(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持軸体固定部材を、前記幅狭部が上の状態で、前記下顎支持部の前記下溝の側から、前記上顎支持部の前記上溝に向って挿入し、前記幅狭部の上端を前記上溝の上端に当接させたときに、前記幅広部は前記上溝及び前記下溝と係合し、前記支持軸体に取り付けた状態で、前記下顎支持部は前方に回動不能となる、
請求項1に記載の咬合器。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態の咬合器1について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施形態に係る咬合器1が支持軸体70に取り付けられた状態を示す斜視図である。
図2は咬合器1から支持軸体固定部材80を取り外した状態の分解斜視図である。
図3は咬合器1から支持軸体固定部材80を取り外した状態の背面図である。
図4は咬合器1から支持軸体固定部材80を取り外し、且つ、上顎支持部10と下顎支持部20とが閉じた状態を示す図で、(A)は全体図、(B)は関節部の拡大図である。
【0020】
咬合器1は、上顎模型40と、上顎模型40を支持する上顎支持部10と、下顎模型50と、下顎模型50を支持する下顎支持部20と、上顎支持部10及び下顎支持部20を支持軸体70に固定するための支持軸体固定部材80とを備える。
上顎支持部10と下顎支持部20との後側は、左右に延びる軸線Aを中心として関節部30において回転可能に連結されている。
【0021】
なお、以下の説明においては、咬合器1に固定される上顎模型40及び下顎模型50の前歯が配置される側を前方として、前後、左右及び上下方向を規定している。
また、左右対称に一対で設けられ、図中左右両方が示されているものには、図中、符号の最後に、右側を示すR又は左側を示すLを付す。なお以下の説明において、特に左右を区別して説明する必要がない限り、右側を示すR又は左側を示すLを付さずにまとめて説明する。
【0022】
(上顎支持部10)
上顎支持部10は、硬質の合成樹脂により一体成形されており、上顎模型40が固定される板状の上顎固定部11と、上顎固定部11から後方に延びる一対の上顎後方延出部12と、一対の上顎後方延出部12同士を連結する上連結部13とを備える。
【0023】
(上顎固定部11)
上顎固定部11は、横長の矩形板状である。上顎模型40には左右対称に2つのボルト穴(図示せず)が設けられている。上顎固定部11には、上顎模型40に設けられたボルト穴にボルトを挿入するための2つの上模型取付用穴111aが設けられている。
上顎固定部11の2つの上模型取付用穴111aは、それぞれ、下方に開口したU字型である。
【0024】
(上顎後方延出部12)
一対の上顎後方延出部12は、上顎固定部11の後面における長手方向の一端側及び他端側から後方に延びる。一対の上顎後方延出部12は、
図4に示すように、上顎固定部11に固定された上顎模型40を水平に位置させた状態で、斜め下後方に向かって延びている。
【0025】
(上連結部13)
上連結部13は、一対の上顎後方延出部12の後側を連結する部分で、一対の上顎後方延出部12の後側のそれぞれに設けられた一対の後円柱部14と、後円柱部14同士を連結する上側凹部15と、後円柱部14から左右に延びる球状の一対の顆頭部31と、上側凹部15の前方に延びるストッパ19と、を備える。
【0026】
(第1係合部61、第2係合部62、第3係合部63)
左側の後円柱部14Lの左側の下部には、後円柱部14Lの軸線でもある軸線Aの径方向外側に突出する第1係合部61L、第2係合部62L、第3係合部63Lが設けられている。右側の後円柱部14Rの右側の下部にも同様に、後円柱部14Rの軸線でもある軸線Aの径方向外側に突出する3つの第1係合部61R、第2係合部62R、第3係合部63Rが設けられている。
図4のように、上顎模型40と下顎模型50とが閉じた状態(両方に取り付けられた歯が接触している状態)で、第1係合部61及び第2係合部62は、後円柱部14の下部、第3係合部63は後円柱部14の上部に設けられている。
また、第2係合部62の先端の軸線Aからの径方向の距離は、第1係合部61の先端の軸線Aからの径方向の距離よりも大きい。
【0027】
(上側凹部15)
図2に最も分かりやすく示すように、上側凹部15は、後円柱部14Rと後円柱部14Lとを連結し、外面(前面)が前方に突出し、内面(後面)が前方に窪んだU字型である。上側凹部15の内面における、互いに対向する左右の部分には、上下に延び且つ上端が貫通せず下端が貫通した、上溝17が設けられている。
【0028】
(顆頭部31)
顆頭部31は、関節部30の一部である。顆頭部31は、後円柱部14から左右に延びる球状部材で、右側の顆頭部31Rは、右側の上顎後方延出部12の後部に設けられた後円柱部14から右側に突出し、左側の顆頭部31Lは、左側の上顎後方延出部12の後部に設けられた後円柱部14から左側に突出している。
【0029】
(ストッパ19)
ストッパ19(
図4に図示)は、上側凹部15から前方に向って突出して延びており。下向面19aを有している。
【0030】
(下顎支持部20)
下顎支持部20は、硬質の合成樹脂により一体成形されており、下顎模型50が固定される板状の下顎固定部21と、下顎固定部21から後方に延びる一対の下顎後方延出部22と、一対の下顎後方延出部22同士を連結する下連結部23とを備える。
【0031】
(下顎固定部21)
下顎固定部21は、横長の矩形板状である。下顎模型50には左右対称に2つのボルト穴(図示せず)が設けられている。下顎固定部21には、下顎模型50に設けられたボルト穴にボルトを挿入するための2つの下模型取付用穴211aが設けられている。
下顎固定部21の2つの下模型取付用穴211aは、それぞれ、上方に開口したU字型である。
【0032】
(下顎後方延出部22)
一対の下顎後方延出部22は、下顎固定部21の後面における長手方向の一端側及び他端側から後方に延びる。一対の下顎後方延出部22は、下顎固定部21に固定された下顎模型50を水平に位置させた状態で、斜め上後方に向かって延びている。
【0033】
(下連結部23)
下連結部23は、一対の下顎後方延出部22の後側を連結する部分で、顆路部32よりもやや下方において左右に延びている。下連結部23は、一対の下顎後方延出部22側の係合受部33と、両側の係合受部33の間に設けられた下側凹部35と、を備える。
【0034】
(顆路部32)
顆路部32は、関節部30の一部でもあり、一対の下顎後方延出部22の後側のそれぞれに設けられた一対の部材で、下顎後方延出部22の後側に設けられるU字型部材であり、側面視において後側が斜め後上方に向けて延びる上壁部32aと下壁部32bとを備え、斜め後上方に向けて開放された略U字型である。
顆路部32の基端側(前側)の内面は、顆頭部31の形状に対応した凹曲面部となっている。
【0035】
顆路部32の上壁部32aと下壁部32bとの間隔は、顆頭部31の径rから、後側に向うにつれて徐々に狭くなっている。
上壁部32aと下壁部32bの対向面の後側には、それぞれ、内側に突出するように上部突部36aと下部突部36bとが設けられている。上部突部36aと下部突部36bとの間隔wは、顆頭部31の径rより小さく、w<rである。
顆路部32が顆頭部31を前側(基端側)に保持することで、下顎支持部20は、軸線Aを中心として上顎支持部10に対して回動可能に支持される。
【0036】
(係合受部33)
一対の係合受部33は、上述のように一対の下顎後方延出部22における互いに対向する側面の顆路部32よりもやや下方に設けられ、軸線Aと直交する断面は略矩形である。
【0037】
(下側凹部35)
下側凹部35は、一対の係合受部33の間に設けられたU字型部材であり、上側凹部15と略同様に外面は前方に突出し、内面は前方に窪んでいる。
下側凹部35の内面における、互いに対向する左右の部分には、上下に延び且つ上端及び下端が貫通している下溝34が形成されている。下溝34は、下顎支持部20が上顎支持部10に対して所定角度の場合に、上溝17と同一直線上に並ぶ。
【0038】
(ストッパ受部24)
下側凹部35の前側は、ストッパ受部35aとなっており、その上向面35aaは
図4に示す上顎支持部と下顎支持部とを閉じた状態(閉状態)において、ストッパ19の下向面19aと当接する。
【0039】
(支持軸体固定部材80)
図1に示す支持軸体固定部材80は、前後に延びるねじ穴81aが設けられた本体部81と、ねじ穴81aに螺合するねじ部材82と備える。
図5は、支持軸体固定部材80を示す図で、(A)は前後方向の一方から見た図、(B)は背面図、(C)は前後方向の他方から見た図である。
支持軸体固定部材80の本体部81は、左右方向のそれぞれに設けられた、幅広部84と、幅広部84から連続して上下方向に延びる幅狭部85とを有する。
ねじ部材82は、ねじ穴81aに螺合されるねじ部82aと、ねじ部82aの後端に設けられたねじ回し部82bと、を備える。
【0040】
図6(A)は、支持軸体固定部材80を、下溝34の側から上溝17に向って幅狭部85の側から挿入する状態を説明する図で、
図6(B)は、支持軸体固定部材80を、下溝34の側から上溝17に向って幅広部84の側から挿入する状態を説明する図である。
図7は、支持軸体固定部材80の幅広部84と幅狭部85との長さ(上下方向の長さ)を説明する図であり、(A)は、支持軸体固定部材80を、下溝34の側から上溝17に向って幅狭部85の側から挿入した状態、(B)は、支持軸体固定部材80を、下溝34の側から上溝17に向って幅広部84の側から挿入した状態である。なお、
図7は、(A)、(B)ともに上溝17と下溝34とは、略一直線上に並んでいる状態である。
【0041】
図示するように、上溝17と下溝34とが一直線上に略並んだときに、上溝17と下溝34との間には隙間Tがあり、この隙間の長さをTLとする。上溝17の長さをUL、下溝34の長さをDL、幅広部84の長さをLL、幅狭部85の長さをSLとすると、実施形態において、以下の関係がある。
LL<UL+TL<SL+LL、かつ、SL<UL+TL+DL
・・・(1)
なお、これに限定されないが、実施形態では、SL<UL、LL>SL、LL≒ULの関係がある。
【0042】
図8は下溝34と、幅広部84と幅狭部85との幅の関係を説明する図である。
図9は、上溝17と幅広部84と幅狭部85との幅の関係を説明する図である。
【0043】
(下溝34)
下溝34の内面は、前面34fと、後面34bと、側面34sとを備える。
左右に設けられた幅狭部85の外縁間距離SWは、左右に設けられた下溝34の後面の内縁間距離DWIより短い。
左右に設けられた幅広部84の外縁間距離LWは、左右に設けられた下溝34の後面の内縁間距離DWIより長い。
すなわち、左右に設けられた下溝34の側面間の距離DWOとすると、以下の関係がある。
SW<DWI<LW<DWO・・(2)
【0044】
(上溝17)
前記上溝17の内面は、前面17fと、後面17bと、側面17sとを備える。
左右に設けられた幅狭部85の外縁間距離SWは、左右に設けられた上溝17の後面の内縁間距離UWIより長い。
左右に設けられた幅広部84の外縁間距離LWは、左右に設けられた上溝17の後面の内縁間の距離UWIより長い。
すなわち、左右に設けられた上溝17の側面間の距離UWOとすると、以下の関係がある。以下の関係がある。
UWI<SW<LW<UWO・・(3)
【0045】
(固定状態)
以上の関係より、下溝34の側から上溝17に向って幅狭部85の側から挿入した
図7(A)の場合、幅狭部85の下にある幅広部84は、上溝17と下溝34とに係合する。したがって、幅広部84によって、上溝17が設けられた上顎支持部は移動が規制されるとともに、下溝34が設けられた下顎支持部20も移動が規制される固定状態となる。
【0046】
(回動状態)
一方、下溝34の側から上溝17に向って幅広部84の側から挿入した
図7(B)の場合、幅広部84は、上溝17と係合する。したがって、上溝17が設けられた上顎支持部は移動が規制される。しかし、下溝34に対応する位置にある幅狭部85の背面には、下溝34の後面34bに覆われていないので、下溝34が設けられた下顎支持部20は前方に回動可能となる。
【0047】
次に、咬合器1の組立手順について説明する。
(上顎模型40の上顎固定部11への固定)
上顎模型40の後面に上顎固定部11を配置し、上顎模型40の一対のボルト孔(図示せず)と、上顎固定部11の一対の上模型取付用穴111aとの位置合わせを行う。
上顎固定部11の一対の上模型取付用穴111aから、上顎模型40のボルト孔にボルト111を螺合することにより、上顎模型40を上顎固定部11の前面に固定する。
【0048】
(下顎模型50の下顎固定部21への固定)
また下顎模型50の後面に、下顎固定部21を配置し、下顎模型50の一対のボルト孔(図示せず)と、下顎固定部21の一対の下模型取付用穴211aとの位置合わせを行う。
下顎固定部21の一対の下模型取付用穴211aから、下顎模型50のボルト孔(図示せず)にボルト211を螺合することにより、下顎模型50を下顎固定部21の前面に固定する。
【0049】
このとき、上顎固定部11の上模型取付用穴111a及び下顎固定部21の下模型取付用穴211aはU字型であるので、上顎模型40のボルト孔及び下顎模型50のボルト孔と位置合わしやすい。
【0050】
また、上顎模型40と上顎支持部10とを分離、または下顎模型50と下顎支持部20とを分離する場合、上顎固定部11及び下顎固定部21の上模型取付用穴111a、下模型取付用穴211aはU字型であるので、上顎模型40及び下顎模型50からボルト111、211を完全に取り外さなくても緩めただけで分離可能である。ゆえに、上顎支持部10に異なる上顎模型40を装着、下顎支持部20に異なる下顎模型50の装着を容易に行うことができる。
【0051】
上顎固定部11の上模型取付用穴111aは下方に開口したU字型であるので、まず、上顎模型40のボルト穴にボルト111を挿入し、上顎模型40の後面とボルト頭との間に隙間が空いた状態に保つ。次いで、その隙間に上方から上顎固定部11を差し込む。そしてボルト111をさらに螺合することにより上顎模型40に上顎支持部10を取り付けることができる。
このようにすることで、上顎模型40への上顎固定部11の取り付けを容易に行うことができる。
【0052】
また、下顎固定部21の下模型取付用穴211aも上方に開口したU字型であるので、まず、下顎模型50のボルト穴にボルト211を挿入し、下顎模型50の後面とボルト頭との間に隙間が空いた状態に保つ。次いで、その隙間に下方から下顎模型50を差し込む。そしてボルト211をさらに螺合することにより、下顎模型50への下顎固定部21の取付を容易に行うことができる。
【0053】
(顆頭部31の顆路部32への取付)
次に、一対の顆頭部31を、一対の顆路部32にそれぞれ取り付ける。
具体的には、U字型の顆路部32の上部突部36aと下部突部36bとの間の後側から、顆頭部31を挿入する。このとき、上部突部36aと下部突部36bとの間隔wは、顆頭部31の径rより小さいので、顆頭部31を上部突部36aと下部突部36bとの間に挿入する際、上壁部32aと下壁部32bとが弾性変形して互いの間隔が開き、顆頭部31が上部突部36a及び下部突部36bを乗り越えて、U字型の内部に挿入される。
【0054】
そして、顆頭部31が顆路部32のU字型の底部(基端側、前側)のほうに移動すると、上壁部32aと下壁部32bとは、弾性変形から元に戻り、上部突部36aと下部突部36bとの間隔wが、顆頭部31の径rより小さい状態に戻る。これにより、顆頭部31は、外力を加えない限り外れなくなる。
【0055】
これにより、顆頭部31と顆路部32とで関節部30が構成され、顆頭部31は、顆路部32のU字型の底部(基端側、前側)において回転可能に保持される。そして、上顎支持部10と下顎支持部20との後側は、左右に延びる軸線Aを中心として関節部30において回転可能に連結される。
【0056】
(第1状態)
図4に示す上顎支持部10と下顎支持部20とが閉じた第1状態(上顎支持部10と下顎支持部20との間の角度θがθ1)は、上顎模型40と下顎模型50と有歯顎の場合の正常な咬合位置である。
このとき、後円柱部14の下部に設けられた軸Aから径方向外側に突出する第1係合部61及び第2係合部62は、断面矩形の係合受部33の後方に位置している。
上顎支持部10と下顎支持部20とが互いに開く方向(θがθ1より大きくなる方向,
図4(B)の矢印X1方向)に移動すると、第1係合部61は係合受部33と当接する。
さらに上顎支持部10と下顎支持部20とが互いに開く方向に移動させるには、第1係合部61が係合受部33を乗り越える必要があり、このとき、顆頭部31は上壁部32aと下壁部32bとを弾性変形させて矢印X2で示すU字の隙間を後方に移動する。
したがって、例えば、操作者が意図的に力を加えて開かない限り、上顎支持部10と下顎支持部20とが開いてしまうことがない。
【0057】
また、
図4に示す第1状態(有歯顎である正常な咬合位置)において、ストッパ19の下向面19aとストッパ受部35aの上向面35aaとは当接している。したがって、上顎支持部10と下顎支持部20(上顎模型40と下顎模型50)とはこれ以上近接しない。ゆえに、例えば、上顎模型40と下顎模型50とのうちの少なくとも一方が無歯顎の場合であっても、
図4に示す有歯顎の場合の正常な咬合位置に保持することができる。
【0058】
(第2状態)
図10は咬合器1の側面図であり上顎支持部10と下顎支持部20との間の角度θが、θ1よりも大きい第2角度であるθ2の場合を示す図で、(A)は全体図、(B)は関節部の拡大図である。
図4で示す状態から操作者が意図的に力を加えると、顆頭部31は上壁部32aと下壁部32bとを弾性変形させてU字の隙間の後方に移動し、第1係合部61が係合受部33の角部を乗り越えて、
図10に示す状態となる。
【0059】
このとき、第1係合部61と第2係合部62との間に、係合受部33の後上の角部が位置する。顆頭部31はU字の隙間の底部(基端側、前側)と完全に当接しておらず、上壁部32aと下壁部32bとは、わずかに弾性変形している状態である。したがって上壁部32aと下壁部32bとのもとに戻ろうとする力によって、顆頭部31は図中矢印X3方向に押されている。
したがって、第1係合部61は係合受部33側に押圧され、上顎支持部10と下顎支持部20とは、
図10の位置に固定された状態となる。
【0060】
(第3状態)
図11は、咬合器1の側面図であり上顎支持部10と下顎支持部20との間の角度θが、θ2よりも大きいθ3の場合を示す図で、(A)は全体図、(B)は関節部の拡大図である。
図10で示す状態から操作者が意図的に力を加えると、顆頭部31は上壁部32aと下壁部32bとを弾性変形させてU字の隙間の後方に移動し、第2係合部62が係合受部33の角部を乗り越え、
図11で示す状態となる。
なお、第2係合部62の先端の軸線Aからの径方向距離y2(
図4(b)に示す)は、第1係合部61の先端の顆頭部31中心からの径方向距離y1(
図4(b)に示す)よりも大きいので、
図4の第1状態から
図10の第2状態に移る場合よりも、第2状態から第3状態に移る場合のほうが、力が必要となる。
【0061】
図11の状態では、上顎模型40は自重によって、角度θを小さくする方向に力が加わっている。しかし第2係合部62の後辺は係合受部33の上面と当接している。上顎模型40の自重程度の力では顆頭部31が上壁部32aと下壁部32bとを弾性変形させてU字の隙間の後方に移動させることができず、上顎支持部10と下顎支持部20とは、
図11の位置に保持される。
【0062】
(第4状態)
図12は、咬合器1の側面図であり上顎支持部10と下顎支持部20との間の角度θが、θ3よりも大きい第4角度θ4の場合を示す図で、(A)は全体図、(B)は関節部の拡大図である。
図11の状態から操作者が、上顎支持部10を下顎支持部20に対して間の角度θが大きくなるように回転させると、第4角度θ4になったとき、第3係合部63が係合受部33の後角部に当接してそれ以上回転しなくなる。
【0063】
このように、上顎支持部10と下顎支持部20との間を第1状態θ1、第2状態θ2、第3状態θ3、第4状態θ4で保持できるので、用途に応じた位置で上顎支持部10と下顎支持部20との間の角度を保持可能であり、義歯や歯科補綴物を製作する場合等に、作業しやすい。
【0064】
図13は、咬合器1への、支持軸体70の取り付けを方法を説明する図である。
(支持軸体70)
支持軸体70は、円柱状で、円周の一部に長手方向に沿って平坦部71が設けられている。平坦部71には、ねじ挿入用穴72が設けられている。
支持軸体70の円周のカーブは、上側凹部15と下側凹部35(
図13には図示せず)の内面(後面)のカーブと略一致している。
支持軸体70を、上顎支持部10と下顎支持部20との後部に設けられた上側凹部15と下側凹部35との内面に当接させて上顎支持部10と下顎支持部20とを一定の角度θ5とすると、上溝17と下溝34とは一直線上に並ぶ。この一直線上になった上溝17と下溝34とに、
図6(A)又は(B)のいずれかの状態で、本体部81の幅広部84及び幅狭部85が挿入されるようにして、本体部を取り付ける。
そして、ねじ部82aの先端が、ねじ挿入用穴72に挿入された状態で、ねじ回し部82bを回転すると、ねじ部82aの先端が、ねじ挿入用穴72に挿入されて、咬合器1が支持軸体70の所定位置に保持される。
【0065】
一般的に、咬合器を保持する支持軸体は、下端が固定台に立設され、上端にはヘッド部が取り付けられている。また、本実施形態と異なる一般的な咬合器は、後部に上下に延びる貫通孔が設けられている。そして、支持軸体を咬合器に着脱する際、支持軸体からヘッド部を取り外し、支持軸体の上端から咬合器の貫通孔を差し込み、咬合器を適切な水平位置にスライドさせている。したがって、支持軸体への咬合器の着脱の際、支持軸体からヘッド部を取り外さなくてはならない。
【0066】
しかし、本実施形態では、まず、支持軸体固定部材80を上溝17と下溝34とから取り外す。そして、支持軸体70を、支持軸体70の軸と直交する水平方向後側(上顎模型40及び下顎模型50と逆側)に相対移動し、窪み部である上側凹部15と下側凹部35とから移動させる。これにより、支持軸体70から図示しないヘッド部や固定台を取り外すことなく、支持軸体70から咬合器1に対して着脱することができる。したがって着脱が容易である。
【0067】
そして、上述したように、
図6(A)に示すように、下溝34の側から上溝17に向って幅狭部85の側から挿入すると、
図7(A)の状態となる。この場合、幅狭部85の下にある幅広部84は、上溝17と下溝34とに係合する。したがって、幅広部84によって、上溝17が設けられた上顎支持部10は移動が規制されるとともに、下溝34が設けられた下顎支持部20も移動が規制される固定状態となる。
図6(B)に示すように、下溝34の側から上溝17に向って幅広部84の側から挿入すると
図7(B)の状態となる。この場合、幅広部84は、上溝17と係合する。したがって、上溝17が設けられた上顎支持部10は移動が規制される。しかし、下溝34に対応する位置にある幅狭部85の背面には、下溝34の後面34bに覆われていないので、下溝34が設けられた下顎支持部20は前方に回動可能となる。
したがって、使用者の用途によって、支持軸体固定部材80の下溝34及び上溝17への挿入方向を変えることにより、支持軸体70に対して保持された状態において、下顎支持部20を固定するか回動可能とするかを選択することができる。
【0068】
図14は、支持軸体固定部材80を緩めた場合の咬合器1の状態を示した図である。実施形態によると、上溝17は上端が開口していない。したがって、図示するように上溝17の上端壁17aは、本体部81の幅広部84(向きによっては幅狭部85)の上端と当接して支持されている。このため、ねじ回し部82bを回転して支持軸体固定部材80を緩めると、咬合器1には重力により下方に力が加わるが、作業者がねじ回し部82bを保持している限り、咬合器1の落下が防止される。
【0069】
以上、本発明の咬合器1の好ましい各実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、種々の形態で実施することができる。
【0070】
例えば、実施形態では、上顎支持部10に顆頭部31を設け、下顎支持部20に顆路部32を設けたが、これに限らない。即ち、上顎支持部に顆路部を設け、下顎支持部に突出部を設けてもよい。
【0071】
また、実施形態では、顆頭部31を球状に構成したが、これに限らず、例えば円柱状に構成してもよい。
【0072】
本発明は、教育実習及び指導に用いられる実習用の咬合器、及び義歯や歯科補綴物を製作する場合に用いられる技工用の咬合器に好適に用いることができる。