【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の少なくとも1つの実施形態に係るシール機構は、
2つの部材の向かい合う対向面間に形成されたシール溝内に挿入されるシール機構であって、
前記シール機構は、
第1シール部材と、
前記第1シール部材と対向するように配置された第2シール部材と、
前記第1シール部材と前記第2シール部材との間で少なくとも部分的に形成された空間内に配置されて前記シール機構の変形の核となる変形核部材であって、線膨張係数の異なる複数の材料のそれぞれから形成された複数の棒状部材及び板状部材を組み合わせて構成されるとともに前記第1シール部材及び前記第2シール部材のそれぞれに固定された変形核部材と
を備え、
前記変形核部材は温度の上昇に伴って、前記シール溝の横断面における少なくとも1方向に収縮し、
前記第1シール部材及び前記第2シール部材のそれぞれは、前記変形核部材の収縮に伴って前記シール溝の内面又は前記対向面に当接する当接面を含む。
【0008】
上記(1)の構成によると、変形核部材が温度の上昇に伴って収縮すると、その収縮に伴って第1シール部材及び第2シール部材のそれぞれに形成された当接面がシール溝の内面又は対向面に当接することにより、温度の上昇時に必要なシール性能を発揮することができる。また、第1シール部材及び第2シール部材は温度の上昇時に耐え得る材料で形成することができ、変形核部材は、温度の上昇時に耐え得るとともに線膨張係数の異なる複数の材料から形成することができ、特別高価な材料を必要としないので、シール機構を安価に提供することができる。
【0009】
(2)いくつかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記第1シール部材は、板状の第1部分及び板状の第2部分が互いに接続されて構成された略L字状の断面形状を有し、
前記第2シール部材は、前記第1部分に対向する板状の第3部分及び前記第2部分に対向する板状の第4部分が互いに接続されて構成された略L字状の断面形状を有し、
前記変形核部材は、前記第1部分及び前記第3部分のそれぞれに固定され、温度の上昇に伴って、前記第1部分及び前記第3部分間の距離が減少するように収縮し、
前記変形核部材の収縮に伴って、前記第1部分との接続部に対向する前記第2部分の縁部及び前記第3部分との接続部に対向する前記第4部分の縁部が前記シール溝の内面又は前記対向面に当接し、
前記当接面は、前記第2部分の前記縁部及び前記第4部分の前記縁部のそれぞれに形成されている。
【0010】
上記(2)の構成によると、第1シール部材の第1部分及び第2シール部材の第3部分間の距離が減少するような変形核部材の収縮に伴って、第2部分の縁部及び第4部分の縁部のそれぞれに形成された当接面がシール溝の内面又は対向面に当接することによりシールが行われることから、温度の上昇前には、第2部分の縁部又は第4部分の縁部の少なくとも一方とシール溝の内面又は対向面との間にクリアランスを設けることができるので、シール機構の組み立てに必要な公差を十分に確保しても、温度の上昇時に必要なシール性能を発揮することができる。
【0011】
(3)いくつかの実施形態では、上記(2)の構成において、
前記変形核部材はさらに、温度の上昇に伴って、前記第2部分及び前記第4部分間の距離が増加するように膨張し、前記変形核部材の膨張に伴って、前記変形核部材に面する前記第2部分及び前記第4部分それぞれの内側表面とは反対側の外側表面のそれぞれが前記シール溝の内面又は前記対向面に当接し、
前記当接面はさらに、前記第2部分の前記外側表面及び前記第4部分の前記外側表面のそれぞれに形成されている。
【0012】
上記(3)の構成によると、第2部分の縁部及び第4部分の縁部に形成された当接面がシール溝の内面又は対向面に当接することによりシールが行われるだけでなく、第1シール部材の第2部分及び第2シール部材の第4部分間の距離が増加するような変形核部材の膨張に伴って、第2部分及び第4部分それぞれの外側表面に形成された当接面がシール溝の内面又は対向面に当接することによってもシールが行われるので、温度の上昇時に必要なシール性能を向上することができる。
【0013】
(4)いくつかの実施形態では、上記(3)の構成において、
前記第2部分の前記外側表面及び前記第4部分の前記外側表面の少なくとも一方には、前記シール溝の内面又は前記対向面に対して凹んだ凹部が形成されている。
【0014】
上記(4)の構成によると、第2部分の外側表面及び第4部分の外側表面の少なくとも一方に凹部を形成することにより、第2部分の外側表面及び第4部分の外側表面の少なくとも一方に形成された当接面のシール溝の内面又は対向面への当接圧力が高まるので、温度の上昇時に必要なシール性能を向上することができる。
【0015】
(5)いくつかの実施形態では、上記(1)〜(4)のいずれかの構成において、
前記空間を密封する密封部材をさらに備える。
【0016】
変形核部材は複数の棒状部材及び板状部材を組み合わせて構成されているので、シール溝内に流入したガスが、変形核部材を通り抜けることによって、第1シール部材と第2シール部材との間に形成された空間を介してシール機構を通り抜けてしまい、ガスがリークするおそれがある。しかし、上記(5)の構成によると、密封部材によって空間が密封されているので、ガスがシール機構を通り抜けることを抑制し、ガスがリークするおそれを低減することができる。
【0017】
(6)いくつかの実施形態では、上記(5)の構成において、
前記密封部材は、前記第1シール部材と前記第2シール部材と前記変形核部材とを内部に含むチューブ形状を有する。
【0018】
上記(6)の構成によると、第1シール部材と第2シール部材と変形核部材とを内部に含むようなチューブ形状に密封部材を形成することにより、密封部材の設計を簡略にすることができる。
【0019】
(7)いくつかの実施形態では、上記(5)の構成において、
前記密封部材は、前記第1シール部材及び前記第2シール部材と共に前記空間を密封する。
【0020】
上記(7)の構成によると、第1シール部材と第2シール部材と変形核部材とを内部に含むようなチューブ形状に密封部材を形成する場合に比べて、密封部材を小さくできるので、密封部材のコストを低下することができる。
【0021】
(8)いくつかの実施形態では、上記(2)の構成において、
前記変形核部材はさらに、前記第2部分及び前記第4部分のそれぞれに固定され、
前記変形核部材はさらに、温度の上昇に伴って前記第2部分及び前記第4部分間の距離が減少するように収縮して、前記第1部分が前記第4部分に当接するとともに前記第3部分が前記第2部分に当接する。
【0022】
変形核部材は複数の棒状部材及び板状部材を組み合わせて構成されているので、シール溝内に流入したガスが、変形核部材を通り抜けることによって、第1シール部材と第2シール部材との間に形成された空間を介してシール機構を通り抜けてしまい、ガスがリークするおそれがある。しかし、上記(8)の構成によると、変形核部材が温度の上昇に伴って第2部分及び第4部分間の距離が減少するように収縮して、第1部分が第4部分に当接するとともに第3部分が第2部分に当接することにより、空間を介してシール機構を通り抜けようとするガスをシールするので、ガスがシール機構を通り抜けることを抑制し、ガスがリークするおそれを低減することができる。
【0023】
(9)いくつかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記第1シール部材は、板状の第1部分及び板状の第2部分が互いに接続されて構成された略L字状の断面形状を有し、
前記第2シール部材は、前記第1部分に対向する板状の第3部分及び前記第2部分に対向する板状の第4部分が互いに接続されて構成された略L字状の断面形状を有し、
前記変形核部材は、前記第1部分及び前記第3部分のそれぞれに固定され、温度の上昇に伴って、前記第1部分及び前記第3部分間の距離が減少するように収縮し、
前記シール溝の内面は、前記第2部分と鋭角の角度をなす当接内面部を含み、
前記第2部分は、前記変形核部材の収縮に伴って前記当接内面部に当接する第2当接面を含み、
前記第2当接面が前記当接内面部に当接することによって前記第1シール部材が前記第2シール部材を押して、前記第1部分が前記第4部分に当接するとともに前記第3部分が前記第2部分に当接し、前記第4部分の表面のうち前記変形核部材に面する内側表面とは反対側の外側表面が前記シール溝の内面に当接し、
前記当接面は、前記外側表面と、前記第3部分との接続部に対向する前記第4部分の縁部とのそれぞれに形成されている。
【0024】
上記(9)の構成によると、第2当接面の当接内面部への当接と、第4部分の外側表面のシール溝の内面への当接と、第4部分の縁部のシール溝の内面又は対向面への当接とによりシールが行われるので、第2部分の縁部及び第4部分の縁部がシール溝の内面又は対向面に当接することによりシールが行われる構成(例えば、上記(2)の構成)に比べて、温度の上昇時に必要なシール性能を向上することができる。
【0025】
また、変形核部材は複数の棒状部材及び板状部材を組み合わせて構成されているので、シール溝内に流入したガスが、変形核部材を通り抜けることによって、第1シール部材と第2シール部材との間に形成された空間を介してシール機構を通り抜けてしまい、ガスがリークするおそれがある。しかし、上記(9)の構成によると、第2当接面が当接内面部に当接することによって第1シール部材が第2シール部材を押して、第1部分が第4部分に当接するとともに第3部分が第2部分に当接することにより、空間を介してシール機構を通り抜けようとするガスをシールするので、ガスがシール機構を通り抜けることを抑制し、ガスがリークするおそれを低減することができる。
【0026】
(10)いくつかの実施形態では、上記(9)の構成において、
前記第4部分の前記外側表面には、前記シール溝の内面に対して凹んだ凹部が形成されている。
【0027】
上記(10)の構成によると、第4部分の外側表面に凹部を形成することにより、第4部分の外側表面に形成された当接面のシール溝の内面への当接圧力が高まるので、温度の上昇時に必要なシール性能を向上することができる。