【文献】
「世界のウェブアーカイブ|国立国会図書館インターネット資料収集保存事業」,2016年06月11日,https://web.archive.org/web/20160611152047/http://www.4840.jp/shop/safety/safetyindex/s1026/,令和2年8月21日検索
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
丹田は腹筋の奥に存在し、当該領域を意識して腹圧を高めることで、腰椎の安定化や大腰筋及び小腰筋等を強化できることが知られている。丹田を意識した腹圧の増加によって椎間板がストレッチされ、当該ストレッチ効果によって腰椎間隔が適正となり、極めて効果的に腰痛が解消されると共に、腹部の弛みや猫背が改善されるだけでなく、運動機能も回復又は向上する。
【0003】
しかしながら、丹田を意識して腹圧を高めることは一般的に困難であり、丹田強化は一般的なトレーニング手法として広まっていないのが現状である。
【0004】
これに対し、例えば、特許文献1(特開2009−247661号公報)では、臍下丹田位置に一定時間毎にPIC等マイコンとオシレータで自動リピートタイマーとバイブレーションモーターで作った振動信号を発生し、そのとき毎に各人工夫の動作を行うための臍下丹田強化システムバンド、が開示されている。
【0005】
上記特許文献1に記載の臍下丹田強化システムバンドにおいては、自動リピートバイブレーション信号により臍下丹田を意識することで大腰筋及び腸腰筋が強くなり、排泄がスムーズになることに加え、腹式呼吸を多くすることで精神的に安定する、としている。
【0006】
また、特許文献2(特開2013−94336号公報)では、着用者の安静立位の体幹側面視における上前腸骨棘と第5腰椎とを結ぶ線分に沿って、当該着用者の腰部を包囲する本体部と、前記本体部における前記着用者の左右の上前腸骨棘間に対応する部分に配設される袋状の収納部と、前記収納部に収納され、気体を注入して体積を増加させる膨張部と、を備え、前記膨張部が前記着用者の第5腰椎に向けて、当該着用者の腹腔を押圧することを特徴とするサポーター、が開示されている。
【0007】
前記特許文献2に記載のサポーターにおいては、着用者の腹部を前方から後上方に押圧して、前腹部に位置する腹直筋に反発力を働かせ、腹直筋に繋がる腹部のインナーマッスルに収縮力を働かせて、着用者の要部のインナーマッスルを鍛錬することができ、着用者の腰痛の予防を図ると共に、着用者の腰椎の安定性を向上させ、腰痛を持つ着用者への除痛効果を得ることができる、としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている臍下丹田強化システムバンドは定期的に丹田を意識するためのものであり、丹田の強化に直接作用するものではない。
【0010】
これに対し、上記特許文献2に開示されているサポーターは腹直筋に反発力を働かせ、腹部のインナーマッスルを鍛えることができる。当該サポーターは、着用者の安静立位の体幹側面視における上前腸骨棘と第5腰椎とを結ぶ線分に沿って、当該着用者の腰部を包囲する本体部を有しているが、上前腸骨棘と第5腰椎とを結ぶ線分の角度や当該線分から助骨までの距離には個人差がある。効率的に丹田を強化するためには上前腸骨棘と第5腰椎とを結ぶ線分から助骨までの領域を包囲することが求められるが、上記特許文献2に開示されているサポーターでは当該要求を満たすことができない。
【0011】
加えて、上記特許文献2に開示されているサポーターは柔軟性に欠けるため、装着した状態で種々の運動を行うことが困難であり、全体的な締付力の微調整を行うこともできない。また、トレーニング等によって汚れた場合、簡便に洗濯等を行うことができず、清潔な状態を維持することが困難である。
【0012】
以上のような従来技術における問題点に鑑み、本発明の目的は、丹田の強化に直接作用するベルトであって、着用者の体形に合わせて装着位置(上前腸骨棘と第5腰椎とを結ぶ線分から助骨までの領域を完全に覆う位置)及び装着角度(上前腸骨棘と第5腰椎とを結ぶ線分の角度)を容易に調節することができ、全体的な締付力の微調整が可能であると共に清潔な
状態を簡便に維持することができる丹田強化ベルトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は上記目的を達成すべく、ベルトの構成部品等について鋭意研究を重ねた結果、例えば繊維素材の帯状体を用い、背当部を設けること等が極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
【0014】
即ち、本発明は、
帯状体と、
バックル部と、
背当部と、
を有し、
前記バックル部は前記帯状体の一方の端部に連結され、
前記背当部に設けられたガイド部に前記帯状体が挿入され、前記背当部が前記帯状体に沿って移動自在な状態で前記帯状体に連結されていること、
を特徴とする丹田強化ベルトを提供する。
【0015】
本発明の丹田強化ベルトにおいては、帯状体を繊維素材(綿、絹等の天然繊維、ポリエステル樹脂、ナイロン(登録商標)等の化学繊維、これらの組合せのいずれであってもよい。)とすることで柔軟性と強度を共に担保することができ、腹部への高い密着性と腹圧が印加された状態でも耐え得る十分な強度とを実現することができる。加えて、繊維素材の帯状体はバックル部及び背当部の位置に応じて容易に変形することから、上前腸骨棘と第5腰椎とを結ぶ線分から助骨までの領域を略完全に包囲することができる。
【0016】
また、背当部の位置は丹田強化ベルトを装着した状態で上下左右に自在に動かすことができ、腹部に位置するバックル部との位置関係によって、丹田強化ベルトの装着角度及び装着幅等を任意に設定することができる。その結果、当該装着角度を上前腸骨棘と第5腰椎とを結ぶ線分の角度と略一致させることができる。
【0017】
また、本発明の丹田強化ベルトにおいては、前記帯状体の幅及び長さが、それぞれ60〜90mm及び1000〜2500mmであること、が好ましい。
【0018】
帯状体の幅を60mm以上とすることで、腰部及び腹部を安定して押圧することができ、90mm以下とすることで、取り回し容易で簡便に扱うことができる。また、帯状体の長さを1000mm以上〜2500mm以下とすることで、当該帯状体を腰部及び腹部に対して1周又は2周させて使用することができる。なお、着用者の腰部及び腹部の寸法にもよるが、1周で使用する場合は当該帯状体の長さ範囲における下限域(1000mm)で形成することが適しており、2周で使用する場合は上限域(2500mm)で形成することが適している。
【0019】
また、本発明の丹田強化ベルトにおいては、前記バックル部が少なくとも2つの円環部からなること、が好ましい。2つの円環部からなるバックル部は一般的なベルトにも使用されている従来公知の構造であるが、帯状体と円環部との摩擦力を利用して丹田強化ベルトを締め付けることで、装着時の全体的な締付力を容易に微調整することができる。また、極めて簡単な構造であることから、丹田強化ベルトの脱着及び締付が容易である。
【0020】
また、本発明の丹田強化ベルトにおいては、背当部及びバックル部の位置により、帯状体で被覆する腹部の領域及び帯部の装着角度を調整することができる。具体的には、背当部とバックル部との位置を相対的に上下させることで、帯部を傾斜させることができる。つまり、背当部は背中に対して密着する支持部材として作用するだけでなく、帯部を傾斜させるための機能を有している。
【0021】
また、本発明の丹田強化ベルトにおいては、
前記背当部の本体部が樹脂製であり、
前記本体部の内面に2つの背当パットを有し、
前記本体部の外面に2つの前記ガイド部を有し、
前記貫通孔と前記背当パットが前記本体部を介して対向する位置に設けられ、
前記ガイド部が貫通孔を有する凸部であること、
が好ましい。
【0022】
背当部の本体部を樹脂製とすることで、背当部に適度な柔軟性を付与することができ、帯状部を締め付けた際に、着用者の背中の形状に応じて背当部を変形させることができる。当該変形は背中及び腹部に対する丹田強化ベルトの密着性を向上させることから、より効率的に丹田を意識して腹圧を高めることができる。加えて、本体部を樹脂製とすることで安価に製造することができ、射出成形等を用いることで大量生産にも容易に対応することができる。
【0023】
また、本体部の内面に2つの背当パットを有することで、背当部と背中との密着性をより向上させることができることに加え、背当部の位置変動を抑制することができる。なお、装着時において、当該背当パットは背骨の両側に位置することが好ましく、材質としてはウレタン、天然ゴム及び合成ゴム等を用いることが好ましい。
【0024】
また、本体部を介して背当パットと対向する位置に設置された2つの貫通孔に挿入した帯状体を締め付けることで、効果的に背当パットを背中に当接させることができる。
【0025】
また、本発明の丹田強化ベルトにおいては、前記帯状体の他方の端部から前記背当部が脱着自在であること、が好ましい。背当部から帯状体を引き抜くことで繊維素材である帯状体を独立させることができ、一般的な手法によって洗濯等を施すことができる。丹田強化ベルトは体に密着させるものであり、使用によって汗等が付着することから、清潔な状態を簡単に維持できることは極めて重要である。
【0026】
更に、本発明の丹田強化ベルトにおいては、二重にした前記帯状体を前記貫通孔に挿入可能であること、が好ましい。二重にした帯状体を用いることで、腹部に対する締付力をより安定させることができると共に、より強い締付力を印加することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、丹田の強化に直接作用するベルトであって、着用者の体形に合わせて装着位置(上前腸骨棘と第5腰椎とを結ぶ線分から助骨までの領域を完全に覆う位置)及び装着角度(上前腸骨棘と第5腰椎とを結ぶ線分の角度)を容易に調節することができ、全体的な締付力の微調整が可能であると共に清潔な状態を簡便に維持することができる丹田強化ベルトを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本発明の丹田強化ベルトの代表的な実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。また、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、表された各構成要素の寸法やそれらの比は実際のものとは異なる場合もある。
【0030】
1.丹田強化ベルト1
<丹田強化ベルト1の構成>
図1を用いて本実施形態の丹田強化ベルト1の構成について説明する。
図1は本実施形態の丹田強化ベルト1の構成を示す概略図である。
図1に示す様に、本実施形態の丹田強化ベルト1は、概ね腰部及び腹部を包囲するための帯状体3と、当該帯状体3を環状にして締め付け及び固定維持するバックル部5と、腰部に当接する背当部7と、から構成されおり、バックル部5は帯状体3の一方の端部に連結され、帯状体3は背当部7に設けられたガイド部9に挿入され、更に背当部7は移動自在な状態で帯状体3に連結されている。
【0031】
<帯状体3>
次に、
図2を用いて帯状体3の詳細を説明する。
図2は、帯状体3を直線的に広げた状態を示す平面図である。
図2に示す様に、帯状体3は略直線に構成された長尺の生地であって、単層又は複層に構成されている。また、当該帯状体3は、適度な伸縮性と、腹部を締め付けるための十分な強度と、を備えるため、綿素材を用いることが好ましい。また、一般的なトレーニング用のベルトに用いられている革やナイロン等と異なり、簡便に水性洗浄することができ、清潔な状態を維持することが極めて容易である。
【0032】
帯状体3の一方の端部は、例えば所定の長さを折り返して環を形成しつつ縫着し、当該環にリング状のバックル部5を連結している。また、他方の端部には帯状体3の端部を補強するための端部補強具11が取り付けられており、容易に当該帯状体3の端部をガイド部9及びバックル部5に挿通させることができる。なお、端部補強具11は、例えば所定の長さ及び幅の金属板を折り合わせ、内部に帯状体3の端部を挟み込んで構成することができる。また、当該端部補強具11は、耐蝕性を有する金属で形成することが好ましい。
【0033】
帯状体3の形状及びサイズは特に限定されず、着用者の腹部(上前腸骨棘と第5腰椎とを結ぶ線分から助骨までの領域)を略完全に包囲することができればよい。なお、帯状体3の幅を60mm以上とすることで腰部及び腹部を安定して押圧することができ、90mm以下とすることで取り回し容易で簡便に取り扱うことができる。また、帯状体3の長さを1000mm以上とすることで当該帯状体を腰部及び腹部に一周させて使用することができ、2500mm以下とすることで2周させて使用することができる。
【0034】
また、帯状体3の厚さについても特に限定されず、腹部を締め付けるために十分な強度を担保できる程度において、バックル部5のガイド部9に帯状体3を挿入できる厚さとすればよい。なお、帯状体3は繊維素材のみを用いて形成してもよいが、帯状体3の幅方向又は長手方向に適宜芯材を入れた補強や、着用者に当接する最内面にゴム等を貼り付けて滑り止め効果を付与してもよい。
【0035】
<バックル部5>
次に、
図3を用いてバックル部5の詳細を説明する。
図3は、バックル部5の構成を示す平面図である。
締付力の微調整及び構造の簡略化等の観点において、本実施形態で用いるバックル部5は、少なくとも第一円環部5Aと、第二円環部5Bと、の2つの円環部から構成されることが好ましく、上述した様に帯状体3の端部に連結される。第一円環部5A及び第二円環部5Bは、双方が略同一の形状を成しており、具体的には、所定の厚さ(締め付け時に変形等が発生しない厚さ)で構成され、外径及び内径の縁部にエッジが存在しないことが望ましい。
なお、バックル部5は、帯状体3との連結を任意に解除して分離を可能とすることが望ましい。バックル部5と帯状体3とを任意に分離可能とすることで、バックル部5及び帯状体3のメンテナンスが容易となり、バックル部5の清掃や帯状体3の洗濯等を簡便に行うことができる。
【0036】
バックル部5を用いた帯状体3の固定は、帯状体3を第一円環部5A及び第二円環部5Bに挿通し、当該第一円環部5A及び第二円環部5Bと、帯状体3と、に摩擦力を発生させることで行うが、第一円環部5A及び第二円環部5Bにエッジが存在すると、必要以上に帯状体3がエッジに掛ってしまうため、締め付け具合を簡便に調整することができない。このため、上記のとおりエッジのない第一円環部5A及び第二円環部5Bを用いてバックル部5を構成し、適正な摩擦力の付与は、第一円環部5A及び第二円環部5Bの表面に微細な凹凸等を設けて行うことが好ましい。
【0037】
また、第一円環部5Aの一方の面(腹部と当接する面)において、連結した帯状体3を水平に配置した状態で、上方及び下方に例えばゴムテープ等の滑り止め部材(図示せず)を貼り付けてもよい。具体的には、第一円環部5Aと帯状体3との接触面以外の領域に、腹部と当接させた際に摩擦力を発揮する滑り止め部材を貼り付けることで、身体に締め付けた本丹田強化ベルト1の不本意な位置変動を好適に抑制することができる。
【0038】
なお、上述では本実施形態の一例として第一円環部5A及び第二円環部5Bにより構成されたバックル部5を説明したが、バックル部5は帯状体3を締め付けた状態で保持できる構造を備えていれば概ね機能を果たすことができるため、例えば一般的なベルト用のバックル部として知られている従来公知の構造を採用することもできる。
【0039】
<背当部5>
次に、
図4〜
図6を用いて、背当部5の構造を詳細に説明する。
図4は、背当部5の正面図であって、
図5は、背当部5の裏面図であって、
図6は、背当部5の側面図である。
背当部7は、腹部に位置するバックル部5との位置関係によって、本実施形態の丹田強化ベルト1の装着角度及び装着幅等を任意に設定するためのものである。
図4〜
図6に示す様に、背当部7は、本体部100と、裏面側で着用者の背中に当接される背当パッド17と、から構成されている。
【0040】
本体部100は、帯状体3を挿通する2つのガイド部9と、該ガイド部9を支持する2つのベース部13と、該2つのベース部13を繋ぐ撓み部15と、を具備し、射出成型法等を用いて一体的に形成されている。より具体的には、本体部100は長手方向L1と、短手方向L2と、を有する略長方形の板状部材であって、長手方向L1の中心で左右対称に構成されている。
本体部100の芯材となる2つのベース部13が所定の間隔で長手方向L1に離間して配設され、当該2つのベース部材13を撓み部15が繋いでいる。該撓み部15は、ベース部材13と比して板厚が薄く、適度な柔軟性を有するため、撓み部15を基点として本体部100が所定の範囲で屈曲することが可能となる。
【0041】
更に、ベース部材13の上方には短手方向L2に開口し、長手方向L1に貫通した貫通孔19を有するガイド部9が隆起しており、当該ガイド部9の貫通孔19に帯状体3を挿通することができる。上述したとおり、本体部100は、長手方向L1の中心で左右対称の構成を成していることから、2つのガイド部9が所定の間隔で配設されている。それぞれが備える貫通孔19に帯状体3を挿通することにより、帯状体3と、背当部5と、をより安定して連結することができる。
なお、貫通孔19は二重にした帯状体3を貫通孔19に挿通可能であること、が好ましい。二重にした帯状体3を用いることで、腹部に対する締付力をより安定させることができると共に、より強い締付力を印加することができる。
【0042】
また、本体部100の内側(裏面側)には、ウレタン、天然ゴム又は合成ゴム等で構成された2つの背当パット17が配設されている。当該背当パット17は、2つのベース部材13の裏面にそれぞれ配置され、着用者の背中に当接することで適度なクッション性を提供しつつ、密着性をより向上させることができるものである。また、上述した素材で構成されていることから、例えば本実施形態の丹田強化ベルト1を腰部から腹部にかけて斜めに装着した場合でも、背当パット17と腰部との間に摩擦力が発生し、不本意な位置変動を抑制することができる。
【0043】
2.丹田強化ベルト1の装着方法
次に、
図7(a)及び(b)と、
図8(a)及び(b)を用いて、本実施形態における丹田強化ベルト1の装着方法について説明する。
図7(a)及び(b)は、本実施形態における丹田強化ベルト1の装着手順を示す図であって、
図7(a)は、帯状態3と背当部5とを連結する状態を示す模式図であり、
図7(b)は、背当部5を背中に当接し、帯状態3を腰部及び腹部に包囲する状態を示す模式図である。
また、
図8(a)及び(b)は、帯状態3とバックル部5とを連結して締め付ける手順
を示す図であって、
図8(a)は、締め付けの前半手順を示す模式図であり、
図8(b)は、締め付けの後半手順を示す模式図である。
【0044】
図7(a)に示す様に、まず帯状態3と背当部5とを連結し、本実施形態の丹田強化ベルト1の使用準備を行う。着用者は、背当パット17を下方に向けた状態で背当部7を卓上等に配置し、帯状体3の端部補強具11近傍を把持して該帯状体3を貫通孔19に挿通する。帯状体3は綿素材で構成された布であるため、例え芯材を備えて構成したものであっても、帯状体3の端部が歪んで貫通孔19に挿通することは難しいが、硬質な端部補強具11で当該端部を挟み込んで補強していることから、容易に帯状体3を貫通孔19に挿通することができる。
【0045】
上記手順により、帯状体3を背当部7が備える2つの貫通孔19に挿通し、それぞれのガイド部9に通した後、該ガイド部9に沿って帯状体3を移動させ、背当部7が帯状体3の長手方向の略中央近傍に位置させる。
【0046】
続いて、
図7(b)に示す様に、着用者は背当部7を背中側に配置させつつ、帯状体3の双方の端部(バックル部5側及び端部補強具11側)を左右の手でそれぞれ把持し、当該帯状体3で腰部及び腹部を包囲する。より具体的には、背当部7の背当パット17を身体側に対向させ、当該状態で帯状体3に捩れの発生が無いことを確認し、帯状体3の双方の端部を左右から腹部側に回して腰部及び腹部を包囲する。この時、帯状体3に捩れが発生していると、腰部及び腹部を均一に締め付けて押圧することができず、丹田のトレーニング効果が低下してしまうため、慎重に確認することが望ましい。
【0047】
次に、帯状体3のバックル部5と端部補強具11側とを連結し、当該帯状体3を腰部及び腹部に締め付けて、本実施形態の丹田強化ベルト1を着用者に装着する。まず、
図8(a)に示す様に、バックル部5が備える第一円環部5Aと第二円環部5Bとを重ね、環を腹部側P1に対向させて固定し、続いて帯状体3の帯用補強具11側を腹部側P1から外部側P2に向かって第一円環部5A及び第二円環部5Bの内側を挿通させる。更に帯状体3の端部補強具19側を外部側P2方向に引張り、帯状体3の弛みを無くして当該帯状体3及び背当部7を身体に密着させる。
【0048】
次に、
図8(b)に示すとおり、帯状体3の端部補強具11側を第一円環部5A及び第二円環部5Bに連結して固定する。具体的には、前半手順で外部側P2に引っ張った帯状体3の端部補強具11側を腹部側P1に折り返し、第二円環部5Bの外側から第一円環部5Aの内側に挿通させた後、更に端部補強具11側を引っ張る。これにより、帯状体3は第二円環部5Bを覆いつつ第一円環部5Aに押圧され、第一円環部5Aの内周面と、第二円環部5Bの内周面及び外周面と、折り返して重なった自身の接触部(帯状体3)と、に摩擦力が発生し、帯状体3の締付力が固定される。なお、帯状体3と第一円環部5Aと第二円環部5Bとの密着を緩和すれば、摩擦力が解除されて全体的な締付力の微調整を容易に行うことができる。
【0049】
更に丹田強化に適切な装着位置及び装着角度を調整する。例えば、下腹部から背中に向けて斜めに加圧する場合、バックル部5の位置を下方に降ろし、更に背当部7の位置を上方に上げる。これにより、帯状体3が腹部側から背中側に向かって斜め上方の締付力を発揮することができ、背当部7が備えた背当パット17により、不本意な位置変動を抑制して締付位置を維持することができる。
【0050】
即ち、背当部7の位置は本実施形態の丹田強化ベルト1を装着した状態で上下左右に自在に位置変更を行うことができ、腹部に位置するバックル部5との位置関係によって、本丹田強化ベルト1の装着角度及び装着幅等を任意に設定することができる。これにより、当該装着角度を上前腸骨棘と第5腰椎とを結ぶ線分の角度と略一致させることができる。
【0051】
上記手順により、本実施形態における丹田強化ベルト1の装着が完了する。綿素材で構成した帯状体3により、本丹田強化ベルト1に柔軟性と強度とを両立させることができ、腹部への高い密着性と服圧とが印加された状態となっても破損することがない。更に、上述のとおり帯状体3がバックル部5及び背当部7の位置(身体との当接位置)に応じて容易に変形することができるため、上前腸骨棘と第5腰椎とを結ぶ線分から助骨までの領域を略完全に包囲することができる。
【0052】
3.丹田強化ベルト1の効果
次に、
図9及び
図10を用いて、本実施形態における丹田強化ベルト1の効果を説明する。
図9は、本実施形態の丹田強化ベルト1による加圧受けた体幹側面視を示す断面図であって、
図10は、本実施形態の丹田強化ベルト1による加圧に反発した体幹側面視を示す断面図である。
【0053】
図9に示す様に、本実施形態の丹田強化ベルト1を着用者の体形に合わせて適切な装着位置(上前腸骨棘と第5腰椎とを結ぶ線分から助骨までの領域を完全に覆う位置)及び適切な装着角度(上前腸骨棘と第5腰椎とを結ぶ線分の角度)に調節することで、上前腸骨棘と第5腰椎とを結ぶ線分から助骨までの領域を確実に包囲して装着する。これにより、腹部が押圧されて腹直筋が外側から身体側に加圧される。
【0054】
当該状態で身体運動を行うことにより、
図10に示す様に外側から身体側に加圧された腹直筋が当該加圧に対して抵抗し、身体側から外側に押し出す反発力が発生する。しかしながら、当該反発力による腹部の膨張は本丹田強化ベルト1によって抑制され、反発力が身体側に働くことで服圧が増加する。結果、椎間板がストレッチされ、当該ストレッチ効果によって腰椎間隔が適正となり、極めて効果的に腰痛が解消されると共に、大腰筋及び小腰筋等を強化して腹部の弛みや猫背を改善し、運動機能を好適に回復又は向上することができる。
【0055】
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、それら設計変更は全て本発明の技術的範囲に含まれる。