特許第6952108号(P6952108)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6952108
(24)【登録日】2021年9月29日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】空気予熱器
(51)【国際特許分類】
   F23L 15/00 20060101AFI20211011BHJP
【FI】
   F23L15/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-509892(P2019-509892)
(86)(22)【出願日】2018年3月27日
(86)【国際出願番号】JP2018012452
(87)【国際公開番号】WO2018181325
(87)【国際公開日】20181004
【審査請求日】2020年9月16日
(31)【優先権主張番号】特願2017-62888(P2017-62888)
(32)【優先日】2017年3月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 建聖
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−520360(JP,A)
【文献】 特開2000−111020(JP,A)
【文献】 特開平11−264677(JP,A)
【文献】 特開昭63−259385(JP,A)
【文献】 特開2002−081871(JP,A)
【文献】 特開2012−097991(JP,A)
【文献】 特開2001−280863(JP,A)
【文献】 特開平06−163068(JP,A)
【文献】 国際公開第03/073031(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/182255(WO,A2)
【文献】 登録実用新案第3016132(JP,U)
【文献】 特開2002−81872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23L 15/00
F28D 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラの排ガスの熱を回収して、空気を予熱する空気予熱器であって、
前記排ガスを通過させる排ガス流路内に設けられる第1のチューブを備える熱交換ユニットを複数備え、
前記第1のチューブには空気が流れ、
複数の前記熱交換ユニットは、前記排ガスの流れに対して上流側から下流側へ向かって順に配置され、
下流側の前記熱交換ユニットの前記第1のチューブを流れた空気は、上流側の前記熱交換ユニットの前記第1のチューブへ流れ、
最も下流側に配置される前記熱交換ユニットにおける複数の前記第1のチューブのうち、少なくとも最も下流側に配置される前記第1のチューブに対して腐食抑制構造が設けられ、
前記腐食抑制構造は、
前記第1のチューブと、
前記第1のチューブを外周側から取り囲むと共に前記第1のチューブに沿って延びる第2のチューブと、を備え、
記第2のチューブには、前記第1のチューブを流れる空気より温度が高い空気が流れる、空気予熱器。
【請求項2】
前記第2のチューブには、少なくとも一度、前記第1のチューブを通過した後の空気が流れる、請求項1に記載の空気予熱器。
【請求項3】
前記第2のチューブを流れる空気の温度を検出する空気温度検出部と、
前記排ガス流路のうち前記第1のチューブが設けられる領域よりも下流側における前記排ガスの温度を検出する排ガス温度検出部と、
前記空気温度検出部及び前記排ガス温度検出部の検出結果に基づいて前記第2のチューブへ流す空気の流量を制御する制御部と、を備える、請求項1又は2に記載の空気予熱器。
【請求項4】
前記腐食抑制構造の前記第1のチューブを流れる空気の温度は90℃以下であり、前記第2のチューブに流れる空気の温度は200℃以上である、請求項1〜3の何れか一項に記載の空気予熱器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気予熱器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のボイラシステムとして、燃料を燃焼させることによって伝熱媒体を加熱するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。加熱された伝熱媒体は、システム内の循環系を循環している。また、燃料の燃焼によって生じた燃焼ガスは、熱交換等の処理がなされた後、排ガスとして外部へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−41415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、高水分、高硫黄分の燃料がボイラの燃料として用いられる傾向にある。このような燃料を燃焼することで発生する排ガスには水分が多く含まれる。排ガス中の水分が増加すると、酸露点(硫酸露点)が上昇する。ここで、上述のようなボイラシステムには、排ガスの熱を回収して空気を予熱する空気予熱器が設けられる場合がある。排ガスの酸露点が高い場合、排ガスの温度が低くなる下流側の端部に配置されるチューブが腐食される低温端腐食(酸露点腐食)が発生する場合がある。
【0005】
このような低温端腐食の発生を抑制するための方法として、排ガスの温度を高く維持する方法が挙げられる。しかしながら、排ガスの温度を高くするということは排ガスの顕熱損失が増加するということであるため、結果的にボイラのボイラ効率が低下することになる。
【0006】
以上より、ボイラ効率の低下を抑制しつつ、チューブの腐食を抑制できる空気予熱器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る空気予熱器は、ボイラの排ガスの熱を回収して、空気を予熱する空気予熱器であって、排ガスを通過させる排ガス流路内に設けられる第1のチューブと、第1のチューブを外周側から取り囲むと共に第1のチューブに沿って延びる第2のチューブと、を備え、第1のチューブには空気が流れ、第2のチューブには、第1のチューブを流れる空気より温度が高い空気が流れる。
【0008】
本発明の一形態に係る空気予熱器は、排ガス流路内に設けられる第1のチューブを備える。第1のチューブは、当該第1のチューブを流れる空気により、排ガス流路を流れる排ガスの熱を回収できる。ここで、空気予熱器は、第1のチューブを外周側から取り囲むと共に第1のチューブに沿って延びる第2のチューブを備えている。このように、第1のチューブと第2のチューブとによって二重管が構成される。また、二重管の外側のチューブである第2のチューブには、第1のチューブを流れる空気より温度が高い空気が流れる。これにより、熱を除去されることで排ガスが低温になっても、第1のチューブは温度の高い空気が流れる第2のチューブに取り囲まれているため、当該第1のチューブが低温の排ガスにより腐食されることを抑制できる。以上より、ボイラ効率の低下を抑制しつつ、チューブの腐食を抑制できる。
【0009】
一形態に係る空気予熱器において、第2のチューブには、少なくとも一度第1のチューブを通過した後の空気が流れてよい。少なくとも一度第1のチューブを通過した空気は、排ガスの熱を回収しているため、最下流側の第1のチューブを通過している最中の空気よりも温度が高い。従って、当該空気を第2のチューブに流すことで、空気予熱器以外の場所から第2のチューブに流すための高温の空気を確保する構造が不要となる。
【0010】
一形態に係る空気予熱器において、第1のチューブは排ガス流路内に複数設けられ、第2のチューブは、複数の第1のチューブの一部に対して設けられてよい。複数の第1のチューブのうち、通過する排ガス温度が低く、低温端腐食の可能性が高いものに対してのみ第2のチューブを設け、通過する排ガス温度が高く、低温端腐食の可能性が低いものに対しては第2のチューブを設けない。これによって、空気予熱器の製造コストを抑制することができる。
【0011】
一形態に係る空気予熱器は、第2のチューブを流れる空気の温度を検出する空気温度検出部と、排ガス流路のうち第1のチューブが設けられる領域よりも下流側における排ガスの温度を検出する排ガス温度検出部と、空気温度検出部及び排ガス温度検出部の検出結果に基づいて第2のチューブへ流す空気の流量を制御する制御部と、を備えてよい。このような制御を行うことにより、第2のチューブに対して適切な流量の空気を流すことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ボイラ効率の低下を抑制しつつ、チューブの腐食を抑制できる空気予熱器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る空気予熱器を備えるボイラシステムの概略構成図である。
図2図1に示す空気予熱器の概略構成を示す図である。
図3図1に示す空気予熱器の腐食抑制構造の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0015】
図1を参照して、本実施形態に係る空気予熱器50を備えたボイラシステム100の構成について説明する。ボイラシステム100は、外部循環型(Circulating Fluidized Bed型)の循環流動層ボイラである。このボイラシステム100は、縦長の筒形状をなす流動層型の火炉3を備えている。火炉3の中間部には、燃料を供給する燃料供給口3aと、上部には燃焼ガスを排出するガス出口3bと、が設けられている。燃料供給装置5からこの火炉3に供給される燃料は、燃料供給口3aを介して火炉3の内部に供給される。
【0016】
火炉3のガス出口3bには固気分離装置として機能するサイクロン7が接続されている。サイクロン7の排出口7aはガスラインを介して後段のガス処理系に接続されている。また、サイクロン7の底部出口からはダウンカマーと称されるリターンライン9が下方に延びており、リターンライン9の下端は火炉3の中間部側面に接続されている。
【0017】
火炉3内では、下部の給気ライン3cから導入される燃焼・流動用の空気により、燃料供給口3aから供給された燃料を含む固形物が流動し、燃料は流動しながら例えば約800〜900℃で燃焼する。サイクロン7には、火炉3で発生した燃焼ガスが固体粒子を同伴しながら導入される。サイクロン7は、遠心分離作用により固体粒子と気体とを分離し、リターンライン9を介して分離された固体粒子を火炉3に戻すと共に、固体粒子が除かれた燃焼ガスを排出口7aからガスラインを通じて後段のガス処理系に送出する。
【0018】
この火炉3では「炉内ベット材」と呼ばれる固形物が発生し底部に溜まるが、この炉内ベット材で不純物(低融点物質等)が濃縮されて起こるベット材の焼結及び溶融固化、或いは不燃夾雑物による動作不良を抑制することが必要である。このため、火炉3では、底部の排出口3dから炉内ベット材が定期的または連続的に外部に排出されている。排出されたベット材は、循環ライン(図示せず)上で金属や粗大粒径などの不適物を取り除いた後、再び火炉3に供給される。
【0019】
上記のガス処理系は、サイクロン7の排出口7aにガスラインを介して接続されたガス熱交換装置13と、このガス熱交換装置13の排出口13aにガスラインを介して接続された集塵機15とを備えている。ガス熱交換装置13には、排ガスの流路を横切るように蒸気を過熱するボイラチューブ13bが設けられている。サイクロン7から送られた高温の排ガスがこのボイラチューブ13bに接触することで、排ガスの熱がチューブ内の蒸気に回収され、発生した高温の蒸気がボイラチューブ13bを通じて発電用のタービンに送られる。ガス熱交換装置13内における排出口13aには、排ガスの熱を回収して空気を予熱する空気予熱器50が設けられている。空気予熱器50の構成については後述する。集塵機15は、この可燃性ガスに未だ同伴している飛灰等の微粒子を除去する。集塵機15として、例えばバグフィルタや電気集塵機などが採用される。集塵機15の排出口15aから排出された清浄なガスはガスライン及びポンプ17を経由して煙突19から外部に排出される。
【0020】
火炉3で発生した固体粒子は、火炉3、サイクロン7、及びリターンライン9で構成される循環系21内を循環する。なお、以降の説明においては、固体粒子の流動物を伝熱媒体と称する。循環系21のうち、リターンライン9と火炉3の底部との間には熱交換チャンバ20が形成される。熱交換チャンバ20内には伝熱媒体が貯められる。また、熱交換チャンバ20内には、熱交換器22が設けられている。
【0021】
次に、図2を参照して、空気予熱器50の概略構成について説明する。図2に示すように、ガス熱交換装置13は排ガスEGを通過させる排ガス流路101を備えている。排ガス流路101は、互いに対向する側壁部101a,101bと、紙面前後方向において互いに対向する側壁部(不図示)と、を備えている。なお、以降の説明においては、排ガス流路101内を排ガスEGが流れる方向をZ軸方向とする。排ガスEGの流れに対する上流側をZ軸方向の負側とし、下流側をZ軸方向の正側とする。側壁部101a,101bが対向する方向(図においては紙面左右方向)をX軸方向とする。側壁部101aが配置される方向(紙面左側)をX軸方向の負側とし、側壁部101bが配置される側(紙面右側)をX軸方向の正側とする。紙面前後方向をY軸方向とする。紙面裏側をY軸方向の負側とし、紙面前側をY軸方向の正側とする。
【0022】
空気予熱器50は、排ガス流路101の排ガスEGから熱を回収し、空気を予熱する。空気予熱器50は、排ガス流路101内に設けられる複数(ここでは3つ)の熱交換ユニット51A,51B,51Cを備えている。なお、排ガスEGの流れに対して上流側から下流側へ向かって、すなわちZ軸方向における負側から正側へ向かって、熱交換ユニット51A,51B,51Cの順番で設けられる。
【0023】
熱交換ユニット51A,51B,51Cは、排ガス流路101内に設けられる複数の第1のチューブ52と、複数の第1のチューブ52の各流入口と連通する入口部53と、複数の第1のチューブ52の各流出口と連通する出口部54と、を備えている。第1のチューブ52は、側壁部101aと側壁部101bとの間でX軸方向に延びる。第1のチューブ52には、排ガス流路101を流れる排ガスEGとの間で熱交換を行う空気が流れる。第1のチューブ52は、少なくとも側壁部101aと側壁部101bとの間の全長にわたって延びている。第1のチューブ52は、側壁部101aを貫通して排ガス流路101の外部で開口し、側壁部101bを貫通して排ガス流路101の外部で開口している(例えば図3参照)。複数の第1のチューブ52は、Z軸方向及びY軸方向に配列するように、互いに平行をなすように並べられている。互いに隣り合う第1のチューブ52同士の間には、排ガスEGが通過できる程度の隙間が設けられている。
【0024】
入口部53は、内部空間を有する箱状の部材であり、排ガス流路101の外側に設けられ、複数の第1のチューブ52の各流入口と内部空間が連通するように設けられる。入口部53は、供給された空気を複数の第1のチューブ52のそれぞれへ分配するように、内部空間で空気の流れを拡張する。出口部54は、内部空間を有する箱状の部材であり、排ガス流路101の外側に設けられ、複数の第1のチューブ52の各流出口と内部空間が連通するように設けられる。出口部54は、複数の第1のチューブ52からそれぞれ流出した空気を集約する。
【0025】
本実施形態では、熱交換ユニット51Aの入口部53はX軸方向の正側の側壁部101bに設けられ、出口部54はX軸方向の負側の側壁部101aに設けられる。熱交換ユニット51Bの入口部53はX軸方向の負側の側壁部101aに設けられ、出口部54はX軸方向の正側の側壁部101bに設けられる。熱交換ユニット51Cの入口部53はX軸方向の正側の側壁部101bに設けられ、出口部54はX軸方向の負側の側壁部101aに設けられる。
【0026】
本実施形態では、熱交換用の空気は、熱交換ユニット51C,51B,51Aの順で供給される。具体的には、熱交換ユニット51Cの入口部53には、空気予熱器50の外部からの空気を供給するためのラインL1が接続されている。熱交換ユニット51Cの出口部54と熱交換ユニット51Bの入口部53とは、ラインL2を介して接続されている。熱交換ユニット51Bの出口部54と熱交換ユニット51Aの入口部53とは、ラインL3を介して接続されている。熱交換ユニット51Aの出口部54には、予熱した空気を空気予熱器50での外部へ流出させるためのラインL4が接続されている。空気予熱器50で予熱された空気は、ボイラ内で空気が用いられる各所へ供給される。例えば、空気予熱器50で予熱された空気は、火炉3の二次燃焼用の空気として用いられてもよく、火炉3の底部で流動化用空気や燃焼空気として用いられてもよい。
【0027】
上述のように構成された空気予熱器50は、排ガスEGの流れにおける下流の端部側の位置に、第1のチューブ52の低温端腐食(酸露点腐食)を抑制するための腐食抑制構造70を備える。なお、このような低温での腐食は、排ガスに含まれる水分が多い場合、または硫黄分が多い場合、あるいは水分及び硫黄分が多い場合に生じやすい。このような排ガスが生じ易い燃料としては、高硫黄含有率を有する石炭、石油コークス、高水分含有率を有する石炭、林地残材などの木質燃料等が挙げられる。本実施形態では、排ガスEGの流れに対して最も下流側に配置される熱交換ユニット51Cに腐食抑制構造70が設けられる。また、熱交換ユニット51Cの中でも、排ガスEGの流れに対して最も下流側に配置される複数本の第1のチューブ52に対して腐食抑制構造70が設けられる。すなわち、腐食抑制構造70は、流れる排ガスEGの温度が高いことにより、低温端腐食を起こす可能性が低い箇所には設けられない。ここでは、腐食抑制構造70は、熱交換ユニット51A,51Bの第1のチューブ52、及び熱交換ユニット51Cのうち、上流側の一部の第1のチューブ52に対しては設けられない。
【0028】
図3を参照して、腐食抑制構造70の詳細な構成について説明する。腐食抑制構造70は、第1のチューブ52と、第2のチューブ71と、第2のチューブ71に対する入口部72と、第2のチューブ71に対する出口部73と、を備えている。腐食抑制構造70における第1のチューブ52の流出側の端部52aは、入口部72を設けるために、側壁部101aよりもX軸方向における負側へ突出するように延びている。腐食抑制構造70における第1のチューブ52の流入側の端部52bは、出口部73を設けるために、側壁部101bよりもX軸方向における正側へ突出するように延びている。
【0029】
第2のチューブ71は、第1のチューブ52を外周側から取り囲むと共に第1のチューブ52に沿って延びる。第2のチューブ71の中心軸線、第1のチューブ52の中心軸線と一致するように延びていてよいが、空気の流れに影響がない範囲で、第1のチューブ52の中心軸線とずれていてもよい。第2のチューブ71の流入側の端部71aは、側壁部101aよりもX軸方向における負側へ突出するように延びている。ただし、当該端部71aは、第1のチューブ52の端部52aよりも突出量が少なく、端部52aよりもX軸方向における正側に配置されている。第2のチューブ71の流出側の端部71bは、側壁部101bよりもX軸方向における正側へ突出するように延びている。ただし、当該端部71bは、第1のチューブ52の端部52bよりも突出量が少なく、端部52bよりもX軸方向における負側に配置されている。なお、第2のチューブ71の端部71a,71bは側壁部101a,101bから突出していなくともよく、少なくとも側壁部101aと側壁部101bとの間の全長にわたって延びていればよい。なお、図3に示されている第1のチューブ52の全てに対して第2のチューブ71が設けられているが、第2のチューブ71は、複数の第1のチューブ52の一部に対して設けられている。すなわち、排ガスEGの流れに対する上流側の第1のチューブ52には第2のチューブ71は設けられておらず、排ガスEGに対して露出している。
【0030】
第1のチューブ52と第2のチューブ71の材料は、特に限定されないが、材料コストを抑制するために、炭素鋼などの一般的な材料を適用してよい。すなわち、腐食抑制構造70を採用することで、チューブの材料自体を腐食に強い高価な材料を採用しなくともよい。ただし、本発明は、第1のチューブ52と第2のチューブ71の材料として、それらの高価な材料を用いることを排除するものではない。
【0031】
入口部72は、内部空間を有する箱状の部材であり、排ガス流路101の外側に設けられ、複数の第2のチューブ71の各流入口と内部空間が連通するように設けられる。入口部72は、供給された空気を複数の第2のチューブ71のそれぞれへ分配するように、内部空間で空気の流れを拡張する。第2のチューブ71に対する入口部72は、熱交換ユニット51Cの出口部54の内部に設けられており、当該出口部54の内部空間と連通しないように気密性が確保されている。なお、第1のチューブ52の端部52aは、入口部72を貫通するように延びており、出口部54の内部空間で開口するように配置されている。
【0032】
出口部73は、内部空間を有する箱状の部材であり、排ガス流路101の外側に設けられ、複数の第2のチューブ71の各流出口と内部空間が連通するように設けられる。出口部73は、複数の第2のチューブ71からそれぞれ流出した空気を集約する。第2のチューブ71に対する出口部73は、熱交換ユニット51Cの入口部53の内部に設けられており、当該入口部53の内部空間と連通しないように気密性が確保されている。なお、第1のチューブ52の端部52bは、出口部73を貫通するように延びており、入口部53の内部空間で開口するように配置されている。
【0033】
第2のチューブ71には、第1のチューブ52を流れる空気A1より温度が高い空気A2が流れる。第2のチューブ71に流れる空気A2は、空気A1より温度が高ければ、どこから供給される空気を採用してもよい。なお、空気A1の温度は、特に限定されないが、30〜90℃程度であってよい。ただし、本実施形態では、第2のチューブ71には、少なくとも一度、第1のチューブ52を通過した後の空気が流れる。本実施形態においては、空気A2として、熱交換ユニット51Aから排出された空気が採用される。このような空気A2の温度は、概ね200℃以上であってよい。従って、入口部72は、熱交換ユニット51Aの出口部54から延びるラインL4から分岐したラインL6と接続される(図2も参照)。これにより、ラインL6から供給された空気は、入口部72を介して第2のチューブ71へ流れる。また、出口部73にはラインL7が接続されている。ラインL7の接続先は特に限定されないが、ラインL4と同様、ボイラ内において空気が用いられる各所に接続されてもよい。ただし、空気A2は、二重管の外側の第2のチューブ71を通過するため、空気圧力が低下する。従って、ラインL7は、高い圧力を必要としない位置(例えば、火炉上部やシール空気等)に空気を供給することで、回収熱を再利用できる。
【0034】
第2のチューブ71に対する空気A2の流量は、状況に合わせて制御されてもよい。具体的には、腐食抑制構造70は、空気温度検出部81と、排ガス温度検出部82と、流量調整部83と、制御部84と、を備えてよい。空気温度検出部81は、第2のチューブ71を流れる空気A2の温度を検出する。なお、空気温度検出部81は、第2のチューブ71内の空気A2を直接測定してもよいが、第2のチューブ71に流入する直前位置(例えばラインL6及び入口部72)か、流出直後の位置(例えばラインL7及び出口部73)を測定してもよい。排ガス温度検出部82は、排ガス流路101のうち第1のチューブ52が設けられる領域よりも下流側における排ガスEGの温度を検出する。すなわち、排ガス温度検出部82は、排ガス流路101のうち、空気予熱器50の熱交換ユニット51Cよりも下流側の領域における排ガスEGの温度を検出する。流量調整部83は、第2のチューブ71に対する空気A2の流量を調整する。流量調整部83は、例えばラインL6に設けられた弁によって構成されてよい。制御部84は、空気温度検出部81及び排ガス温度検出部82の検出結果に基づいて第2のチューブ71へ流す空気の流量を制御する。制御部84は、流量調整部83に流量に応じた制御信号を送付することで、空気A2の流量を調整する。
【0035】
次に、本実施形態に係る空気予熱器50の作用・効果について説明する。
【0036】
まず、比較例に係る空気予熱器について説明する。比較例に係る空気予熱器は、本実施形態のような腐食抑制構造70が設けられておらず、最下流側の第1のチューブ52に第2のチューブ71が設けられることなく、排ガスEGに対して露出している。ここで、ボイラの燃料として高水分、高硫黄分の燃料を用いた場合、当該燃料を燃焼することで発生する排ガスEGには水分が多く含まれる。排ガス中の水分が増加すると、酸露点(硫酸露点)が上昇する(使用燃料毎に異なるが概ね110〜130℃)。排ガスEGの酸露点が高い場合、比較例に係る空気予熱器では、排ガスEGの温度が低くなる下流側の端部に配置される第1のチューブ52が腐食される低温端腐食(酸露点腐食)が発生する場合がある。
【0037】
このような低温端腐食の発生を抑制するための方法として、排ガスEGの温度を高く維持する方法が挙げられる。しかしながら、排ガスEGの温度を高くするということは排ガスEGの顕熱損失が増加するということであるため、結果的にボイラのボイラ効率が低下することになる。また、第1のチューブ52を腐食に強い材料で構成する場合、材料として高級なものを採用しなくてはならず、製造コストが増加するという問題がある。
【0038】
これに対し、本実施形態に係る空気予熱器50は、排ガス流路101内に設けられる第1のチューブ52を備える。第1のチューブ52は、当該第1のチューブ52を流れる空気により、排ガス流路101を流れる排ガスEGの熱を回収できる。ここで、空気予熱器50は、第1のチューブ52を外周側から取り囲むと共に第1のチューブ52に沿って延びる第2のチューブ71を備えている。このように、第1のチューブ52と第2のチューブ71とによって二重管が構成される。また、二重管の外側のチューブである第2のチューブ71には、第1のチューブ52を流れる空気より温度が高い空気が流れる。これにより、熱を除去されることで排ガスEGが低温になっても、第1のチューブ52は温度の高い空気が流れる第2のチューブ71に取り囲まれているため、当該第1のチューブ52が低温の排ガスEGにより腐食されることを抑制できる。以上より、ボイラ効率の低下を抑制しつつ、チューブの腐食を抑制できる。
【0039】
また、空気予熱器50では、排ガスEGに晒される第2のチューブ71には高い温度の空気が流れるため、第2のチューブ71の管壁の温度も低温端腐食が起きない程度の温度に維持できる。従って、第1のチューブ52及び第2のチューブ71の材料として、腐食に強い高級な材料を用いずともよいため、製造コストを抑制することができる。
【0040】
空気予熱器50において、第2のチューブ71には、少なくとも一度第1のチューブ52を通過した後の空気が流れる。少なくとも一度第1のチューブ52を通過した空気は、排ガスEGの熱を回収しているため、最下流側の腐食抑制構造70の第1のチューブ52を通過している最中の空気A1よりも温度が高い。従って、当該空気を第2のチューブ71に流すことで、空気予熱器50以外の場所から第2のチューブ71に流すための高温の空気を確保する構造が不要となる。
【0041】
空気予熱器50において、第1のチューブ52は排ガス流路101内に複数設けられ、第2のチューブ71は、複数の第1のチューブ52の一部に対して設けられている。複数の第1のチューブ52のうち、通過する排ガス温度が低く、低温端腐食の可能性が高いものに対してのみ第2のチューブ71を設け、通過する排ガス温度が高く、低温端腐食の可能性が低いものに対しては第2のチューブ71を設けない。これによって、空気予熱器50の製造コストを抑制することができる。
【0042】
空気予熱器50は、第2のチューブ71を流れる空気の温度を検出する空気温度検出部81と、排ガス流路101のうち第1のチューブ52が設けられる領域よりも下流側における排ガスEGの温度を検出する排ガス温度検出部82と、空気温度検出部81及び排ガス温度検出部82の検出結果に基づいて第2のチューブ71へ流す空気の流量を制御する制御部84と、を備える。このような制御を行うことにより、第2のチューブ71に対して適切な流量の空気を流すことができる。
【0043】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0044】
例えば、上述の実施形態では、各熱交換ユニットに対して、下流側の熱交換ユニット51Cから熱交換ユニット51B、熱交換ユニット51Aの順に空気が流れていた。これに代えて、例えば、熱交換ユニットに対する空気の導入順序を変更してもよく、各熱交換ユニット51A,51B,51Cに対して、並列に同時に空気を供給してよい。
【0045】
また、上述の実施形態では、空気A2はラインL4から引き出されていたが、空気A2の引き出し箇所は特に限定されない。例えば、ラインL2,L3等から空気A2を引き出してもよい。なお、ラインL2,L3から引き出す空気の温度が十分出ない場合は、補助的な加熱を行ってよい。
【0046】
また、上述の実施形態では、空気A2と空気A1は互いに対向するように流れていたが、同方向に流れてもよい。
【符号の説明】
【0047】
50…空気予熱器、52…第1のチューブ、71…第2のチューブ、81…空気温度検出部、82…排ガス温度検出部、84…制御部、101…排ガス流路。
図1
図2
図3