特許第6951937号(P6951937)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6951937
(24)【登録日】2021年9月29日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】二重容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/04 20060101AFI20211011BHJP
   B65D 81/38 20060101ALI20211011BHJP
【FI】
   B65D77/04 A
   B65D81/38 E
   B65D81/38 L
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-204072(P2017-204072)
(22)【出願日】2017年10月20日
(65)【公開番号】特開2019-77457(P2019-77457A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2020年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154405
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 大吾
(74)【代理人】
【識別番号】100079005
【弁理士】
【氏名又は名称】宇高 克己
(74)【代理人】
【識別番号】100201341
【弁理士】
【氏名又は名称】畠山 順一
(74)【代理人】
【識別番号】230116296
【弁護士】
【氏名又は名称】薄葉 健司
(72)【発明者】
【氏名】澤田 純
【審査官】 杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−185278(JP,U)
【文献】 特表2009−507726(JP,A)
【文献】 特開2010−202264(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/059821(WO,A1)
【文献】 登録実用新案第3130708(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2007/154665(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−103531(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 19/22
A47G 23/02
B65D 77/04
B65D 81/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外容器と、前記外容器に内挿される内容器とからなり、断熱空間が形成される二重容器であって、
前記外容器下部に設けられた外容器下部嵌合部に前記内容器下部に設けられた内容器下部嵌合部を嵌める下部嵌合構造と、
前記外容器上部に設けられた外容器上部嵌合部に前記内容器上部に設けられた内容器上部嵌合部を嵌める上部嵌合構造と、
を備え、
前記外容器上部嵌合部は、前記外容器の内壁に設けられ、上から下に向かって縮径するテーパ状に形成され、
前記下部嵌合構造は、前記外容器下部嵌合部が前記内容器下部嵌合部を押し下げるよう形成され、
前記上部嵌合構造は、前記内容器上部嵌合部が前記外容器上部嵌合部を押し下げるよう形成され、
前記下部嵌合構造の嵌合機能に伴って、前記上部嵌合構造が機能する
ことを特徴とする二重容器。
【請求項2】
外容器と、前記外容器に内挿される内容器とからなり、断熱空間が形成される二重容器であって、
前記外容器下部に設けられた外容器下部嵌合部に前記内容器下部に設けられた内容器下部嵌合部を嵌める下部嵌合構造と、
前記外容器上部に設けられた外容器上部嵌合部に前記内容器上部に設けられた内容器上部嵌合部を嵌める上部嵌合構造と、
を備え、
前記外容器上部嵌合部は、前記外容器の内壁に設けられ、上から下に向かって拡径する逆テーパと上から下に向かって縮径するテーパとが連続して形成され
前記下部嵌合構造は、前記外容器下部嵌合部が前記内容器下部嵌合部を押し上げるよう形成され、
前記上部嵌合構造は、前記内容器上部嵌合部が前記外容器上部嵌合部を押し上げるよう形成され、
前記下部嵌合構造の嵌合機能に伴って、前記上部嵌合構造が機能する
ことを特徴とする二重容器。
【請求項3】
外容器と、前記外容器に内挿される内容器とからなり、断熱空間が形成される二重容器であって、
前記外容器下部に設けられた外容器下部嵌合部に前記内容器下部に設けられた内容器下部嵌合部を嵌める下部嵌合構造と、
前記外容器上部に設けられた外容器上部嵌合部に前記内容器上部に設けられた内容器上部嵌合部を嵌める上部嵌合構造と、
を備え、
前記外容器上部嵌合部は、前記外容器の内壁に設けられ、
前記内容器における下部嵌合構造と上部嵌合構造との垂直方向距離(L2)は前記外容器における下部嵌合構造と上部嵌合構造との垂直方向距離(L1)より長く、前記内容器の胴部は板バネとして機能し
前記下部嵌合構造は、前記外容器下部嵌合部が前記内容器下部嵌合部を押し下げるよう形成され、
前記上部嵌合構造は、前記内容器上部嵌合部が前記外容器上部嵌合部を押し上げるよう形成され
前記下部嵌合構造の嵌合機能に伴って、前記上部嵌合構造が機能する
ことを特徴とする二重容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外容器と内容器とからなり、断熱空間が形成される二重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器には熱い飲料や冷たい飲料が入れられることがある。
【0003】
熱い飲料は高温が維持されることが好ましい。冷たい飲料は低温が維持されることが好ましい。また、熱い飲料が入った容器を持った時、熱くて不快感を覚えるおそれもある。また、冷たい飲料が入った容器を持った時、冷たくて不快感を覚えるおそれもある。
【0004】
内容物の保温および持ち手への熱伝達抑制の観点から、断熱空間が形成された二重容器が用いられている。
【0005】
樹脂製の外容器に樹脂製の内容器を積み重ねた二重容器が一般的である(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許4612313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
外容器に内容器を積み重ねる場合、内容器が外容器内でぐらつかない様に接合構造が重要となる。特許文献1では、外容器の断面カール状のフランジに内容器の断面半円状のフランジを嵌め合わせる例と、外容器の直立した胴部上端に内容器のフランジを掛止させる例とが開示されている。
【0008】
2つの例とも、接合箇所から飲料の侵入がないように、内容器のフランジが外側になり、接合箇所を覆うように構成されている。
【0009】
その結果、二重容器のフランジ付近が肉厚となる。容器のデザイン性に制約がある(言い換えると、外観が野暮ったく見える)とともに、飲料を飲むときの唇の触感が悪く、飲みにくく感じるおそれがある。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するものであり、フランジ付近が肉厚とならず、かつ、接合箇所から飲料の侵入がない二重容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の二重容器は、外容器と、前記外容器に内挿される内容器と、からなる。外容器と内容器の間に断熱空間が形成される。二重容器は、前記外容器下部に設けられた外容器下部嵌合部に前記内容器下部に設けられた内容器下部嵌合部を嵌める下部嵌合構造と、前記外容器上部に設けられた外容器上部嵌合部に前記内容器上部に設けられた内容器上部嵌合部を嵌める上部嵌合構造と、を備える。前記外容器上部嵌合部は、前記外容器の内壁に設けられる。
【0012】
これにより、外容器のフランジが内容器により覆われることがなく、外側に位置する。その結果、二重容器のフランジ付近が肉厚とならない。
【0013】
上記発明において好ましくは、前記下部嵌合構造の嵌合機能に伴って、前記上部嵌合構造が機能するように形成される。
【0014】
これにより、上部嵌合構造において確実に嵌合される。その結果、上部嵌合構造からの飲料の侵入がない。
【0015】
上記発明において好ましくは、前記下部嵌合構造は、前記外容器下部嵌合部が前記内容器下部嵌合部を押し下げるよう形成され、前記上部嵌合構造は、前記内容器上部嵌合部が前記外容器上部嵌合部を押し下げるよう形成される。
【0016】
上記発明において好ましくは、前記下部嵌合構造は、前記外容器下部嵌合部が前記内容器下部嵌合部を押し上げるよう形成され、前記上部嵌合構造は、前記内容器上部嵌合部が前記外容器上部嵌合部を押し上げるよう形成される。
【0017】
上記発明において好ましくは、前記下部嵌合構造は、前記外容器下部嵌合部が前記内容器下部嵌合部を押し下げるよう形成され、前記上部嵌合構造は、前記内容器上部嵌合部が前記外容器上部嵌合部を押し上げるよう形成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の二重容器よれば、フランジ付近が肉厚とならない。その結果、容器のデザイン性に制約がなく(言い換えると、スタイリッシュな外観を維持できる)とともに、飲料を飲むときの唇の触感が良く、飲みやすく感じる。
【0019】
また、本発明の二重容器よれば、接合箇所から飲料の侵入がない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】概略構成図(第1実施形態)
図2】動作説明図(第1実施形態)
図3】概略構成図(第2実施形態)
図4】動作説明図(第2実施形態)
図5】概略構成図(第3実施形態)
図6】動作説明図(第3実施形態)
図7】動作説明図(第4実施形態)
図8】半透明容器嵌合前
図9】半透明容器嵌合後
【発明を実施するための形態】
【0021】
〜共通構成〜
図1〜6に基づいて本発明に係る第1〜3実施形態について説明する。第1〜3実施形態に係る共通構成について説明する。
【0022】
外容器1は、底部11と、胴部12と、フランジ部13とを備える。内容器2は、底部21と、胴部22と、フランジ部23とを備える。
【0023】
胴部12,22は概略形状として略逆円錐台形状に形成される。すなわち、フランジ部13,23から底部11,21に向かって縮径するように形成される。
【0024】
フランジ部13,23は、胴部12,22頂部から外周略水平方向に突出されている。
【0025】
内容器2は外容器1に内挿され、外容器1と内容器2との間には断熱空間3が形成される。
【0026】
二重容器は下部嵌合構造30と上部嵌合構造40とを備える。下部嵌合構造30の嵌合機能に伴って、上部嵌合構造40が機能する。
【0027】
以下、下部嵌合構造30および上部嵌合構造40の詳細構成および動作について説明する。
【0028】
〜第1実施形態〜
図1は第1実施形態に係る概略構成図である。図2は第1実施形態に係る動作説明図である。
【0029】
第1実施形態の下部嵌合構造30について説明する。
【0030】
外容器胴部12の下部において容器内側に突出するような突起31が設けられている。例えば、略水平段と略水平段から底部11に向かって拡径する逆テーパの交わる箇所に突起31が形成される。
【0031】
内容器胴部22の下部において略水平段32と略水平段32から底部21に向かって拡径する逆テーパ33が形成される。
【0032】
外容器1中心軸から突起31までの距離(R1)は、内容器2中心軸から逆テーパ33下端までの距離(R2)より、短い。
【0033】
外容器1中心軸から突起31までの距離(R1)は、内容器2中心軸から逆テーパ33上端までの距離(R3)とほぼ同程度である。
【0034】
したがって、内容器2が外容器1に挿入される際、内容器2の底部21は突起31に当たり、挿入が阻害されるが、更に強く押し込むと、突起31は逆テーパ33に沿って移動し、略水平段32に係止される。
【0035】
突起31は、外容器1下部に設けられた外容器下部嵌合部を構成し、略水平段32と逆テーパ33は、内容器2下部に設けられた内容器下部嵌合部を構成する。
【0036】
すなわち、外容器1の突起31が形成する開口に、内容器2の逆テーパ33が形成する筒を嵌めることにより、下部嵌合構造30が機能する。
【0037】
第1実施形態の上部嵌合構造40について説明する。
【0038】
外容器胴部12の上部であって内壁において、上から下に向かって縮径するテーパ41が形成されている。テーパ41は胴部12の略逆円錐台形状の一部であってもよい。テーパ41の勾配は胴部12の平均勾配に比べて急勾配であってもよい。
【0039】
内容器1中心軸から内容器フランジ部23の外縁下端42までの距離(R4)は、外容器2中心軸からテーパ41上端までの距離(R5)より、短い。
【0040】
内容器1中心軸から内容器フランジ部23の外縁下端42までの距離(R4)は、外容器2中心軸からテーパ41下端までの距離(R6)より、長い。
【0041】
したがって、内容器2が外容器1に挿入される際、内容器2のフランジ部外縁下端42は阻害されることなく挿入可能であるが、更に挿入されると、フランジ部外縁下端42はテーパ41に沿って移動し、テーパ41途中で係止される。
【0042】
テーパ41は、外容器1上部に設けられた外容器上部嵌合部を構成し、フランジ部外縁下端42は、内容器2上部に設けられた内容器上部嵌合部を構成する。
【0043】
すなわち、外容器1のテーパ41が形成する開口に、内容器2のフランジ部外縁下端42が形成するリングを嵌めることにより、上部嵌合構造40が機能する。
【0044】
次いで、第1実施形態における、下部嵌合構造30と上部嵌合構造40との連動性について説明する。
【0045】
下部嵌合構造30において、突起31は逆テーパ33を水平方向に押そうとする。その結果、外容器1に対し、内容器2が押し下げられる。
【0046】
内容器2全体が押し下げられるということは、当然、内容器2のフランジ部外縁下端42も押し下げられる。フランジ部外縁下端42はテーパ41に沿って上から下に移動する。言い換えると、フランジ部外縁下端42がテーパ41を押し下げる。これにより、フランジ部外縁下端42はテーパ41に締め付けられ、より確実に嵌合される。
【0047】
すなわち、下部嵌合構造30の嵌合機能に連動して、上部嵌合構造40が機能する。
【0048】
〜第2実施形態〜
図3は第2実施形態に係る概略構成図である。図4は第2実施形態に係る動作説明図である。
【0049】
第2実施形態の下部嵌合構造30について説明する。
【0050】
外容器胴部12の下部において容器内側に突出するような突起36が設けられている。例えば、略水平段と略水平段から底部11に向かって拡径する逆テーパの交わる箇所に突起36が形成される。
【0051】
内容器胴部22の下部において略水平段と略水平段から底部21に向かって拡径する逆テーパ37が形成される。
【0052】
一方、外容器底部11は、内容器底部22に比べて大きな曲率を有する上に凸形状を有する。
【0053】
外容器1中心軸から突起36までの距離(R11)は、内容器2中心軸から逆テーパ37下端までの距離(R12)より、短い。
【0054】
外容器1中心軸から突起36までの距離(R11)は、内容器2中心軸から逆テーパ37上端までの距離(R13)より、長い。
【0055】
したがって、内容器2が外容器1に挿入される際、内容器2の底部21は突起36に当たり、挿入が阻害されるが、更に強く押し込むと、突起36は逆テーパ37に沿って移動する。しかし、移動途中にて、外容器底部11頂点が内容器底部22に当たり、突起36は逆テーパ37上にて係止される。
【0056】
突起36と外容器底部11は、外容器1下部に設けられた外容器下部嵌合部を構成し、逆テーパ37と内容器底部22は、内容器2下部に設けられた内容器下部嵌合部を構成する。
【0057】
すなわち、外容器1の突起36が形成する開口に、内容器2の逆テーパ37が形成する筒を嵌め、板バネとして機能する外容器底部11頂点の反力をとることにより、下部嵌合構造30が機能する。
【0058】
第2実施形態の上部嵌合構造40について説明する。
【0059】
外容器胴部12の上部であって内壁において、上から下に向かって拡径する逆テーパ46が形成されている。さらに逆テーパ46と連続して、上から下に向かって縮径するテーパ47が形成されている。テーパ47は胴部12の略逆円錐台形状の一部であってもよい。
【0060】
内容器1中心軸から内容器フランジ部23の外縁上端48までの距離(R14)は、外容器2中心軸から逆テーパ46上端までの距離(R15)より、長い。
【0061】
内容器1中心軸から内容器フランジ部23の外縁下端42までの距離(R14)は、外容器2中心軸から逆テーパ46下端までの距離(R16)より、短い。
【0062】
したがって、内容器2が外容器1に挿入される際、内容器2のフランジ部外縁下端48は逆テーパ46に逆らいながら逆テーパ46に沿って移動し、逆テーパ46途中で係止される。
【0063】
逆テーパ46は、外容器1上部に設けられた外容器上部嵌合部を構成し、フランジ部外縁上端48は、内容器2上部に設けられた内容器上部嵌合部を構成する。
【0064】
すなわち、外容器1の逆テーパ46が形成する開口に、内容器2のフランジ部外縁上端48が形成するリングを嵌めることにより、上部嵌合構造40が機能する。
【0065】
次いで、第2実施形態における、下部嵌合構造30と上部嵌合構造40との連動性について説明する。
【0066】
下部嵌合構造30において、突起36は逆テーパ37上にて係止され反力を取りつつ、外容器底部11は内容器底部22を押し上げる。その結果、外容器1に対し、内容器2が押し上げられる。
【0067】
内容器2全体が押し上げられるということは、当然、内容器2のフランジ部外縁上端48も押し上げられる。フランジ部外縁上端48は逆テーパ46に沿って下から上に移動する。言い換えると、逆テーパ46がフランジ部外縁上端48を押し下げる。これにより、フランジ部外縁上端48は逆テーパ46に締め付けられ、より確実に嵌合される。
【0068】
すなわち、下部嵌合構造30の嵌合機能に連動して、上部嵌合構造40が機能する。
【0069】
〜第3実施形態〜
図5は第3実施形態に係る概略構成図である。図6は第3実施形態に係る動作説明図である。
【0070】
第3実施形態の下部嵌合構造30について説明する。第1実施形態の下部嵌合構造30に類似する。
【0071】
外容器胴部12の下部において容器内側に突出するような突起31が設けられている。例えば、略水平段と略水平段から底部11に向かって拡径する逆テーパの交わる箇所に突起31が形成される。
【0072】
内容器胴部22の下部において略水平段32と略水平段32から底部21に向かって拡径する逆テーパ33が形成される。
【0073】
外容器1中心軸から突起31までの距離(R1)は、内容器2中心軸から逆テーパ33下端までの距離(R2)より、短い。
【0074】
外容器1中心軸から突起31までの距離(R1)は、内容器2中心軸から逆テーパ33上端までの距離(R3)とほぼ同程度である。
【0075】
したがって、内容器2が外容器1に挿入される際、内容器2の底部21は突起31に当たり、挿入が阻害されるが、更に強く押し込むと、突起31は逆テーパ33に沿って移動し、略水平段32に係止される。
【0076】
突起31は、外容器1下部に設けられた外容器下部嵌合部を構成し、略水平段32と逆テーパ33は、内容器2下部に設けられた内容器下部嵌合部を構成する。
【0077】
すなわち、外容器1の突起31が形成する開口に、内容器2の逆テーパ33が形成する筒を嵌めることにより、下部嵌合構造30が機能する。
【0078】
第3実施形態の上部嵌合構造40について説明する。第2実施形態の上部嵌合構造40に類似する。
【0079】
外容器胴部12の上部であって内壁において、上から下に向かって拡径する逆テーパ46が形成されている。さらに逆テーパ46と連続して、上から下に向かって縮径するテーパ47が形成されている。テーパ47は胴部12の略逆円錐台形状の一部であってもよい。
【0080】
内容器1中心軸から内容器フランジ部23の外縁上端48までの距離(R14)は、外容器2中心軸から逆テーパ46上端までの距離(R15)より、長い。
【0081】
内容器1中心軸から内容器フランジ部23の外縁下端42までの距離(R14)は、外容器2中心軸から逆テーパ46下端までの距離(R16)より、短い。
【0082】
したがって、内容器2が外容器1に挿入される際、内容器2のフランジ部外縁下端48は逆テーパ46に逆らいながら逆テーパ46に沿って移動し、逆テーパ46途中で係止される。
【0083】
逆テーパ46は、外容器1上部に設けられた外容器上部嵌合部を構成し、フランジ部外縁上端48は、内容器2上部に設けられた内容器上部嵌合部を構成する。
【0084】
すなわち、外容器1の逆テーパ46が形成する開口に、内容器2のフランジ部外縁上端48が形成するリングを嵌めることにより、上部嵌合構造40が機能する。
【0085】
次いで、第3実施形態における、下部嵌合構造30と上部嵌合構造40との連動性について説明する。
【0086】
第3実施形態において、内容器2における下部嵌合構造30と上部嵌合構造40との距離(すなわち、逆テーパ33上端とフランジ部外縁上端48との垂直方向距離)(L2)は、外容器1における下部嵌合構造30と上部嵌合構造40との距離(すなわち、突起31と逆テーパ46係止位置との垂直方向距離)(L1)より長い。これにより、内容器2の胴部22は板バネとして機能する。
【0087】
下部嵌合構造30において、突起31は逆テーパ33を水平方向に押そうとする。その結果、外容器1に対し、内容器2が押し下げられる。
【0088】
一方、下部嵌合構造30が反力をとりながら、内容器2の胴部22は板バネとして機能することにより、内容器2のフランジ部外縁上端48が押し上げられる。フランジ部外縁上端48は逆テーパ46に沿って下から上に移動する。言い換えると、逆テーパ46がフランジ部外縁上端48を押し下げる。これにより、フランジ部外縁上端48は逆テーパ46に締め付けられ、より確実に嵌合される。
【0089】
すなわち、下部嵌合構造30の嵌合機能に連動して、上部嵌合構造40が機能する。
【0090】
〜第4実施形態〜
図7は第4実施形態に係る動作説明図である。
【0091】
第4実施形態の下部嵌合構造30について説明する。第1実施形態の下部嵌合構造30に類似する。
【0092】
外容器胴部12の下部において容器内側に突出するような突起31が設けられている。例えば、略水平段と略水平段から底部11に向かって拡径する逆テーパの交わる箇所に突起31が形成される。
【0093】
内容器胴部22の下部において略水平段32と略水平段32から底部21に向かって拡径する逆テーパ33が形成される。
【0094】
外容器1中心軸から突起31までの距離(R1)は、内容器2中心軸から逆テーパ33下端までの距離(R2)より、短い。
【0095】
外容器1中心軸から突起31までの距離(R1)は、内容器2中心軸から逆テーパ33上端までの距離(R3)とほぼ同程度である。
【0096】
したがって、内容器2が外容器1に挿入される際、内容器2の底部21は突起31に当たり、挿入が阻害されるが、更に強く押し込むと、突起31は逆テーパ33に沿って移動し、略水平段32に係止される。
【0097】
突起31は、外容器1下部に設けられた外容器下部嵌合部を構成し、略水平段32と逆テーパ33は、内容器2下部に設けられた内容器下部嵌合部を構成する。
【0098】
すなわち、外容器1の突起31が形成する開口に、内容器2の逆テーパ33が形成する筒を嵌めることにより、下部嵌合構造30が機能する。
【0099】
第4実施形態の上部嵌合構造40について説明する。
【0100】
外容器胴部12の上部において、略水平段43が形成されている。略水平段43上面(内壁側)上に内容器フランジ部23の下面44が係止されている。
【0101】
さらに、第1実施形態の上部嵌合構造40(外容器1のテーパ41が形成する開口に、内容器2のフランジ部外縁下端42が形成するリングを嵌める)を併用してもよい。
【0102】
テーパ41と略水平段43とは、外容器1上部に設けられた外容器上部嵌合部を構成し、フランジ部外縁下端42とフランジ部下面44は、内容器2上部に設けられた内容器上部嵌合部を構成する。
【0103】
次いで、第4実施形態における、下部嵌合構造30と上部嵌合構造40との連動性について説明する。
【0104】
下部嵌合構造30において、突起31は逆テーパ33を水平方向に押そうとする。その結果、外容器1に対し、内容器2が押し下げられる。
【0105】
内容器2全体が押し下げられるということは、当然、内容器2のフランジ部23も押し下げられる。内容器フランジ部下面44は略水平段43上面を押し付ける。更に、フランジ部外縁下端42はテーパ41に締め付けられ、より確実に嵌合される。
【0106】
すなわち、下部嵌合構造30の嵌合機能に連動して、上部嵌合構造40が機能する。
【0107】
〜効果〜
第1〜4実施形態において、外容器上部嵌合部41,43,46は、外容器1の内壁に設けられており、内容器上部嵌合部42,44,48は内容器2のフランジ23に設けられている。
【0108】
すなわち、内容器2のフランジ23が外容器1に内包され、外容器1のフランジ13が覆われることがない。外容器1のフランジ13のみが外側に位置する。
【0109】
これにより、二重容器のフランジ付近が肉厚とならない。その結果、容器のデザイン性に制約がなく(言い換えると、スタイリッシュな外観を維持できる)とともに、飲料を飲むときの唇の触感が良く、飲みやすく感じる。
【0110】
また、上部嵌合構造40において確実に嵌合されており、内容器2のフランジ23が外側になくとも、上部嵌合構造40からの飲料の侵入がない。
【0111】
ところで、断熱効果が必要とされない場合は、外容器1および内容器2それぞれ、独自の容器として用いることができる。特に外容器1においてはデザインが考慮されており、意匠性を維持できる。
【0112】
〜備考〜
従来技術における二重容器においては、接合箇所から飲料の侵入がないように、内容器のフランジが外側になり、接合箇所を覆うように構成されている。
【0113】
したがって、内容器2のフランジ23を外容器1に内包させるという発想がなかった。
【0114】
本願発明者は、上部嵌合構造40をより確実に機能させることで、内容器2のフランジ23を外容器1に内包させることを実現させた。以上の思考過程を経て、本願発明が完成されるに至った。
【0115】
したがって、本願発明は、上記実施形態に限定されず、上記技術思想の範囲で種々の変更が可能である。
〜その他〜
【0116】
外容器1および内容器2の材質等は特に限定されないが、例えば、透明または半透明の樹脂製であってもよい。
【0117】
図8は嵌合前の二重容器を示す図であり、図9は嵌合後の二重容器を示す図である。
【0118】
例えば、飲料提供業者のロゴやキャラクターデザインを内容器2に付してもよい。外容器1を介して視認可能とすることにより、外容器1にロゴ等を付す場合と異なる外観を演出できる。たとえば、光の加減で見え方が異なる。これにより、意匠性が向上する。
【0119】
また、内容器2にロゴ等をふすことにより、摩擦等によりロゴが剥がれるおそれがない。これにより意匠性を維持できる。
【符号の説明】
【0120】
1 外容器
2 内容器
3 断熱空間
11 外容器底部
12 外容器胴部
13 外容器フランジ部
21 内容器底部
22 内容器胴部
23 内容器フランジ部
30 下部嵌合構造
31 突起
32 略水平段
33 逆テーパ
36 略水平段
37 逆テーパ
40 上部嵌合構造
41 テーパ
42 フランジ部外縁下端
43 略水平段
44 フランジ部下面
46 逆テーパ
47 テーパ
48 フランジ部外縁上端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9