特許第6951311号(P6951311)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6951311
(24)【登録日】2021年9月28日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20211011BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20211011BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20211011BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20211011BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20211011BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20211011BHJP
   H01L 29/49 20060101ALI20211011BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20211011BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20211011BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20211011BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20211011BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20211011BHJP
【FI】
   H01L29/80 F
   H01L29/80 H
   H01L29/80 U
   H01L21/28 301B
   H01L29/50 M
   H01L29/58 G
   H01L21/88 J
   H01L21/90 D
   H01L29/78 301B
   H01L29/78 301X
   H01L29/78 301V
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-175270(P2018-175270)
(22)【出願日】2018年9月19日
(65)【公開番号】特開2019-169696(P2019-169696A)
(43)【公開日】2019年10月3日
【審査請求日】2020年2月27日
(31)【優先権主張番号】特願2018-54818(P2018-54818)
(32)【優先日】2018年3月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(74)【代理人】
【識別番号】100149629
【弁理士】
【氏名又は名称】柘 周作
(74)【代理人】
【識別番号】100200148
【弁理士】
【氏名又は名称】今野 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100152788
【弁理士】
【氏名又は名称】手塚 史展
(72)【発明者】
【氏名】田島 純平
(72)【発明者】
【氏名】彦坂 年輝
(72)【発明者】
【氏名】上杉 謙次郎
(72)【発明者】
【氏名】蔵口 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】布上 真也
【審査官】 市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0072272(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/021099(WO,A1)
【文献】 特開2012−044113(JP,A)
【文献】 特開2012−119625(JP,A)
【文献】 特開2010−283048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/338
H01L 21/28
H01L 29/417
H01L 29/423
H01L 21/3205
H01L 21/768
H01L 21/336
H01L 29/78
H01L 29/812
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
第1の窒化物半導体層と、
前記基板と前記第1の窒化物半導体層との間にある第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層と前記第1の窒化物半導体層との間にあるゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層と前記第1の窒化物半導体層との間にあり、前記第1の窒化物半導体層と接する第2の窒化物半導体層と、
前記第1の絶縁層と前記第2の窒化物半導体層との間にあり、前記第2の窒化物半導体層に電気的に接続されるソース電極と、
前記ゲート絶縁層と前記第1の絶縁層との間にあるゲート電極と、
前記第1の窒化物半導体層に設けられ、前記第1の窒化物半導体層と電気的に接続されるドレイン電極と、を備え、
前記第2の窒化物半導体層は凹部を有し、前記ゲート電極は少なくとも一部が前記凹部に設けられる半導体装置。
【請求項2】
前記基板は絶縁性である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
基板と、
第1の窒化物半導体層と、
前記基板と前記第1の窒化物半導体層との間にある第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層と前記第1の窒化物半導体層との間にあるゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層と前記第1の窒化物半導体層との間にあり、前記第1の窒化物半導体層と接する第2の窒化物半導体層と、
前記第1の絶縁層と前記第2の窒化物半導体層との間にあり、前記第2の窒化物半導体層に電気的に接続されるソース電極と、
前記第1の絶縁層と前記ゲート絶縁層との間にあるゲート電極と、
前記基板と第2の窒化物半導体層との間にあり、前記第2の窒化物半導体層および前記基板と電気的に接続されるドレイン電極と、
を備える半導体装置。
【請求項4】
前記基板の第1の絶縁層がある側とは反対側にある第1導電層をさらに備える請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記基板と前記第1の絶縁層の間にあり、前記ドレイン電極と電気的に接続する第2導電層をさらに備える請求項3または請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記基板は導電性である請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1の窒化物半導体層はGaNである請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2の窒化物半導体層はAlx1Ga(1−x1)N(ただし0<x1≦1)である請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1の窒化物半導体層は20nm以上1μm以下である請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化物半導体を用いたトランジスタは、ワイドバンドギャップ材料である窒化物半導体の電気的な材料特性により高耐圧な特性が得られ、シリコンを用いたパワーデバイスに代わる半導体素子となる。構成元素の組成が異なる窒化物半導体層の積層界面には二次元電子ガスが発生する。二次元電子ガスは高い電子移動度を有するため、二次元電子ガスをチャネルとしたトランジスタは電気的に高速な応答が可能となり、高速スイッチング素子として利用すると高いエネルギー変換効率が得られる。このような窒化物半導体を用いたトランジスタは高耐圧・高速応答性を有していることから電源などの電力変換装置への利用が期待されている。
【0003】
窒化物半導体を用いたトランジスタは、例えば、高耐圧化のために、シリコン(Si)等の基板上に耐圧バッファ層となる窒化物半導体層、チャネル層となる窒化物半導体層の順に積層された構造を有する。しかしながら、チャネル層から漏出した電子が耐圧バッファ層やSi基板で蓄積されてしまい、これが電流コラプスの原因となる。そのため、高耐圧で電流コラプスを抑制した半導体装置が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2009‐503810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、高耐圧で電流コラプスを抑制した半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の半導体装置は基板と、第1の窒化物半導体層と、前記基板と前記第1の窒化物半導体層との間にある第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層と前記第1の窒化物半導体層との間にあるゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層と前記第1の窒化物半導体層との間にあり、前記第1の窒化物半導体層と接する第2の窒化物半導体層と、記第1の絶縁層と前記第2の窒化物半導体層との間にあり、前記第2の窒化物半導体層に電気的に接続されるソース電極と、前記ゲート絶縁層と前記第1の絶縁層との間にあるゲート電極と、前記第1の窒化物半導体層に設けられ、前記第1の窒化物半導体層と電気的に接続されるドレイン電極と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図2】第1の実施形態の半導体装置の製造工程を示す図。
図3】第2の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図4】第3の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図5】第4の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図6】第5の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図7】第6の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。同じ符号が付されているものは同様のものを示す。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比係数などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比係数が異なって表される場合もある。
【0009】
本明細書中、部品等の位置関係を示すために、図面の上方向を「上」、図面の下方向を「下」と記述する。本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0010】
本明細書中、「窒化ガリウム系半導体」とは、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化インジウム(InN)及びそれらの中間組成を備える半導体の総称である。
【0011】
(第1の実施形態)
図1に本実施形態の半導体装置100を説明する模式断面図を示す。
【0012】
半導体装置100は、GaN系半導体で構成される電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)である。
【0013】
半導体装置100は、基板6上に、第1の絶縁層13、ゲート絶縁層5、第2の窒化物半導体層2、第1の窒化物半導体層1、第2の絶縁層10が順に積層された構造を備えている。第1の窒化物半導体層1は第2の窒化物半導体層2と組成が異なる。第2の窒化物半導体層2は電子供給層として作用し、第1の窒化物半導体層1は、二次元電子ガスが発生しチャネル層となる。
【0014】
また、第1の絶縁層13の一部と第2の窒化物半導体層2の一部との間にソース電極11が設けられている。第1の窒化物半導体層1上にドレイン電極8が設けられている。基板6とゲート絶縁層5の間にゲート電極12が設けられている。またゲート電極12は第1の絶縁層13内に設けられている。第1の絶縁層13は接合絶縁層3、層間絶縁層4を含み両者が積層されている。
【0015】
従来の窒化物半導体装置は、耐圧を向上させるために、基板とチャネル層や電子供給層となる窒化物半導体層との間に耐圧バッファ層である厚い窒化物半導体層を備えていた。
【0016】
しかしながら、本実施形態の半導体装置100は耐圧バッファ層である窒化物半導体層の代わりに、第1の絶縁層13を有しており、半導体装置100は第1の絶縁層13上に、電子供給層である第2の窒化物半導体層2とチャネル層である第1の窒化物半導体層1が積層された構造を備えている。第1の絶縁層13は、窒化物半導体層に比べて、バンドギャップが広いため、窒化物半導体よりも高い耐圧を有する。したがって、半導体装置100の耐圧を向上させることが可能である。また、第1の絶縁層13はチャネルから漏出した電子をため込んだり通過させたりしないため、チャネルから第1の絶縁層13に電子が漏出することを防ぐので電流コラプスを低減させることが可能である。
【0017】
基板6は、例えば、シリコン(Si)、酸化ガリウム(Ga)、炭化ケイ素(SiC)、サファイア(Al)、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)などである。基板6は、単結晶基板だけでなく、低コストである多結晶基板や銅(Cu)、アルミニウム(Al)等の金属基板を用いることができる。基板6は、放熱性のために、熱伝導率の高い金属基板や窒化アルミニウム(AlN)を用いることが望ましい。
【0018】
基板6上に後述する半導体層や絶縁層を積層することで、基板6は半導体層や絶縁層を固定する。基板6の厚さは、例えば、100μm以上2000μm以下である。
【0019】
第1の窒化物半導体層1は、後述する第2の窒化物半導体層2上に設けられる。第1の窒化物半導体層1は、第2の窒化物半導体層2と接する。第1の窒化物半導体層1は、チャネル層である。第1の窒化物半導体層1は、例えば、窒化アルミニウムガリウム(Alx2Ga(1−x2)N、0≦x2<1)である。
【0020】
第1の窒化物半導体層1は、第2の窒化物半導体層2よりもバンドギャップが小さい材料であり、第1の窒化物半導体層1は例えばアンドープ層の、i‐GaNまたはi‐AlGaNである。第1の窒化物半導体層1には、意図的な不純物のドーピングはなくともよく、その場合弱いn型伝導を示す。
【0021】
また、第1の窒化物半導体層1は、Mgをドープしたp型でも良い。不純物がMgの場合、不純物濃度は5×1016cm−3以上1×1018cm−3以下である。第1の窒化物半導体層1にp型不純物をドープした場合、閾値電圧が向上する。
【0022】
また、第の窒化物半導体層1は、H(水素)、O(酸素)、Si(シリコン)等の意図せずに含まれた不純物を含んでいても良い。i‐GaNは、例えば、不純物がH(水素)の場合1×1020cm−3以下、不純物がO(酸素)の場合1×1018cm−3以下、不純物がSi(シリコン)の場合1×1018cm−3以下である。閾値電圧の向上の効果を大きくし、またオン抵抗を抑えチャネル移動度を向上させるため、第1の窒化物半導体層1の厚さは、例えば、20nm以上1μm以下である。さらに望ましくは50nm以上200nm以下である。
【0023】
第1の絶縁層13は、基板6と第1の窒化物半導体層1との間に設けられる。第1の絶縁層13は、接合絶縁層3、層間絶縁層4を含む。第1の絶縁層13は、第1の絶縁層13は、半導体装置100の耐圧向上の程度を考慮して任意の絶縁体を用いると良い。例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、ケイ酸アルミニウムから選ばれる少なくとも一種が用いられる。また、第1の絶縁層13は、これらの絶縁体からなる互いに異なる2つ以上の材料からなる層が複数積層されている構造であってもよい。第1の絶縁層13の厚さは、例えば、1μm以上5μm以下である。
【0024】
ゲート絶縁層5は、第1の絶縁層13と第1の窒化物半導体層1との間に設けられる。ゲート絶縁層5は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、ケイ酸アルミニウムなどである。また、ゲート絶縁層5は、これらの絶縁体からなる互いに異なる2つ以上の材料が複数層積層されている構造であってもよい。第1の窒化物半導体層1のチャネルからゲート電極12にキャリアが漏出するのを防ぐために、ゲート絶縁層5の厚さは10nm以上100nm以下が望ましい。
【0025】
第2の窒化物半導体層2は、ゲート絶縁層5と第1の窒化物半導体層1との間に設けられる。第2の窒化物半導体層2は、例えば、窒化アルミニウムガリウム(Alx1Ga(1−x1)N、0<x1≦1)である。以下、窒化アルミニウムガリウムはAlGaNと表記する。
【0026】
第2の窒化物半導体層2は、電子供給層である。第2の窒化物半導体層2は、例えば、アンドープ層のi‐AlGaNである。第2の窒化物半導体層2は、意図的な不純物のドーピングはなくてもよく、その場合、弱いn型伝導を示す。
【0027】
また、第2の窒化物半導体層2は、Mgをドープしたp型でも良い。不純物がMgの場合、不純物濃度は5×1016cm−3以上1×1018cm−3以下である。第2の窒化物半導体層2にp型不純物をドープした場合、閾値電圧が向上する。
【0028】
また、第2の窒化物半導体層2は、H(水素)、O(酸素)、Si(シリコン)等の意図せずに含まれた不純物を含んでいても良い。i‐AlGaNの不純物濃度は、例えば、不純物がH(水素)の場合1×1021cm−3以下、不純物がO(酸素)の場合1×1019cm−3以下、不純物がSi(シリコン)の場合1×1018cm−3以下である。第2の窒化物半導体層2の第1の絶縁層13側は+C面(Ga極性面)である。第2の窒化物半導体層2の+C面は平坦であるため、後述するゲート電極12を接触させるのに適している。第1の窒化物半導体層1に2次元電子ガス層を発生させるために、第1の窒化物半導体層1と接する第2の窒化物半導体層2は一定以上の厚さが必要である。よって、第2の窒化物半導体層2の厚さは、例えば、10nm以上50nm以下が望ましい。
【0029】
ソース電極11は、第1の絶縁層13と第2の窒化物半導体層2の間に設けられ、第2の窒化物半導体層2と電気的に接続されている。ソース電極11は、ソース配線24を介してソースパッド7と接続されている。ソース電極11は、例えば、オーミック性の金属である。金属は、例えば、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、金(Au)の積層構造である。
【0030】
ドレイン電極8は、第1の窒化物半導体層1上に設けられ、第1の窒化物半導体層1と電気的に接続されている。ドレイン電極8は凸部を有し、凸部は第1の窒化物半導体層1に埋め込まれている。ドレイン電極8の凸部は、第1の窒化物半導体層1と第2の窒化物半導体層との界面に向かって伸びていることが望ましい。ドレイン電極8とチャネルとの導通を向上させるために、ドレイン電極8の凸部は第1の窒化物半導体層1と第2の窒化物半導体層2の界面近傍に位置しているとよい。ドレイン電極8は、例えば、オーミック性の金属である。金属は、例えば、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、金(Au)の積層構造である。
【0031】
ゲート電極12は、ゲート絶縁層5と第1の絶縁層13との間にあり、第1の絶縁層13の内部に埋め込まれている。ゲート電極12は、ゲート配線25を介してゲートパッド9と電気的に接続されている。ゲート電極12は、例えば、金属である。金属は、例えば、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、窒化チタン(TiN)のいずれか、またはこれらの積層構造である。
【0032】
ゲート電極12は第1の絶縁層13の内部に埋め込まれているため、ソース電極11とゲート電極12の間には第1の絶縁層13の一部がある。そのため、ソース電極11とゲート電極12は第1の絶縁層13により絶縁されている。
【0033】
第2の絶縁層10は、第1の窒化物半導体層1上に設けられる。第2の絶縁層10は、半導体装置100の耐圧向上の程度を考慮して任意の絶縁体を用いると良い。例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、ケイ酸アルミニウムなどである。また、第2の絶縁層10は、これらの絶縁体からなる互いに異なる2つ以上の材料の層が複数積層されている構造であってもよい。第1の窒化物半導体層1のチャネルから第1の窒化物半導体層1の外にキャリアが漏出するのを防ぐため、第2の絶縁層10の厚さは、例えば、10nm以上1μm以下が望ましい。
【0034】
第2絶縁層10は、第1絶縁層13と同様、窒化物半導体層に比べて、バンドギャップが広いため、半導体装置100の耐圧を向上させることができる。また、第2絶縁層10は、チャネルの電子をトラップすることがないため、半導体装置100の電流コラプスを低減することができる。
【0035】
ソースパッド7は、ソース配線を介してソース電極11と電気的に接続している。ソースパッド7は、例えば、金属よりなる。ソースパッド7は、例えば、チタン(Ti)/金(Au)、チタン(Ti)/白金(Pt)/金(Au)、チタン(Ti)/アルミニウム(Al)/ニッケル(Ni)/金(Au)等の積層構造である。
【0036】
ゲートパッド9は、ゲート配線を介してゲート電極12と電気的に接続している。ゲートパッド9は、例えば、金属よりなる。ゲートパッド9は、例えば、チタン(Ti)/金(Au)、チタン(Ti)/白金(Pt)/金(Au)、チタン(Ti)/アルミニウム(Al)/ニッケル(Ni)/金(Au)等の積層構造であってよい。
【0037】
ソース配線はソース電極11とソースパッド7を接続している。ソース配線は、例えば、チタン(Ti)/金(Au)、チタン(Ti)/白金(Pt)/金(Au)、チタン(Ti)/アルミニウム(Al)/ニッケル(Ni)/金(Au)等の積層構造である。
【0038】
ゲート配線はゲート電極12とゲートパッド9を接続している、ゲート配線は例えば、チタン(Ti)/金(Au)、チタン(Ti)/白金(Pt)/金(Au)、チタン(Ti)/アルミニウム(Al)/ニッケル(Ni)/金(Au)等の積層構造である。
【0039】
ソース配線とゲート配線の間には第2の絶縁層10があるため、ソース配線とゲート配線は第2の絶縁層10により絶縁されている。
【0040】
ソース電極11とゲート電極12は絶縁層により半導体装置100の内部に埋め込まれているが、ソース電極11はソースパッド7と電気的に接続し、ゲート電極12はゲートパッド9に電気的に接続されているため、ソースパッド7とゲートパッド9は半導体装置100のドレイン電極8と同じ側に位置している。よって、半導体装置100は、半導体装置100の片面でソースパッド7、ゲートパッド9、ドレイン電極8に配線を接続することができる。
【0041】
なお、ゲート電極12の一部が第1の窒化物半導体層1と接触し、ショットキー接合としても良い。
【0042】
以下に、半導体装置100の動作について説明する。
【0043】
第1の窒化物半導体層1と第2の窒化物半導体層2の界面付近において、第1の窒化物半導体層1には2次元電子ガス層が形成される。図1の長二点鎖線は2次元電子ガスが存在する位置を示す。ゲート電極12に電圧が印加されていない場合、第1の窒化物半導体層1には2次元電子ガス層が常に存在しているため、半導体装置100はノーマリオントランジスタである。
【0044】
チャネルの電子の流れを止めて、半導体装置100をオフ状態とするために、ゲート電極12に負の電圧を印加する。すなわち、ゲート電極12に負の電圧を印加すると、第1の窒化物半導体層1と第2の窒化物半導体層2の界面のバンド構造が持ち上がり、2次元電子ガスが空乏化する。そのため、第1の窒化物半導体層1のチャネルの電子の流れを止めることができる。
【0045】
図2を用いて、以下に、半導体装置100の製造方法の一例について説明する。
【0046】
まず、図2(a)に示すように、Siなどの基板21上に、例えばAlNなどの第1のバッファ層22を介して、例えばAlGaNなどの第2のバッファ層23を形成する。さらに、第2のバッファ層23上に、チャネル層である第1の窒化物半導体層1と電子供給層である第2の窒化物半導体層2を形成する。第1のバッファ層22と第2のバッファ層23は、従来は絶縁性を備えた厚膜の耐圧バッファ層を用いる必要があるが、本実施形態では絶縁性を備える必要は無く、薄くても良い。各層の形成にはMOCVD装置を用いる。
【0047】
第2の窒化物半導体層2上にCVD法やALD(原子層堆積)法等でゲート絶縁層5を形成し、さらにゲート絶縁層5上にスパッタリングや蒸着法等でゲート電極12を形成する。ゲート絶縁層5の一部を除去し、第2の窒化物半導体層2を露出させ、その第2の窒化物半導体層2上にスパッタリングや蒸着法等でソース電極11を形成する。また、ソース電極11を形成後に、CVD法で、ソース電極11上に絶縁層を形成し、さらにその絶縁層上にゲート電極12と接続されるゲート配線の一部を形成する。そして、ゲート電極12、ソース電極11、ゲート絶縁層5、およびゲート配線の一部を覆うように層間絶縁層4を形成する。層間絶縁層4の堆積速度を調整する、または研磨等により、層間絶縁層4の上面は平坦にする。
【0048】
次に、図2(b)に示すように、基板21とは異なる基板6を用意する。基板6上にCVD法で接合絶縁層3を形成する。接合絶縁層3は他の絶縁層と接合するために用いられる層であるが、上述した層間絶縁層13と同様の材料を用いて良い。そして、図2(b)に示すように、接合絶縁層3と層間絶縁層4を接合する。接合絶縁層3と層間絶縁層4の接合は、真空中、150℃の温度下で、接合絶縁層3と層間絶縁層4に圧力をかけて行われる。
【0049】
次に、図2(c)に示すように、基板21、第1のバッファ層22と第2のバッファ層23を除去する。除去は、まず、基板21を研削やドライエッチング、ウェットエッチング等で除去する。基板21を除去後に、第1のバッファ層22と第2のバッファ層23をウェットエッチングもしくはドライエッチングによって除去し、第1の窒化物半導体層1のN極性面を露出させる。
【0050】
次に、図2(d)に示すように、第1の窒化物半導体層1のN極性面の一部を除去し、ドレイン電極8を埋め込む。第1の窒化物半導体層1の上面と、第1の窒化物半導体層1の一部側面を覆うように第2の絶縁層10を形成する。ソースパッド7とソース配線24をスパッタリングで形成し、ソース配線を介して、ソースパッド7とソース電極11の露出している部分を接続させる。また、ソースパッド7の一部が第2の絶縁層10の上面に露出するようにしながら、ソースパッド7を絶縁層で覆う。次に、ゲートパッド9とゲート配線をスパッタリングで形成し、ゲートパッド9とゲート配線の一部の露出している部分とを接続させる。
【0051】
半導体装置100の製造工程で、第1の窒化物半導体層1上にあった、第1のバッファ層22や第2のバッファ層23は除去され、半導体装置100の第1の窒化物半導体層1上に第2絶縁層10が設けられる。
【0052】
(第2の実施形態)
図3に半導体装置101を示す。
【0053】
図1の半導体装置100と同様の部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0054】
半導体装置101は、ゲート絶縁層5を介して、凹部を有する第2の窒化物半導体層2に埋め込まれたゲート電極12bを備えたノーマリオフトランジスタである。
【0055】
ゲート電極12bは、第2の窒化物半導体層2と基板6の間にあり、第1の絶縁層13に埋め込まれている。第2の窒化物半導体層2は凹部を有し、ゲート電極12bは、ゲート絶縁層5を介して、前記凹部の中に存在する。ゲート電極12bは、ゲートパッド9と接続されている。
【0056】
ゲート電極12bは、例えば、金属である。金属は、例えば、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、窒化チタン(TiN)のいずれか、またはこれらの積層構造である。なお、第1の窒化物半導体層1のチャネルからゲート電極12bにキャリアが漏出するのを防ぐために、ゲート絶縁層5の厚さは10nm以上50nm以下が望ましい。
【0057】
以下に、半導体装置101の動作について説明する。
【0058】
第1の窒化物半導体層1と第2の窒化物半導体層2の界面付近において、第1の窒化物半導体層1には2次元電子ガス層が形成される。図1の長二点鎖線は2次元電子ガスが存在する位置を示す。ゲート電極12b上の第2の窒化物半導体層2の厚さは薄いため、この部分に重なる第1の窒化物半導体層1に存在する2次元電子ガス層の濃度は低い。したがって、半導体装置101の閾値電圧は向上する。ゲート配線12bに電圧を印加していない状態では、半導体装置101はノーマリオフである。
【0059】
ゲート電極12bに正の電圧を印加した場合、ゲート電極12b上の第1の窒化物半導体層1は電子が誘起される蓄積状態となる。そのため、蓄積状態で誘起された電子と、第1の窒化物半導体層1と第2の窒化物半導体層2の界面で存在する2次元電子ガス層が連結する。したがって、図3の点線で示した矢印方向に電子が流れる。よって、半導体装置101はFETとして動作する。
【0060】
なお、第2の半導体層2に設けられた凹部の底部は第1の半導体層1に達し、ゲート電極12bは、ゲート絶縁層5を介して、第1の窒化物半導体層1に埋め込まれていてもよい。
【0061】
以上により、半導体装置101は、ゲート絶縁層5を介して、第2の窒化物半導体層2に埋め込まれたゲート電極12bをさらに備えることにより、ノーマリオフトランジスタとなる。
【0062】
半導体装置101は、耐圧バッファ層の代わりに第1の絶縁層13を備えている。したがって、半導体装置101の耐圧を向上させることが可能である。また、第1の絶縁層13はチャネルから漏出した電子をため込んだり通過させたりしないため、チャネルから第1の絶縁層13に電子が漏出することを防ぐことが可能であり電流コラプスを低減させることが可能である。また、半導体装置101は第2の半導体層2に凹部を有し、この凹部にゲート電極12bが埋め込まれているためノーマリオフ動作させることができる。
【0063】
半導体装置101は下記の点以外は、第1の実施形態の半導体装置100の製造方法と同様に製造することができる。
【0064】
半導体装置101の製造においては、図2(a)に示した、第2の窒化物半導体層2上にゲート絶縁層5を積層する工程の前に、第2の窒化物半導体層2に凹部を形成する。そして、凹部に沿ってゲート絶縁層5を積層し、さらに凹部のゲート絶縁層5上にゲート電極12を形成する。
【0065】
(第3の実施形態)
図4に半導体装置102を示す。
【0066】
図1の半導体装置100と同様の部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0067】
半導体装置102は、第3の窒化物半導体層20をさらに備える。
【0068】
第3の窒化物半導体層20は、第1の窒化物半導体層1上にあり、ゲート絶縁層5、第1の窒化物半導体層1、および第2の窒化物半導体層2を間に挟んで、ゲート電極12と対向する。第3の窒化物半導体層3は、例えば、窒化アルミニウムガリウム(Alx3Ga(1−x3)N、0≦x3<1)である。第3の窒化物半導体層20は、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)または窒化ガリウム(GaN)である。
【0069】
第3の窒化物半導体層20がAlGaNである場合、第3の窒化物半導体層20は、意図的に不純物をドープしていないi‐AlGaN、またはp型のp‐AlGaNである。i‐AlGaNは、不純物濃度が1×1021cm−3以下である。p‐AlGaNのp型不純物は、例えば、マグネシウム、カーボン等である。p‐AlGaNのp型不純物濃度は、例えば、1×1018cm−3以上1×1021cm−3以下である。
【0070】
第3の窒化物半導体層20がGaNである場合、p‐GaNである。p‐GaNのp型不純物は、例えば、マグネシウム(Mg)、炭素(C)等である。p‐GaNのp型不純物濃度は、例えば、1×1018cm−3以上1×1021cm−3以下である。
【0071】
第3の窒化物半導体層20がゲート電極12と対向する位置にあることで、ゲート配線12上にあるAlGaN/GaNヘテロ界面のバンド構造が持ち上がり、2次元電子ガスが空乏化する。それによりノーマリオンである半導体装置102をノーマリオフとすることが可能である。また、ゲート電極12上にあるAlGaN/GaNヘテロ界面のバンド構造が持ち上がるため、半導体装置102の閾値を向上させることが可能である。さらに、ゲート電極12に正電圧を印加してバンド構造が下がることで、チャネルに2次元電子ガスを流すことでき半導体装置102を動作させることが可能である。
【0072】
なお、第1の窒化物半導体層1と第2の窒化物半導体層2の界面の全面でバンド構造が持ち上がることを防ぐため、第3の窒化物半導体層20は、第1の窒化物半導体層1の上面の全面に残すのではなく、ゲート電極12と対向する位置に部分的に残す。
【0073】
以上のように、半導体装置102は、第1の実施形態と同様、耐圧の向上及び電流コラプスの低減を図ることができる。また、第3の窒化物半導体層20を第1の窒化物半導体層1上に設け、さらにゲート電極12と対向させることで、ゲート電極12上にあるAlGaN/GaNヘテロ界面のバンド構造が持ち上がり、半導体装置102をノーマリオフとすることが可能である。
【0074】
半導体装置102は、下記の点以外は、第1の実施形態の半導体装置100の製造方法と同様に製造することができる。
【0075】
図1の工程において、第2のバッファ層23と第2の窒化物半導体層2の間に第3の窒化物半導体層20のもととなる窒化物半導体層を形成しておく。
【0076】
図2(c)の工程において、第3の窒化物半導体層20のもととなる窒化物半導体層は全て除去するのではなく、パターニングしたレジストをマスクとしてゲート電極12と対向する部分のみを残す。パターニングした絶縁膜をマスクと用いても良い。この残した部分が第3の窒化物半導体層20となる。その後に、第1の窒化物半導体層1上に第2の絶縁膜10を形成する。
【0077】
また、第3の窒化物半導体層20のもととなる窒化物半導体層を予め形成しないで、第2のバッファ層の一部を残して第3の窒化物半導体層20としてもよい。その場合、第2の窒化物半導体層2上にある第2のバッファ層23は全て除去するのではなく、パターニングしたレジストをマスクとしてゲート電極12と対向する部分のみを残す。パターニングした絶縁膜をマスクと用いても良い。この部分のバッファ層23が第3の窒化物半導体層20となる。その後に、第1の窒化物半導体層1上に第2の絶縁膜10を形成する。
【0078】
(第4の実施形態)
図5に半導体装置103を示す。
【0079】
図1の半導体装置100と同様の部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0080】
半導体装置103は、ドレイン電極8aと領域30をさらに備える。
【0081】
ドレイン電極8aは、第1の窒化物半導体層1上に設けられる。上述した図1のドレイン電極8と異なり、ドレイン電極8aは第1の窒化物半導体層1に埋め込まれていない。ドレイン電極8aは、例えば、オーミック性の金属である。金属は、例えば、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、金(Au)の積層構造である。
【0082】
領域30は、第2の窒化物半導体層2と第1の窒化物半導体層1の内部にあり、ドレイン電極8aと第1の絶縁層13の間にある。領域30は、第2の窒化物半導体層2と第1の窒化物半導体層1にシリコン(Si)をイオン注入することで形成される。領域30の導電型はn型である。ドレイン電極8aとチャネルの間での2次元電子ガスの導通を向上させるために、領域30のn型不純物の濃度は1×1018cm−3以上1×1020cm−3以下が望ましい。または、面密度で、1×1014cm−2以上1×1016cm−2以下が望ましい。
【0083】
以上のように、半導体装置103は、第1の実施形態と同様、耐圧の向上及び電流コラプスの低減を図ることができる。また、ドレイン電極8aが第1の窒化物半導体層1に埋め込まれていない場合であっても、ドレイン電極8aと第1の絶縁層13の間に領域30が設けられることで、ドレイン電極8aとチャネルの間での導通を向上させることが可能である。
【0084】
半導体装置103は、下記の点以外は、第1の実施形態の半導体装置100の製造方法と同様に製造することができる。
【0085】
図2(a)工程の前、もしくは(c)及び(d)において、ドレイン電極8aを形成する部分の下にある第2の窒化物半導体層2にシリコンを(Si)をイオン注入する。よって、第1の窒化物半導体層1にn型の領域30が形成される。このとき、第1の窒化物半導体層1だけではなく、第2の窒化物半導体層2にシリコンのイオン注入をしてもよい。第1の窒化物半導体層1にシリコンをイオン注入した後に、第1の窒化物半導体層1上にドレイン電極8aと第2の絶縁層10を形成する。
【0086】
(第5の実施形態)
図6に半導体装置104を示す。
【0087】
図1の半導体装置100と同様の部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0088】
半導体装置104は、導電性基板40、ドレイン電極80、第1導電層50(ドレイン電極端子)、第2導電層90(ドレイン電極端子)をさらに備える。
【0089】
導電性基板40、第1導電層50、および第2導電層90をソースパッド7やゲートパッド9がある側とは反対側に設けることで、半導体装置104の裏面で導通を取ることが可能となる。
【0090】
半導体層104は、第1導電層50上に、導電性基板40、第2導電層90、第1の絶縁層13の順に積層される構造を有する。なお、ここでは層間絶縁層4が第1の絶縁層13に含まれる。
【0091】
ドレイン電極80は、第2の窒化物半導体層2と第2導電層90の間にあって、第1の絶縁層13とゲート絶縁層5の内部に設けられる。ドレイン電極80は、金属であり、例えば、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、積層構造である。ドレイン電極80は、チャネルに流れる電子を第2導電層90に導通する。
【0092】
第2導電層90は、第1の絶縁層13と導電性基板40の間にある。第2導電層90は、金属であり、例えば、金(Au)や、金(Au)とスズ(Sn)の合金である。第2導電層90は、電子をドレイン電極80から導電性基板40に導通する。
【0093】
導電性基板40は、第2導電層90と第1導電層50の間にある。導電性基板40は、金属であり、例えば、銅(Cu)やアルミニウム(Al)である。導電性基板40は、電子を第2導電層90から第1導電層50に導通する。
【0094】
第1導電層50は、第2導電層90がある側とは反対側の導電性基板40に設けられる。第1導電層50は、金属である。金属は、例えば、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、金(Au)の積層構造である。
【0095】
以上のように、半導体装置104は、第1の実施形態と同様、耐圧の向上及び電流コラプスの低減を図ることができる。また、導電性基板40、ドレイン電極80、第2導電層90を設け、積層構造において、第1導電層50をソースパッド7やゲートパッド9がある側とは反対側に設けることで、半導体装置104の裏面で導通を取ることが可能である。これによって半導体装置104を作製する際に、第1導電層50の実装が簡略化される。
【0096】
半導体装置104は、下記の点以外は、第1の実施形態の半導体装置100の製造方法と同様に製造することができる。図2(a)において、第2の窒化物半導体層2上にゲート絶縁層5と層間絶縁層4を積層した後、ゲート絶縁層5と層間絶縁層4の一部を除去して第2の窒化物半導体層2を露出させる。第2の窒化物半導体層2が露出した部分にドレイン電極80を形成する。
【0097】
また、図2(b)において、基板6の代わりに導電性基板40を用意する。図2(a)で作成した積層体を導電性基板40に接合する前に、導電性基板40上に第2導電層90を積層しておく。さらに、導電性基板40の第2導電層90がある側とは反対側に、第1導電層50を形成しておく。
【0098】
(第6の実施形態)
図7に半導体装置105を示す。
【0099】
図1の半導体装置100と同様の部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0100】
半導体装置105は、基板6にソースパッド60とゲートパッド70を備える。
【0101】
ソースパッド60は、第1の絶縁層13がある側とは反対側の基板6に設けられ、ソース配線を介してソース電極11aと接続している。ソースパッド60およびソース配線は、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)等である。
【0102】
ゲートパッド70は、第1の絶縁層13がある側とは反対側の基板6に設けられる。またゲートパッド70は、ゲート配線を介してゲート電極12aと接続している。ゲートパッド70およびゲート配線は、例えば、金属である。金属は、例えば、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、窒化チタン(TiN)のいずれか、またはこれらの積層構造である。
【0103】
以上のように、半導体装置105は、第1の実施形態と同様、耐圧の向上及び電流コラプスの低減を図ることができる。また、積層構造において、ソースパッド60とゲートパッド70をドレイン電極8がある側とは反対側に設けることで、半導体装置105の裏面で導通を取ることが可能である。
【0104】
半導体装置105は、下記の点以外は、第1の実施形態の半導体装置100の製造方法と同様に製造することができる。
【0105】
図2(a)において、ゲート電極12と接続したゲート配線25の一部は形成しないでおく。
【0106】
図2(c)において、ソース電極11とゲート電極12の対抗する、基板6の一部と第1の絶縁層13の一部を除去して、ソース電極11とゲート電極12を露出させる。基板6側から金属を積層して、ソース電極11と接続したソース配線24a、ソースパッド60、ゲート電極12と接続したゲート配線、ゲートパッド70のそれぞれを形成する。基板6にソース配線、ソースパッド60、ゲート配線、ゲートパッド70を形成しておき、接合によってそれぞれソース電極11、ゲート電極12と接続しても良い。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、説明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0108】
1 第1の窒化物半導体層
2 第2の窒化物半導体層
3 接合絶縁層
4 層間絶縁層
5 ゲート絶縁層
6 基板
7 ソースパッド
8、8a ドレイン電極
9 ゲートパッド
10 第2の絶縁層
11、11a ソース電極
12、12a ゲート電極
13 第1の絶縁層
20 第3の窒化物半導体層
21 基板
22 第1のバッファ層
23 第2のバッファ層
30 領域
40 導電性基板
50 第1導電層
60 ソースパッド
70 ゲートパッド
80 ドレイン電極
90 第2導電層
100〜105 半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7