特許第6952111号(P6952111)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6952111傾斜車両用懸架装置、前輪部および傾斜車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6952111
(24)【登録日】2021年9月29日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】傾斜車両用懸架装置、前輪部および傾斜車両
(51)【国際特許分類】
   B62K 5/10 20130101AFI20211011BHJP
【FI】
   B62K5/10
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-515319(P2019-515319)
(86)(22)【出願日】2017年9月27日
(65)【公表番号】特表2019-529224(P2019-529224A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】IB2017055882
(87)【国際公開番号】WO2018060869
(87)【国際公開日】20180405
【審査請求日】2020年6月3日
(31)【優先権主張番号】102016000097100
(32)【優先日】2016年9月28日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512185877
【氏名又は名称】ピアッジオ・エ・チ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】PIAGGIO & C. S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】オノリーノ・ディ・タンナ
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ・バルトロッツィ
(72)【発明者】
【氏名】マリオ・ドナート・サントゥッチ
【審査官】 伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−171530(JP,A)
【文献】 特表2003−535742(JP,A)
【文献】 特開2007−312596(JP,A)
【文献】 特表2007−514594(JP,A)
【文献】 特表2008−505797(JP,A)
【文献】 特開昭61−146692(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0183484(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 5/10
B62K 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜車両(100)の少なくとも二つの車輪(12L、12R)を有する前輪部または後車軸のための懸架装置であって、
前記傾斜車両(100)のシャーシに関連付けられた本体(14)と、
前記本体(14)に対して反対側にある二つの連結装置(16L、16R)であって、前記連結装置(16L、16R)のそれぞれは、前記傾斜車両(100)の車輪(12L、12R)に関連付けられた、二つの連結装置(16L、16R)とを備え、
前記連結装置(16L、16R)は、結合部材(21L、21R、22L、22R)によって前記本体(14)に結合され、
各連結装置(16L、16R)は、少なくとも第1の結合部材(21L、21)と第1の連結部位(41L、41R)で回転可能に連結された少なくとも第1の構造ジョイント部(31L、31R)、および少なくとも第2の結合部材(22L、22R)と第2の連結部位(42L、42R)で回転可能に連結された少なくとも第2の構造ジョイント部(32L、32R)を備え、
前記懸架装置はさらに、前記連結装置(16L、16R)に関連付けられ、前記車輪(12L、12R)によって伝達される応力を減衰させるのに適した弾性ダンパ部材(24L、24R)を備え、
各連結装置(16L、16R)は、動的ジョイント連結部位(29L、29R)で少なくとも一つの弾性ダンパ部材(24L、24R)に回転可能に連結された、少なくとも一つの動的ジョイント部(28L、28R)を備え、
前記連結装置(16L、16R)は、前記第1の構造ジョイント部(31L、31R)、前記第2の構造ジョイント部(32L、32R)および前記動的ジョイント部(28L、28R)の関連する位置および空間的定位を厳格に決め、
前記懸架装置はさらに、前記本体(14)に、および前記弾性ダンパ部材(24L、24R)に傾斜可能に関連付けられたロッカーアーム(26)を備え、
前記懸架装置はさらに、前記本体(14)に傾斜可能に関連付けられたロッカーアーム(26)を備え、前記弾性ダンパ部材(24L、24R)のそれぞれは、前記ロッカーアーム(26)に関して関節接合された少なくとも一つのアーム(34L、34R)を用いて前記ロッカーアーム(26)に偏心して関連付けられ、
前記ロッカーアーム(26)に関して関節接合された前記アーム(34L、34R)は、アーム連結部位(35L、35R)で前記弾性ダンパ部材(24L、24R)に回転可能に連結され、前記アーム連結部位(35L、35R)は、前記傾斜車両(100)の移動方向(X−X)に関して横方向に向けられたアーム連結軸(K−K)を定める、
懸架装置。
【請求項2】
各連結装置(16L、16R)は、前記傾斜車両(100)の車輪(12L、12R)に関連付けられたハブブラケット(20L、20R)への回転可能な結合のためのステアリングジョイント部(18L、18R)を備え、そのため前記ハブブラケット(20L、20R)は、ステアリング軸(LL、RR)の周りを前記連結装置(16L、16R)に対して自由に回転し、
および/または前記連結装置(16L、16R)は、前記第1の構造ジョイント部(31L、31R)、前記第2の構造ジョイント部(32L、32R)、前記動的ジョイント部(28L、28R)および前記ステアリングジョイント部(18L、18R)の関連する位置および空間的定位を厳格に決める、請求項1に記載の懸架装置。
【請求項3】
前記第1の連結部位(41L、41R)および前記第2の連結部位(42L、42R)は、前記ステアリング軸(L−L、R−R)に整列され、
および/または前記動的ジョイント連結部位(29L、29R)は、前記第1の連結部位(41L、41R)と前記第2の連結部位(42L、42R)とを結ぶ線から所定の距離をとって配置される、請求項に記載の懸架装置。
【請求項4】
前記ロッカーアーム(26)は、少なくとも部分的に箱型の本体の体積の範囲を定める箱型本体を備え、
および/または前記ロッカーアーム(26)および前記ロッカーアーム(26)の前記箱本体に関して関節接合された前記アーム(34L、34R)の少なくとも一つは、付加質量に関連付けられ、前記懸架装置の振動モードに影響を与えるように前記ロッカーアーム(26)の質量を改善するのに適している、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の懸架装置。
【請求項5】
前記第1の結合部材(21L、21R)および前記第2の結合部材(22L、22R)、前記連結装置(16L、16R)並びに前記本体(14)の一部は、関節接合された四角形の運動学的機構を形成する、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の懸架装置。
【請求項6】
前記第1の結合部材(21L、21R)および前記第2の結合部材(22L、22R)は、硬いシャフトであり、
および/または前記第2の結合部材(22L、22R)は、前記第1の結合部材(21L、21R)よりも小さな領域の断面を有する、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の懸架装置。
【請求項7】
傾斜車両(100)のための前輪部(11)であって、前記前輪部(11)は、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の少なくとも一つの懸架装置と、
少なくとも二つの車輪(12L、12R)とを備え、
各車輪(12L、12R)は、前記連結装置(16L、16R)の一つに関連付けられ、
または前記前輪部(11)は、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の少なくとも一つの懸架装置と、
少なくとも二つの車輪(12L、12R)と、
少なくとも二つのハブブラケット(20L、20R)であって、各ハブブラケット(20L、20R)は、前記連結装置(16L、16R)の一つに関連付けられる、少なくとも二つのハブブラケット(20L、20R)とを備え、
各車輪(12L、12R)は、ハブブラケット(20L、20R)に関連付けられる、
前輪部(11)。
【請求項8】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の少なくとも一つの懸架装置を備える傾斜車両(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、懸架装置である。
【0002】
より具体的には、本発明は、互いに向かい合っている少なくとも二つの車輪を備える、傾斜車両用の懸架装置に関する。
【0003】
同様に、本発明は、懸架装置を備える、傾斜車両用前輪部、および懸架装置を備える、傾斜車両用の後車軸、並びに懸架装置を備える、傾斜車両に関する。
【0004】
さらに、本発明は、前輪部、および一つ以上の後方駆動輪を備える、傾斜車両に関する。
【背景技術】
【0005】
自動二輪車またはスクータの操縦性を安全性およびに自動車の路面保持能力に結び付けるのに適している二つの前方操舵輪および一つ以上の後方駆動輪を備える、傾斜車両が、一般的に知られている。そのような車両は、遠心力の作用とバランスをとるためにカーブで傾斜(つまり、ロール)することができる。したがって、そのような車両に設けられた懸架装置は、ロールの間に車輪を路面に接触させ続けるのに十分な剛性があり、同時に、シャーシなどの吊された質量へ車輪によって引き起こされる振動を減衰させるのに適していることが必要である。
【0006】
例えば、仏国特許公開第2993207号(特許文献1)は、大部分が車輪からシャーシへ伝達される振動の大きさを減衰させるように自由に振動するように設けられている、油で満たされた容器からなるダイナミックダンパによって互いに連結され、且つ水平に向けられた単一の弾性部材を備える三輪の傾斜車両の前輪部の独立した車輪用の懸架装置のための解決策を示す。ダンパの振動質量を変化させることで動的減衰周波数を車輪の共振に合わせる能力を有するが、そのような懸架装置構造は、当該システムの有効性が特有の状態に制限されるような多くの欠点を有する。例えば、そのようなシステムは、そのようなダイナミックダンパが現実的に取り得る大きさの制限のため、高速で、激しい凹凸を有する道路に対処するのに適していない。それ故に、そのような解決策は、運転手にとって不十分な快適性を示し、路面上での凹凸によって引き起こされる応力の非効果的な減衰と合わさって、都市の旅行と都市外部の旅行の両方に間、車両の不十分な操作をもたらす。
【0007】
例えば、本出願人による欧州特許第1694555号(特許文献2)は、一対の変形可能な関節接合された四角形の運動学的機構に基づく独立車輪懸架装置を備える二つの前方操舵輪を有する傾斜車両を示す。車両のシャーシに固定された一つの上側クロスメンバに各車輪を接続する二つの弾性ダンパ部材が設けられる。
【0008】
そのような解決策は、多くの点で有利であるが、欠点がないわけではない。実際、弾性ダンパ部材の摺動方向は、ステアリング車軸と一致し、運転状態で、例えば路面の粗さ、障害物の衝撃、ブレーキ動作の少なくともいずれか一つに起因して車輪に与えられる力が、ハンドルバー自体を回転しようとするトルクを発生させることでハンドルバーに伝達されることを必要とする。加えて、車両の移動方向に平行に向けられた車輪に与えられる力の成分は、弾性ダンパ部材のロッドによって車両のシャーシに伝達され、上側クロスメンバに高い曲げ応力を加え、ステアリングの抵抗増大をもたらし、上側クロスメンバがそれらに耐えるために十分に重く、分厚く設計される必要がある。
【0009】
さらに、そのような解決策において、カーブなどでロールするとき、車輪の傾き角度は互いに異なり、路面付着の最適でない利用を伴う。同時に、そのような既知の解決策は、ロール状態下で、カーブの内側の車輪とカーブの外側の車輪との間に不均衡を伴う。これは、カーブにおいて懸架装置の漸進的な剛性を十分に扱うことを不可能にし、吊された質量に伝達される車輪の振動をさせ、特に不規則な、またはでこぼこな路面において、運転手の快適性が不十分となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】仏国特許公開第2993207号
【特許文献2】欧州特許第1694555号
【発明の概要】
【0011】
したがって、従来技術に関して前述された欠点に対する解決策を提供する必要性が、強く感じられる。
【0012】
三つまたはそれ以上の車輪を有する傾斜車両のための懸架装置の解決策であって、ステアリング制御に車輪によって伝達された応力を減衰するのに適し、それによって懸架装置の剛性の減少または取り付け面積の増加をもたらすことのない、解決策を提供する必要性が、強く感じられる。
【0013】
三つまたはそれ以上の車輪を有する傾斜車両のための懸架装置の解決策であって、よく知られている解決策よりも車両を運転しやすくし、それによって運転手の快適性を減少させることのない、または路面保持能力を損なうことのない、解決策を提供する必要性が、強く感じられる。
【0014】
三つまたはそれ以上の車輪を有する車両のための懸架装置の解決策であって、カーブおよびロール状態でさえ、改善された路面保持能力を与えるが一方、効果的な減衰作用、および移動方向を横切る方向により小さな取り付け面積を提供する、解決策を提供する必要性が、強く感じられる。
【0015】
本発明の目的は、従来技術に関して上記した必要性に対する解決策を提供することである。
【0016】
当該目的および他の目的は、請求項1に記載の懸架装置に加えて、請求項9に記載の前輪部、および請求項10に記載の傾斜車両によって得られる。
【0017】
いくつかの好適な実施形態が従属請求項の対象である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明による懸架装置、前輪部および傾斜車両のさらなる特徴および利点が、添付図面に関して、非限定的に与えられている、好ましい実施形態の下記の記載から明らかになる。
【0019】
図1図1は、実施形態による懸架装置を備える、傾斜車両を示し、傾斜車両はロール状態で、凹凸のある路面を走行している、概略的な不等角投影図である。
図2図2は、実施形態による懸架装置を備える、傾斜車両を示し、傾斜車両はロール状態で、凹凸のある路面を走行している、概略的な不等角投影図である。
図3図3は、実施形態による懸架装置を備える、傾斜車両を示し、傾斜車両はロール状態で、凹凸のある路面を走行している、概略的な不等角投影図である。
図4図4は、実施形態による懸架装置を備える、傾斜車両を示し、傾斜車両はロール状態で、凹凸のある路面を走行している、概略的な不等角投影図である。
図5図5は、一実施形態による懸架装置を示す垂直正面図である。
図6図6は、一実施形態による懸架装置を示す垂直正面図である。
図7図7は、一実施形態による、ロール状態下の懸架装置を備える前輪部を示す垂直正面図である。
図8図8は、懸架装置を備える前輪部の一部の不等角投影図である。
図9図9は、一実施形態による、ロール状態下の懸架装置を示す斜視図である。
図10図10は、一実施形態による、ロール状態下の懸架装置を示す斜視図である。
図11図11は、ステアリング制御が概略的に表されている、一実施形態による、ロール状態下で且つ操舵された車輪を備える懸架装置の斜視概略図である。
図12図12は、一実施形態による、ロール状態で且つ操舵された車輪を備える前輪部の斜視概略図である。
図13図13は、運転状態にあるときの、一実施形態によるロール状態での懸架装置を示す垂直正面図である。
図14図14は、運転状態にあるときの、一実施形態によるロール状態での懸架装置を示す垂直正面図である。
図15図15は、運転状態にあるときの、一実施形態によるロール状態での懸架装置を示す垂直正面図である。
図16図16は、運転状態にあるときの、一実施形態によるロール状態での懸架装置を示す垂直正面図である。
図17図17は、実施形態による、懸架装置を示す垂直正面図である。
図18図18は、実施形態による、懸架装置を示す垂直正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
一般的な実施形態によると、前輪部または後車軸のための懸架装置が、傾斜車両100の少なくとも二つの車輪12L、12Rを備えて提供される。
【0021】
用語「傾斜車両(tilting vehicle)」は、例えばカーブなどで、ロール運動を実行するのに適する車両を意味する。
【0022】
一般的な実施形態によると、少なくとも一つの懸架装置を備える傾斜車両100が提供される。
【0023】
傾斜車両100において、車両の移動方向X−Xと実質的に平行な、正中面M−Mが定義される。明確性のために、本明細書および特許請求の範囲において、傾斜車両100の運転手が、正中面M−Mの左または車両の左側に位置されていると見る構成要素は、文字「L」で示される。傾斜車両100の運転手が、正中面M−Mの右または車両の右側に位置されていると見る同様の構成要素は、文字「R」で示される。
【0024】
好ましい実施形態によると、傾斜車両100は、正中面M−Mに関して向かい合い且つ反対側にある二つの車輪12L、12Rを有する三輪の車両である。
【0025】
好ましい実施形態によると、少なくとも二つの車輪12L、12Rは、前輪である。一実施形態によると、少なくとも二つの車輪12L、12Rは、後輪である。一実施形態によると、少なくとも二つの車輪12L、12Rは、駆動輪である。好ましい実施形態によると、少なくとも二つの車輪12L、12Rは、望ましくは電動の、駆動輪である。一実施形態によると、少なくとも二つの車輪12L、12Rは、操舵輪である。
【0026】
懸架装置は、傾斜車両100のシャーシに関連付けられる本体14を備える。好ましい実施形態によると、正中軸は、本体14を通る。
【0027】
懸架装置は、本体14に対して反対側に二つの連結装置16L、16Rを備える。各連結装置16L、16Rは、傾斜車両100の車輪12L、12Rに関連付けられる。一実施形態によると、ハブブラケット20L、20Rは、連結装置16L、16Rを備える一つの部品に設けられてもよく、または連結装置16L、16Rに組み付けられてもよい。一実施形態によると、各車輪12L、12Rは、連結装置16L、16Rに直接連結される。
【0028】
連結装置16L、16Rは、結合部材21L、21R、22L、22Rによって本体14に関節接合される。
【0029】
各連結装置16L,16Rは、少なくとも一つの第1の結合部材21L、21Rに第1の連結部位41L、41Rでロトイダルに連結された少なくとも一つの第1の構造ジョイント部31L、31R、および少なくとも一つの第2の結合部材22L、22Rに第2の連結部位42L、42Rでロトイダルに連結された少なくとも一つの第2の構造ジョイント部32L、32Rを備える。
【0030】
用語「ロトイダルに連結された(rotoidally coupled)」は、少なくとも定義可能な平面で運動の定義可能な軸の周りでの、連結された部材の関連する回転を可能とする連結の種類を意味する。一実施形態において、そのようなロトイダルな連結を提供するために、球面ジョイントが設けられる。一実施形態によると、弾性ブッシングが設けられる。実施形態の変形によると、円筒形ヒンジ、またはユニバーサルジョイント、または寛骨臼形のジョイントが設けられる。
【0031】
一実施形態によると、結合部材21L、21R、22L、22Rは、第1の左側結合部材21Lと、第1の右側結合部材21Rと、第2の左側結合部材22Lと、第2の左側結合部材22Rとを備える。好ましくは、左側結合部材21L、22Lのそれぞれは、本体14にロトイダルに連結され、かつ左側連結部位41L、42Lで左側連結部16Lにロトイダルに連結される。そして好ましくは、右側結合部材21R、22Rのそれぞれは、本体14にロトイダルに連結され、かつ右側連結部位41L、41Rで右側連結装置16Rにロトイダルに連結される。
【0032】
好ましい実施形態によると、第1の左側結合部材21L、左側連結装置16L、第2の左側結合部材22L、および本体14の一部は、左側関節接合運動学的機構を形成する。好ましくは、左側での関節接合された運動学的機構は、関節接合された四角形である。より好ましくは、左側関節接合運動学的機構は、関節接合された平行四辺形である。好ましい実施形態によると、第1の右側結合部材21R、右側連結装置16R、第2の右側結合部材22R、および本体14の一部は、右側関節接合運動学的機構を形成する。好ましくは右側関節接合運動学的機構は、関節接合された四角形である。より好ましくは、右側関節接合運動学的機構は、関節接合された平行四辺形である。
【0033】
好ましい実施形態によると、左側関節接合運動学的機構および右側関節接合運動学的機構の両方は、本体14の同一部分を備える。一実施形態によると、結合部材21L、21R、22L、22Rは、少なくとも二つの本体連結部位43、45で本体14にロトイダルに連結される。好ましくは、二つの本体連結部位43、45の両方は、傾斜車両100の正中面M−Mにある。
【0034】
懸架装置はさらに、連結装置16L、16Rに関連付けられ、車輪12L、12Rによって伝達される応力を弾性的に減衰させるのに適した弾性ダンパ部材24L、24Rを備える。
【0035】
好適には、各連結装置16L、16Rは、少なくとも一つの動的ジョイント部28L、28Rを備える。少なくとも一つの動的ジョイント部28L、28Rは、動的ジョイント連結部位29L、29Rで少なくとも一つの弾性ダンパ部材24L、24Rにロトイダルに連結される。
【0036】
そのような連結装置16L、16Rを設けることは、支持構造的作用が動的減衰作用から分離されることを可能にする。結合部材21L、22L、21R、22R、本体14および連結装置16L、16Rによって表される関節接合運動学的機構(好ましくは関節接合された四角形であり、さらに好ましくは関節接合された平行四辺形である)は、傾斜車両100の本体14と車輪との間に構造的連続性の作用(例えば構造的連続性の作用は、傾斜車両のロール運動を決める)を伝達するが一方、傾斜車両100の車輪によって本体14へ伝達された衝撃を弾性的に減衰できない。同時に、弾性ダンパ部材24L、24Rは、構造的役割から解放される。支持構造的機能と弾性減衰の動的作用とを分離することによって、懸架装置は、非弾性的かつ非減衰なロールを可能とする。
【0037】
さらに好適なように、連結装置16L、16Rは、第1の構造ジョイント部31L、31R、第2の構造ジョイント部32L、32Rおよび動的ジョイント部28L、28Rの関連する位置および空間的定位を厳格に決める。
【0038】
好ましい実施形態によると、各連結装置16L、16Rは、傾斜車両100の車輪12L、12Rに関連付けられたハブブラケット20L、20Rへのロトイダルな結合のためのステアリングジョイント部18L、18Rを備える。そのため、ハブブラケット20L、20Rは、ステアリング軸L−L、R−Rの周りを連結装置16L、16Rに対して自由に回転する。一実施形態によると、連結装置16L、16Rのステアリングジョイント部18L、18Rは、ハブブラケット20L、20Rを連結装置16L、16Rに連結するための、ステアリングピンなどのステアリング締結手段を収容するのに適した、少なくとも部分的にステアリングジョイント空洞の周りを囲むステアリング連結本体を備える。既知の方法で、車輪12L、12Rは、ステアリング作動システムによって少なくとも一つの操舵制御99と関連付けられる。好ましくは、ヒンジ装置16L、16Rは、ステアリング軸L−L、R−Rの方向を定める結合部材21L、21R、22L、22Rによって本体12に関節接合される。一実施形態によると、連結装置16L、16Rは、懸架装置に関連付けられる、傾斜車両100の車輪12L、12Rのキャンバを定める結合部材21L、21R、22L、22Rによって本体12に関節接合される。
【0039】
一実施形態によると、連結装置16L、16Rは、第1の構造ジョイント部31L、31R、第2の構造ジョイント部32L、32R、動的ジョイント部28L、28Rおよびステアリングジョイント部18L、18Rの関連する位置および空間的定位を厳格に決める。
【0040】
そのような連結16L、16Rを設けることは、弾性ダンパ部材24L、24Rの関連位置および関連方向が車輪12L、12Rのステアリング軸L−L、R−Rのものから解放されることを可能にする。これはさらに、懸架装置の累進曲線を形成する上での自由度を提供し、非常に大きな傾き角でのロール状態でさえも傾斜車両100の左右での応答の均一性を確保するためにより容易に最適化され得る。用語「傾き角(lean angle)」は、傾斜車両の正中面M−Mと、傾斜車両100が置かれている路面に直交する方向とによって形成された角度を意味する。
【0041】
弾性ダンパ部材24L、24Rと、ステアリングジョイント部18L、18Rを備える連結装置16L、16Rとの間でロトイダルな結合をさせる動的ジョイント部28L、28Rを設けることで、傾斜車両100の操舵システムから動的減衰作用を分離することが可能となる。したがって、傾斜車両100の少なくとも一つの車輪12L、12Rが障害物に当たったとき、応力は、ステアリング制御99に伝達されない。つまり、ステアリング制御99は、車輪12L、12Rによって被る衝撃から分離され、衝撃は、弾性ダンパ部材によって吸収される。
【0042】
一実施形態によると、本体14の一部は、左右の関節接合運動学的機構の両辺を形成する。したがって、本体14の傾斜運動は、連結装置16L、16Rの、結果としてステアリング軸L−L、R−Rの傾きの変化を引き起こす。
【0043】
一実施形態によると、連結装置16L、16Rは、硬い。一実施形態によると、連結装置は、締結手段によって互いに組み付けられ、かつしっかり固定された部品で作られる。
【0044】
一実施形態によると、連結装置は、ワンピース(一部品)で作られる。このようにして、懸架装置を実現するために製造される部品の数は削減される。
【0045】
好ましい実施形態によると、第1の結合部材21L、21Rおよび第2の結合部材22L、22R、連結装置16L、16R並びに本体14の一部は、関節接合運動学的機構を形成する。好ましい実施形態によると、第1の結合部材21L、21Rおよび第2の結合部材22L、22R、連結装置16L、16R並びに本体14の一部は、平行なアームを備える関節接合運動学的機構を形成する。一実施形態によると、第1の結合部材21L、21Rおよび第2の結合部材22L、22R、連結装置16L、16R並びに本体14の一部は、関節接合された平行四辺形の関節接合運動学的機構を形成する。このようにしてステアリング軸L−L、R−Rは、ロール状態であっても、互いに平行な方向に向けられる。
【0046】
好ましい実施形態によると、第1の結合部材21L、21Rおよび第2の結合部材22L、22Rは、硬いシャフトである。第1の結合部材21L、21Rおよび第2の結合部材22L、22R、連結装置16L、16R並びに本体14の一部によって形成される、減衰部材だけでなく弾性部材も備えない関節接合された四角形の運動学的機構を設けることは、ステアリング軸L−L、R−Rの所定の傾きが一定に保たれることを可能とする。
【0047】
一実施形態によると、第1の結合部材21L、21Rは、既知の類いの懸架装置アームである。一実施形態によると、第2の結合部材22L、22Rは、第1の結合部材21L、21Rよりも小さい断面積を有する。
【0048】
一実施形態によると、アセンブリは、水平回転手段で、特にロッカーアーム結合部位47で、本体14に、および弾性ダンパ部材24L、24Rに傾斜可能に関連付けられたロッカーアーム26を備える。
【0049】
一実施形態によると、ロッカーアーム26は、固定部材(例えば、ねじ部材)によって本体14に固定された二つのプレートを備える。一実施形態によると、ロッカーアーム26は、一部品で作られる。
【0050】
ロッカーアーム26を設けることで、ロッカーアーム26、弾性ダンパ部材24L、24R、連結装置16L、16Rおよび第1の結合部材21L、21Rを備える関節接合された弾性運動学的機構を作ることが可能となる。
【0051】
好ましい実施形態によると、アセンブリは、水平回転手段で本体14に関連付けられたロッカーアーム26を備える。弾性ダンパ部材24L、24Rのそれぞれは、ロッカーアーム26に対する少なくとも一つの関節接合アーム34L、34Rを用いてロッカーアーム26に偏心して関連付けられる。アーム34L、34Rを提供することによって、関節接合された弾性運動学的機構は、ロッカーアーム26、アーム34L、34R、弾性ダンパ部材24L、24R、連結装置16L、16Rおよび第1の結合部材21L、21Rを備える。
【0052】
アーム34L、34Rの設置を通じて、大きな傾き角の場合でさえ、懸架装置の運動学的機構を最適化すること、および圧縮するための弾性ダンパ部材24L、24Rの必要性を減らすことが可能となる。同時に、弾性ダンパ部材の取り付け面積が移動方向を横断する方向で小さく保たれるようにする。実際に、アーム34L、34Rを提供することは、弾性ダンパ部材24L、24Rを車両の正中面M−M(すなわち、車両の中央)に近づける。これは、傾斜車両の弾性ダンパ部材24L、24Rの動作と、ステアリングの動作との間だけでなく、懸架装置の傾斜またはロール運動との干渉を回避させる。したがって、ロッカーアーム26に対して関節接合され、ロッカーアーム26に偏心して関連付けられたアーム34L、34Rを提供することで、傾斜車両100のロールの間、弾性ダンパ部材24L、24Rの変形が防がれ、非減衰ロール運動を得ることを可能とする。これは、ロール状態下の傾斜車両100に改良された安定性を提供する。その結果、傾斜車両100は、カーブでより大きな傾き角を有する。その結果、傾斜車両がカーブでより速い速度を出すことが可能となり、懸架装置100を高性能な傾斜車両100への適用に適したものにする。つまり、少なくとも一つの弾性ダンパ部材は、ロール状態では動作しない。傾斜またはロール中に動作しない弾性ダンパ部材24L、24Rを提供することは、抵抗のないロール運動を得ることを可能とし、傾斜車両100の操縦性を向上させる。さらに、ロール状態で、ロッカーアーム26に対して関節接合されたアーム34L、34Rを提供することで、弾性ダンパ部材24L、24Rの一つは、ロッカーアーム26に対する動きを可能とされ、変形を防ぐ。
【0053】
関節接合された弾性運動学的機構によって提供された弾性減衰の動的作用からの関節接合運動学的機構によって提供された支持構造作用の分離によって、ロッカーアーム26への曲げ荷重は減少し、ロッカーアームが高い曲げ剛性を有さないことを実現させる。この効果は、関節接合されたアーム34L、34Rの有無にかかわらず、すなわち弾性ダンパ部材24L、24Rとロッカーアーム26との間に偏心タイプの関連の有無にかかわらず、生じる。好ましくは、ロッカーアーム26は、既知の解決策と比べて同一の取り付け面積でより軽い。好ましい実施形態によると、ロッカーアーム26は、金属板で作られる。好ましい実施形態によると、ロッカーアーム部材26は、少なくとも部分的に箱型(ボックス型)の本体の体積の範囲を定める箱型本体を備える。好ましくは、箱型本体の体積は、強化部材を有さない。好ましくは、箱型本体の体積は、箱型本体の取り付け面積に含まれる。
【0054】
好ましくは、ロッカーアーム結合部位47は、第1の本体連結部位43と第2の本体連結部位45に関連して並べられる。より好ましくは、第2の本体連結部位45は、第1の本体連結部位43とロッカーアーム結合部位47の間にそれらの連結に沿って配置される。一実施形態によると、第1の本体連結部位43と第2の本体連結部位45の間の距離は、第1の本体連結部位43とロッカーアーム結合部位47の間の距離より短い。
【0055】
一実施形態によると、弾性ダンパ部材24L、24Rは、連結装置16L、16Rよりも長い長手方向の伸縮を有する。
【0056】
好ましい実施形態によると、ロッカーアーム26に関連して関節接合されたアーム34L、34Rは、箱型本体の体積に少なくとも部分的に包含される。つまり、ロッカーアーム26に関連して関節接合されたアーム34L、34Rの少なくとも一部は、ロッカーアーム26の箱型本体の取り付け面積内に包含される。
【0057】
好ましい実施形態によると、ロッカーアーム26に関連して関節接合されたアーム34L、34Rは、アーム連結部位35L、35Rで弾性ダンパ部材24L、24Rにロトイダルに連結される。アーム連結部位35L、35Rは、傾斜車両100の移動方向X−Xに関して横方向に向けられたアーム連結軸K−Kを定める。好ましくは、アーム連結部位35L、35Rは、円筒形ヒンジまたは弾性ブッシングである。このようにして、アーム方向34L、34Rは、傾斜車両100の移動方向X−Xを横断する平面にロッカーアーム26に関してしっかりロックされる。
【0058】
そのようなアーム連結部位35L、35Rを設けることは、弾性ダンパ部材24L、24Rが傾斜車両100の移動方向X−Xに平行な直接荷重の作用を吸収しないようにすることを可能にし、ロッカーアーム26が移動方向X−Xに平行に方向付けられたそのような荷重の作用によって曲がるように荷重をかけられるのを防ぐ。結果として、ロッカーアーム26は、実質的に垂直な直接荷重のみ耐えるような大きさであってもよく、ねじ結合を用いて構造部材によって互いに固定された単純構造(例えば金属の二つの単純な多孔板を提供するもの)を可能にする。これにより、システムの横断寸法を増加させることなく、弾性ダンパ部材24L、24Rの関節接合アーム34L、34Rに適した台座を得ることができる。
【0059】
一実施形態によると、弾性ダンパ部材24L、24Rは、ばね及びダンパを備える。
【0060】
一実施形態によると、アーム34L、34Rは、ロッカーアーム26の端部で関節接合され、弾性ダンパ部材24L、24Rと結合するカンチレバー(片持ち)を形成し、弾性ダンパ部材24L、24Rを本体14により近づける。一実施形態によると、アーム34L、34Rは、ロッカーアーム26の端部で関節接合され、弾性ダンパ部材24L、24Rと結合するカンチレバーを形成し、弾性ダンパ部材24L、24Rを傾斜車両100の正中面M−Mにより近づける。用語「カンチレバー(cantilever)」は、アームが自由端および取り付け根元を有する棚部材を形成することを意味することを意図されているのではなく、アームが弾性ダンパ部材24L、24Rの端を傾斜車両100の正中軸M−Mに運ぶことを示すことを意図されている。
【0061】
一実施形態によると、ロッカーアーム26、およびロッカーアーム部材26の箱のような本体に関して関節接合されたアーム34L、34Rの少なくとも一つは、付加質量に関連付けられ、懸架装置10の振動モードに影響を与えるようにロッカーアーム部材26の質量を改善するのに適している。実際に、弾性減衰の動的作用から支持構造作用を分離することによって、ロッカーアームへの荷重は減少され、ロッカーアームの固形本体の大きさを小さくし、適合可能な又は調節可能なダイナミックダンパを作ることで付加質量をロッカーアームまたはアームに増加的に関連付けることを可能にする。このようにして、アーム34L、34Rを、純粋な強度および剛性の要求に関連することなく、車輪12L、12Rの振動モードに好ましい影響を及ぼすのに適した最適な質量値を得ることを考慮した、大きさにすることが可能である。例えば、約5キログラムが傾斜車両100の各アーム34L、34Rに加えられてもよい。例えば、アーム34L、34Rの質量と、関連付けられた吊るされていない質量との比は、1対1、または1対2であってもよい。

【0062】
一実施形態によると、第1の連結部位41L、41Rおよび第2の連結部位42L、42Rは、ステアリング軸L−L、R−Rに整列される。つまり、ステアリング軸L−L、R−Rまたはその延長は、第1の連結部位41L、41Rおよび第2の連結部位42L、42Rに対応する。一実施形態によると、動的ジョイント連結部位29L、29Rは、第1の連結部位41L、41Rと、第2の連結部位42L、42Rとを結ぶ線から所定の距離をとって配置される。
【0063】
一実施形態によると、懸架装置は、本体14と結合部材21L、21R、22L、22Rとの間の関連方向をロックするのに適したロールロック装置36を備える。つまり、ロールロック装置36は、本体14、連結装置16L、16Rおよび結合部材21L、21R、22L、22Rによって形成される関節接合運動学的機構をロックする。好ましくは、ロールロック装置36は、傾斜車両100が閾値速度よりも低速で前進するとき、および/または駐車状態にあるとき、自動的に作動する。例えば、ロールロック装置36は、ディスクブレーキ装置、またはロックするラチェットギアと協働するラックアンドピニオン装置を備える。ロールロック装置36を提供することで、傾斜車両100の横への転倒を防ぐことができる。
【0064】
一実施形態によると、懸架装置は、傾斜車両100の傾き角がゼロのときに本体14が通る正中面M−Mに関して対称である。つまり、第1の左側結合部材21Lは、第1の右側結合部材21Rと同じ長さであり、第2の左側結合部材22Lは、第2の右側結合部材22Rと同じ長さである。
【0065】
一般的な実施形態によると、前輪部11は、傾斜車両100に設けられる。一実施形態によると、傾斜車両100のための前輪部11は、上記された実施形態のいずれか一つによる少なくとも一つの懸架装置、少なくとも二つの車輪12L、12R、連結装置16L、16Rに関連付けられた少なくとも二つのハブブラケット20L、20Rを備える。各車輪12L、12Rは、ハブブラケット20L、20Rに関連付けられる。
【0066】
好ましくは、車輪12L、12Rは、操舵輪であり、前輪部11は、操舵前輪部である。一実施形態によると、傾斜車両100のための前輪部11は、上記された実施形態のいずれか一つによる少なくとも一つの懸架装置、および連結装置16L、16Rに関連付けられた少なくとも二つの車輪12L、12Rを備える。
【0067】
一実施形態によると、前輪部11は、非操舵前輪部である。
【0068】
好ましい実施形態によると、ハブブラケット20L、20Rは、連結装置16L、16Rのステアリング連結部18L、18Rを含む形状を有する。一実施形態によると、ハブブラケット20L、20Rは、連結装置16L、16Rのステアリングジョイント部18L、18Rを含む実質的に「C」形状の部分を有する。このようにして、ハブブラケット20L、20Rは、弾性ダンパ部材24L、24Rに干渉しないようにステアリング軸L−L、R−Rの周りを回転することができ、一方同時に、第1の結合部材21L、21Rの第1の連結部位41L、41Rが、傾斜車両に十分な地上高を与えるような位置に配置されることを可能にする。
【0069】
一実施形態によると、各ハブブラケット20L、20Rは、関連ブレーキディスク46L、46Rの周辺の縁をまたぐのに適した少なくとも一つのブレーキキャリパ44L、44Rと一体的に関連付けられる。一実施形態によると、各車輪12L、12Rは、スポーク48L、48Rおよびタイヤ49L、49Rを備える。
【0070】
一般的な実施形態によると、上記された実施形態のいずれか一つによる前輪部11を備える傾斜車両100が提供される。
【0071】
好ましい実施形態によると、傾斜車両100は、三つの車輪を備える。一実施形態によると、傾斜車両100は、二つの前輪12L、12Rおよび後方駆動輪を有する三つの車輪を備える。
【0072】
一般的な実施形態によると、傾斜車両100のための後車軸が提供される。傾斜車両100の後車軸は、上記された実施形態のいずれか一つによる少なくとも一つの懸架装置、および連結装置16L、16Rに関連付けられた少なくとも二つの車輪12L、12Rを備える。一実施形態によると、後車軸は、連結装置16L、16Rおよび少なくとも二つの車輪12L、12Rに関連付けられた少なくとも二つのハブブラケット20L、20Rを備える。
【0073】
上記された特徴によって、適用可能な場合は、互いに独立して又は一緒に、特定の実施形態において、上記された相反する要求、および上述された所望の利点を同時に満たす、懸架装置に加えて前輪部および傾斜車両を得ることが可能である。当該要求および利点は、具体的には、以下がある。
吊された質量と吊されていない質量との間の構造荷重の伝達が、減衰される動的荷重の伝達から切り離され得る。
非減衰なロール運動が、それによって弾性減衰作用を断念することなく、得られる。
傾斜車両100のステアリング制御が、傾斜車両100の車輪12L、12Rによって被る衝撃から分離され得る。
弾性ダンパ部材24L、24Rが、傾斜車両100の移動方向X−Xに平行な直接の衝撃から分離され得る。
二つの車輪12L、12Rの関連する空間的定位が、ロックされ得る。
非減衰、かつ抵抗のないロール運動が得られ、傾斜車両100の改善された操作を可能とし得る。
【0074】
上記された実施形態に対して、当業者は、以下の特許請求の範囲から逸脱することなく、不測かつ明確な要求を満たすために、多数の修正、適合、および要素の機能的に同等であるものとの置換を行うことができる。
【符号の説明】
【0075】
L 傾斜車両の左側の構成部品を示す
R 傾斜車両の右側の構成部品を示す
11 前輪部
12 車輪
14 傾斜車両の本体
16 連結装置
18 連結ジョイント部
20 ハブブラケット
21 第1の結合部材
22 第2の結合部材
24 弾性ダンパ部材
26 ロッカーアーム
28 動的ジョイント部
29 動的連結部位
31 第1の構造ジョイント部
32 第2の構造ジョイント部
34 アーム、または関節接合されたアーム
35 アーム連結部位
36 ロールロック装置
38 路面
41 第1の連結部位
42 第2の連結部位
43 第1の本体連結部位
44 ブレーキキャリパ
45 第2の本体連結部位
46 ブレーキディスク
47 ロッカー結合部位
48 スポーク
49 タイヤ
99 ステアリング制御
100 傾斜車両
X−X 車両の進行方向
L−L 左側ステアリング軸
R−R 右側ステアリング軸
K−K 運動のアーム軸
M−M 正中面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図17
図18