(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6951773
(24)【登録日】2021年9月29日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】被服用肩補正具
(51)【国際特許分類】
A41D 27/00 20060101AFI20211011BHJP
A41D 27/10 20060101ALI20211011BHJP
【FI】
A41D27/00 Z
A41D27/10 D
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-97738(P2019-97738)
(22)【出願日】2019年5月24日
(62)【分割の表示】特願2014-151186(P2014-151186)の分割
【原出願日】2014年7月24日
(65)【公開番号】特開2019-135347(P2019-135347A)
(43)【公開日】2019年8月15日
【審査請求日】2019年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】513243217
【氏名又は名称】有限会社エピスタ
(74)【代理人】
【識別番号】100113930
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 正洋
(74)【代理人】
【識別番号】230128222
【弁護士】
【氏名又は名称】山崎 臨在
(72)【発明者】
【氏名】青木 恵美子
【審査官】
▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−273012(JP,A)
【文献】
実開平03−063509(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3116409(JP,U)
【文献】
特開2000−017510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 1/02− 1/04
A41D 3/00− 3/08
A41D27/00−29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被服の袖付け部に略沿うように固定される袖付け部材を有し、該袖付け部材は被服に該袖付け部材を装着するための穴、又は該袖付け部材を装着するための巻き付けられた糸を具備することを特徴とする肩補正具(肩パッドを含むものを除く)。
【請求項2】
被服の肩線部に略沿うように装着される肩線部材を有し、該肩線部材は被服に該肩線部材を装着するための穴、又は該肩線部材を装着するための巻き付けられた糸を具備することを特徴とする肩補正具(肩パッドを含むものを除く)。
【請求項3】
被服の袖付け部に略沿うように固定される袖付け部材及び被服の肩線部に略沿うように装着される肩線部材を有し、該袖付け部材及び該肩線部材の少なくとも一つに被服に装着するための穴、又は装着するための巻き付けられた糸を具備することを特徴とする肩補正具(肩パッドを含むものを除く)。
【請求項4】
前記袖付け部材及び前記肩線部材の部材のうち少なくとも一方の部材が棒状部材であることを特徴とする請求項3記載の肩補正具。
【請求項5】
前記袖付け部材は、前記肩線部材と取り外し可能なように接続されることを特徴とする請求項3記載の肩補正具。
【請求項6】
被服の袖付け部に略沿うように固定される袖付け部材が被服に該袖付け部材を装着するための穴、又は該袖付け部材を装着するための巻き付けられた糸を介して装着されたことを特徴とする被服(該袖付け部材が繊維からなるシート状物を介して被服に装着された被服及び肩パッドが装着された被服を除く)。
【請求項7】
被服の肩線部に略沿うように装着される肩線部材が被服に肩線部材を装着するための穴、又は該肩線部材を装着するための巻き付けられた糸を介して装着されたことを特徴とする被服(該肩線部材が繊維からなるシート状物を介して被服に装着された被服、該肩線部材が被服の身頃の肩縫い代に取り付けられた被服及び肩パッドが装着された被服を除く。)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被服の肩形状を整える被服用の補正具に関する。
【背景技術】
【0002】
「被服は肩で着る」と言われるほど、被服を着用した際の肩の形状がその美的効果に大きな影響をもたらすものである。なで肩、肥満、やせ型などの体型や、体重の増減または加齢などによる体形の変化を目立たさずに、より美的に被服を着用するためには、肩付近の形状補正が重要である。
【0003】
従来、被服の肩形状補正に用いられていたのは肩パッドであった。肩パッドは、繊維シート状の物を積層し、ニドリング或いは粉末接着剤又はこれらの併用によりこれらを一体化し、立体的に加熱加圧成形したり、或いは裁断片に切り込みを入れたり、マチを入れて立体的に縫合した後、加熱加圧成形を行って成形されている。体型を整えるための従来の被服用肩パッドとしては、例えば特許文献1や特許文献2に開示された被服用肩パッドが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−52214
【特許文献2】特開2008−2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1や特許文献2に記載の従来の肩パッドは、肩線部に多数の不織布を使用してこれらを重合しなければならず、肩形状補正の自然さ、被服のデザインや用途等に応じた調整容易性、重さ、通気性、経年耐性等において問題があった。
【0006】
このように、従来の肩パッドは、肩全体にボリュームをもたせるものであることから、本来の肩の形状との差異がわかりやすく、不自然な形状補正になりがちという問題があった。そのため、特にTシャツなど薄手の被服には装着し難いものであった。また、ファッションデザインの潮流は時として「肩形状の縮小化」に向かうことがあり、当該潮流においては、肩全体にボリュームの出る肩パッドはつけること自体が美的でないとされてしまう状況が存在し、肩形状の補正とファッション性が両立しない場合があるという問題が存在した。さらに、被服のデザインや用途等に合わせた調整が容易ではないものであった。すなわち、被服のデザインや用途等に合わせて肩パッドを調整する場合、繊維シートなどの積層枚数などにより調節する必要があり、手間がかかるものであった。また、いったん出来上がった肩パッドを被服に合わせて変形させることは困難であった。くわえて、肩パットは肩を全体的に覆うものであることから一定の重量を持ってしまうことや、通気性が悪いという問題も存在した。
【0007】
本発明は上述した従来の肩パッドの問題点に着目して成されたものであり、重合した不織布等を用いることなく、肩線部及び袖付け部に略沿うように装着することを特徴とし、美的に被服を着用できることを実現し得る肩補正具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため、請求項1にかかる本発明は、被服の袖付け部に略沿うように装着される袖付け部材を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2にかかる本発明は、被服の肩線部に略沿うように装着される肩線部材を有することを特徴とする。
【0010】
請求項3にかかる本発明は、被服の袖付け部に略沿うように装着される袖付け部材及び被服の肩線部に略沿うように装着される肩線部材を有することを特徴とする。
【0011】
請求項4にかかる本発明は、請求項3の袖付け部材及び前記肩線部材のうち、少なくとも一方の部材が棒状部材であることを特徴とする。
【0012】
請求項5にかかる本発明は、請求項3の袖付け部材を肩線部材と取り外し可能なように接続されることを特徴とする。
【0013】
請求項6にかかる本発明は、請求項3の肩線部材は、一端部に輪状部を有し、該輪状部に請求項3記載の袖付け部材が通ることによって接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる肩補正具の構成によれば、従来の肩パッドのように重合された不織布を用いることなく、自然な形状で肩形状を補正することができる。また、被服に応じた調整も容易であり、重さ、通気性に優れた補正具とすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】肩補正具を被服に着用したときの模式図である。
【
図5】肩補正具をシート状部材で構成した図である。
【
図6】人体に接する側を平面とし、被服に接する側を丸面とした肩補正具の図である。
【
図7】袖付け部材と肩線部材を互いに取り外し可能にした肩補正具の図である。
【
図8】端部から中央部にいくに従い次第に太くなる肩補正具の図である。
【
図9】折り目をつけたシート状部材で構成した肩補正具の図である。
【
図10】袖付け部材の中央部からずれた位置に肩線部材が接続された肩補正具の図である。
【
図11】肩線部材の端部を輪状にして袖付け部材を輪に通すことにより接続した肩補正具の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に関し、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する形態は、本発明の理解が容易となる程度に特定の形状、配置関係、数値的条件などを挙げて説明するが、本発明は、これら特定条件にのみ限定されるものではなく、本発明の目的を達する構成であれば、以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態による肩補正具を被服に装着した状態を示した図である。
図2は、本発明の一実施形態による肩補正具の平面図である。
【0018】
図2に示す肩補正具1は、
図1における袖付け部4に装着される棒状の袖付け部材2と、
図1における肩線部5に装着される棒状の肩線部材3により構成されているが、袖付け部材又は肩線部材のみであってもよい。肩線部材のみの場合には、特に肩ラインの形状を補正する効果等を有し、袖付け部材のみの場合は、肩形状の補正に加え、腕が細く見えるといった効果等も奏する。また、両方の部材により構成される場合には、双方の効果を奏することに加え、これらが接続されている場合には、双方の部材が互いに支え合うことでより安定した形状補正が可能になるという効果をも奏する。袖付け部材2及び肩線部材3は、棒状の細長い形状であるが、丸棒に限られず、四角形や長方形その他の多角形の形状をしていてもよい。また、平面状であっても、袖付け部4及び肩線部5に略沿うように装着されうる形状であればよい。肩線部材3は、袖付け部材2の略中央に接続されているが、後述する
図10に示すように、必ずしも略中央でなくとも良く、肩の個体差や被服の形状等に応じて、中央からずれた状態で接続してもよい。また、袖付け部材2と肩線部材3は、必ずしも固着して接続されていなくとも良く、後述する
図7に示すように、取り外しが可能であってもよい。袖付け部材2は、その両端に、被服の袖に袖付け部材2を縫い付けるための穴2a及び2bとを有するとともに、肩山部に部材を縫い付けるための穴2cを有する。また、肩線部材3は、その端部に、肩線部に肩線部材3を縫い付けるための穴3aを有する。穴2a、2b及び3aは、必ずしも端部に設ける必要はなく、部材を縫い付けるために必要な限度で適宜移動させることが可能である。穴2cについては、必ずしも設けなくともよい。また、両面テープ、被服用ボンド、又は被服自体に装着部を設ける等の縫付け以外方法により装着が可能である場合には、全ての穴を設けなくともよい。
【0019】
肩補正具1の材質は、シリコン、ナイロン、プラスチック、ゴムなど、適度に柔軟性、弾性などを備えるものであることが望ましい。これらのような素材によると、補形効果や形状安定性がより優れたものとなる。また、被服のデザインは肩線や袖付け線の角度が様々であるところ、これらの素材によれば、適度な柔軟性、弾性により被服のデザインに合わせて可動・装着させることができる。さらに、洗濯などによる劣化が起きにくいものとなる。くわえて、コスト軽減も可能となる。もっともこれらの材質に限られるものではなく、例えば金属製ワイヤー、スポンジなどによることも可能である。
【0020】
図1を用いて、
図2の肩補正具1の装着方法を説明する。本発明にかかる肩補正具1は、
図1に示すように、袖付け部材2を被服の袖付け部4に略沿わせるように湾曲させるとともに、肩線部材3を被服の肩線部5に略沿わせるようにして装着する。袖付け部材2及び肩線部材3は、必ずしも正確に袖付け部4及び肩線部5に沿っていなくともよく、発明の効果を奏する程度に沿っていればよい。また、袖付け部4や肩線部5がないラグランスリーブのような被服であっても、同様の装着方法をとることによって、本発明にかかる肩補正具1は装着可能である。被服への装着は、袖付け部材2の穴2a、2b、2cに糸を通し、糸で被服に留めつけることによって行う。留めつけは必ずしも糸でなくともよい。また、必ずしも袖付け部材2や肩線部材3に穴を設ける必要はなく、穴を設けずに両面テープによって被服に貼り付ける、被服用ボンド等で接着する等といった方法によっても装着を行うことができる。
【0021】
本発明を被服に後付けするのではなく、被服製造時に組み込む場合は、被服の側に部材の挿入部を設ける方法もとり得る。肩の厚い被服の縫製時などの場合には、肩線部分の被服の布地にはさみこんで縫い付けることも可能である。
【0022】
図3は、肩補正具の全体に糸を巻きつけ、袖付け部材及び肩線部材の端部付近に巻きつけられた糸を、被服に縫い付ける、または当該巻きつけられた糸に他の糸をひっかけ、当該ひっかけた糸で被服に縫いつける等して装着する場合の、肩補正具の構成を示す図である。
【0023】
図3に示す肩補正具1は、その全体に糸6が巻きつけられており、袖付け部材2の両端部6a及び6bに巻き付けられている糸及び肩線部材3の端部6cに巻き付けられている糸を被服へ縫い付けることによって装着する。または、6a、6b及び6cに巻きつけられている糸にそれぞれ他の糸をひっかけ、当該ひっかけた糸で被服へ縫い付けることによって装着することもできる。肩補正具1は、必ずしもその全体に糸が巻き付けられている必要はなく、被服へ縫い付ける部分のみに糸を巻きつけることも可能である。また、糸は必ずしも手芸に用いられるような糸に限られるものではなく、装着目的が達成できるものであればよい。
【0024】
図4は、不織布や布などで肩補正具を包み、縫い代部分を被服に縫いつけたり、被服用ボンドを塗布したりする方法により部材を被服に装着する場合の、肩補正具の構成を示す図である。
【0025】
図4に示す肩補正具1は、袖付け部材2及び肩線部材3を不織布7で包み、不織布7を被服へ縫い付けたり、被服用ボンドを塗布したりする方法等によって装着される。肩補正具1を包む部材は、必ずしも不織布に限られるものではなく、被服へ縫い付け又はボンドの塗布による装着等が可能な部材であればよく、また、肩補正具1の全体を包まなくとも、被服へ装着する部分のみを包むことも可能である。これにより、人体に接する部分の肌触りがよくなり、より快適に肩補正具1を使用することができるようになる等の効果が生じる。
【0026】
図5は、シート状の部材により肩補正具を構成した図である。
【0027】
図5に示す肩補正具1は、シート状のシリコン、樹脂、ゴム、スポンジ、不織布などを三叉状に切り取ることによって作成されたシート状部材8によって構成されるが、シート状部材は必ずしも三叉状である必要はなく、袖付け部材又は肩線部材に相当する部分のみによって構成されていてもよい。かかるシート状部材8によって肩補正具1を構成することにより、簡易に作成することができ、シート状部材8の片面に被服用ボンドや両面テープを接着するなどして、棒状の部材より簡単に被服へ装着する方法をとることができる。
【0028】
図6は、人体と接する面が平らで、被服と接する面が丸い部材を用いて肩補正具を構成した図である。
【0029】
図6に示す肩補正具1は、人体に接する側に平面部9を、被服に触れる側に丸面部10を有している。かかる構成をとることによって、肩の丸みを出す形状補正を行うことができる。この場合、平面部9は平面ではなく、丸面部10と同形状とし、全体として円柱状の部材としてもよい。また、少なくとも袖付け部材2又は肩線部材3の一方がかかる構成を有していればよい。
【0030】
図7は、袖付け部材と肩線部材を互いに取り外し可能にした肩補正具の図である。
【0031】
図7に示す肩補正具1は、袖付け部材2に穴2dを設け、穴2dに肩線部材3の端部を差し込むことによって、互いに取り外し可能な形態で接続する。このようにすることで、セパレートした状態で両者を装着することや、別々に使用することが可能となり、様々な被服の形状や質感等に合わせて使用することが可能となる。例えば、肩線が極端に短い被服の場合や肩のラインがかっちりした仕上げであるデザインなどの場合は袖付け部材2のみの使用を選択することが可能となる。反対に、袖が膨らんだデザインの場合やノースリーブで袖付け部材を外部から見えない形で装着することができないような場合などの被服においては、肩線部材3のみの使用を選択することが可能になる。
【0032】
図8は、袖付け部材2及び肩線部材3の端部を細くし、部材の中央部にいくにしたがって部材を太くするようにして構成した肩補正具の図である。
【0033】
図8に示す肩補正具1は、袖付け部材2の両端部2d及び2fを細くし、袖付け部材2の中央部2gに近づくにしたがって、袖付け部材2の太さを太くするように構成する。また、肩線部材3の端部3bを細くし、袖付け部材2との接続端部3cに近づくにしたがって、肩線部材3の太さを太くする。かかる構成をとることによって、肩線部5及び袖付け部4の中央部に当たる部分が太くなり、肩山及び袖山が強調され、よりきれいなフォルムを出すことができる。この場合、少なくとも袖付け部材2又は肩線部材3の一方がかかる構成を有していればよい。
【0034】
図9は、折り目をつけたシート状部材により構成した肩補正具の図である。
【0035】
図9に示す肩補正具1は、不織布や布等平面上の素材を
図9のように切り取ることによって作成される。かかる切り取りは、三叉状であっても、袖付け部材又は肩線部材に相当する部分のみを切り取るものであってもよい。肩補正具1の材料は必ずしも不織布や布である必要はなく、同様の効果を奏するものであればよい。肩補正具1は、折り目1aをつけた面とは反対側の面に粘着剤等をつけ、当該粘着部分を被服と接着させることにより被服に装着可能である。
図1で示される袖付け部4又は肩線部5を、折り目1aに沿って肩補正具1で挟むように装着させることにより、不織布、布等の厚み、固さ等によって肩補正を行うことが可能になる。当該構成によると、被服に簡単に装着することができ、また大変安価に製造することが可能になる。
【0036】
図10は、袖付け部材の中央部からずれた位置に肩線部材を接続するように構成した肩補正具の図である。
【0037】
図10に示す肩補正具1は、袖付け部材2の中央部2gからずれた位置に肩線部材3を接続する。接続位置としては、左右いずれにも可能である。また、必ずしも固着して接続されていなくともよく、取り外し可能であってもよい。かかる構成をとることによって、被服の形状に合わせて、袖付け部材について被服の前身頃側部材を長めに設けたり、被服の後ろ身頃側部材を長めに設けたりすることが可能になる。すなわち、被服のなかには、例えば身体の肩のラインより後ろ方向に肩線が設けられているものもあり、この場合において
図2に示すような肩補正具を用いると、前身頃と後ろ身頃における袖付け部材のバランスが悪くなってしまい、袖付け部の前身頃側について十分に形状補正できないという問題を生じる。このような被服の場合に、
図10に示す肩補正具であれば、前身頃と後ろ身頃において袖付け部材をバランスよく装着することが可能になるため、袖付け部の前身頃側についても十分に補正することが可能となる。
【0038】
図11は、肩線部材の一端部を輪状にし、袖付け部材2に輪を通すことによって接続した肩補正具の図である。
【0039】
図11に示す肩補正具1は、肩線部材3の接続端部3dを輪状にし、袖付け部材2に接続端部3dを通すことにより接続する。かかる構成をとることによって、袖付け部材2に対して、肩線部材3をスライドさせることが可能になるため、被服に合わせてその都度袖付け部材2及び肩線部材3の位置関係を調整することができるようになる。輪状の部分は、必ずしも円形である必要はなく、四角形、三角形、またはその他多角形等であっても、袖付け部材を通すことによって接続できるという効果を達成できるものであればよい。
【0040】
本発明は以上のような構造である。この構造により、従来の肩パッドのような重合された不織布を用いることなく、自然な形状での補正ができ、被服に応じた調整も容易であり、重さ、通気性、経年耐性に優れた補正具とすることが可能である。
【0041】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述した形態に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で当業者が想到し得る他の形態または各種の変更例についても本発明の技術的範囲に属するものと理解される。
【符号の説明】
【0042】
1 肩補正具
1a 折り目
2 袖付け部材
2a〜2d 穴
2e、2f 端部
2g 中央部
3 肩線部材
3a 穴
3b 端部
3c 接続端部
4 袖付け部
5 肩線部
6 糸
6a〜6c 端部
7 不織布
8 シート状部材
9 平面部
10 丸面部