(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6951662
(24)【登録日】2021年9月29日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】電源システム
(51)【国際特許分類】
H03K 17/693 20060101AFI20211011BHJP
H03K 17/567 20060101ALI20211011BHJP
B60R 16/033 20060101ALI20211011BHJP
B62D 5/04 20060101ALI20211011BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20211011BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20211011BHJP
【FI】
H03K17/693 D
H03K17/567
B60R16/033 B
B62D5/04
H02J1/00 304E
H02J7/00 J
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-166863(P2017-166863)
(22)【出願日】2017年8月31日
(65)【公開番号】特開2019-47247(P2019-47247A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2019年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前川 広世
【審査官】
工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−103951(JP,A)
【文献】
特開2011−178384(JP,A)
【文献】
特開2011−229353(JP,A)
【文献】
特開2017−84623(JP,A)
【文献】
特開2016−140135(JP,A)
【文献】
特開2014−27345(JP,A)
【文献】
特開2011−114985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R16/033
B62D5/04
H02J1/00−1/16
H02J7/00−7/36
H03K17/567
H03K17/693
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源と、前記第1電源に接続された第1導電路と、第2電源と、前記第2電源に接続された第2導電路と、前記第1導電路と前記第2導電路との間に配されて前記第1導電路と前記第2導電路との間を電気的に接続可能な接続ユニットと、前記第1電源及び前記第2電源の少なくとも一方から電力の供給を受けることが可能な負荷と、を備えた電源システムであって、
前記第1導電路又は前記第2導電路に接続可能な第1の端子と、
前記第1の端子が前記第1導電路に接続された状態で前記第2導電路に接続可能とされ、前記第1の端子が前記第2導電路に接続された状態で前記第2導電路に接続可能とされる第2の端子と、
前記第1の端子及び前記第2の端子の少なくとも一方が前記第2導電路に接続された状態で前記第1導電路に接続可能とされる第3の端子と、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に互いに直列に接続された第1のスイッチ部及び第2のスイッチ部と、
前記第1のスイッチ部に対して並列に接続された第1のダイオードと、
前記第2のスイッチ部に対して並列に、かつ、前記第1のダイオードとは逆向きに接続された第2のダイオードと、を備え、
前記第3の端子は、前記第1のスイッチ部と前記第2のスイッチ部との直列接続間に電気的に接続されており、
前記第1のスイッチ部及び前記第2のスイッチ部の少なくとも一方がオフされることにより、前記第1のダイオード及び前記第2のダイオードによって前記第3の端子と前記第1の端子及び前記第2の端子の少なくとも一方との間の一方向の通電が可能とされ、前記一方向とは反対方向の通電が遮断されるとともに、
前記第1のスイッチ部及び前記第2のスイッチ部がオフされた状態で、前記第1のダイオード及び前記第2のダイオードによって前記第1の端子と前記第2の端子との間の双方向の通電が遮断され、
前記負荷は、前記第1電源及び前記第2電源の少なくとも一方と並列接続されている電源システム。
【請求項2】
前記第1のスイッチ部及び前記第1のダイオードは第1のFETにより構成され、前記第2のスイッチ部及び前記第2のダイオードは第2のFETにより構成されており、
前記第1のダイオード及び前記第2のダイオードは、アノード側が前記第3の端子に電気的に接続される向きとされている請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
複数の前記第1のスイッチ部と、複数の前記第2のスイッチ部と、複数の前記第1のダイオードと、複数の前記第2のダイオードと、を備え、
前記複数の第1のダイオードは、互いに並列に接続され、前記複数の第2のダイオードは、互いに並列に接続されている請求項1又は請求項2に記載の電源システム。
【請求項4】
前記第1の端子と前記第2の端子とは、共に前記第2導電路に接続されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項5】
前記第1の端子は、前記第1導電路に接続され、前記第2の端子は、前記第2導電路に接続され、前記第3の端子は開放されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項6】
前記負荷は、電動式パワーステアリング装置である請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、複数の電源間の通電を遮断可能な技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、負荷に電力を供給可能な複数の電源を備え、複数の電源間の通電をスイッチにより遮断可能な電源システムが知られている。特許文献1の電源システムは、発電機、スタータ及びバッテリが並列に接続されているとともに、直列に接続されたDC/DCコンバータと蓄電部とが負荷に対して並列に接続され、バッテリ側と蓄電部側とを接続する導電路には、FETが設けられる構成が開示されている。この電源システムのFETのオン時には、バッテリ側と蓄電部側との間の双方向の通電が可能とされるとともに、FETのオフ時には、FETの寄生ダイオードにより、バッテリ側から蓄電部側への通電は可能とされ、蓄電部側からバッテリ側への通電は遮断されるため、エンジン始動時の瞬時電圧の低下の影響が負荷に及ばないようになっている。
【0003】
特許文献2の電源システムは、オルタネータ、スタータ、電気負荷及び鉛蓄電池が並列に接続されているとともに、リチウム蓄電池と定電圧要求電気負荷が並列に接続されており、鉛蓄電池側とリチウム蓄電池側とを接続する導電路に一対のMOS−FETが直列に接続された構成が開示されている。この電源システムの一対のMOS−FETは、互いの寄生ダイオードが逆向きとなるように接続されており、一対のMOS−FETが共にオンされた状態では双方向の通電が可能とされ、一対のMOS−FETが共にオフされた状態では双方向の通電が遮断されるため、MOS−FETのオフ時には一方の蓄電池側の電圧低下の影響が他方の蓄電池側に及ばないようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、FETのオフ時には複数の蓄電池間の一方向のみの通電が可能とされるのに対して、上記特許文献2では、一対のMOS−FETのオフ時には複数の蓄電池間の双方向の通電が遮断される。電源システムの用途に応じて、複数の蓄電池間の一方向のみの通電を可能としたり、複数の蓄電池間の双方向の通電が遮断されるようにすることが考えられるが、このような場合には、回路構成を変更した新たな電源システムを形成しなければならず、回路の構成が複雑化し、電源システムの製造コストが高くなるという問題があった。
【0006】
本明細書に記載された技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、製造コストを低減しつつ第1電源と第2電源との間の通電方向の変更に対応することが可能な
電源システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に記載された接続ユニットは、第1電源に接続された第1導電路と第2電源に接続された第2導電路との間に配されて前記第1導電路と前記第2導電路との間を電気的に接続可能な接続ユニットであって、前記第1導電路又は前記第2導電路に接続可能な第1の端子と、前記第1の端子が前記第1導電路に接続された状態で前記第2導電路に接続可能とされ、前記第1の端子が前記第2導電路に接続された状態で前記第2導電路に接続可能とされる第2の端子と、前記第1の端子及び前記第2の端子の少なくとも一方が前記第2導電路に接続された状態で前記第1導電路に接続可能とされる第3の端子と、前記第1の端子と前記第2の端子との間に互いに直列に接続された第1のスイッチ部及び第2のスイッチ部と、前記第1のスイッチ部に対して並列に接続された第1のダイオードと、前記第2のスイッチ部に対して並列に、かつ、前記第1のダイオードとは逆向きに接続された第2のダイオードと、を備え、前記第3の端子は、前記第1のスイッチ部と前記第2のスイッチ部との直列接続間に電気的に接続されており、前記第1のスイッチ部及び前記第2のスイッチ部の少なくとも一方がオフされることにより、前記第1のダイオード及び前記第2のダイオードによって前記第3の端子と前記第1の端子及び前記第2の端子の少なくとも一方との間の一方向の通電が可能とされ、前記一方向とは反対方向の通電が遮断されるとともに、前記第1のスイッチ部及び前記第2のスイッチ部がオフされた状態で、前記第1のダイオード及び前記第2のダイオードによって前記第1の端子と前記第2の端子との間の双方向の通電が遮断される。
【0008】
本構成によれば、第1の端子、第2の端子及び第3の端子に接続される第1導電路又は第2導電路の組み合わせを変えることで、第1のスイッチ部及び第2のスイッチ部の少なくとも一方がオフされることにより第1のダイオード及び第2のダイオードによって第3の端子と第1の端子及び第2の端子の少なくとも一方との間の一方向のみの通電を可能とする態様と、第1のスイッチ部及び第2のスイッチ部がオフされた状態で、第1のダイオード及び第2のダイオードによって第1の端子と第2の端子との間の双方向の通電を遮断する態様と、を共通の接続ユニットを用いて行うことが可能になる。これにより、第1導電路と第2導電路との間の通電方向を変更した電源システムを構成する際に接続ユニットを共通化することができるため、製造コストを低減しつつ第1電源と第2電源との間の通電方向の変更に対応することが可能となる。
【0009】
本明細書に記載された技術の実施態様としては以下の態様が好ましい。
前記第1のスイッチ部及び前記第1のダイオードは第1のFETにより構成され、前記第2のスイッチ部及び前記第2のダイオードは第2のFETにより構成されており、前記第1のダイオード及び前記第2のダイオードは、アノード側が前記第3の端子に電気的に接続される向きとされている。
このようにすれば、第3の端子にダイオードのカソード側が電気的に接続される構成と比較して、例えば発電機が接続された第1導電路に第3の端子が接続された状況において、発電機側の地絡故障が発生した際に、ダイオードに大電流が通電することによるFETの故障を抑制することができる。
【0010】
複数の前記第1のスイッチ部と、複数の前記第2のスイッチ部と、複数の前記第1のダイオードと、複数の前記第2のダイオードと、を備え、前記複数の第1のダイオードは、互いに並列に接続され、前記複数の第2のダイオードは、互いに並列に接続されている。
このようにすれば、複数の経路に電流が分流するため、通電可能な電流容量を大きくすることができる。
【0011】
前記接続ユニットと、前記第1電源と、前記第2電源と、前記第1導電路と、前記第2導電路と、前記第1電源及び前記第2電源の少なくとも一方から電力の供給を受けることが可能な負荷と、を備える電源システムとする。
このようにすれば、共通の接続ユニットを用いて第1電源と第2電源との間の通電方向を変更可能な電源システムを構成することができる。
【0012】
前記第1の端子と前記第2の端子とは、共に前記第2導電路に接続されている。
このようにすれば、第1導電路と第2導電路との間の電流容量を大きくすることができる。
【0013】
前記第1の端子は、前記第1導電路に接続され、前記第2の端子は、前記第2導電路に接続され、前記第3の端子は開放されている。
【0014】
前記負荷は、電動式パワーステアリング装置である。
【発明の効果】
【0015】
本明細書に記載された技術によれば、製造コストを低減しつつ第1電源と第2電源との間の通電方向の変更に対応することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態の電源システムの第1の態様を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態>
実施形態の電源システム10は、例えば電気自動車等の車両に搭載することができるものである。
(電源システム10)
電源システム10は、
図1に示すように、発電機12(「第1電源」の一例)と、スタータ13と、第1蓄電部14(「第1電源」の一例)と、第2蓄電部15(「第2電源」の一例)と、負荷17と、車両制御装置18と、発電機12及び第1蓄電部14と第2蓄電部15との間に接続される接続ユニット20(
図1では接続ユニット20の内部は一部省略)とを備える。
【0018】
発電機12は、例えばオルタネータと整流装置とを備え、オルタネータが発電した交流が直流に変換されて出力される。スタータ13は、第1蓄電部14から電力の供給を受けてエンジンを始動させる。
【0019】
第1蓄電部14は、例えば鉛バッテリとすることができる。第2蓄電部15は、例えばリチウムイオン蓄電池や電気二重層キャパシタとすることができる。第2蓄電部15には、異常時に接続を遮断して第2蓄電部15を保護するための保護スイッチ16が接続されている。保護スイッチ16は、コイルと接点部とを有する電磁スイッチが用いられている。
【0020】
負荷17は、車両の種々の電装品等とすることができるが、本実施形態では、例えば電動式パワーステアリング装置とされている。負荷17は、発電機12、第1蓄電部14及び第2蓄電部15の少なくとも一つから電力の供給を受けることで負荷17のモータ等の電気部品が動作する。発電機12とスタータ13と第1蓄電部14とは、第1導電路11Aとグランドとの間に並列に接続されており、第2蓄電部15と負荷17とは、第2導電路11Bとグランドとの間に並列に接続されている。第1導電路11A及び第2導電路11Bは、電線等からなり、接続ユニット20に接続されている。
【0021】
車両制御装置18は、例えば車両のECU(Electronic Control Unit)に備えられている。ECUは、電子部品が実装された回路基板を有する回路部と、外部と接続するためのコネクタ部とを備えており、第1蓄電部14及び第2蓄電部15の電圧の検知や充放電コントロール、負荷17への電力の供給の制御等を行うことができる。本実施形態の車両制御装置18は、接続ユニット20の外部信号用端子21Dに接続されており、制御信号S1を出力してFET22A,22B,23A,23Bのオンオフを制御し、第1導電路11Aと第2導電路11Bとの間の通電を制御する。なお、ECUに後述する接続ユニット20を設けてもよいが、ECUの外部に接続ユニット20を設けてもよい。
【0022】
車両制御装置18は、接続ユニット20,発電機12,スタータ13のスイッチ,保護スイッチ16の動作を制御するための制御信号S1〜S4を出力する。例えば車両のイグニッションキー(操作部)の操作等に応じて車両制御装置18は、接続ユニット20,発電機12,スタータ13のスイッチ,保護スイッチ16等に制御信号S1〜S4を出力する。また、車両制御装置18には、第1蓄電部14及び第2蓄電部15から送信された充電状態を示す電圧等の信号が入力される。
【0023】
(接続ユニット20)
接続ユニット20は、例えば回路基板(図示しない)に複数の電子部品と複数のコネクタ部とが実装されて構成されており、
図2に示すように、複数のコネクタ部に配される4つの端子21A〜21Dと、4つのFET(Field effect transistor)22A,22B,23A,23Bと、複数の駆動部27A,27Bと、複数の検出部28A,28Bと、制御部29とを備えている。4つの端子21A〜21Dは、第1導電路11Aや第2導電路11Bの端末部の端子に接続可能な第1〜第3の端子21A〜21Cと、車両制御装置18に接続された信号線の端末部の端子に接続される外部信号用端子21Dとを備える。外部信号用端子21Dは、制御部29との間で信号の入出力を行う。
【0024】
第1〜第3の端子21A〜21Cは、後述する電源システム10の態様に応じて第1導電路11Aと第2導電路11Bとのいずれかの端末部の端子に接続可能とされている。第1の端子21Aと第2の端子21Bとの間には、直並列に接続された4つのFET22A,22B,23A,23Bが接続されている。
【0025】
4つ(複数)のFET22A,22B,23A,23Bは、例えばN型のMOSFETであって、並列接続された第1のFET22A,23Aと、並列接続された第2のFET22B,23Bとからなり、第1のFET22A,23Aと第2のFET22B,23Bとが直列に接続されている。直列に接続された第1のFET22Aと第2のFET22Bとの間、及び、第1のFET23Aと第2のFET23Bとの間の導電路26には、第3の端子21Cが電気的に接続されている。
【0026】
第1のFET22A,23Aは、共に第1のスイッチ部24Aと、第1のダイオード25Aとを備え、第2のFET22B,23Bは、共に第2のスイッチ部24Bと、第2のダイオード25Bとを備えている。第1のダイオード25Aと第2のダイオード25Bとは、FET22A,22B,23A,23Bの寄生ダイオードであって、直列に接続されたダイオード25A,25B間の通電方向が逆向きとなるように接続されており、各ダイオード25A,25Bのアノード側同士が導電路26に接続されて第3の端子21Cに接続されている。一方、並列な一対の第1のダイオード25Aのカソードは、共に第1の端子21Aに電気的に接続され、並列な一対の第2のダイオード25Bのカソードは、共に第2の端子21Bに電気的に接続されている。各FET22A,22B,23A,23Bのゲートは、複数の駆動部27A,27Bに接続されている。
【0027】
複数の駆動部27A,27Bは、第1駆動部27Aと第2駆動部27Bとからなり、第1駆動部27Aは、制御部29及び第1検出部28Aからの信号を受けており、第1のFET22A,23Aのゲートに駆動信号を出力し、第1のFET22A,23Aをオンオフ駆動する。第2駆動部27Bは、制御部29及び第2検出部28Bからの信号を受けており、
第2のFET22B,23Bのゲートに信号を出力し、第2のスイッチをオンオフ駆動する。
【0028】
複数の検出部28A,28Bは、第1検出部28Aと第2検出部28Bとからなり、第1検出部28Aは、第1のFET22A,23Aのドレイン側の電流及び電圧の少なくとも一方を検出し、低電圧や過電流などの異常判定を行う。第2検出部28Bは、第2のFET22B,23Bのドレイン側の電流及び電圧を検出し、低電圧や過電流などの異常判定を行う。
【0029】
第1検出部28Aによる検出結果及び異常判定結果は、第1駆動部27A及び制御部29に送信される。第2検出部28Bによる検出結果及び異常判定結果は、第2駆動部27B及び制御部29に送信される。例えば、第1検出部28Aや第2検出部28Bで異常判定があった場合には、駆動部27A,27Bは、異常判定がされた側のFET22A,23A(22B,23B)をオフする。制御部29は、検出部28A,28Bからの検出信号及び車両制御装置18からの制御信号S1を受けており、検出信号及び制御信号S1に基づいて駆動部27A,27Bの駆動を制御する。
【0030】
(電源システム10の態様)
接続ユニット20の第1〜第3の端子21A〜21Cに対する第1導電路11A,第2導電路11B等の接続形態により、電源システム10は、第1〜第3の態様10A〜10Cに変更可能とされている。
(第1の態様10A)
第1の態様10Aは、
図1に示すように、接続ユニット20の第3の端子21Cに第1導電路11Aが接続され、第1の端子21A及び第2の端子21Bに第2導電路11Bが接続されている。第1導電路11Aは、並列接続された発電機12とスタータ13と第1蓄電部14とを介してグランドに接続されている。第2導電路11Bは、並列接続された第2蓄電部15と負荷17とを介してグランドに接続されている。
第1の態様10Aによれば、駆動部27A,27Bからの信号により、FET22A,22B,23A,23Bがオンした状態では、第1導電路11Aと第2導電路11Bとの間の双方向の通電が可能とされる。一方、FET22A,22B,23A,23Bの全てがオフした状態では、ダイオード25A,25Bにより、第1導電路11A側から第2導電路11B側への通電が可能となり、第2導電路11B側から第1導電路11A側への通電が遮断される。エンジン始動時には、接続ユニット20のFET22A,22B,23A,23Bがオフされた状態となり、第2蓄電部15側から第1蓄電部14側への通電が遮断されるため、エンジン始動時の瞬時電圧低下の影響が第2蓄電部15及び負荷17側に及ばないようになっている。また、FET22A,22B,23A,23Bの通電が複数の経路により可能となるため、電流容量を大きくすることができる。
【0031】
(第2の態様10B)
第2の態様10Bでは、
図3に示すように、第1の端子21Aに第1導電路11Aが接続され、第2の端子21Bに第2導電路11Bが接続され、第3の端子21Cは、外部の導電路に接続されず、開放されている。第1導電路11Aは、並列接続された発電機12とスタータ13と第1蓄電部14とを介してグランドに接続されている。第2導電路11Bは、並列接続された第2蓄電部15と負荷17とを介してグランドに接続されている。
第2の態様10Bによれば、駆動部27A,27Bからの信号により、FET22A,22B,23A,23Bがオンした状態では、第1導電路11Aと第2導電路11Bとの間の双方向の通電が可能とされる。一方、FET22A,22B,23A,23Bの全てがオフした状態では、直列に接続されたダイオード25A,25Bの方向が逆方向であることにより第1導電路11Aと第2導電路11Bとの間の双方向の通電が遮断される。これにより、FET22A,22B,23A,23Bの全てがオフした状態では、第1蓄電部14及び発電機12と、第2蓄電部15及び負荷17との間の電源が分離されるため、第1導電路11Aと第2導電路11Bとの間の一方側の影響(電圧低下等)を他方側が受けないようにすることができる。なお、制御部29からの信号により駆動部27A,27Bの一方から駆動信号を出力し、第1のFET22A,23Aと第2のFET22B,23Bとの一方をオンし、他方をオフすることにより、第1導電路11Aと第2導電路11Bとの間の一方向の通電を可能とし、反対方向の通電を遮断するようにしてもよい。
【0032】
(第3の態様10C)
第3の態様10Cでは、
図4に示すように、第3の端子21Cに第1導電路11Aが接続され、第1の端子21Aに第2導電路11Bが接続され、第2の端子21Bに第3導電路11Cが接続されている。第1導電路11Aは、並列接続された発電機12とスタータ13を介してグランドに接続されている。第2導電路11Bは、並列接続されたと第1蓄電部14と負荷17とを介してグランドに接続されている。第3導電路11Cは、直列接続された保護スイッチ16と第2蓄電部15とを介してグランドに接続されているとともに、保護スイッチ16及び第2蓄電部15に対して負荷17が並列に接続されている。
【0033】
第3の態様10Cによれば、駆動部27A,27Bからの信号により、FET22A,22B,23A,23Bがオンした状態では、第1導電路11Aと第2導電路11Bとの間、第1導電路11Aと第3導電路11Cとの間、第2導電路11Bと第3導電路11Cとの間のいずれについても双方向の通電が可能とされる。一方、FET22A,22B,23A,23Bの全てがオフした状態では、ダイオード25A,25Bにより、第1導電路11A側から第2導電路11B及び第3導電路11C側への通電が可能となり、第2導電路11B及び第3導電路11C側から第1導電路11A側への通電が遮断される。これにより、エンジン始動時の瞬時電圧低下の影響が第2導電路11B及び第3導電路11C側の第1蓄電部14、第2蓄電部15及び負荷17に及ばないようにすることができる。また、直列に接続されたダイオード25A,25Bの方向が逆方向とされているため、FET22A,22B,23A,23Bのオフ時には、双方向の通電を遮断でき、第2導電路11Bの第1蓄電部14及び負荷17と、第3導電路11Cの第2蓄電部15間の電源を分離して、第2導電路11Bと第3導電路11Cとの一方側の影響(地絡等による電圧低下や過電流等の影響)を他方側が受けないようにすることができる。例えば第2伝導路11B又は第3伝導路11Cが故障した場合、ダイオード25A,25Bが対になっているので、故障していない側の伝導路に故障の影響が生じないようにすることができる。
【0034】
本実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
接続ユニット20は、第1電源に接続された第1導電路11Aと第2電源に接続された第2導電路11Bとの間に配されて第1導電路11Aと第2導電路11Bとの間を電気的に接続可能な接続ユニット20であって、第1導電路11A又は第2導電路11Bに接続可能な第1の端子21Aと、第1の端子21Aが第1導電路11Aに接続された状態で第2導電路11Bに接続可能とされ、第1の端子21Aが第2導電路11Bに接続された状態で第2導電路11Bに接続可能とされる第2の端子21Bと、第1の端子21A及び第2の端子21Bの少なくとも一方が第2導電路11Bに接続された状態で第1導電路11Aに接続可能とされる第3の端子21Cと、第1の端子21Aと第2の端子21Bとの間に互いに直列に接続された第1のスイッチ部24A及び第2のスイッチ部24Bと、第1のスイッチ部24Aに対して並列に接続された第1のダイオード25Aと、第2のスイッチ部24Bに対して並列に、かつ、第1のダイオード25Aとは逆向きに接続された第2のダイオード25Bと、を備え、第3の端子21Cは、第1のスイッチ部24Aと第2のスイッチ部24Bとの直列接続間に電気的に接続されており、第1のスイッチ部24A及び第2のスイッチ部24Bの少なくとも一方がオフされることにより、第1のダイオード25A及び第2のダイオード25Bによって第3の端子21Cと第1の端子21A及び第2の端子21Bの少なくとも一方との間の一方向の通電が可能とされ、一方向とは反対方向の通電が遮断されるとともに、第1のスイッチ部24A及び第2のスイッチ部24Bがオフされた状態で、第1のダイオード25A及び第2のダイオード25Bによって第1の端子21Aと第2の端子21Bとの間の双方向の通電が遮断される。
【0035】
本実施形態によれば、第1の端子21A〜21D、第2の端子21A〜21D及び第3の端子21A〜21Dに接続される第1導電路11A又は第2導電路11Bの組み合わせを変えることで、第1のスイッチ部24A及び第2のスイッチ部24Bの少なくとも一方がオフされることにより第1のダイオード25A及び第2のダイオード25Bによって第3の端子21Cと第1の端子21A及び第2の端子21Bの少なくとも一方との間の一方向のみの通電を可能とする態様と、第1のスイッチ部24A及び第2のスイッチ部24Bがオフされた状態で、第1のダイオード25A及び第2のダイオード25Bによって第1の端子21Aと第2の端子21Bとの間の双方向の通電を遮断する態様と、を共通の接続ユニット20を用いて行うことが可能になる。これにより、第1導電路11Aと第2導電路11Bとの間の通電方向を変更した電源システム10を構成する際に接続ユニット20を共通化することができるため、製造コストを低減しつつ第1蓄電部14と第2蓄電部15との間の通電方向の変更に対応することが可能となる。
【0036】
また、第1のスイッチ部24A及び第1のダイオード25Aは第1のFET22A,23Aにより構成され、第2のスイッチ部24B及び第2のダイオード25Bは第2のFET22B,23Bにより構成されており、第1のダイオード25A及び第2のダイオード25Bは、アノード側が第3の端子21Cに電気的に接続される向きとされている。
このようにすれば、第3の端子21Cにダイオードのカソード側が電気的に接続される構成と比較して、例えば発電機12が接続された第1導電路11Aに第3の端子21Cが接続された状況において、発電機12側の地絡故障が発生した際に、ダイオードに大電流が通電することによるFET22A,22B,23A,23Bの故障を抑制することができる。
【0037】
また、複数の第1のスイッチ部24Aと、複数の第2のスイッチ部24Bと、複数の第1のダイオード25Aと、複数の第2のダイオード25Bと、を備え、複数の第1のダイオード25Aは、互いに並列に接続され、複数の第2のダイオード25Bは、互いに並列に接続されている。
このようにすれば、複数のダイオード25A,25Bに電流が分流するため、通電可能な電流容量を大きくすることができる。
【0038】
また、電源システム10は、接続ユニット20と、第1蓄電部14と、第2蓄電部15と、第1導電路11Aと、第2導電路11Bと、第1蓄電部14及び第2蓄電部15の少なくとも一方から電力の供給を受けることが可能な負荷17とを備える。
このようにすれば、共通の接続ユニット20を用いて第1蓄電部14と第2蓄電部15との間の通電方向を変更可能な電源システム10を構成することができる。
【0039】
第1導電路11Aは、発電機12を備え、第3の端子21Cは、第1導電路11Aに接続されており、第1の端子21A及び第2の端子21Bの少なくとも一方は、第2導電路11Bに接続されている。
このようにすれば、発電機12の電力を第2蓄電部15に供給することができる。
【0040】
第1の端子21Aと第2の端子21Bとは、共に第2導電路11Bに接続されている。
このようにすれば、発電機12及び第1蓄電部14と第2蓄電部15との間の電流容量を大きくすることができる。
【0041】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
(1)FET22A,22B,23A,23Bは、蓄電池の容量に応じて2つ並列に接続したが、これに限られず、蓄電池の容量に応じて3つ以上に並列に接続してもよい。また、複数のFETを並列に接続せず、複数のFET22A,22B(23A,23B)を直列接続のみで構成してもよい。
【0042】
(2)FET22A,22B,23A,23B(スイッチ部)は、N型としたが、これに限られず、P型としてもよい。また、FET22A,22B,23A,23Bがスイッチ部とダイオードとを備える構成に限られず、個別の部品としてのスイッチ部(例えば機械式リレー)とダイオードとを備える構成としてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10: 電源システム
11A: 第1導電路
11B: 第2導電路
12: 発電機(第1電源)
13: スタータ
14: 第1蓄電部(第1電源)
15: 第2蓄電部(第2電源)
17: 負荷
18: 車両制御装置
20: 接続ユニット
21A: 第1の端子
21B: 第2の端子
21C: 第3の端子
21D: 外部信号用端子
22A,23A: 第1のFET
22B,23B: 第2のFET
24A: 第1のスイッチ部
24B: 第2のスイッチ部
25A: 第1のダイオード
25B: 第2のダイオード
27A: 第1駆動部
27B: 第2駆動部
28A: 第1検出部
28B: 第2検出部
29: 制御部