特許第6952114号(P6952114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6952114
(24)【登録日】2021年9月29日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】印刷後再加工の方法
(51)【国際特許分類】
   B41C 1/00 20060101AFI20211011BHJP
   B41N 3/00 20060101ALI20211011BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20211011BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20211011BHJP
   B41F 33/00 20060101ALN20211011BHJP
   G03F 7/40 20060101ALN20211011BHJP
【FI】
   B41C1/00
   B41N3/00
   G03F7/20 511
   H04N1/387
   !B41F33/00 290
   !G03F7/40 521
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-526562(P2019-526562)
(86)(22)【出願日】2018年2月13日
(65)【公表番号】特表2020-514097(P2020-514097A)
(43)【公表日】2020年5月21日
(86)【国際出願番号】CN2018076600
(87)【国際公開番号】WO2019157615
(87)【国際公開日】20190822
【審査請求日】2019年5月15日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519172627
【氏名又は名称】洪能文
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】洪能文
【審査官】 長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−121746(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102463735(CN,A)
【文献】 特開2015−110323(JP,A)
【文献】 特開2010−105394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41C 1/00−3/08
B41N 1/00−3/08
B41F 31/00−33/18
G03F 7/20−7/42
H04N 1/387
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷後再加工の方法であって、
以下のステップを含み、
ステップS1:ベーシックパターンを被加工品上に形成し、
ステップS2:画像採集ユニットを通して、前記ベーシックパターンの電子イメージを取得し、
ステップS3:前記画像採集ユニットと電気的に接続するコンピューターを通して加工図案の絶対位置情報を校正することで、前記電子イメージに対応して加工版が形成され、前記加工版は、前記電子イメージに対応する再加工エリアを有し、
ステップS4:前記被加工品を前記コンピューターと電気的に接続する加工処理ユニット中に送り入れ、前記加工版の前記再加工エリアと前記被加工品の位置に対応し、加工を行い、
前記ステップS1中において、前記ベーシックパターンの形成方法は、平版印刷及びスクリーン印刷で組成されるグループより選択することを特徴とする、
印刷後再加工の方法。
【請求項2】
前記ステップS2中において、前記画像採集ユニットは、スキャンの方法を利用して前記電子イメージを取得することを特徴とする、請求項1に記載の印刷後再加工の方法。
【請求項3】
印刷後再加工の方法であって、
以下のステップを含み、
ステップS1:ベーシックパターンを被加工品上に形成し、
ステップS2:画像採集ユニットを通して、前記ベーシックパターンの電子イメージを取得し、
ステップS3:前記画像採集ユニットと電気的に接続するコンピューターを通して加工図案の絶対位置情報を校正することで、前記電子イメージに対応して加工版が形成され、前記加工版は、前記電子イメージに対応する再加工エリアを有し、
ステップS4:前記被加工品を前記コンピューターと電気的に接続する加工処理ユニット中に送り入れ、前記加工版の前記再加工エリアと前記被加工品の位置に対応し、加工を行い、
記ステップS3中に、さらに以下のステップを含み、
ステップS3A:前記コンピューターにより前記加工図案を校正し前記被加工品に対応させ、
ステップS3B:前記加工版上に、フォトレジストと図形化バリア層が順番に形成され、前記加工版はスクリーン版で、
ステップS3C:前記フォトレジストに対して、エッチングを行って図形化シールドが形成され、前記図形化シールドは、前記加工図案に対応する再加工エリアを有することを特徴とする
刷後再加工の方法。
【請求項4】
前記ステップS3B中において、前記図形化バリア層は、スプレーの方法を利用して形成されることを特徴とする、請求項に記載の印刷後再加工の方法。
【請求項5】
前記ステップS3B中において、前記フォトレジストの材質は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソプレンゴム及びその組合せで組成されるグループより選択することを特徴とする、請求項に記載の印刷後再加工の方法。
【請求項6】
前記ステップS4中に、さらに以下のステップを含み、ステップS4A:前記被加工品を前記加工処理ユニット中に送り入れ、前記加工処理ユニットは、前記加工版の前記再加工エリアと前記被加工品に、加工位置の対応定位を行い、ステップS4B:塗料を、前記図形化シールド上に塗布し、前記塗料は、前記図形化シールドと前記加工版を通して、前記加工図案を前記被加工品上に形成することを特徴とする、請求項に記載の印刷後再加工の方法。
【請求項7】
印刷後再加工の方法であって、
以下のステップを含み、
ステップS1:ベーシックパターンを被加工品上に形成し、
ステップS2:画像採集ユニットを通して、前記ベーシックパターンの電子イメージを取得し、
ステップS3:前記画像採集ユニットと電気的に接続するコンピューターを通して加工図案の絶対位置情報を校正することで、前記電子イメージに対応して加工版が形成され、前記加工版は、前記電子イメージに対応する再加工エリアを有し、
ステップS4:前記被加工品を前記コンピューターと電気的に接続する加工処理ユニット中に送り入れ、前記加工版の前記再加工エリアと前記被加工品の位置に対応し、加工を行い、
記ステップS3中において、前記加工版は平版、箔押し版、エンボス版、カッティング版中の任意の一種であることを特徴とする
刷後再加工の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷方法に関し、特に印刷後再加工の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷術は中国古代四大発明の一つである。
それは、画像或いは文字原稿を迅速大量に複製する技術であり、印刷術は人類に近代文明をもたらした。
印刷術が発明されるまでは、知識の伝播は主に人力による模写だったが、時間と労力がかかり、誤りが生じやすかった。
印刷により文書を大量に複製することで、知識が広く伝播されるようになった。
【0003】
現在、印刷は平版印刷、凸版印刷、凹版印刷及びスクリーン印刷等に分類される。
印刷の第一歩は製版で、後に印刷を行う。
製版時には、焼き付けプロセスを行い、版上に図案を形成する。
特許文献1に開示する「スクリーン版フィルム密着ジグ」は、光透過底台、定位ピン、透明プラットフォームを有する。
透明プラットフォーム上には、定位ラインを描き、定位ピンを利用して、スクリーン版を光透過底台上に定位し、後にネガフィルムに密着させ、露光、エッチング等技術を用いて完成させる。
【0004】
この種の方法では、先に定位ラインを描くが、人手を利用して位置合わせレイアウトを行う必要があり、位置合わせ上の誤差が生じやすく、印刷の正確性を低下させてしまい、しかも位置合わせに時間がかかる。
この他、ネガフィルム露光の方法を利用しなければ製版できないため、ネガフィルム材料を大量に消費し、印刷コストが増大すると言う問題もある。
よって、いかにして正確性を高め、位置合わせ時間を短縮し、コストを低下させるかは、一大課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国実用新案第CN202948248号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記先行技術には、人手によるため印刷の正確性が低く、位置合わせに時間がかかり、またネガフィルム材料を大量に消費し印刷コストを拡大すると言う欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は印刷の正確性が低く、位置合わせに時間がかかり、コストが高いと言う従来の技術に存在する問題を解決できる印刷後再加工の方法に関する。
【0008】
本発明による印刷後再加工の方法は、以下のステップを含む。
ステップS1:ベーシックパターンを被加工品上に形成する。
ステップS2:画像採集ユニットを通して、該ベーシックパターンの電子イメージを取得する。
ステップS3:該画像採集ユニットと電気的に接続するコンピューターを通して加工図案の絶対位置情報を校正することで、該電子イメージに対応して加工版が形成され、該加工版は、該電子イメージに対応する再加工エリアを有する。
ステップS4:該被加工品を該コンピューターと電気的に接続する加工処理ユニット中に送り入れ、該加工版の該再加工エリアと該被加工品の位置に対応し、加工を行う。
ステップS1中において、該ベーシックパターンの形成方法は、平版印刷及びスクリーン印刷で組成されるグループより選択する。
ステップS2中において、該画像採集ユニットは、スキャンの方法を利用して該電子イメージを取得する。
ステップS3中には、さらに以下のステップを含む。
ステップS3A:該コンピューターにより該加工図案を校正し該被加工品に対応させる。
ステップS3B:該加工版上に、フォトレジストと図形化バリア層が順番に形成され、該加工版はスクリーン版である。
ステップS3C:該フォトレジストに対して、エッチングを行って図形化シールドが形成され、該図形化シールドは、該加工図案に対応する再加工エリアを有する。
ステップS3B中において、該図形化バリア層は、スプレーの方法を利用して形成される。
ステップS3B中において、該フォトレジストの材質はフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソプレンゴム或いはその組合せである。
ステップS4中には、さらに以下のステップを含む。
ステップS4A:該被加工品を該加工処理ユニット中に送り入れ、該加工処理ユニットは、該加工版の該再加工エリアと該被加工品に、加工位置の対応定位を行う。
ステップS4B:塗料を、該図形化シールド上に塗布し、該塗料は、該図形化シールドと該加工版を通して、該加工図案を該被加工品上に形成する。
ステップS3中において、該加工版は、平版、箔押し版、エンボス版、カッティング版の任意の一種より選択する。
【0009】
本発明の効果は、以下の通りである。
本発明はコンピューター校正により、人手による伝統的なレイアウトの代わりになることで、印刷の正確性が高められ、時間の浪費を減らせ、しかもネガフィルムの使用を回避できるため、製造コストを効果的に引き下げられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明実施形態のフローチャートである。
図2】本発明実施形態の機能ブロックチャートである。
図3A】本発明実施形態の製作フローチャートである。
図3B】本発明実施形態の製作フローチャートである。
図3C】本発明実施形態の製作フローチャートである。
図3D】本発明実施形態の製作フローチャートである。
図3E】本発明実施形態の製作フローチャートである。
図3F】本発明実施形態の製作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(一実施形態)
図1図3Fに示す通り、本発明による印刷後再加工の方法は、以下のステップを含む。
ステップS1:図3A及び図3Bに示す通り、先ずベーシックパターン60を被加工品10上に形成する。
ベーシックパターン60を形成する方法は、平版印刷或いはスクリーン版印刷等である。
図3B図3A中のA−A位置の断面図に示す通り、ベーシックパターン60の厚みは被加工品10より極めて薄いが、説明を簡単に示すためにその厚みは厚めに図示する。
本実施形態中では、ベーシックパターン60は“中”の文字を例として説明する。
【0012】
ステップS2:画像採集ユニット70を通して、ベーシックパターン60の電子イメージを取得する。
図2に示す通り、この実施形態中では、画像採集ユニット70はスキャンの方法を利用して電子イメージを取得するが、写真等の方法を用いて完成することもでき、これに限定されない。
【0013】
ステップS3:図2に合わせて図3C及び図3Dに示す通り、画像採集ユニット70は、コンピューター80に電気的に接続する。
コンピューター80校正の方法を通して、加工図案20の絶対位置情報を校正し、電子イメージに対応し、加工版40上に形成する。
加工版40は、電子イメージに対応する再加工エリア41を有する。
加工版40はスクリーン版、平版、箔押し版、エンボス版、カッティング版等で、この実施形態中では、スクリーン版を例として説明する。
コンピューター80校正の方法を通して、印刷の正確性が高められ、レイアウトの時間とネガフィルムの使用を減らすことができる。
ステップS1中、平版印刷の方法で製作する場合には、被加工品10(通常は紙或いは布)が熱伸縮を受け僅かに変形し、長さ或いは幅がいくらか変化するため、直接再加工を行う場合には、位置合わせ不正確の問題が生じる。
よって、ステップS3を利用して位置確認を行う必要がある。
この他、このステップ中には、以下のステップを含むことで、目的を達成する。
【0014】
ステップS3A:コンピューター80により加工図案20を校正し、被加工品10に対応させる。
【0015】
ステップS3B:校正後に、対応する加工版40を形成する。
図3Cに示す通り、加工版40上に、フォトレジスト32と図形化バリア層33が順番に形成される。
図形化バリア層33は、スプレーの方法を利用して形成され、さらにインクジェット技術(ink jet)の方法で、精細スプレーの効果を達成する。
これによって、形成された図形化バリア層33はより精細となる。
本実施形態中では、フォトレジスト32の材質は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソプレンゴム或いはその組合せ等である。
【0016】
ステップS3C:図3Dに示す通り、フォトレジスト32に対して露光を行う。
本実施形態中では、フォトレジスト32はポジティブフォトレジストであり、照射されるフォトレジスト32が軟化されるが、フォトレジスト32もネガティブフォトレジストを使用でき、これに限定されない。
さらに、フォトレジスト32に対して、エッチングを行い、軟化されたフォトレジスト32及び図形化バリア層33を除去して図形化シールド30を形成する。
図形化シールド30は、加工図案20に対応する再加工エリア41を有する。
【0017】
ステップS4:最後に、図3Eに示す通り、被加工品10をコンピューター80と電気的に接続する加工処理ユニット90中に送り入れる。
加工処理ユニット90は、加工版40と被加工品10の位置に対応し、被加工品10に対して加工を行う。
本実施形態のスクリーン印刷中には、以下のステップを含む。
【0018】
ステップS4A:被加工品10を加工処理ユニット90中に送り入れる。
加工処理ユニット90は、加工版40の再加工エリア41と被加工品10に、加工位置の対応定位を行う。
【0019】
ステップS4B:塗料50を、図形化シールド30上に塗布する。
塗料50は、図形化シールド30と加工版40を通して、加工図案20を被加工品10上に形成する。
その後、図3Fに示す通り、加工版40を取り除く。
加工図案20は、加工版40に対応して一定の厚みを有し、正面から見れば、図3Aと相同であるが、指で触れれば、厚みの差が感じられる。
図中の厚みは、説明を簡単に示すために厚めに図示する。
【0020】
別の実施形態では、加工版40はコンピューター80中のデジタル版である。。
ベーシックパターン60の電子イメージを取得し、コンピューター80を通して校正すれば、コンピューター80中にデジタル版が形成される。
被加工品10を加工処理ユニット90に送り入れた後、直接デジタル版に対応してスプレーすれば、加工版40を実際に製作する必要はなく、コストを低下させ、生産効率を高めることができる。
【0021】
上記を総合すると、本発明は以下の特徴を備える。
1.コンピューター校正により、人手による伝統的なレイアウトの代わりになることで、印刷の正確性が高められ、時間の浪費及びネガフィルムの使用を減らすことができる。
2.スプレーの方法で図形化バリア層を形成することで、その精細度を高め、しかも図形化バリア層製作のコストを効果的に低下させられる。
3.伝統的なネガフィルムを用いた露光動作は不要で、ネガフィルムの消耗を節約でき、さらなるコスト削減ができる。
4.スキャンの方法を利用して予めベーシックパターンの位置を確認し、コンピューターを通して被印刷位置を確認し校正を行うことでスクリーン印刷の位置を確実にベーシックパターンの位置に対応させられ、印刷誤差の問題を回避できる。
【0022】
前述した本発明の実施形態は本発明を限定するものではなく、よって、本発明により保護される範囲は特許請求の範囲を基準とする。
【符号の説明】
【0023】
10 被加工品
20 加工図案
30 図形化シールド
32 フォトレジスト
33 図形化バリア層
40 加工版
41 再加工エリア
50 塗料
60 ベーシックパターン
70 画像採集ユニット
80 コンピューター
90 加工処理ユニット
S1〜S4、S3A〜S3C、S4A、S4B ステップ
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F