特許第6952142号(P6952142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6952142
(24)【登録日】2021年9月29日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】白色発光素材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20211011BHJP
   C01B 33/113 20060101ALI20211011BHJP
【FI】
   H01L33/50
   C01B33/113 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-11596(P2020-11596)
(22)【出願日】2020年1月28日
(65)【公開番号】特開2021-54700(P2021-54700A)
(43)【公開日】2021年4月8日
【審査請求日】2020年2月13日
(31)【優先権主張番号】10-2019-0119550
(32)【優先日】2019年9月27日
(33)【優先権主張国】KR
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2019年7月27日、https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/pssa.201900411
(73)【特許権者】
【識別番号】511055522
【氏名又は名称】ケーエヌユー−インダストリー コーポレーション ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ジョンファン
【審査官】 小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】 韓国登録特許第10−1317406(KR,B1)
【文献】 特開2006−236997(JP,A)
【文献】 特開2011−193006(JP,A)
【文献】 Chuan-Feng Shih et al.,Enhanced white photoluminescence in siliconrich oxide/SiO2 superlattices by low-energy ionbeam treatment,OPTICS EXPRESS,2013年06月25日,Vol.21, No.13 ,P.15888-15895
【文献】 Cham-Sol Choi et al.,Synthesis and enhanced light-emission of Si nanocrystals embedded in silicon oxide nanowires,Materials Letters,2013年01月31日,Volume 96,Pages 166-169
【文献】 X. X. Wang et al.,Origin and evolution of photoluminescence from Si nanocrystals embedded in a SiO2 matrix,PHYSICAL REVIEW B,2005年11月09日,VOl.72,195313
【文献】 Kuo et al.,Preparation of SiO2 Nanotubes with Controllable Inner/Outer Diameter and Length Using Hydrothermally Grown ZnO Nanowires as Templates,Japanese Journal of Applied Physics,The Japan Society of Applied Physics,2010年04月20日,Vol.49,04DN10
【文献】 Ramakrishna et al.,White-light emitting Eu3+ co-doped ZnO/Zn2SiO4:Mn2+ composite microphosphor,Spectrochimica Acta Part A: Molecular and Biomolecular Spectroscopy ,ELSEVIER,2014年02月05日,Vol.125,P.234-238
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/50
C01B 33/113
C09K 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)熱蒸着(thermal evaporation)方法を行って、基板上に青色発光素材を形成するための金属を蒸着する段階と、
(b)前記(a)段階で金属膜が蒸着された基板をプラズマ化学気相蒸着(plasma−enhanced chemical vapor deposition;PECVD)反応器内に位置させ、プラズマ状態の珪素(Si)及び酸素(O)に露出させることにより、緑色及び青色発光素材がハイブリッド化した物質を形成する段階と、
(C)赤色、緑色及び青色発光素材がハイブリッド化するように、前記(b)段階で形成された物質をアニーリング(annealing)して前記物質内に赤色発光素材を形成する段階と、を含み、
前記(a)段階で、前記金属は亜鉛(Zn)であり、
前記(b)段階で形成された青色発光素材は酸化亜鉛(ZnO)であり、緑色発光素材はSiO(0<x<2)からなる酸化シリコンであり、
前記(b)段階で形成された緑色及び青色発光素材がハイブリッド化した物質は、酸化亜鉛(ZnO)相を含むSiの豊かな酸化物ナノワイヤ(sillicon−rich oxide nanowires;SONWs)であり、
前記(c)段階で形成された赤色発光素材はシリコンナノ結晶(Si nanocrystals;Si NCs)であり、
前記基板上に蒸着される金属膜の厚さによって白色光スペクトラム(white light spectrum)がチューニング(tuning)されることを特徴とする、白色発光素材の製造方法。
【請求項2】
前記(b)段階は、前記PECVD反応器内に窒素で希釈された5%キシレン(SiH)及び亜酸化窒素(NO)からなる混合ガスを供給し、
前記混合ガスの混合比(R=NO/SiH)によって白色光スペクトラム(white light spectrum)がチューニング(tuning)されることを特徴とする、請求項1に記載の白色発光素材の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の白色発光素材の製造方法によって製造された、白色発光素材。
【請求項4】
350nm〜900nm範囲の発光波長を有することを特徴とする、請求項に記載の白色発光素材。
【請求項5】
請求項又はに記載の白色発光素材から製造された、光電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は白色発光ダイオード(light emitting diode;LED)の具現のための素材で、多様な分野に応用可能な白色発光素材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
白色LEDは、低い消費電力、長い寿命、小さなサイズ、早い応答性、長い耐久性、電流による光出力制御の容易性などの多様な利点を持っているので、多様な分野に活用されている。特に、白色LED光源は、照明だけではなく、ディスプレイ、バイオセンサーなどの多様な光電素子に高い応用性を持っているので、多くの注目を引いている。
現在、白色LEDを製造する方法のうち、最も広く研究されている方法は、青色LED光源に黄色発光用蛍光体を組み合わせて白色を具現することである。この方法は、国際特許公開第WO98/005078号公報(“Light Emitting Device and Display Device”、出願日:1997.07.29、公開日:1998.02.05)、日本国のShuji Nakamuraの著書(S.Nakamura,“The Blue Laser Diode”,Springer−Verlag,1997)などに提示されたことがある。
上述した方法で製造された白色発光素材は、白色発光効率は優れた反面、演色評価数(color rendering index)が低く、電流密度及び使用時間によって演色評価数が変わる問題点が存在する。特に、LEDから出る励起光源である青色光の強度が強く、蛍光体から出る緑色光及び赤色光の強度が弱くて蛍光灯や月明のような青色の冷たい白色光が形成されるため、活用性に制約がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際特許公開第WO98/005078号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Shuji Nakamuraの著書(S.Nakamura,“The Blue Laser Diode”,Springer−Verlag,1997)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した問題点を解決するためのもので、演色評価数に優れて多様な分野に応用可能な白色発光素材の製造方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明の一実施例による白色発光素材の製造方法は、(a)熱蒸着(thermal evaporation)方法を行って、基板上に青色発光素材を形成するための金属を蒸着する段階と、(b)前記(a)段階で金属膜が蒸着された基板をプラズマ化学気相蒸着(plasma−enhanced chemical vapor deposition;PECVD)反応器内に位置させ、プラズマ状態の珪素(Si)及び酸素(O)に露出させることにより、緑色及び青色発光素材がハイブリッド化した物質を形成する段階と、(C)赤色、緑色及び青色発光素材がハイブリッド化するように、前記(b)段階で形成された物質をアニーリング(annealing)して前記物質内に赤色発光素材を形成する段階と、を含むことを特徴とする。
前記(a)段階で、前記金属は亜鉛(Zn)であることを特徴とする。
前記(b)段階で形成された青色発光素材は酸化亜鉛(ZnO)であり、緑色発光素材はSiO(0<x<2)からなる酸化シリコンであることを特徴とする。
前記(b)段階で形成された緑色及び青色発光素材がハイブリッド化した物質は、酸化亜鉛(ZnO)相を含むSiの豊かな酸化物ナノワイヤ(sillicon−rich oxide nanowires;SONWs)であることを特徴とする。
前記(c)段階で形成された赤色発光素材はシリコンナノ結晶(Si nanocrystals;Si NCs)であることを特徴とする。
前記(b)段階は、前記PECVD反応器内に窒素で希釈された5%キシレン(SiH)及び亜酸化窒素(NO)からなる混合ガスを供給し、前記混合ガスの混合比(R=NO/SiH)によって白色光スペクトラム(white light spectrum)がチューニング(tuning)されることを特徴とする。
前記基板上に蒸着される金属膜の厚さによって白色光スペクトラム(white light spectrum)がチューニング(tuning)されることを特徴とする。
また、本発明は、前記白色発光素材の製造方法によって製造された白色発光素材を提供する。
前記白色発光素材は、350nm〜900nm範囲の発光波長を有することを特徴とする。
また、本発明は、前記白色発光素材から製造された光電素子を提供する。
【発明の効果】
【0007】
以上で説明したように、本発明によれば、次のような効果がある。
第一、青色LED光源に黄色発光用蛍光体を組み合わせて白色を具現することによって可視光領域の一部スペクトラムのみ持っているから低い演色評価数を持っていた従来技術とは違い、本発明は、赤色、緑色及び青色発光ナノ素材をハイブリッド化して350nm〜900nmの発光波長を有する白色発光素材を製造することにより、製造された白色発光素材は優れた演色評価数を有することができる。
第二、白色発光素材を製造するにあたり、PECVD反応器内に投入される混合ガスの混合比及び基板上に蒸着される金属膜の厚さ調整によって350nm〜900nmの範囲内で白色光スペクトラムのチューニングが可能であり、よって本発明で提示する製造方法で製造された白色発光素材は多様な分野に応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例による白色発光素材の製造方法を示すフローチャートである。
図2】本発明の一実施例による白色発光素材の製造方法において、(b)段階で製造されたサンプルの形態及び物理的特徴を示す図であり、図2(a)はサンプルの表面のSEM(scanning electron microscopy)写真、図2(b)は図2(a)に示したナノワイヤにおいて矢印が示す地点のEXD(energy−dispersive X−ray)スペクトラム、図2(c)及び図2(d)はそれぞれXRD(X−ray diffraction)パターン及びPL(photoluminescence)スペクトラムを示す。
図3図3(a)本発明の一実施例による白色発光素材の製造方法で製造された白色発光素材のPLスペクトラムと青色(B)、緑色(G)及び赤色(R)のPLスペクトラムを示す図である。 図3(b)製造された白色発光素材から出る青色、緑色、赤色及び白色を示す図である。
図4】本発明の一実施例による白色発光素材の製造方法によって製造された白色発光素材のPLスペクトラムチューニング可能性を説明するための図であり、図4(a)はPECVD反応器内に供給される混合ガスの混合比率によるPLスペクトラムを示す図、図4(b)は基板上に蒸着される亜鉛(Zn)膜の厚さによるPLスペクトラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好適な実施例について添付図面を参照してより具体的に説明し、既に公知となった技術的部分に対しては説明の簡潔性のために省略するか縮約する。
【0010】
図1は本発明の一実施例による白色発光素材の製造方法を示すフローチャート、図2は本発明の一実施例による白色発光素材の製造方法において、(b)段階で製造されたサンプルの形態及び物理的特徴を示す図である。ここで、図2(a)はサンプルの表面のSEM(scanning electron microscopy)写真、図2(b)は図2(a)に示したナノワイヤにおいて矢印が示す地点のEXD(energy−dispersive X−ray)スペクトラム、図2(c)及び図2(d)はそれぞれXRD(X−ray diffraction)パターン及びPL(photoluminescence)スペクトラムを示す。そして、図3(a)は本発明の一実施例による白色発光素材の製造方法で製造された白色発光素材のPLスペクトラムと青色(B)、緑色(G)及び赤色(R)のPLスペクトラムを示す図、図3(b)は製造された白色発光素材から出る青色、緑色、赤色及び白色を示す図である。
【0011】
図1図3を参照すると、本発明の一実施例による白色発光素材の製造方法は、金属膜を蒸着する(a)段階、緑色(G)及び青色(B)発光素材をハイブリッド化する(b)段階、及び赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の発光素材をハイブリッド化する(c)段階を含んでなる。
【0012】
1.(a)段階<S100>
(a)段階(S100)は、熱蒸着(thermal evaporation)方法を行って、基板上に青色発光素材を形成するための金属を蒸着する段階である。ここで、本発明の一実施例による金属は亜鉛(Zn)であり得る。また、基板としてはp−typeシリコン基板を使ったが、これに限定されない。
【0013】
ここで、金属膜の金属原子は、後述する(b)段階(S200)でプラズマ状態の酸素(O)と反応して青色発光素材である酸化亜鉛(ZnO)を形成する。また、金属膜の金属原子は、(b)段階(S200)でナノワイヤ(nanowires;NWs)を形成する金属触媒として作用することができる。
【0014】
参考までに、(a)段階(S100)で基板上に蒸着された金属膜の厚さによって、本発明の一実施例による白色発光素材の製造方法で製造された白色発光素材の白色光スペクトラム(white light spectrum)がチューニング(tuning)されることができる。これについての詳細な説明は後で開示する。
【0015】
2.(b)段階<S200>
(b)段階(S200)は(a)段階(S100)で金属膜が蒸着された基板をプラズマ化学気相蒸着(plasma−enhanced chemical vapor deposition;PECVD)反応器内に位置させ、プラズマ状態の珪素(Si)及び酸素(O)に露出させることにより、緑色及び青色発光素材がハイブリッド化した物質を形成する段階である。
【0016】
ここで、(b)段階(S200)で形成された青色発光素材は酸化亜鉛(ZnO)であり、緑色発光素材はSiO(0<x<2)からなる酸化シリコンである。そして、(b)段階(S200)で形成された緑色及び青色発光素材がハイブリッド化した物質は酸化亜鉛(ZnO)を含むSiの豊かな酸化物ナノワイヤ(sillicon−rich oxide nanowires;SONWs)である。
【0017】
より詳細に説明すると、(b)段階(S200)ではPECVD法を遂行し、金属膜がコートされた基板をPECVD反応器内に位置させ、PECVD反応器内に混合ガスを供給する。このとき、混合ガスはPECVD反応器内でプラズマを発生させる電極によってイオン化し、イオン化したプラズマ状態の珪素(Si)及び酸素(O)は金属膜が蒸着された基板に到逹し、緑色及び青色発光素材がハイブリド化した物質、すなわちSONWsを形成する。
【0018】
ここで、本発明の一実施例による白色発光素材の製造方法は、金属膜が蒸着された基板を接地された電極上に置き、380℃の一定温度を維持した状態で10分間プラズマ状態の珪素(Si)及び酸素(O)に露出させることによってSONWsを形成する。
【0019】
ここで、プラズマ状態の珪素(Si)及び酸素(O)を生成するために、PECVD反応器内に窒素で希釈された5%キシレン(SiH)及び亜酸化窒素(NO)からなる混合ガスを供給し、混合ガスの混合比RはNO/SiHに定義される。
【0020】
参考までに、混合ガスの混合比(R=NO/SiH)によって、本発明の一実施例による白色発光素材の製造方法で製造された白色発光素材の白色光スペクトラム(white light spectrum)がチューニング(tuning)されることができる。これについての詳細な説明は後で開示する。
【0021】
図2を参照すると、図2(a)は300nmの厚さを有する亜鉛(Zn)膜がコートされた基板を380℃で10分間プラズマ状態の珪素(Si)及び酸素(O)に露出させて成長させたサンプルの表面SEM写真である。ここで、PECVD反応器内にはR=0.7の混合ガスが供給された。図2(a)の写真でナノワイヤ(NWs)の存在が明らかに観察される。ここで、ナノワイヤ(NWs)は金属膜の金属原子、すなわち亜鉛(Zn)が金属触媒として作用することによって形成されることができる。
【0022】
図2(b)は前記ナノワイヤ(NWs)の化学的組成を示したものである。図2(b)に示したEXDスペクトラムは図2(a)に示した白色矢印で指示された地点を測定したものである。ここで、図2(b)のスペクトラムは、それぞれSi(/38.0 at%)、O(/53.8 at%)及びZn元素(/2.4 at%)に対応する3個のピークが存在する。これは、前記ナノワイヤ(NWs)がZn原子を含むSiO1.4の相に基づくSONWsであることを示す。
【0023】
そして、図2(c)はナノワイヤ(NWs)のXRDパターンを示す図である。図2(c)に示した小さなピークは六角形の形態を有するZnO結晶のピークと一致する。これから、SONWsにZnO相が存在することが分かる。参考までに、図2(c)に示した格子面(lattice planes)はICDD(international centre for diffraction data)に含まれたZnO結晶のピークに対応する(ICDD card No.01−075−0576)。
図2(d)は室温(=〜25℃)で測定されたSONWsサンプルのPLスペクトラムを示す図である。ここで、図2(d)ではおよそ380nm及び530nmで2個のピークが観察される。
【0024】
ここで、380nmに近いピークはZnO結晶から現れたものである。すなわち、SNOWsはZnO相を含んでいることが分かる。一方、530nmは非架橋酸素欠陷(nonbridging oxygen hole centers;NHOHCs)の存在によって現れたもので、普通、SiO(0<x<2)相及びZnOに関連した欠陥の少なくとも一つによって現れることができる。
【0025】
図2に示した結果から、本発明の一実施例による白色発光素材の製造方法の(b)段階で形成されたSONWsが二つの色(青色及び緑色)がハイブリッド化した発光物質から構成されていることを確認することができる。
【0026】
3.(c)段階<S300>
(c)段階(S300)は、赤色、緑色及び青色発光素材がハイブリッド化するように、(b)段階で形成された物質をアニーリング(annealing)して前記物質内に赤色発光素材を形成する段階である。ここで、(c)段階で形成された赤色発光素材はシリコンナノ結晶(Si nanocrystals;Si NCs)である。
【0027】
すなわち、(C)段階(S300)は、(b)段階(S200)で得られたSONWsをアニーリングして、その内部に赤色発光素材のSi NCsを生成させることにより、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)発光ナノ素材が合成された白色発光素材を製造する。ここで、製造された白色発光素材は350nm〜900nm範囲の発光波長を有する。
【0028】
参考までに、Si NCsは、1100℃の高温でSiOをアニーリングすることによって易しく成長することができる。よって、赤色発光素材は、アニーリング工程により、SiO1.4からなるSONWsにハイブリッド化することができる。参考までに、Si NCsは室温でRed/NIR(near infrared)領域の光を強く放出する。
【0029】
ここで、本発明の一実施例による白色発光素材の製造方法によるアニーリング工程は、SONWsが形成された基板を石英管反応器内に位置させ、高純度Nガス(99.999%)雰囲気で熱処理して遂行した。
図3を参照すると、図3(a)は1100℃で1時間アニーリングしたSONWsのPLスペクトラム(raw data)を示す図である。ここで、図3(a)は、図1(d)に示したPLスペクトラムと比較したとき、Red/NIR領域でのPL強度が向上して、350nm〜850nmの広範囲のPLスペクトラムを有する白色光が形成されたことを示す。
【0030】
そして、図3(a)は、青色、緑色及び赤色に対応するPLバンドを区分するために、ガウス関数(Gaussian function)を用いてPLスペクトラムを3個のサブスペクトラムに分離して示す図である。3個のサブバンドのピークはそれぞれ390nm、520nm及び700nmと推定され、これはZnO、SiOx及びSi NCs相によるPLバンドに対応する。
【0031】
また、このPLバンドは、図3(b)に示した400nm、550nm及び700nmの中心波長を有する狭いバンドパス(band pass;BP)フィルターを用いて得たイメージと一致する。
【0032】
よって、図3に示したように、本発明の一実施例による白色発光素材の製造方法で製造された白色発光素材は、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の3色が成功的にハイブリッド化したことを確認することができる。
【0033】
一方、図4は本発明の一実施例による白色発光素材の製造方法によって製造された白色発光素材の発光スペクトラムチューニング可能性を説明するための図である。図4(a)はPECVD反応器内に供給される混合ガスの混合比によるPLスペクトラムを示す図、図4(b)は基板上に蒸着される亜鉛(Zn)膜の厚さによるPLスペクトラムを示す図である。
【0034】
参考までに、PL強度は各スペクトラムの最大値で正規化(normalization)された。
【0035】
図4を参照すると、混合ガスの混合比(R)及び基板上に蒸着される金属膜の厚さによって白色光スペクトラムが350nm〜850nmの範囲内で調整されることができる。
【0036】
まず、図4(a)は、300nmの厚さを有する亜鉛(Zn)膜がコートされた基板をPECVD反応器内に位置させ、互いに異なる混合ガスの混合比(R=NO/SiH)で形成されたプラズマに露出させた後、これによって得たSNOWsを1100℃で1時間アニーリングしたサンプルのPLスペクトラムを示す図である。
【0037】
図4(a)では、Rの比率が高い場合、UV領域に近接した波長帯域でPLの強度が高く現れることを確認することができる。また、図4(a)に挿入されたデータは、Rが増加するにつれて赤色関連PL成分が減少する反面、緑色及び青色のPL成分が増加することを示す。
【0038】
このような結果は、R値によって白色光スペクトラムが調整されることができることを示す。
【0039】
次に、図4(b)は、それぞれ100nm及び300nmの厚さを有する亜鉛(Zn)膜がコートされた基板をPECVD反応器内に位置させ、R=0.7の場合に形成されたプラズマに露出させた後、これによって得たSNOWsを1100℃で1時間アニーリングしたサンプルのPLスペクトラムを示す図である。
【0040】
図4(b)では、亜鉛(Zn)膜の厚さが厚い場合、UV領域に近接した波長帯域でPLの強度が高く現れることを確認することができる。これは、ZnO相の形成が増加したから現れた結果と理解することができ、基板に蒸着される金属(Zn)膜の厚さによって白色光スペクトラムが調整されることができることを示す。
【0041】
参考までに、本発明で光の発光特性を分析するために遂行したPL測定は室温(=〜25℃)で行われた。
【0042】
上述した白色発光素材の製造方法で白色発光素材を製造することができる。ここで、製造された白色発光素材は350nm〜900nmの発光波長を有する。
【0043】
また、上述した製造方法で製造された白色発光素材を使って光電素子を製造することができる。
【0044】
前述したように、本発明についての具体的な説明は添付図面を参照する実施例によってなされたが、前述した実施例は本発明の好適な例を説明しただけであるので、本発明が前記実施例に限られるものに理解されられてはいけなく、本発明の権利範囲は後述する請求範囲及びその均等な概念に理解されられなければならない。
図1
図2
図3
図4