(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
〜共通構成〜
図1〜6に基づいて本発明に係る第1〜3実施形態について説明する。第1〜3実施形態に係る共通構成について説明する。
【0022】
外容器1は、底部11と、胴部12と、フランジ部13とを備える。内容器2は、底部21と、胴部22と、フランジ部23とを備える。
【0023】
胴部12,22は概略形状として略逆円錐台形状に形成される。すなわち、フランジ部13,23から底部11,21に向かって縮径するように形成される。
【0024】
フランジ部13,23は、胴部12,22頂部から外周略水平方向に突出されている。
【0025】
内容器2は外容器1に内挿され、外容器1と内容器2との間には断熱空間3が形成される。
【0026】
二重容器は下部嵌合構造30と上部嵌合構造40とを備える。下部嵌合構造30の嵌合機能に伴って、上部嵌合構造40が機能する。
【0027】
以下、下部嵌合構造30および上部嵌合構造40の詳細構成および動作について説明する。
【0028】
〜第1実施形態〜
図1は第1実施形態に係る概略構成図である。
図2は第1実施形態に係る動作説明図である。
【0029】
第1実施形態の下部嵌合構造30について説明する。
【0030】
外容器胴部12の下部において容器内側に突出するような突起31が設けられている。例えば、略水平段と略水平段から底部11に向かって拡径する逆テーパの交わる箇所に突起31が形成される。
【0031】
内容器胴部22の下部において略水平段32と略水平段32から底部21に向かって拡径する逆テーパ33が形成される。
【0032】
外容器1中心軸から突起31までの距離(R1)は、内容器2中心軸から逆テーパ33下端までの距離(R2)より、短い。
【0033】
外容器1中心軸から突起31までの距離(R1)は、内容器2中心軸から逆テーパ33上端までの距離(R3)とほぼ同程度である。
【0034】
したがって、内容器2が外容器1に挿入される際、内容器2の底部21は突起31に当たり、挿入が阻害されるが、更に強く押し込むと、突起31は逆テーパ33に沿って移動し、略水平段32に係止される。
【0035】
突起31は、外容器1下部に設けられた外容器下部嵌合部を構成し、略水平段32と逆テーパ33は、内容器2下部に設けられた内容器下部嵌合部を構成する。
【0036】
すなわち、外容器1の突起31が形成する開口に、内容器2の逆テーパ33が形成する筒を嵌めることにより、下部嵌合構造30が機能する。
【0037】
第1実施形態の上部嵌合構造40について説明する。
【0038】
外容器胴部12の上部であって内壁において、上から下に向かって縮径するテーパ41が形成されている。テーパ41は胴部12の略逆円錐台形状の一部であってもよい。テーパ41の勾配は胴部12の平均勾配に比べて急勾配であってもよい。
【0039】
内容器1中心軸から内容器フランジ部23の外縁下端42までの距離(R4)は、外容器2中心軸からテーパ41上端までの距離(R5)より、短い。
【0040】
内容器1中心軸から内容器フランジ部23の外縁下端42までの距離(R4)は、外容器2中心軸からテーパ41下端までの距離(R6)より、長い。
【0041】
したがって、内容器2が外容器1に挿入される際、内容器2のフランジ部外縁下端42は阻害されることなく挿入可能であるが、更に挿入されると、フランジ部外縁下端42はテーパ41に沿って移動し、テーパ41途中で係止される。
【0042】
テーパ41は、外容器1上部に設けられた外容器上部嵌合部を構成し、フランジ部外縁下端42は、内容器2上部に設けられた内容器上部嵌合部を構成する。
【0043】
すなわち、外容器1のテーパ41が形成する開口に、内容器2のフランジ部外縁下端42が形成するリングを嵌めることにより、上部嵌合構造40が機能する。
【0044】
次いで、第1実施形態における、下部嵌合構造30と上部嵌合構造40との連動性について説明する。
【0045】
下部嵌合構造30において、突起31は逆テーパ33を水平方向に押そうとする。その結果、外容器1に対し、内容器2が押し下げられる。
【0046】
内容器2全体が押し下げられるということは、当然、内容器2のフランジ部外縁下端42も押し下げられる。フランジ部外縁下端42はテーパ41に沿って上から下に移動する。言い換えると、フランジ部外縁下端42がテーパ41を押し下げる。これにより、フランジ部外縁下端42はテーパ41に締め付けられ、より確実に嵌合される。
【0047】
すなわち、下部嵌合構造30の嵌合機能に連動して、上部嵌合構造40が機能する。
【0048】
〜第2実施形態〜
図3は第2実施形態に係る概略構成図である。
図4は第2実施形態に係る動作説明図である。
【0049】
第2実施形態の下部嵌合構造30について説明する。
【0050】
外容器胴部12の下部において容器内側に突出するような突起36が設けられている。例えば、略水平段と略水平段から底部11に向かって拡径する逆テーパの交わる箇所に突起36が形成される。
【0051】
内容器胴部22の下部において略水平段と略水平段から底部21に向かって拡径する逆テーパ37が形成される。
【0052】
一方、外容器底部11は、内容器底部22に比べて大きな曲率を有する上に凸形状を有する。
【0053】
外容器1中心軸から突起36までの距離(R11)は、内容器2中心軸から逆テーパ37下端までの距離(R12)より、短い。
【0054】
外容器1中心軸から突起36までの距離(R11)は、内容器2中心軸から逆テーパ37上端までの距離(R13)より、長い。
【0055】
したがって、内容器2が外容器1に挿入される際、内容器2の底部21は突起36に当たり、挿入が阻害されるが、更に強く押し込むと、突起36は逆テーパ37に沿って移動する。しかし、移動途中にて、外容器底部11頂点が内容器底部22に当たり、突起36は逆テーパ37上にて係止される。
【0056】
突起36と外容器底部11は、外容器1下部に設けられた外容器下部嵌合部を構成し、逆テーパ37と内容器底部22は、内容器2下部に設けられた内容器下部嵌合部を構成する。
【0057】
すなわち、外容器1の突起36が形成する開口に、内容器2の逆テーパ37が形成する筒を嵌め、板バネとして機能する外容器底部11頂点の反力をとることにより、下部嵌合構造30が機能する。
【0058】
第2実施形態の上部嵌合構造40について説明する。
【0059】
外容器胴部12の上部であって内壁において、上から下に向かって拡径する逆テーパ46が形成されている。さらに逆テーパ46と連続して、上から下に向かって縮径するテーパ47が形成されている。テーパ47は胴部12の略逆円錐台形状の一部であってもよい。
【0060】
内容器1中心軸から内容器フランジ部23の外縁上端48までの距離(R14)は、外容器2中心軸から逆テーパ46上端までの距離(R15)より、長い。
【0061】
内容器1中心軸から内容器フランジ部23の外縁下端42までの距離(R14)は、外容器2中心軸から逆テーパ46下端までの距離(R16)より、短い。
【0062】
したがって、内容器2が外容器1に挿入される際、内容器2のフランジ部外縁下端48は逆テーパ46に逆らいながら逆テーパ46に沿って移動し、逆テーパ46途中で係止される。
【0063】
逆テーパ46は、外容器1上部に設けられた外容器上部嵌合部を構成し、フランジ部外縁上端48は、内容器2上部に設けられた内容器上部嵌合部を構成する。
【0064】
すなわち、外容器1の逆テーパ46が形成する開口に、内容器2のフランジ部外縁上端48が形成するリングを嵌めることにより、上部嵌合構造40が機能する。
【0065】
次いで、第2実施形態における、下部嵌合構造30と上部嵌合構造40との連動性について説明する。
【0066】
下部嵌合構造30において、突起36は逆テーパ37上にて係止され反力を取りつつ、外容器底部11は内容器底部22を押し上げる。その結果、外容器1に対し、内容器2が押し上げられる。
【0067】
内容器2全体が押し上げられるということは、当然、内容器2のフランジ部外縁上端48も押し上げられる。フランジ部外縁上端48は逆テーパ46に沿って下から上に移動する。言い換えると、逆テーパ46がフランジ部外縁上端48を押し下げる。これにより、フランジ部外縁上端48は逆テーパ46に締め付けられ、より確実に嵌合される。
【0068】
すなわち、下部嵌合構造30の嵌合機能に連動して、上部嵌合構造40が機能する。
【0069】
〜第3実施形態〜
図5は第3実施形態に係る概略構成図である。
図6は第3実施形態に係る動作説明図である。
【0070】
第3実施形態の下部嵌合構造30について説明する。第1実施形態の下部嵌合構造30に類似する。
【0071】
外容器胴部12の下部において容器内側に突出するような突起31が設けられている。例えば、略水平段と略水平段から底部11に向かって拡径する逆テーパの交わる箇所に突起31が形成される。
【0072】
内容器胴部22の下部において略水平段32と略水平段32から底部21に向かって拡径する逆テーパ33が形成される。
【0073】
外容器1中心軸から突起31までの距離(R1)は、内容器2中心軸から逆テーパ33下端までの距離(R2)より、短い。
【0074】
外容器1中心軸から突起31までの距離(R1)は、内容器2中心軸から逆テーパ33上端までの距離(R3)とほぼ同程度である。
【0075】
したがって、内容器2が外容器1に挿入される際、内容器2の底部21は突起31に当たり、挿入が阻害されるが、更に強く押し込むと、突起31は逆テーパ33に沿って移動し、略水平段32に係止される。
【0076】
突起31は、外容器1下部に設けられた外容器下部嵌合部を構成し、略水平段32と逆テーパ33は、内容器2下部に設けられた内容器下部嵌合部を構成する。
【0077】
すなわち、外容器1の突起31が形成する開口に、内容器2の逆テーパ33が形成する筒を嵌めることにより、下部嵌合構造30が機能する。
【0078】
第3実施形態の上部嵌合構造40について説明する。第2実施形態の上部嵌合構造40に類似する。
【0079】
外容器胴部12の上部であって内壁において、上から下に向かって拡径する逆テーパ46が形成されている。さらに逆テーパ46と連続して、上から下に向かって縮径するテーパ47が形成されている。テーパ47は胴部12の略逆円錐台形状の一部であってもよい。
【0080】
内容器1中心軸から内容器フランジ部23の外縁上端48までの距離(R14)は、外容器2中心軸から逆テーパ46上端までの距離(R15)より、長い。
【0081】
内容器1中心軸から内容器フランジ部23の外縁下端42までの距離(R14)は、外容器2中心軸から逆テーパ46下端までの距離(R16)より、短い。
【0082】
したがって、内容器2が外容器1に挿入される際、内容器2のフランジ部外縁下端48は逆テーパ46に逆らいながら逆テーパ46に沿って移動し、逆テーパ46途中で係止される。
【0083】
逆テーパ46は、外容器1上部に設けられた外容器上部嵌合部を構成し、フランジ部外縁上端48は、内容器2上部に設けられた内容器上部嵌合部を構成する。
【0084】
すなわち、外容器1の逆テーパ46が形成する開口に、内容器2のフランジ部外縁上端48が形成するリングを嵌めることにより、上部嵌合構造40が機能する。
【0085】
次いで、第3実施形態における、下部嵌合構造30と上部嵌合構造40との連動性について説明する。
【0086】
第3実施形態において、内容器2における下部嵌合構造30と上部嵌合構造40との距離(すなわち、逆テーパ33上端とフランジ部外縁上端48との垂直方向距離)(L2)は、外容器1における下部嵌合構造30と上部嵌合構造40との距離(すなわち、突起31と逆テーパ46係止位置との垂直方向距離)(L1)より長い。これにより、内容器2の胴部22は板バネとして機能する。
【0087】
下部嵌合構造30において、突起31は逆テーパ33を水平方向に押そうとする。その結果、外容器1に対し、内容器2が押し下げられる。
【0088】
一方、下部嵌合構造30が反力をとりながら、内容器2の胴部22は板バネとして機能することにより、内容器2のフランジ部外縁上端48が押し上げられる。フランジ部外縁上端48は逆テーパ46に沿って下から上に移動する。言い換えると、逆テーパ46がフランジ部外縁上端48を押し下げる。これにより、フランジ部外縁上端48は逆テーパ46に締め付けられ、より確実に嵌合される。
【0089】
すなわち、下部嵌合構造30の嵌合機能に連動して、上部嵌合構造40が機能する。
【0090】
〜第4実施形態〜
図7は第4実施形態に係る動作説明図である。
【0091】
第4実施形態の下部嵌合構造30について説明する。第1実施形態の下部嵌合構造30に類似する。
【0092】
外容器胴部12の下部において容器内側に突出するような突起31が設けられている。例えば、略水平段と略水平段から底部11に向かって拡径する逆テーパの交わる箇所に突起31が形成される。
【0093】
内容器胴部22の下部において略水平段32と略水平段32から底部21に向かって拡径する逆テーパ33が形成される。
【0094】
外容器1中心軸から突起31までの距離(R1)は、内容器2中心軸から逆テーパ33下端までの距離(R2)より、短い。
【0095】
外容器1中心軸から突起31までの距離(R1)は、内容器2中心軸から逆テーパ33上端までの距離(R3)とほぼ同程度である。
【0096】
したがって、内容器2が外容器1に挿入される際、内容器2の底部21は突起31に当たり、挿入が阻害されるが、更に強く押し込むと、突起31は逆テーパ33に沿って移動し、略水平段32に係止される。
【0097】
突起31は、外容器1下部に設けられた外容器下部嵌合部を構成し、略水平段32と逆テーパ33は、内容器2下部に設けられた内容器下部嵌合部を構成する。
【0098】
すなわち、外容器1の突起31が形成する開口に、内容器2の逆テーパ33が形成する筒を嵌めることにより、下部嵌合構造30が機能する。
【0099】
第4実施形態の上部嵌合構造40について説明する。
【0100】
外容器胴部12の上部において、略水平段43が形成されている。略水平段43上面(内壁側)上に内容器フランジ部23の下面44が係止されている。
【0101】
さらに、第1実施形態の上部嵌合構造40(外容器1のテーパ41が形成する開口に、内容器2のフランジ部外縁下端42が形成するリングを嵌める)を併用してもよい。
【0102】
テーパ41と略水平段43とは、外容器1上部に設けられた外容器上部嵌合部を構成し、フランジ部外縁下端42とフランジ部下面44は、内容器2上部に設けられた内容器上部嵌合部を構成する。
【0103】
次いで、第4実施形態における、下部嵌合構造30と上部嵌合構造40との連動性について説明する。
【0104】
下部嵌合構造30において、突起31は逆テーパ33を水平方向に押そうとする。その結果、外容器1に対し、内容器2が押し下げられる。
【0105】
内容器2全体が押し下げられるということは、当然、内容器2のフランジ部23も押し下げられる。内容器フランジ部下面44は略水平段43上面を押し付ける。更に、フランジ部外縁下端42はテーパ41に締め付けられ、より確実に嵌合される。
【0106】
すなわち、下部嵌合構造30の嵌合機能に連動して、上部嵌合構造40が機能する。
【0107】
〜効果〜
第1〜4実施形態において、外容器上部嵌合部41,43,46は、外容器1の内壁に設けられており、内容器上部嵌合部42,44,48は内容器2のフランジ23に設けられている。
【0108】
すなわち、内容器2のフランジ23が外容器1に内包され、外容器1のフランジ13が覆われることがない。外容器1のフランジ13のみが外側に位置する。
【0109】
これにより、二重容器のフランジ付近が肉厚とならない。その結果、容器のデザイン性に制約がなく(言い換えると、スタイリッシュな外観を維持できる)とともに、飲料を飲むときの唇の触感が良く、飲みやすく感じる。
【0110】
また、上部嵌合構造40において確実に嵌合されており、内容器2のフランジ23が外側になくとも、上部嵌合構造40からの飲料の侵入がない。
【0111】
ところで、断熱効果が必要とされない場合は、外容器1および内容器2それぞれ、独自の容器として用いることができる。特に外容器1においてはデザインが考慮されており、意匠性を維持できる。
【0112】
〜備考〜
従来技術における二重容器においては、接合箇所から飲料の侵入がないように、内容器のフランジが外側になり、接合箇所を覆うように構成されている。
【0113】
したがって、内容器2のフランジ23を外容器1に内包させるという発想がなかった。
【0114】
本願発明者は、上部嵌合構造40をより確実に機能させることで、内容器2のフランジ23を外容器1に内包させることを実現させた。以上の思考過程を経て、本願発明が完成されるに至った。
【0115】
したがって、本願発明は、上記実施形態に限定されず、上記技術思想の範囲で種々の変更が可能である。
〜その他〜
【0116】
外容器1および内容器2の材質等は特に限定されないが、例えば、透明または半透明の樹脂製であってもよい。
【0117】
図8は嵌合前の二重容器を示す図であり、
図9は嵌合後の二重容器を示す図である。
【0118】
例えば、飲料提供業者のロゴやキャラクターデザインを内容器2に付してもよい。外容器1を介して視認可能とすることにより、外容器1にロゴ等を付す場合と異なる外観を演出できる。たとえば、光の加減で見え方が異なる。これにより、意匠性が向上する。
【0119】
また、内容器2にロゴ等をふすことにより、摩擦等によりロゴが剥がれるおそれがない。これにより意匠性を維持できる。