【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者らは、コミュニケーションシート式車両について検討した。コミュニケーションシート式車両は、キャビン空間に乗客が乗り降りする。また、コミュニケーションシート式車両は、エンジンやバッテリ等の駆動源または操舵機構等の重量物を有する。コミュニケーションシート式車両において、乗客や重量物である駆動源または操舵機構等の応力を受ける構造の剛性を確保することが必要である。
【0009】
本願発明者らは、応力を受ける構造として、例えばパイプなどの棒状部材の車体フレームを採用することを検討した。車体フレームは、乗客が乗車した際、特に床面を支える床フレームに荷重がかかる。なお、床フレームは、車体フレームに含まれる。そこで、車体フレームは、乗客の荷重がかかる床フレームの剛性を確保することが求められる。床フレームの剛性を確保するためには、床フレームを構成する棒状部材が太くすることが考えられる。しかしながら、床フレームを構成する棒状部材を太くすると、床フレームの厚みが厚くなる。床フレームの厚みが厚くなると、キャビン空間の床面が高くなる。キャビン空間の床面が高くなると、コミュニケーションシート式車両に乗り降りしにくくなる。
【0010】
また、コミュニケーションシート式車両において、コミュニケーションシートを配置するための広いキャビン空間と、乗り降りしやすい広い乗降口とを確保する必要がある。そのために、重量物である駆動源または操舵機構等は、キャビン空間より車両前後方向の前方向または後方向に配置される。キャビン空間は、車体フレームの内部に配置される。そこで、車体フレームは、車両前後方向におけるキャビン空間の前方向または後方向に配置された重量物である駆動源または操舵機構の少なくとも一方の一部を支える車体フレームの車両前後方向の前部および後部の剛性を確保することが必要である。
【0011】
そこで、本願発明者らは、コミュニケーションシート式車両において、乗り降りのしやすさを高めることができる剛性を確保した車体フレームの形状を考えた。そして、本願発明者らは、前後、左右、上下の12本のフレームで構成された車体フレームについて、車両左右方向の左部および右部に設けられる左右フレーム同士をつなぐ横フレームを車両前後方向の前部および後部に設けて、車両前後方向の前部および後部の少なくともいずれかにおける車体フレームをH形フレームにすることを考えた。また、本願発明者らは、車体フレームの少なくともいずれかを車両左右方向に見て逆台形の形状にすることを考えた。なお、逆台形とは、上辺が下辺より長い台形状である。車両左右方向に見て少なくともいずれかが逆台形の形状である車体フレームは、前部のH形フレームの上部が下部より前方向、または、後部のH形フレームの上部が下部より前方向に配置される。
【0012】
車体フレームの車両前後方向の少なくとも前部および後部をH形フレームにすることにより、キャビン空間の車両前後方向の前方向および後方向に配置された駆動源または操舵機構を支える車体フレームの車両前後方向の少なくとも前部または後部の剛性を確保することができる。車両左右方向に見て車体フレームの少なくとも前部または後部を逆台形の形状にすることで、下部の4本のフレームで構成される床フレームの車両前後方向の長さを短くでき、かつ、上部の4本のフレームで構成される天井フレームの車両前後方向の長さを長くできる。床フレームの前後長さを短くしたことで、床フレームを構成する棒状部材を細くしても、必要な剛性を確保できる。床フレームを構成する棒状部材が細いため、コミュニケーションシート式車両の床面を低くできる。そして、コミュニケーションシート式車両の乗り降りのしやすさを高めることができる。以上から、コミュニケーションシート式車両において、車体フレームの車両前後方向の少なくとも前部または後部をH形フレームにして、車両左右方向に見て車体フレームの少なくとも前部または後部を逆台形の形状にすることで、車体フレームの剛性を確保しつつ、乗り降りのしやすさを高めることができることがわかった。
【0013】
(1)本発明のコミュニケーションシート式車両は、車両内部に配置され、乗客同士が顔を見ながら会話できるような位置に乗客を着座可能に構成されたコミュニケーションシートと、2つの前輪と前記2つの前輪より車両前後方向の後方向にある2つの後輪を含む4つの車輪と、前記4つの車輪の少なくとも一つに駆動力を付与する駆動源と、前記4つの車輪の少なくとも一つを操舵する操舵機構と、前記2つの前輪の前端と前記2つの後輪の後端の間に少なくとも一部が配置され、乗客を収容する車両内部のキャビン空間を内部に配置する車体フレームと、を備え、車両前後方向の前方向を進行方向として走行可能なコミュニケーションシート式車両であって、前記車体フレームが、(A)(a−1)車両前後方向に並び、それぞれ車両左右方向に沿った2本の天井横フレーム、(a−2)前記2本の天井横フレームの右部をつなぐ天井右フレーム、および、(a−3)前記2本の天井横フレームの左部をつなぐ天井左フレームを含む天井フレームと、(B)(b−1)車両前後方向に並び、それぞれ車両左右方向に沿った2本の床横フレーム、(b−2)前記2本の床横フレームの右部をつなぐ床右フレーム、および、(b−3)前記2本の床横フレームの左部をつなぐ床左フレームを含み、前記天井フレームの下方向に配置された床フレームと、(C1)(c−1)車両左右方向に並び、それぞれ車両上下方向に沿っており、それぞれの上部が前記天井フレームの前部に接続されており、それぞれの下部が前記床フレームの前部に接続されている2本の前柱、および、(c−2)それぞれの上部がそれぞれの下部より前方向にある前記2本の前柱同士をつなぎ、その前方向に配置される前記駆動源または前記操舵機構の少なくとも一方の一部を支持する前中間横フレームを含む前H形フレームと、(D1)(d−1)車両左右方向に並び、それぞれ車両上下方向に沿っており、それぞれの上部が前記天井フレームの後部に接続されており、それぞれの下部が前記床フレームの後部に接続されている2本の後柱を含む後フレームと、を有する前H形フレーム構造を有することを特徴とする。
【0014】
この構成によると、コミュニケーションシート式車両は、コミュニケーションシートと、4つの車輪と、駆動源と、操舵機構と、車体フレームとを備える。コミュニケーションシートは、車両内部に配置される。コミュニケーションシートは、乗客同士が顔を見ながら会話できるような位置に乗客を着座可能に構成される。コミュニケーションシートは、複数の乗客がシートに着座可能に構成されたシートである。コミュニケーションシートは、一人の乗客が着座してもよいし、複数の乗客が着座してもよい。コミュニケーションシートは、着座した複数の乗客が向かい合う状態と、着座した複数の乗客が同じ方向に向く状態とに変化できるように構成されていてもよい。但し、コミュニケーションシートには、着座した複数の乗客が同じ方向にしか向かない状態で固定されているものは含まれない。4つの車輪は、2つの前輪と2つの後輪を含む。2つの後輪は、2つの前輪より車両前後方向の後方向にある。駆動源は、4つの車輪の少なくとも一つに駆動力を付与する。操舵機構は、4つの車輪の少なくとも一つを操舵する。車体フレームは、車両前後方向における2つの前輪の前端と2つの後輪の後端の間に少なくとも一部が配置される。車体フレームは、車両内部にある。車体フレームは、キャビン空間を内部に配置する。キャビン空間は、乗客を収容する空間であって、車両内部にある。コミュニケーションシート式車両は、車両前後方向の前方向を進行方向として走行可能である。進行方向は、通常使用時に車輪の回転によりコミュニケーションシート式車両が進む方向であり、一時的な車輪の逆回転によりコミュニケーションシート式車両が進む方向は含まない。コミュニケーションシート式車両がスイッチバック可能車両(Bi-directional vehicle)の場合は、進行方向は、車輪の逆回転により、車両前後方向の後方向に変更可能である。
【0015】
車体フレームは、前H形フレーム構造を有する。前H形フレーム構造は、(A)天井フレームと、(B)床フレームと、(C1)前H形フレームと、(D1)後フレームとを有する。(A)天井フレームは、(a−1)2本の天井横フレーム、(a−2)天井右フレーム、(a−3)天井左フレームを含む。2本の天井横フレームは、車両前後方向に並び、それぞれ車両左右方向に沿って配置される。天井右フレームは、2本の天井横フレームの右部をつなぐ。天井左フレームは、2本の天井横フレームの左部をつなぐ。(B)床フレームは、(b−1)2本の床横フレーム、(b−2)床右フレーム、(b−3)床左フレームを含む。床フレームは、天井フレームの下方向に配置される。2本の床横フレームは、車両前後方向に並び、それぞれ車両左右方向に沿って配置される。床右フレームは、2本の床横フレームの右部をつなぐ。床左フレームは、2本の床横フレームの左部をつなぐ。(C1)前H形フレームは、(c−1)2本の前柱と、(c−2)前中間横フレームとを含む。2本の前柱は、乗降口より前方向に位置し、車両左右方向に並んでいる。2本の前柱は、それぞれ車両上下方向に沿って配置される。2本の前柱は、それぞれの上部が天井フレームの前部に接続されており、それぞれの下部が床フレームの前部に接続されている。前中間横フレームは、それぞれの上部がそれぞれの下部より前方向にある2本の前柱同士をつなぐ。前中間横フレームは、前中間横フレームの前方向に配置される重量物である駆動源または操舵機構の少なくとも一方の一部を支持する。(D1)後H形フレームは、(d−1)2本の後柱を含む。2本の後柱は、乗降口より後方向に位置し、車両左右方向に並んでいる。2本の後柱は、それぞれ車両上下方向に沿って配置される。2本の後柱は、それぞれの上部が天井フレームの後部に接続されており、それぞれの下部が床フレームの後部に接続されている。
前H形フレーム構造を有する車体フレームは、前中間横フレームを含む前H形フレームを有する。これにより、前中間横フレームが、車体フレームの車両前後方向の前方向に配置された重量物である駆動源または操舵機構の少なくとも一方の一部を支持することができる。つまり、前H形フレームが、車体フレームの車両前後方向の前部の剛性を確保することができる。また、前H形フレームの車両上下方向の上部が下部より前方向に配置される。このように車体フレームを配置することで、床フレームの車両前後方向の長さを短くでき、かつ、天井フレームの車両前後方向の長さを長くできる。床フレームの車両前後方向の長さを短くしたことで、床フレームを構成する棒状部材を細くしても、車体フレームに必要な剛性を確保できる。床フレームを構成する棒状部材が細いと、床フレームが支える床面を低くできる。そして、乗客が例えば車いすに乗っている場合や老人であった場合でも、コミュニケーションシート式車両に乗り降りしやすくなる。
以上から、本発明のコミュニケーションシート式車両は、車体フレームの剛性を確保しつつ、乗り降りのしやすさを高めることができる。
【0016】
(2)本発明の1つの観点によると、本発明のコミュニケーションシート式車両は、上記(1)の構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記車体フレームは、前記前H形フレーム構造を有するか、(A)前記天井フレームと、(B)前記床フレームと、(C2)(c−1)前記2本の前柱を含む前フレームと、(D2)(d−1)前記2本の後柱、および、(d−2)それぞれの上部がそれぞれの下部より後方向にある前記2本の後柱同士をつなぎ、その後方向に配置される前記駆動源または前記操舵機構の少なくとも一方の一部を支持する後中間横フレームを含む後H形フレームと、を有する後H形フレーム構造を有するか、(A)前記天井フレームと、(B)前記床フレームと、(C1)前記前H形フレームと、(D2)前記後H形フレームと、を有する前後H形フレーム構造を有する。
【0017】
この構成によると、車体フレームは、前H形フレーム構造、後H形フレーム構造、または前後H形フレーム構造のいずれかの構造を有する。
後H形フレーム構造は、(A)天井フレームと、(B)床フレームと、(C2)前フレームと、(D2)後H形フレームとを有する。前後H形フレーム構造は、(A)天井フレームと、(B)床フレームと、(C1)前H形フレームと、(D2)後H形フレームとを有する。(C2)前フレームは、(c−1)2本の前柱を含む。(D2)後H形フレームは、(d−1)2本の前柱と、(d−2)後中間横フレームとを含む。(d−2)後中間横フレームは、それぞれの上部がそれぞれの下部より後方向にある2本の後柱同士をつなぐ。後中間横フレームは、その後方向に配置される駆動源または操舵機構の少なくとも一方の一部を支持する。
後H形フレーム構造を有する車体フレームは、後中間横フレームを含む後H形フレームを有する。これにより、後中間横フレームが、車体フレームの車両前後方向の後方向に配置された重量物である駆動源または操舵機構の少なくとも一方の一部を支持することができる。つまり、後H形フレームが、車体フレームの車両前後方向の後部の剛性を確保することができる。また、後H形フレームの車両上下方向の上部が下部より後方向に配置される。このように車体フレームを配置することで、床フレームの車両前後方向の長さを短くでき、かつ、天井フレームの車両前後方向の長さを長くできる。床フレームの車両前後方向の長さを短くしたことで、床フレームを構成する棒状部材を細くしても、車体フレームに必要な剛性を確保できる。床フレームを構成する棒状部材が細いと、床フレームが支える床面を低くできる。そして、乗客が例えば車いすに乗っている場合や老人であった場合でも、コミュニケーションシート式車両に乗り降りしやすくなる。
前後H形フレーム構造を有する車体フレームは、前中間横フレームを含む前H形フレームと、後中間横フレームを含む後H形フレームを有する。これにより、前中間横フレームおよび後中間横フレームが、車体フレームの車両前後方向の前方向および後方向に配置された重量物である駆動源または操舵機構の少なくとも一方の一部を支持することができる。つまり、前H形フレームおよび後H形フレームが、車体フレームの車両前後方向の前部および後部の剛性を確保することができる。また、前H形フレームの車両上下方向の上部が下部より前方向に配置される。後H形フレームの車両上下方向の上部が下部より後方向に配置される。このように車体フレームを配置することで、床フレームの車両前後方向の長さをより短くでき、かつ、天井フレームの車両前後方向の長さをより長くできる。床フレームの車両前後方向の長さをより短くしたことで、床フレームを構成する棒状部材を細くしても、車体フレームに必要な剛性をより確保できる。床フレームを構成する棒状部材が細いと、床フレームが支える床面を低くできる。そして、乗客が例えば車いすに乗っている場合や老人であった場合でも、コミュニケーションシート式車両に乗り降りしやすくなる。
以上から、本発明のコミュニケーションシート式車両は、車体フレームの剛性をより確保しつつ、乗り降りのしやすさをより高めることができる。
【0018】
(3)本発明の1つの観点によると、本発明のコミュニケーションシート式車両は、上記(1)または(2)の構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記コミュニケーションシートは、着座したときの乗客が車両前方向を向く後シートアセンブリ、着座したときの乗客が車両後方向を向く前シートアセンブリ、着座したときの乗客が車両左方向を向く右シートアセンブリ、および着座したときの乗客が車両右方向を向く左シートアセンブリの少なくともいずれかの2つ以上のシートアセンブリを含む。
【0019】
この構成によると、コミュニケーションシートに、着座した複数の乗客が同じ方向にしか向かない状態で固定されたシートアセンブリは含まれない。つまり、コミュニケーションシートは、乗客同士が顔を見ながら会話できるような位置に乗客を着座可能に構成される。
【0020】
(4)本発明の1つの観点によると、本発明のコミュニケーションシート式車両は、上記(1)〜(3)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記コミュニケーションシートは、着座可能な乗客の最大数が6人以下であることが好ましい。
【0021】
この構成によると、乗り降りのしやすさを高めつつ、コミュニケーションシート式車両に乗車した乗客が、乗客同士が顔を見ながら会話できるようにコミュニケーションシートに着座することができる。
【0022】
(5)本発明の1つの観点によると、本発明のコミュニケーションシート式車両は、上記(1)〜(4)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記コミュニケーションシート式車両は、前記車体フレームの上部の少なくとも一部を覆う車体カバーをさらに備えることが好ましい。
【0023】
この構成によると、車体フレームの上部の少なくとも一部が車体カバーで覆われており、キャビン空間への雨や風等の侵入を防止することができる。そのため、乗客はコミュニケーションシート式車両に乗り降りしやすくなる。これにより、車体フレームの剛性を確保しつつ、乗り降りのしやすさを高めることができる。
【0024】
(6)本発明の1つの観点によると、本発明のコミュニケーションシート式車両は、上記(1)〜(5)のいずれか構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記コミュニケーションシート式車両は、前記車体フレームの少なくとも一部を覆い、その車両左右方向の左部または右部の少なくともいずれか一方に前記乗降口を形成する車体カバーをさらに備えることが好ましい。
【0025】
この構成によると、コミュニケーションシート式車両は、車体フレームの少なくとも一部を覆う車体カバーをさらに備える。車体カバーは、その車両左右方向の左部または右部の少なくともいずれか一方に乗降口を形成する。本発明のコミュニケーションシート式車両は、天井フレームの車両前後方向の長さを床フレームの車両前後方向の長さよりも長くしたことで、天井フレームの車両前後方向の長さと床フレームの車両前後方向の長さとが同じ車両と比較して、車両左右方向の左部または右部の少なくともいずれか一方に形成される乗降口の上部の幅の設計自由度が高めることができる。そのため、乗降口の幅を、例えば車いす等でも乗り降りのしやすい幅に設定することができる。これにより、車体フレームの剛性を確保しつつ、乗り降りのしやすさを高めることができる。
【0026】
(7)本発明の1つの観点によると、本発明のコミュニケーションシート式車両は、上記(6)の構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記コミュニケーションシート式車両は、前記乗降口を開閉可能に構成されたドアを有することが好ましい。
【0027】
この構成によると、コミュニケーションシート式車両は、乗降口を開閉可能に設けられたドアを有する。本発明のコミュニケーションシート式車両は、天井フレームの車両前後方向の長さが長いため、ドアが乗降口を開閉可能に構成されていたとしても、乗降口の幅を乗り降りのしやすい幅に設定することができる。これにより、車体フレームの剛性を確保しつつ、乗り降りのしやすさを高めることができる。
【0028】
(8)本発明の1つの観点によると、本発明のコミュニケーションシート式車両は、上記(7)の構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記ドアは、車両外面に沿って車両前後方向にスライド可能に構成されたスライドドアであることが好ましい。
【0029】
この構成によると、ドアはスライドドアである。スライドドアは、車両外面に沿って車両前後方向にスライド可能である。よって、スライドドアが開いたときに、スライドドアはキャビン空間の中や外の乗客の邪魔になりにくい。そのため、乗客はコミュニケーションシート式車両に乗り降りしやすくなる。
【0030】
(9)本発明の1つの観点によると、本発明のコミュニケーションシート式車両は、上記(6)〜(8)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記コミュニケーションシート式車両は、前記乗降口から地面に向かって傾斜して設置可能に構成されたスロープ部材をさらに備えることが好ましい。
【0031】
この構成によると、コミュニケーションシート式車両は、スロープ部材を有する。スロープ部材は、乗降口から地面に向かって傾斜して設置可能に構成される。そして、スロープ部材は、乗降口と地面とをつなぐように設けられる。つまり、スロープ部材は、傾斜した状態で設置される。スロープ部材により乗降口と地面との段差が解消するため、乗客、台車、車椅子等が乗り降りをスムーズに行うことができる。
なお、スロープ部材の幅は、乗降口の幅と同じかそれより短い長さであることが好ましい。また、スロープ部材の幅は、乗降口の幅と同じ長さであることがより好ましい。スロープ部材の幅がより広い方が、乗客、台車、車椅子等の乗り降りがスムーズにできるからである。
スロープ部材は、幅方向の両端部に突起部を有することが好ましい。特に、スロープ部材の両端部がL字状になるように形成されていることが好ましい。台車、車椅子等の乗り降りをガイドすることができるからである。
スロープ部材は、上面に滑り止めのための突起加工が施されていることが好ましい。乗客、台車、車椅子等の乗り降りがスムーズにできるからである。
【0032】
(10)本発明の1つの観点によると、本発明のコミュニケーションシート式車両は、上記(1)〜(6)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記進行方向は、車両前後方向の後方向に変更可能であることが好ましい。
【0033】
この構成によると、コミュニケーションシート式車両は、進行方向を車両前後方向の後方向に変更可能である。つまり、コミュニケーションシート式車両が、車輪の逆回転により、進行方向を変更可能であるスイッチバック可能車両(Bi-directional vehicle)であってもよい。
【0034】
(11)本発明の1つの観点によると、本発明のコミュニケーションシート式車両は、上記(1)〜(10)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記コミュニケーションシートは、乗客が着座するためのシート部を有し、前記コミュニケーションシート式車両は、車両内部に、前記シート部を構成可能に形成されたシートをさらに有することが好ましい。
【0035】
この構成によると、コミュニケーションシートは、乗客が着座するためのシート部を有する。シートは、乗客を収容する車両内部に、シート部を構成可能に形成される。シートは、例えば、固定されて常にシート部を構成する。また、シートは、例えば、シート部が構成される着座状態と、シート部が構成されない収納状態(非着座状態)との間で揺動可能に形成される。具体的には、例えば、シートは、バックレスト部を構成するバックレストまたは車両内部の壁面に対して、揺動可能に形成される。そして、シートの収納状態では、シートとバックレストまたは車両内部の壁面とが向かい合うように配置される。また、シートは、例えば、シート部が構成された着座状態からシート部が構成されない取り外し状態へ着脱可能に形成される。乗客がキャビン空間に乗り降りする際に、シートがシート部を構成しなければ、キャビン空間のうち、シート部が構成されていた空間を乗客が乗り降りする際に使用することができる。そのため、乗り降りのしやすさがより向上する。
【0036】
(12)本発明の1つの観点によると、本発明のコミュニケーションシート式車両は、上記(1)〜(11)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記コミュニケーションシート式車両は、少なくとも一部がコミュニケーションシートの前端より前方向に配置された前格納スペースを構成する前荷物デッキ、または、少なくとも一部が前記コミュニケーションシートの後端より後方向に配置された後格納スペースを構成する後荷物デッキの少なくともいずれかを車両内部にさらに備えることが好ましい。
【0037】
この構成によると、コミュニケーションシート式車両は、前格納スペースを構成する前荷物デッキまたは後格納スペースを構成する後荷物デッキをさらに備える。前格納スペースの少なくとも一部は、車両内部であって、コミュニケーションシートの前端より前方向に配置される。後格納スペースの少なくとも一部は、車両内部であって、コミュニケーションシートの後端より後方向に配置される。前格納スペースまたは後格納スペースは、乗客の荷物などを格納することができる。これにより、乗客の荷物などがキャビン空間内に置かれる場合と比較して、キャビン空間のうち、乗客が乗り降りする際に使用することができる空間が広くなる。そのため、乗り降りのしやすさをより向上させることができる。
【0038】
(13)本発明の1つの観点によると、本発明のコミュニケーションシート式車両は、上記(12)の構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記コミュニケーションシートは、乗客の姿勢を保つためのバックレスト部を有し、車両内部に前記バックレスト部を構成可能に形成されたバックレストをさらに備え、前記バックレストは、前記前格納スペースまたは前記後格納スペースを開閉可能に構成されることが好ましい。
【0039】
この構成によると、コミュニケーションシートは、乗客の姿勢を保つためのバックレスト部を有する。コミュニケーションシート式車両は、車両内部に、バックレスト部を構成可能に形成されたバックレストを備える。具体的には、バックレストは、シート部を構成するシートに対して、揺動可能に形成される。バックレストは、例えば、バックレスト部が構成される姿勢保持状態とバックレスト部が構成されない収納状態(非姿勢保持状態)との間で揺動可能に構成される。または、バックレストは、例えば、バックレスト部が構成される姿勢保持状態とバックレスト部が構成されない取り外し状態との間で着脱可能に構成される。バックレストの姿勢保持状態では、乗客は、バックレスト部にもたれかかることができる。バックレストの収納状態では、乗客は、バックレスト部にもたれかかることができない。バックレストは、前格納スペースまたは後格納スペースを開閉可能に構成される。例えば、バックレストは、前格納スペースまたは後格納スペースが閉じている閉状態と、前格納スペースまたは後格納スペースが開いている開状態との間で揺動可能に形成される。前格納スペースまたは後格納スペースの開状態では、バックレスト部が構成されない。また、前格納スペースまたは後格納スペースの閉状態では、バックレスト部が構成される。前格納スペースまたは後格納スペースの開状態において、乗客が前格納スペースまたは後格納スペースを利用して、格納スペースに乗客の荷物などを格納することができる。これにより、乗客の荷物などがキャビン空間内に置かれる場合と比較して、キャビン空間のうち、乗客が乗り降りする際に使用することができる空間が広くなる。そして、乗り降りのしやすさをより向上させることができる。
【0040】
(14)本発明の1つの観点によると、本発明のコミュニケーションシート式車両は、上記(1)〜(13)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記床フレームは、さらに、前記2本の床横フレームの間に車両左右方向に沿って配置される床中間フレーム、および、前記床右フレームと前記床左フレームの間に車両前後方向に沿って配置される床中間フレームの少なくともいずれか一方を有することが好ましい。
【0041】
この構成によると、床フレームはさらに、2本の床横フレームの間に車両左右方向に沿った床中間フレーム、および、床右フレームと床左フレームの間に車両前後方向に沿った床中間フレームの少なくともいずれか一方を有する。床フレームが床中間フレームを有することにより、床フレームの剛性が高くなる。これにより、車体フレームの剛性をより高めることができる。
【0042】
(15)本発明の1つの観点によると、本発明のコミュニケーションシート式車両は、上記(1)〜(14)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記コミュニケーションシート式車両は、前記駆動源と前記操舵機構を自動的に制御する自動運転制御装置をさらに備えることが好ましい。
【0043】
この構成によると、駆動源と操舵機構は、自動運転制御装置により自動的に制御される。コミュニケーションシート式車両は、自動走行可能である。つまり、ステアリングホイールやペダル等をキャビン空間内に配置しなくてよい。つまり、ステアリングホイールやペダル等が構成される車両に比べて、キャビン空間のうち、乗客が乗り降りする際に使用することができる空間がより広く確保されるため、乗り降りのしやすさをより向上させることができる。
【0044】
(16)本発明の1つの観点によると、本発明のコミュニケーションシート式車両は、上記(1)〜(12)、(14)〜(15)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記コミュニケーションシートは、乗客の姿勢を保つためのバックレスト部を有し、前記コミュニケーションシート式車両は、車両内部に前記バックレスト部を構成可能に形成されたバックレストを有することが好ましい。
【0045】
この構成によると、コミュニケーションシートは、乗客の姿勢を保つためのバックレスト部を有する。コミュニケーションシート式車両は、車両内部に、バックレスト部を構成可能に形成されたバックレストを備える。バックレストは、例えば、固定されて常にバックレスト部を構成する。また、バックレストは、例えば、バックレスト部が構成される姿勢保持状態と、バックレスト部が構成されない収納状態との間で揺動可能に形成される。具体的には、例えば、バックレストは、シート部を構成するシートに対して、揺動可能に形成される。そして、収納状態のバックレストは、シートと向かい合うように配置される。また、バックレストは、例えば、バックレスト部が構成される姿勢保持状態からバックレスト部が構成されない取り外し状態へ着脱可能に形成される。バックレストがバックレスト部を構成していると、乗客がコミュニケーションシートに着座した際に、乗客の背中が支えられ、姿勢が保たれる。
【0046】
(17)本発明の1つの観点によると、本発明のコミュニケーションシート式車両は、上記(1)〜(16)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記コミュニケーションシート式車両は、乗客を収容する車両内部のキャビン空間から車両外部の外部空間を視認可能に構成された少なくとも一つの窓をさらに備えることが好ましい。
【0047】
この構成によると、コミュニケーションシート式車両は、窓を有する。窓は車両内部のキャビン空間から車両外部の外部空間を視認可能に構成するため、乗客が外部空間を確認することができる。これにより、乗客がコミュニケーションシート式車両の周辺環境を確認しやすいため、乗り降りのしやすさをより向上させることができる。
【0048】
(18)本発明の1つの観点によると、本発明のコミュニケーションシート式車両は、上記(1)〜(17)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記コミュニケーションシート式車両は、車両外面における前記窓の車両上下方向の上方向の位置または前記窓の上縁に設けられたバイザーをさらに備えることが好ましい。
【0049】
この構成によると、コミュニケーションシート式車両は、バイザーを備える。バイザーは、車両外面における窓の車両上下方向の上方向の位置または窓の上縁に設けられる。バイザーが窓への雨や日差しなどの侵入を抑えるため、乗客が乗り降りをスムーズに行うことができる。そのため、乗り降りのしやすさをより向上させることができる。
【0050】
(19)本発明の1つの観点によると、本発明のコミュニケーションシート式車両は、上記(1)〜(18)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記車体フレームは、その前部を車両前後方向の後方向に見た形状とその後部を車両前後方向の前方向に見た形状が同じである、または、車両前後方向におけるその前端とその後端の間を通り車両前後方向に垂直な平面に対して面対称な形状であることが好ましい。
【0051】
この構成によると、車体フレームの前部を車両前後方向の後方向に見た形状と、車体フレームの後部を車両前後方向の前方向に見た形状とが同じである。または、車体フレームは、車両前後方向のその前端とその後端の間を通り車両前後方向に垂直な平面に対して面対称な形状である。これにより、進行方向が車両前後方向の後方向に変更された場合であっても、車体フレームの剛性を確保しつつ、乗り降りのしやすさを高めることができる。
【0052】
<コミュニケーションシートの定義>
本発明において、コミュニケーションシートは、乗客同士が顔を見ながら会話できるような位置に乗客を着座可能に構成される。コミュニケーションシートは、複数の乗客が着座可能に構成される。コミュニケーションシートは、例えば、着座した複数の乗客が対面可能に配置された2列のシートアセンブリを含む。コミュニケーションシートは、例えば、L字状に配置されたシートアセンブリを含む。コミュニケーションシートは、例えば、四角形の一辺を除いたような形状に配置されたシートアセンブリを含む。コミュニケーションシートは、例えば、四角状に配置されたシートアセンブリを含む。コミュニケーションシートは、一人の乗客が着座してもよいし、複数の乗客が着座してもよい。コミュニケーションシートは、着座した乗客同士が顔を見ながら会話してもよいし、しなくてもよい。コミュニケーションシートは、着座した複数の乗客が向かい合う状態と、着座した複数の乗客が同じ方向に向く状態とに変化できるシートアセンブリを含んでもよい。但し、コミュニケーションシートには、着座した複数の乗客が同じ方向にしか向かない状態で固定されたシートアセンブリは含まれない。なお、コミュニケーションシートは、着座した乗客同士が顔を見ながら会話できるように、着座可能な乗客の最大数が6人以下であることが好ましい。ここでいう着座可能な乗客の最大数に含まれる乗客は、平均的な身長の大人である。また、コミュニケーションシート式車両は、個人所有の車両でもよいし、公共で利用される車両でもよい。
【0053】
<進行方向の定義>
本発明において、コミュニケーションシート式車両の進行方向とは、基本的に、車両前後方向の前方向である。コミュニケーションシート式車両の進行方向とは、通常使用時に車輪の回転によりコミュニケーションシート式車両が進む方向であり、一時的な車輪の逆回転によりコミュニケーションシート式車両が進む方向は含まない。コミュニケーションシート式車両がスイッチバック可能車両(Bi-directional vehicle)の場合、コミュニケーションシート式車両の進行方向は、通常使用時の車輪の回転の方向を逆回転の方向に変更することにより、車両前後方向の後方向に変更可能である。なお、コミュニケーションシート式車両は、公道または私道を走行してもよいし、道路ではない走行路を走行してもよい。
【0054】
<コミュニケーションシート式車両の上部、中間部、下部の定義>
本発明において、コミュニケーションシート式車両の上部は、コミュニケーションシート式車両を車両上下方向に3等分した場合の最も上の部分である。コミュニケーションシート式車両の中間部は、コミュニケーションシート式車両を車両上下方向に3等分した場合の真ん中の部分である。コミュニケーションシート式車両の下部は、コミュニケーションシート式車両を車両上下方向に3等分した場合の最も下の部分である。
【0055】
<フレームの上部、下部、左部、右部、前部、後部の定義>
本発明において、フレームの上部は、フレームを車両上下方向に2等分した場合の上の部分である。フレームの下部は、フレームを車両上下方向に2等分した場合の下の部分である。フレームの左部は、フレームを車両左右方向に2等分した場合の左の部分である。フレームの右部は、フレームを車両左右方向に2等分した場合の右の部分である。フレームの前部は、フレームを車両前後方向に2等分した場合の前の部分である。フレームの後部は、フレームを車両前後方向に2等分した場合の後の部分である。なお、フレームの上部、下部、左部、右部、前部、後部の表現は、柱の上部、下部、左部、右部、前部、後部の表現と同義である。
【0056】
<キャビン空間の定義>
本発明において、キャビン空間は、乗客を収容する空間であって、車両内部にある。キャビン空間は、車体フレームの内部に配置される。車体フレームは、車両内部にある。キャビン空間は、例えば、車体カバー、車両内部のコミュニケーションシート、窓、ドア等で形成される。車体カバーは、例えば、車両外部の外壁および車両内部の内壁に含まれる。なお、コミュニケーションシート式車両が窓を含む場合、窓にガラス等がはめ込まれているか否かに関わらず、窓を形成する面より車両内部をキャビン空間とし、窓を形成する面より車両外部を外部空間とする。また、コミュニケーションシート式車両がドアを有するか否かに関わらず、乗降口を形成する面より車両内部をキャビン空間とし、乗降口を形成する面より車両外部を外部空間とする。なお、キャビン空間は、平均的な身長の大人の乗客が直立状態で立つことができない高さであり、且つ、平均的な身長の大人の乗客がコミュニケーションシートに着座可能な状態な高さであることが好ましい。コミュニケーションシート式車両の容積を小さくしつつ、車両内部のキャビン空間を確保することができる。
【0057】
<コミュニケーションシート式車両の車両前部、車両後部、車両左部、車両右部の定義>
本発明において、コミュニケーションシート式車両の車両前部とは、車両前後方向において車両を2等分した際の前の部分である。コミュニケーションシート式車両の車両後部とは、車両前後方向において車両を2等分した際の後の部分である。コミュニケーションシート式車両の車両左部とは、車両左右方向において車両を2等分した際の左の部分である。コミュニケーションシート式車両の車両右部とは、車両左右方向において車両を2等分した際の右の部分である。
【0058】
<車輪の定義>
本発明において、車輪とは、タイヤと、タイヤを保持するホイール本体とを含む。前輪は、車両前後方向において、車両の前部に配置された車輪である。後輪は、車両前後方向において、車両の後部に配置された車輪である。
【0059】
<ドアの定義>
本発明において、ドアとは、乗降口を開閉するために動く部材であって、車両に取り付けられたレール等のドアの付属部品を含まない。また、本発明において、ドアは、スライドドア、ヒンジドア、スイングドア、グライドドア等を含む。本発明において、スライドドアは、車両左右方向における車両の左部または右部の少なくともいずれか一方に配置され、車両外面に沿って車両前後方向にスライド可能なドアである。
【0060】
<駆動源の定義>
本発明において、駆動源は、4つの車輪の少なくとも2つに駆動力を付与する。駆動源は、モータやエンジン等である。
【0061】
<操舵機構の定義>
本発明において、操舵機構は、4つの車輪の少なくとも一つを操舵する機構である。操舵機構は、例えば、ステアリングホイールの回転により、4つの車輪の少なくとも2つを操舵する機構である。操舵機構は、例えば、自動運転制御装置により、4つの車輪の少なくとも2つを操舵する機構である。操舵機構は、2つの前輪を操舵してもよいし、2つの後輪を操舵する機構であってもよい。また、操舵機構は、2つの前輪と2つの後輪をそれぞれ操舵する機構であってもよい。
【0062】
<車体フレームの形状の定義>
本発明において、車体フレームが、その前部を車両前後方向の後方向に見た形状とその後部を車両前後方向の前方向に見た形状が同じであるとは、車両前後方向の後方向に見た車体フレームの前部の外形形状と車両前後方向の前方向に見た車体フレームの後部の外形形状が同じかほぼ同じであること意味する。本発明において、車体フレームが、車両前後方向におけるその前端とその後端の間を通り車両前後方向に垂直な平面に対して面対称な形状であるとは、車体フレームの外形形状が、車体フレームの前端と車体フレームの後端の間を通り車両前後方向に垂直な平面に対して面対称かほぼ面対称である形状を意味する。
【0063】
<その他の用語の定義>
本発明において、ある部品の端部とは、部品の端とその近傍部とを合わせた部分を意味する。
【0064】
本明細書において、特に限定しない限り、直線Aの直線Bに対する傾斜角度とは、直線Aと直線Bのなす角度のうち、小さい方の角度である。この定義は、「直線」に限らず「方向」にも適用される。
【0065】
本明細書において、特に限定しない限り、直線Aの直線Bのなす角度とは、直線Aと直線Bのなす角度のうち、小さい方の角度である。この定義は、「直線」に限らず「方向」にも適用される。
【0066】
本発明および本明細書において、A方向に沿った直線とは、A方向と平行な直線に限らない。A方向に沿った直線とは、特に限定しない限り、A方向を示す直線に対して−45°以上+45°以下の範囲内で傾斜している直線を含む。同様の定義が、「沿った」を用いた他の表現にも適用される。「沿った」を用いた他の表現とは、例えば、「A方向に沿った方向」や、「複数のBがA方向に沿って配列される」や、「1つのBがA方向に沿っている」等である。なお、A方向は、特定の方向を指すものではない。A方向を、水平方向や前後方向に置き換えることができる。
【0067】
本発明および本明細書において、AとBがX方向に並ぶとは、以下の状態を指す。X方向と直交するいずれの方向にAとBを見た場合であっても、X方向を示す任意の直線または曲線がAとBの両方を通る。また、A全体がBとX方向に並ぶとは、A全体がBとX方向に向かい合っていることを指す。つまり、X方向に見て、A全体がBと重なる状態を指す。全体を一部に言い換えてもよい。
本発明および本明細書において、Y方向に見てAとBがX方向に並ぶとは、以下の状態を指す。Y方向にAとBを見たときに、X方向を示す任意の直線または曲線がAとBの両方を通る。Y方向とは異なるW方向にAとBを見たとき、AとBがX方向に並んでいなくてもよい。Y方向に見て、A全体がBとX方向に並ぶとは、Y方向に見て、A全体がBとX方向に向かい合っているように見えることをいう。全体を一部に言い換えてもよい。
なお、上述の2つの定義において、AとBは、接触していてもよい。また、AとBは、離れていてもよい。AとBの間に、Cが存在していてもよい。
【0068】
本発明および本明細書において、AがBより前方向にあるとは、特に限定しない限り、以下の状態を指す。Aが、Bの最前端を通り前後方向に直交する平面の前方向にある。AとBは、前後方向に並んでいてもよく、並んでいなくてもよい。Bが前後方向に直交する平面または直線の場合、Bの最前端を通る平面とは、Bを通る平面のことである。Bが前後方向の長さが無限の直線または平面である場合、Bの最前端は特定されない。前後方向の長さが無限の直線または平面とは、前後方向に平行な直線または平面に限らない。
なお、Bについて同じ条件の元、AがBより後方向にあるという表現にも、同様の定義が適用される。また、Bについて同様の条件の元、AがBより上方向または下方向にある、AがBより右方向または左方向にあるという表現にも、同様の定義が適用される。
【0069】
本発明および本明細書において、Bが前後方向の長さが無限の平面の場合、AがBより前方向にあるとは、以下の状態を指す。Bによって仕切られる2つの空間のうち、前方の空間内に、Aが存在する。
なお、Bについて同じ条件の元、AがBより後方向にあるという表現にも、同様の定義が適用される。また、Bについて同様の条件の元、AがBより上方向または下方向にある、AがBより右方向または左方向にあるという表現にも、同様の定義が適用される。
【0070】
本発明および本明細書において、前後方向と異なるX方向に見て、Bが前後方向の長さが無限の直線の場合に、X方向に見て、AがBより前方向にあるとは、以下の状態を指す。X方向に見て、Bによって仕切られる2つの領域のうち、前の領域に、Aが存在する。BはX方向に見て直線であれば、3次元において平面であってもよい。
なお、Bおよび見る方向について同じ条件の元、AがBより後方向にあるという表現にも、同様の定義が適用される。また、Bおよび見る方向について同様の条件の元、任意の方向に見て、AがBより上方向または下方向にある、AがBより右方向または左方向にあるという表現にも、同様の定義が適用される。
【0071】
本発明および本明細書において、AがBの前方向にあるとは、特に限定しない限り、以下の状態を指す。Aの後面の少なくとも一部が、Bの前面の少なくとも一部と前後方向に向かい合う。さらに、Bの最前端がAの最前端より後方で、かつ、Bの最後端がAの最後端より前方向にある。Aの後面とは、Aを後ろから見た時に見える面のことである。Aの後面は、連続した1つの面であってもよく、連続しない複数の面で構成されてもよい。Bの前面の定義も同様である。
なお、AがBの後方向にある、AがBの上方向または下方向にある、AがBの右方または左方向にあるという表現にも、同様の定義が適用される。
【0072】
本発明および本明細書において、前後方向と異なる方向であるX方向に見て、AがBの前方向にあるとは、特に限定しない限り、以下の状態を指す。X方向に見て、Aの後端の少なくとも一部が、Bの前端の少なくとも一部と前後方向に向かい合う。さらに、Bの最前端がAの最前端より後方で、かつ、Bの最後端がAの最後端より前方向にある。X方向とは異なるY方向にAとBを見たとき、Aの後端の少なくとも一部が、Bの前端の少なくとも一部と前後方向に向かい合っていなくてよい。
なお、任意の方向に見て、AがBの後方向にある、AがBの上方向または下方向にある、AがBの右方向または左方向にあるという表現にも、同様の定義が適用される。
【0073】
本明細書において、Aが、BとCとの間に配置されるとは、特に限定しない限り、以下の状態を指す。任意の直線が、BとAとCをこの順で通る。つまり、BとAとCが、任意の直線の方向にこの順で並んでいる。
【0074】
本発明において、含む(including)、有する(comprising)、備える(having)およびこれらの派生語は、列挙されたアイテムおよびその等価物に加えて追加的アイテムをも包含することが意図されて用いられている。
本発明において、取り付けられた(mounted)、接続された(connected)、結合された(coupled)、支持された(supported)という用語は、広義に用いられている。具体的には、直接的な取付、接続、結合、支持だけでなく、間接的な取付、接続、結合および支持も含む。さらに、接続された(connected)および結合された(coupled)は、物理的又は機械的な接続/結合に限られない。それらは、直接的なまたは間接的な電気的接続/結合も含む。
【0075】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
一般的に使用される辞書に定義された用語のような用語は、関連する技術および本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されることはない。
【0076】
本明細書において、「好ましい」という用語は非排他的なものである。「好ましい」は、「好ましいがこれに限定されるものではない」ということを意味する。本明細書において、「好ましい」と記載された構成は、少なくとも、上記(1)の構成により得られる上記効果を奏する。また、本明細書において、「してもよい」という用語は非排他的なものである。「してもよい」は、「してもよいがこれに限定されるものではない」という意味である。本明細書において、「してもよい」と記載された構成は、少なくとも、上記(1)の構成により得られる上記効果を奏する。
【0077】
特許請求の範囲において、ある構成要素の数を明確に特定しておらず、英語に翻訳された場合に単数で表示される場合、本発明は、この構成要素を、複数有していてもよい。また本発明は、この構成要素を1つだけ有していてもよい。
【0078】
本発明では、上述した好ましい構成を互いに組み合わせることを制限しない。本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に記載されたまたは図面に図示された構成要素の構成および配置の詳細に制限されないことが理解されるべきである。本発明は、後述する実施形態以外の実施形態でも可能である。本発明は、後述する実施形態に様々な変更を加えた実施形態でも可能である。また、本発明は、後述する変形例を適宜組み合わせて実施することができる。