特許第6952008号(P6952008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6952008
(24)【登録日】2021年9月29日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】格子体
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/14 20060101AFI20211011BHJP
   E06B 9/01 20060101ALI20211011BHJP
【FI】
   E04H17/14 103Z
   E06B9/01 A
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-81729(P2018-81729)
(22)【出願日】2018年4月20日
(65)【公開番号】特開2019-190069(P2019-190069A)
(43)【公開日】2019年10月31日
【審査請求日】2020年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090206
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 信道
(72)【発明者】
【氏名】井上 泰平
【審査官】 伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−019398(JP,U)
【文献】 特開2010−270559(JP,A)
【文献】 特開平10−002173(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0160223(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/00 − 17/28
E06B 9/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子材と、小口キャップを備え、
格子材は中空であり、
小口キャップは、格子材の端部に嵌め込まれるものであり、格子材に設けた係止孔に係止される被係止部を有し、被係止部を有する側壁は、格子材の内壁と当接する部分にクランク部を形成してあり、小口キャップと格子材角部の内壁との間にはクリアランスが設けてあることを特徴とする格子体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、格子体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フェンス、引戸門扉、跳ね上げ門扉等において用いられる、複数の中空の縦格子により格子面を形成した格子体においては、縦格子の長手方向端部開口を塞ぐ小口キャップが樹脂製であるため、線膨張率が大きく金属製の縦格子よりも伸び縮みが激しかった。そのため、格子体の温度上昇時に小口キャップの側壁が縦格子の内壁に当接し変形を起こしたのち、温度降下時に収縮した結果、縦格子へのスナップフィット係合部材の掛かりが甘くなり、外部からの衝撃や振動等により小口キャップが縦格子の下端から脱落してしまうといった問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記課題に鑑み、格子体の温度が変化しても小口キャップが脱落することのない格子体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の格子体は、格子材と、小口キャップを備え、格子材は中空であり、小口キャップは、格子材の端部に嵌め込まれるものであり、格子材に設けた係止孔に係止される被係止部を有し、被係止部を有する側壁は、格子材の内壁と当接する部分にクランク部を形成してあり、小口キャップと格子材角部の内壁との間にはクリアランスが設けてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、小口キャップの側壁の、格子材の内壁と当接する部分にクランク部が形成され、また、小口キャップと格子材角部の内壁との間にはクリアランスが設けてあることで、小口キャップの熱伸びや吸水による変形量を緩和できるので、小口キャップが低温時に収縮した際に格子材から脱落することがない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】(a)は図3のB−B断面図であり、(b)は図3のCの拡大図である。
図2】本発明の格子体の正面図である。
図3図2のA−A断面図である。
図4】第一実施形態の小口キャップの(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
図5図3のB−B断面図であり、格子体の温度変化による小口キャップの変形過程を示す説明図である。
図6】従来の格子体の温度変化による小口キャップの変形過程を示す説明図である。
図7】側壁の温度変化による変形原理を示す説明図である。
図8】他の実施形態例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明の格子体10の使用場所は特に限定されるものではないが、ここではフェンスとして用いる場合を示す。図2は本実施形態の格子体10の全体を示す正面図である。なお、以下において上下左右とは図2における上下左右を示し、前後とは図2における手前側及び奥側を示すものとする。
【0008】
格子体10は、図2に示すように、胴縁12,12と、格子材20と、支柱11と、小口キャップ30から構成してあり、上下に間隔を空けて配置した2本の胴縁12,12の間に、左右に間隔をあけて複数の金属製の中空の格子材20を配置したものであり、格子材20を固着した状態の胴縁12を支柱11の一側の見付壁に固着して支持するものである。図3に示すように、格子材20の長手方向端部には、格子材20の端部開口を塞ぐ小口キャップ30が嵌め込まれている。
【0009】
格子材20は、図1及び図3に示すように、後側に長手方向に亘って平坦面を有する左右対称な断面略三角形形状であり、左右の角部21,21と、係止孔22と、凹部23とを有する。
角部21,21は、格子材20の後面の左右両端に設けられている。
係止孔22は、格子材20の後面の長手方向両端部にそれぞれ設けてある貫通孔であり、後述する小口キャップ30の被係止部38に対向する、左右方向略中央部に位置している。
凹部23は、格子材20の内壁に形成してあり、係止孔22と左右の角部21,21の間にそれぞれ設けられている。
【0010】
小口キャップ30は、図1及び図4に示すように、樹脂製の左右対称な一体成形部材であって、略平板状の基部31と、基部31から略垂直に立ち上がる側壁32を備える。
基部31は、平面視略三角形状であり、その寸法は格子材20の横断面を覆うことのできる大きさである。
側壁32は、左右両側の側面32a,32aと、後側の後面32bと、側面32a,32aと後面32bの間の角部33,33によって格子材20の中空内に収まるほどの大きさの略三角形状をなし、格子材20の内壁に当接する楔部39,39,39とを有する。後面32bは、角部33,33の間に設けられたクランク部34,34,35,35と、左右のクランク部35,35の間に設けられた中間部37と、格子材20の係止孔22に係止する被係止部38とを有する。角部33は、格子材20角部の内壁との間に前後方向にクリアランス50を設けてある。
楔部39は、側壁32の前端部と、左右の側面32aの後部の計三箇所に設けてあり、格子材20の内壁に当接する。
【0011】
後面32bについて詳述すると、クランク部34は、側壁32の角部33から格子材20の後面に平行に延びる平坦部36aと、平坦部36aの端部から後側へ延伸する傾斜部36bと、傾斜部36bの端部から格子材20の後面に平行に延びる平坦部36cを有する。
クランク部35は、平坦部36cと、平坦部36cの端部から前側へ延伸する傾斜部36dと、傾斜部36dの端部から格子材20の後面に平行に延びる平坦部36eを有する。
平坦部36c,36cは格子材20の凹部23に当接しており、傾斜部36b,36dと、凹部23の左右端の壁部との間には、左右方向のクリアランス51、52をそれぞれ設けてある。
中間部37は、後面32bの左右方向中心部分において、クランク部35,35の間に位置していて、格子材20の後面と略平行に設けてある。
被係止部38は、中間部37の上部から基部31へ向かって下方に伸びる板状の可撓部38aと、可撓部38aの端部において後側へ突出して設けられた爪部38bとから構成されている。爪部38bは、可撓部38aとの境界から爪部38bの後端に向けて傾斜した上面38cと、係止孔22の下面22aに対向する下面38dを有する。
格子材20に対し小口キャップ30を装着する際には、小口キャップ30の被係止部38が、係止孔22に対し格子材20の下方から挿入される。このとき可撓部38aは、爪部38bが係止孔22に達して嵌合するまで、前方へ撓みながら挿入される。そして、爪部38bが係止孔22に嵌合することにより、格子材20と小口キャップ30とがスナップフィット係合される。このとき、係止孔22の下面22aが、爪部38bの下面38dに加わる下方への力を受け止めることにより、小口キャップ30の格子材20からの脱落を防止することができる。
【0012】
次いで、本発明の格子体10の構成による作用および効果について説明する。図5は、図3のB−B断面図であり、本発明の格子体10の温度変化による小口キャップ30の変形過程を示す説明図である。図6は、従来の格子体10の温度変化による小口キャップ30の変形過程を示す説明図である。図7は、側壁32の温度変化による変形原理を示す模式図である。
【0013】
まず、従来の格子体において、小口キャップが温度変化により格子材の下端から脱落するまでの過程を説明する。
従来の格子体の初期状態においては、図6(a)に示すように、小口キャップの側壁は緩衝部材を介して格子材角部の内壁に当接している。
気温上昇等により小口キャップが高温となると、図6(b)及び図7(a)(高温時)に示すように、側壁の両側面が熱膨張により矢印の方向に伸び、側壁両側面の熱伸び分長さの逃げ場がない為、側壁後面が内側に湾曲する。詳しくは、側壁の側面は、外側に膨らんで湾曲しているので、熱伸びが生じた際には外側にさらに膨らんで湾曲しようとする力が働く。しかし、側壁の両側面は格子材の内壁に緩衝部材を介して当接しているため、それ以上外側に湾曲することはできない。また、側壁の前端は、格子材の内壁に当接しているので、前方向に側壁の側面の熱伸び分の逃げ場はない。その結果、側壁の角部が、側壁後面の中央へ向かって押し出される。すると、側壁後面自体の熱伸び分の逃げ場がないことと相まって、側壁後面は内側へと反り、湾曲する。なお、小口キャップのこのような形状変化は、高温によってのみ起こるものではなく、吸水による伸びによっても起こるものである。
そして、気温低下等により小口キャップが高温状態から低温状態となると、図6(c)及び図7(a)(低温時)に示すように、側壁全体が熱収縮するのに伴い、側壁後面は反りが残ったまま前方へと収縮する。その結果、爪部が格子材の後面中央部の係止孔から浮いた状態となり、スナップフィット係合が甘くなって外れやすくなるため、小口キャップは外部からの衝撃や振動等によって脱落してしまう。また、格子材の上端部に取付けられた小口キャップについても、同様に温度変化によってスナップフィット係合が甘くなるので、外部からの衝撃等によって格子材から容易に外れてしまう。
【0014】
次に、本発明の格子体10の小口キャップ30の温度変化時の挙動について説明する。
初期状態において、図5(a)に示すように、側壁32と格子材20の角部21の内壁との間にクリアランス50が設けられており、側壁32の後面32bにはクランク部34,34,35,35が設けられている。
【0015】
気温上昇等により小口キャップ30が高温となると、図5(b)に示すように、側壁32の側面32a,32aが熱膨張によって伸びる。このとき、側面32a,32aは格子材20の内壁に沿って設けられているため、従来の小口キャップと同様、それ以上外側に湾曲することはできない。また、側壁32の前端も、格子材20の内壁に楔部39を介して当接しているので、前方向に側面32aの熱伸び分長さの逃げ場はない。
一方、側面32aの後方にはクリアランス50が設けられているので、側面32aは熱伸び長さ分だけ、後方向に伸長することができる。従って、側面32aが熱伸び分長さの逃げ場を失って角部33が中間部37へ向かって押し出されることは殆どない(図7(b)(高温時)参照)。
【0016】
なお、側面32aの熱伸び分長さがクリアランス50の前後径よりも大きくなり、角部33が中間部37へ向かって僅かに押し出された場合にも、クランク部34,35を設けてあることで、後面32bの内側への反りを回避することができる。詳しくは、図5(b)に示すように、平坦部36cが、平坦部36a及び平坦部36eよりも後方に設けてあるので、角部33が中間部37へ向かって押し出されても、平坦部36aは平坦部36cよりも前方へ突出するように動くため、平坦部36cが平坦部36aによって中間部37に向かって押し出されることは殆どない。また、平坦部36cが中間部37に向かって僅かに押し出されたとしても、平坦部36cは平坦部36eよりも後方へ向けて動き、また平坦部36cの変位分はクリアランス52内に収まるので、平坦部36eへの影響はない。従って、側面32aの熱伸び分長さが逃げ場を失うことによる後面32bの反りを回避することができる。
【0017】
また、平坦部36a,36c,36eが熱伸びをしても、平坦部36cが、平坦部36a及び平坦部36eよりも後方に設けてあり、なおかつクリアランス51,52が設けてあることで、平坦部36a,36c,36eが互いにぶつかって押し合うことはなく、それぞれの熱伸び分長さがうまく逃がされる。従って、後面32bが自身の熱伸び分長さの逃げ場を失って反ることはない。なお、小口キャップ30のこのような形状変化は、高温によってのみ起こるものではなく、吸水による伸びによっても起こるものである。
【0018】
続いて、気温低下等により小口キャップ30が高温状態から低温状態となると、図5(c)及び図7(c)(低温時)に示すように、側壁32の全体が熱収縮するのに伴い、後面32bは前方へと収縮するが、後面32bの反りがないため、中間部37の前方への変位は熱収縮によるもののみの最小限に抑えられる。その結果、被係止部38の係止孔22からの浮きは殆どなくなるので、スナップフィット係合が甘くなることはなく、小口キャップ30が外部からの衝撃や振動等によって脱落することはない。また、格子材20の上端部に取付けられた小口キャップ30についても同様に、温度変化によりスナップフィット係合が甘くなることがないので、外部からの衝撃等によって容易に外れることはない。
【0019】
このように、本発明の格子体10によれば、小口キャップ30の側壁32の、格子材20の内壁と当接する部分にクランク部34,34,35,35が形成され、また、小口キャップ30と格子材角部21の内壁との間にはクリアランス50が設けてあることで、小口キャップ30の熱伸びや吸水による変形量を緩和できるので、小口キャップ30が低温時に収縮した際に格子材20から脱落することがない。
【0020】
また、可撓部38aが中間部37の上部から下方へと伸びている構成であるので、可撓部38aの弾性だけでなく、側壁32(中間部37)の弾性によって、小口キャップ30をより確実に格子材20に固定することができる。
【0021】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。例えば、図8(a)に示すように、小口キャップ及び格子材の横断面の形状は略三角形状でなくともよく、四角形やその他の形状であってもよい。また、クランク部は左右それぞれ2箇所ずつでなくともよく、例えば左右1箇所ずつ設けたものであってもよい。そして、格子材の角部は必ずしも格子材の後面に設けられていなくともよい。また、小口キャップ及び格子材の横断面の形状は左右対称形でなくともよく、例えば図8(b)に示すように、クランク部を片側に一箇所だけ設けたものでもよい。そして、本発明の格子体はフェンスのみに用いられるものではなく、引戸門扉や跳ね上げ門扉等にも広く適用可能である。
【符号の説明】
【0022】
10 格子体
20 格子材
21 角部
22 係止孔
30 小口キャップ
32 側壁
34 クランク部
35 クランク部
38 被係止部
50 クリアランス

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8