特許第6951663号(P6951663)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6951663
(24)【登録日】2021年9月29日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/66 20060101AFI20211011BHJP
【FI】
   H01R13/66
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-249533(P2017-249533)
(22)【出願日】2017年12月26日
(65)【公開番号】特開2019-114517(P2019-114517A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2020年6月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷▲崎▼ 俊文
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 由宇
【審査官】 太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−220355(JP,A)
【文献】 特開2006−252888(JP,A)
【文献】 特開2001−060475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56−13/72
H01R 12/00−12/91
H01R 13/40−13/533
H01R 24/00−24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線が接続された端子と、
前記端子を収容するハウジングと、
前記ハウジング内に収容された前記端子を抜け止めした状態で前記ハウジングから引き出される前記電線を収容するリテーナと、
前記電線に沿わせて配置され、前記リテーナに設けられたセンサ収容部に収容される温度センサと、
前記リテーナに組み付けられるホルダとを備え、
前記ホルダは、左右方向に長い1つの大型分割体と、前記大型分割体と2つのヒンジを介して連結された2つの小型分割体と、によって構成され、前記2つのヒンジは、前記大型分割体の左右両端部に設けられており、
前記2つの小型分割体と前記大型分割体と、隣り合う前小型分割体と前記大型分割体との間に前記電線を挿通させた状態で前記センサ収容部に収容された前記温度センサを抜け止めするコネクタ。
【請求項2】
前記2つの小型分割体と前記大型分割体とは、前記2つの小型分割体が前記2つのヒンジを支点に回動するようにして前記大型分割体に組み付けられるようになっており、
前記大型分割体には、前記小型分割体を回動させて前記大型分割体に組み付ける過程において、前記小型分割体が正規の回動軌道から位置ずれした際に、前記小型分割体を正規の組付位置に案内するガイド部が設けられている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記小型分割体は、前記大型分割体に設けられた被係止枠内に挿入されて前記被係止枠に係止する弾性変形可能な弾性係止片が設けられており、
前記ガイド部は、前記小型分割体が正規の回動軌道から位置ずれした際に、前記弾性係止片を前記被係止枠内に向けて案内する請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記大型分割体は、前記電線を配置する電線配置部を複数有しており、
前記小型分割体は、前記電線を介して前記電線配置部と対向するように前記大型分割体にそれぞれ組み付けられるようになっている請求項2または請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記小型分割体は、前記ヒンジが設けられた側の端部に設けられ、前記大型分割体において前記小型分割体における回動方向と交差する方向の面と摺動して前記小型分割体を正規の組付位置に案内する補助ガイド部が設けられている請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記2つの小型分割体と前記大型分割体とには、隣り合う前記小型分割体と前記大型分割体とを互いに組み付ける方向と交差する方向に互いに当たり合うことで、隣り合う前記小型分割体と前記大型分割体との合わせ位置が位置ずれすることを抑制する位置ずれ防止部が設けられている請求項2から請求項5のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、温度センサを備えたコネクタとして、例えば、特開2002−352635号公報(下記特許文献1)に記載のものが知られている。このコネクタは、
金属端子と、温度センサとしてのサーミスタと、金属端子とサーミスタとに接触した状態に配置される絶縁性熱伝導材とを備えており、金属端子にて発生する熱が絶縁性熱伝導材を介してサーミスタに伝達される。
【0003】
また、この種のコネクタでは、電線の温度を正解に測定するために、電線が挿入される筒部内に温度センサを収容し、温度センサを電線に沿わせて配置することによって電線の温度を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−352635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、筒部に温度センサを収容して電線の温度を検出する場合、温度センサの抜け止めとして筒部に電線挿通孔を有するホルダを装着し、電線挿通孔の周縁部において温度センサの抜けを防止する方法が考えられる。しかしながら、筒部にホルダを装着する場合、ホルダの電線挿通孔に対して電線を先通しする作業が必要となり、ホルダの装着作業が煩雑になってしまう。
【0006】
本明細書では、温度センサの組み付け作業の簡素化を図る技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書によって開示される技術は、電線が接続された端子と、前記端子を収容するハウジングと、前記ハウジング内に収容された前記端子を抜け止めした状態で前記ハウジングから引き出される前記電線を収容するリテーナと、前記電線に沿わせて配置され、前記リテーナに設けられたセンサ収容部に収容される温度センサと、前記リテーナに組み付けられるホルダとを備えたコネクタであって、前記ホルダは、複数の分割体で構成され、前記複数の分割体のうち隣り合う分割体はヒンジを介して連結されており、前記複数の分割体は、隣り合う前記分割体との間に前記電線を挿通させた状態で前記センサ収容部に収容された前記温度センサを抜け止めする構成とした。
【0008】
このような構成のコネクタによると、複数の分割体で電線を囲うようにホルダを構成し、このようなホルダをリテーナに組み付けることで、センサ収容部に対して温度センサを抜け止めできる。これにより、電線の温度の測定精度を向上させることができると共に、温度センサの組み付け作業の簡素化を図ることができる。
【0009】
本明細書によって開示されるコネクタは、以下の構成としてもよい。
前記隣り合う分割体は、隣り合う分割体のうちの一方の前記分割体が前記ヒンジを支点に回動するようにして他方の前記分割体に組み付けられるようになっており、前記他方の分割体には、前記一方の分割体を回動させて前記他方の分割体に組み付ける過程において、前記一方の分割体が正規の回動軌道から位置ずれした際に、前記一方の分割体を正規の組付位置に案内するガイド部が設けられている構成としてもよい。
【0010】
このような構成によると、一方の分割体が正規の回動軌道から位置ずれした場合でも、一方の分割体をガイド部によって正規の組付位置に案内し、隣り合う分割体を正しく組み付けることができる。これにより、温度センサの抜け止めを図ることができ、温度センサによって電線の温度を測定することができる。
【0011】
前記一方の分割体は、前記他方の分割体に設けられた被係止枠内に挿入されて前記被係止枠に係止する弾性変形可能な弾性係止片が設けられており、前記ガイド部は、前記一方の分割体が正規の回動軌道から位置ずれした際に、前記弾性係止片を前記被係止枠内に向けて案内する構成としてもよい。
【0012】
このような構成によると、弾性変形可能な弾性係止片を係止枠内に案内し、弾性係止片と被係合枠とを係止させることができる。すなわち、ヒンジが不正に屈曲したり、弾性係止片が不正に弾性変形したりすることにより、弾性係止片が位置ずれし易い場合であっても、隣り合う分割体を正しく組み付けることができ、温度センサの抜け止めを図ることができる。
【0013】
前記他方の分割体は、前記電線を配置する電線配置部を複数有しており、前記一方の分割体は、前記電線を介して前記電線配置部と対向するように前記他方の分割体にそれぞれ組み付けられるようになっている構成としてもよい。
【0014】
このような構成によると、他方の分割体の複数の電線配置部において複数の電線を配置することができるから、一方の分割体と他方の分割体とがそれぞれ1対1で対応して設けられる場合に比べて、部品点数を少なくすることができ、ホルダの組み付け作業を簡素化することができる。
【0015】
前記一方の分割体は、前記ヒンジが設けられた側の端部に設けられ、前記他方の分割体において前記一方の分割体における回動方向と交差する方向の面と摺動して前記一方の分割体を正規の組付位置に案内する補助ガイド部が設けられている構成としてもよい。
【0016】
このような構成によると、一方の分割体における補助ガイド部と、他方の分割体の摺動面とが摺動して一方の分割体が交差する方向に位置ずれすることを抑制することができる。また、補助ガイド部が、ヒンジが設けられた側の端部に設けられているから、ヒンジから離れた位置に設けられる場合に比べて、一方の分割体の回動初期の時点から、一方の分割体が位置ずれすることを抑制することができる。
【0017】
前記分割体には、隣り合う前記分割体を互いに組み付ける方向と交差する方向に互いに当たり合うことで、隣り合う前記分割体同士の合わせ位置が位置ずれすることを抑制する位置ずれ防止部が設けられている構成としてもよい。
【0018】
このような構成によると、位置ずれ防止部が隣り合う分割体を互いに組み付ける方向と交差する方向に互いに当たり合うことで、分割体同士の合わせ位置が交差する方向に位置ずれすることを抑制することができ、温度センサの抜け止めを図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本明細書によって開示される技術によれば、温度センサの組み付け作業の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】充電インレットの正面図
図2】充電インレットの側面図
図3】充電インレットの背面図
図4図3におけるA−A線断面図
図5】リテーナにホルダを組み付ける前の状態を示したハウジングの背面図
図6】小型分割体を大型分割体に組み付ける前の状態を示すホルダの正面図
図7】小型分割体を大型分割体に組み付ける前の状態を示すホルダの平面図
図8】小型分割体を大型分割体に組み付ける前の状態を示すホルダの側面図
図9】小型分割体を大型分割体に組み付ける前の状態を示すホルダの背面図
図10】小型分割体を大型分割体に組み付ける前の状態を示すホルダの底面図
図11】小型分割体を大型分割体に組み付ける過程を示した正面図
図12】小型分割体を大型分割体に組み付けてホルダを構成した状態を示す正面図
図13図12におけるB−B線断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施形態>
本明細書に開示された技術における一実施形態について図1から図13を参照して説明する。
本実施形態は、例えば、電気自動車などの車両に設けられた充電インレット(「コネクタ」の一例)10であって、車両に搭載された蓄電装置を充電する際に、図示しない充電コネクタが接続されるものである。
【0022】
充電インレット10は、図4に示すように、ハウジング20と、ハウジング20に収容される複数の端子30と、複数の端子30を抜け止めするリテーナ40と、端子30に接続される電線Wの温度を測定する温度センサ60と、温度センサ60を抜け止めするホルダ80とを備えて構成されている。
【0023】
ハウジング20は合成樹脂製であって、図示しない相手側コネクタが嵌合可能な嵌合部21を有している。嵌合部21には、図1,4および図5に示すように、複数の端子30が後方から収容される複数の端子収容部22が設けられている。嵌合部21の周囲には、図示しない車両のボディに取り付けられる平板状の取付部23が設けられている。
【0024】
取付部23は、四隅が丸みを帯びた略矩形板状をなしている。取付部23の四隅には、図示しない締結ボルトが挿通されるカラー23Aが設けられており、取付部23の前面には、嵌合部21を囲むように面シール部材23Bが取り付けられている。
嵌合部21は、図4に示すように、取付部23を板厚方向である前後方向に貫通する配置で設けられており、各端子収容部22は、嵌合部21内において、略円筒状に形成されている。
【0025】
図1に示すように、複数の端子収容部22のうち、左右両側に配される端子収容部22は、後述する電源端子30Aを収容する電源端子収容部22Aとされており、電源端子収容部22Aの間に配される端子収容部22は、後述するアース端子30Bを収容するアース端子収容部22Bとされている。電源端子収容部22Aおよびアース端子収容部22Bの上方に配される一対の端子収容部22は、後述する信号端子30Cを収容する信号端子収容部22Cとされ、信号端子収容部22Cは、電源端子収容部22Aおよびアース端子収容部22Bよりも小径の端子収容部22とされている。
【0026】
各端子収容部22に収容される端子30は、導電性に優れた金属で形成されている。端子30のうち、電源端子収容部22Aに収容される端子30が電源用の電源端子30Aであって、アース端子収容部22Bに収容される端子30がアース用のアース端子30Bとされている。また、信号端子収容部22Cに収容される端子30は、信号用の信号端子30Cとされ、信号端子30Cは、電源端子30Aおよびアース端子30Bよりも小径の端子30とされている。
【0027】
なお、図4の端子30は、電源端子30Aであって、各端子30は、同様の構成であるため、電源端子30Aを代表として説明し、アース端子30Bおよび信号端子30Cの説明は省略する。
【0028】
電源端子30Aは、図4に示すように、略円柱状の大径部32と、大径部32の外周面から環状に張り出すフランジ部34と、大径部32の前端から前方に延出する端子接続部36と、大径部32よりも小径な形態でフランジ部34から後方に延びる小径部33と、小径部33の後端から後方に延出する電線接続部38とを備えて構成されている。
【0029】
端子接続部36は、図示しない相手方端子が内部に嵌合される略円筒状をなしている。端子接続部36には、前端から後方に向けて延びる複数のスリット36Aが設けられることで複数の弾性片37が設けられている。端子接続部36は、複数の弾性片37の間に相手方端子が挿入されることで、各弾性片37と相手方端子とが弾性的に接触し、相手方端子と電気的に接続されるようになっている。
【0030】
電線接続部38は、後方に開口する略円筒状のクローズドバレルであって、電線Wの芯線W1が電線接続部38の内部に収容可能とされている。電線接続部38の内部に芯線W1が収容された状態で圧着されることにより、電源端子30Aと電線Wとが電気的に接続されるようになっている。
【0031】
各端子収容部22において嵌合部21の奥壁を貫通する位置よりも後側の部分は、図4に示すように、前側の部分に比べてやや拡径されている。電源端子収容部22Aにおいて径寸法が切り替わった位置は、電源端子30Aのフランジ部34が後方から当接する前止まり部24とされており、電源端子収容部22A内に端子30を後方から挿入する際に、フランジ部34が後方から当接することで、電源端子30Aが正規の端子組付位置に前止まりされるようになっている。
また、電源端子30Aが前止まりされて正規の端子組付位置に至ると、電源端子30Aの端子接続部36および大径部32とが電源端子収容部22A内に収容されると共に、電線Wが後方に引き出された電線接続部38が電源端子収容部22Aから後方に突出した状態となる。
【0032】
ハウジング20は、嵌合部21および取付部23の下部から後方に延びるフード部25を有している。フード部25は、略円筒状をなしており、フード部25の軸線は嵌合部21の中心軸線に対して下方にずれた配置とされている。また、フード部25の後端部には、各端子30を抜け止めするリテーナ40が装着可能とされている。
【0033】
リテーナ40は、円形板状のリテーナ本体42と、リテーナ本体42の外周縁部に設けられた外側周壁44と、外側周壁44の内側に配された内側周壁46と、各端子収容部22に対応するように設けられた複数の抜け止め筒部50とを備えて構成されている。
【0034】
外側周壁44は、リテーナ本体42の外周縁から前後に延びた形態をなしており、外側周壁44においてリテーナ本体42よりも前側の部分には、外方に弾性変形可能な複数のロック片44Aが設けられている。複数のロック片44Aは、周方向に等間隔に複数(本実施形態では4つ)設けられており、ハウジング20のフード部25の外周面において周方向に等間隔に設けられた複数(本実施形態では4つ)の係止部25Aに係止することでリテーナ40をハウジング20に固定する。
【0035】
内側周壁46は、図4に示すように、リテーナ本体42から前方に延びた略円筒形状に形成されており、リテーナ本体42の前面において外側周壁44よりも内側に配されている。内側周壁46の外周面には、環状のゴムリング46Aが嵌着されている。ゴムリング46Aは、リテーナ40がハウジング20に固定されると、フード部25における後端部内周面に密着し、ハウジング20とリテーナ40との間をシールするようになっている。
【0036】
各抜け止め筒部50は、略円筒状に形成されている。抜け止め筒部50は、リテーナ本体42を前後方向に貫通するように形成されており、抜け止め筒部50においてリテーナ本体42よりも前側部分は前側筒部51とされ、抜け止め筒部50においてリテーナ本体42よりも後側部分は後側筒部52とされている。
【0037】
前側筒部51は、前後方向略中央部よりも前側部分がハウジング20の端子収容部22内に適合して嵌合されるようになっており、前側筒部51が端子収容部22内に嵌合されると、前側筒部51内における前側の部分に端子30の小径部33が適合して嵌合され、前側筒部51内における後側の部分に端子30の電線接続部38が収容されるようになっている。
【0038】
また、前側筒部51の前端部は、リテーナ40がハウジング20に固定されると、端子収容部22内に収容された端子30のフランジ部34の直後に配され、前側筒部51がフランジ部34に対して後方から全周に亘って当接することで、端子30を端子収容部22内に抜け止め状態に保持する。
【0039】
後側筒部52は、リテーナ40がハウジング20に固定されると、電線接続部38から後方に引き出された電線Wが収容され、後側筒部52から後方に電線Wが引き出された状態となる。
【0040】
複数の抜け止め筒部50のうち、電源端子収容部22Aに対応する抜け止め筒部50は電源端子用筒部50Aとされている。電源端子用筒部50Aの後側筒部52Aは、図5に示すように、上部が左右方向に水平に延びる平坦部55とされており、電源端子用筒部50Aの後側筒部52A内には、温度センサ60が収容可能なセンサ収容部56が設けられている。
【0041】
詳細には、電源端子用筒部50Aの後側筒部52Aにおける電線Wの上方には、背面視略矩形状に開口するセンサ挿入口56Aが設けられており、センサ挿入口56Aから温度センサ60がセンサ収容部56内に収容可能とされている。
【0042】
温度センサ60は、略方形のブロック状をなしており、図4に示すように、温度センサ60の後面60Aからは一対の信号線61が後方に引き出されている。温度センサ60は、後側筒部52A内において、電線Wの延び方向に沿うようにして電線Wの絶縁被覆W2上に密着して配置される。これにより、電線Wの温度を精度よく測定することができるようになっている。
また、電源端子用筒部50Aの後端部には、温度センサ60を抜け止めするホルダ80が装着可能とされている。
【0043】
ホルダ80は、図3図5から図13に示すように、電源端子用筒部50Aの後方に配される抜止部本体81と、抜止部本体81から各電源端子用筒部50Aの外周面に沿うように前方に向かって延びる一対の周壁部90とを備えて構成されている。
【0044】
抜止部本体81は、リテーナ40における電源端子用筒部50Aおよびアース端子30Bに対応する抜け止め筒部50が配された領域に亘って左右方向に長い平板状をなしており、抜止部本体81の左右両端部に略円形状に形成された一対の円形部82と、一対の円形部82を左右方向に直線的に連結する連結部83とによって構成されている。
【0045】
円形部82は、略円形状をなしており、円形部82の軸心には、電線Wが挿通される略円形状の電線挿通孔84が形成されている。電線挿通孔84は、電線Wが適合して挿通される大きさとされており、ホルダ80がリテーナ40の電源端子用筒部50Aに装着された際に、電線挿通孔84から電線Wが後方に引き出されるようになっている。
円形部82は、電源端子用筒部50Aの後端開口よりもやや大きい略円形状に形成されており、円形部82の外周縁部に周壁部90が設けられている。
【0046】
周壁部90は、図12に示すように、円形部82の下端部からもう一方の円形部82側である内側の外周縁部まで半円状に延びる半円壁部91と、円形部82の上端部に設けられた平板壁部92と、もう一方の円形部82とは反対側である外側の縁部に設けられた取付片93とによって略円筒状に設けられており、電源端子用筒部50Aの後端部にホルダ80が装着される際には、図4に示すように、周壁部90内に電源端子用筒部50Aの後側筒部52Aが適合して嵌合されるようになっている。
【0047】
平板壁部92は、円形部82の上端縁から前方に平板状に延出された形態とされ、ホルダ80がリテーナ40に装着されると、電源端子用筒部50Aの平坦部55上に配置され、ホルダ80に対してリテーナ40を安定して配置することができるようになっている。
【0048】
取付片93は、径方向外側に弾性変形可能に形成されている。取付片93には、図2に示すように、前後方向に延びる係止孔94が設けられており、係止孔94には、電源端子用筒部50Aの後側筒部52Aの外面に設けられた係止突起53が内側に嵌合可能とされている。
【0049】
取付片93は、ホルダ80をリテーナ40に装着する過程で、係止突起53に乗り上げることで外側に弾性変形し、ホルダ80がリテーナ40に対して正規の装着位置に組み付けられると、係止突起53が係止孔94内に嵌合することで弾性復帰する。そして、係止突起53と取付片93とが前後方向に係止することでホルダ80がリテーナ40に対して固定されるようになっている。
【0050】
円形部82における電線挿通孔84の下側縁には、図4に示すように、円形部82から前方に延出する押当片85が設けられている。押当片85は、図12に示すように、下面が僅かに丸みを帯びた正面視略矩形状をなす柱状に形成されており、図4に示すように、ホルダ80がリテーナ40に装着された際に、後側筒部52A内に進入するようになっている。
【0051】
後側筒部52A内に進入した押当片85は、電線Wの下面と後側筒部52Aの内周面との間に圧入気味に配置され、電線Wを温度センサ60に向けて押し付ける役割を果たしている。よって、押当片85に押圧された電線Wと温度センサ60とが後側筒部52A内において密着する。したがって、温度センサ60による電線Wの温度の測定精度を向上させることができる。
【0052】
円形部82における電線挿通孔84の上方には、図3に示すように、温度センサ60から後方に引き出される一対の信号線61が挿通される信号線挿通孔86が形成されている。信号線挿通孔86は、略矩形状をなし、電線挿通孔84と連通して設けられている。
【0053】
信号線挿通孔86は、温度センサ60の後面60Aよりもやや小さい大きさに形成されており、ホルダ80がリテーナ40に装着されると、図4に示すように、信号線挿通孔86の外周縁部が温度センサ60の後面60Aと前後方向に係止可能となることにより、温度センサ60がセンサ収容部56から後方に抜け止めされるようになっている。なお、一対の信号線61は、電線Wの上面に沿うようにして信号線挿通孔86から後方に引き出されている。
【0054】
連結部83は、図3および図12に示すように、一対の円形部82において互いに隣り合う側の上半分を左右に連結した横長な形態とされている。連結部83の上縁部には、左右方向に延びる平板状の庇部87が設けられている。庇部87は、一対の円形部82における平板壁部92の間を連結した形態とされており、庇部87の前後方向の長さ寸法は、図7および図10に示すように、平板壁部92の前後方向の長さ寸法の半分程度とされている。
【0055】
連結部83の左右方向略中央部には、図3および図12に示すように、アース端子収容部22Bに対応する抜け止め筒部50から後方に引き出された電線Wが挿通される挿通溝88が設けられている。
挿通溝88は、板厚方向に貫通すると共に下方に開口した形態とされており、挿通溝88の下端開口から電線Wを挿通溝88内に挿入することができるようになっている。また、挿通溝88の下端開口における左右両側内壁間の距離は、電線Wの外径よりもやや小さく設定されており、挿通溝88内に電線Wが挿入されると、挿通溝88の下端開口から電線Wが下方に脱落することを抑制できるようになっている。
【0056】
さて、ホルダ80は、図6図9および図12に示すように、大まかには、円形部82の一部によって構成される2つの小型分割体(「一方の分割体」の一例)70と、円形部82における残りの部分と連結部83とによって構成される大型分割体(「他方の分割体」の一例)75とを組み合わせることで構成されている。
【0057】
詳細には、各小型分割体70は、円形部82のうちの電線挿通孔84の内側(一対の円形部82において互いに隣り合う側)の部分から押当片85を含む電線挿通孔84の下側の部分までの円形部82の約1/4の部分とそれに連なる周壁部90によって構成され、大型分割体75は、それぞれの円形部82のうちの小型分割体70を除いた円形部82の約3/4の部分とそれに連なる周壁部90と連結部83とによって構成されている。
【0058】
各小型分割体70は、略円弧状をなし、各小型分割体70における一端部70Aが大型分割体75とヒンジ72を介して連結されている。
【0059】
ヒンジ72は、大型分割体75の各円形部82における下端部75Aの外周面75Bと、小型分割体70の一端部70Aの外周面70B(円形部82における下端面)とを繋いだ形態とされている。隣り合う小型分割体70と大型分割体75とは、ヒンジ72を支点にヒンジ72を屈曲させて小型分割体70が回動するようになっている。ヒンジ72を屈曲させ、小型分割体70が正規の回動軌道に沿わせて変位すると、小型分割体70における径方向に延びる一対の小型側対向面73と大型分割体75において径方向に延びる一対の大型側対向面76とが近接するように配置され、ホルダ80の円形部82をそれぞれ構成される。
【0060】
また、大型分割体75において電線挿通孔84を構成するそれぞれの部分は、大型分割体75に小型分割体70を組み付ける前の状態では、電線Wを配置する電線配置部78とされている。つまり、大型分割体75は、電線配置部78を複数有しており、大型分割体75のそれぞれの電線配置部78に電線Wを配置してそれぞれの小型分割体70を電線配置部78と対向するように大型分割体75に組み付けることで各電線Wがそれぞれの電線挿通孔84に挿通された状態で円形部82を構成することができるようになっている。
【0061】
小型分割体70においてヒンジ72が設けられた一端部70Aとは反対側の他端部70Cにおける周壁部90の外周面90Aには、片持ち状に延びる弾性係止片95が設けられている。弾性係止片95は、小型分割体70の周壁部90から大型分割体75の円形部82における周壁部90の外周面90Aに沿うように円弧状に延出した形態とされており、弾性係止片95は、弾性係止片95の基端部を支点に径方向の内側および外側に向かって弾性変形可能とされている。
【0062】
弾性係止片95の先端部には、径方向外側に突出する係止突起96が形成されている。係止突起96は、弾性係止片95の先端から基端部に向かうほど外側に傾斜する傾斜面96Aと、弾性係止片95から離れるように径方向外側に向かって延びる係止面96Bとを有しており、係止面96Bは、後述する被係止枠98と係止する。
【0063】
また、小型分割体70においてヒンジ72が設けられた一端部70Aには、図1および図9に示すように、大型分割体75に向かって突出する補助ガイド部97が設けられている。この補助ガイド部97は、小型分割体70の後面70Eから後方に突出したブロック状をなしており、補助ガイド部97において小型分割体70から突出した部分の前面は、図8に示すように、小型分割体70の後面70Eおよび大型分割体75の後面75Cと面一となる位置決め面97Aとされている。
【0064】
位置決め面97Aは、大型分割体75に小型分割体70を組み付ける過程の初期段階で、大型分割体75において小型分割体70の回動方向と直交する後面75Cと摺動して小型分割体70を大型分割体75に対して前方向に位置ずれしない正規の組付位置に位置決めすることができるようになっている。
【0065】
一方、小型分割体70においてヒンジ72が設けられた一端部70Aとは反対側の他端部70Cの縁部と、これに対応する大型分割体75の縁部には、前側と後側とで合わせ面が上下にずれた上下一対の位置ずれ防止部77がそれぞれ設けられている。詳細には、図6に示すように、大型分割体75の合わせ位置には、後側(紙面奥側)に配された後側位置ずれ防止部77Aが形成されており、小型分割体70の合わせ位置には、前側(紙面手前側)に配された前側位置ずれ防止部77Bが形成されている。
【0066】
前側および後側位置ずれ防止部77A,77Bは、大型分割体75に小型分割体70を組み付ける過程において、補助ガイド部97の位置決め面97Aが大型分割体75の後面75Cと摺動し始めたところで、図11に示すように、大型分割体75の後側位置ずれ防止部77Aと小型分割体70の前側位置ずれ防止部77Bとが互いを組み付ける方向と交差する前後方向に組み合わされ、小型分割体70および大型分割体75が互いに前後方向に位置ずれしないように位置決めできるようになっている。
【0067】
また、大型分割体75の円形部82における内側の周壁部90の上端部には、連結部83に連なる被係止枠98がそれぞれ設けられている。
被係止枠98は、周壁部90(の後部)から斜め内側に向かって延出された傾斜部98Aと、傾斜部98Aの上端から上方に延びて庇部87に連結される垂直部98Bとを備えて構成されている。
【0068】
垂直部98Bは、庇部87から下方に真っ直ぐ延びており、庇部87の下端部は、連結部83の前面83Aから前方に突出するように形成された板状の突出片89に連なっている。突出片89は、垂直部98Bの下端部から傾斜部98Aとは反対側である内側に向かうほど下方に傾斜した形態とされている。
【0069】
傾斜部98Aは、周壁部90における前後方向略中央部よりも後側の部分に連なると共に、突出片89の上端部と連なっており、傾斜部98Aは、周壁部90の上端部と突出片89の上端部とによって前後方向に延びる被係止枠98を構成している。
【0070】
被係止枠98には、ヒンジ72を支点に小型分割体70を回動させて、正規の回動軌道に沿わせるようにして小型分割体70を大型分割体75に組み付ける過程で、弾性係止片95の係止突起96が嵌合されるようになっている。
詳細には、被係止枠98は、弾性係止片95の係止突起96が嵌合される嵌合孔98Cを有しており、大型分割体75に小型分割体70を組み付ける過程で、弾性係止片95の係止突起96が嵌合孔98Cに進入すると、係止突起96が被係止枠98を構成する突出片89に当接して弾性係止片95が径方向内側に弾性変位する。そして、大型分割体75と小型分割体70とによって円形部82が構成されて、弾性係止片95の係止突起96が被係止枠98の嵌合孔98C内に嵌まり込むと、係止突起96の係止面96Bと、被係止枠98における突出片89の上端縁89Aとが係止することで、小型分割体70が大型分割体75に対して組み付けられた状態に固定される。
【0071】
また、被係止枠98を構成する突出片89の下面は、上方に向かうほど被係止枠98に向かって傾斜するガイド面(「ガイド部」の一例)89Bとされており、大型分割体75に小型分割体70を組み付ける過程で、ヒンジ72が正規とは異なる不正に屈曲したり、弾性係止片95が不正に弾性変形したりすることで、弾性係止片95が径方向外側に僅かに位置ずれした場合でも、弾性係止片95の係止突起96をガイド面89Bによって被係止枠98内に案内することができるようになっている。
【0072】
本実施形態は、以上のような構成であって、続いて、充電インレット10の組み立て方法を簡単に説明すると共に、その作用および効果について説明する。
【0073】
まず、充電インレット10の組み立てにあたっては、リテーナ40の各抜け止め筒部50に電線Wを挿通させておき、端子30の電線接続部38に電線Wの芯線W1を挿入し圧着する。この後、各端子30をハウジング20の対応する端子収容部22に後方から挿入し、リテーナ40をハウジング20のフード部25に後方から装着する。すると、リテーナ40の抜け止め筒部50が端子30のフランジ部34に後方から当接することにより端子30の抜け止めが行われ、リテーナ40のそれぞれのロック片44Aとフード部25の外周面におけるそれぞれの係止部25Aとが係止することによりリテーナ40がハウジング20に装着されて保持される。
【0074】
次に、ホルダ80をリテーナ40に装着する。ここで、ホルダ80は、まず、大型分割体75に2つの小型分割体70を組み付けて構成される。
【0075】
詳細には、大型分割体75に小型分割体70が組み付けられる前の状態において、信号線挿通孔86内に、温度センサ60から引き出された一対の信号線61を配置し、ホルダ80の大型分割体75におけるそれぞれの電線配置部78に電源端子30Aに接続された電線Wを配置する。また、温度センサ60を、電線Wの絶縁被覆W2上に密着して配置する。
【0076】
各電線配置部78に電線Wが配置されたところで、ヒンジ72を支点にヒンジ72を屈曲させて小型分割体70を回動させる。
小型分割体70を回動させて、大型分割体75に小型分割体70を組み付ける過程では、初期の段階において、小型分割体70における補助ガイド部97の位置決め面97Aが大型分割体75の後面75Cと摺動し、小型分割体70が大型分割体75に対して前方向に位置ずれしないように位置決めされる。
【0077】
つまり、本実施形態によると、補助ガイド部97が小型分割体70のヒンジ72側の一端部70Aに設けられているから、例えば、補助ガイド部がヒンジから離れた側の端部に設けられる場合に比べて、初期の段階から位置決め面97Aを大型分割体75の後面75Cと摺動させて、小型分割体70を大型分割体75に対して前方向に位置ずれしないように正規の組付位置に位置決めすることができる。
【0078】
そして、補助ガイド部97の位置決め面97Aと大型分割体75の後面75Cとの摺動が開始されると、小型分割体70の弾性係止片95における係止突起96が被係止枠98内に進入し始める。
【0079】
次に、補助ガイド部97の位置決め面97Aと大型分割体75の後面75Cとの摺動が開始され、弾性係止片95における係止突起96が被係止枠98内に進入し始めたところで、大型分割体75の後側位置ずれ防止部77Aと小型分割体70の前側位置ずれ防止部77Bとが前後方向に組み合わされ、小型分割体70と大型分割体75とが互いに前後方向に位置ずれしないように位置決めされる。
【0080】
そして、小型分割体70の一対の小型側対向面73と大型分割体75の一対の大型側対向面76とがそれぞれ近接する位置まで小型分割体70を大型分割体75に組み付けると、ホルダ80の円形部82がそれぞれ構成されて、円形部82の電線挿通孔84に電線Wが挿通された状態となり、被係止枠98における突出片89の上端縁89Aと係止突起96の係止面96Bとが係止することで、小型分割体70が大型分割体75に対して組み付けられた状態に固定される。
【0081】
つまり、ホルダ80の円形部82における信号線挿通孔86や電線挿通孔84に対して温度センサ60の信号線61や電源端子30Aに接続された電線Wを先通しする作業をしなくとも、信号線61および電線Wを信号線挿通孔86および電線挿通孔84に挿通させたホルダ80を容易に構成することができる。
【0082】
ところで、大型分割体75に小型分割体70を組み付ける過程において、補助ガイド部97の位置決め面97Aと大型分割体75の後面75Cとが摺動して小型分割体70が大型分割体75に対して前方向に位置ずれしないものの、図11の右側の小型分割体70のように、ヒンジ72が正規とは異なる不正に屈曲し、小型分割体70が正規の回動軌道から外れて弾性係止片95が径方向外側に僅かに位置ずれした場合には、突出片89の下面であるガイド面89Bが弾性係止片95の係止突起96を被係止枠98内である正規の組付位置に案内し、被係止枠98における突出片89の上端縁89Aと係止突起96の係止面96Bとを係止させることができる。
【0083】
これにより、ヒンジ72が正規とは異なる不正に屈曲したり、弾性係止片95が不正に弾性変形したりした場合においても、大型分割体75に対して小型分割体70を固定することができ、温度センサ60の信号線61や電源端子30Aに接続された電線Wが挿通させたホルダ80を構成することができる。
【0084】
信号線61および電線Wが挿通されたホルダ80を構成したところで、ホルダ80の周壁部90内に電源端子用筒部50Aの後側筒部52Aを嵌合させる。すると、ホルダ80が正規の装着位置に組み付けられたところで、電源端子用筒部50Aにおける後側筒部52Aの係止突起53がホルダ80の取付片93の係止孔94内に嵌合し、係止突起53と取付片93とが前後方向に係止することでホルダ80がリテーナ40の電源端子用筒部50Aに対して固定される。
【0085】
また、ホルダ80の押当片85は、ホルダ80の周壁部90内に電源端子用筒部50Aの後側筒部52Aを嵌合させる過程で、後側筒部52A内に進入し、電線Wの下面と後側筒部52Aの内周面との間に圧入気味に配置される。よって、押当片85に押圧された電線Wと温度センサ60とが後側筒部52A内において密着する。したがって、温度センサ60による電線Wの温度の測定精度を向上させることができる。
【0086】
また、ホルダ80がリテーナ40の電源端子用筒部50Aに対して固定されると、図4に示すように、抜止部本体81の円形部82における信号線挿通孔86の外周縁部が温度センサ60の後面60Aと前後方向に係止可能となり、温度センサ60がセンサ収容部56から後方に抜け止めされる。
【0087】
以上のように本実施形態によると、大型分割体75に小型分割体70を組み付けられる前の状態において、信号線挿通孔86内に、温度センサ60の信号線61を配置すると共に、電線配置部78に電源端子30Aに接続された電線Wを配置して小型分割体70を大型分割体75に組み付けてホルダ80を構成するから、例えば、信号線挿通孔および電線挿通孔に信号線や電線を先通しする先通し作業をする場合に比べて、温度センサ60や電線Wの組み付け作業を簡素化することができる。また、本実施形態によると、大型分割体75に設けられた2つの電線配置部に電線をそれぞれ配置することができるから、例えば、一方の分割体と他方の分割体とがそれぞれ1対1で対応して設けられている場合に比べて、部品点数を少なくすることができ、ホルダ80の組み付け作業を簡素化することができる。
【0088】
また、本実施形態によると、小型分割体70を大型分割体75に組み付ける過程において、ヒンジ72が不正に屈曲したり、弾性係止片95が不正に弾性変形したりして小型分割体70が正規の回動軌道から外れることで、弾性係止片95が位置ずれした場合でも、小型分割体70の弾性係止片95の係止突起96を大型分割体75における突出片89のガイド面89Bによって被係止枠98の嵌合孔98C内に案内して小型分割体70を正規の組付位置に至らしめることができ、係止突起96の係止面96Bと被係止枠98における突出片89の上端縁89Aとを係止させてホルダ80を構成させることができる。これにより、温度センサ60の抜け止めを図り、温度センサ60による電線Wの温度の測定精度を向上させることができる。
【0089】
また、本実施形態によると、小型分割体70を大型分割体75に組み付ける初期の段階において、小型分割体70における補助ガイド部97の位置決め面97Aと大型分割体75の後面75Cとを摺動させて小型分割体70が大型分割体75に対して前方向に位置ずれしない正規の組付位置に位置決めすることができる。
【0090】
また、補助ガイド部97の位置決め面97Aと大型分割体75の後面75Cとの摺動が開始され、弾性係止片95における係止突起96が被係止枠98内に進入し始めたところで、大型分割体75の後側位置ずれ防止部77Aと小型分割体70の前側位置ずれ防止部77Bとが前後方向に組み合わされ、小型分割体70と大型分割体75とが互いに前後方向に位置ずれしないように位置決めされる。
【0091】
すなわち、本実施形態によると、小型分割体70を大型分割体75に組み付ける際に、小型分割体70が径方向外側に位置ずれする場合だけでなく、小型分割体70が前後方向にも位置ずれしないように予め位置決めしてホルダ80を構成することができる。
【0092】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
【0093】
(1)上記実施形態では、大型分割体75に対して2つの小型分割体70を組み付けてホルダ80を構成した。しかしながら、これに限らず、一対の分割体を互いに組み付けて、ホルダを構成してもよく、同一の大きさの3つの分割体を互いに組み付けて、ホルダを構成してもよい。
【0094】
(2)上記実施形態では、弾性係止片95における係止突起96が被係止枠98内に進入し始めたところで、大型分割体75の後側位置ずれ防止部77Aと小型分割体70の前側位置ずれ防止部77Bとが前後方向に組み合わされる構成とした。しかしながら、これに限らず、弾性係止片95における係止突起96が被係止枠98内に進入する前に、大型分割体の前側位置ずれ防止部と小型分割体の後側位置ずれ防止部とが前後方向に組み合わされる構成にしてもよい。
【0095】
(3)上記実施形態では、一対の円形部82と、一対の円形部82を左右方向に直線的に連結する連結部83とによって抜止部本体81を構成した。しかしながら、これに限らず、一対の円形部と、一対の円形部を山型状やアーチ状の連結部によって抜止部本体を構成してもよい。
【符号の説明】
【0096】
10:充電インレット(「コネクタ」の一例)
20:ハウジング
30:端子
40:リテーナ
56:センサ収容部
60:温度センサ
70:小型分割体(「一方の分割体」の一例)
72:ヒンジ
75:大型分割体(「他方の分割体」の一例)
77:位置ずれ防止部
78:電線配置部
80:ホルダ
89B:ガイド面(「ガイド部」の一例)
95:弾性係止片
97:補助ガイド部
98:被係止枠
W:電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13