(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両の低速走行時や駐停車動作時には、乗員が肉眼により自車両周辺を目視可能な視界は広いほうが好ましい。
一方、車両の高速走行時には、自車両直前の路面が視界に入ると乗員が感じるスピード感が過度に強調され、乗員に恐怖感を与えることが懸念される。
また、高速走行時には、通常乗員は低速走行時に対して遠方を凝視する傾向がある。このため、計器や各種表示装置を目視する際に、自車両前方を凝視する状態からの視線移動量が大きくなってしまう。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、車両の走行状態に応じて乗員が肉眼で目視可能な視界を最適化するとともに、乗員に適切に情報を提示可能な表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する。
請求項1に係る発明は、車両の乗員の前方に設けられるスクリーンと、前記スクリーンに情報を投影する投影手段と、前記車両の状況を判別する車両状況判別手段と、前記スクリーンにおける投影範囲の上縁部の位置を、前記車両状況判別手段の判別結果に基づいて上下方向に変位させる表示領域制御手段とを備え
、前記情報は自車両前方の状況を示す前方画像を含み、前記前方画像は、下方の領域が上方の領域に対して画像の更新頻度が低く設定されることを特徴とする表示装置である。
請求項2に係る発明は、車両の乗員の前方に設けられるスクリーンと、前記スクリーンに情報を投影する投影手段と、前記車両の状況を判別する車両状況判別手段と、前記スクリーンにおける投影範囲の上縁部の位置を、前記車両状況判別手段の判別結果に基づいて上下方向に変位させる表示領域制御手段とを備え、前記情報は自車両前方の状況を示す前方画像を含み、前記前方画像は、下方の領域が上方の領域に対して低い表示倍率で表示されることを特徴とする表示装置である。
これ
らの各発明によれば、高速走行時のように自車両の直近の視界を制限することが好ましい状況下においては、投影範囲の上縁部の位置を上方に変位させることによって、乗員が自車両前方を肉眼で目視可能な視界を適度に制限し、過度なスピード感やこれに伴う恐怖心を与えることを防止できる。
また、肉眼による視界が遮られる箇所を投影範囲とすることによって、乗員が少ない視線移動によって投影された情報を視認することができる。
また、肉眼で目視可能な視界の一部が遮られた場合であっても、乗員の自車両前方監視に必要な情報を表示することができ、さらに、自車両直前の視界における被写体の動き方が過度に速く見えることを防止し、乗員に恐怖感を与えることを防止できる。
請求項
3に係る発明は、前記スクリーンは、前記乗員が車両外部を透視可能であることを特徴とする請求項1
又は請求項2に記載の表示装置である。
【0007】
請求項
4に係る発明は、前記車両状況判別手段は、前記車両の走行速度を検出する機能を有し、前記表示領域制御手段は、前記投影範囲の上縁部の位置を前記走行速度の増加に応じて上昇させるとともに、前記走行速度の減少に応じて下降させることを特徴とする請求項1
から請求項3までのいずれか1項に記載の表示装置である。
これによれば、上述した高速走行時における視界の制限を簡単な構成により適切に行うことができる。
【0008】
請求項
5に係る発明は、車両の乗員の前方に設けられ情報を表示可能な表示手段と、前記車両の状況を判別する車両状況判別手段と、前記表示手段の位置を、前記車両状況判別手段の判別結果に基づいて上下方向に変位させる表示手段昇降手段とを備え
、前記情報は自車両前方の状況を示す前方画像を含み、前記前方画像は、下方の領域が上方の領域に対して画像の更新頻度が低く設定されることを特徴とする表示装置である。
請求項6に係る発明は、車両の乗員の前方に設けられ情報を表示可能な表示手段と、前記車両の状況を判別する車両状況判別手段と、前記表示手段の位置を、前記車両状況判別手段の判別結果に基づいて上下方向に変位させる表示手段昇降手段とを備え、前記情報は自車両前方の状況を示す前方画像を含み、前記前方画像は、下方の領域が上方の領域に対して低い表示倍率で表示されることを特徴とする表示装置である。
これ
らの各発明によれば、高速走行時のように自車両の直近の視界を制限することが好ましい状況下においては、表示装置の位置を上方に変位させることによって、乗員が自車両前方を肉眼で目視可能な視界を適度に制限し、過度なスピード感やこれに伴う恐怖心を与えることを防止できる。
また、肉眼による視界が遮られる箇所に表示手段を移動することによって、乗員が少ない視線移動によって表示された情報を視認することができる。
また、肉眼で目視可能な視界の一部が遮られた場合であっても、乗員の自車両前方監視に必要な情報を表示することができ、さらに、自車両直前の視界における被写体の動き方が過度に速く見えることを防止し、乗員に恐怖感を与えることを防止できる。
【0009】
請求項
7に係る発明は、前記車両状況判別手段は、前記車両の走行速度を検出する機能を有し、前記表示手段昇降手段は、前記表示手段を前記走行速度の増加に応じて上昇させるとともに、前記走行速度の減少に応じて下降させることを特徴とする請求項
5又は請求項6に記載の表示装置である。
これによれば、上述した高速走行時における視界の制限を簡単な構成により適切に行うことができる。
【0011】
請求項
8に係る発明は、前記前方画像は、前記走行速度の増加に応じて視野が縮小することを特徴とする請求項
1から請求項7までのいずれか1項に記載の表示装置である。
これによれば、高速走行時に注視が必要な領域に乗員の視線を誘導するとともに、過度に広範囲の情報を見せないことによって適切な情報表示を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、車両の走行状態に応じて乗員が肉眼で目視可能な視界を最適化するとともに、乗員に適切に情報を提示可能な表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
以下、本発明を適用した表示装置の第1実施形態について説明する。
第1実施形態の表示装置は、例えば、乗用車等の自動車に設けられ、乗員に自車両前方の画像等の情報を画像表示するものである。
ここで、乗員は、手動運転を行う車両においてはドライバであり、自動運転を行う車両においては、自車両の周辺監視に責任を持つ者とすることができる。
【0016】
図1は、第1実施形態の表示装置の構成を模式的に示すブロック図である。
表示装置1は、カメラ10、画像処理装置20、ヘッドアップディスプレイ装置30、投影範囲設定装置40、車速センサ50、エンジン制御ユニット60、ボディ統合ユニット70、ナビゲーション装置80等を有して構成されている。
画像処理装置20、投影範囲設定装置40、車速センサ50、エンジン制御ユニット60、ボディ統合ユニット70、ナビゲーション装置80は、車載LANであるCAN通信システムを介して相互に通信可能となっている。
【0017】
カメラ10は、自車両の前方を撮像する撮像装置である。
カメラ10は、CMOS等の固体撮像素子及びその駆動装置や、CMOSの撮像面に被写体像を結像するレンズ等の光学系を有する。
カメラ10は、自車両前方を撮像した動画の画像データを、画像処理装置20に逐次伝達する。
【0018】
画像処理装置20は、カメラ10から伝達された画像データに、明度、コントラスト、色調、歪曲等の各種補正や、特定の被写体の抽出等の画像処理を施し、ヘッドアップディスプレイ装置30により表示される表示画像の画像データを生成するものである。
画像処理装置20は、カメラ10の撮像画像から一部の範囲をトリミングして視野(表示範囲・画角)を調節する機能も有する。
画像処理装置20は、表示画像の画像データを、ヘッドアップディスプレイ装置30に逐次伝達する。
また、画像処理装置20は、ヘッドアップディスプレイ装置30に、自車両前方の画像に代えて、あるいは、自車両前方の画像とともに、車速、エンジン回転数、エンジン冷却水温、燃料残量、その他各種インジケータ等を表示させる機能を有する。
この場合、ヘッドアップディスプレイ30による投影範囲は、疑似的な計器盤として利用することが可能である。
【0019】
ヘッドアップディスプレイ装置30は、例えば乗員が収容される車室の前部に設けられたフロントガラス(ウインドシールド)をスクリーン(投影媒体)とし、画像処理装置20が生成した表示画像を投影するものである。
ヘッドアップディスプレイ装置30は、インストルメントパネル内に収容される表示器によって生成される画像を、拡大鏡などを有する光学系によって拡大してフロントガラスに投影し、乗員の前方に虚像として表示する。
表示器及び光学系を有する投影装置は、後述するインストルメントパネル120に内蔵される。
【0020】
投影範囲設定装置40は、ヘッドアップディスプレイ装置30におけるフロントガラス110への投影範囲140を設定するものである。
投影範囲設定装置40は、ヘッドアップディスプレイ装置30の投影範囲140の上縁部141の位置を、車両の走行速度(車速V)に応じて上下方向に変位させる機能を有する。
投影範囲設定装置40は、本発明にいう表示領域制御手段として機能する。
このような機能について、後に詳しく説明する。
【0021】
車速センサ50は、車輪が取り付けられるハブ部に隣接して設けられ、車輪の回転速度に比例した車速パルス信号を出力するものである。
車速センサ50が出力する車速パルス信号は、投影範囲設定装置40に伝達される。
投影範囲設定装置40は、車速パルス信号の周期に基づいて、車速Vを演算する。
車速センサ50は、本発明にいう車両状況判別手段として機能する。
【0022】
エンジン制御ユニット60は、車両の走行用動力源であるエンジン及びその補機類を統括的に制御するものである。
エンジン制御ユニット60は、エンジンの回転数(クランクシャフト回転速度)、冷却水温等に関する情報を画像処理装置20に伝達する。
また、エンジン制御ユニット60は、エンジン及び補機類の異常を検出する診断機能を有し、異常が検出された場合は、検出された異常に関する情報を画像処理装置20に伝達する。異常に関する情報が画像処理装置20に伝達された場合、ヘッドアップディスプレイ装置30によりフロントガラス110に警報表示が投影される。
【0023】
ボディ統合ユニット70は、車両に搭載される各種電装品を統括的に制御するものである。
ボディ統合ユニット70により制御される電装品として、例えば、計器類、灯火類、ヒータ・ベンチレータ・エアコン装置、エアバッグシステム、ワイパ・ウォッシャシステム、セキュリティシステム等がある。
ボディ統合ユニット70は、ヘッドアップディスプレイ装置30の投影範囲140が疑似的な計器盤として利用される場合に、表示される情報を画像生成装置20に提供する。
【0024】
ナビゲーション装置80は、GPS受信装置を有する測位装置、及び、地図データを蓄積した記憶装置、ナビゲーション表示画像を生成する画像生成装置等を有して構成されている。
ナビゲーション装置80は、自車両の現在位置を測位するとともに、測位された現在位置を地図データと照合し、自車両が走行中の道路が一般道路か、高速道路、自動車専用道路等の高規格道路(高速走行が許容された道路)かを判別する機能を有する。
ナビゲーション装置80は、ヘッドアップディスプレイ装置30が自車両前方画像等の表示に利用されない場合には、ヘッドアップディスプレイ装置30により、ナビゲーション画面をフロントガラス110に投影させる機能を有する。
【0025】
図2は、第1実施形態の表示装置を備える車両の乗員視界を模式的に示す図である。
図2に示すように、車両はフロントガラス110、インストルメントパネル120、ステアリングホイール130等を有する。
また、フロントガラス110における乗員前方の一部には、ヘッドアップディスプレイ装置30の投影範囲140が設けられている。
【0026】
フロントガラス110は、乗員を主要する車室の前方に設けられるものである。
フロントガラス110は、乗員が自車両前方を肉眼で目視する場合に透視するものである。
フロントガラス110は、ヘッドアップディスプレイ装置30により表示画像が投影されるスクリーンとしても機能する。
【0027】
インストルメントパネル120は、車室内におけるフロントガラス110の下部に設けられ、計器類、ナビゲーション装置80、空調装置等が収容される部材である。
インストルメントパネル120には、ヘッドアップディスプレイ装置30の投影装置が内蔵されている。
【0028】
ステアリングホイール130は、乗員が手動運転時に操舵操作を行う環状の入力部材である。
ステアリングホイール130は、インストルメントパネル120の下部から乗員側へ突出する図示しないステアリングコラムの突端部(車両後方側の端部)に取り付けられている。
ヘッドアップディスプレイ30の投影装置は、ステアリングホイール130の前方側に配置されている。
【0029】
投影範囲140は、フロントガラス110における乗員前方の領域における下部に設けられている。
投影範囲140は、例えば乗員側から見た形状が矩形状に形成され、乗員から見て主要部分がステアリングホイール130の上方に見えるよう配置されている。
投影範囲140の上縁部141の上下方向における位置は、車速に応じて変位するようになっている。
この点について以下詳細に説明する。
【0030】
図3は、第1実施形態の表示装置の動作を示すフローチャートである。
以下、ステップ毎に順を追って説明する。
【0031】
<ステップS01:車速検出>
投影範囲設定装置40は、車速センサ50から伝達される車速パルス信号に基づいて、現在の自車両の車速を検出する。
その後、ステップS02に進む。
【0032】
<ステップS02:投影範囲上端位置判別>
投影範囲設定装置40は、現在設定されている投影範囲140の上縁部141の位置が、低速走行時用の低位置(
図2、
図4に破線で示す)であるか、高速走行用の高位置(
図2、
図4に実線で示す)であるかを判別する。
上縁部141の位置が低位置である場合はステップS03に進み、高位置である場合はステップS04に進む。
【0033】
<ステップS03:車速判断1>
投影範囲設定装置40は、現在の車速Vが、予め設定された閾値Vu以上であるか否かを判別する。
車速Vが閾値Vu以上である場合は上縁部141を上昇させるためステップS04に進み、閾値Vu未満である場合は上縁部141が低位置の状態を維持して一連の処理を終了する。
【0034】
<ステップS04:投影範囲上端位置上昇>
投影範囲設定装置40は、投影範囲140の上縁部141の設定位置を、現在の低位置から高位置へ変更する。
投影範囲設定装置40は、画像生成装置20及びヘッドアップディスプレイ装置30に対して上縁部141の高位置への変位を指示する信号を伝達する。
これにより、投影範囲140は上縁部141が上昇して拡大され、フロントガラス110越しに乗員が肉眼で目視可能な範囲は部分的に遮蔽されて縮小(制限)される。
このとき、投影範囲140が拡大された範囲は、乗員の視点位置から見て、フロントガラス110越しの視界における自車両直近の領域が遮蔽される位置に設定されている。
その後、一連の処理を終了する。
【0035】
<ステップS05:車速判断2>
投影範囲設定装置40は、現在の車速Vが、予め設定された閾値Vd(Vd<Vu)以下であるか否かを判別する。
車速Vが閾値Vu以下である場合は上縁部141を下降させるためステップS06に進み、閾値Vd超である場合は上縁部141が高位置の状態を維持して一連の処理を終了する。
【0036】
<ステップS06:投影範囲上端位置上昇>
投影範囲設定装置40は、投影範囲140の上縁部141の設定位置を、現在の高位置から低位置へ変更する。
投影範囲設定装置40は、画像生成装置20及びヘッドアップディスプレイ装置30に対して上縁部141の低位置への変位を指示する信号を伝達する。
これにより、投影範囲140は上縁部141が下降して縮小され、フロントガラス110越しに乗員が肉眼で目視可能な範囲は拡大される。
その後、一連の処理を終了する。
【0037】
図4は、第1実施形態の表示装置における表示画像の一例を模式的に示す図である。
図4に示すように、表示画像200は、自車両前方を撮像した画像をもとに、自車両前方の状況を示す画像(本発明にいう前方画像)として生成されている。
表示画像200として、カメラ10によって撮像された画像に所定の画像処理を施した実写画像や、カメラ10によって撮像された画像に基づいて生成されたコンピュータグラフィックスを用いることができる。
図4に示す例においては、表示画像200には、水平線H、自車両走行車線201、対向車線202、白線203,204,205等が表示されている。
また、先行車両、対向車両、歩行者、建築物、地形、標識、信号機などが存在する場合には、これらの像も表示される。
【0038】
車速Vが閾値Vu以上となり、投影範囲140の上縁部141が上昇する場合には、表示画像200は、
図4に破線で示すように、左右端部及び下端部が帯状にマスキングされて自車両前方の画像が表示されない状態になり、表示画像200の視野(表示範囲・画角)が縮小されるようになっている。
【0039】
また、表示画像200内における水平線Hよりも下方の領域には、表示画像200を上下に分割する分割線Lが設定される。
分割線Lは、例えば、水平方向に沿って配置される。
表示画像200は、分割線Lよりも下側の領域においては、画像更新の頻度であるリフレッシュレートが、上側の領域に対して低くなる(更新頻度が疎になる)ようになっている。
また、分割線Lよりも下側の領域を、上側の領域に対して表示倍率が小さくなるように(広角に)表示するようにしてもよい。
【0040】
以上説明した第1実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)自車両の直近の視界を制限することが好ましい高速走行時においては、投影範囲140の上縁部141の位置を上方に変位させることによって、乗員が自車両前方を肉眼で目視可能な視界を適度に制限し、過度なスピード感やこれに伴う恐怖心を与えることを防止できる。
また、肉眼による視界が遮られる箇所を投影範囲140とすることによって、乗員が少ない視線移動によって投影された情報を視認することができる。
(2)自車両前方の画像を投影範囲140に表示することによって、肉眼で目視可能な視界の一部が投影される表示画像により遮られた場合であっても、乗員の自車両前方監視に必要な情報を表示するができる。
(3)車速の増加に応じて投影範囲140の表示画像の周辺部をマスキングし、視野を縮小することによって、高速走行時に注視が必要な領域に乗員の視線を誘導するとともに、過度に広範囲の情報を見せないことによって適切な情報表示を行うことができる。
(4)表示画像200における分割線Lよりも下方の領域のリフレッシュレートを上方の領域に対して低下させることによって、自車両直前の視界における被写体の動き方が過度に速く見えることを防止し、乗員に恐怖感を与えることを防止できる。
また、分割線Lよりも下方の領域を広角表示(低倍率表示)とした場合にも、同様の効果を得ることができる。
【0041】
<第2実施形態>
つぎに、本発明を適用した表示装置の第2実施形態について説明する。
以下説明する第2実施形態において、上述した第1実施形態と実質的に同様の箇所については同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
【0042】
図5は、第2実施形態の表示装置の構成を示すブロック図である。
図6は、第2実施形態の表示装置を備える車両の乗員視界を模式的に示す図である。
第2実施形態の表示装置1Aは、第1実施形態の表示装置1におけるヘッドアップディスプレイ装置30、及び、投影範囲設定装置40に代えて、以下説明するディスプレイ装置90、ディスプレイ昇降駆動装置91、ディスプレイ位置設定装置100を有する。
【0043】
ディスプレイ装置90は、例えば、液晶表示装置(LCD)等を有するパネル状に形成された表示手段である。
ディスプレイ装置90は、画像処理装置20が生成する表示画像200を逐次表示する。
ディスプレイ装置90は、乗員から見て主要部分がステアリングホイール130の上方に見えるように、インストルメントパネル120の上部に取り付けられている。
ディスプレイ装置90は、インストルメントパネル120に対して上下方向に変位可能に取り付けられている。
【0044】
ディスプレイ昇降駆動装置91は、ディスプレイ装置90をインストルメントパネル120に対して上下方向に変位させるよう駆動するものである。
ディスプレイ昇降駆動装置91は、例えば、モータ、減速ギヤ列及び回転運動を上下方向の並進運動に変換する変換機構等を有して構成されている。
【0045】
ディスプレイ位置設定装置100は、ディスプレイ装置90の上下方向における位置を設定するものである。
ディスプレイ位置設定装置100は、ディスプレイ昇降駆動装置91を制御して、車速センサ50が検出する車速Vに応じてディスプレイ装置90を上下方向に変位させる。
ディスプレイ装置90は、第1実施形態における投影範囲140の上縁部141の位置と実質的に同様に、車速Vが閾値Vr以上の場合に上昇し、車速Vが閾値Vd以下の場合に下降する。
ディスプレイ昇降駆動装置91とディスプレイ位置設定装置100は、共働して本発明にいう表示手段昇降手段として機能する。
以上説明した第2実施形態においても、上述した第1実施形態の効果と実質的に同様の効果を得ることができる。
【0046】
(変形例)
本発明は、以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)車両及び表示装置の構成は、上述した実施形態に限らず適宜変更することができる。
例えば、実施形態において複数の装置により実現している機能を単一の装置により実現したり、単一の装置により実現している機能を複数の装置に分割してもよい。
(2)実施形態においては、車速に応じて投影範囲の上縁部やディスプレイの上下位置を昇降させているが、これに限らず、車両の他の走行状態に応じてこれらを昇降させてもよい。
例えば、ナビゲーション装置や料金収受システム等からの情報に基づいて、自車両が高速道路等の高規格道路を走行中であると認識された場合に、投影範囲の上縁部やディスプレイを上昇させるようにしてもよい。
(3)実施形態において、表示画像として自車両前方の状態を撮像した画像を用いているが、表示画像はこれに限らず適宜変更することができる。
例えば、自車両を上方から俯瞰した画像(複数の実写画像を合成又はコンピュータグラフィックスにより生成)や、ナビゲーション装置が生成するナビゲーション画像、車速、エンジン回転数等の車両の状態に関する情報(一般的な車両において計器盤に表示される情報等)を表示するようにしてもよい。
また、レベル4以上の完全自動運転を行う車両においては、エンターテイメントシステムから提供される画像、映像等を表示するようにしてもよい。
(4)第1実施形態においては、ヘッドアップディスプレイにより、フロントガラスに直接画像を投影しているが、これに限らず、フロントガラスとは独立した透明部材からなるスクリーンを設けて、これに画像を投影してもよい。
(5)第2実施形態においては、表示手段として液晶ディスプレイ装置(LCD)を用いているが、表示手段の具体的構成はこれに限定されず、例えば有機ELディスプレイ等の他種のディスプレイを用いてもよい。
また、画像等の非表示時には透視することが可能ないわゆる透明ディスプレイを用いてもよい。
この場合、ディスプレイ装置自体と、ディスプレイの内部における表示範囲の上縁部とを、ともに昇降させてもよい。
(6)実施形態においては、投影範囲の上縁部の位置、ディスプレイの位置を、高位置と低位置との2段階で変化させているが、3段階以上に変化させたり、連続的に変化させるようにしてもよい。
また、高速走行時等にどの程度肉眼による視界を遮蔽するべきかは、乗員の体格や着座姿勢等によっても異なるため、投影範囲の上縁部の位置やディスプレイの位置は、ユーザが調整することが可能とすることが好ましい。
また、乗員モニタリング装置を用いて乗員の視点位置を検出し、検出された視点位置に応じて自動的に調整されるようにしてもよい。