【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 集会名:2019年度技術開発報告会、開催日:2020年2月7日 集会名:2020年度三菱地所株式会社担当役員とのミーティング、開催日:2020年12月1日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術では、測定作業における走行スピードが遅く、自走制御の精度について考慮されていなかった。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、自走制御の精度を向上させた自走式装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る自走式装置は、
測定エリアにおける照度を測定する測定地点に関する測定地点情報を取得する情報取得手段と、
周囲の物体との距離及び周囲の形状を検出する周囲検出手段と、
前記周囲検出手段により検出した周囲の形状に基づいて、
SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)により、前記測定エリアにおける現在位置及び方向を判別する判別手段と、
前記測定地点情報と前記判別手段による判別結果とに基づいて、駆動手段を駆動し、前記現在位置からの移動の方向及び距離を計測しながら自装置を前記測定地点に移動させる制御手段と、
前記測定地点において照度を測定する照度測定手段と、を備え、
前記制御手段は、
ジャイロセンサからの情報に基づいて進行方向を制御し、
前記測定地点において自装置を停止させたときに前記ジャイロセンサの校正を行
い、
自装置を直進させながら前記周囲検出手段により壁面との距離を検出し、検出した壁面との距離に応じて前記SLAMのパラメータを調整する調整手段を備える。
【0008】
前記制御手段は、自装置を前記測定地点に移動させるときに、前記周囲検出手段により壁面との距離を検出し、壁面との距離に応じて進行方向を補正可能であるようにしてもよい。
【0009】
前記制御手段は、壁面に対して平行に移動しているときに、壁面との距離が所定の閾値以上変化した場合、壁面との距離の変化が小さくなるように進行方向を補正するようにしてもよい。
【0010】
前記情報取得手段により複数の測定地点が取得された場合、該複数の測定地点の測定ルートを自動判別するルート判別手段を備え、
前記ルート判別手段は、前記壁面と平行方向のルートを優先的に選択するようにしてもよい。
【0011】
前記判別手段は、検出した周囲の形状において、直線との相関係数が所定値以上の部分を壁面と判別し、該壁面との距離から現在位置を判別するようにしてもよい。
【0012】
前記駆動手段によりそれぞれ独立して駆動される2つの車輪を備え、
前記周囲検出手段は、
前記2つの車輪を結ぶ直線上に設けられ、走行方向と垂直の方向の物体との距離を計測可能なレーザーセンサを備え、
前記2つの車輪を逆方向に回転させることにより前記2つの車輪の中間地点を中心に自装置を回転することで、前記レーザーセンサにより周囲の形状を検出するようにしてもよい。
【0013】
前記駆動手段によりそれぞれ独立して駆動される2つの車輪を備え、
前記照度測定手段は、前記2つの車輪の中間地点に設けられるようにしてもよい。
【0014】
自装置の進行方向の障害物を検出可能な障害物検出手段を備え、
前記障害物検出手段は、自装置の進行方向に対して上向きに傾斜して設けられるようにしてもよい。
【0015】
本発明の第2の観点に係る測定方法は、
測定エリアにおける照度を測定する測定地点に関する測定地点情報を取得する情報取得ステップと、
周囲の物体との距離及び周囲の形状を検出する周囲検出ステップと、
前記周囲検出ステップにより検出した周囲の形状に基づいて、
SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)により、前記測定エリアにおける現在位置及び方向を判別する判別ステップと、
前記測定地点情報と前記判別ステップによる判別結果とに基づいて、駆動手段を駆動し、前記現在位置からの移動の方向及び距離を計測しながら自装置を前記測定地点に移動させる制御ステップと、
前記測定地点において照度を測定する照度測定ステップと、を備え、
前記制御ステップでは、
ジャイロセンサからの情報に基づいて進行方向を制御し、
前記測定地点において自装置を停止させたときに前記ジャイロセンサの校正を行
い、
自装置を直進させながら壁面との距離を検出し、検出した壁面との距離に応じて前記SLAMのパラメータを調整する調整ステップを備える。
【0016】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
測定エリアにおける照度を測定する測定地点に関する測定地点情報を取得する情報取得手段、
周囲の物体との距離及び周囲の形状を検出する周囲検出手段、
前記周囲検出手段により検出した周囲の形状に基づいて、
SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)により、前記測定エリアにおける現在位置及び方向を判別する判別手段、
前記測定地点情報と前記判別手段による判別結果とに基づいて、駆動手段を駆動し、前記現在位置からの移動の方向及び距離を計測しながら自装置を前記測定地点に移動させる制御手段、
前記測定地点において照度を測定する照度測定手段として機能させ、
前記制御手段は、
ジャイロセンサからの情報に基づいて進行方向を制御し、
前記測定地点において自装置を停止させたときに前記ジャイロセンサの校正を行
い、
前記コンピュータを、自装置を直進させながら前記周囲検出手段により壁面との距離を検出し、検出した壁面との距離に応じて前記SLAMのパラメータを調整する調整手段として機能させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、自走制御の精度が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態の自走式装置としての照度測定ロボット100の外観図である。照度測定ロボット100は、予め入力されたプログラムやデータに基づいて自律的に走行(移動)可能であり、室内の指定地点の照度を自動的に測定可能となっている。
【0021】
この実施形態の照度測定ロボット100は、
図1に示すように、自走するための車輪103と、照度を測定するための照度センサ104と、周囲の形状や周囲の物体との距離を測定するためのレーザー距離計105と、前方の障害物を検出するための障害物センサ107と、を備える。また、
図1では隠れているが、照度測定ロボット100の後方下方には自在キャスター(または車輪等)が設けられている。
【0022】
続いて、実施形態に係る照度測定ロボット100のハードウェア構成について説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る照度測定ロボット100の構成の一例を示すブロック図である。照度測定ロボット100は、制御部101と、駆動部102と、車輪103と、照度センサ104と、レーザー距離計105と、ジャイロセンサ106と、障害物センサ107と、電力供給部108と、通信部109と、補助記憶装置113と、を備える。
【0023】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)110、RAM(Random Access Memory)111、ROM(Read Only Memory)112等から構成され、照度測定ロボット100の動作を制御する。CPU110は、ROM112や補助記憶装置113から制御プログラムや制御データを読み出し、RAM111にロードして照度測定ロボット100の自律走行や照度測定の各種処理を行う。また、CPU110は、通信部109を制御して外部装置と通信可能となっている。
【0024】
RAM111は、SRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性のメモリである。RAM111は、一時データを記憶すると共に、各種設定データを記憶する。
【0025】
ROM112は、不揮発性メモリなどであり、制御プログラムや初期設定データを記憶する。
【0026】
駆動部102は、複数の車輪103をそれぞれ独立して駆動するステッピングモータ等で構成される。駆動部102は、CPU110の制御のもと、各車輪103を任意の回転速度で正転または逆転することで、照度測定ロボット100を、配置された床面上において任意の方向に方向転換可能であり、前進又は後退させることができる。
【0027】
車輪103は、この実施形態では、前方左右に2つ設けられている。また、照度測定ロボット100の後方には図示せぬ1または複数の自在キャスターが設けられる。例えば、左右の車輪103を等速で正転(逆転)させることで照度測定ロボット100を前進(後退)させることができ、左右の車輪103を等速でそれぞれ逆方向に回転させることで照度測定ロボット100をその場で回転(方向転換)させることができる。なお、この実施形態では駆動輪が2輪であったが、駆動輪を4輪として、4輪全ての車輪を独立駆動できるようにしてもよい。このようにすることで、より細やかな移動、走行を実現できる。また、車輪の角度を変更可能として、任意の方向に走行できるようにしてもよい。
【0028】
照度センサ104は、
図1に示すように、照度測定ロボット100の上方を向けて支柱に固定されており、CPU110の制御のもと、照度測定ロボット100の上方の照度(ルクス、ルーメン等)を検出し、検出結果をCPU110に通知する。照度センサ104は、
図3に示すように、左右の車輪103の中点に設けられている。照度測定ロボット100は、左右の車輪103を逆転させることでその場で回転(方向転換)するとき、左右の車輪103の中点が回転の中心となるが、そこに照度センサ104を設けることで、指定地点と一致させることが容易となり、照度測定ロボット100の向きによらず指定地点の照度を測定でき、好適に照度を測定することができる。なお、照度センサ104の設置位置は、照度を好適に測定することができれば任意の位置でよい。例えば、照度センサ104の設置位置を登録しておき、指定地点と照度センサ104の設置位置とが一致するように、照度測定ロボット100を駆動するようにすればよい。より具体的には、照度センサ104が左右の車輪103の中点から10センチメートル後方に設置される場合は、照度センサ104が左右の車輪103の中点に設けられる場合よりも、10センチメートル多く照度測定ロボット100を前進させて照度を測定すればよい。また、照度センサ104の設置位置の高さ(支柱の長さ)を変更可能にしてもよい。また、照度センサ104は、支柱に固定されるものでなくてもよく、照度測定ロボット100の本体に設置されてもよい。
【0029】
レーザー距離計105は、例えば指向性及び収束性の高いレーザー光を照射可能なレーザー発振器と反射光を受光する受光素子等から構成され、TOF(Time Of Flight)方式により物体との距離を計測する。レーザー距離計105は、
図3に示すように、2つの車輪103を結ぶ直線上左方向にレーザー光を照射し、反射光により左方向(真正面に対して垂直方向)の物体との距離を計測する。照度測定ロボット100は、初期の設置位置で360度回転してレーザー距離計105を用いたLiDAR(Light Detection And Ranging)により周囲360度の形状や周囲360度の物体(壁面等)との距離を計測する。照度測定ロボット100は、左右の車輪103を逆転させることでその場で回転(方向転換)するとき、左右の車輪103の中点が回転の中心となるが、レーザー距離計105は、2つの車輪103を結ぶ直線上に設けているので、回転軸とレーザー光の方向を一致させることができ、レーザー距離計105により照度測定ロボット100と物体との距離を好適に計測することができる。なお、レーザー距離計105の設置位置は、周囲の物体との距離を好適に計測することができれば任意の位置でよい。例えば、レーザー距離計105の設置位置を登録しておき、三角関数を用いて照度測定ロボット100と物体(壁面等)との距離を算出してもよい。
【0030】
ジャイロセンサ106は、例えば3軸の角速度を検出可能なジャイロセンサであり、照度測定ロボット100の向きの判定や進行方向の決定に使用される。ジャイロセンサ106は、静止時にバイアスインスタビリティ(時間経過で生じる誤差)を排除するためのキャリブレーション(オフセット調整)機能を有する。なお、ジャイロセンサ106は1軸や2軸の角速度を検出可能なジャイロセンサであってもよい。また、照度測定ロボット100の向きや動作を検出するために、ジャイロセンサ106に加えて、加速度センサや地磁気センサを備えるようにしてもよい。また、ジャイロセンサ106の温度による誤差を防止するため、ジャイロセンサ106を所定の筐体に入れて温度補償するようにしてもよい。
【0031】
障害物センサ107は、例えばTOF方式のレーザー式レベルセンサ等で構成され、円錐状の広がりをもったレーザー光を照射し、反射光により前方の障害物を検出し、障害物との距離を計測する。CPU110は、照度測定ロボット100の走行中に障害物センサ107により前方の障害物との距離が所定距離以内となったことが検出された場合、走行を停止させ、例えば、通信部109を介して外部の電子機器にエラー情報を送信する。また、検出した障害物を避けて走行するように制御してもよい。なお、障害物センサ107は、イメージセンサ、超音波や赤外線を用いるセンサであってもよい。例えば、障害物センサ107は、広がりを持たないビーム上のレーザー光を照射し、照射の方向を回転させて障害物をスキャンするものであってもよい。
【0032】
図4は、この実施形態の障害物センサ107の検出範囲を示す図である。この実施形態では、障害物センサ107は、前方に3箇所設けられており、
図4(A)に示すように、左前方に障害物センサ107L、中央前方に障害物センサ107C、右前方に障害物センサ107Rが設置されている。
図4(A)に示すように、障害物センサ107L及び障害物センサ107Rは、所定角度(例えば車輪103前方をカバーできる角度)前方左右外側に向けてレーザー光を照射するようになっており、車輪103前方の障害物を検出可能となっている。また、
図4(B)に示すように、障害物センサ107(107L、107C、107R)は、正面の障害物を検出可能でとなっているが、それぞれ所定角度(例えば水平位置に静止時に円錐状のレーザー光が床面に照射されない角度)前方上方側に向けてレーザー光を照射するようになっており、段差等でレーザー光が床面に照射されて、反射光を誤検出し、床面を障害物として検出してしまうことを防止できる。このように、この実施形態の障害物センサ107によれば、好適に障害物を検出可能である。なお、好適に障害物を検出可能であれば、障害物センサ107は任意の位置に設置されてもよい。また、前方の障害物を検出可能であれば障害物センサ107の数は3個に限定されず、2個以下や4個以上であってもよい。また、床面を障害物として検出してしまうことを防止する方法は、所定角度前方上方側に向けてレーザー光を照射することに限定されず、例えば床面から所定距離おいた位置からレーザー光を照射するようにしてもよい。
【0033】
電力供給部108は、リチウムイオン電池等のバッテリや電圧変換回路等で構成される。電力供給部108は、照度測定ロボット100の各部の動作電圧で電力を供給する。電力供給部108は、照度測定ロボット100の走行速度を安定させるため、例えば、バッテリの最大電圧よりも低い一定電圧値の電圧を駆動部に供給するようにしてもよい。このようにすることで、バッテリの容量によらず照度測定ロボット100の走行速度を一定とすることができる。なお、一定電圧値の電圧を駆動部に供給するためには、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)により、バッテリの残り容量応じたデューティー比を設定して出力電圧(実効電圧)を制御すればよい。
【0034】
通信部109は、Wi−Fi(登録商標)等の無線LAN(Local Area Network)通信やBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信のための無線通信モジュールから構成され、図示せぬアンテナを介して外部の電子機器(スマートフォン、パーソナルコンピュータ、リモートコントローラ)と無線通信を行う。例えば、通信部109は、外部の電子機器からの照度の測定開始指示を受信すると、該指示をCPU110に送信する。また、通信部109は、CPU110から照度の測定終了通知や測定結果情報、エラー情報等の各種情報を受信すると、該通知や情報を外部の電子機器に送信する。
【0035】
なお、この実施形態では、照度測定ロボット100は、通信部109を介した外部の電子機器からの照度の測定開始指示の受信(即ち、ユーザの電子機器の操作)に基づいて、照度の測定を開始する構成となっているが、通信部109に代えてまたは加えてユーザが操作可能なスイッチやタッチパネルといった操作部を設けて、ユーザの操作部の操作に基づいて照度の測定を開始するようにしてもよい。
【0036】
補助記憶装置113は、内蔵式または着脱可能なHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成され、CPU110が参照する制御プログラムや制御データ(特に測定地点を指定する測定地点座標データ)を記憶する。また、CPU110は、照度の測定データを補助記憶装置113に記憶する。
【0037】
なお、
図2に示した構成は一例であり、照度測定ロボット100は、
図2で示した以外の構成を備えていてもよいし、この実施形態と同様の機能や効果を実現できれば、
図2で示した構成のうち、一部が省略されていてもよい。
【0038】
次に、本実施形態における照度測定ロボット100の動作について説明する。照度測定ロボット100により指定地点の照度を測定するための準備として、ユーザ(管理者)が予め照度測定ロボット100に測定エリアにおける測定地点の座標(測定地点座標データ)を入力する必要がある。具体的には、照度測定ロボット100のユーザは、測定エリア(例えば体育館等の室内空間)X軸及びY軸と原点となる位置とを定め、測定地点の該原点に対する座標(原点からのXY軸方向への実際の距離)を入力する。測定地点は複数入力可能であり、複数の測定地点には測定順序を定めることができる。測定地点座標データは、例えば、測定順序と測定地点の座標とを対応付けたデータである。
【0039】
図5(A)は、測定エリアの一例となる体育館の地図を示している。
図5(A)に示すように、室内空間の壁面は扉や窓の部分を除くと概ね直線となっており、隣り合う壁面はほぼ直交していることから、隣り合う2つの壁をX軸、Y軸、それらの交点を原点に定める。この実施形態の照度測定ロボット100は、レーザー距離計105を用いて直線部分を検出することで壁を検出し、隣り合う壁をX軸、Y軸、その交点を原点と判別する。そして、壁との距離と角度から現在位置(原点に対する座標)と向きを特定するようになっている。そのため、ユーザは、測定エリアの隣り合う2つの壁面(
図5(A)では最初の測定地点であるP1に近い下側及び左側の壁)をX軸及びY軸に定め、その交点が原点となる。
【0040】
測定地点を
図5(A)に示すように、P1〜P9の9点とする場合には、ユーザは、各地点の座標(原点からのXY軸方向への実際の距離)を入力する。なお、測定地点の座標は、測定エリアにおいて原点からのXY軸方向への実際の距離をメジャー等で測定してもよいし、測定エリアの地図の画像データから1ピクセル辺りの距離を算出して、測定地点の座標を算出するようにしてもよい。
【0041】
ユーザは、例えば通信部109を介して、
図5(B)に示すように、測定順序と測定地点の座標とが対応付けられた測定地点座標データを補助記憶装置113に記憶させることで、照度測定ロボット100に測定地点の座標を入力する。また、測定地点座標データをメモリカードに記憶し、メモリカードを照度測定ロボット100に補助記憶装置113として装着するようにしてもよい。
図5(B)に示す測定地点座標データでは、照度も対応付けられているが測定前なので照度は入力されていない。照度が測定された後は、測定地点の座標に対応付けて照度が記憶されればよい。
【0042】
このように、ユーザは、照度測定ロボット100に測定地点座標データ(測定地点の座標)を入力した後、測定エリアに照度測定ロボット100を設置する。このとき、最初の測定地点に設置してもよいが、正確な座標や向きで設置することは難しい。また、原点は壁に面しているため設置することができない。そこで、ユーザは、原点の近傍に照度測定ロボット100を設置し、照度測定ロボット100によりX軸及びY軸となる壁を検出させることで、ユーザが設定した原点に対する現在位置を取得させるようになっている。そして、その後、照度測定ロボット100は、取得した現在位置の座標と測定地点座標データに基づいて、自動的に測定地点の照度を測定し、測定結果を記憶する。具体的には、ユーザは、照度測定ロボット100を原点近傍に設置した後、例えば電子機器により通信部109を介して照度の測定を開始する指示を照度測定ロボット100に出すことで、照度測定ロボット100は、自動的に現在位置や向きを取得し、指定地点の照度の測定を開始する。
【0043】
図6は、本実施形態における照度測定ロボット100のCPU110が実行する自動照度測定処理の一例を示すフローチャートである。CPU110は、通信部109を介して照度の測定を開始する指示を受信した場合、自動照測定処理を開始する。
【0044】
自動照測定処理において、CPU110は、まず、測定エリアにおける照度測定ロボット100現在位置情報(現在の向き及び現在位置に関する情報)を取得するための位置情報取得処理を実行する(ステップS101)。
【0045】
この実施形態では、位置情報取得処理において、レーザー距離計105を用いたSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)により、測定エリアとなる室内空間における相対的な現在位置及び向きを取得する。
【0046】
図7は、位置情報取得処理の一例を示すフローチャートである。位置情報取得処理では、CPU110は、まず、レーザー距離計105を起動して、レーザー光の照射を開始させる(ステップS201)。そして、CPU110は、駆動部102により左右の車輪103を等速でそれぞれ逆方向に回転させることで照度測定ロボット100をその場で360度回転させる(ステップS202)。
【0047】
そして、CPU110は、X軸及びY軸となる壁面、該X軸及びY軸の交点となる原点、及び、該X軸及びY軸の座標系に対する照度測定ロボット100の向き、現在位置(座標)の特定を行う(ステップS203)。
【0048】
この実施形態では、照度の測定を行う測定エリアは、体育館等の直交または略直交する壁面のある室内空間を想定している。そして、レーザー距離計105による周囲360度の物体の検出結果に基づいて、直交する壁面を判別して、その壁面をX軸及びY軸に決定する。
【0049】
図9は、照度測定ロボット100のレーザー距離計105による周囲の物体の検出結果とX軸及びY軸の決定結果例を示している。
図9の中央が照度測定ロボット100の現在位置であり、真上方向が現在の照度測定ロボット100の向きとなっている。測定エリアにはドア等の構造物があるため、全面に渡って平坦とはなっていない。そのため、レーザー距離計105により360度周囲をスキャンした場合、
図9に示すように、物体の検出結果が直線とならない部分が出てくる。そこで、
図9の「X1−X2」や「Y1−Y2」といった直線と相関が高い部分(直線と見なせる部分)を抽出して、その点を通る直線を壁面と判別する。
【0050】
直線と相関が高い部分の抽出方法は、例えば、レーザー距離計105により360度の物体の測定データ(例えば4000個の座標データ)を所定数(例えば100個)ずつに分けて関数化し、直線との相関係数が所定値(例えば0.95)以上となる部分を抽出すればよい。例えば、
図9の「X1−X2」や「Y1−Y2」といった区間は直線との相関係数が所定値以上の部分となる。
【0051】
このようにして判別した壁面のうち、照度測定ロボット100の現在位置から近い2辺をX軸及びY軸とする。そして、そのX軸及びY軸との交点(測定エリアとなる室内の角)を原点とする。
【0052】
そして、照度測定ロボット100の正面に方向に対するY軸の傾き(角度)a、X軸の傾き(角度)b、Y軸との距離c、X軸との距離dから、特定したX軸及びY軸の座標系における照度測定ロボット100の現在の向き及び現在位置(座標(c,d))を特定する。
【0053】
その後、現在の向き及び現在位置に関する情報をRAM111または補助記憶装置113に記憶して(ステップS204)、位置情報所得処理を終了する。このように、この実施形態の照度測定ロボット100は、照度の測定を開始するときに位置情報取得処理を1回実行することで、現在の向き及び現在位置を判別し、記憶するようになっている。
【0054】
位置情報所得処理を終了すると、
図6の処理に戻り、CPU110は、測定地点座標データを読み出して、次の測定地点(ここでは最初の測定地点)と現在位置の座標と現在の向きを比較し、次の測定地点を向いていなければ駆動部102を駆動して照度測定ロボット100を回転させ、照度測定ロボット100の向きが次の測定地点の正面になるように調整する(ステップS102)。最初の測定地点へ向ける場合、ステップS101の位置情報取得処理で取得した向きから測定地点に向くように調整すればよい。なお、CPU110は、向きの調整を行う際、ジャイロセンサ106からの検出結果に基づいて、照度測定ロボット100が次の測定地点に向いたか否かを判定する。向きの調整後は、現在の向き(X軸またはY軸に対する傾き、角度)に関する情報を更新する。
【0055】
そして、CPU110は、駆動部102を駆動して、次の測定地点に向けての走行を開始する(ステップS103)。ここでは、次の測定地点に直進するように駆動部102を駆動する。
【0056】
次の測定地点に向けての走行中は、正確に測定地点に走行させるために進行方向を必要に応じて補正するための進行方向補正処理を行う(ステップS104)。この実施形態の照度測定ロボット100では、ジャイロセンサ106からの検出結果に基づいて向きを調整するが、ジャイロセンサ106の検出結果には誤差が生じることがある。そのような誤差等から照度測定ロボット100の進行方向がずれることを防止するため、この実施形態では、照度測定ロボット100の走行中にレーザー距離計105により進行方向のずれを監視し、進行方向がずれた場合に進行方向を補正する進行方向補正処理を実行するようになっている。
【0057】
図8は、進行方向補正処理の一例を示すフローチャートである。進行方向補正処理では、CPU110は、まず、Y軸と平行の方向に走行しているか否かを判定する(ステップS301)。例えば、
図5(A)における地点P1から地点P2、地点P2から地点P3等の走行中であるか否かを判定する。Y軸と平行の方向に走行していなければ(ステップS301;No)、進行方向補正処理を終了する。
【0058】
Y軸と平行の方向に走行していれば(ステップS301;Yes)、CPU1110は、Y軸となる壁との距離をレーザー距離計105により計測する(ステップS302)。
【0059】
そして、CPU110は、ステップS302にて計測したY軸との距離が変化したか否かを判定する(ステップS303)。ステップS303では、例えば、ステップS302で計測したY軸との距離を、次の測定地点または前の測定地点のX座標や直近の計測値と比較して、Y軸との距離が所定の閾値以上変化したか否かを判定する。ステップS303では、照度測定ロボット100がY軸の平行ではなく、斜めに走行しているか否かを判定している。Y軸との距離が変化していなければ(ステップS303;No)、進行方向補正処理を終了する。
【0060】
Y軸との距離が変化していれば(ステップS303;Yes)、CPU110は、駆動部102を駆動して、照度測定ロボット100の進行方向を補正する(ステップS304)。ステップS304では、例えば一旦停止して照度測定ロボット100の向きが次の測定地点の正面になるように進行方向を補正する。その後、進行方向補正処理を終了する。
【0061】
このように、この実施形態では、Y軸と平行の方向に走行している場合に、真正面に対して垂直方向(左方向)に向けて設けられたレーザー距離計105を利用し、Y軸となる壁との距離をレーザー距離計105により計測する。そして、Y軸との距離の変化を監視し、Y軸との距離の変化した場合には進行方向の補正を行う。即ち、Y軸となる壁との距離が一定になるよう走行を制御する。これにより、照度測定ロボット100を正確に測定地点へ移動させることができる。
【0062】
なお、この実施形態では、照度測定ロボット100の走行中にレーザー距離計105により進行方向のずれを監視し、進行方向がずれた場合に進行方向を補正する進行方向補正処理を実行するようになっていたが、このような進行方向補正処理(ステップS104の処理)を省略してもよい。進行方向補正処理を省略することで、走行制御が容易になり、CPU110の処理負担を軽減できる、走行速度の向上も期待できる。
【0063】
位置情報所得処理を終了すると、
図6の処理に戻り、CPU110は、測定地点に到着したか否かを判定する(ステップS105)。ステップ105では、車輪103の回転数及び車輪103の直径等から移動距離を算出し、照度測定ロボット100の現在位置に関する情報(現在位置の座標)を更新しながら、前の測定地点(または初期位置)の座標から次の測定地点の座標までの距離に達したか否かを判定する。このように、照度測定ロボット100は、前の測定地点(または初期位置)からの移動の方向及び距離を計測しながら、次の測定地点に向けて走行するようになっている。測定地点に到着していなければ(ステップS105;No)、走行を継続し、上述の進行方向補正処理を随時行う。
【0064】
測定地点に到着した場合(ステップS105;Yes)、CPU110は、駆動部102による駆動を停止し、走行を停止させる(ステップS106)。そして、CPU110は、照度センサ104により測定地点の照度を取得し、補助記憶装置113に測定地点の座標と対応付けて記憶する(ステップS107)。例えば、
図5(B)に示した測定地点座標データの対応する座標の照度を記憶する。続いて、CPU110は、停止しておりジャイロセンサ106から角速度が検出されないはずのタイミングで、キャリブレーション(オフセット調整)を行う(ステップS108)。このように、停止時に定期的にジャイロセンサ106の校正を行うので、ジャイロセンサ106による検出誤差を排除、低減できる。なお、測定地点で毎回ジャイロセンサ106のキャリブレーションを行うものでなくてもよく、ステップS108の処理が省略されてもよい。また、走行距離が所定距離を超えた場合や走行時間が所定時間を超えた場合に走行を停止してジャイロセンサ106のキャリブレーションを行うようにしてもよい。また、各測定地点におけるキャリブレーション有無を設定できるようにしてもよい。
【0065】
その後、CPU110は、全ての測定地点についての照度の測定が完了したか否かを判定する(ステップS109)。全ての測定地点についての照度の測定が完了していなければ(ステップS109;No)、ステップS102に戻り、照度の測定を継続する。全ての測定地点についての照度の測定が完了していれば(ステップS109;Yes)、自動照度測定処理を終了する。この際に、通信部109を介して外部の電子機器に測定完了の通知や測定結果情報を送信するようにしてもよい。
【0066】
以上のような自動照度測定処理を実行することで、ユーザにより指定された測定地点の照度を自動的に測定することができる。例えば、測定エリアが
図5(A)に示す体育館であり、測定地点としてP1〜P9が入力された場合、
図5(A)に示すように、P1〜P9に順次移動して、P1〜P9の照度が順次測定される。
【0067】
また、この実施形態の照度測定ロボット100は、照度測定の走行中に進行方向補正処理を実行するとともに、停止中にジャイロセンサ106のキャリブレーションを行うので、正確な自動走行を実現でき、正確に指定地点に移動できるので、自走制御の精度が向上する。また、指定地点の照度を正確に測定できる。
【0068】
また、この実施形態の照度測定ロボット100は、照度の測定を開始するときに位置情報取得処理を1回だけ実行して現在の向き及び現在位置を特定する。そして、その後、測定地点座標データと、位置情報取得処理により特定した向き及び現在位置と、に基づいて、現在位置からの移動の方向及び距離を計測しながら全ての測定地点の照度を測定する。このように、現在位置を特定するための処理が最初の1度で済むため、例えば、その都度レーザー距離計105により周囲の形状をスキャンし、現在位置を特定しながら照度を測定する場合等と比べて、照度の測定作業における照度測定ロボット100の走行スピード及び測定スピードを向上させることができる。例えば、この実施形態の照度測定ロボット100は、時速3キロメートル程度で走行しつつ照度の測定が可能である。
【0069】
また、この実施形態では、レーザー距離計105を用いたSLAMにより、測定エリアにおける照度測定ロボット100の向き及び現在位置を特定、取得するようになっているが、照度測定ロボット100の向き及び現在位置の特定の精度を担保するために、SLAMのパラメータを補正(調整)する機能を有する。
【0070】
図10は、本実施形態における照度測定ロボット100のCPU110が実行するパラメータ調整処理の一例を示すフローチャートである。CPU110は、例えば、通信部109を介してSLAMパラメータの調整を開始する指示を受信した場合や、ユーザの所定の操作を受け付けた場合、パラメータ調整処理を開始する。
【0071】
パラメータ調整処理では、CPU110は、まず、レーザー距離計105を起動して、レーザー光の照射を開始させる(ステップS401)。そして、CPU110は、駆動部102により左右の車輪103を等速でそれぞれ逆方向に回転させることで照度測定ロボット100をその場で360度回転させる(ステップS402)。
【0072】
そして、CPU110は、上述したステップS203と同様の処理を実行することにより、X軸及びY軸となる壁面、該X軸及びY軸の交点となる原点、及び、該X軸及びY軸の座標系に対する照度測定ロボット100の向き、現在位置(座標)の特定を行う(ステップS403)。
【0073】
その後、CPU110は、特定した現在の向き及び現在位置に基づいて、駆動部102により車輪103を回転させることで、Y軸と平行に向きを調整した上で、レーザー距離計105によりY軸との距離を取得する(ステップS404)。そして、CPU110は、駆動部102を駆動して、Y軸と平行の向きに直進のテスト走行を実行する(ステップS405)。テスト走行では、例えば、Y軸の正の方向に所定距離(例えば10メートル等)直進走行させる。
【0074】
テスト走行させた後、CPU110は、レーザー距離計105によりY軸との距離を再取得する(ステップS406)、再取得したY軸との距離が、ステップS404で取得したY軸との距離から所定値以上変化しているか否かを判定することにより、Y軸と平行に走行できたか否かを判定する(ステップS407)。
【0075】
Y軸との距離が変化しており、Y軸と平行に走行できていないと判定された場合(ステップS407;No)、CPU110は、SLAMのパラメータを調整し(ステップS408)、ステップS401に戻り、再度SLAMにより、測定エリアにおける現在位置を取得するための処理を実行する。ステップS208では、例えばレーザー距離計105のレーザーの強度や車輪103の回転速度を微調整する。このように、Y軸と平行に走行できたと判定されるまで、SLAMのパラメータを調整し、SLAMを繰り返すので、SLAMのパラメータを好適に調整することができる。
【0076】
Y軸と平行に走行できたと判定された場合(ステップS407;Yes)、位置情報所得処理を終了する。このようなパラメータ調整処理を実行することで、SLAMのパラメータを好適に調整することができ、照度測定ロボット100による向き及び現在位置の特定の精度を担保することができる。なお、テスト走行の距離は、Y軸との距離の取得タイミングはこの例に限定されず、テスト走行中に所定周期で複数回Y軸との距離を取得して、Y軸と平行に走行できているかを確認し、その結果に応じてSLAMのパラメータを調整するようにしてもよい。
【0077】
なお、ユーザの指示や操作に応じた任意のタイミング(例えば定期点検時)でパラメータ調整処理を実行することに限定されず、例えば、レーザー距離計105を用いたSLAMにより照度測定ロボット100の向き及び現在位置の特定を開始するときに、初期動作としてパラメータ調整処理を実行するようにしてもよい。例えば、
図7に示した位置情報取得処理において、まず、
図10に示したパラメータ調整処理を実行するようにしてもよい。このようにすることで、照度測定ロボット100による向き及び現在位置の特定の精度を担保することができる。
【0078】
なお本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形や応用が可能であり、更に特徴を追加してもよい。例えば、上記実施形態に示したフローチャートの処理内容や判定方法は、一例であって、上記実施形態と同様の作用、効果を奏することができれば任意でよい。また、上記実施形態で示した照度測定ロボット100の外観や構成は一例であり、同様の目的を達成できれば適宜変更可能である。そして、上記実施形態で説明した構成は、その全てが必須構成ではなく、その一部が欠けていてもよい。
【0079】
上記実施形態では、
図5(B)に示したように、複数の測定地点を指定する場合、測定順序も指定するようになっていたが、測定順序は指定せずに、照度測定ロボット100が、測定地点の座標に基づいて自動的に測定順序を判別するようにしてもよい。この場合、Y軸との距離の確認及び進行方向の補正(
図8の進行方向補正処理)を好適に実行できるように、極力Y軸と平行なルートを選択するようにしてもよい。例えば、測定地点として
図11(A)、(B)に示すようにA、B、Cが入力された場合、
図11(A)に示すように、初期位置から最短経路を通るルートを選択することも考えられるが、
図11(B)に示すように、初期位置からY軸と平行なルートを通るルートを選択するようにしてもよい。このようにすることで、Y軸との距離の確認及び進行方向の補正を好適に実行できるので、正確な自動走行を実現でき、正確に指定地点に移動できるので、自走制御の精度が向上する。また、指定地点の照度を正確に測定できる。
【0080】
上記実施形態では、照度測定ロボット100は、Y軸となる壁との距離が一定になるようにY軸との距離の確認及び進行方向の補正(
図8の進行方向補正処理)を実行するようになっていたが、Y軸以外の壁(平面)との距離をレーザー距離計105で計測し、その距離が一定になり、壁と平行に直進するように走行を制御するようにしてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、照度測定ロボット100は、Y軸と平行の方向に走行している場合に、Y軸となる壁との距離が一定になるようにY軸との距離の確認及び進行方向の補正(
図8の進行方向補正処理)を実行するになっていたが、Y軸と平行の方向に走行している場合以外にY軸等の基準となる壁(平面)との距離に基づいて進行方向を補正するようにしてもよい。例えば、Y軸等の基準となる壁(平面)に対して斜めに走行しているときに、その壁(平面)との距離をレーザー距離計105により計測し、直近の位置から次の測定地点への走行距離により特定される現在位置と壁との角度から三角関数により算出される壁との距離と合っているか否か確認し、その結果に基づいて進行方向を補正するようにしてもよい。このようにすることで、進行方向の補正を好適に実行できるので、正確な自動走行を実現でき、正確に指定地点に移動できるので、指定地点の照度を正確に測定できる。
【0082】
上記実施形態では、照度測定ロボット100は、走行中にY軸等の基準となる壁(平面)との距離に基づいて進行方向を補正するようになっていたが、該補正に加えてジャイロセンサ106による角速度の検出結果に基づいて進行方向を補正するようにしてもよい。
【0083】
上記実施形態では、照度測定ロボット100は、レーザー距離計105を用いたSLAMによりユーザが設定したX軸及びY軸を特定することにより、測定エリアとなる室内空間における現在位置(座標)を特定するようになっていたが、測定エリア全体の形状を入力し、レーザー距離計105により測定エリア全体の形状を検出して、測定エリアにおける現在位置を特定するようにしてもよい。
【0084】
上記実施形態では、自走式装置は指定地点の照度を測定する照度測定ロボット100であったが、自走式装置は指定地点に自動制御で移動可能な装置であればよく、例えば温度、湿度、風速等を計測する測定装置であってもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、CPU110が制御動作を行う例を説明した。しかし、制御動作は、CPU110によるソフトウェア制御に限られるものではない。制御動作の一部又は全部が専用の論理回路などのハードウェア構成を用いてなされても良い。
【0086】
また、以上の説明では、本発明に係るプログラムを記憶するコンピュータ読み取り可能な媒体としてROM112や補助記憶装置113を例に挙げて説明した。しかし、コンピュータ読み取り可能な媒体は、これらに限定されず、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)やDVD(Digital Versatile Disc)などの可搬型記憶媒体を適用してもよい。また、本発明に係るプログラムのデータを、通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0087】
その他、上記実施形態で示した構成、制御手順などの具体的な細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【解決手段】自走式装置は、周囲の物体との距離及び周囲の形状を検出する周囲検出手段と、周囲検出手段により検出した周囲の形状に基づいて、測定エリアにおける現在位置及び方向を判別する判別手段と、測定地点情報と判別手段による判別結果とに基づいて、駆動手段を駆動し、現在位置からの移動の方向及び距離を計測しながら自装置を測定地点に移動させる制御手段と、測定地点において照度を測定する照度測定手段と、を備え、制御手段は、ジャイロセンサからの情報に基づいて進行方向を制御し、測定地点において自装置を停止させたときにジャイロセンサの校正を行う。