特許第6952110号(P6952110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6952110方向指示器の制御方法及び方向指示器の制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6952110
(24)【登録日】2021年9月29日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】方向指示器の制御方法及び方向指示器の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/34 20060101AFI20211011BHJP
   B60Q 1/40 20060101ALI20211011BHJP
【FI】
   B60Q1/34 A
   B60Q1/40 A
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-514982(P2019-514982)
(86)(22)【出願日】2017年4月27日
(86)【国際出願番号】JP2017016706
(87)【国際公開番号】WO2018198264
(87)【国際公開日】20181101
【審査請求日】2019年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】谷口 洋平
(72)【発明者】
【氏名】志野 達弥
(72)【発明者】
【氏名】石丸 秀行
(72)【発明者】
【氏名】伊東 敦
【審査官】 野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−030436(JP,A)
【文献】 特開2008−189216(JP,A)
【文献】 特開2016−071514(JP,A)
【文献】 特開2009−274594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の運転者の操作により点滅が開始し、自動的に消灯する方向指示器を、プロセッサを用いて制御する方向指示器の制御方法であって、
前記方向指示器が点滅を開始してから自動的に消灯するまでの点滅時間を制御し、
前記自車両が走行している車線とは別の車線に自動的に前記自車両を車線変更させる自動車線変更機能が有効又は無効であるかを判定し、
前記自動車線変更機能が無効と判定された場合、前記点滅時間は、前記方向指示器が点滅を開始してから自動的に消灯するまでの時間である第1の点滅時間であり、
前記自動車線変更機能が有効と判定された場合、前記点滅時間は前記第1の点滅時間よりも長い第2の点滅時間である方向指示器の制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方向指示器の制御方法であって、
前記自車両が自動的に車線変更する場合には、前記第1の点滅時間中に、前記自車両に搭載され、当該自車両の周囲の状況を検出する第1の検出器の検出結果に基づいて、前記自車両が車線変更できるか否かを判定し、
前記自車両が車線変更できると判定した場合には、前記第1の点滅時間から前記第2の点滅時間まで延長する方向指示器の制御方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方向指示器の制御方法であって、
前記自車両が自動的に車線変更する場合には、前記第1の点滅時間中に、前記自車両に搭載され、前記運転者による操舵制御の方向を検出する第2の検出器の検出結果に基づいて、前記運転者が車線変更の方向に操舵したか否かを判定し、
前記運転者が前記車線変更の方向に操舵したと判定した場合には、前記運転者が操舵したタイミングから前記第1の点滅時間だけ前記方向指示器を点滅させる方向指示器の制御方法。
【請求項4】
自車両の運転者の操作により点滅が開始し、自動的に消灯する方向指示器を制御するプロセッサ、を備える方向指示器の制御装置であって、
前記プロセッサは、
前記方向指示器が点滅を開始してから自動的に消灯するまでの点滅時間を制御し、
前記自車両が走行している車線とは別の車線に自動的に前記自車両を車線変更させる自動車線変更機能が有効又は無効であるかを判定し、
前記自動車線変更機能が無効と判定された場合、前記点滅時間は、前記方向指示器が点滅を開始してから自動的に消灯するまでの時間である第1の点滅時間であり、
前記自動車線変更機能が有効と判定された場合、前記点滅時間は前記第1の点滅時間よりも長い第2の点滅時間である方向指示器の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方向指示器の制御方法及び方向指示器の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に設けられたターンシグナル用の操作手段の操作によってターンシグナルが点灯した時点から、車両の横方向への移動距離を算出し、この横方向の移動距離が閾値以上となった際にターンシグナルを消灯することにより、ターンシグナルを自動的に消灯するターンシグナル点灯制御装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−280272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、車両の走行制御を自動的に行う自動運転制御により車線変更する場合であっても、ターンシグナルの制御は、運転者の操舵制御により車線変更する場合と同じ制御である。そのため、自動運転制御による車線変更では、ターンシグナルが点灯した後に車線変更ができないと判断して、ターンシグナルが点滅し続けるおそれがある。運転者にターンシグナルが消灯する操作をさせてしまい、運転者へかかる負担が大きくなるという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、自動的に車線変更することが可能な車両の運転者にかかる負担を軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、自車両の運転者の操作により点滅が開始し、自動的に消灯する方向指示器に対して、方向指示器が点滅を開始してから自動的に消灯するまでの点滅時間を制御し、自車両が走行している車線とは別の車線に自動的に前記自車両を車線変更させる自動車線変更機能が有効又は無効であるかを判定し、自動車線変更機能が無効と判定された場合、点滅時間は第1の点滅時間であり、自動車線変更機能が有効と判定された場合、点滅時間は第1の点滅時間よりも長い第2の点滅時間であることにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、自動的に車線変更することが可能な車両の運転者にかかる負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る方向指示器の制御装置を備える制御システムの構成図である。
図2図2は、本実施形態に係る方向指示器の制御装置の制御手順を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明に係る制御装置100を、車両に搭載された制御システム1に適用した場合を例にして説明する。本実施形態の制御システム1は、方向指示器の点滅時間を制御するシステムであって、自車両の走行状態又は自車両の周囲の交通情報に基づいて、適切に当該点滅時間を変更する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る方向指示器の制御装置100を備える制御システム1のブロック構成図である。図1に示すように、本実施形態の制御システム1は、方向指示器20と、操舵装置30と、検出装置40と、制御装置100と、を備える。これらの各装置はCAN(Controller Area Network)その他の車両に搭載されたLANによって接続され、相互に情報の授受を行うことができる。
【0011】
本実施形態では、制御システム1が車両に適用された場合を例にして説明する。なお、本実施形態の車両は、人間が搭乗可能な有人機である。また、車両の運転者の座席及び後述するステアリングホイール32は、車両の中央よりも右側の設けられているものとする。さらに、本実施形態の車両は、道路の中央よりも左側の部分を通行する(左側通行)ものとする。
【0012】
本実施形態の方向指示器20は、車両の所定の位置に設けられている。方向指示器20は、左側方向指示器21と右側方向指示器22から構成される。左側方向指示器21は、自車両の前面の左側、自車両の後面の左側、及び左側面にそれぞれ設置されている。右側方向指示器22は、自車両の前面の右側、自車両の後面の右側、及び右側面にそれぞれ設置されている。
【0013】
方向指示器20は、点滅を行うランプを内部に有している。方向指示器20は、自車両の運転者が後述する方向指示スイッチ31を操作することで、橙色で点滅し、自車両が右左折や進路変更の際に、その方向を周囲に示すための装置である。自車両の周囲に存在する第三者が視認できる位置に、方向指示器20を設置するのが好ましい。例えば、自車両の側面であれば、左側方向指示器21は自車両の左側ミラーの位置に設けられ、右側方向指示器22は自車両の右側ミラーの位置に設けられる。
【0014】
方向指示器20には、後述する制御装置100から、点滅開始信号と、点滅時間信号が入力される。点滅開始信号は、方向指示器20に点滅を開始させる信号であり、運転者が後述する方向指示スイッチ31を操作することで発生する。点滅時間信号には、方向指示器20の点滅時間の情報が含まれている。方向指示器20の点滅時間は、自車両の走行制御や自車両の周辺の交通状況に応じて、制御装置100により設定される。方向指示器20の動作については後述する。
【0015】
また、本実施形態の方向指示器20は、ワンタッチ機能を有している。方向指示器20は、ワンタッチ機能のオン又はオフに応じて、それぞれ異なる点滅を行う。ワンタッチ機能は、方向指示器20を操作する運転者への負担を軽減するために設けられている。運転者は、後述する方向指示スイッチ31に対して、異なる操作を行うことで、方向指示器20のワンタッチ機能をオン又はオフさせる。運転者による方向指示スイッチ31の操作は操作信号として制御装置100へ出力され、制御装置100は、方向指示器20のワンタッチ機能をオン又はオフに設定する。ワンタッチ機能については後述する。
【0016】
操舵装置30は、方向指示スイッチ31、ステアリングホイール32、ステアリングアクチュエータ33を備えている。操舵装置30は、ステアリングホイール32の操作による入力信号に基づいて自車両の転回制御を実行する。操舵装置30には、後述するから制御信号が入力される。
【0017】
方向指示スイッチ31は、運転者の操作により方向指示器20を点滅又は消灯させるスイッチであり、運転者から見てステアリングコラムの右側面に設置される。方向指示スイッチ31の形状としては、例えば、レバー形状が挙げられる。本実施形態では、レバー形状の方向指示スイッチとして説明する。方向指示スイッチ31は、中央位置と、運転者から見て中央位置よりも上方向に位置する上側位置と、運転者から見て中央位置よりも下方向に位置する下側位置の3つの位置を移動可能なスイッチである。運転者は、方向指示スイッチ31を中央位置から上側位置又は下側位置へ倒すことができる。倒された方向指示スイッチ31は、上側位置又は下側位置へ固定される。以降では、運転者による上記操作を、方向指示スイッチ31の「固定操作」と称す。また、運転者は、上側位置又は下側位置に倒された方向指示スイッチ31を中央位置に戻すことができる。なお、方向指示スイッチ31の形状は特に限定されず、ボタン形状やスイッチ形状であってもよい。
【0018】
また、方向指示スイッチ31には、バネ等の弾性材が含まれている。運転者が方向指示スイッチ31を中央位置から上側位置又は下側位置まで倒さずに、所定の範囲内だけ上方向又は下方向に移動させると、方向指示スイッチ31は弾性材により自動的に中央位置に戻る。以降では、運転者による上記操作を、方向指示スイッチ31の「ワンタッチ操作」と称す。
【0019】
運転者が方向指示スイッチ31に対して、固定操作又はワンタッチ操作を行うと、方向指示スイッチ31は、制御装置100に運転者の操作を操作信号として出力する。操作信号には、運転者による方向指示スイッチ31の「固定操作」と、運転者による方向指示スイッチ31の「ワンタッチ操作」の情報が含まれる。なお、運転者は、方向指示スイッチ31を中央位置から上方向に操作することで、左側方向指示器21の点滅及び消灯を制御できる。反対に、運転者は、方向指示スイッチ31を中央位置から下方向に操作することで、右側方向指示器22の点滅及び消灯を制御できる。
【0020】
ステアリングホイール32は、ステアリング機構を操作し、回転させて自車両の進行方向を調整するための環状の部品である。運転者は、ステアリングホイール32を両手で握り、回転させることで進行方向を調整する。
【0021】
ステアリングアクチュエータ33は、ステアリングホイール32のコラムシャフトに取り付けられるモータ等を含む。ステアリングアクチュエータ33は、運転者がステアリングホイール32を操作することで発生する入力信号、又は後述する制御装置100から入力される制御信号に基づいて、車両を駆動する。
【0022】
検出装置40は、カメラ41、レーダ42、及び通信装置43から構成される、他車両を検出するための装置と、舵角センサ44及び姿勢センサ45から構成される、自車両の情報を取得するための装置とを備える。本実施形態では、検出装置40は、自車両の所定の位置にそれぞれ設置されているが、設置される場所は特に限定されず、任意の位置に設置することができる。
【0023】
カメラ41は、自車両の周囲を撮像するために、自車両の所定の位置に設置される。カメラ41は、撮像した自車両の周囲画像を、制御装置100に出力する。
【0024】
レーダ42は、自車両の周囲に存在する他車両を検出するために、自車両の所定の位置に設置される。レーダ42は、自車両の前方、後方、又は側方での障害物の検出結果を、制御装置100に出力する。
【0025】
通信装置43は、自車両の周囲に存在する他車両との通信、いわゆる車車間通信を可能とする装置であり、自車両の所定の位置に設置される。通信装置43は、他車両との通信結果を、制御装置100に出力する。
【0026】
舵角センサ44は、自車両の右又は左への移動制御が開始されるトリガを検出する。舵角センサ44は、操舵装置30のステアリングホイール32の移動タイミングを検出することで、当該トリガを検出することができる。また、舵角センサ44は、ステアリングホイール32の回転角度を検出することで、ステアリングホイール32の回転方向が右回り又は左回りのいずれかであるかを検出することができる。舵角センサ44は、検出結果を制御装置100に出力する。
【0027】
姿勢センサ45は、自車両の重量、重心、ホイールベースなどの車体構造と、ピッチング角、ヨー角、サスペンションストローク量などの車両の姿勢に関する情報に基づいて、自車両の姿勢を検出する。姿勢センサ45は、検出結果を制御装置100に出力する。
【0028】
次に、本実施形態の制御装置100について説明する。本実施形態の制御装置100は、走行制御部11と、方向指示器制御部12と、記憶部13と、を備える。なお、走行制御部11、方向指示器制御部12は、各ブロック間で相互に情報を授受できる。方向指示器制御部12は、後述する走行制御部11により実行された結果等を参照して方向指示器20を制御することができる。
【0029】
走行制御部11は、車両の各種情報を管理し、車両の動作を制御するECUを備える。本実施形態の走行制御部11は、検出装置40が検出する他車両の存在情報及び自車両情報を取得する。他車両の存在情報には、カメラ41からの自車両の周囲画像、レーダ42からの自車両の周囲の障害物情報、通信装置43からの他車両との通信結果とが含まれる。自車両情報には、舵角センサ44からの操舵角、姿勢センサ45からの自車両の姿勢の検出結果が含まれる。
【0030】
走行制御部11は、車両の走行を制御する。走行制御部11は、運転者の操舵制御による走行又は自動運転制御による走行を切り替えることができる。運転者の操舵制御による走行とは、運転者が走行方向や走行速度等をコントロールしながら走行することである。例えば、運転者が一定の力でアクセルを踏むとともに、ステアリングホイール32を右回りに回転させることで、自車両は右前に前進する。
【0031】
一方、自動運転制御による走行とは、運転者がアクセルやステアリングホイール32を制御しなくとも、走行制御部11が走行方向や走行速度等をコントロールしながら自動的に走行することである。本実施形態の走行制御部11は、自動運転制御による走行のうちの一つの機能として自動車線変更機能を備える。
【0032】
自動車線変更機能とは、自車両が走行している車線とは別の車線に自動的に車線変更する機能である。走行制御部11は、制御信号を操舵装置30に出力することで、運転者による操舵制御の代わりにステアリングホイール32を操作することができる。なお、走行制御部11による車線変更の制御は、ステアリングホイール32の回転制御に限られない。例えば、走行制御部11は、タイヤ角のみを制御して車線変更を実行してもよく、左右の制動力の差を用いて車線変更の制御を実行してもよい。
【0033】
自動車線変更機能は、走行制御部11又は運転者により、有効又は無効に切り替えられる。例えば、運転者が車内のディスプレイに表示される設定画面から自動車線変更機能を設定してもよい。また、走行制御部11が検出装置40の検出結果に基づいて自動車線変更機能を設定してもよい。なお、自動車線変更機能の設定方法については特に限定されるものではない。
【0034】
自動車線変更機能が有効の場合には、走行制御部11は、運転者が方向指示スイッチ31を操作することで、自動運転制御による車線変更の処理を開始する。具体的には、走行制御部11は、方向指示スイッチ31が出力する操作信号から、運転者による方向指示スイッチ31の「ワンタッチ操作」の情報を検出する。そして、走行制御部11は、この「ワンタッチ操作」を起因として自動運転制御による車線変更の処理を開始する。本実施形態では、運転者が方向指示スイッチ31に対して「ワンタッチ操作」することで、方向指示器20の点滅が開始するとともに、自動運転制御による車線変更の処理が開始される。
【0035】
まず、走行制御部11は、検出装置40から入力される各機器の検出結果に基づいて、自動運転制御により車線変更が可能か否かを判断する。本実施形態では、走行制御部11は、自車両が走行する車線に隣接する車線に障害物が存在するか否かを判断する。隣接する車線は、自車両が走行する車線を基準とした、右側車線及び左側車線を含む。なお、障害物は、他車両、二輪車(オートバイ、自転車等)、道路構造物、駐車場、標識、施設、その他の物体を含む。
【0036】
例えば、走行制御部11は、カメラ41の撮像画像に対して画像処理を実行して、隣接する車線に他車両が存在するか否かを判断して、車線変更を実行するか否かを判定する。また、例えば、走行制御部11は、レーダ42の検出結果から他車両が存在するか否かを判断して、車線変更を実行するか否かを判定する。さらに、走行制御部11は、通信装置43の通信結果から他車両との間で通信された記録等を参照して、他車両の存在を判断してもよい。なお、走行制御部11は、カメラ41の撮像画像、レーダ42の検出結果、及び通信装置43の通信結果からそれぞれ他車両の存在を検出してもよい。
【0037】
そして、走行制御部11は、車線変更の実行が可能と判定すると、自車両を自動的に車線変更させる。例えば、走行制御部11は、走行中の車線から右側の車線又は左側の車線へ車線変更するために予め記憶部13に記憶された、車線変更用のプログラムを実行する。なお、走行制御部11には、本願出願時に知られた自動運転制御装置を適宜に用いることができる。
【0038】
また、走行制御部11は、検出装置40から入力される各機器の検出結果に基づいて、運転者による操舵制御の方向を検出する。
【0039】
例えば、走行制御部11は、舵角センサ44の検出結果から、自車両の移動制御が開始されたトリガを検出するとともに、操舵角から運転者による操舵制御の方向を検出する。走行制御部11は、操舵角がステアリングホイール32の右回りを示す角度の場合には、運転者による操舵制御の方向は右方向と検出する。反対に、制御装置100は、操舵角がステアリングホイール32の左回りを示す角度の場合には、運転者による操舵制御の方向は左方向と検出する。
【0040】
なお、運転者による操舵制御の方向の検出方法は上記方法に限定されない。例えば、姿勢センサ45の検出結果から、運転者による操舵制御の方向を検出してもよい。また、走行制御部11は、舵角センサ44の検出結果及び姿勢センサ45の検出結果からそれぞれ運転者による操舵制御の方向を検出してもよい。
【0041】
また、走行制御部11は、自車両が自動運転制御により車線変更する場合には、運転者による操舵制御の方向が、自動運転制御による車線変更の方向と一致するか否かを判定する。走行制御部11は、検出した運転者による操舵制御の方向と、自動車線変更機能により予め予定された車線変更の方向とを比較する。これにより、走行制御部11は、運転者による操舵制御の方向が自動運転制御による車線変更の方向と一致しているか否かを判定する。
【0042】
次に、本実施形態の方向指示器制御部12、記憶部13について説明する。方向指示器制御部12は、記憶部13に格納された方向指示器20を制御するプログラムを実行することで、制御装置100の機能を実現させる動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)を備える。なお、動作回路として、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate
Array)などを用いてもよい。記憶部13は、ROM、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)を含む。
【0043】
制御装置100の方向指示器制御部12は、状態検出機能と、走行制御判定機能と、点滅時間制御機能とを実現する。制御装置100は、上記機能を実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実行する。
【0044】
まず、方向指示器制御部12の状態検出機能について説明する。制御装置100は、方向指示器20の状態を検出する。
【0045】
本実施形態の制御装置100は、方向指示スイッチ31から入力される操作信号を、方向指示器20へ点滅開始信号として出力し、方向指示器20の点滅を開始させる。制御装置100は、点滅開始信号が入力されると、当該信号が入力されたタイミングを方向指示器20の点滅が開始するタイミングとして検出する。
【0046】
また、制御装置100は、方向指示スイッチ31から入力される操作信号に基づいて、方向指示器20のワンタッチ機能をオンさせる。制御装置100は、操作信号に方向指示スイッチ31の「ワンタッチ操作」の情報が含まれている場合、方向指示器20のワンタッチ機能をオンさせる。反対に、制御装置100は、操作信号に方向指示スイッチ31の「固定操作」の情報が含まれている場合、方向指示器20のワンタッチ機能をオフさせる。なお、上述したように、制御装置100の走行制御部11は、自動車線変更機能が有効であって、操作信号に方向指示スイッチ31の「ワンタッチ操作」の情報が含まれている場合、自動運転制御による車線変更の処理を開始する。
【0047】
ここで、方向指示器20のワンタッチ機能について説明する。
【0048】
運転者によりワンタッチ機能がオンすると、方向指示器20は、制御装置100から入力される点滅開始信号により点滅を開始する。そして、方向指示器20は、制御装置100から入力される点滅時間信号に含まれる点滅時間だけ点滅し、その後自動的に消灯する。例えば、運転者が方向指示スイッチ31を中央位置から上側位置まで倒さずに、所定の範囲内だけ上側へ移動させると、左側方向指示器21には、ワンタッチ機能をオンさせる信号とともに、点滅開始信号が入力される。左側方向指示器21は点滅を開始し、制御装置100が設定した点滅時間だけ点滅を続け、その後、自動的に消灯する。
【0049】
反対に、運転者によりワンタッチ機能がオフすると、方向指示器20は、方向指示スイッチ31の位置(中央位置、上側位置、下側位置)に応じて点滅又は消灯する。例えば、運転者が方向指示スイッチ31を中央位置から上側位置まで倒すと、左側方向指示器21には、ワンタッチ機能をオフさせる信号とともに、点滅開始信号が入力される。左側方向指示器21は点滅を開始し、その後、運転者が方向指示スイッチ31を上側位置から中央位置に戻すまで点滅し続ける。左側方向指示器21は、運転者が方向指示スイッチ31を中央位置に戻すと、消灯する。
【0050】
このように、運転者が方向指示スイッチ31の「ワンタッチ操作」を行うと、方向指示器20は自動的に点滅から消灯までの動作を実行する。そのため、方向指示器20を消灯させるために、複雑なシステムを構築したり、複雑な制御装置を設ける必要がなくなる。なお、点滅時間の長さによってワンタッチ機能が使用される場面は変わるが、一般的には、ワンタッチ機能は、比較的長い点滅時間が必要とされる、車両が右左折する場面では使用されにくい。ワンタッチ機能は、比較的短い点滅時間で十分とされる、車線変更の場面で使用されることが多い。運転者は、自車両の周囲に対して車線変更の意思表示をするために、ワンタッチ機能を使用する。また、自動車線変更機能が有効の場合には、運転者は、自動運転制御による車線変更を開始させるために、ワンタッチ機能を使用する。
【0051】
再び、方向指示器制御部12の検出機能について説明する。
【0052】
制御装置100は、方向指示スイッチ31から入力される操作信号に基づいて、左側方向指示器21又は右側方向指示器22のいずれかが点滅を開始したかを判定する。例えば、右ハンドルの車両の場合、運転者が方向指示スイッチ31を中央位置から上側位置に倒すと、制御装置100は左側方向指示器21が点滅中と判定する。
【0053】
次に、方向指示器制御部12の走行制御判定機能について説明する。制御装置100は、自車両の走行制御が運転者による操舵制御又は自動運転制御のいずれかであるかを判定する。また、制御装置100は、自動運転制御と判定した場合には、自動車線変更機能の有効又は無効の設定を検出する。
【0054】
次に、方向指示器制御部12の点滅時間制御機能について説明する。本実施形態の制御装置100は、ワンタッチ機能がオンした際の方向指示器20の点滅時間を制御する。言い換えると、制御装置100は、方向指示器20が点滅を開始してから自動的に消灯するまでの点滅時間を制御する。具体的な場面としては、自車両が車線変更する際に、運転者が方向指示スイッチ31を操作して方向指示器20を点滅させた場面が挙げられる。この時に、制御装置100は、自車両の走行制御又は自車両の周囲の状況に応じて、方向指示器20の点滅時間を制御する。なお、本実施形態の制御装置100は、ワンタッチ機能がオフした際の方向指示器20の点滅時間を制御しない。以降では、ワンタッチ機能をオンさせた際の、点滅時間制御機能について、具体的な車線変更の場面を例に挙げて説明する。
【0055】
まず、運転者の操舵制御により、自車両が車線変更する場面について説明する。制御装置100は、自車両の走行制御が運転者による操舵制御の場合に、予め定められた所定の点滅時間(第1の点滅時間)を方向指示器20の点滅時間として設定する。第1の点滅時間とは、方向指示器20が点滅を開始してから自動的に消灯するまでの時間であり、1回の点滅時間(例えば、数秒単位)と点滅回数を乗算した時間である。なお、点灯の間隔時間は一定時間とする。本実施形態の第1の点滅時間は、運転者の操舵制御による車線変更を想定して定められた時間である。具体的には、第1の点滅時間は、自車両の周囲を走行する他車両に対して車線変更の意思表示をしている時間である。本実施形態では、第1の点滅時間を3回(1回の点滅時間を1秒)として説明する。
【0056】
第1の点滅時間の設定方法としては、例えば、記憶部13に予め第1の点滅時間を記憶させることが挙げられる。制御装置100は、記憶部13から第1の点滅時間を読み出して設定する。制御装置100は、点滅時間の情報を点滅時間信号として方向指示器20に出力する。なお、第1の点滅時間の設定方法は、特に限定されず、例えば、車両の停止中に、運転者又は自車両の乗員が所定の装置を介して、第1の点滅時間を設定してもよい。
【0057】
次に、自動運転制御の自動車線変更機能により、自車両が車線変更する場面について説明する。制御装置100は、この場面において、方向指示器20が点滅を開始してから、自動運転制御により車線変更が可能か否かの判断がされるまでの所定の時間内に、運転者による操舵制御があるか否かを検出する。なお、この所定の時間は、第1の点滅時間と同じ時間、又は第1の点滅時間よりも短い時間であればよく、特に限定されるものではない。
【0058】
制御装置100は、方向指示器20の点滅中に、運転者による操舵制御を検出し、かつ、運転者による操舵制御の方向が自動運転制御による車線変更の方向と一致したと判定した場合に、運転者が操舵したタイミングから第1の点滅時間だけ方向指示器20を点滅させる。具体的に、制御装置100は、点滅中の方向指示器20が左側方向指示器21又は右側方向指示器22のいずれかであるかを判定する。例えば、左側方向指示器21が点滅している場合、制御装置100は、運転者がステアリングホイール32を左側に回せば、回したタイミングから第1の点滅時間だけ左側方向指示器21を点滅させる。第1の点滅回数が3回の場合、制御装置100は、方向指示器20が3回点滅した時点で、運転者による左方向の操舵制御を検出すると、検出したタイミングからさらに3回だけ左側方向指示器21を点滅させる。
【0059】
方向指示器20の点滅中に、運転者が車線変更の方向に操舵する場面としては、行き先を急に変更する必要があり、運転者が車線変更した後も含めて運転した方がよいと判断した場面が挙げられる。上述したように、第1の点滅時間は、運転者の操舵制御による車線変更を想定して定められた時間である。このため、自車両が車線変更を開始した直後に、方向指示器20が消灯する事態を防ぎ、運転者は違和感なく車線変更することができる。
【0060】
一方、方向指示器20の点滅中に、運転者が操舵制御を行わない場合、制御装置100は、自動運転制御により車線変更が可能か否かを判定し、車線変更ができないと判定した場合に、第1の点滅時間を延長しない。この場面では、制御装置100は、方向指示器20に第1の点滅時間を示す点滅信号を出力する。自車両は車線変更することなく同じ車線を走行し、方向指示器20は第1の点滅時間が経過した後に自動的に消灯する。
【0061】
反対に、制御装置100は、自動運転制御により車線変更ができると判定した場合に、方向指示器20の点滅時間を延長する。具体的に、制御装置100は、第1の点滅時間から第2の点滅時間まで点滅時間を延長する。第2の点滅時間とは、第1の点滅時間よりも長い時間であり、方向指示器20が点滅を開始してから自動的に消灯するまでの時間である。
【0062】
第2の点滅時間の設定方法は特に限定されない。制御装置100は、第1の点滅時間から1回の点滅時間(例えば、1秒)を変更することなく、点滅回数を増やして第2の点滅時間としてもよい。第1の点滅回数が3回の場合、例えば、制御装置100は第2の点滅時間として10回を設定する。また、制御装置100は、第1の点滅時間から点滅回数を増やすことなく、1回の点滅時間を増やして第2の点滅時間としてもよい。第1の点滅回数が3回(1回の点滅時間が1秒)の場合、例えば、制御装置100は第2の点滅時間として3回(1回の点滅時間が3秒)を設定する。
【0063】
なお、第2の点滅時間の設定方法として、1回の点滅時間又は点滅回数を変更する構成を例示したがこれに限定されない。例えば、制御装置100は、1回の点滅時間と点滅回数をともに変更して、第2の点滅時間を第1の点滅時間よりも長い時間に設定してもよい。この場合、制御装置100は、1回の点滅時間と点滅時間を乗算して、第2の点滅時間を第1の点滅時間よりも長い時間に設定する。
【0064】
次に、図2のフローチャートに基づいて、本実施形態の制御装置100の動作を説明する。なお、記憶部13には予め第1の点滅時間として、N1回(3回)の点滅回数が記憶されている。
【0065】
図2では、制御装置100により延長された方向指示器20の点滅時間(第2の点滅時間)は、N2〜N5回であらわされる。説明の便宜上、N2回=10回、N3回=6回、N4回=10回、N5=6回として説明するが、これらの回数については、実験を通じて最適な値に設定できる。
【0066】
ステップS101において、制御装置100は、方向指示器20の点滅が開始したか否かを判定する。例えば、運転者が方向指示スイッチ31を操作すると、制御装置100には、操作信号が入力されるため、制御装置100は、操作信号に応じて、方向指示器20が点滅を開始したか否かを判定する。点滅の開始が検出されると、ステップS102に進み、点滅の開始が検出されないと、ステップS101で待機する。
【0067】
ステップS102において、制御装置100は、方向指示器20のワンタッチ機能のオン又はオフさせる。制御装置100は、ステップS101にて方向指示スイッチ31から入力される操作信号に基づいて、方向指示器20のワンタッチ機能をオン又はオフさせる。例えば、運転者が方向指示スイッチ31を中央位置から上側位置又は下側位置まで倒さずに、所定の範囲内だけ上側又は下側に移動させると、制御装置100は、方向指示器20のワンタッチ機能をオンさせる。ワンタッチ機能をオンさせると、ステップS103へ進む。また、例えば、運転者が方向指示スイッチ31を中央位置から上側位置又は下側位置まで倒すと、制御装置100は、方向指示器20のワンタッチ機能をオフさせる。ワンタッチ機能をオフさせると、制御装置100の動作を終了する。
【0068】
ステップS103において、制御装置100は、自車両の走行制御が運転者による操舵制御又は自動運転制御のいずれかであるかを判定する。運転者による操舵制御を検出すると、ステップS115へ進む。また、自動運転制御を検出すると、制御装置100は、自動車線変更機能の有効又は無効を検出する。自動車線変更機能の有効を検出すると、ステップS104に進み、自動車線変更機能の無効を検出すると、ステップS115へ進む。
【0069】
ステップS104において、制御装置100は、点滅中の方向指示器20が左側方向指示器21又は右側方向指示器22のいずれかであるかを判定する。この時、自動運転制御により走行している自車両は車線変更することなく、左側方向指示器21又は右側方向指示器22は点滅している。また、制御装置100は、自動運転制御による車線変更の処理を開始している。点滅中の方向指示器が左側方向指示器21と判定されると、ステップS105へ進む。点滅中の方向指示器が右側方向指示器22と判定されると、ステップS110へ進む。
【0070】
ステップS105において、制御装置100は、方向指示器20の点滅開始から所定時間以内に、運転者による左方向の操舵制御を検出する。所定時間とは、第1の点滅時間と同じ時間、又は第1の点滅時間よりも短い時間であり、例えば、数秒単位の時間(X秒)である。運転者による左方向の操舵制御が検出されないと、ステップS106へ進む。運転者による左方向の操舵制御が検出されると、ステップS109へ進む。
【0071】
ステップS106において、制御装置100は、左側車線へ車線変更が可能か否かを判定する。左側車線とは、自車両が走行している車線の左側に隣接する車線である。左側車線へ車線変更が可能と判定されると、ステップS107に進み、左側車線へ車線変更が不可能と判定されると、ステップS108へ進む。
【0072】
ステップS107において、制御装置100は、点滅中の左側方向指示器21の点滅回数を、N1回(3回)よりも多いN2回(10回)に延長する。制御装置100は、N2回(10回)の点滅時間を示す点滅時間信号を方向指示器20へ出力する。左側方向指示器21の点滅時間を延長すると、制御装置100の動作を終了する。この時、自車両は左側方向指示器21を点滅させながら自動運転制御で走行している。そして、制御装置100は、自動運転制御により左側車線へ車線変更が可能と判定している。制御装置100は、点滅中の左側方向指示器21を、N1回(3回)で自動的に消灯させずに、N2回(10回)まで延長して点滅させる。
【0073】
ステップS108において、制御装置100は、点滅中の左側方向指示器21の点滅回数を変更しない。左側方向指示器21の点滅時間を延長せずに、制御装置100の動作を終了する。この時、自車両は左側方向指示器21を点滅させながら自動運転制御で走行している。しかし、制御装置100は、左側車線への車線変更が不可能と判定している。自動運転制御により車線変更が難しい場面では、点滅回数を不要に延長しない。方向指示器20は、N1回(3回)点滅後に自動的に消灯するため、点滅し続ける方向指示器20に対して、運転者に消灯させることを防ぐことができる。
【0074】
ステップS105で、運転者による左方向の操舵制御が検出されると、ステップS109へ進む。ステップS109において、制御装置100は、点滅中の左側方向指示器21の点滅回数を、N1回(3回)よりも多いN3回(6回)に延長する。制御装置100は、N3回(6回)の点滅時間を示す点滅時間信号を方向指示器20へ出力する。左側方向指示器21の点滅時間を延長すると、制御装置100の動作を終了する。この時、自車両は左側方向指示器21を点滅させながら自動運転制御で走行している。そして、運転者が左側へ操舵し、自車両は運転者による操舵制御により左側へ車線変更を開始しようとしている。
【0075】
なお、N3回(6回)とは、運転者が左側へ操舵したタイミングからN1回(3回)だけ延長した回数である。例えば、運転者が左側方向指示器21の3回目の点滅で、左側に操舵した場合、制御装置100は、運転者が操舵するまでに点滅した3回に、N1回の3回を加算する。制御装置100は、加算結果の6回をN3回として設定する。方向指示器20の点滅回数は、運転者が車線変更を開始するタイミングで、運転者の操舵制御により車線変更を想定して設定されたN1回(3回)だけ増える。方向指示器20が車線変更の途中で消灯することが防がれ、運転者は違和感なく車線変更することができる。
【0076】
ステップS104で、点滅中の方向指示器が右側方向指示器22と判定されると、ステップS110へ進む。ステップS110〜S114は、右側方向指示器22が点滅した場合の制御装置100の動作である。ステップS110〜S114は、上述したステップS105〜ステップS109と、点滅中の方向指示器が異なる点以外は同じステップとなる。
【0077】
ステップS110において、制御装置100は、方向指示器20の点滅開始から所定時間以内に、運転者による右方向の操舵制御を検出する。ステップS110での所定時間は、ステップS105での所定時間と同じ時間(X秒)とする。なお、ステップS110での所定時間は、ステップS105での所定時間と異なる時間でもよい。運転者による右方向の操舵制御が検出されないと、ステップS111へ進む。運転者による右方向の操舵制御が検出されると、ステップS114へ進む。この時、右側方向指示器22は点滅を開始している。
【0078】
ステップS111において、制御装置100は、右側車線へ車線変更が可能か否かを判定する。右側車線とは、自車両が走行している車線の右側に隣接する車線である。右側車線へ車線変更が可能と判定されると、ステップS112に進み、右側車線へ車線変更が不可能と判定されると、ステップS113へ進む。
【0079】
ステップS112において、制御装置100は、点滅中の右側方向指示器22の点滅回数を、N1回(3回)よりも多いN4回(10回)に延長する。制御装置100は、N4回(10回)の点滅時間を示す点滅時間信号を方向指示器20へ出力する。右側方向指示器22の点滅時間を延長すると、制御装置100の動作を終了する。この時、自車両は右側方向指示器22を点滅させながら自動運転制御で走行している。そして、制御装置100は、自動運転制御により右側車線へ車線変更が可能と判定している。制御装置100は、点滅中の右側方向指示器22を、N1回(3回)で自動的に消灯させずに、N4回(10回)まで延長して点滅させる。
【0080】
ステップS113において、制御装置100は、点滅中の右側方向指示器22の点滅回数を変更しない。右側方向指示器22の点滅時間を延長せずに、制御装置100の動作を終了する。この時、自車両は右側方向指示器22を点滅させながら自動運転制御で走行している。しかし、制御装置100は、右側車線へ車線変更が不可能と判定している。
【0081】
ステップS110で、運転者による右方向の操舵制御が検出されると、ステップS114へ進む。ステップS114において、制御装置100は、点滅中の右側方向指示器22の点滅回数を、N1回(3回)よりも多いN5回(6回)に延長する。制御装置100は、N5回(6回)の点滅時間を示す点滅時間信号を方向指示器20へ出力する。右側方向指示器22の点滅時間を延長すると、制御装置100の動作を終了する。この時、自車両は右側方向指示器22を点滅させながら自動運転制御で走行している。そして、運転者が右側へ操舵し、自車両は運転者による操舵制御により右側へ車線変更を開始しようとしている。なお、N5回の説明については、上述したステップS105におけるN3回(6回)の説明を援用する。
【0082】
ステップS103で、運転者による操舵制御を検出すると、ステップS115へ進む。ステップS115において、制御装置100は、点滅中の左側方向指示器21及び右側方向指示器22の点滅回数を変更しない。方向指示器20の点滅回数を延長せずに、制御装置100の動作を終了する。この時、自車両は運転者の操舵制御により走行している。方向指示器20は、運転者の操舵制御による車線変更を想定して定められたN1回(3回)点滅した後に自動的に消灯する。
【0083】
運転者の操舵制御による車線変更の場合、一般的には、運転者は周囲を確認し、車線変更ができる状況で方向指示器20の点滅させる。一方、自動運転制御による車線変更では、運転者は周囲の状況にかかわらず運転者自身が希望するタイミングで、方向指示器20の点滅させて車線変更の処理を開始させることが考えられる。そのため、周囲状況の確認に時間がかかったり、車線変更が可能と判定するまでに時間がかかったりすると、車線変更中に方向指示器20が消灯してしまう可能性がある。しかしながら、本実施形態では、自動運転制御の特性を考慮したうえで点滅回数を設定するので、運転者の操舵制御による車線変更と同様の車線変更ができ、車線変更中に方向指示器20の点滅が消えてしまう可能性を低減できる制御装置100を提供できる。特に、自動運転制御による走行制御と運転者による操舵制御による走行制御のどちらも可能な車両において、消灯タイミングの違いによる運転者の違和感を低減させる点で有利である。
【0084】
以上のように、本実施形態の制御装置100は、ワンタッチ機能を搭載した方向指示器20を制御する。方向指示器20は、運転者が方向指示スイッチ31を操作することで点滅を開始し、運転者による車線変更を想定して定められた第1の点滅時間を経過した後に、自動的に消灯する。制御装置100は、運転者が方向指示スイッチ31を操作することに起因して、自車両が自動運転制御により自動的に車線変更する場合には、第1の点滅時間よりも長い第2の点滅時間まで延長して、方向指示器20を自動的に消灯させる。これにより、運転者が方向指示器20を消灯する操作をする必要もなく、また、方向指示器20を消灯させる複雑な制御も必要なく、方向指示器20は車線変更の場面に適した時間だけ点滅する。その結果、自動的に車線変更することが可能な車両の運転者にかかる負担を、軽減することができる。
【0085】
また、本実施形態の制御装置100は、自車両が自動運転制御により車線変更する場合には、第1の点滅時間中に、カメラ41、レーダ42、又は通信装置43の検出結果に基づいて、自車両が車線変更できるか否かを判定し、自車両が車線変更できると判定した場合には、第1の点滅時間を第2の点滅時間まで延長する。これにより、車線変更中に方向指示器20が消灯してしまい、運転者に方向指示器20が点灯する操作をさせることを防げることができる。
【0086】
さらに、本実施形態の制御装置100は、自車両が自動運転制御により車線変更する場合には、第1の点滅時間中に、舵角センサ44又は姿勢センサ45の検出結果に基づいて、運転者が車線変更の方向に操舵したか否かを判定し、運転者が車線変更の方向に操舵したと判定した場合には、運転者が操舵したタイミングから第1の点滅時間だけ方向指示器20を点滅させる。これにより、方向指示器20は、運転者が車線変更を開始したタイミングに合わせて第1の点滅時間だけ点滅し、その後自動的に消灯する。その結果、運転者に消灯タイミングへの違和感を与えることを抑制できる。
【0087】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0088】
例えば、上述した実施形態において、方向指示器20の点滅させながら自動運転制御により走行中に、制御装置100は、運転者による操舵制御を検出し、かつ、運転者による操舵制御の方向が自動運転制御による車線変更の方向と不一致したと判定した場合に、方向指示器20を消灯させてもよい。これにより、運転者に方向指示器20を消灯する操作をさせることなく、自車両の周囲を走行する他車両に対して、車線変更しない意思表示をすることができる。方向指示器20の点滅中に、運転者が車線変更の方向と反対方向に操舵する場面としては、運転者が車線変更させずに直進した方が良いと判断した場面が挙げられる。
【0089】
また、本明細書では、本発明に係る制御装置の一態様としての制御装置100を含む制御システム1を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0090】
さらに、本明細書では、本発明に係るプロセッサの一態様として、走行制御部11、方向指示器制御部12、記憶部13を含む制御装置100を説明するが、これに限定されるものではない。
【0091】
加えて、本明細書では、本発明に係る方向指示器の一態様として、ワンタッチ機能を備える方向指示器20を説明するが、これに限定されるものではない。
【0092】
また、本明細書では、本発明に係る第1の点滅時間の一態様として、N1回を説明するが、これに限定されるものではない。
【0093】
さらに、本明細書では、本発明に係る第2の点滅時間の一態様として、N2〜N5回を説明するが、これに限定されるものではない。
【0094】
加えて、本明細書では、本発明に係る第1の検出器の一態様として、カメラ41、レーダ42、又は通信装置43を搭載する自車両を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0095】
さらに、本明細書では、本発明に係る第2の検出器の一態様として、舵角センサ44又は姿勢センサ45を搭載する自車両を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0096】
加えて、本明細書では、本発明に係る運転者の操作の一態様として、「ワンタッチ操作」を例にして説明するが、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0097】
1…制御システム
100…制御装置
11…走行制御部
12…方向指示器制御部
13…記憶部
20…方向指示器
21…左側方向指示器
22…右側方向指示器
30…操舵装置
31…方向指示スイッチ
32…ステアリングホイール
33…ステアリングアクチュエータ
40…検出装置
41…カメラ
42…レーダ
43…通信装置
44…舵角センサ
45…姿勢センサ
図1
図2