特許第6951503号(P6951503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイオメット シー.ブイ.の特許一覧

<>
  • 特許6951503-複合的ファスナ軌道を持つ髄内装置 図000002
  • 特許6951503-複合的ファスナ軌道を持つ髄内装置 図000003
  • 特許6951503-複合的ファスナ軌道を持つ髄内装置 図000004
  • 特許6951503-複合的ファスナ軌道を持つ髄内装置 図000005
  • 特許6951503-複合的ファスナ軌道を持つ髄内装置 図000006
  • 特許6951503-複合的ファスナ軌道を持つ髄内装置 図000007
  • 特許6951503-複合的ファスナ軌道を持つ髄内装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6951503
(24)【登録日】2021年9月28日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】複合的ファスナ軌道を持つ髄内装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/72 20060101AFI20211011BHJP
【FI】
   A61B17/72
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-80524(P2020-80524)
(22)【出願日】2020年4月30日
(62)【分割の表示】特願2017-501105(P2017-501105)の分割
【原出願日】2015年3月19日
(65)【公開番号】特開2020-121182(P2020-121182A)
(43)【公開日】2020年8月13日
【審査請求日】2020年5月20日
(31)【優先権主張番号】61/968,636
(32)【優先日】2014年3月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/568,535
(32)【優先日】2014年12月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516282330
【氏名又は名称】バイオメット シー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130133
【弁理士】
【氏名又は名称】曽根 太樹
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン アンドリュー セムス
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ホーウィッツ
(72)【発明者】
【氏名】トレイシー ワトソン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ビッヒ
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ ゴーリング
(72)【発明者】
【氏名】ダレン グレンジャー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ マイケル オレイリー
【審査官】 小宮 寛之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−531955(JP,A)
【文献】 特表2002−524189(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0123873(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0018336(US,A1)
【文献】 特表2006−513781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端(18)と遠位端(20)との間に延びる第1長手軸(21)を有する髄内装置(10)であって、該髄内装置(10)が、
前記第1長手軸(21)との間に第1角度(βh)を画定する第2長手軸(26h)を有する第1孔(24h)であって、第1開口部(50)と第2開口部(52)との間で前記髄内装置(10)を貫通する第1孔と、
前記第1長手軸(21)との間に第2角度(βi)を画定する第3長手軸(26i)を有する第2孔(24i)であって、前記第1開口部(50)と第3開口部(54)との間で前記髄内装置(10)を貫通する第2孔と、
を備え、
前記第1孔(24h)および前記第2孔(24i)は前記近位端(18)に近接して位置決めされており、前記近位端(18)は、骨に挿入される第1端部および前記髄内装置を前記骨内に駆動させる力を受ける第2端部になるよう構成されており、
前記第1孔(24h)は第1ファスナ(16h)を受容すると共に前記第2孔(24i)は第2ファスナ(16i)を受容するようになっており、それにより、前記第1ファスナ(16h)および前記第2ファスナ(16i)は前記髄内装置(10)を通って同時に延びうるようにした、髄内装置。
【請求項2】
前記第1角度(βh)が前記第2角度(βi)より大きい、請求項1に記載の髄内装置(10)。
【請求項3】
更に、第4長手軸(26b)を有する第3孔(24b)を備え、前記第4長手軸(26b)が前記第1長手軸(21)に直交して配置される、請求項1に記載の髄内装置(10)。
【請求項4】
前記第3孔(24b)が長円の開口部を形成する、請求項3に記載の髄内装置(10)。
【請求項5】
更に、前記第1長手軸(21)に平行な方向に延びる第4長手軸を有するキャビティ(22)を備える、請求項1に記載の髄内装置(10)。
【請求項6】
前記第2長手軸(26h)と前記第3長手軸(26i)が非同一平面にある、請求項1に記載の髄内装置(10)。
【請求項7】
前記第1開口部(50)が、周囲を画定し、かつ、8の字形輪郭を集合的に形成する第1ローブ部(50a)と第2ローブ部(50b)とを含む、請求項1に記載の髄内装置(10)。
【請求項8】
更に、
前記第1長手軸(21)に垂直な方向に延びる第4長手軸(26a)を有する第3孔(24a)と、
前記第1長手軸(21)に垂直な方向及び前記第4長手軸(26a)に平行な方向に延びる第5長手軸(26b)を有する第4孔(24b)と、
を備える、
請求項1に記載の髄内装置(10)。
【請求項9】
更に第1ファスナ(16h)と第2ファスナ(16i)とを備え、前記第1ファスナが前記第1ローブ部(50a)を通過し、前記第2ファスナが前記第2ローブ部(50b)を通過する、請求項7に記載の髄内装置(10)。
【請求項10】
前記第1角度(βh)が前記第2角度(βi)に等しい、請求項1に記載の髄内装置(10)。
【請求項11】
更に、
前記第1長手軸(21)との間に第1角度(θd)を画定する第4長手軸を有する第3孔(24d)であって、第1開口部(34)と第2開口部(36)との間に延びる第3孔と、
前記第1長手軸(21)との間に第2角度(θe)を画定する第5長手軸(26e)を有する第4孔(24e)であって、前記第1開口部(34)と第3開口部(38)との間に延びる第4孔と、
を備える、
請求項1に記載の髄内装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年3月21日に提出された米国特許仮出願第61/968636号明細書の利益を主張する2014年12月12日に提出された米国特許出願第14/568535号明細書の利益及び優先権を主張する。上記出願の各々の開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、髄内装置、特に複合的軌道を持つ髄内固定装置に関する。
【背景技術】
【0003】
本節は、本開示に関連する背景情報を提供するが、必ずしも先行技術ではない。
【0004】
種々の型式の外科処置が、骨の第1部分を骨の第2部分に固定又は相互接続するために髄内固定装置、例えばロッド又はピンの使用を必要とする。髄内固定装置は、カニューレ状又は非カニューレ状の管状体を含むことができる。管状体は、角度安定性を得て、骨内での保持を改良し、骨内での髄内固定装置の配置を最適化するために、相互に種々の角度で配置された複数の貫通孔を含むことができる。スクリュー又は他の骨固定装置を貫通孔内に配置して髄内固定装置を骨内に固定できる。
【0005】
既知の髄内固定装置は、それら意図した目的のため受諾できることが証明されているが、技術上引き続き改良する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本節は、開示の概略を提供し、その範囲全体又はそのすべての特徴の包括的開示ではない。
【0007】
1つの特定の態様によれば、本開示は髄内装置を提供する。髄内装置は、近位端と遠位端との間に延びる第1長手軸を有することができる。髄内装置は、更に、第1孔と第2孔とを含むことができる。第1孔は、第2長手軸を含み、第1開口部と第2開口部との間で髄内装置を貫通できる。第2長手軸は、第1長手軸との間に第1角度を画定することができる。第2孔は、第3長手軸を含み、第1開口部と第3開口部との間に髄内装置を貫通できる。第3長手軸は、第1長手軸との間に第2角度を画定することができる。
【0008】
別の特定の態様によれば、本開示は、近位端と遠位端との間に延びる第1長手軸を画定する髄内装置を提供する。髄内装置は、第1孔と、第2孔と、第3孔と、第4孔とを含むことができる。第1孔は、第1長手軸に実質的に直交する方向に延びる第2長手軸を有することができる。第2孔は、第1長手軸及び第2長手軸に実質的に直交する方向に延びる第3長手軸を有することができる。第3孔は、第2長手軸及び第3長手軸との間に第1角度を画定する第4長手軸を有することができる。第3孔は、第1開口部と第2開口部との間に延びることができる。第4孔は、第2長手軸及び第3長手軸との間に第2角度を画定する第5長手軸を有することができる。第4孔は第1開口部と第3開口部との間に延びることができる。第1開口部は、周囲を画定し、かつ、第1ローブ部と第2ローブ部とを含むことができる。
【0009】
更に別の特定の態様によれば、本開示は、近位端と遠位端と間に延びる第1長手軸を画定する髄内装置を提供する。髄内装置は、第1領域と第2領域とを含むことができる。第1領域は、第1孔と第2孔とを含むことができる。第1孔は、第1長手軸との間に第1角度を画定する第2長手軸を有することができる。第1孔は、第1開口部と第2開口部との間で髄内装置を貫通できる。第2孔は、第1長手軸との間に第2角度を画定する第3長手軸を有することができる。第2孔は、第1開口部と第3開口部との間で髄内装置を貫通できる。第2領域は、第3孔と第4孔とを含むことができる。第3孔は、第4長手軸を有し、第4開口部と第5開口部との間に延びることができる。第4孔は、第4長手軸との間に第3角度を画定する第5長手軸を有することができる。第4孔は、第4開口部と第6開口部との間に延びることができる。
【0010】
更なる利用可能な分野は、本明細書の説明から明らかになるだろう。本概要の説明及び具体的実施例は、例示のためのものであり、本開示の範囲を限定するためのものではない。
【0011】
本明細書において説明する図面は、例示のために選択された実施形態に限り、可能性のある全ての実装ではなく、本開示の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の原理に従った髄内装置を示す環境図であり、髄内装置は、大腿骨内に手術的に埋植されている。
図2A図1の髄内装置の第1端部の側面図である。
図2B図1の髄内装置の第1端部の別の構成の側面図である。
図3図1の髄内装置の第1端部の上面図である。
図4図3の線4−4に沿った図1の髄内装置の第1端部の断面図である。
図5図1の髄内装置の第2端部の側面図である。
図6図1の髄内装置の第2端部の斜視図である。
【0013】
対応する参照番号は、図面全体において対応する部品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、添付図面を参照しながらさらに詳しく実施形態例について説明する。
【0015】
図1図4を参照すると、本開示の原理に従って構成された髄内装置が図示され、参照番号10で示される。髄内装置10は、概ね髄内装置の長手軸14に沿って骨12の中へ挿入できる。装置10は、複数のファスナ16、例えば骨スクリュー、釘又は他の適切な機械的締結装置を用いて骨12に固定されるか又は骨内に固定できる。1つの使用例によれば、装置10は、膝関節から股関節へ向かって上向きへ又は足首に向かって下向きへそれぞれ大腿骨又は脛骨の中へ挿入できる。但し、髄内装置10は他の骨及び/又は組織へ挿入するように適合させ、骨の様々な端部から同様に挿入できる。
【0016】
髄内装置10は、長手軸21に沿って近位端18から遠位端20まで延びる実質的に円筒形の構成を有する棒状部材とすることができる。1つの構成において、近位端18を駆動端とすることができる。この点に関して、ハンマー、槌又は骨12内に装置10を固定するための他の適切な駆動装置(図示せず)を用いて、装置10の近位端18に力を加えることができる。他の構成において、遠位端20を駆動端とすることができる。図2Aに示すように、長手軸21は、X軸に実質的に平行な方向に延びることができる。組立済み構成において、装置10の長手軸21は、骨12の長手軸14に実質的に整列できる。図4に示すように、1つの構成において、髄内装置10は、装置10が装置の相当部分又は全体に沿って概ねカニューレ状の構成を画定するように、長手軸21に沿って近位端18と遠位端20との間で延びる円筒形キャビティ22を含むことができる。また、他の構成において、髄内装置10又は髄内装置の部分は、実質的に中実構成とすることができることも分かるだろう。
【0017】
装置10は、装置10の第1領域11aにおいて複数の又は複合的な角度及び/又は起動で配置された複数の孔24を含むことができる。1つの構成において、装置10は、第1孔24aと、第2孔24bと、第3孔24cと、第4孔24dと、第5孔24eとを含むことができる。孔24a〜24eは、概ね装置10の遠位端20に配置できる。孔24a〜24eの少なくとも1つは、ねじ切りファスナを受け入れてねじ切りファスナと噛み合うように作用できるねじ切り孔とすることができる。下で更に詳しく説明するように、キャビティ22及び第1孔〜第5孔24a〜24eは、キャビティ22が穴24a〜24eの各々と連通するように又は各々に通じるように配置できる。
【0018】
図3に示すように、第1及び第2孔24a、24bは、それぞれ長手軸26a、26bを画定できる。第1孔及び第2孔24a、24bは、長手軸26a、26bが装置10の長手軸21に実質的に直交しかつZ軸に概ね平行であるように、装置10を半径方向に貫通できる。1つの構成において、第1孔24aは、実質的に円形の断面を有し、第2孔24bは、長円又は楕円形の断面を有する。第2孔24bの長円又は楕円形の断面は、使用者が装置10の長手軸21とファスナ16aの長手軸28によって形成される角度αを変更できるようにする。第2孔24bの長円又は楕円形の断面は、さらに、使用者がファスナ16aと装置10の遠位端20との間の距離も変更できるようにする。第1孔及び第2孔24a、24bの断面が本開示の範囲内で他の形状を含むことができることも分かるだろう。
【0019】
第3孔24cは、長手軸26cを画定できる。第3孔24cは、軸26cが装置10の長手軸21に実質的に直交しかつそれぞれ第1孔及び第2孔24a、24bの長手軸26a、26bに実質的に直交するように、装置10を貫通できる。この点に関して、軸26cは、図2Aに示すようにY軸に概ね平行な方向に延びることができることが分かるだろう。1つの構成において、第3孔24cは、長円又は楕円形の断面を有する。第3孔24cの長円又は楕円形の断面は、使用者が、装置10の長手軸21とファスナ16cの長手軸30によって形成される角度βを変動できるようにする。第3孔24cの長円又は楕円形断面は、使用者がファスナ16cと装置10の遠位端20との間の距離も変更できるようにする。第3孔24cの断面が本開示の範囲内で他の形状を含むことができることも分かるだろう。
【0020】
1つの構成において、第4孔及び第5孔24d、24eは、第2孔24bと第3孔24cとの間に配置できる(図2A)。別の構成において、第4孔及び第5孔24d、24eは、第2孔24cと髄内装置10の遠位端20との間に配置できる(図2B)。別の構成において、第4孔及び第5孔24d、24eは、第1孔、第2孔及び第3孔24a〜24cに対して別の位置に配置できる。
【0021】
第4孔及び第5孔24d、24eは、それぞれ長手軸26d、26eを画定できる。第4孔及び第5孔24d、24eは、長手軸26d、26eがX−Z平面に実質的に直交するように装置10を貫通できる。この点に関して、第4孔及び第5孔24d、24eは、X−Y平面に延在できる。図2Aに示すように、軸26d、26eは、装置10の長手軸21に対して、それぞれ、角度θd、θeを形成できる。角度θdは、40度〜60度とすることができる。角度θeは、120度〜160度とすることができる。1つの構成において、角度θdは実質的に45度(45°)に等しく、角度θeは実質的に135度(135°)に等しくできる。
【0022】
第4孔及び第5孔24d、24eは、第4孔24dが第1開口部34及び第2開口部36を含み、第5孔24eが第1開口部34及び第3開口部38を含むように、装置を貫通できる。図1に示すように、1つの構成において、ファスナ16dは、ファスナ16dの頭部40が第2開口部36に配置され又は第2開口部から延び、ファスナ16dのステム42が第1開口部34から延びるように、第4孔24dを通過して挿入できる。同様に、ファスナ16dは、ファスナ16dの頭部40が第3開口部38に配置され又は第3開口部から延び、ファスナ16dのステム42が第1開口部34から延びるように、第5孔24eを通過して挿入できる。他の構成において、ファスナ16dは、ファスナ16dの頭部40が第1開口部34に配置され又は第1開口部から延び、ファスナ16dのステム42が第2開口部又は第3開口部36、38から延びるように、それぞれ第4孔又は第5孔24d、24e内に配置できる。従って、第1開口部34及び角度θd、θeを含む孔24d、24eの構成が複数の骨12(例えば左大腿骨と右大腿骨)に関して髄内装置の交換可能性を改良できることが分かるだろう。さらに、第1開口部34及び角度θd、θeを含む第4孔及び第5孔24d、24eの構成においては、髄内装置10にもっと少ない開口部又は穴も可能であり、このようにして髄内装置10の強度及び無欠性を改良できることが分かるだろう。
【0023】
図2Aに示すように、第1開口部34は、実質的に円形または楕円形を有することができる。但し、第1開口部34は、本開示の範囲内で8の字形を含む他の形状を有することができることが分かるだろう。
【0024】
図5及び図6を参照すると、髄内装置10は、第6孔24fと、第7孔24gと、第8孔24hと第9孔24iとを含むこともできる。孔24f〜24iは、装置の第1領域11aに概ね対向する装置の第2領域11bに配置できる。この点に関して、第1領域11aは、遠位端20を含み、第2領域11bは近位端18を含むことができる。中間領域11cは、第1領域及び第2領域11a、11bから第1領域及び第2領域の間に延びることができ、1つ又はそれ以上の付加的ファスナ16を含むことができる。
【0025】
1つの構成において、孔24f〜24iの少なくとも1つは、ねじ切りファスナを受け入れてねじ切りファスナと噛み合うように作用できるねじ切り孔とすることができる。第1孔〜第9孔24a〜24iは髄内装置10に配置されるものとして概略的に図示し、説明するが、髄内装置10は、第1孔〜第9孔24a〜24iの任意の組合せを含むことができることが分かるだろう。下で更に詳しく説明するように、円筒形キャビティ22及び第6孔〜第9孔24f〜24iは、円筒形キャビティ22が穴24f〜24iの各々と連通する又は各々と通じるように髄内装置10に配置できる。
【0026】
第6孔及び第7孔24f、24gは、それぞれ長手軸26f、26gを画定できる。第6孔及び第7孔24f、24gは、図5に示すように、長手軸26f、26gが装置の長手軸21に実質的に直交しかつY軸に概ね平行であるように、装置10を貫通できる。この点に関して、長手軸26f、26gは、X−Y平面に向けることができる。図示するように、1つの構成において、第6孔及び第7孔24f、24gは、実質的に円形の断面を含むことができる。但し、第6孔及び第7孔24f、24gは本開示の範囲内で他の断面(例えば、長円又は楕円形の断面)を含むことができることが分かるだろう。
【0027】
図5に示すように、1つの構成において、第8孔及び第9孔24h、24iは、第6孔24fと第7孔24gとの間に配置できる。別の構成において、第8孔及び第9孔24h、24iは、第7孔24gと髄内装置10の遠位端20との間に配置できる。別の構成において、第8孔及び第9孔24h、24iは、第6孔及び第7孔24f、24gに対して他の位置に配置できる。
【0028】
第8孔及び第9孔24h、24iは、それぞれ長手軸26h、26iを画定できる。第8孔及び第9孔24h、24iは、長手軸26h、26iが間に角度δを画定し、更にそれぞれX−Y平面に対して角度Ωh、Ωiを画定するように、装置10を貫通できる。角度δは、15度〜75度とすることができる。1つの構成において、角度δは、実質的に45度に等しくできる。角度Ωh、Ωiは、5度〜40度とすることができる。1つの構成において、角度Ωhは、実質的に10度に等しく、角度Ωiは実質的に80度に等しくできる。この点に関して、長手軸26h、26iは非同一平面にあってよいことが分かるだろう。
【0029】
第8軸及び第9軸24h、24iは、装置の長手軸21に対してそれぞれ角度βh、βiを画定できる。角度βh、βiは、15度〜75度とすることができる。1つの構成において、角度βh、βiは、実質的に45度に等しくできる。角度Ωh、Ωi及びβh、βiの構成は、第8孔24hが第1開口部50と第2開口部52を含み、第9孔24iが第1開口部50と第3開口部54を含むようなものとすることができる。図6に示すように、第1開口部50は、実質的に「8」の字形輪郭を有することができる。例えば、第1開口部50は、8の字形を集合的に形成する第1ローブ部50aと第2ローブ部50bとを含む周囲を画定できる。第1及び第2ローブ部50a、50bは、各々、ファスナ16の所望角度に応じて実質的に円形または楕円形を画定できる。
【0030】
図1に示すように、1つの構成において、ファスナ16hは、ファスナ16hの頭部56が第1開口部50の第1ローブ50aに配置されるか又は第1ローブから延び、ファスナ16hのステム(図示せず)が第2開口部52から延びるように、第8孔24hを通過して挿入できる。同様に、ファスナ16iは、ファスナ16iの頭部60が第1開口部50の第2ローブ50bに配置されるか又は第2ローブから延び、ファスナ16iのステム62が第3開口部54から延びるように、第9孔24iを通過して挿入できる。他の構成において、ファスナ16h及び16iは、ファスナ16hの頭部56が第2開口部52に配置されるか又は第2開口部から延び、及び/又は、ファスナ16iの頭部60が第3開口部54に配置されるか又は第3開口部から延びるように、それぞれ第8孔及び第9孔24h、24i内に配置できる。従って、第1開口部50及び角度Ωh、Ωi及びβh、βiを含む孔24h、24iの構成は、複数の骨(例えば左脛骨及び右脛骨)に関して髄内装置10の交換可能性を改良できる。
【0031】
本開示を徹底的にしかつ当業者にその範囲を十分に伝えるように実施形態例を示す。多数の具体的細部は、本開示の実施形態を十分に理解できるように、具体的構成要素、装置及び方法の例として示すものである。具体的細部は採用される必要はなく、実施形態例は多様な形式で実現でき、かつ開示の範囲を限定するものと見なされるべきでないことが当業者には明白であろう。いくつかの実施形態例において、周知のプロセス、周知の装置構造及び周知の技術については、詳細に説明しない。
【0032】
本明細書において使用する用語は、特定の実施形態例を説明するためのものであって、限定的であることを意図しない。本明細書において使用する場合、単数形は、文脈上明確に指示する場合を除いて複数形も含むことができる。「備える(comprising)」、「含む(including)」及び「有する(having)」は包括的であり、従って、指定される特徴、整数、ステップ、操作、要素及び/又は構成成分の存在を明示するが、1つ又はそれ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成成分及び/又はその群の存在又は追加を除外しない。本明細書において説明する方法のステップ、プロセス及び操作は、実施順として具体的に特定しない限り、必ずしも説明又は例証する特定の順番で実施することを要求するものと解釈されないものとする。また、付加的または代替的ステップを採用できると解釈すべきである。
【0033】
要素又は層が別の要素又は層「の上に(on)ある」、「に係合される(engaged to)」、「に接続される(connected to)」又は「に結合される(coupled to)」と示される場合、前記別の要素又は層の直接上に在るか、これに係合、接続又は結合されるか、又は介在する要素又は層が存在することが可能である。逆に、要素が、別の要素又は層「の直接上に在る」、「に直接係合される」、「に直接接続される」又は「直接結合される」ものと示される場合、介在する要素又は層は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の単語は、同様に解釈されるものとする(例えば「〜の間(between)」と「直接〜の間(directly between)」、「隣接する(adjacent)」と「すぐ隣の(directly adjacent)」など)。本明細書において使用する場合、「及び/又は(and /or)」は、関連して列記される項目の1つ又はそれ以上のあらゆる組合せを含む。
【0034】
「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、本明細書において種々の要素、構成成分、領域、層及び/又は区分を説明するために使用されるが、これら要素、構成成分、領域、層及び/又は区分はこれらの用語によって制限されない。これら用語は、単に、1つの要素、構成成分、領域、層又は区分を別の領域、層又は区分から区別するためにのみ使用される。「第1」、「第2」又は他の数的用語は、本明細書において使用する場合、文脈上明白に指示しない限り順番又は順序を示唆するものではない。従って、下で論じる第1要素、構成成分、領域、層又は区分は、実施形態例の教示から逸脱することなく第2要素、構成成分、領域、層又は区分と言うこともできる。
【0035】
「内側」、「外側」、「下」、「下方」、「下側」、「上方」、「上側」などの空間関係用語は、本明細書において、図示される1つの要素又は特徴の別の要素又は特徴との間の関係を説明し易くするために使用される。空間関係用語は、図に示す向きの他に使用または操作における装置の異なる向きを包含することができる。例えば、図に示す装置をひっくり返すと、別の要素又は特徴の「下方」又は「下」として説明された要素は、この別の要素又は特徴の「上方」となる。従って、例えば「下方」と言う用語は、上方及び下方の両方の向きを包含できる。装置は、別の向き(90度回転またはそれ以外の向き)とすることができ、本明細書において使用する空間関係の記述語はそれに応じて解釈できる。
【0036】
実施形態の上述の説明は、例示及び説明のためのものである。説明は、網羅的なもの又は開示を限定するためのものではない。特定の実施形態の個別の要素又は特徴は、概略的にその特定の実施形態に限定されるものではなく、利用可能な場合、明確に図示又は説明されなくても、交換可能であり特定の実施形態において使用できる。さらに、多様に変更でき、かかる変更は開示の範囲から逸脱するものとはみなされず、かかる修正は全て開示の範囲に含まれるものとする。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6