(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に示すような本発明の実施形態を参照しながら本発明を詳細に説明する。「1つの実施形態」、「ある実施形態」、「例示的な実施形態」、などについての言及は、説明する実施形態がある特定の特徴、構造又は特性を含むことができるが、その特定の特徴、構造又は特性を必ずしも全ての実施形態が含むとは限らないことを示す。さらに、このような表現は、必ずしも同じ実施形態を参照するわけではない。さらに、ある実施形態に関連して特定の特徴、構造又は特性を説明する際には、明確に記載しているか否かに関わらず、このような特徴、構造又は特性を他の実施形態に関連して採用することも当業者の知識に含まれると考えられる。
【0013】
本開示は、舌クリーナ及び歯ブラシに関して説明するものであるが、組織洗浄キャンディ(tissue cleaning lollipop)などの他の口腔ケア用器具の形態も可能である。さらに、本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することも、構造的及び機能的修正を行うこともできると理解されたい。
【0014】
ここで、複数の図全体を通じて同様の要素を同様の参照文字によって示す図面を記述的に参照すると、ハンドルと洗浄領域とを図示しており、洗浄領域は、本明細書で説明する要素の1つ又は2つ以上を示す。
【0015】
図1には、口の口腔軟組織を洗浄する舌クリーナ100などの口腔ケア用器具を示す。このような口腔軟組織は、舌、歯茎(歯肉)、義歯、頬粘膜(唇及び頬の内側)、並びに口腔底を含むことができる。舌クリーナ100は、ハンドル110と、中間領域(ネック部)120と、組織洗浄部(ヘッド部)130とを含むことができる。
【0016】
ハンドル110は、長手方向軸Lを有することができ、ユーザが口腔軟組織を洗浄するために舌クリーナ100を操作してユーザの口の至る所に組織洗浄部130を動かせるようにする把持部を提供することができる。ハンドル110は、ユーザの体験を高めるように様々な異なる形状、様々な異なる構造を有することができ、様々な異なる材料から製造することができる。
【0017】
中間領域120は、ハンドル110を組織洗浄部130に連結する。中間領域120は、組織洗浄部130をハンドル110の長手方向軸の下方に延長することができる。中間領域120は、ハンドル110との間に鈍角を形成することによって、組織洗浄部130をハンドル110の長手方向軸の下方に配置する。この延長部は、組織洗浄部130と洗浄すべき表面(例えば、舌)との間の接触角の変更を可能にすることができる。例えば、洗浄中に舌が凹形状を示す場合、中間領域120が、組織洗浄部130と舌とをより良好に接触させるのに役立つ。組織洗浄部130は、ハンドル110によって形成される平面と実質的に平行な平面を形成することができる。或いは、中間領域120がハンドル110との間に鋭角を形成することもできる。他の実施形態では、組織洗浄部130を、ハンドル110によって形成される平面と実質的に平行な平面を形成することなく組織洗浄部130を口腔組織と実質的に接触させ続けるように修正することもできる。
【0018】
図1に示す組織洗浄部130は、ハンドル110又は中間領域120の幅よりも広く、ハンドル110の長手方向軸Lに対して垂直な方向に延び、従って舌クリーナ100に「T」字形状をもたらすことができる。或いは、組織洗浄部130をハンドル110又は中間領域120と同じ幅にすることも、或いはハンドル110又は中間領域120より狭くすることもできる。組織洗浄部130は、長手方向軸Lから離れる角度でハンドル110から離れて延びることができ、或いは長手方向軸Lから離れて湾曲することができる。組織洗浄部130の幅は、3mm〜50mmとすることができる。いくつかの実施形態では、組織洗浄部130の幅を約25mmとすることができる。他の実施形態では、組織洗浄部130の幅を約5mmとすることができる。組織洗浄部130の幅が狭いと、ユーザの口内での操作性が高まり、口の小さなユーザにとって使い易くなり、使用中に咽頭反射又は咽頭痙攣を引き起こす可能性を低下させることができる。
【0019】
図1に示すハンドル110は真っ直ぐな棒状であるが、ハンドル110及び中間領域120は、様々な異なるサイズ、形状(例えば、円形、湾曲形状、平坦な形状など)、又は仕上がり(例えば、滑らかな、畝のある、凹凸のある、艶消しされた、ギザギザの、凹状の、など)を有することができる。ハンドル110は、ユーザが自分の口内で舌クリーナ100を把持、制御及び/又は誘導できるように構成されたあらゆる形状とすることができる。舌クリーナ100は、一般に舌クリーナ100の使用時にユーザがハンドル110をその長手方向軸Lと実質的に平行な方向に動かせるように構成することができる。
【0020】
ハンドル110、中間領域120及び組織洗浄部130の各々は、ポリマー(例えば、プラスチック)、金属、セラミック、シリカ、結晶性固体、非晶質固体(例えば、ガラス)、有機系材料(例えば、木)などのあらゆる好適な材料で形成することができる。ハンドル110、中間領域120及び組織洗浄部130は、同じ材料又は異なる材料から製造することができる。いくつかの実施形態では、この材料が、ショアA0〜ショアD100のショア硬度のポリプロピレンである。この材料は、異なる硬度のポリプロピレンを含むこともできる。
【0021】
ハンドル110は、近位端112及び遠位端114を有することができ、中間領域120は、近位端122及び遠位端124を有することができる。ハンドル110の遠位端114は、中間領域120の近位端122に機械的に連結することができる。中間領域120の遠位端124は、組織洗浄部130に機械的に連結することができる。従って、ハンドル110は、組織洗浄部130に間接的に機械的に連結することができる。いくつかの実施形態では、中間領域120を使用せずにハンドル110を組織洗浄部130に直接機械的に連結することができる。ハンドル110の近位端112又は遠位端114のいずれかは、組織洗浄部130に機械的に連結するように構成することができる。舌クリーナ100は、単体とすることも、一体型とすることも、或いは複数の別個の取り外し自在に相互連結可能な部品で構成して、組織洗浄部130を1回又は2回の使用後に廃棄可能とすることもできる。
【0022】
図2は、舌クリーナ100の組織洗浄部130の側面図である。組織洗浄部130は、洗浄領域140と、収集領域150とを含む。洗浄領域140は、残渣を口腔組織からほぐすように構成され、収集領域150は、ほぐれた残渣を洗浄領域140から除去して収集するように構成される。収集領域150は、複数の収集基部を有することができる。収集基部は、同心閉曲線、多角形、列状、ブレード状などの様々な異なる形状を有することができる。収集基部は、長手方向軸Lに沿って連続的及び/又は順次的に整列することができる。
【0023】
1つの実施形態によれば、収集領域150が、先頭基部(leading base)151とも呼ばれる第1の収集基部151と、後続基部(trailing base)153とも呼ばれる第2の収集基部153という2つの基部を有することができる。先頭基部151は、ハンドル110の近位に存在し、ハンドル110の遠位に存在する後続基部153に機械的に連結される。先頭基部151及び後続基部153という用語は、舌クリーナ100の使用時に、ユーザが舌クリーナ100をハンドル110の長手方向軸Lと平行な方向に舌の後方から舌の前方に引っ張る際又は引きずる際に、どちらの基部151が他方の基部よりも前方に存在するかを示す。しかしながら、本開示は、このように限定されるものではない。ユーザは、舌クリーナ100を様々な方向(すなわち、前、後、左、右、斜めなど)に動かして口腔軟組織を洗浄することができる。
【0024】
先頭基部151は、第1の突出部141の列を支持してこれに機械的に連結される。第1の突出部141の列は波状面を有することができ、或いは換言すれば、第1の突出部141の列は、先頭基部151の底面152aから下向きに突出する複数の突出部141(例えば、歯)を含むことができる。先頭基部151は、横軸T1を有することができる。
【0025】
後続基部153は、第2の突出部143の列を支持してこれに機械的に連結される。第2の突出部143の列は波状面を有することができ、或いは換言すれば、第2の突出部143の列は、後続基部153の底面154aから下向きに突出する複数の突出部143(例えば、歯)を含むことができる。収集基部153は、横軸T2を有することができる。
【0026】
横軸T1及び横軸T2は、長手方向軸Lを含む平面上に転置すると、長手方向軸Lと実質的に直交する。
図2に示すように、軸T1及びT2は互いに実質的に平行であるが、T1とT2は、いずれも必ずしも長手方向軸Lと同じ空間平面内に存在するわけではない。
【0027】
先頭基部151は、軸T1と実質的に平行な2つの表面である先頭基部第1面152b及び先頭基部第2面152cを有する。後続基部153は、軸T2と実質的に平行な2つの表面である後続基部第1面154b及び後続基部第2面154cを有する。
【0028】
先頭基部151及び先頭列突出部(leading row protrusions)141は、後続基部153及び後続列突出部(trailing row protrusions)143に比べてハンドルの近位に存在することができる。突出部141及び143は、口腔残渣を口腔軟組織からほぐす洗浄領域140の一部である。基部151及び153は、ほぐれた口腔残渣を口腔軟組織から収集する収集領域150の一部と考えられる。
【0029】
図3は、個別に141−1〜141−nとして参照する先頭列突出部141、及び個別に143−1〜143−nとして参照する後続列突出部143の底面図である。各先頭列突出部141−1〜141−nは、
図2に示す3つの表面である先頭列突出部第1面142a、先頭列突出部第2面142b及び先頭列突出部接触面142cを有することができる。先頭列突出部第1面142aは、先頭列突出部接触面142cと交わって先頭列突出部第1接触端142dを形成する。先頭列突出部第1接触端142dは、曲率半径α1を有することができる。例えば、α1は、100ミクロン〜500ミクロンとすることができる。いくつかの実施形態では、先頭列突出部第1接触端142dを直角にすることができる。或いは、先頭列突出部第1接触端142dは、単一の曲率半径を有する代わりに、スウッシュ形状などの、各々が異なる曲率半径を有する複数の曲線を有することもできる。さらに、先頭列突出部第1接触端142dは、漸近曲線、正弦曲線、多項式曲線、指数曲線、対数曲線などを有することもできる。先頭列突出部第1面142aは、先頭基部第1面152bに続くことができ、これらの2つの平面によって形成される角度は180度であるが、いくつかの実施形態では、この角度を180度超又は180度未満とすることもできる。先頭列突出部第1面142aの表面と先頭列突出部第2面142bの表面は、先頭列突出部第1接触端142dの曲面を除いて平行な平面とすることができる。
【0030】
先頭列突出部第2面142bは、先頭列突出部接触面142cと交わって先頭列突出部第2接触端142eを形成し、これらの2つの面によって形成される角度は実質的に直角である。いくつかの実施形態では、先頭列突出部第2接触端142eが直角ではない。例えば、α2は、500ミクロン以下とすることができる。或いは、先頭列突出部第2接触端142eは、単一の曲率半径を有する代わりに、スウッシュ形状などの、各々が異なる曲率半径を有する複数の曲線を有することもできる。さらに、先頭列突出部第2接触端142eは、漸近曲線、正弦曲線、多項式曲線、指数曲線、対数曲線などを有することもできる。先頭列突出部第2面142bは、先頭基部第2面152cに続くことができ、これらの2つの平面によって形成される角度は180度であるが、いくつかの実施形態では、この角度を180度超又は180度未満とすることもできる。
【0031】
各後続列突出部143−1〜143−nは、
図2に示す3つの表面である後続列突出部第1面144a、後続列突出部第2面144b及び後続列突出部接触面144cを有することができる。後続列突出部第1面144aは、後続列突出部接触面144cと交わって後続列突出部第1接触端144dを形成する。後続列突出部第1接触端144dは、曲率半径β1を有することができる。例えば、β1は、500ミクロン以下とすることができる。いくつかの実施形態では、後続列突出部第1接触端144dを直角にすることができる。或いは、後続列突出部第1接触端144dは、単一の曲率半径を有する代わりに、スウッシュ形状などの、各々が異なる曲率半径を有する複数の曲線を有することもできる。さらに、後続列突出部第1接触端144dは、漸近曲線、正弦曲線、多項式曲線、指数曲線、対数曲線などを有することもできる。後続列突出部第1面144aは、後続基部第1面154bに続き、これらの2つの平面によって形成される角度は180度であるが、いくつかの実施形態では、この角度を180度超又は180度未満とすることもできる。後続列突出部第1面144aの表面と後続列突出部第2面144bの表面は、後続列突出部第1接触端144dの曲面を除いて平行な平面とすることができる。
【0032】
後続列突出部第2面144bは、後続列突出部接触面144cと交わって後続列突出部第2接触端144eを形成し、これらの2つの面によって形成される角度は実質的に直角である。いくつかの実施形態では、後続列突出部第2接触端144eが直角ではない。例えば、β2は、500ミクロン以下とすることができる。或いは、後続列突出部第2接触端144eは、単一の曲率半径を有する代わりに、スウッシュ形状などの、各々が異なる曲率半径を有する複数の曲線を有することもできる。さらに、後続列突出部第2接触端144eは、漸近曲線、正弦曲線、多項式曲線、指数曲線、対数曲線などを有することもできる。後続列突出部第2面144bは、後続基部第2面154cに続き、これらの2つの平面によって形成される角度は180度であるが、いくつかの実施形態では、この角度を180度超又は180度未満とすることもできる。
【0033】
いくつかの実施形態では、先頭列突出部141の曲率半径α1が、後続列突出部143の曲率半径β1よりも大きい。α1の方が大きな曲率半径を有するので、ユーザが舌クリーナ100を舌に沿って引っ張って又は引きずっている間、突出部141の方がより滑らかにユーザの舌に当たるように感じる。β1は、さらに小さな曲率半径、さらにはより良好な洗浄面をもたらす直交端を有することもできる。先頭列突出部141の大きな曲率半径は、舌の感覚を部分的に鈍らせ、後続列突出部143上の小さな曲率半径β1に起因する刺激を抑えるのに役立つ。先頭基部151及び突出部141は、突出部143が口腔軟組織に自由に食い込むことができないように、口腔軟組織の動きの自由度を抑制することもできる。換言すれば、突出部141は、口腔軟組織を圧迫して、突出部143と口腔軟組織との間の最大接触を制限する。
【0034】
いくつかの実施形態では、先頭基部第2面152cと後続基部第1面154bとが平行な平面を形成する。他の実施形態では、先頭基部第2面152cと後続基部第1面154bとが平行な平面を形成しなくてもよい。例えば、先頭列突出部第2接触端142eが直角でなくてもよく、後続列突出部第1接触端144dが直角でなくてもよく、先頭列突出部第2面142bが先頭基部第2面152cと180度で交わらなくてもよく、或いは後続列突出部第1面144aが後続基部第1面154bと180度で交わらなくてもよい。
【0035】
図4は、舌クリーナ100の背面図である。先頭列突出部141及び後続列突出部143は、突出部141及び143の自由端が三角形の頂点を形成するギザギザの三角形鋸歯形状を有することができる。突出部141及び143は十分な角度を有し、従ってジグザグ状の波形を形成することができる。突出部141及び143の先端の角度、並びに突出部141間及び143間の角度は、約90度とすることができる。或いは、先端の角度及び/又は突出部間の角度は、90度超又は90度未満とすることもできる。突出部141及び143は、円形、扇形、湾曲形又は他のいずれかの好適な形状、或いは異なる形状の組み合わせとすることもできる。好適な突出部形状は、突出部がユーザの口腔軟組織から残渣をほぐせるようにするあらゆる形状である。突出部141及び143は、先頭基部151又は後続基部153からそれぞれ突出する(例えば、円錐形の)個々の隆起又は塊とすることもできる。
【0036】
1又は2以上の後続列突出部143は、長手方向軸Lに沿って(すなわち、ハンドルから下って)見た時に先頭列突出部141間に1又は2以上の後続列突出部143が見えるように、先頭列突出部141のうちの1つ又は2つ以上からオフセット又は位置ずれすることができる。例えば、先頭基部151の各突出部141は、後続基部153の隣接する突出部143間の中心に存在することができる。
図5は、先頭列突出部141及び後続列突出部143の詳細図である。或いは、いくつかの実施形態では、1又は2以上の後続列突出部143が、長手方向軸Lに沿って見た時に1又は2以上の後続列突出部143が見えないように1又は2以上の先頭列突出部141の真後ろに位置することもできる。突出部141が突出部143からオフセットしている時には、突出部141及び突出部143が口腔軟組織の異なる部分を洗浄することができる。例えば、先頭基部151の突出部141がユーザの舌の部分を洗浄し、後続基部153の突出部143が、先頭基部151によって洗浄されなかったユーザの舌の部分を洗浄することができる。
【0037】
図6は、収集領域150の収集基部151及び153の底面を凸曲面で形成できる組織洗浄部130の例示的な実施形態の背面図である。従って、中心の突出部141は、先頭基部151の周辺の突出部141よりも低く、又はハンドルからさらに延びることができる。
図7Bは、底面が凸曲面である収集領域150の側面図である。中心の突出部141及び143は、先頭基部151及び153の周辺の突出部141及び143よりもハンドルからさらに延びている。基部151及び153の曲率は、ユーザが組織洗浄部130によって圧力を加えた時に舌が基部151及び153の曲率に容易に適合することによって、突出部がユーザの舌を洗浄する効果を高めるのに役立つ。
図6には、突出部141を先頭基部151に沿って互いに離間できることをさらに示す。
【0038】
洗浄領域140の突出部141及び143は、突出部141及び143が口腔組織から残渣をほぐし、収集領域150がほぐれた残渣を洗浄領域140から除去して収集できるように構成された高さ及び幅を有することができる。例えば、突出部141及び143は、横軸T1及びT2に沿って測定した時に少なくとも0.8mmの幅を有することができる。突出部141及び143の高さは、例えば少なくとも0.5mmとすることができる。突出部141及び143は、収集基部151及び153に沿った隣接する突出部141間及び143間に、収集基部151及び153による残渣の収集を向上させる間隔を有することができる。例えば、隣接する突出部141及び143は、0mm〜3mmとすることができる。通常、口内の軟組織は滑らかでなく、多くの異なる表面及び形状を含む。例えば、舌は、有郭乳頭、葉状乳頭、茸状乳頭及び糸状乳頭という4つの異なるタイプの舌乳頭を含む。これらの乳頭の各々は、舌の上で異なる形状、高さ、幅及び間隔を有する。毛細血管及び神経受容体(例えば、侵害受容体、機械刺激受容体、圧受容体など)の位置も、口腔軟組織の場所によって異なる。突出部141及び143は、残渣を除去して舌を洗浄し、痛覚の侵害受容体を最小限しか刺激しないように、乳頭間に理想的に適合する歯間乳頭形状を有することができる。例えば、突出部の先端の角度、突出部間の角度、突出部の高さ、突出部の幅、及び隣接する突出部間の間隔は、突出部がユーザの舌の舌乳頭間に適合し、口腔軟組織上の残渣をほぐして収集できるようにするものである。
【0039】
1つの列上の2つの隣接する突出部間の高さ、幅及び間隔は異なって、ユーザに同じ列上の様々な異なる突出部サイズを提供することができる。同様に、2つの隣接する突出部間の高さ、幅及び間隔は、先頭列突出部141と後続列突出部143との間で異なることもできる。第1の収集基部151上に見られる突出部の数が、第2の収集基部153上の突出部の数と異なることもできる。
【0040】
組織洗浄部130は、変動する様々な変数によって生じる「柔らかさ」を有することができる。
図2に示すように、この柔らかさ変数は、先頭列突出部第2接触端142eと後続列突出部第1面144aとの間の最短距離である距離d1、曲率半径α1、α2、β1、β2、先頭列突出部141を構成するために使用する材料及び仕上げ、並びに後続列突出部143を構成するために使用する材料及び仕上げを含むことができる。1又は2以上の柔らかさ変数を修正して、ユーザの個人的な好みに合う所望の「柔らかさ」の口腔ケア用器具を形成することができる。距離d1は、500ミクロン〜5000ミクロンとすることができ、α1は、100ミクロン〜500ミクロンとすることができ、α2/β1/β2は、全て500ミクロン以下であり、材料は、ショアA0〜ショアA90のショア硬度を有するポリマーである。いくつかの実施形態では、距離d1を5000ミクロン超とすることもできる。曲率半径α1を大きくすると、器具の柔らかさが増す。曲率半径α2、β1及びβ2を大きくしても、器具の柔らかさが増す。他の変数にもよるが、多くの場合は距離d1を小さくすると柔らかさが増す。当業者であれば、これらの値は、所望の口腔組織の洗浄、ユーザの好み及びユーザの種(例えば、人間、ネコ科、イヌ科、ウマ科、ウシ科、ブタ科、ゾウ科など)を目的として調整されるので、これらの値は多くの考えられる柔らかさ変数の組み合わせの1つであり、他の変数の組み合わせも本開示の一部と考えられていると理解するであろう。柔らかさ変数は、異なる乳頭の異なる形状、高さ、幅及び間隔に基づいて変動することもできる。柔らかさ変数は、先頭列突出部141の長さに沿った地点によって変動することもでき、後続列突出部143の長さに沿った地点によって変動することもできる。
【0041】
柔らかさ変数は、開示する口腔ケア用器具の多くの異なる用途に合わせて変動することができるので、ハンドル110、中間領域120及び組織洗浄部130も同様に適合させることができる。例えば、人間以外の用途のためのいくつかの実施形態では、所望の動物の口腔組織に十分かつ快適に到達できるようにハンドル110及び中間領域120を伸長又は短縮させることができる。組織洗浄部130は、パドル形状に平板化することもでき、これについては
図10を参照されたい。パドル形状の組織洗浄部130は、第1の面と、第1の面の反対側の第2の面とを有することができ、収集基部151及び153は第1の面から延びることができる。いくつかの実施形態では、平らなパドル形状を湾曲させることもできる。他の実施形態では、組織洗浄部130を円筒形、球形、円環形、円錐形又はその他の形状に丸めて、突出部が表面の少なくとも一部を覆うようにすることもできる。例えば、円筒形の組織洗浄部は、円筒形の外面に沿った突出部を有することができる。
【0042】
舌クリーナ100は、ユーザが舌の表面にわたって舌クリーナ100を誘導した時に収集領域150からほぐれた残渣を収集する溝156をさらに含むことができる。溝156は、隣接する基部151と153との間に配置することができる。或いは、舌クリーナ100は、複数の基部を含む場合には、隣接する基部間に配置された複数の溝を含むこともできる。
図2に、先頭基部第2面152cと後続基部第1面154bとを連結する溝156を示す。溝156の断面は、半円形、三角形及び多角形などの様々な異なる形状を有することができる。溝156は、組織洗浄部130の幅にわたって延びることができ、組織洗浄部130内に配置することができる。ユーザは、舌クリーナ100を使用していない時に、収集された残渣を溝156から除去することができる。
【0043】
図3には、溝156を横軸T3に沿った真っ直ぐなものとして示しているが、溝156は、曲線形状、傾斜した形状などの様々な異なる形状を有することができる。溝156は、組織洗浄部130の幅に沿って異なる幅を有することができる。溝156の曲率及び形状は、舌クリーナ100の使用中における残渣の収集及び排出のされ方に影響を与える。例えば、溝156がハンドル110に対して凸状になった曲線を有する場合には、組織洗浄部130をハンドル110の方向に動かした時に、組織洗浄部130が溝156の周辺部158からより多くの残渣を排出することができる。残渣を排出することにより、舌の洗浄における後続列突出部143の効果が高まる。溝156がハンドル110に対して凹状になった一般的曲率を有する場合には、組織洗浄部130が溝内により多くの残渣を保持することができ、舌クリーナ100のすすぎ又は洗浄を行うことによって舌クリーナ100から残渣を除去することができる。溝156の深さは、組織洗浄部130の横軸T3に沿って変化して、溝156の周辺部158付近では深く、中心付近では浅くなるように、或いはこの逆であるように不均一にすることもできる。
【0044】
図7Aは、角度の付いた溝156を有する舌クリーナ100の例示的な実施形態の底面図である。突出部141及び143の形状及びサイズ(例えば、高さ、幅、長さ)は、角度の付いた溝156の形状に基づいて異なることができる。例えば、
図7Bの組織洗浄部130の側面図に示すように、突出部141は、先頭列突出部141の端部から先頭列突出部141の中心に向かって長さ(すなわち、ハンドル110の長手方向Lにおける歯の長さ)を増すことができる。これとは逆に、後続列突出部143の各突出部143は、後続列突出部143の端部から後続列突出部143の中心に向かって長手方向軸Lの方向の長さを減らすことができる。突出部141及び143は、
図7Aに示すように整列させることも、或いはオフセットさせることもできる。
図8は、湾曲した溝156を有する舌クリーナ100の例示的な実施形態の底面図である。
図7Aと同様に、第1の収集基部151の各突出部141は、先頭列突出部141の端部から先頭列突出部141の中心に向かって長手方向軸Lの方向の長さを減らすことができる。これとは逆に、第2の収集基部153の各突出部143は、後続列突出部143の端部から後続列突出部143の中心に向かって長さを増すことができる。
【0045】
図9は、湾曲した組織洗浄部130を有する舌クリーナ100の例示的な実施形態の底面図である。組織洗浄部130の収集基部151及び153は湾曲することができ、ハンドル110から両方向に離れて延びることができる。収集基部151及び153は、収集基部151と153との間に配置された湾曲した溝156を有することができる。
【0046】
図10は、組織洗浄部130を有する舌クリーナ100の例示的な実施形態の底面図である。組織洗浄部130は、円形、楕円形、四角形及び三角形などの同心閉曲線で形成された収集基部151及び153を含む。例えば、
図10には、先頭基部151を外円、後続基部153を内円として示す。先頭基部151の突出部141は、後続基部153の突出部143よりも大きな曲率半径を有することができる。従って、ユーザは、舌クリーナ100をあらゆる方向(すなわち、前、後、左、右、斜めなど)に動かして、先頭基部151を後続基部153の前方に保つことができる。溝156は、閉曲線に類似する形状を有することができ、収集基部151と153との間に配置することができる。例えば、
図10の溝156は円形である。
【0047】
図11に、歯ブラシヘッド302の背面上に組織洗浄部130が配置され、従ってユーザが同じ口腔用器具で歯磨きと舌洗浄とを行えるようにする歯ブラシ300を示す。歯ブラシヘッド302の前面304は、ユーザの歯を磨くための複数の毛状突起306を有することができる。背面308は、歯ブラシヘッド302の背面308から突出する、各々が複数の突出部を有する収集基部151、153などを有することができる。収集基部151、153などからは、歯ブラシヘッド302と同じ幅を有することができる先頭列突出部141及び後続列突出部143が突出することができる。
【0048】
図12には、電気エネルギーを振動又は音波衝撃に変換する、音波電動歯ブラシ本体などの容器400に連結された組織洗浄部130を示す。容器400は、組織洗浄部130に振動又は音波衝撃を伝えることができる。突出部141及び143は、受け取った衝撃/振動を口腔軟組織に伝えて口腔残渣をほぐし、その除去を容易にすることができる。各突出部141及び143は、振動又は衝撃の波動開始点の役割を果たすことができる。複数の突出部からの波動を用いて建設的及び破壊的干渉波パターンを形成し、残渣の除去をさらに容易にすることができる。突出部141及び143の間隔及びサイズ、並びに波形を変化させて、所望の干渉パターンを達成することができる。
【0049】
組織洗浄部130は、ユーザの舌の洗浄をさらに向上させるように、使用中に正又は負に帯電させることもできる。口及び舌は、多くの荷電粒子又は荷電溶液を含むことができる。歯石は、ほとんどがリン酸カルシウム塩で構成されているので正電荷を有する。歯の微生物フローラは酸性であり、正電荷を帯びた相当量の酸性残渣を生じる。従って、組織洗浄部130を負に帯電させた場合には、組織洗浄部130がユーザの口からより効果的に残渣を収集することができる。或いは、突出部141及び143が異なる電位を有することも、或いは突出部141及び143の異なる部分が異なる電位を有することもできる。異なる電位は、逆の電荷を含むことができる。例えば、舌から残渣を引き離すのに役立つように、先頭列突出部接触面142cは正の電荷を有することができ、先頭列突出部第1面142a及び先頭列突出部第2面142bは負の電荷を有することができる。信頼できる洗浄面を実現するために、様々な表面で電荷の強さを異ならせることもできる。
【0050】
組織洗浄部は、様々な異なる方法で帯電させることができる。例えば、舌クリーナ100は、電位を生じるように舌クリーナ100に埋め込まれた電源200(
図1を参照)及び電気配線を含むことができる。或いは、組織洗浄部130に使用する材料が電位を有することもできる。例えば、電位を帯びた食品等級の高分子電解質を用いて、プラスチックなどの材料を組織洗浄部130に配合することができる。この配合プラスチックは、電源を必要とすることなくプラスチック上で電位を伝搬又は生成することができる。食品等級の高分子電解質の例としては、ペクチン、カラギーナン、アルギン酸塩及びカルボキシメチルセルロースが挙げられる。
【0051】
いくつかの実施形態では、組織洗浄部130が、バクテリア及び口腔残渣の存在、ユーザの体温、及び口腔軟組織に対する組織洗浄部130の圧力などを検出するセンサを含むことができる。組織洗浄部130の製造において使用される材料の特性は、サーモクロミック特性、ハロクロミック特性、ピエゾクロミック特性などを含むことができ、所定の閾値に基づいて一定の基準の存在を示すことができる。この材料は、pHの変動が存在する場合に色又は透明度を変化させてバクテリアの存在を示すことができる。例えば、この材料は、pHに基づいて無色の形態から有色の形態に変化するロイコ染料を含むことができる。一般に残渣は酸性であるため、pHが変化すると材料に色の変化が生じるようになる。食品安全ハロクロミック材料の例としては、アントシアニン、アジサイ及びリトマスが挙げられ、これらは全て食用植物において発見される。
【0052】
いくつかの実施形態では、組織洗浄部130の1又は2以上の領域をクロミック材料で被覆することができる。組織洗浄部130を歯ブラシ300上に配置する実施形態では、毛状突起306又は毛状突起306の一部を、検出特性を示すように構成することができる。例えば、毛状突起306を、ハロクロミック染料を含むように化学的に配合することができる。或いは、毛状突起306が、pHの変化又は有機材料の存在下で屈曲することによって感知のフィードバックを伝えるスマートポリマーを含むこともできる。
【0053】
別の用途では、センサを用いて、ユーザの呼気のpHに基づいてユーザの口臭の程度を検出することができる。いくつかの実施形態では、硫化水素及び硫化ジメチルなどの化合物を検出するガソクロミックポリマーを用いて口臭の検出を行うことができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、サーモクロミック特性を示す材料又は物質から組織洗浄部130を製造し、これを用いてユーザの口腔体温を検出することによってユーザに発熱を知らせることができる。このことは、動物の体温を測るのが困難な動物使用のために構成された実施形態において特に有用となり得る。無毒なサーモクロミック特性材料の例としては、バイオポリマー・ポリ(乳酸)(PLA)、アントシアニン類の天然染料、ガレート誘導体及び脂肪酸が挙げられ、これについては「新規機構に基づく無毒性サーモクロミックポリマー材料の最初の実例(First example of a non−toxic thermochromic polymer material−based on a novel mechanism)」、J.Mater.Chem.C.、2103、1、2811に記載されており、この文献はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0055】
いくつかの実施形態では、組織洗浄部130の材料がピエゾクロミック特性を示す。この材料は、組織洗浄部130の接触面、歯ブラシの毛状突起306又はハンドル110の構成に使用することができる。この材料は、組織洗浄部130に加わる圧力に応じて色を変化させることにより、(例えば、ユーザによる圧迫が強すぎる、弱すぎる、又は正しい圧力量を伝えているなどの)加わっている圧力の量に関するフィードバックをユーザに伝えることができる。中には歯を磨く際に圧力を加えすぎるユーザもいるので、このことは歯ブラシ300にとって特に重要である。ピエゾクロミック対応の歯ブラシ又は組織洗浄部130は、ユーザに正しい圧力が加わっているかどうかを示すことができる。いくつかの実施形態では、組織洗浄部130が動物と共に使用されるように構成され、動物を傷つけたり、又は苦痛を招いたりしないように使用するための正しい圧力量に関するフィードバックをユーザに提供することができる。当業者であれば、様々な技術を用いて組織洗浄部130にクロミックポリマーを配合又は被覆することができ、これらは本開示の一部として見なされると理解するであろう。
【0056】
別の実施形態では、ユーザの快適さのために、先頭列突出部141及び後続列突出部143を、収集基部151及び153に使用される材料よりも柔らかいポリマーで被覆することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、子供又は動物が舌クリーナ100を使用する気になるように、組織洗浄部130に香味付けすることができる。組織洗浄部130を香味付きポリマーから製造し、香味付きポリマー又は物質で被覆することができる。或いは、各使用前に組織洗浄部130に香味付きのジェル又は挿入物を適用することもできる。
【0058】
上述した特定の実施形態についての説明は、他者が当技術における知識を適用することによって、本発明の一般概念から逸脱することなく、必要以上の実験を行わずにこのような特定の実施形態を様々な用途に合わせて容易に修正し及び/又は適合させることができるほど十分に本発明の一般的性質を明らかにするものと思われる。従って、このような適合及び修正は、本明細書に示す教示及び指針に基づいて、開示した実施形態の同等物の意味及び範囲に含まれるように意図されている。本明細書における表現又は用語は、限定ではなく説明のためのものであり、従って当業者が教示及び指針に照らして解釈すべきものであると理解されたい。
【0059】
本発明の外延及び範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれかによって限定されるべきものではなく、以下の特許請求の範囲及びその同等物のみに従って定められるべきものである。