【実施例】
【0013】
図1は、本発明に係わるカード式オルゴール装置の実施の一形態を示している。このオルゴール装置1は、オルゴール本体3を通過するカード22に推進力を与える送りローラ15とこれを手動や、モータ動力で駆動させる軸12、ハンドル7を備えている。手動の場合はハンドル7を回して行い、電動の場合は、動力収納箱4に収められたモータ動力で行うが(この内部構造の説明は省略)、手動とモータ動力の切換えや、軸12の左右の両方向の回転を一方向に変換する為の切換え手段14を備えている。更に、演奏・巻取りをスタートさせ、カードを巻戻す時のローラ17と従動プーリ6との回転伝達を制御し、動力のモータのスイッチを作動させる操作板40が支柱40cに支持されている。
(操作板40で動力のスイッチをON・OFFさせる図は省略する)
【0014】
取付台2にはローラ軸受18・19が固定され、ローラ16はこの軸受とプーリ軸5aで支持され、軸12に固定されている駆動プーリ8は、従動プーリ5とベルト10で連動され、更に、従動プーリ5はローラ16とプーリ軸5aで支持され、駆動バネ5bの摩擦力で接続されている。同様にローラ軸受20・21とプーリ軸6aがローラ17を支持し、軸13に固定の駆動プーリ9は、従動プーリ6とベルト11で連動され、ローラ17はプーリ軸6a、駆動バネ6bで接続されている。
【0015】
図2は、オルゴール本体3の平面図であるが、軸12はフレーム23に固定されている地板A24と地板C26で回転自在に支持され、クラッチ歯車A29、クラッチ歯車B30は冠歯車27と噛み合い、ピニオン28を介して送りローラ15と繋がっている。又、クラッチ歯車A29・クラッチ歯車B30と軸12は回転方向に応じて回転の接続・遮断が出来るように構成され、更に、駆動プーリ8はクラッチ歯車A29に一体固定されている。軸13は地板B25と地板C26で回転自在に支持され、クラッチ歯車B33とは一方向のみ回転が伝達され、又、駆動プーリ9はクラッチ歯車B33に一体固定されている。
【0016】
図3、
図4は切換え手段の実施例である。クラッチ歯車A29は凹部29bが設けられ、ラチェット29aが嵌入し、軸12とラチェット29aは一体固定されている。軸12、ラチェット29aが右回転(矢印方向)すると、腕先端が凹部29bに設けられた段差に係合し、クラッチ歯車A29と接続されて冠歯車27に回転が伝達される様にクラッチが構成されている。尚、クラッチ歯車A29では、左回転させた時だけ軸12と接続して回転が伝達される。
【0017】
クラッチ歯車A29、A32、A34及びB30、B31、B33、B35の部品構成・機能は全く同じであり、軸12にはクラッチ歯車A29とB30が、軸37にはクラッチ歯車A32とB31が、同じく軸38にはクラッチ歯車A34とB35が対向して配置されている。従ってクラッチ歯車B30、B31、B35は、軸12、37、38が左回転する時だけ軸と接続して回転伝達される。更に、クラッチ歯車A32とB35は、モータ動力からの回転を伝達する動力歯車36と噛み合い、軸12、13へ動力伝達の接続・遮断を行う。
【0018】
図5は巻取り手段と巻戻し手段の実施例である。巻取りローラ16は、フランジ16cと16dを両端に一体固定された円筒16aで構成され、ローラ軸受18、ローラ軸16fにより回転自在に支持されている。又、ローラ軸受19、プーリ軸5aが軸受孔16eで回転自在に支持され、プーリ軸5aには駆動バネ5bが固定され、フランジ16dを押している。又、円筒16aの外周部には、カード22の先端部を固定する為の板バネ16bが固定されている。
【0019】
巻戻しローラ17は、円筒17aの片側にはフランジ17dが一体固定されているが、他端のフランジ17cは円筒17aとは手で分離可能な状態で構成され、フランジ17cはローラ軸受20、スライド軸17hにより、軸受孔17gで支持される同時に、圧縮バネ17iでスライド軸17hがフランジ17cを押している。反対側では、ローラ軸受21、プーリ軸6aが、軸受孔17eでフランジ17dを回転自在に支持し、駆動バネ6bがプーリ軸6aに一体固定されている。更に従動プーリ6に設けられた溝6cに、レバー40bが係合しており、操作板40の作動によりレバー40bが支柱40cを支点にして回動すると、駆動バネ6bがスライドして駆動孔17fに対して嵌入・離脱する。又、17aの外周部には、カード22の後端部を固定する為の板バネ17bが固定されている。
【0020】
以下、オルゴール装置1の作動について説明する。最初、ローラ17側のスライド軸17hを引っ張りフランジ17c、dが両サイドに固定されている円筒17aを取り外す。次にフランジ17cを外してロール状のカード22を円筒17aに押しこみ装着後、再びスライド軸17hをスライドさせて元の位置にセットする。この時、操作板40が
図1のSの位置に有り、駆動バネ6bが駆動孔17fから離脱しており、ローラ17は回転自在状態なので、カード22の先端を取り出し、オルゴール本体3に差し込みながらハンドル7を回転させると、送りローラ15も回転してカード22に推進力が発生し、オルゴール本体3に挿入される。さらハンドル7を回転させ、カード22の先端をローラ17の板バネ17bまで送り、先端をこの板バネに差し込む事により演奏準備が完了する。尚この時、ハンドル7を左右どちらの方向に回転させても、クラッチ歯車A29、B30と軸12の作用により、冠歯車27は
図3の矢印方向に回転し、カード22は前方に送られる。同時に、クラッチ歯車A29には駆動プーリ8が固定され、ベルト10により従動プーリに連動してローラ16が回転するので、演奏している間、カード22はローラ16に巻き取られる。尚、カード22の送りスピードよりローラ16の回転速度を速く設定してあるので、押えバネ5bの働きによりローラ16には摩擦伝達力が発生し、カード22はローラ16に確実に巻き取られる。
【0021】
以下、モータ動力で作動させる場合を説明する。
図1で操作板40をPの位置まで回動させるとモータのスイッチがONとなり、動力歯車36が右回転する。するとこの歯車と噛み合っているクラッチ歯車A32は左回転し、軸37と接続状態となり軸37は左回転し、クラッチ歯車B31は接続されて左回転する。この為、クラッチ歯車B31と噛み合っているクラッチ歯車A29は右回転して冠歯車27を矢印方向に回転させる。反対側で動力歯車36と噛み合っているクラッチ歯車B35は左回転するので回転伝達が遮断され軸13、駆動プーリ9は回転しない。
【0022】
次に演奏が終了し、カード22を手動で巻戻す場合を説明する。
図1で操作板40をRの位置まで回動させ、レバー40bにより駆動プーリ6、駆動バネ6bがスライドして駆動孔17fと係合させる。次にローラ16に巻き取られているカード22の終端部を持ち、オルゴール本体3の上方を渡してローラ17の方向に引っ張ってきて、板バネ17bで固定する。ハンドル7を軸13に付け替え、左に回転するとクラッチ歯車B33、駆動プーリも左回転し、ベルト11と連動している従動プーリ6、ローラ17も左回転してカード22が巻戻される。尚、カード22が巻戻される時、ローラ16は駆動バネ5bで押されて摩擦接続しているだけなので、強制的に左方向に回転させられる。
【0023】
以下、モータ動力でカード22を巻戻す場合であるが、前記と同じ要領でカード22の終端部をローラ17に固定した後、操作板40をRの位置のままでモータスイッチをONにすると、動力歯車36が左回転する。するとこの歯車と噛み合っているクラッチ歯車B35は右回転し、軸38とは接続状態となりクラッチ歯車A34も右回転し、この結果クラッチ歯車B33、駆動プーリ9も一体で左回転してローラ17がカード22を巻戻す。この時、反対側で動力歯車36と噛み合っているクラッチ歯車A32は右回転するので回転伝達が遮断され軸12、駆動プーリ8は回転しない。円筒17aに巻き取られたカード22を交換する場合は、スライド軸17hを引っ張ってスライドさせ、取り外した後、フランジ17cを外し、ロール状のカード22を円筒17aから抜き取り後、オルゴール装置1の作動で先述の通りの手順で別のカードをセットする。
【0024】
以上は本発明の一実施例であり、この実施例に限定されるものではない。例えば切換え手段の構成部品であるクラッチ歯車の別の実施例は
図6で示す様に、クラッチ歯車41には環状部41aが設けられ、軸38に固定されている受板41bが嵌入している。受板41bは凹部41dを有し、その中にコロ41cが嵌入しており、軸38やクラッチ歯車41の回転方向に応じて、回転伝達の接続・遮断を行う。