【実施例】
【0045】
(材料および方法)
(1.原料の組成)
本実施例で用いた各原料の組成は、以下のとおりである。
【0046】
【表1】
【0047】
ハイポリペプトン、グルコース、粉末酵母エキスSH、硫酸マグネシウム七水和物、リン酸二水素カリウム、粉末寒天、トレハロース二水和物、その他の有機溶剤は京都和光純薬株式会社から購入した。
【0048】
(2.寒天培地の調製)
PGA寒天培地
ハイポリペプトン5g、グルコース20g、粉末酵母エキスSH2g、硫酸マグネシウム七水和物0.5g、リン酸二水素カリウム1g、粉末寒天20gをイオン交換水1Lに溶解してから、121℃で20分間、オートクレーブで滅菌した。その後、クリーンベンチ内でシャーレに分注しPGA培地を調製した。
【0049】
(3.液体培地の調製)
基礎培地
硫酸マグネシウム七水和物0.5g、リン酸二水素カリウム1g、粉末酵母エキスSH2g、ハイポリペプトン5g、トレハロース二水和物30gをイオン交換水1Lに溶解してから、1Lの三角フラスコ4本に250mlずつ分注した。121℃で20分間、オートクレーブで滅菌した。
【0050】
コラーゲン培地
硫酸マグネシウム七水和物0.5g、リン酸二水素カリウム1g、粉末酵母エキスSH2g、ハイポリペプトン5g、トレハロース二水和物30g、ネプチゲンナチュラルタイプ10gをイオン交換水1Lに溶解してから、1Lの三角フラスコ4本に250mlずつ分注した。121℃で20分間、オートクレーブで滅菌した。
【0051】
ヒアルロン酸Na培地
硫酸マグネシウム七水和物0.5g、リン酸二水素カリウム1g、粉末酵母エキスSH2g、ハイポリペプトン5g、トレハロース二水和物30g、BIO SODIUM HYALURONATE HA12N 2g、をイオン交換水1Lに溶解してから、1Lの三角フラスコ4本に250mlずつ分注した。121℃で20分間、オートクレーブで滅菌した。
【0052】
ウマプラセンタエキス培地
硫酸マグネシウム七水和物0.5g、リン酸二水素カリウム1g、粉末酵母エキスSH2g、ハイポリペプトン5g、トレハロース二水和物30g、馬プラセンタエキスPF10gをイオン交換水1Lに溶解してから、1Lの三角フラスコ4本に250mlずつ分注した。121℃で20分間、オートクレーブで滅菌した。
【0053】
ブタプラセンタエキス培地
硫酸マグネシウム七水和物0.5g、リン酸二水素カリウム1g、粉末酵母エキスSH2g、ハイポリペプトン5g、トレハロース二水和物30g、ファルコニックスPC−1(PF)10gをイオン交換水1Lに溶解してから、1Lの三角フラスコ4本に250mlずつ分注した。121℃で20分間、オートクレーブで滅菌した。
【0054】
サケプラセンタエキス培地
硫酸マグネシウム七水和物0.5g、リン酸二水素カリウム1g、粉末酵母エキスSH2g、ハイポリペプトン5g、トレハロース二水和物30g、マリンプラセンタ(MPC)10gをイオン交換水1Lに溶解してから、1Lの三角フラスコ4本に250mlずつ分注した。121℃で20分間、オートクレーブで滅菌した。
【0055】
CPH(ウマプラセンタエキス配合)培地
硫酸マグネシウム七水和物0.5g、リン酸二水素カリウム1g、粉末酵母エキスSH2g、ハイポリペプトン5g、トレハロース二水和物30g、ネプチゲンナチュラルタイプ10g、BIO SODIUM HYALURONATE HA12N 2g、馬プラセンタエキスPF10gをイオン交換水1Lに溶解してから、1Lの三角フラスコ4本に250mlずつ分注した。121℃で20分間、オートクレーブで滅菌した。
【0056】
CPH(ブタプラセンタエキス配合)培地
硫酸マグネシウム七水和物0.5g、リン酸二水素カリウム1g、粉末酵母エキスSH2g、ハイポリペプトン5g、トレハロース二水和物30g、ネプチゲンナチュラルタイプ10g、BIO SODIUM HYALURONATE HA12N 2g、ファルコニックスPC−1(PF)10gをイオン交換水1Lに溶解してから、1Lの三角フラスコ4本に250mlずつ分注した。121℃で20分間、オートクレーブで滅菌した。
【0057】
CPH(サケプラセンタエキス配合)培地
硫酸マグネシウム七水和物0.5g、リン酸二水素カリウム1g、粉末酵母エキスSH2g、ハイポリペプトン5g、トレハロース二水和物30g、ネプチゲンナチュラルタイプ10g、BIO SODIUM HYALURONATE HA12N 2g、マリンプラセンタ(MPC)10gをイオン交換水1Lに溶解してから、1Lの三角フラスコ4本に250mlずつ分注した。121℃で20分間、オートクレーブで滅菌した。
【0058】
(4.ホウロクタケの培養)
凍結保存してあったホウロクタケの菌株をPGA培地に移し、25℃で培養した。約2週間培養した後、滅菌したメスで菌糸体を寒天培地とともに5mm角に切り出し、これを各種液体培地に移して室温(25℃)で40日間静置培養した。培養終了後濾紙を用いて菌糸体を除き、濾液を濃縮した。
【0059】
(5.被験物質)
被験物質として、以下を用いた。
【0060】
基礎培地(培養0日)
基礎培地を濃縮したもの。
【0061】
基礎培地(培養40日)
ホウロクタケを40日間培養した基礎培地を濃縮したもの。
【0062】
CPH
ヒアルロン酸(BIO SODIUM HYALURONATE HA12N)を1:1:0.2の割合で混合したものを濃縮したもの。
【0063】
基礎培地(培養40日)+CPH
ホウロクタケを40日間培養した基礎培地にコラーゲン(ネプチゲンナチュラルタイプ):プラセンタ(マリンプラセンタ(MPC)):ヒアルロン酸(BIO SODIUM HYALURONATE HA12N)を1:1:0.2の割合で混合したものを後添加し、濃縮したもの。
【0064】
コラーゲン培地(培養40日)
ホウロクタケを40日間培養したコラーゲン培地を濃縮したもの。
【0065】
ヒアルロン酸Na培地(培養40日)
ホウロクタケを40日間培養したヒアルロン酸Na培地を濃縮したもの。
【0066】
ウマプラセンタエキス培地(培養40日)
ホウロクタケを40日間培養したウマプラセンタエキス培地を濃縮したもの。
【0067】
ブタプラセンタエキス培地(培養40日)
ホウロクタケを40日間培養したブタプラセンタエキス培地を濃縮したもの。
【0068】
サケプラセンタエキス培地(培養40日)
ホウロクタケを40日間培養したサケプラセンタエキス培地を濃縮したもの。
【0069】
CPH(ウマプラセンタエキス配合)培地(培養40日)
ホウロクタケを40日間培養したCPH(ウマプラセンタエキス配合)培地を濃縮したもの。
【0070】
CPH(サケプラセンタエキス配合)培地(培養40日)
ホウロクタケを40日間培養したCPH(サケプラセンタエキス配合)培地を濃縮したもの。
【0071】
(実施例1:チロシナーゼ阻害試験)
50mMのリン酸緩衝液(pH6.8)1480μlと、5mMのL−チロシン水溶液400μl、DMSOに溶解した35mg/ml被験物質の溶液100μl、リン酸緩衝液で1000U/mlに希釈したチロシナーゼ20μlを混合して、37℃60分間ウォーターバスで反応させた。反応終了後、475nmの吸光度を測定した。
【0072】
チロシナーゼ阻害活性は以下の計算式から算出した。コントロールは被験物質の代わりにDMSOのみ添加した。
チロシナーゼ阻害率(%)=100×(A−B)/A(A:コントロールの吸光度、B:被験物質の反応後と反応前の吸光度の差)
各サンプル3回ずつ計測し、その平均を以下の表に示す。
【0073】
【表2】
【0074】
以上より、キノコ培養物に、水溶性コラーゲン、プラセンタエキス、および、ヒアルロン酸を添加した場合、特にプラセンタエキスとしてサケプラセンタエキスを利用した場合に、チロシナーゼ阻害活性が非常に高くなることが判明した。
【0075】
(実施例2:コラゲナーゼ阻害試験)
2.5mg/ml被験物質の溶液20μl、0.1M Tris−HCl緩衝液で溶解した0.1mg/mlコラゲナーゼ20μl、同様に溶解した0.5mg/ml Pz−ペプチド溶液を混合して、37℃30分間ウォーターバスでインキュベートした。そこに25mMクエン酸400μl、酢酸エチル2mlを添加し、激しく攪拌した。静置して1時間後、酢酸エチル層をマイクロチューブに移し、6分遠心分離にかけた。遠心分離後、320nmの吸光度を測定した。コラゲナーゼ阻害活性は以下の計算式から算出した。
コントロールは被験物質の代わりに精製水のみ添加した。コラゲナーゼ阻害率(%)=100×(A−B)/A(A:コントロールの吸光度、B:被験物質の反応後と反応前の吸光度の差)
各サンプル3回ずつ計測し、その平均を以下の表に示す。
【0076】
【表3】
【0077】
以上より、キノコ培養物に、水溶性コラーゲン、プラセンタエキス、および、ヒアルロン酸を添加した場合、特にプラセンタエキスとしてサケプラセンタエキスを利用した場合に、コラゲナーゼ阻害活性が非常に高くなることが判明した。
【0078】
(まとめ)
チロシナーゼ阻害活性とコラゲナーゼ阻害活性試験において、ホウロクタケを40日間CPH(サケプラセンタエキス配合)培地、すなわち、水溶性コラーゲン、サケプラセンタエキス、および、ヒアルロン酸存在下で培養したものが最も強い活性を示した。
【0079】
(実施例3:CPH(サケプラセンタエキス配合)培地を含む化粧用クリームの調製)
化粧用クリームを以下の成分と製法を用いて処方した:
・(A)ステアリン酸 8.0(重量%)、
・(B)ステアリルアルコール 4.0(重量%)、
・(C)ステアリン酸ブチル 6.0(重量%)、
・(D)モノステアリン酸グリセリン 2.0(重量%)、
・(E)プロピレングリコール 5.0(重量%)、
・(F)水酸化カリウム 0.4(重量%)、
・(G)防腐剤(パラオキシ安息香酸エステル) 0.1〜0.5(重量%)、
・(H)香料 0.001〜0.1(重量%)、
・(I)酸化防止剤(ジブチルヒドロキシトルエン) 0.05〜0.15(重量%)、
・(J)CPH(サケプラセンタエキス配合)培地 0.1(重量%)、
・(K)上記の残部として、精製水を添加した。
【0080】
(製法)
1.上記(A)〜(D)、(E)〜(I)、および(K)の一部を別々に加熱調製し、80℃で混合し、ホモミキサーで攪拌し、その後、50℃まで冷却した。
2.(J)に(K)の一部を添加し、溶解した。
3.上記1の溶液と2の溶液を混合し、30℃まで冷却した。
【0081】
上記のとおり調製した化粧料は、肌にハリと潤いを与え、メラニンによるシミの目立たない肌を保つ効果に優れたものであった。
【0082】
(実施例4:CPH(サケプラセンタエキス配合)培地を含む乳液処方物の調製)
乳液を以下の成分と製法を用いて処方した:
・(A)ステアリン酸 2.0(重量%)、
・(B)セチルアルコール 1.5(重量%)、
・(C)ワセリン 4.0(重量%)、
・(D)スクワラン 5.0(重量%)、
・(E)グリセロールトリ−2−エチルヘキサン酸エステル 2.0(重量%)、
・(F)ソルビタンモノオレイン酸エステル 2.0(重量%)、
・(G)グリセリン 9.0(重量%)、
・(H)水酸化カリウム 0.1(重量%)、
・(I)防腐剤(パラオキシ安息香酸エステル) 0.1〜0.5(重量%)、
・(J)香料 0.001〜0.1(重量%)、
・(K)酸化防止剤(ジブチルヒドロキシトルエン) 0.05〜0.15(重量%)、
・(L)CPH(サケプラセンタエキス配合)培地 0.1(重量%)、
・(M)上記の残部として、精製水を添加した。
【0083】
(製法)
1.(A)〜(F)、(G)〜(K)、および(M)の一部を別々に加熱調製し、80℃で混合し、ホモミキサーで攪拌し、その後、50℃まで冷却した。
2.(M)の一部に(L)を溶解した。
3.上記1の溶液と2の溶液を混合し、30℃まで冷却した。
【0084】
上記のとおり調製した化粧料は、肌にハリと潤いを与え、メラニンによるシミの目立たない肌を保つ効果に優れたものであった。
【0085】
(実施例5:CPH(サケプラセンタエキス配合)培地を含む化粧水の調製)
化粧水を以下の成分と製法を用いて処方した:
・(A)POE(20)オレイルアルコールエーテル 0.5(重量%)、
・(B)グリセリン 10(重量%)、
・(C)メチルセルロース 0.2(重量%)、
・(D)防腐剤(パラオキシ安息香酸エステル) 0.1〜0.5(重量%)、
・(E)香料 0.001〜0.1(重量%)、
・(F)酸化防止剤(ジブチルヒドロキシトルエン) 0.05〜0.15(重量%)、
・(G)エタノール 5.0(重量%)、
・(H)CPH(サケプラセンタエキス配合)培地 0.1(重量%)、
・(I)上記の残部として、精製水を添加した。
【0086】
(製法)
上記(A)〜(I)までを均一に溶解した。
【0087】
上記のとおり調製した化粧料は、肌にハリと潤いを与え、メラニンによるシミの目立たない肌を保つ効果に優れたものであった。
【0088】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみ、その範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。