特許第6951731号(P6951731)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6951731職業性ストレス調査の解析装置、および職業性ストレス調査の解析装置の制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6951731
(24)【登録日】2021年9月29日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】職業性ストレス調査の解析装置、および職業性ストレス調査の解析装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20211011BHJP
   G06Q 50/22 20180101ALI20211011BHJP
【FI】
   G06Q10/06
   G06Q50/22
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-29127(P2017-29127)
(22)【出願日】2017年2月20日
(65)【公開番号】特開2018-136624(P2018-136624A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2020年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】516012645
【氏名又は名称】ソーシャルアドバンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110788
【弁理士】
【氏名又は名称】椿 豊
(72)【発明者】
【氏名】伴 裕美
【審査官】 永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/055628(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0180756(US,A1)
【文献】 特開2007−279931(JP,A)
【文献】 高坂 徹,他3名,ニューラルネットワークと多次元可視化ツールを用いた企業における従業員モチベーション要因分析と設計,日本経営工学会平成22年度秋季研究大会予稿集,日本,社団法人日本経営工学会,2010年10月23日,p.210-211
【文献】 今里 健一郎,目標を達成する7つの見える化技術,日本,株式会社日科技連出版社,2016年08月19日,p.143-155
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CPU、メモリ、および入出力手段を備えたコンピュータ装置によって構成される職業性ストレス調査の解析装置であって、
前記入出力手段により、ある母集団に属する複数の調査対象者それぞれについての、調査対象者の仕事についての複数の自己評価項目に対応する複数の自己評価の入力を受け付ける入力手段であって、前記複数の自己評価項目のうち任意の1つの自己評価項目に対応する自己評価を目的変数とし、前記複数の自己評価項目のうち前記任意の1つの自己評価項目の他の複数の自己評価項目のそれぞれに対応する自己評価を複数の説明変数として、前記複数の自己評価の入力を受け付ける入力手段と、
前記入力手段による入力値を前記メモリに一時的に記憶する記憶手段と、
多変量解析により、前記母集団に属する前記複数の調査対象者についての前記目的変数と前記複数の説明変数との関係を演算することで、前記複数の説明変数のそれぞれにおける係数、およびそれら係数のP−値(有意確率)を演算する演算手段と、
前記演算手段の演算により得られた複数の係数のうち大きいものとそのP−値を、前記母集団の特性として表示する表示手段と
前記演算手段の演算の後に、前記複数の説明変数のうちの1つと、前記目的変数とを入替えて再度の演算を行う再演算手段とを備える、職業性ストレス調査の解析装置。
【請求項2】
記入力手段は、自己評価として調査対象者の仕事や生活の満足度の入力を受け付ける、請求項1に記載の職業性ストレス調査の解析装置。
【請求項3】
CPU、メモリ、および入出力手段を備えたコンピュータ装置によって構成される職業性ストレス調査の解析装置の制御プログラムであって、
前記入出力手段により、ある母集団に属する複数の調査対象者それぞれについての、調査対象者の仕事についての複数の自己評価項目に対応する複数の自己評価の入力を受け付ける入力ステップであって、前記複数の自己評価項目のうち任意の1つの自己評価項目に対応する自己評価を目的変数とし、前記複数の自己評価項目のうち前記任意の1つの自己評価項目の他の複数の自己評価項目のそれぞれに対応する自己評価を複数の説明変数として、前記複数の自己評価の入力を受け付ける入力ステップと、
前記入力ステップによる入力値を前記メモリに一時的に記憶する記憶ステップと、
多変量解析により、前記母集団に属する前記複数の調査対象者についての前記目的変数と前記複数の説明変数との関係を演算することで、前記複数の説明変数のそれぞれにおける係数、およびそれら係数のP−値(有意確率)を演算する演算ステップと、
前記演算ステップの演算により得られた複数の係数のうち大きいものとそのP−値を、前記母集団の特性として表示する表示ステップと
前記演算ステップの演算の後に、前記複数の説明変数のうちの1つと、前記目的変数とを入替えて再度の演算を行う再演算ステップとを前記コンピュータ装置に実行させる、職業性ストレス調査の解析装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、職業性ストレス調査(例えば、職業性ストレス簡易調査票)の解析装置、および職業性ストレス調査の解析装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
会社などの母集団に属する労働者のストレスの状況について定期的に検査を行い、本人にその結果を通知して自覚を促し、個人のメンタルヘルス不調のリスク等を低減させることで職場環境の改善を図るストレスチェックが実施されている。
【0003】
ストレスチェックの入力デバイスとして、下記特許文献1には、出勤時間・退社時間の打刻時に、打刻と同時にストレスチェックの質問を入力することを可能とするデバイスが開示されている。このようなデバイスにより、ストレスチェック情報を全従業員から漏れなく収集することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−21660公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ストレス軽減のためにはそのチェック情報を客観的に分析する必要があるが、分析を行う専門家の経験、技量などにその分析結果が左右されることも多い。また、チェック情報中の重要事項の見落としが生じることは避けなければならない。さらに分析を行うときの労力を軽減させたいという要望も存在する。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、客観的な解析情報を提供することができる職業性ストレス調査の解析装置、および職業性ストレス調査の解析装置の制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に従う職業性ストレス調査の解析装置は、CPU、メモリ、および入出力手段を備えたコンピュータ装置によって構成される職業性ストレス調査の解析装置であって、前記入出力手段により、ある母集団に属する複数の調査対象者それぞれについての、調査対象者の仕事についての複数の自己評価項目に対応する複数の自己評価の入力を受け付ける入力手段であって、前記複数の自己評価項目のうち任意の1つの自己評価項目に対応する自己評価を目的変数とし、前記複数の自己評価項目のうち前記任意の1つの自己評価項目の他の複数の自己評価項目のそれぞれに対応する自己評価を複数の説明変数として、前記複数の自己評価の入力を受け付ける入力手段と、前記入力手段による入力値を前記メモリに一時的に記憶する記憶手段と、多変量解析により、前記母集団に属する前記複数の調査対象者についての前記目的変数と前記複数の説明変数との関係を演算することで、前記複数の説明変数のそれぞれにおける係数、およびそれら係数のP−値(有意確率)を演算する演算手段と、前記演算手段の演算により得られた複数の係数のうち大きいものとそのP−値を、前記母集団の特性として表示する表示手段と、前記演算手段の演算の後に、前記複数の説明変数のうちの1つと、前記目的変数とを入替えて再度の演算を行う再演算手段とを備える。
【0008】
好ましくは前記入力手段は、自己評価として調査対象者の仕事や生活の満足度の入力を受け付ける
【0010】
この発明の他の局面に従うと、CPU、メモリ、および入出力手段を備えたコンピュータ装置によって構成される職業性ストレス調査の解析装置の制御プログラムは、前記入出力手段により、ある母集団に属する複数の調査対象者それぞれについての、調査対象者の仕事についての複数の自己評価項目に対応する複数の自己評価の入力を受け付ける入力ステップであって、前記複数の自己評価項目のうち任意の1つの自己評価項目に対応する自己評価を目的変数とし、前記複数の自己評価項目のうち前記任意の1つの自己評価項目の他の複数の自己評価項目のそれぞれに対応する自己評価を複数の説明変数として、前記複数の自己評価の入力を受け付ける入力ステップと、前記入力ステップによる入力値を前記メモリに一時的に記憶する記憶ステップと、多変量解析により、前記母集団に属する前記複数の調査対象者についての前記目的変数と前記複数の説明変数との関係を演算することで、前記複数の説明変数のそれぞれにおける係数、およびそれら係数のP−値(有意確率)を演算する演算ステップと、前記演算ステップの演算により得られた複数の係数のうち大きいものとそのP−値を、前記母集団の特性として表示する表示ステップと、前記演算ステップの演算の後に、前記複数の説明変数のうちの1つと、前記目的変数とを入替えて再度の演算を行う再演算ステップとを前記コンピュータ装置に実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、客観的な解析情報を提供することができる職業性ストレス調査の解析装置、および職業性ストレス調査の解析装置の制御プログラムを提供することができる。また本発明によれば、特定の組織・集団のストレスに関する特性を、統計処理にて導き出すことが出来るため、装置の手順どおりに従えば、誰でも同じ結果を導き出すことができ、組織分析や集団分析に役立つ。ストレスチェック制度では、集団分析を行なうことが努力義務とされているが、本発明により、その集団分析を、科学的に精度良く、且つ効率的に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態における職業性ストレス調査の解析装置を概念的に示す図である。
図2】職業性ストレス調査の解析装置に用いられるコンピュータ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】複数の説明変数である調査対象者の仕事についての複数の自己評価項目に対応する複数の自己評価と、目的変数である調査対象者の自己の評価の入力例を示す図である。
図4】職業性ストレス調査の解析装置による解析結果の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態における職業性ストレス調査の解析装置の構成を概念的に示す図である。
【0015】
図を参照して、職業性ストレス調査の解析装置は、CPU、メモリ、および入出力手段を備えたコンピュータ装置によって構成される。そのコンピュータ装置は、ネットワーク接続されていてもよいし、スタンドアローンとして構成されていてもよい。職業性ストレス調査の解析装置は、サーバである場合の他、PC(Personal Computer)、ノートPC、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末などであってもよい。以下の実施の形態では、職業性ストレス調査の解析装置がサーバである場合について説明する。
【0016】
職業性ストレス調査の解析装置であるサーバ1は、通信回線(インターネット、LAN、専用回線等)を介してPC3,5、ノートパソコン7、タブレット9、スマートフォン11などに接続される。サーバ1は、PC3,5、ノートパソコン7、タブレット9、スマートフォン11からの入力(調査対象者の仕事についての複数の自己評価項目に対応する、複数の自己評価(複数の説明変数)と、調査対象者の自己の評価(目的変数)についての入力)を受け付け、それをHDD、メモリ、データベースなどにデータとして蓄積し、利用者の操作に応じてその分析と結果出力を行う。
【0017】
職業性ストレス調査の解析装置がスタンドアローンの構成をとる場合は、職業性ストレス調査の解析装置は、調査対象者の仕事についての複数の自己評価項目に対応する、複数の自己評価(複数の説明変数)と、調査対象者の自己の評価(目的変数)についての入力を、キー入力またはデータファイルなどの形式として入力し、利用者の操作に応じてその分析と結果出力を行う。
【0018】
図2は、職業性ストレス調査の解析装置に用いられるコンピュータ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0019】
図を参照して、職業性ストレス調査の解析装置に用いられるコンピュータ装置は、外部機器と通信を行う通信部103と、データの記憶を行う不揮発の記憶装置105と、一時的なデータの保存を行うメモリ107と、ディスプレイなどの表示装置109と、キーボード、タッチパネル、マウスなどにより構成される入力装置111と、それら機器とデータの授受を行い、データの演算を行うCPU101とを備える。
【0020】
図3は、複数の説明変数である調査対象者の仕事についての複数の自己評価項目に対応する複数の自己評価と、目的変数である調査対象者の自己の評価の入力例を示す図である。
【0021】
職業性ストレス調査の解析装置は、例えば図3に示されるようなデータを入力とし、その解析を行う。
【0022】
図3のデータは、複数の調査対象者(ここではNo.1〜48の48名を例示)のそれぞれの、ID番号、心理的な仕事の負担(量)、心理的な仕事の負担(質)、自覚的な身体的負担度、職場の対人関係上のストレス、職場環境によるストレス、仕事の裁量度、技能の活用度、自覚的な仕事の適性度、活気、イライラ感、疲労感、不安感、抑うつ感、身体愁訴、上司からの支援度、同僚からの支援度、および仕事や生活の満足を含む。
【0023】
ID番号は個人を特定する番号であり、プライバシー保護のため暗号化されていることが望ましい。
【0024】
図3における心理的な仕事の負担(量)、心理的な仕事の負担(質)、自覚的な身体的負担度、職場の対人関係上のストレス、職場環境によるストレス、仕事の裁量度、技能の活用度、自覚的な仕事の適性度、活気、イライラ感、疲労感、不安感、抑うつ感、身体愁訴、上司からの支援度、同僚からの支援度、および仕事や生活の満足の項目は、調査対象者の仕事についての複数の自己評価項目である。それぞれの項目について、調査対象者は1〜5のランクを自己評価として入力するものとする。なお、ランクは5段階に限られるものではない。さらに、調査対象者が入力した数値、はい/いいえ等の回答を元に素点換算表で得られた点数をコンピュータが自動算出し、入力としてもよい。調査対象者による自己評価の入力方法としては、PC、スマートフォン、タブレットなどのコンピュータ装置への調査対象者による直接の入力でもよいし、調査対象者が紙媒体で受検し、マークシート方式等で紙媒体を読み取る方法でもよい。調査対象者がWeb(ブラウザソフト)を利用して受検し、入力された自己評価が自動的にデータベースに保管されるようにしてもよい。
【0025】
No.1〜48の48名の調査対象者は、ある会社、部署などの同じ組織(母集団)に属している。職業性ストレス調査の解析装置は、この母集団におけるある特定の自己評価(目的変数)を改善するためには、どのような項目(説明変数)の改善を重視するとよいのかについての客観的な分析結果を提供する。
【0026】
心理的な仕事の負担(量)、心理的な仕事の負担(質)、自覚的な身体的負担度、職場の対人関係上のストレス、職場環境によるストレス、仕事の裁量度、技能の活用度、自覚的な仕事の適性度、活気、イライラ感、疲労感、不安感、抑うつ感、身体愁訴、上司からの支援度、および同僚からの支援度は、この実施の形態では説明変数として用いられる。
【0027】
仕事や生活の満足は、この実施の形態では目的変数として用いられる。
【0028】
なお、心理的な仕事の負担(量)、心理的な仕事の負担(質)、自覚的な身体的負担度、職場の対人関係上のストレス、職場環境によるストレス、仕事の裁量度、技能の活用度、自覚的な仕事の適性度、活気、イライラ感、疲労感、不安感、抑うつ感、身体愁訴、上司からの支援度、同僚からの支援度、および仕事や生活の満足の17の項目のうち、任意の1つを目的変数とし、他の16の項目を説明変数としてもよい。さらに説明変数の数は、16に限られるものではない。また、図3に示される項目は例示であり、他の項目を採用してもよいし、一部を削除・変更してもよい。また、一部の項目に他者からの客観的な評価項目を含めてもよい。
【0029】
各説明変数と目的変数との関係としては、正の相関、負の相関があるため、ここでは全てが正の相関となるように予め換算されるものとする。
【0030】
職業性ストレス調査の解析装置では、後に説明変数の1つと目的変数とを入替えて再度の演算を行うことも可能である。これにより、母集団の特性をより詳細に分析することが可能である。
【0031】
図4は、職業性ストレス調査の解析装置による多変量解析の結果の具体例を示す図である。
【0032】
Yを目的変数、x1、x2、x3、・・・を説明変数、a、b、c、・・・を各係数とした場合、目的変数と説明変数の相関は、
Y = a・x1 + b・x2 + c・x3 + ・・・
の式で示される。
【0033】
図3のデータを分析することによって得られた各説明変数の係数、標準偏差、t値、P−値、下限、上限等の演算結果が図4に示されている。すなわちここでは、
仕事や生活の満足度=2.165988(切片)+0.0089382×心理的な仕事の負担(量)−0.16276×心理的な仕事の負担(質)−0.551945×自覚的な身体的負担度+・・・・・・・・+0.0076024×同僚からの支援度
の近似式が算出されている。
【0034】
係数の大きい説明変数は、目的変数との相関が高い、重視すべき項目である。係数の大きいもの(上位3項目)は、大きい順番に
・活気 0.373131
・疲労感 0.294486
・職場の対人関係上のストレス 0.253236
となっており、職業性ストレス調査の解析装置は、これら上位のものを上位順に表示したり目立つように表示することで、利用者にわかりやすく表示する。また、それらのP−値(有意確率)を確認すると、活気のみが5%水準で有意であり、疲労感と職場の対人関係上のストレスは、5%水準では有意ではない。職業性ストレス調査の解析装置は、有意のものを上位順に表示したり目立つように表示することで、利用者にわかりやすく表示する。さらに、P−値(有意確率)が一定の基準に達している項目のみを、係数の大きい順に表示したり、係数が一定値以上の項目のみをP−値(有意確率)の順に表示してもよい。
【0035】
このようにして、演算により得られた複数の係数のうち大きいものとそのP−値が、母集団の特性として表示される。さらに回帰統計と分散分析表を同時に表示してもよい。
【0036】
図3の集計の母集団(会社組織など)の職業性ストレス簡易調査票から分析した課題(目的変数である、仕事や生活の満足度への影響が大きい因子)となる項目(尺度)は、活気(活気がわいてくる/元気がいっぱいだ/生き生きするなどの要素)であるということになる。装置利用者は、母集団の労働環境改善のため、その母集団の満足度を高めるためには、まず活気を向上させることが重要であり、活気を向上するためには何をなすべきか、という視点でアドバイスや提案を行なうことが可能となる。
【0037】
この多変量解析では、説明変数とする項目(尺度)の組み合わせを変えて、再計算を行うことができる。これにより、最も適切な相関のある項目を選び出すことが可能となる。
【0038】
以上のようにして、職業性ストレス調査の解析装置は、プログラムによって、調査対象者の仕事についての複数の自己評価項目に対応する複数の自己評価を複数の説明変数として入力する第1のステップと、目的変数である調査対象者の自己の評価を入力する第2のステップとをコンピュータ装置に実行させる。これらステップは、同時に実行されてもよいし、順次実行されてもよいし、第2のステップから先に実行されてもよい。
【0039】
第1および第2の入力ステップは、ある母集団に属する複数の調査対象者それぞれについて、複数の説明変数、および目的変数を入力する。それらの入力値はコンピュータのメモリに一時的に記憶される。多変量解析により、母集団に属する複数の調査対象者についての目的変数と複数の説明変数との関係を演算することで、複数の説明変数のそれぞれにおける係数、およびそれら係数のP−値(有意確率)が演算される。演算により得られた複数の係数のうち大きいものとそのP−値が、母集団の特性として表示される。
【0040】
以上のように構成された装置によれば、客観的な解析情報を提供することができる職業性ストレス調査の解析装置、および職業性ストレス調査の解析装置の制御プログラムを提供することができる。また、対象となる集団や組織が有している特徴を、精度良く分析することが可能となる。すなわち、上記装置の多変量解析により、その対象集団や組織の持つ尺度に影響を与えている項目が精度良く分析可能になる。
【0041】
上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアにより行っても、ハードウェア回路を用いて行ってもよい。また、上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザーに提供することにしてもよい。プログラムは、CPUなどのコンピューターにより実行される。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。
【0042】
上述の実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0043】
1 サーバ
3,5 PC
7 ノートパソコン
9 タブレット
11 スマートフォン
図1
図2
図3
図4