(a)に示す例のように、撮像装置用蓋体1の側面13が凸曲面状であり、接合材3は、側面13の基板(配線基板2)側の部分と基板(配線基板2)の上面とを接合している撮像装置100することができる。このような構成であると、撮像装置用蓋体1の側面13と基板(配線基板2)との間に接合材3が溜まる空間が形成される。そのため、接合材3が基板(配線基板2)上に大きく濡れ広がらせなくても接合強度が得られるので、基板(配線基板2)における撮像装置用蓋体1を接合するための領域を小さくすることでき、撮像装置100がより小型のものとなる。
【0023】
配線基板2は、上面に撮像素子4の搭載領域2aを有し平面視で矩形状である。図1および図2に示す例においては、配線基板2は、絶縁層21が積層されてなる、基体部と基体部上に設けられた搭載領域2aを囲む、平面視で矩形状の枠体部とを備えている。基体部の上面と枠体部とで形成される凹部を有するものとなり、凹部の底面に搭載領域2aが位置している。配線基板2は、図6(b)に示す例のように、枠体部を備えていない基体部だけの平板状であってもよいし、図6(c)に示す例のように、大きさの異なる枠体部からなる枠状であってもよい。
【0024】
配線基板2は、例えば、セラミック材料から成る絶縁層21と、配線導体22とを含んでいる。配線基板2は、撮像素子4を固定するとともに外部回路と電気的に接続するためのものである。配線基板2の搭載領域2aに撮像素子4が搭載され、撮像素子4の電極4aと配線導体22とが電気的に接続されることで、撮像素子4が配線基板2を介して外部回路に電気的に接続される。配線基板2が基体部と枠体部とを備えている場合には、これらは焼成によって一体的に形成されているものである。図2に示す例においては、基体部が2層の絶縁層21から成り、枠体部が3層の絶縁層21から成り、全体として5層の絶縁層21を備えるものであるが、絶縁層21の層数はこれに限られるものではない。
【0025】
配線基板2の絶縁層21は、セラミック材料から成り、その例は、酸化アルミニウム(
アルミナ:Al)質焼結体または窒化アルミニウム(AlN)質焼結体等である。エポキシ等の樹脂材料を用いることもできる。配線基板2の絶縁層21が酸化アルミニウム質焼結体からなる場合は、配線基板2は、機械強度が高いために反りが発生しにくく、また、適度な熱伝導率を有しているので、撮像素子4から発生する熱を外部に放散しやすいものとなる。したがって、配線基板2が酸化アルミニウム質焼結体からなる場合には、配線基板2は、機械強度、熱伝導率、また、コスト的にも好ましいものになる。
【0026】
配線導体22は、撮像素子4との電気的な接続さらに外部回路との接続のためのものである。配線導体22は、例えば、搭載領域2aに隣接して配列され、撮像素子4の電極4aとボンディングワイヤ5等で接続される接続パッド、基体部の下面に設けられた外部電極およびこれらを電気的に接続するために絶縁層21間に設けられた内部配線および絶縁層21を貫通して上下の配線を接続する貫通導体等を含む。図2(b)に示す例においては、枠体部が内側に段差部を有しており、枠体部の段差部の上面から基体部の下面にかけて配線導体22が設けられている。枠体部を段差部のないものとして、基体部の上面の搭載領域2aに隣接する領域から基体部の下面にかけて配線導体22を設けることもできる。
【0027】
配線導体22は、絶縁層21がセラミックからなる場合であれば、例えば、タングステン、モリブデン、銅、銀等の金属粉末を用いたメタライズ層として形成される。絶縁層21が樹脂材料からなる場合であれば、例えば銅箔で形成される。配線導体22の露出する表面には、配線導体22の保護および撮像素子4との接続のためのボンディングワイヤ5あるいは外部回路との接続のためのはんだ等との接合性を向上させるために、例えば、ニッケルおよび金のめっき被膜を形成することができる。
【0028】
配線基板2の絶縁層21が、例えば、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、以下のようにして作製することができる。まず、アルミナ(Al)またはシリカ(SiO)、カルシア(CaO)、マグネシア(MgO)等の原料粉末に適当な有機溶剤、溶媒等を添加混合して泥漿状とし、これを周知のドクターブレード法またはカレンダーロール法等を用いてシート状に成形して絶縁層21となるセラミックグリーンシート(以下、グリーンシートともいう)を得ることができる。
【0029】
セラミックグリーンシートの表面に配線導体22用の導体ペーストを印刷して配線導体パターンを形成する。貫通導体を設ける場合は、導体ペーストの印刷に先立って、グリーンシートに貫通孔を形成しておき、この貫通孔を導体ペーストで充填しておく。導体ペーストは、上記したような金属粉末と有機溶剤やバインダー等の有機成分とを混練して作製することができる。
【0030】
その後、配線導体パターンが形成されたグリーンシートを複数枚積層して積層体を作製し、この積層体を、例えば、約1600(℃)の温度で焼成することにより配線基板2が製作される。
【0031】
撮像装置用蓋体1は、図1および図2に示す例では、配線基板2の枠体部の開口部(凹部の開口部)を塞ぐように配線基板2の上面に接合材3を介して接合されている。配線基板2の上面の開口部より外側の部分と、この部分と重なる、撮像装置用蓋体1の下面の外縁部とが接合されていればよいが、図1図3に示す例のように、撮像装置用蓋体1の側面13も接合されると、接合面積が増えてメニスカスも大きくなるので接合強度がより高いものとなる。
【0032】
撮像装置用蓋体1は、透光性材料すなわち可視光を透過する材料からなる板状体である。例えば、ソーダガラスまたはホウケイ酸ガラス等の透明なガラス材料からなる板材であ
り、光の透過率の高いガラス材料が好ましい。また、撮像装置用蓋体1として、水晶板を用いることができる。水晶板は、α線やβ線の放射線の放出がほとんど無く、撮像素子4のS/Nが低下しにくいので、水晶板を撮像装置用蓋体1として用いた撮像装置100は、高品位の画像を得ることができる。
【0033】
撮像装置用蓋体1の寸法は、撮像装置100に搭載される撮像素子4の大きさ、配線基板2の凹部の開口の大きさ等に応じて設定され、例えば、6mm〜40mm×4mm〜30mmの矩形状で、厚みが0.2mm〜1mmである。
【0034】
撮像装置用蓋体1は、例えば、上記のような透光性材料からなる大型の板材を切断して所定の大きさの矩形状の板材(以下、矩形板体とも呼ぶ。)に加工することで作製される。例えば、大型の板材の主面に、レーザーやダイシング等で溝を形成し、溝に機械応力や熱応力を加えることで切断することができる。この切断により得た矩形板体の側面は、ほぼ平面で形成されたものとなる。撮像装置用蓋体1の側面13を曲面状とするには、例えば、矩形板体の側面を、研磨砥石を用いて研磨すればよい。所定形状の研磨砥石を用いることで、所定形状の側面13を有する撮像装置用蓋体1を作製することができる。図3(a)に示す例のような凸曲面形状の側面13となるように研磨するには、例えば、研磨面に、撮像装置用蓋体1の側面13の凸曲面対応する凹曲面を有する回転砥石を用いて、矩形板体の側面に回転砥石の研磨面を押し付けて研磨すればよい。これによって、側面13がどの部位においても一定の凸曲面を持つ断撮像装置用蓋体1とすることができる。また、撮像装置用蓋体1の側面13を、図3(b)に示す例のような凹曲面とするには、研磨面に、撮像装置用蓋体1の側面13の凹曲面に対応する凸曲面を有する回転砥石を用いればよい。
【0035】
なお、撮像装置用蓋体1の側面13を研磨によって形成した場合には、図5に示す例のような、第1面11に沿って伸びる複数の溝13gを有する側面13を形成することができる。研磨の方向、すなわち砥石の移動方向を第1面11の面に沿った方向、側面13の周方向にすればよい。回転砥石を用いる場合は回転方向および回転砥石の移動方向が側面13の周方向に沿っているとよい。
【0036】
また、図4に示す例のように、凸曲面状で、曲面の頂部13aが平面状である側面13を形成するには、研磨面にこの形状に対応する形状の凹部を有する砥石を用いてもよいし、研磨面が凹曲面である砥石を用い、矩形板体の側面に砥石の凹曲面の底が到達しないようにして研磨してもよい。前者の場合には側面13の頂部13aにも溝13gが形成され、後者の場合には側面13の頂部13aには溝13は形成されない。
【0037】
撮像装置用蓋体1の側面13の溝13gは、開口幅が0.5μm〜5μm程度で、深さが0.01μm〜0.1μm程度である。この程度であれば、溝13gを起点として撮像装置用蓋体1が割れてしまうことがない。また、側面13に多数の凹凸を形成することができるので、不要光を側面13で乱反射させやすくなる。第1面11の面に沿った方向の長さは、特に制限はなく、平面視で矩形状の撮像装置用蓋体4つの側面13それぞれの長さと同じであってもよいし、これより短くてもよい。短いものであっても、側面13の厚み方向に複数の溝13gが並んで配置され、第1面11に垂直な断面視において側面13に多数の凹部が形成されて、側面13が凹凸を有する曲面となっている。また、溝13g
同士の間隔は10μm以下とすることができ、溝13gが重なっていてもよい。このようにすると、側面13のほぼ全域にわたって微細な凹凸が形成されるので、不要光がより乱反射しやすくなる。なお、図5に示す例は、溝13gを模式的に示すものであって、撮像装置用蓋体1の寸法に比して大きく示すことでわかりやすいようにしている。
【0038】
図3(a)においては撮像装置用蓋体1の主面の第1面11および第2面12と側面1
3の境界部で角度をなさずに接している。言い換えれば、側面13は第1面11(および第2面12)に垂直な断面視において半円形であり、第1面11および第2面12がこの半円に外接しており、角を有していない。この例に限られず、図4に示す例のように、片方の主面もしくは両方の主面と側面13との境界部に角度をなす角部を有していてもよい。その場合は、第1面11、第2面12と側面13との間の角部の角度が135°以上あると、撮像装置用蓋体1の取り扱い時に角部が欠け難くなり塵埃が発生し難くなる。
【0039】
また、平面視で矩形状である撮像装置用蓋体1の、平面視における4つの角部には、C面あるいはR面を形成することができる。このようにすると、撮像装置用蓋体1の取り扱い時に角部が欠け難くなり塵埃が発生し難くなる。例えば、撮像装置用蓋体1の厚み以上の大きさでRを形成するとよい。
【0040】
接合材3は、例えば、樹脂接着剤から成る。樹脂接着剤は、耐湿性あるいは接合強度の観点から、緻密な3次元網目構造を有するエポキシ樹脂を主成分とすることができる。樹脂接着剤は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA変性エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、特殊ノボラック型エポキシ樹脂、フェノール誘導体エポキシ樹脂、ビフェノール骨格型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂であり、これらのエポキシ樹脂に、イミダゾール系、アミン系、リン系、ヒドラジン系、イミダゾールアダクト系、アミンアダクト系、カチオン重合系またはジシアンジアミド系等の硬化剤を添加したもので構成されている。なお、接合材3は、2種以上のエポキシ樹脂を混合して用いてもよい。
【0041】
また、接合材3は、撮像装置用蓋体1と基板(配線基板2)、枠体6または鏡筒7との熱膨張係数差による応力を緩和するために、弾性率が低い材料を用いることができる。接合材3は、例えば、樹脂接着剤100質量%に充填剤として、例えばアクリル系ゴム粒子等を外添加で50(%)以下程度添加することで弾性率を5GPa以下としたものを用いることができる。
【0042】
また、接合材3は、可視光の透過性を低減するために、顔料、染料あるいはフィラーを含むものであってもよい。撮像装置用蓋体1の側面13あるいは撮像装置用蓋体1と基板との間から入射しようとする光を、これらで吸収あるいは散乱させることができ、不要光を抑えることができる。
【0043】
撮像装置用蓋体1を接合材3を用いて接合する方法は、例えば、配線基板2に、接合材3として樹脂接着剤を用いて接合する場合であれば、以下のようなものである。まず、スクリーン印刷等の従来公知の手法を用いて、配線基板2の凹部の開口部の周囲もしくは撮像装置用蓋体1の外周縁部の全周に樹脂接着剤を形成し、配線基板2の上に樹脂接着剤を介して撮像装置用蓋体1を載置する。そして、熱または紫外線等を用いて樹脂接着剤を硬化させることで、配線基板2と撮像装置用蓋体1とが接合材3を介して接合されることになる。
【0044】
図6(a)に示す例の場合の金属製の枠体6は、例えば、42アロイやステンレス等の金属からなり、金属板を打ち抜き加工することにより作製することができる。このときの第2接合材32は、接合材3と同様の樹脂接着剤、銀ろうやはんだ等の金属接合材、ガラスなどを用いることができる。
【0045】
図6(b)に示す例の場合の枠体6は、および図6(c)に示す例の場合の鏡筒7は、例えば、上記の金属製の枠体6と同様の金属、エポキシ等の樹脂、あるいは配線基板2の絶縁層21と同様のセラミックスからなり、金属からなる場合は上記の金属製の枠体6と
同様の方法で、樹脂からなる場合は射出成型等の公知の樹脂成形体の形成方法で、セラミックスからなる場合はセラミック粉末をプレス成型により生成形体を作製して焼成する等の公知の方法で作製することができる。この場合の第2接合材32も上記と同様のものを用いることができる。また、レンズ71は、例えば、ガラスあるいは樹脂製であり、接着剤で鏡筒7に接合され固定される。
【0046】
撮像素子4は、例えば、CMOSまたはCCD等であり、図1図2および図6に示す例のように、配線基板2の搭載領域2aに搭載されるとともに配線基板2の配線導体22に電気的に接続されている。撮像素子4は、搭載領域2aに接着材等を介して固定され、ボンディングワイヤ5で配線基板2に設けられた配線導体22に電気的に接続されている。なお、撮像素子4は、フリップチップ方式で配線導体22に電気的に接続されて搭載されていてもよい。この場合は、アンダーフィル材を用いて固定することができる。
【0047】
本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更および改良が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1・・・撮像装置用蓋体
11・・・第1面
12・・・第2面
13・・・側面
13a・・・頂部
13g・・・溝
2・・・配線基板
2a・・・搭載領域
21・・・絶縁層
22・・・配線導体
3・・・接合材
32・・・第2接合材
4・・・撮像素子
4a・・・電極
5・・・ボンディングワイヤ
6・・・枠体
6a・・・貫通孔
7・・・鏡筒
71・・・レンズ
100・・・撮像装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6