【実施例】
【0041】
以下、本発明に係る技術構成を図面と共に具体的に説明する。
図1〜
図3に示すエンボスステンレスパイプ製造装置1は、装置構成の付加によって実施形態を異ならせて提示している第1実施例〜第3実施例によるエンボスステンレスパイプ製造装置1に関する。
【0042】
図1に示す第1実施例によるエンボスステンレスパイプ製造装置1は、ステンレス平板100を提供するアンコイラー1と、
前記アンコイラー1から供給されるステンレス平板100を後段のエンボシング機3に案内するセンタリングガイドローラ2と、
前記センタリングガイドローラ2を経て供給されるステンレス平板100をエンボス処理してエンボスステンレス板100’に成形するエンボシング機3と、
前記エンボシング機3から供給されるエンボスステンレス板100’の曲面化、円形化工程を経て長さ方向に溶接継ぎ目部201を有するエンボスステンレスパイプ200を製造し、該製造されたエンボスステンレスパイプ200の溶接継ぎ目部201を溶接してエンボスステンレスパイプ200を完成する造管機4と、を含んでなり、
前記エンボシング機3は、陽刻のエンボスパターンが形成されている上部ローラ31と陰刻のエンボスパターンが形成されている下部ローラ32とが噛み合って回転するように構成されたエンボス金型ローラ30と、
外骨格を形成しながら前記エンボス金型ローラ30を支持するフレーム部33と、
前記フレーム部33の上端に設置される油圧シリンダー34とを含んでなり、
前記上部ローラ31は、ローラボディー311と、
前記ローラボディー311の両側面の中央に設置される回転軸312と、
前記ローラボディー311の表面に形成される陽刻のエンボスパターン部313とを含んでなるが、前記ローラボディー311の表面に形成される陽刻のエンボスパターン部313よりも低くローラ回転方向に沿って形成されて前記陽刻のエンボスパターン部313を一定間隔に区画する帯状の溝部314が形成され、
前記下部ローラ32は、ローラボディー321と、
前記ローラボディー321の両側面の中央に形成される回転軸322と、
前記ローラボディー321の表面に形成される陰刻のエンボスパターン部323とを含んでなるが、ローラボディー321の表面に形成される陰刻のエンボスパターン部323よりも高くローラ回転方向に沿って形成されて前記陰刻のエンボスパターン部323を一定間隔に区画する帯状の突出部324が形成され、前記突出部324が前記溝部314に内入するように構成され、
前記アンコイラー1として前段に設置され、広幅のステンレス平板を複数の平板にスリッティングするが、切断されたステンレス平板100の側面が垂直面となるようにするスリッティング装置10−1であって、
前記スリッティング装置10−1は、
切断していないステンレス平板100が巻かれているステンレスコイル11−1と
前記ステンレスコイル11−1の中心回転軸をなし、回転によってステンレス平板を前記アンコイラー1に供給するステンレスコイル供給ローラ12−1と、
前記ステンレスコイル11−1の後段に設置され、ステンレスコイル供給ローラ12−1から前記アンコイラー1に供給される広幅のステンレス平板100を複数の平板にスリッティングするが、製作しようとするステンレスパイプ外径寸法に合うステンレス平板100の幅に応じて調整された間隔に横方向に複数設置され、ステンレス平板100の両側面が垂直面をなすように細く切るスリッター13−1とを含んでなる。
【0043】
前記第1実施例によるエンボスステンレスパイプ製造装置1は、最終的に製作しようとするエンボスステンレスパイプの外径に従うステンレス平板幅設定の難しさを解決しようとするものであって、
広幅のステンレス平板100を、エンボスステンレスパイプの外径に従ってスリッティングしようとする区間に複数設置されたスリッター13−1を用いて、複数の平板にスリッティングする技術を提示している。
【0044】
このとき、前記スリッティング装置10−1によって複数の平板にスリッティングされるステンレス平板100の両側面は垂直面をなす。
【0045】
前記スリッティング装置10−1は、
図4に示すように、
切断していないステンレス平板100が巻かれているステンレスコイル11−1と、
前記ステンレスコイル11−1の中心回転軸をなし、回転によってステンレス平板を前記アンコイラー1に供給するステンレスコイル供給ローラ12−1と、
前記ステンレスコイル11−1の後段に設置され、ステンレスコイル供給ローラ12−1から前記アンコイラー1に供給される広幅のステンレス平板100を複数の平板にスリッティングするものであって、製作しようとするステンレスパイプ外径寸法に合うステンレス平板100の幅に応じて調整された間隔に横方向に複数設置され、ステンレス平板100の両側面が垂直面をなすように細く切るスリッター13−1とを含んでなる。
【0046】
前記ステンレスコイル11−1は、スリッティング前状態の広幅のステンレス平板が巻かれているものであり、広幅のステンレス平板が巻かれているステンレスコイル11−1の中心回転軸に形成されているコイル供給ローラ12−1の回転によってスリッター13−1の方に供給される。
【0047】
前記ステンレスコイル11−1の後段には、前記ステンレスコイル11−1の横方向と並んで所定の間隔に離隔して設置された軸に複数のスリッター13−1が設置される。
このとき、スリッター13−1の配置間隔は、製作しようとするエンボスステンレスパイプの外径に従って決定される。
【0048】
前記ステンレスコイル11−1から供給される広幅のステンレス平板100は、前記スリッター13−1によって設定された数値に合わせて複数の平板にスリッティングされた後、アンコイラー1に供給されて巻き取られる。
【0049】
前記スリッティング装置10−1は、エンボスステンレスパイプの外径の寸法に関連するものであり、mm単位で少数点2桁まで表す精密度及び正確性が要求される。
一般に、ステンレス平板は、コイル状態に巻き取られたバンド形のステンレス平板であり、幅、厚さ、硬度を示す規格で販売される。
【0050】
すなわち、造管機を用いて製造した平滑面のステンレスパイプやエンボスステンレスパイプの外径が得られる寸法で販売されていないため、ステンレス平板幅をスリッティングして必要な幅に一致させなければならない。
【0051】
造管機で製造する平滑面を有する金属パイプは、金属を溶融し押し出して製造する金属パイプ以前に生産された、長い歴史と相当な技術蓄積がなされた金属パイプであり、一定寸法の外径を得るために必要な平板ステンレスの幅が得られる公式(式(1))がある。この公式は、エンボスステンレスパイプの外径設定のためのものであり、この公式を用いた“円パイプスリッティングコイル(Slitting coil)幅”を、下記表1に示す。
【0052】
(外径−厚さ)×π+厚さ=平滑面のステンレスパイプの一定外径を得るために必要なステンレス平板幅−−−−−−−−−−−−−−−式(1)
【0053】
一例として、1.00mm厚さのステンレス平板を用いて外径30.00mmの平滑面のステンレスパイプを製造しようとする時、必要なステンレス平板幅は(30.00−1.00)×π+1.00=92.06mmである。
【0054】
以上のように、平滑面を有するステンレスパイプを製造するに当たって必要な厚さと必要な外径を得たい場合、所要されるステンレス平板幅を容易に設定できるが、ステンレス平板を用いてエンボスステンレスパイプを製造する場合には、一定の厚さで必要な外径のエンボスステンレスパイプを製造しようとするとき、必要なステンレス平板の幅が分からず、設定することもできなく、前記式(1)のような公式もない。
【0055】
その理由は、エンボス処理された金属板で造管機を用いてエンボス金属パイプを作るために開発を始めた初期段階で、新規性の有無及び開発に必要な参考資料を確保するために韓国、米国、日本の特許公報を検索した結果、造管機を用いたエンボスステンレスパイプ製造に関連した資料が意外に皆無であり、実際に造管機でエンボスステンレスパイプを製造する技術分野は新規の技術分野であったためである。
【0056】
本発明出願人の先登録特許である登録特許第10−1868064号でもこの問題点を解決できず、一定の厚さ及び幅のエンボスパターンにエンボスステンレスパイプの新規規格(外径)をいちいち製造してその結果を規格資料として蓄積しているが、このような方式は原材料の損失が多く、動力及び人件費の浪費が大きいため、エンボスステンレスパイプの製造に適したステンレス平板幅設定方法が必要であった。
【0057】
そこで、本発明では、アンコイラー1として前段にスリッティング装置10−1を配置し、一定外径を有するエンボスステンレスパイプを得るためのステンレス平板幅の設定のための画一的な原則を導出することによって、不要な装置稼動の軽減、ステンレス平板原材料の節約及び人件費の節約を可能にする。
平滑面を有するステンレスパイプ外径を得るためのステンレス平板の幅を“円パイプスリッティングコイル幅”と表現し、表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
前記表1は、一定の厚さのステンレス平板で製造された平滑面を有するステンレスパイプの一定寸法の外径を得るのに所要されるステンレス平板の幅を設定する表である。一例として、ステンレス平板1.00mm厚さで外径10.00mmの平滑面のステンレスパイプを造管機を用いて製造しようとする場合、所要される1.00mm厚さのステンレス平板幅を求めるために前述の公式:(外径−厚さ)×π+厚さ=必要なステンレス幅を利用すれば、(10.00−1.00)×3.14+1.00=29.26mmである。
【0060】
言い換えると、厚さ1.00mmステンレス平板でエンボス高さ0.5mmにエンボスしたステンレス板で造管機を用いて外径10.00mmの平滑面のステンレスパイプを得るために必要なステンレス平板幅は29.26mmである。
次に、一定のエンボスステンレスパイプ外径を得るためのステンレス平板の幅を“エンボスステンレスパイプスリッティングコイル幅”と表現し、表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】
(表2で、SPは、平滑面のステンレスパイプの一定の外径に所要される平板ステンレスの幅を表し、ESPは、エンボスステンレスパイプの一定の外径に所要される平板ステンレスの幅を表す。そして、表2でエンボス処理高さは0.5mmである。)本発明は、より効率的なスリッティング幅を設定するために、様々な規格の製作過程で得られた技術蓄積と多段階工程過程で製品の外径、内径及びエンボスパターンの変化される状態を持続的に研究検討して総合した結果、下のような条件下で、異なるエンボスパターンであっても同一のスリッティング幅を使用できることを確認した。
【0063】
同一の厚さのステンレス平板を使用し、エンボス高さが同一であり、エンボスパターンがエンボスステンレス板の全面に密集した状態に成形されたエンボスステンレス板を用いてエンボスステンレスパイプを製造する場合、エンボスパターンの形状に関係なく予め定められたスリッティング幅をエンボスパターンの種類に関係なく適用することができる。
すなわち、製作しようとする外径のエンボスステンレスパイプに使用されるステンレス平板のスリッティング幅を決定するとき、
エンボスパターンが異なる場合にも、次の条件を全て満たせば、ステンレス平板100のスリッティング幅は同一に維持され得る。
【0064】
第一、同一厚さのステンレス平板100。
第二、前記同一厚さのステンレス平板100を用いて形成された同一エンボス高さのエンボスステンレス板100’。
第三、前記エンボスステンレス板100’の全面に成形され、且つ密集した状態に成形されたエンボスパターン。
【0065】
したがって、前記の条件を満たせば、新しいエンボスパターンを適用する場合にも、製作しようとする外径のエンボスステンレスパイプを作るためのサンプル製作過程が不要であり、余計な装置稼動による動力消耗、リソース浪費及び労力浪費の問題を解決することができる。
【0066】
一例として、表2でダイヤモンド(四角錐)形エンボスパターンが成形された外径φ25.4mmのエンボスステンレスパイプ製作に使用されたステンレス平板の幅は77.4mmである。
【0067】
前記ダイヤモンド(四角錐)形エンボスパターンを有するエンボスステンレスパイプと同じ外径で製作しようとするエンボスステンレスパイプのパターン形状が異なる場合には、ステンレス平板の厚さ、エンボス高さが同一であり、エンボスステンレス板の全面にパターンが密集して成形された状態であれば、ステンレス平板幅は、上に提示された77.4mmに決定すればよい。これで、パターンは異なるが、外径φ25.4mmのエンボスステンレスパイプの製作が可能である。
【0068】
第2実施例によるエンボスステンレスパイプ製造装置1は、
図2に示すように、
図1に示したエンボスステンレスパイプ製造装置1にテンパリング処理電気炉20−1がさらに設置されて構成される。
【0069】
前記エンボスステンレスパイプ製造装置1は、テンパリング処理電気炉20−1をエンボシング機3と造管機4との間に設置し、2.5〜5.0mmの厚い厚さ及びエンボス処理によって硬度の高くなったステンレス平板100をテンパリング処理してエンボス処理前の硬度に下げることによって、2.5〜5.0mmの厚い厚さを有するエンボスステンレス板100’を用いて造管機4で円滑に曲面化及び円形化がなされるようにし得る。
【0070】
前記テンパリング処理電気炉20−1は、
図5に示すように、
電気炉21−1と、
前記電気炉21−1にエンボスステンレス板100’を供給するトンネル形投入部22−1と、
前記電気炉21−1の温度及び時間を制御する制御部23−1とを含んでなる。
【0071】
前記テンパリング処理電気炉20−1は、エンボシング機3と造管機4との間に設置されるものであり、ステンレス平板100の厚さが2.5mm以上である時に使用される。
【0072】
前記テンパリング処理電気炉20−1は、厚さとエンボス処理で硬度の高くなったステンレス平板100をテンパリング処理し、エンボス処理前の硬度に下げる役割を担う。
前記テンパリング処理電気炉20−1を用いたテンパリング処理は、600℃〜1,300℃で1分〜15分間行われる。
【0073】
2.5mm以上の厚いステンレス平板100を用いてエンボスステンレスパイプを製造する場合に、厚い厚さ及びエンボス処理で大きく上昇した硬度によって引張強度及び曲げ強度が高く上昇するため、造管機で曲面化及び円形化が円滑になされず、不良のエンボスステンレスパイプが量産される。
【0074】
したがって、造管機4の前段に設置されたテンパリング処理電気炉20−1を用いて2.5mm以上の厚い厚さのステンレス平板100をテンパリング処理することによって、エンボス処理前の軟性の硬度に原状復帰し、これによって造管機で曲面化及び円形化が円滑になされることによって、2.5mm以上の厚いステンレス平板100を用いた高品質のエンボスステンレスパイプを得ることができる。
前記厚い厚さのステンレス平板100は、より具体的には2.5mm〜5.0mm範囲内の厚さを有するものである。
2.5mm〜5.0mm厚さのステンレス平板100は、エンボス処理のために硬度100HV〜200HV範囲のものを使用する。
【0075】
このような硬度のステンレス平板100は、エンボス処理後、エンボスパターン形状による構造的補強によって引張強度、曲げ強度などが40〜50%上昇して、全体的に硬度が最大300HVまで上昇することになり、これは造管機4を用いた曲面化及び円形化を難しくする。
【0076】
第3実施例によるエンボスステンレスパイプ製造装置1は、
図3に示すように、
図2に示したエンボスステンレスパイプ製造装置1に曲面化調節手段30−1がさらに設置されて構成される。
より具体的には、エンボシング機3と造管機4に設置されるが、前記テンパリング処理電気炉20−1の前段又は後段に設置される。
【0077】
前記曲面化調節手段30−1は、
図6及び
図7に示すように、
曲面化雄ローラ31−1と、
前記曲面化雄ローラ31−1の下部に形成され、前記曲面化雄ローラ31−1と水平方向に一定間隔を維持しながら形成される曲面化雌ローラ32−1と、
前記曲面化雄ローラ31−1と曲面化雌ローラ32−1の左右方向に対を成して形成され、前記曲面化雄ローラ31−1と曲面化雌ローラ32−1に連結される回転軸31a−1,32a−1を支持する回転軸支持部33−1と、
前記回転軸支持部33−1の上端に形成される締めナット34−1とを含んでなるものであり、
前記締めナット34−1を緩めたり締めたりすることによって前記曲面化雄ローラ31−1が上下に移動し、これによって、前記曲面化雄ローラ31−1と曲面化雌ローラ32−1との間に進入したエンボスステンレス板100’の挟み間隙が調節される。
【0078】
前記曲面化調節手段30−1は、前過程でエンボス処理されたエンボスステンレス板を曲面化雄ローラ31−1と曲面化雌ローラ32−1に進入させて間隙を調節固定した後、造管機4で曲面化及び円形化がなされるようにする。
【0079】
前記造管機4を用いた曲面化及び円形化において、間隙を緩くすると、曲面化ローラの空回転が発生して、流れを共にする一連の装置に問題が生じ、間隙が狭すぎると、エンボスステンレス板に形成された陽刻エンボスパターンの傷つき現象、密集現象などの問題が発生するので、挟み間隙を調節することは非常に重要である。
【0080】
エンボスステンレス板100’はステンレス平板と違い、エンボスパターンの生成によって上下方向に弾性を有し、これを勘案した間隙調節固定は、曲面化雌ローラ32−1上にエンボスステンレス板100’の表面が接し、裏面が曲面化雄ローラ31−1に接するが、1次曲面化雄ローラ31−1の自重で密着させた後、エンボス高さ寸法の10%〜15%に該当する寸法だけ間隙をさらに狭めて調節固定する。
このような間隙調節がなされた後には、造管機4で曲面化及び円形化過程が行われる。
【0081】
次に、スリッティング装置10−1で幅調整がなされたステンレス平板100に、陽刻のエンボスパターンが形成されている上部ローラ31と陰刻のエンボスパターンが形成されている下部ローラ32とが噛み合って回転しながらエンボスパターンを形成するエンボス金型ローラ30について説明する。
【0082】
図8〜
図14は、前記エンボス金型ローラ30の様々な実施形態を示すものであり、その形態及び構造によって6つの実施形態に区分できる。
図8及び
図9に示すエンボス金型ローラ30は、第1実施形態である。
【0083】
前記エンボス金型ローラ30は、
ローラボディー311と、
前記ローラボディー311の両側面の中央に設置される回転軸312と、
前記ローラボディー311の表面に形成される陽刻のエンボスパターン部313と、
前記ローラボディー311の両側縁に沿って前記陽刻のエンボスパターン部313よりも低く形成される第1左・右側端部315,316とを含んでなる上部ローラ31;
ローラボディー321と、
前記ローラボディー321の両側面の中央に形成される回転軸322と、
前記ローラボディー321の表面に形成される陰刻のエンボスパターン部323と、
前記ローラボディー321の両側縁に沿って前記陰刻のエンボスパターン部323よりも高く形成される第2左・右側端部325,326とを含んでなる下部ローラ32;で構成される。
【0084】
第1実施形態の上部ローラ31と下部ローラ32には、陽刻のエンボスパターン部313と陰刻のエンボスパターン部323を区画する帯状の溝部314と帯状の突出部324が形成されていない。
【0085】
図10に示す第2実施形態の上部ローラ31と下部ローラ32には、前記陽刻のエンボスパターン部313と陰刻のエンボスパターン部323を区画する帯状の溝部314と帯状の突出部324が形成されている。
【0086】
第2実施形態のエンボス金型ローラ30は
ローラボディー311と、
前記ローラボディー311の両側面の中央に設置される回転軸312と、
前記ローラボディー311の表面に形成される陽刻のエンボスパターン部313と、
前記ローラボディー311の表面に形成される陽刻のエンボスパターン部313よりも低くローラ回転方向に沿って形成されて前記陽刻のエンボスパターン部313を一定間隔に区画する帯状の溝部314と、
前記ローラボディー311の両側縁に沿って前記陽刻のエンボスパターン部313よりも低く形成される第1左・右側端部315,316とを含んでなる上部ローラ31;
ローラボディー321と、
前記ローラボディー321の両側面の中央に形成される回転軸322と、
前記ローラボディー321の表面に形成される陰刻のエンボスパターン部323と、
前記ローラボディー321の表面に形成される陰刻のエンボスパターン部323よりも高くローラ回転方向に沿って形成されて前記陰刻のエンボスパターン部323を一定間隔に区画する帯状の突出部324と、
前記ローラボディー321の両側縁に沿って前記陰刻のエンボスパターン部323よりも高く形成される第2左・右側端部325,326とを含んでなる下部ローラ32;で構成される。
このとき、前記下部ローラ32の突出部324は前記上部ローラ31の溝部314に内入するように構成される。
【0087】
前記第1及び第2実施形態のエンボス金型ローラ30と第3実施形態のエンボス金型ローラ30との相違は、上部ローラ31のローラボディー311の両側端の構造にある。すなわち、第3実施形態のエンボス金型ローラ30を構成する上部ローラ31のローラボディー311の両側端に左・右側傾斜面形成部317,318が形成されていることが異なる。
図11は、第3実施形態のエンボス金型ローラ30を示している。
【0088】
第3実施形態のエンボス金型ローラ30は
ローラボディー311と、
前記ローラボディー311の両側面の中央に形成される回転軸312と、
前記ローラボディー311の表面に形成される陽刻のエンボスパターン部313と、
前記ローラボディー311の両側縁に沿って前記陽刻のエンボスパターン部313よりも低く形成される第1左・右側端部315,316と、
前記第1左・右側端部315,316から外側横方向に拡張して一体をなすが、前記第1左・右側端部315,316から延長される地点から外側斜線方向に突出形成されて、下部ローラ32の第2左・右側端部325,326と噛み合って回転することによって、平面金属板100の両側面を斜線方向に成形する左・右側傾斜面形成部317,318とを含んでなる上部ローラ31;
ローラボディー321と、
前記ローラボディー321の両側面の中央に形成される回転軸322と、
前記ローラボディー321の表面に形成される陰刻のエンボスパターン部323と、
前記ローラボディー321の両側縁に沿って前記陰刻のエンボスパターン部323よりも高く形成される第2左・右側端部325,326とを含んでなる下部ローラ32;で構成される。
【0089】
第3実施形態の上部ローラ31と下部ローラ32には陽刻のエンボスパターン部313と陰刻のエンボスパターン部323を区画する帯状の溝部314、帯状の突出部324が形成されていない。
【0090】
図12に示す第4実施形態の上部ローラ31と下部ローラ32には前記陽刻のエンボスパターン部313と陰刻のエンボスパターン部323を区画する帯状の溝部314と帯状の突出部324が形成されている。
【0091】
第4実施形態のエンボス金型ローラ30は、
ローラボディー311と、
前記ローラボディー311の両側面の中央に形成される回転軸312と、
前記ローラボディー311の表面に形成される陽刻のエンボスパターン部313と、
前記ローラボディー311の表面に形成される陽刻のエンボスパターン部313よりも低くローラ回転方向に沿って形成され、前記陽刻のエンボスパターン部313を一定間隔に区画する帯状の溝部314と、
前記ローラボディー311の両側縁に沿って前記陽刻のエンボスパターン部313よりも低く形成される第1左・右側端部315,316と、
前記第1左・右側端部315,316から外側横方向に拡張されて一体をなすが、前記第1左・右側端部315,316で延長される地点から外側斜線方向に突出形成されて、下部ローラ32の第2左・右側端部325,326と噛み合って回転することによって平面金属板100の両側面を斜線方向に成形する左・右側傾斜面形成部317,318とを含んでなる上部ローラ31;
ローラボディー321と、
前記ローラボディー321の両側面の中央に形成される回転軸322と、
前記ローラボディー321の表面に形成される陰刻のエンボスパターン部323と、
前記ローラボディー321の表面に形成される陰刻のエンボスパターン部323よりも高くローラ回転方向に沿って形成されて前記陰刻のエンボスパターン部323を一定間隔に区画する帯状の突出部324と、
前記ローラボディー321の両側縁に沿って前記陰刻のエンボスパターン部323よりも高く形成される第2左・右側端部325,326とを含んでなる下部ローラ32;で構成される。
第5及び第6実施形態のエンボス金型ローラ30は、前記第1〜第4実施形態で提示されたエンボス金型ローラ30とは異なるエンボスパターンで構成される。
【0092】
図13に示すように、第5実施形態のエンボス金型ローラ30は、エンボスパターンが異なるだけで、第2実施形態のエンボス金型ローラ30と実質的に同じ構造を有する。
【0093】
図14に示すように、第6実施形態のエンボス金型ローラ30は、エンボスパターンが異なるだけで、第4実施形態のエンボス金型ローラ30と実質的に同じ構造を有する。
【0094】
以下では、前記第1〜第6実施形態で提示しているエンボス金型ローラ30の各部の構成についてより具体的に説明する。
前記エンボス金型ローラ30は、高強度金属材の上部ローラ31と下部ローラ32とが相互噛み合って回転するように構成される。
【0095】
前記上部ローラ31と下部ローラ32の表面には陽刻のエンボスパターン部313と陰刻のエンボスパターン部323をなすパターンが形成されており、前記陽刻のエンボスパターン部313と陰刻のエンボスパターン部323は互いに噛み合うように形成される。
【0096】
このとき、パターンはそれ自体の柄と陰陽刻によるボリューム感が混じり合って、成形されたエンボス金属板の美感に直接的な影響を及ぼす。このとき、パターン柄は好みによって設定可能である。
具体的な例として、
【0097】
図8〜
図11に示したエンボスパターン部313,323は、両端が丸まった長い長方形の模様がパターンをなしており、
図13及び
図14に示したエンボスパターン部313,323は、四角錐形の突出部を有する模様がパターンをなしている。
【0098】
図9及び
図11に示した第1及び第3実施形態によるエンボス金型ローラ30と、
図13及び
図14に示した第5及び第6実施形態によるエンボス金型ローラ30の相違は、上部ローラ31と下部ローラ32に形成される小幅帯状の溝部314と小幅帯状の突出部324の有無にある。
【0099】
前記帯状の溝部314と帯状の突出部324は、上部ローラ31と下部ローラ32とが平面金属板100を挟んで回転しながら、互いに噛み合って回転するように構成される。この時、噛み合って回転するということは、前記帯状の突出部324が金属板を前記溝部314の方に押し込みながら内入して回転することを意味する。
【0100】
このように形成された小幅帯状の溝部314と小幅帯状の突出部324によって、エンボス柄を有するパターンが一定間隔に円周面に沿って区画され、このように区画された小幅の溝部314によってエンボス柄と一緒に装飾効果を与えることができる。
【0101】
本発明に係るエンボス金型ローラ30のの重要構成は、
図8〜
図14に示すように、上部ローラ31と下部ローラ32の両側端に形成される第1左・右側端部315,316と第2左・右側端部325,326である。
【0102】
前記第1左・右側端部315,316と第2左・右側端部325,326の重要性は、エンボス金属板100’を用いてエンボスステンレスパイプ200を製造する時に発生する溶接問題を解消することにある。
【0103】
すなわち、前記エンボス金型ローラ30の両側端に形成されている第1左・右側端部315,316と第2左・右側端部325,326は、エンボス処理された金属板の両側面が小幅の平面となるようにすることによって、従来の平滑面の金属パイプを製造する造管機を用いてエンボスステンレスパイプ製造時に、エンボス金属板に形成された凹凸状のエンボス柄に変形が発生したり、長さ方向の継ぎ目に形成されている凹凸状のエンボス柄の不一致によって溶接が不可能となる問題を解決することができる。
【0104】
図15〜
図17は、本発明に係るエンボス金型ローラ30を用いて表現されるエンボスパターンの様々な形態を示すものであり、同一外径に用いられてステンレス平板幅は同一であるが、エンボスパターンの形状が全く異なるエンボスパターンをなすことができる。
【0105】
図15は、四角錐形エンボスパターン、
図16は正六角形エンボスパターン、
図17は櫛目形エンボスパターンをそれぞれ示しており、その他、寺を表す記号のエンボスパターンなどの様々な表現も可能である。
【0106】
このとき、前記提示されたエンボスパターンが適用されるパイプ外径、ステンレス平板幅に対する具体的な例としては、パイプ外径25.4mmであり、該外径を得るために所要されるステンレス平板幅は77.4mmである。もちろん、平板厚さ、エンボス高さも同一である。
以下、本発明に係るエンボスステンレスパイプ製造方法について説明する。
本発明に係るエンボスステンレスパイプ製造方法は、第1実施例〜第3実施例に区別できる。
第1実施例によるエンボスステンレスパイプ製造方法は、
アンコイラー1から供給されてセンタリングガイドローラ2を経てエンボシング機3に平面金属板100を供給する第1段階と、
【0107】
前記ステンレス平板100をエンボシング機3のエンボス金型ローラ30を用いてエンボス処理し、エンボスパターンが形成されたエンボス金属板100’に成形する第2段階と、
【0108】
前記エンボスステンレス板100’を造管機4に供給して曲面化、円形化過程を経て長さ方向に溶接継ぎ目部201を有するエンボスステンレスパイプ200を製造し、該エンボスステンレスパイプ200の溶接継ぎ目部201を溶接してエンボスステンレスパイプ200を完成する第3段階と、を含んでなり、
【0109】
前記エンボス金属板100’は全面がエンボス構造をなすが、両側縁が小幅平面をなすことによって、前記造管機4の曲面化、円形化過程によって前記エンボスステンレス板100’の両側面が当接してV字溝201aを有する溶接継ぎ目部201を形成し、前記V字溝201aを溶接で溶融融着することによってエンボスステンレスパイプ200が完成するが、
前記第1段階の前工程として、
生産しようとするエンボスステンレスパイプの外径が得られるステンレス平板幅を設定した後、前記ステンレス平板幅に合わせてスリッティング装置10−1のスリッター13−1を配置し、
スリッティング装置10−1を用いてステンレスコイル供給ローラ12−1から前記アンコイラー1に供給される広幅のステンレス平板100を前記設定幅に合わせて複数の平板にスリッティングするが、前記ステンレス平板100の両側面が垂直面をなすようにスリッティングする工程をさらに含んでなる。
第2実施例によるエンボスステンレスパイプ製造方法は、前記第1実施例によるエンボスステンレスパイプ製造方法の全体工程を含むが、
【0110】
第2段階と第3段階との間に、
曲面化調節手段30−1の曲面化雄ローラ31−1と曲面化雌ローラ32−1との間に進入したエンボスステンレス板100’の挟み間隙の調節によって、エンボスステンレス板100’のエンボス高さ寸法を10%〜15%さらに狭める過程をさらに含んでなることを特徴とする。
第3実施例によるエンボスステンレスパイプ製造方法は、前記第2実施例によるエンボスステンレスパイプ製造方法の全体工程を含むが、
ステンレス平板100の厚さが2.5mm以上の条件で、
第2段階と第3段階との間にテンパリング処理電気炉20−1を用いたテンパリング処理工程がさらに含まれてなることを特徴とする。
このとき、前記テンパリング処理は600℃〜1,300℃で1分〜15分間行われる。
【0111】
前記実施例1〜実施例3において、
造管機4による曲面化及び円形化以前の全過程を経たエンボスステンレス板100’は、曲面化及び円形化によって長さ方向に垂直端部を有する小幅平面を一致させてV字溝201aを形成すると同時に溶接継ぎ目部201を形成する。そして、前記V字溝201aを自己材質・溶融融着方法で溶接することで、本発明に係るエンボスステンレスパイプが完成する。
【0112】
以上で説明した本発明のエンボスステンレスパイプ製造過程を具体的な例を用いて説明する。
四角柄、櫛目柄のエンボスパターンを有するが、厚さ1.1mm、エンボス高さ0.5mm、エンボスパターンの外径が38.1mmであるエンボスステンレスパイプを製作しようとする場合、次の過程を経てエンボスステンレスパイプを製作する。
【0113】
表2で、厚さ、エンボス高さをまず考慮し、厚さ1.1mm、エンボス高さ0.5mm、エンボスパターンの外径38.10mmのダイヤモンド(四角錐)形エンボスパターンのエンボスステンレスパイプに対する資料を確認した後、前記ダイヤモンド(四角錐)形エンボスパターンのエンボスステンレスパイプ製作に使用されたステンレス平板100の幅を確認する。この幅は116.7mmである。
【0114】
四角形、櫛目柄エンボスパターンと配置状態、密集状態、パターンの大きさなどを比較・検討・調査して、ダイヤモンド(四角錐)形エンボスパターンのエンボスステンレスパイプの製作に使用されたステンレス平板幅を適用すればいいかどうか判断する。
【0115】
適用すればいいと判断されると、広幅のステンレス平板コイル(coil)を、幅が116.7mmであり、両側面が正確に垂直に切断された複数のステンレス平板にスリッティングする。
【0116】
四角柄、櫛目柄のエンボスパターンを有するエンボスローラを用いて、前記スリッティングされたステンレス平板100をエンボス処理した後、これを曲面化調節手段30−1に押し込んで密着させた状態で間隙を0.1mmだけさらに狭めて固定する。次に、造管機4による曲面化及び円形化を経た後、小幅平面端部を一致させることによって形成される継ぎ目部とV字溝に自己材質溶融融着によるアルゴン溶接を施し、エンボスステンレスパイプを完成する。
このような過程を経て製造した四角柄及び櫛目柄エンボスパターンの規格は、次の表3の通りである。
【0117】
【表3】