(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6951567
(24)【登録日】2021年9月28日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】靴、特に安全靴
(51)【国際特許分類】
A43B 23/02 20060101AFI20211011BHJP
A43B 7/32 20060101ALI20211011BHJP
A43B 9/06 20060101ALI20211011BHJP
A43B 9/12 20060101ALI20211011BHJP
A43B 23/20 20060101ALI20211011BHJP
【FI】
A43B23/02 101Z
A43B7/32
A43B9/06
A43B9/12
A43B23/20 101
【請求項の数】11
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-519113(P2020-519113)
(86)(22)【出願日】2018年10月4日
(65)【公表番号】特表2020-535904(P2020-535904A)
(43)【公表日】2020年12月10日
(86)【国際出願番号】EP2018077020
(87)【国際公開番号】WO2019068816
(87)【国際公開日】20190411
【審査請求日】2020年4月2日
(31)【優先権主張番号】102017123131.5
(32)【優先日】2017年10月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513096082
【氏名又は名称】ファンナー・シュッツベクライドゥング・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Pfanner Schutzbekleidung GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファンナー、アントン
【審査官】
東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−284967(JP,A)
【文献】
実開昭51−129228(JP,U)
【文献】
特表2010−532201(JP,A)
【文献】
特開2012−231845(JP,A)
【文献】
米国特許第01337983(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0039210(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0148798(US,A1)
【文献】
特開平11−192101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 7/32
A43B 9/06
A43B 9/12
A43B 23/00 − 23/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴(10)であって、
ソール部分(12)と、
アッパー部分(14)と、
前記ソール部分(12)に接着結合されたランド部分(16)と、を含み、
前記ランド部分(16)は、前記アッパー部分(14)に対向する縁部(18)を有し、
前記ランド部分(16)の前記縁部(18)に沿ってリベット(20)が配置され、
前記リベット(20)は、前記ランド部分(16)及び前記アッパー部分(14)を貫通しており、
前記ランド部分(16)と前記アッパー部分(14)との間の少なくとも一部に、連結層(34)が設けられており、
前記連結層(34)は、その少なくとも一部が、前記アッパー部分(14)及び前記ランド部分(16)の両方に接着結合されていることを特徴とする靴(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の靴(10)であって、
前記ランド部分(16)の前記縁部(18)は、その少なくとも一部が、波状の形状を有し、
前記リベット(20)は、波状の前記縁部(18)の波頂部(22)に配置されることを特徴とする靴(10)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の靴(10)であって、
前記縁部(18)は、その少なくとも一部が、鋸歯状の形状を有し、
前記リベット(20)は、鋸歯状の前記縁部(18)のスパイク部(24)に配置されることを特徴とする靴(10)。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の靴(10)であって、
前記ランド部分(16)は、その少なくとも一部が、前記アッパー部分(14)に縫合されていることを特徴とする靴(10)。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の靴(10)であって、
前記ランド部分(16)は、その少なくとも一部が、前記アッパー部分(14)に接着結合されていることを特徴とする靴(10)。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の靴(10)であって、
靴(10)の内外方向における前記アッパー部分(14)の内側に、少なくとも部分的に、ライニング層(26)が設けられていることを特徴とする靴(10)。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の靴(10)であって、
靴(10)の内外方向における前記アッパー部分(14)の内側に、少なくとも部分的に、切創保護層(28)が設けられていることを特徴とする靴(10)。
【請求項8】
請求項6に記載の靴(10)であって、
前記リベット(20)は、少なくとも部分的に、前記ランド部分(16)、前記アッパー部分(14)、及び前記ライニング層(26)を貫通していることを特徴とする靴(10)。
【請求項9】
請求項6に記載の靴(10)であって、
靴(10)の内外方向における前記アッパー部分(14)の内側に、少なくとも部分的に、切創保護層(28)が設けられ、
前記リベット(20)は、少なくとも部分的に、前記ランド部分(16)、前記アッパー部分(14)、前記ライニング層(26)、及び前記切創保護層(28)を貫通していることを特徴とする靴(10)。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の靴(10)であって、
前記リベット(20)は、靴(10)の内外方向における内側端部に、平坦な頭部(30)を有することを特徴とする靴(10)。
【請求項11】
請求項1ないし9のいずれかに記載の靴(10)であって、
前記リベット(20)は、靴(10)の内外方向における外側端部に、ドーム状の頭部(32)を有することを特徴とする靴(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴に関し、特に、ソール部分、アッパー部分、及びランド部分を有する耐切創安全靴に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような靴は通常、多くの場合はプロファイルを有するゴム製のソール部分を含む。靴のアッパー部分は、様々な材料から構成され得る。アッパー部分は、1つの均質材料から作製してもよいし、または、アッパー部分の各部分を様々な材料から作製してもよい。例えば、水密性及び通気性等の機能的特性を有する、革、合成皮革、布、合成材料等が、アッパー部分の構成材料として好適である。ランド部分は、靴底に隣接し、上向きに延びる靴の補強材であり、通常は、ソール部分と同様にゴムから構成されている。ランド部分には、ソール部分に使用されるゴム混合物と同一または同様のゴム混合物が使用され得る。あるいは、ランド部分には、ソール部分に使用されるゴム混合物とは全く異なるゴム混合物を使用してもよい。ランド部分は、他の材料、例えば、皮革、合成皮革、布、合成材料等から構成してもよい。
【0003】
ランド部分はソール部分に接着結合され、最新技術では、アッパー部分に縫合される。ランド部分において、上記のような互いに異なる種類の結合方法が用いられるのは、ソール部分の領域では、接着結合が特に有用であり、ソール部分の領域における靴の絶対的な気密性を保証するからである。また、ソール部分とランド部分との材料は、接着剤の耐久性を高めるために、容易に組み合わせることができる。一方、アッパー部分の材料選択は、通常、アッパー部分に課される他の要件に完全に依存するため、ランド部分のアッパー部分への接着結合は、不可能である場合が多い。したがって、ランド部分は、アッパー部分に縫合される。
【0004】
しかしながら、ランド部分をアッパー部分に縫合すると、シーム(縫い目)が損傷したときに、ランド部分とアッパー部分との結合部分が開くという問題が発生する。このことは、頑丈さを求められる靴では、極めて望ましくない。それどころか、例えばハイキングブーツ、作業靴、特に耐切創安全靴では、あらゆる条件下で耐久性を有し、それにより、所要の安全性を提供することが重要な要件である。
【0005】
本発明の課題は、従来技術の問題点を解決し、特に、ランド部分とアッパー部分との結合部分の耐久性を向上させることにある。本発明の上記の課題は、独立クレームの特徴によって解決される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の有利な実施形態は、従属クレームにおいて特定される。
【0007】
本発明は、一般的な靴であって、ランド部分の縁部に沿って配置されたリベットが、ランド部分及びアッパー部分を貫通している靴を提供する。さらに、リベットによる結合は、ランド部分とアッパー部分との縫合及び/または接着結合に加えて用いられることが好ましい。リベットによる結合は、非常に高い耐久性を提供する。また、リベットの存在により、シームを、その外部から加えられる摩擦から保護することができ、これにより、長期間の耐久性が達成される。このように、リベットは、2つの機能を提供する。1つは結合手段としての機能であり、もう1つは、靴を外部から保護する機能である。これは、靴が耐切創安全靴である場合、すなわち、例えばチェーンソー等の切断工具との衝突から着用者の足を保護することを意図した靴である場合に、特に有用である。1以上のリベットが適切に配置されている場合、チェーンソーは、リベットと当たることにより靴から跳ね返され、これにより、靴は、全くまたはほとんど損傷を受けずに済む。その結果、着用者の足は、無傷に保たれる。
【0008】
ランド部分が、その縁部の少なくとも一部が波状の形状を有するように構成され、リベットが、波状の縁部の波頂部に配置されることが好ましい。このようにすると、アッパー部分は、結合に必要とされる程度だけランド部分と重複し、ランド部分の波状の縁部の波底部において露出する。アッパー部分が、通気性等の機能的特性を有する場合、アッパー部分は、波状の縁部の波底部では、ランド部分によって損なわれることなく有効であり得る。
【0009】
同様の利点が、ランド部分が、その縁部の少なくとも一部が鋸歯状の形状を有するように構成され、リベットが、鋸歯状の縁部のスパイク部に配置されることによっても達成される。
【0010】
本発明においては、ランド部分をさらに、少なくとも部分的に、アッパー部分に縫合させることが好ましい。原則として、リベットによる結合が、アッパー部分とランド部分との間の唯一の結合であると想定される。そして、リベットによる結合に加えて、ランド部分とアッパー部分との間に別の結合、例えば、プレスまたは溶着結合が存在することも想定される。しかしながら、上述したように、縫合は、ランド部分の縁部に沿って、ランド部分のアッパー部分への連続的な結合を提供することができ、縫合の縫い目(シーム)はリベットによって確実に保護されるので、縫合とリベットとを組み合わせることは特に有益である。
【0011】
また、ランド部分をさらに、少なくとも部分的に、アッパー部分に接着結合させることも、特に有益であり得る。上記の縫合の場合と同様に、接着結合も、ランド部分の縁部に沿って、ランド部分のアッパー部分への連続的な結合を提供する。
【0012】
本発明においては、ランド部分とアッパー部分との間の少なくとも一部に、ランド部分及びアッパー部分の両方に少なくとも部分的に接着結合される連結層を設けることが好ましい。ランド部分をアッパー部分に接着結合させる場合、ランド部分及びアッパー部分の材料は、互いに接着できないか、または接着が不十分にしか達成できない恐れがある。そのような場合、ランド部分とアッパー部分との間に連結層を設けるとよい。連結層の材料としては、ランド部分及びアッパー部分の両方に接着結合が可能な材料が選択される。とりわけ、特殊なゴム混合物が好適である。
【0013】
靴の内外方向におけるアッパー部分の内側に、ライニング層を少なくとも部分的に設けることが有益である。ライニング層は、物理的な影響及び気象条件に対する追加的な保護を提供する。
【0014】
靴の内外方向におけるアッパー部分の内側に、切創保護層ライニング層を少なくとも部分的に設けることが有益である。切創保護層は、靴の内側に裏打ちされる材料であり、その繊維状組織に起因して、のこぎりやチェーンソーでは容易に切ることができない。切創保護層は、それ自体が細かく刻まれることによって、のこぎりやチェーンソーを止めることができる。リベットの存在にもかかわらずチェーンソーが靴を貫通した場合には、切創保護層によって、靴の着用者を無傷に守る。
【0015】
リベットは、少なくとも部分的に、ランド部分、アッパー部分及びライニング層を貫通することが好ましい。これにより、リベットは、靴の特定の安定性を提供するいくつかの層を一体的に保持することができる。
【0016】
また、リベットは、少なくとも部分的に、ランド部分、アッパー部分、ライニング層、及び切創保護層を貫通してもよい。あるいは、他の実施形態では、切創保護層は、リベットによって貫通されないように、靴の内外方向におけるアッパー部分の内側に配置してもよい。この場合、切創保護層は、加圧点を避けるために、足をリベットに対する露出から保護する追加的な機能を有する。
【0017】
これに関連して、リベットの、靴の内外方向における内側端部が、実質的に平坦な頭部を有することも有益である。ドーム状の頭部とは対照的に、平坦な頭部は、足に対して圧力をほとんど加えない。
【0018】
これとは対照的に、リベットの、靴の内外方向における外側端部が、実質的にドーム状の頭部を有することが有益である。靴の外側部分に位置するリベットのドーム状の頭部は、リベットに衝突するのこぎり等に対する、より大きい当接及び防御面積と、より大きな防御質量とを提供する。
【0019】
以下、特に好ましい実施形態に基づく添付図面を参照して、本発明の一例を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明による靴の斜視側面図である。
図2は、本発明による靴の正面図である。靴10は、本実施形態では、例えば、ハイキングシューズ、作業靴、とりわけ、耐切創安全靴に共通する、背の高いカラー部分(足首を覆う部分)を有する靴10である。靴10は、プロファイルを有するゴム製のソール部分12を含む。靴10のアッパー部分14は、本実施形態では、その少なくとも一部が布地で作られている。ソール部分12には、ソール部分12に接着結合されたランド部分16が隣接している。本実施形態では、ランド部分16もゴム製である。ランド部分16は、靴10の横方向の補強を提供する。ランド部分16は、靴10を完全に取り囲むように設けてもよいし、靴10の一部のみに設けてもよい。ランド部分16の縁部18は、その一部が、波状または鋸歯状に形成される。ランド部分16は、複数のリベット20によってアッパー部分14に結合される。リベット20は、波状の縁部18の波頂部22、または鋸歯状の縁部18のスパイク部24に配置される。加えて、ランド部分16は、アッパー部分14に縫合及び/または接着結合され得る。
【0022】
リベット20は、ランド部分16とアッパー部分14との間の信頼できる結合を提供する。さらに、リベット20は、切創に対する保護も提供する。もし、のこぎり等がリベット20に当たったときは、リベット20によって、のこぎり等を高確率で跳ね返すことができ、これにより、靴10の着用者の足を保護し、無傷に保つことができる。さらに、ランド部分16とアッパー部分14とが縫合されている場合には、リベット20は、シーム(縫い目)を保護し、シームの摩耗を低減させることができる。これにより、ランド部分16とアッパー部分14との間の結合領域における靴10の耐久性が維持される。
【0023】
図3は、リベットの近傍における層構造の断面図を示す。リベット20は、靴10の内外方向における外側に配置されているランド部分16を、その内側に配置されているアッパー部分14に結合させる。ランド部分16とアッパー部分14との間には、連結層34が設けられ得る。また、靴10の内外方向におけるアッパー部分14の内側に、ライニング層26及び切創保護層28を設けてもよい。本実施形態では、リベット20は、ランド部分16、連結層34、アッパー部分14、及びライニング層26を貫通している。本実施形態では、靴10の内外方向におけるライニング層26の内側に設けられた切創保護層28は、リベット20によって貫通されていない。なお、切創保護層28を、リベット20によって貫通するようにしてもよい。同様に、ライニング層26が、リベット20によって貫通しないようにしてもよい。また、靴10の内外方向におけるライニング層26と切創保護層28との配置位置を逆にしてもよい。この場合、ライニング層26と切創保護層28との両層を、リベット20によって貫通しないようにしてもよい。または、この場合、ライニング層26と切創保護層28との両層の靴10の内外方向における内側の層のみをリベット20によって貫通しないようにしてもよい。または、この場合、ライニング層26と切創保護層28との両層をリベット20によって貫通するようにしてもよい。また、リベット20は、靴10の内外方向における内側端部に、平坦な頭部30を有しており、これにより、リベット20から靴10の着用者の足に加わる圧力が極力小さくなるようにしている。また、リベット20は、靴10の内外方向における外側端部に、ドーム状の頭部32を有しており、これにより、靴10の外面の保護、及び靴10の着用者に切創保護のために、より大きい当接面積及び質量を提供している。
【0024】
上述した説明、図面、及び特許請求の範囲に開示された本発明の特徴は、個々及び任意の組み合わせの両方において、本発明の実現のために重要であり得る。
【符号の説明】
【0025】
10 靴
12 ソール部分
14 アッパー部分
16 ランド部分
18 縁部
20 リベット
22 波頂部
24 スパイク部
26 ライニング層
28 切創保護層
30 平坦な頭部
32 ドーム状の頭部
34 連結層