特許第6952151号(P6952151)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6952151
(24)【登録日】2021年9月29日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】99Mo放射性同位体を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   G21G 1/08 20060101AFI20211011BHJP
   G21K 5/08 20060101ALI20211011BHJP
【FI】
   G21G1/08
   G21K5/08 R
【請求項の数】15
【全頁数】69
(21)【出願番号】特願2020-49292(P2020-49292)
(22)【出願日】2020年3月19日
(62)【分割の表示】特願2017-535080(P2017-535080)の分割
【原出願日】2015年12月24日
(65)【公開番号】特開2020-126053(P2020-126053A)
(43)【公開日】2020年8月20日
【審査請求日】2020年4月1日
(31)【優先権主張番号】62/097,235
(32)【優先日】2014年12月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513313945
【氏名又は名称】テラパワー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】チェルビンスキ,ケン
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター,ジョシュア,シー.
【審査官】 藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0305309(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0115627(US,A1)
【文献】 特表2013−511046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21G 1/08
G21G 1/04
G21G 4/08
G21K 5/08
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
99Mo放射性同位体を製造する方法であって、
第1の質量のウラン粒子を含むソースを提供するステップであって、上記ウラン粒子は、上記ウラン粒子における99Moの反跳距離の10%ないし200%の平均粒子サイズを有する、ステップと、
上記ソースを中性子的に透明なコンテナに入れるステップと、
上記ソースを中性子に曝露させ、それによって、上記ソースにおける第1の質量のウラン粒子を、第1の質量より少ない第2の質量のウラン粒子にまで減少させ、また、99Mo放射性同位体のうちの少なくともいくつかの原子を生成する、ステップと、
上記ソースを中性子に曝露させた後に、上記ソースから上記ウラン粒子を除去することなく、99Mo放射性同位体の原子のうちの少なくともいくつかを上記ソースから除去するステップと、
を含み、
除去動作は、
99Mo放射性同位体を溶解させるために選択された抽出物質をコンテナに通し、それによって、上記ウラン粒子を抽出物質に接触させるステップを含み、
抽出物質は、99Mo放射性同位体を溶解させるとともにウランを溶解させないリガンドを含む超臨界二酸化炭素である
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
99Mo放射性同位体を製造する方法であって、
第1の質量のウラン粒子を含むソースを提供するステップであって、上記ウラン粒子は、上記ウラン粒子における99Moの反跳距離の10%ないし200%の平均粒子サイズを有する、ステップと、
上記ソースを中性子的に透明なコンテナに入れるステップと、
上記ソースを中性子に曝露させ、それによって、上記ソースにおける第1の質量のウラン粒子を、第1の質量より少ない第2の質量のウラン粒子にまで減少させ、また、99Mo放射性同位体のうちの少なくともいくつかの原子を生成する、ステップと、
上記ソースを中性子に曝露させた後に、上記ソースにおける第2の質量のウラン粒子から、0.1%より少ないウランを除去し、99Mo放射性同位体の原子のうちの少なくともいくつかを上記ソースから除去するステップと、
を含み、
除去動作は、
99Mo放射性同位体を溶解させるために選択された抽出物質をコンテナに通し、それによって、上記ウラン粒子を抽出物質に接触させるステップを含み、
抽出物質は、99Mo放射性同位体を溶解させるとともにウランを溶解させないリガンドを含む超臨界二酸化炭素であることを特徴とする方法。
【請求項3】
除去動作は、上記ソースにおける第2の質量のウラン粒子から、0.01%より少ないウランを除去することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
提供動作は、
ソースの少なくとも部分が酸化ウランまたは金属ウランを含む粒子から作られているようなソースを提供するステップを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
上記ソースを曝露させるステップは、
上記ソースを入れたコンテナを中性子に曝露させるステップを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
上記ソースにおけるウランの相を変化させずに、99Mo放射性同位体の原子を溶解させる抽出物質を選択するステップを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
ウランの原子よりも99Mo放射性同位体の原子のほうが可溶性が高いような抽出物質を選択するステップを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
選択された抽出物質に基づいて上記ソースの形を決定するステップを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
ソースと抽出物質との組み合わせを選択するステップであって、上記組み合わせは、上記ソースにおいてウランを溶解させることなく、中性子への曝露の後に、上記ソースから99Mo放射性同位体を除去することを可能にする、ステップを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
リガンドは、8−ヒドロキシキノリン、α−ベンゾインオキシム、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼン 二スルホン酸二ナトリウム、燐酸塩化合物およびジケトン化合物から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
リガンドは、ヒドロキシル、カルボニル、ジケトン、アルデヒド、ハロホルミル、炭酸エステル、カルボン酸塩、エステル、エーテル、ペルオキシ、アミン、カルボキサミド、イミド、イミン、硝酸塩、シアン酸塩、チオール、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、チオシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、燐酸塩、ホスホノ基から選択される1つ以上の官能基を有することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項12】
上記コンテナからウランを除去することなく、コンテナで抽出動作および除去動作をくり返し実行するステップを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項13】
上記抽出物質から99Mo放射性同位体を除去するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
除去動作の後に、同じソースで抽出動作をくり返すステップを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項15】
99Mo放射性同位体に加えて、抽出動作中に生成された、ある量の、1つ以上の他の核分裂生成物を除去するステップを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
この出願は、PCT国際出願として2015年12月24日に出願され、また、2014年12月29日に出願された米国仮出願番号62/097,235の利益を主張し、この仮出願はその全体がここに参照によって盛り込まれる。
【0002】
〔はじめに〕
化学物質の照射および照射された化合物からの物質の分離は、放射性同位体の生産、核燃料の処理、および基本的な科学的調査を含むある範囲の技術的応用を有する。例えば、以下のものは、医学的応用を持つそれらを含むいくつかの有用な放射性同位体を記載する表である。放射性同位体のうちのいくつかは、前駆核分裂性物質から直接生成され、他のものは、他の放射性同位体の崩壊生成物である。
【0003】
【表1】
【0004】
放射性同位体の生産の現在の技術は、前駆物質の照射に関連し、この前駆物質のいくつかは、物質の全体に分布する1つ以上の放射性同位体に変換される。これには、物質の溶解と、その次の、生産された放射性同位体からの、無反応の前駆物質の分離とが続く。放射性同位体の生産の現在の公知の技術では、ターゲット物質はしばしば、カプセルに密封されて、照射位置に配置される。照射は、種々の粒子とターゲットとを用いる原子炉または加速器を用いて実行することができる。照射の後、カプセルは、遮蔽されたコンテナに配置され、そして、バッチ溶解に対する物質の高い活性と放射性同位体生成物の回収とを取り扱える化学研究所へ運搬される。
【0005】
〔目標設定結合分離〕
現在の公知の技術を用いると、照射の初期開始物質の大多数が無反応であり、そして、しばしば、照射生成物が化学的に分離可能になるように溶解させなければならない。大過剰の無反応の開始物質から極小量の照射生成物を分離するにはしばしば、溶解の後に複数の精製経路が必要になる。もし、残っている開始物質で核反応から追加の生成物を形成するような場合には、残っている開始物質は、溶解の後に、次の照射に適した形へと再形成されなければならない。これは、追加の処理ステップを要し、しばしば、潜在的な生成物のロスと追加の廃棄物の生成とを伴う。しかしながら、溶解して残っている開始物質が、追加の生産のために再形成されなければ、残っている物質は、潜在的に使用可能な(および有用な)物質のロスと追加の処分コストとの両方を示して、処分されなければならない。同位体として希少または濃縮な物質については、これは大きな費用となりうる。
【0006】
これと同じ問題は核燃料の再処理と関連しても起こりうる。これと関連して、前駆開始物質よりむしろ、核燃料は、照射後に、発電原子炉、核融合試験炉、研究炉または教育炉で処理されて、核融合反応の副産物を除去し、無反応の核燃料をリサイクルおよび/または再利用のために再処理することができる。放射性同位体の生産と類似して、抽出、イオン交換または電気化学的方法から、使用済みの核燃料の現在のリサイクルは、まず、溶液への、燃料の溶解を要する。燃料が溶解した後、残っているステップが行われ、望ましくない副産物を除去し、無反応の核燃料を再処理して燃料としての再利用のために適した形に戻す。
【0007】
本開示は、開始物質から1つ以上の所望の放射性同位体を(照射によって)生成および除去するシステムおよび方法を記載し、さらに、元の形への損傷が、もしあっても大きい損傷を生むことなく、その開始物質が複数の照射および分離動作を可能にするようなシステムおよび方法を記載する。1つの態様では、目標設定結合分離は、所定の照射生成物の回収を最適化するために、開始物質の選択(物質の物理的構造の選択を含む)と分離化学を参照する。本開示はさらに、目標設定結合分離を用いてどのようにして、同じ開始物質が次の1つ以上の照射を行う(すなわち、照射同士の間で溶解または物質を破壊するような義務を負うことがない)ことを可能にするようなやり方で、新しく生成された生成物を除去することによって、著しいコスト節約を達成できるか、を記載する。記載されたシステムおよび方法は、これを、照射および生成物同位体除去および分離動作の間で、開始物質の最小の廃棄物で、達成する。照射生成物の回収の前に開始物質の完全なまたは実質的な溶解または破壊を要する従来技術と比べて、目標設定結合分離により可能になる開始物質のくり返される再利用は、従来技術よりも、効率の著しい増加とコストの減少とを示す。
【0008】
この開示の1つの態様は、放射性同位体生成システムであって、1つ以上のコンテナであって、第1のコンテナを含み、上記第1のコンテナは、少なくとも1つのターゲット物質を含むソース物質を含んでいる、コンテナと、放射線生成器と、上記放射線生成器から放射線を受ける放射線衝撃室であって、上記放射線衝撃室は、1つ以上の上記コンテナを保持するとともに受けた上記放射線に曝露させるのに適合しており、それによって、上記放射線に対するターゲット物質の曝露の直接の生成物である少なくともいくつかの第1の放射性同位体を生成する、放射線衝撃室と、上記第1のコンテナまで抽出物質を転送させるのに適合した挿入部材であって、それによって、上記第1のコンテナ内のソース物質を上記抽出物質と接触させ、上記抽出物質は、上記ターゲット物質を溶解させることなく、第1の放射性同位体、第1の放射性同位体の娘核種である第2の放射性同位体、または、第1の放射性同位体および第2の放射性同位体の両方、のうちの1つ以上を溶解させるように選択される、挿入部材と、上記ターゲット物質を上記第1のコンテナから除去することなく、溶解した放射性同位体とともに抽出物質を上記第1のコンテナから除去するように適合された抽出部材と、を含むことを特徴とするシステムである。
【0009】
このシステムにおいて、上記ターゲット物質が核分裂性物質であり、上記放射線生成器が中性子生成器であってもよい。上記ソース物質は、核分裂性の上記ターゲット物質の直接の放射性同位体生成物の反跳距離に基づいた細孔壁幅を有する多孔性の形を有してもよい。システムはまた、溶解した放射性同位体とともに抽出物質を上記第1のコンテナから受けて、上記抽出物質から、少なくとも1種の放射性同位体のうちのいくらかを回収する回収部材を含んでもよい。システムはまた、コンテナを、上記放射線衝撃室から、上記挿入部材または上記抽出部材の一方または両方と相互作用するための別の位置へ、物理的に移動させるように適合された運搬システムを含んでもよい。上記運搬システムは、コンテナを、上記放射線衝撃室から上記別の位置へ、また、上記別の位置から上記放射線衝撃室へ、くり返し移動させるように適合されていてもよい。上記運搬システムは、複数のコンテナを、上記放射線衝撃室から上記別の位置へ、物理的に移動させるように適合されていてもよい。上記ターゲット物質は、ウランの核分裂生成物としての99Moの平均反跳距離より小さい平均粒子サイズを有する酸化ウランまたは金属ウランを含む粒子を含んでいてもよい。
【0010】
このシステムにおいて、上記抽出物質は、第1の放射性同位体、第1の放射性同位体の娘核種である第2の放射性同位体、または、第1の放射性同位体および第2の放射性同位体の両方、のうちの1つ以上を優先的に溶解させる超臨界流体および水性流体から選択されてもよい。上記抽出物質は、第1の放射性同位体、第1の放射性同位体の娘核種である第2の放射性同位体、または、第1の放射性同位体および第2の放射性同位体の両方、のうちの1つ以上を優先的に溶解させるリガンドを含む超臨界二酸化炭素であってもよい。
【0011】
上記システムは、上記システムが、上記第1のコンテナを放射線に曝露させ、上記抽出物質を上記第1のコンテナに転送し、溶解した放射性同位体とともに抽出物質を上記第1のコンテナから除去する、放射性同位体生成サイクルを、自動的に実行してもよい。また、上記システムは、上記第1のコンテナにおいて、上記放射性同位体生成サイクルを自動的にくり返してもよい。上記システムは、上記第1のコンテナを含め、複数のコンテナを処理し、それによって、上記複数のコンテナのそれぞれが放射線に曝露されてもよい。
【0012】
上記ターゲット物質は、粉末、塩、布、泡、または、液体中のコロイド懸濁液の形で、1つ以上の酸化ウランまたは金属ウランを含んでもよい。上記ソース物質は、ラジウム、または、ベリリウムに電気メッキされたラジウムを含んでもよい。上記放射性同位体の少なくとも1種は、227Ac、213Bi、131Cs、133Cs、11C、51Cr、57Co、60Co、64Cu、67Cu、165Dy、169Er、18F、67Ga、68Ga、68Ge、198Au、166Ho、111In、123I、124I、125I、131I、192Ir、59Fe、81mKr、212Pb、177Lu、99Mo、13N、15O、103Pd、32P、238Pu、42K、227Ra、223Ra、186Re、188Re、81Rb、82Rb、101Ru、103Ru、153Sm、75Se、24Na、82Sr、89Sr、99mTcおよび201Tlのうちの1つ以上から選択されてもよい。上記放射線生成器は、Pu−Beソース、252Cfソース、シールド管放射線生成器、高密度プラズマ焦点装置、ピンチ装置、慣性静電制限装置、核分裂炉および加速度破砕装置のうちの1つ以上から選択されてもよい。
【0013】
この開示の他の態様は、99Mo放射性同位体を製造する方法である。この方法は、99Mo放射性同位体を製造する方法であって、第1の質量のウランを含むソースを提供するステップであって、上記ソースは、上記ソースの利用可能な表面から、選択された距離以内に、ウラン原子の大部分があるような形である、ステップと、上記ソースを中性子に曝露させ、それによって、上記ソースにおける第1の質量のウランを、第1の質量より少ない第2の質量のウランにまで減少させ、また、99Mo放射性同位体のうちの少なくともいくつかの原子を生成し、それによって、また、99Mo放射性同位体の新規に生成された原子のうちの少なくともいくつかを、上記ソースの利用可能な表面のほうへ移動させる、ステップと、上記ソースを中性子に曝露させた後に、上記ソースにおける第2の質量のウランからウランを実質的に除去することなく、99Mo放射性同位体の原子のうちの少なくともいくつかを上記ソースから除去するステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
この方法において、除去動作は、上記ソースにおける第2の質量のウランから、0.1%より少ないウランを除去してもよく、またさらには、除去動作は、上記ソースにおける第2の質量のウランから、0.01%より少ないウランを除去してもよい。提供動作は、少なくとも部分的に、酸化ウランまたは金属ウランを含む粒子から作られたソースを提供するステップを含んでもよい。この方法は、上記ソースを中性子的に透明なコンテナに入れるステップを含んでもよい。上記ソースを曝露させるステップは、上記ソースを入れたコンテナを中性子に曝露させるステップを含み、99Mo放射性同位体の原子のうちの少なくともいくつかを除去するステップは、99Mo放射性同位体の原子のうちの少なくともいくつかを上記コンテナから除去するステップを含んでもよい。この方法は、上記ソースにおけるウランの相を変化させずに、99Mo放射性同位体の原子を溶解させる抽出物質を選択するステップをでも含んでもよいし、ウランの原子よりも99Mo放射性同位体の原子のほうが可溶性が高いような抽出物質を選択するステップを含んでもよい。
【0015】
この方法は、選択された抽出物質に基づいて上記ソースの形を決定するステップを含んでもよい。この方法は、ソースと抽出物質との組み合わせを選択するステップであって、上記組み合わせは、上記ソースに実質的に影響を及ぼすことなく、中性子への曝露の後に、上記ソースから99Mo放射性同位体を除去することを可能にする、ステップを含んでもよい。除去動作は、99Mo放射性同位体を溶解させるために選択された抽出物質をコンテナに通し、それによって、上記ソースの利用可能な表面を抽出物質に接触させるステップを含んでもよい。
【0016】
この方法において、抽出物質は、超臨界流体および水性流体から選択されてもよい。もし、抽出物質が超臨界二酸化炭素である場合は、それは、99Mo放射性同位体を溶解させるリガンドを含んでもよい。リガンドは、8−ヒドロキシキノリン、α−ベンゾインオキシム、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼン 二スルホン酸二ナトリウム、燐酸塩化合物およびジケトン化合物から選択されてもよい。代替の実施形態において、リガンドは、ヒドロキシル、カルボニル、ジケトン、アルデヒド、ハロホルミル、炭酸エステル、カルボン酸塩、エステル、エーテル、ペルオキシ、アミン、カルボキサミド、イミド、イミン、硝酸塩、シアン酸塩、チオール、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、チオシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、燐酸塩、ホスホノ基から選択される1つ以上の官能基を有してもよい。
【0017】
この方法は、上記コンテナからウランを除去することなく、コンテナで抽出動作および除去動作をくり返し実行するステップを含んでもよい。この方法は、上記抽出物質から99Mo放射性同位体を除去するステップを含んでもよく、また、その後、除去動作の後に、同じソースで抽出動作をくり返すステップを含んでもよい。この方法は、99Mo放射性同位体に加えて、抽出動作中に生成された、ある量の、1つ以上の他の核分裂生成物を除去するステップを含んでもよい。
【0018】
この開示のさらに他の態様は、放射性同位体を選択的に製造する方法である。この方法は、放射性同位体を選択的に製造する方法であって、放射性同位体を選択するステップと、選択された放射性同位体がターゲット物質から核分裂生成物として生成可能であるようなターゲット物質を確認するステップと、上記ターゲット物質における選択された放射性同位体の反跳距離を決定するステップと、選択された放射性同位体の反跳距離に基づいた粒子サイズを有するターゲット物質の複数の粒子を生成するステップと、ターゲット物質の上記粒子を中性子に曝露させ、それによって、ターゲット物質のうちの少なくともいくつかの原子に核分裂を行わせて、選択された放射性同位体の原子を生成し、また、選択された放射性同位体の新規に生成された原子のうちの少なくともいくつかを、上記ターゲット物質に相対的に、反跳距離だけ移動させるステップと、選択された放射性同位体の原子をターゲット物質から抽出するステップと、を含むことを特徴とする。
【0019】
この方法において、曝露動作と抽出動作は、ターゲット物質の相を変化させずに実行されてでもよい。この方法は、ターゲット物質の複数の粒子について、曝露動作と抽出動作とをくり返すステップを含んでもよい。ターゲット物質の複数の粒子は、中性子的に透明なコンテナの中に含まれており、上記方法は、ターゲット物質の複数の粒子をコンテナから除去せずに、ターゲット物質の、同じ複数の粒子について、曝露動作と抽出動作とをくり返し実行するステップを含んでもよい。上記粒子は、20ミクロンより小さい粒子サイズを有する酸化ウランまたは金属ウランの粒子であってもよい。一つの実施形態において、上記粒子は、およそ0.001ないし10ミクロンの粒子サイズを有する酸化ウランまたは金属ウランの粒子であってもよい。この方法において、複数の上記粒子ののうちの少なくともいくつかは、反跳距離と等しいまたはそれより小さい少なくとも1つの寸法に沿って固有の長さを有してもよい。
【0020】
抽出動作は、選択された放射性同位体をターゲット物質から優先的に抽出する溶媒に、ターゲット物質の粒子のうちの少なくともいくつかを曝露させるステップを含んでもよい。この方法は、曝露動作の前に、ターゲット物質の粒子を、固体の多孔性ソースへと処理するステップを含んでもよい。処理するステップは、ターゲット物質の粒子を、開放セル泡、開放格子、開放枠組み、セラミック、薄膜、単層、スポンジ、ナノ籠またはナノ結晶へと処理するステップを/含んでもよい。処理するステップは、ターゲット物質の粒子を、Brunauer,EmmettおよびTeller(BET)分析によって測定されたときに10m2/gより大きい表面積を有する固体の多孔性ソースへと処理するステップを含んでもよい。処理するステップは、ターゲット物質の粒子を、焼結、製粉、篩いがけ、3D印刷、結晶化、沈殿または加熱するステップのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0021】
この開示の他の態様は、放射性同位体を選択的に製造する方法である。この方法は、放射性同位体を選択的に製造する方法であって、中性子的に透明なコンテナに固体の核分裂性物質を含むソースを受けるステップであって、上記ソースは、上記固体の核分裂性物質の放射性同位体生成物の反跳距離に実質的に類似の幅を有する細孔壁を持つ多孔性の形を有する、ステップと、上記ソースを中性子に曝露させ、それによって、上記固体の核分裂性物質の少なくともいくつかの原子を、核分裂によって放射性同位体の原子に変換し、それによって、上記ソースが、放射性同位体と、変換されなかった固体の核分裂性物質とを含むようにする、ステップと、上記核分裂性物質に相対的に放射性同位体を優先的に溶解させる抽出物質を選択するステップと、上記抽出物質をコンテナに注入し、それによって、ソース物質を抽出物質に接触させるステップと、滞留時間の後に、上記コンテナから抽出物質を除去し、それによって、少なくともいくつかの溶解した放射性同位体を上記コンテナから除去し、その一方で、変換されなかった固体の核分裂性物質の実質的に全てを、コンテナに残すステップと、抽出物質を除去した後に、ソース物質を中性子に再曝露させ、それによって、変換されなかった固体の核分裂性物質のうちの少なくともいくつかの原子を、核分裂によって放射性同位体の原子に変換するステップと、を含むことを特徴とする。
【0022】
この方法は、ターゲットを中性子に再曝露させた後に、ターゲットにて注入動作および除去動作をくり返すステップを含んでもよい。この方法は、溶解した放射性同位体を抽出物質から分離するステップと、その溶解した放射性同位体を娘同位体生成器に組み込むステップと、を含んでもよい。この方法は、上記娘同位体生成器から娘同位体を周期的に引き出すステップを含んでもよい。この方法は、コンテナから抽出物質を除去した後に、少なくとも第1の所定の期間が経過するまで待つステップであって、上記所定の期間は放射性同位体の半減期に基づいている、ステップを含んでもよい。
【0023】
この開示の他の態様は、放射性同位体生成ターゲットを製造する方法である。この方法は、溶液における核分裂性物質の溶解塩を提供するステップであって、上記核分裂性物質は、中性子に曝露すると第1の指定された放射性同位体を生成することが可能であり、また、第1の指定された放射性同位体は、上記核分裂性物質に対応した反跳距離を有する、ステップと、上記溶液から上記核分裂性物質の酸化物を沈殿させるステップと、沈殿した酸化物から、第1の指定された放射性同位体の反跳距離に基づいた粒子サイズを有する粒子、すなわち個々の粒子を、選択的に形成するステップと、を含むことを特徴とする。この方法は、沈殿物を上記溶液に混合するステップを含んでもよいし、および/または、第1の指定された放射性同位体に基づいて核分裂性物質を選択するステップを含んでもよい。この方法は、選択された核分裂性物質に基づいて第1の指定された放射性同位体の反跳距離を決定するステップを含んでもよいし、および/または、10マイクロメートルと等しいまたはそれより小さい粒子サイズを有する粒子を形成するステップを含んでもよい。この方法は、1マイクロメートルと等しいまたはそれより小さい粒子サイズを有する粒子を形成するステップを含んでもよい。この方法は、100ナノメートルと等しいまたはそれより小さい粒子サイズを有する粒子を形成するステップを含んでもよいし、10ナノメートルと等しいまたはそれより小さい粒子サイズを有する粒子を形成するステップを含んでもよい。
【0024】
この方法において、形成するステップは、沈殿した酸化物を、製粉、乾燥、濾過、洗浄、焼成または焼結するステップを含んでもよい。この方法は、沈殿した酸化物の粒子をコンテナに詰めるステップを含んでもよい。コンテナは、コンテナへの溶媒の注入を可能にするのに適合した第1のバルブと、コンテナから溶媒の抽出を可能にするのに適合した第2のバルブと、を有してもよい。コンテナは、中性子的に透明でもよい。粒子を詰めるステップは、コンテナにより規定された穴に粒子を配置するステップと、コンテナを密封し、それによって、穴に粒子を捕捉するステップと、を含んでもよい。この方法は、沈殿した酸化物の粒子からセラミックを合成するステップを含んでもよい。この方法において、提供動作は、酸性溶液、塩基性溶液、水溶液およびアルコール溶液のうちの1つ以上から選択される溶液に、核分裂性物質の溶解塩を提供するステップを含んでもよい。
【0025】
この開示のさらに他の態様では、放射性同位体生成ターゲットが開示される。このターゲットは、放射性同位体生成ターゲットであって、中性子への長期の曝露による放射性同位体と、反跳距離に対応した放射性同位体とを生成することが可能なターゲット物質であって、上記ターゲット物質は、放射性同位体の反跳距離に基づいて選択された固有の距離を有することを特徴とする。このターゲットにおいて、上記放射性同位体は、ターゲット物質の核分裂の直接の核分裂生成物であってもよい。複数の粒子を含むために、中性子的に透明なコンテナを用いてもよい。コンテナは、流体の注入と抽出とを可能にする入力バルブと出力バルブとを有してもよい。ターゲットのコンテナは、本体部と、噛み合わされるとコンテナ内にターゲット物質を入れる少なくとも1つの取り外し可能な蓋部と、を含んでもよい。コンテナは、アルミニウム、アルミニウム合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、モリブデン、モリブデン合金およびステンレス鋼のうちの1つ以上から作られていてもよい。
【0026】
ターゲット物質は、コンテナにゆるく詰められたターゲット物質の複数の粒子を含み、固有の距離は、放射性同位体の反跳距離に基づいて選択された粒子サイズであってもよい。ターゲット物質は、セラミックへと形成されたターゲット物質の複数の粒子を含んでもよい。ターゲット物質は、有機金属枠組みへと形成されたまたは有機金属枠組みに接着された、ターゲット物質の複数の粒子を含んでもよい。ターゲット物質は、酸化ウランまたは金属ウランのうちの1つ以上を含んでもよい。ターゲット物質は、ゆるい粉末、布、泡または液体中のコロイド懸濁液へと形成されたターゲット物質の複数の粒子を含んでもよい。ターゲット物質は、ラジウム、または、ベリリウムに電気メッキされたラジウムを含んでもよい。ターゲット物質は、アクチニド単層の粒子を含んでもよく、そして、アクチニド単層は、ウランの単層であってもよい。ターゲット物質は、大きい表面積の金属ウランの粒子を含んでもよく、これは、Kroll処理を用いて生成されてもよい。
【0027】
この開示のさらに他の態様は、超臨界二酸化炭素の分離方法である。この方法は、第1の放射性同位体を含む複数の放射性同位体を含む照射された核分裂性物質から第1の放射性同位体を抽出する方法である。この方法は、第1の放射性同位体を含む複数の放射性同位体を含む照射された核分裂性物質から第1の放射性同位体を抽出する方法であって、超臨界二酸化炭素(sCO)に可溶性であり、第1の放射性同位体とともにキレートを形成し、核分裂性物質とともにキレートを形成しない、リガンドを選択するステップと、確認されたリガンドをsCO2に溶解させて、sCO−リガンド溶液を形成するステップと、照射された核分裂性物質を、接触時間の間、sCO−リガンド溶液に接触させ、それによって、sCO−放射性同位体錯体溶液を生成するステップと、sCO−放射性同位体錯体溶液を、照射された核分裂性物質から分離するステップと、sCO−放射性同位体錯体溶液を、照射された核分裂性物質から分離した後に、sCO−放射性同位体錯体溶液から放射性同位体を除去するステップと、を含むことを特徴とする。この方法において、sCO−放射性同位体錯体溶液から放射性同位体を除去するステップは、sCO−放射性同位体錯体溶液から放射性同位体錯体を除去するステップを含んでもよい。除去動作は、sCO2−リガンド溶液を減圧および再加圧することなく、再利用に適したsCO−放射性同位体錯体を生成してもよい。これは、sCO−放射性同位体錯体溶液を酸性溶液に接触させ、それによって、酸−放射性同位体溶液と、再生されたsCO−リガンド溶液とを生成することによって、達成されてもよい。
【0028】
この方法において、照射された核分裂性物質はコンテナに入れられ、曝露動作は、コンテナから核分裂性物質を実質的に少しも除去することなく、sCO−リガンド溶液をコンテナに通すステップを含んでもよい。この場合、コンテナが、充填層反応装置であってもよい。この方法において、照射された核分裂性物質は、ゆるい粒子の形であり、曝露動作は、コンテナ内に複数の粒子を流動化するのに十分な流速で、sCO−リガンド溶液をコンテナに通すステップを含んでもよい。この方法において、照射された核分裂性物質は液体であってもよい。
【0029】
この方法において、放射性同位体は99Moであり、核分裂性物質は235Uであり、リガンドは、ヒドロキシル、カルボニル、ジケトン、アルデヒド、ハロホルミル、炭酸エステル、カルボン酸塩、エステル、エーテル、ペルオキシ、アミン、カルボキサミド、イミド、イミン、硝酸塩、シアン酸塩、チオール、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、チオシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、燐酸塩、ホスホノ基から選択される1つ以上の官能基を有してもよい。リガンドは、フッ素化β−ジケトンおよび燐酸トリアルキル、または、フッ素化β−ジケトンおよびトリアルキルホスフィン酸化物から選択されてもよい。リガンドは、ジチオカルバメート、チオカルバゾン、β−ジケトンおよびクラウンエーテルから選択されてもよい。リガンドは、ヒドロキシル、カルボニル、ジケトン、アルデヒド、ハロホルミル、炭酸エステル、カルボン酸塩、エステル、エーテル、ペルオキシ、アミン、カルボキサミド、イミド、イミン、硝酸塩、シアン酸塩、チオール、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、チオシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、燐酸塩、ホスホノ基から選択される1つ以上の官能基を有してもよい。放射性同位体は、227Ac、213Bi、131Cs、133Cs、11C、51Cr、57Co、60Co、64Cu、67Cu、165Dy、169Er、18F、67Ga、68Ga、68Ge、198Au、166Ho、111In、123I、124I、125I、131I、192Ir、59Fe、81mKr、212Pb、177Lu、99Mo、13N、15O、103Pd、32P、238Pu、42K、227Ra、223Ra、186Re、188Re、81Rb、82Rb、101Ru、103Ru、153Sm、75Se、24Na、82Sr、89Sr、99mTcおよび201Tlのうちの1つ以上から選択されてもよい。
【0030】
この開示の他の態様は、バルク物質から放射性同位体を得る方法であって、バルク物質は少なくとも放射性同位体と核分裂性物質とを含む。この方法は、バルク物質から放射性同位体を得る方法であって、バルク物質は少なくとも放射性同位体と核分裂性物質とから構成され、上記方法は、核分裂性物質を実質的に溶解させることなく、バルク物質から放射性同位体を除去するステップと、滞留時間の間、バルク物質を抽出物質に接触させ、それによって、抽出物質と放射性同位体との混合物を生成するステップと、滞留時間の後、抽出物質と放射性同位体との混合物を除去するステップと、抽出物質から放射性同位体を分離するステップと、を含むことを特徴とする。この方法において、接触動作は、滞留時間の少なくとも一部分の間、バルク物質と抽出物質とのうちの一方または両方を撹拌するステップ、滞留時間の少なくとも一部分の間、バルク物質と抽出物質とのうちの一方または両方の温度を変化させるステップ、滞留時間の少なくとも一部分の間、バルク物質と抽出物質とのうちの一方または両方の圧力を変化させるステップ、のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0031】
バルク物質が固体であるような、方法の実施形態においては、バルク物質を接触させるステップは、滞留時間の間、バルク物質を液体抽出物質に接触させ、それによって、抽出物質と放射性同位体との液体混合物を生成するステップを含んでもよい。バルク物質が液体であるような、方法の実施形態においては、バルク物質を接触させるステップは、滞留時間の間、バルク物質を液体抽出物質に接触させ、それによって、バルク物質とは不混和性の、抽出物質と放射性同位体との液体混合物を生成するステップを含んでもよい。一つの実施形態において、バルク物質は、コンテナに格納された固体の粒子の形であり、接触動作は、ある量の抽出物質をコンテナに挿入するステップと、滞留時間の間、抽出物質をコンテナに保持するステップと、を含んでもよい。
【0032】
この方法において、抽出物質は、抽出剤と溶媒とを含んでもよい。抽出剤は、接触動作の温度と圧力の条件下で溶媒に可溶性の液体であってもよい。溶媒はsCOであってもよい。リガンドは、放射性同位体とともに、二酸化炭素に可溶性のキレートを形成してもよい。リガンドは、β−ジケトンおよび燐酸トリアルキル、または、β−ジケトンおよびトリアルキルホスフィン酸化物から選択されてもよいし、また、ジチオカルバメート、チオカルバゾン、β−ジケトンおよびクラウンエーテルから選択されてもよい。リガンドは、ヒドロキシル、カルボニル、ジケトン、アルデヒド、ハロホルミル、炭酸エステル、カルボン酸塩、エステル、エーテル、ペルオキシ、アミン、カルボキサミド、イミド、イミン、硝酸塩、シアン酸塩、チオール、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、チオシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、燐酸塩、ホスホノ基から選択される1つ以上の官能基を有してもよい。
【0033】
ここに記載したシステムおよび方法を特徴付けるこれらのおよび種々の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および関連する図面により明らかであろう。追加の特徴は、以下の説明に記載され、また一部は、説明から明らかであろうし、あるいは、この技術の実施により学習されるであろう。この技術の利点と特徴は、記載した説明とこの請求項および添付した図面から特に指摘される構造により実現および達成されるであろう。
【0034】
前記の一般的な説明および以下の詳細な説明とは、いずれも、例示的なものであり、特許請求された発明のさらなる説明を提供することを意図したものであることが理解されるであろう。
【0035】
〔図面の簡単な説明〕
以下の図面は、この出願の部分を形成し、記載された技術の図解であり、いかなる方法でも、特許請求された本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の範囲は、ここに添付された請求項に基づく。
【0036】
図1は、同じターゲットから、放射性同位体のような放射線生成物をくり返し生成する目標設定結合分離方法の実施形態を示す。
【0037】
図2は、99Mo放射性同位体の連続または準連続の生産のための目標設定結合分離システムの実施形態を示す。
【0038】
図3は、目標設定結合分離を用いての所望の放射性同位体を選択的に生成するための方法の実施形態を示す。
【0039】
図4は、目標設定結合分離におけるターゲット物質を保持するのに適したコンテナの実施形態を示す。
【0040】
図5は、放射性同位体生成ターゲットを製造する方法の実施形態をより詳細に示す。
【0041】
図6Aないし図6Cは、顆粒ターゲット物質の粒子サイズを特性評価するためのより詳細な方法を示す。
【0042】
図7は、目標設定結合分離とともに用いるのに適した一般的な分離方法の実施形態を示す。
【0043】
図8は、超臨界二酸化炭素sCOを用いる核燃料の再形成のための方法の実施形態を示す。
【0044】
図9は、いくつかの特定の放射性同位体を用いた目標設定結合分離における使用に適したリガンド、ヘキサフルオロアセチルアセトネート(「hfac」)の化学構造を示す。
【0045】
図10は、照射された核分裂性ソース物質から第1の放射性同位体生成物を抽出する方法の実施形態を示す。
【0046】
図11は、目標設定結合分離の2つの工程にわたってのソースの変化を示す物質変換サイクルを示す。
【0047】
図12は、目標設定結合分離を用いて所望の放射性同位体を選択的に生成するための方法の代替の実施形態を示す。
【0048】
〔発明の詳細な実施形態〕
図1は、ある量のターゲット物質から放射性同位体のような照射生成物をくり返し生成する目標設定結合分離の実施形態をハイレベルで示す。示された方法10では、ある量のターゲット物質が、所望の照射生成物を生成する照射動作12で照射される。照射動作12の後には、照射後のターゲット物質の量を実質的に減少させることなく所望の生成物がターゲット物質から除去される分離動作13が続く。(以下により詳しく議論する通り、「実質的」との言葉は、ときには、どの分離技術も完全でなくて実際に少量または極小(de minimis)量のターゲット物質が分離動作14中に除去されうることを読者に気づかせるために、分離動作14の後に照射された物体の中に残っているターゲット物質の量を参照するときに用いられる。)所望の生成物は、ターゲット物質からの除去の後に、次の処理および用途へと付されてもよい。例えば、一つの実施形態において、ターゲット物質は、多孔性の固体の物体に組み込まれ、そして、生成物については溶解させるけれども、残っている照射後のターゲット物質については、溶解も物体からの除去も、もししたとしても実質的にはしないような、液体溶媒を用いて生成物が除去される。照射動作12および分離動作14は、その後、残っているターゲット物質についてくり返される。方法10は、任意の回数だけくり返されてもよく、また、理想的なシステムでは、ターゲット物質が完全に消費されるまでくり返されてもよい。しかしながら、現実的には、数回くり返した後、別のサイクルでターゲット物質を再利用するよりも、ターゲット物質を処分したほうが経済的であろうと推定される。より詳細な多くの実施形態が可能であり、そのいくつかを以下に議論するが、図1は、さらなる議論のために便利な基準点を提供するために、また、以下により詳細に議論する概念と用語とを導入するために、簡素化された実施形態として示されたものである。
【0049】
上で議論した通り、目標設定結合分離では、ターゲット物質は、1つ以上の照射動作に付される。「ターゲット物質」は、その用語がここで用いられるときには、照射動作で用いられる特定の放射線に曝露したときに、1つ以上の照射生成物の生成が結果として得られるような物質を参照する。実施形態に応じて、用いられる放射線は、アルファ粒子、ベータ粒子、ガンマ線、X線、中性子、電子、陽子、および、核反応生成物を生産することができる他の粒子を含んでもよい。任意の特定の照射動作において、ある量のターゲット物質が照射生成物に変換され、その結果、ターゲット物質の質量が減少し、照射生成物の質量が新しく生成される。
【0050】
一つの実施形態において、目標設定結合分離は、照射されたターゲット物質から1つ以上の所定の所望の生成物の回収を向上させるように仕立てられてもよい。所望の生成物は、操作者が分離動作14で照射の後にターゲット物質から除去したい直接または間接の照射生成物を参照する。実施形態に用いられる放射線およびターゲット物質の組み合わせに応じて、照射によって、望まれない反応生成物も生成する可能性もあり、これは、分離動作14でターゲット物質から除去されない可能性がある。例えば、放射線が中性子の形であってウラン−235(235U)を含むならば、核分裂生成物のうちの一つは、モリブデン同位体、99Moであろう。照射後、99Moの原子はターゲット物質の内部に分散し、各99Mo原子は、照射の前に存在した1つのウラン原子に由来するであろう。しかしながら、中性子照射の性質に起因して、照射後のターゲットには他の多くの核分裂生成物も存在して、それぞれが、核分裂したウラン原子から生産された原子をも示すであろう。一つの実施形態において、この99Moは、所望の生成物であり、その後、分離動作14で除去され、一方、他の核分裂生成物は除去されず、次の照射中にターゲット物質と一緒に残る。
【0051】
目標設定結合分離は、より大きな塊のソース物質に組み込まれてもよい。ソース物質は、照射動作で放射線に曝露してターゲット物質のうちの少なくともいくつか(以下でより詳細に議論する通り、直接または間接に)を、所望の生成物(以下で議論する通り、またはその親)へと変換することができるような、単一の物体または別々の塊に形成されていてもよく、ときには、ここでは単に「ソース」と称す。ターゲット物質に加えて、ソース物質は、損傷の生成物を生産するための照射に反応しない物質を含んでもよい。このような物質は、照射に完全に無反応性であってもよいし、所望の生成物以外の何かを形成してもよい。適切には、照射されたときに所望の生成物を形成しないソース物質の任意の成分を参照するために、用語「補助物質」が用いられてもよい。補助物質は、例えば、痕跡汚染物質、ソース物質に存在してターゲットに対する物理的構造を提供する物質、または、ターゲットの以前の照射の収穫されていない生成物、を含むことができる。
【0052】
図11は、目標設定結合分離の2つの工程にわたるソースの変化を示す物質変換サイクルを示す。物質変換サイクル1100は、ある量のソース物質1102で開始し、これは、示した実施形態において、ある量のターゲット1120と、他のある量の補助物質1122とを含む。ソース物質のターゲットと補助物質とは、別々の箱として示しているが、図11はターゲットと生成物とのサイクルの説明目的のものであって、図11の成分は、ターゲットと補助物質との実際の量または比、ターゲットと補助物質との混合、および/または、ソースの構造を示しているのではないことは理解されるべきである。(図1の照射動作12のような)照射動作は、ソース物質1102を、照射されたソース物質へと変化させ、そこでは、ある量のターゲット物質1120が照射生成物1124に変化する。説明目的のために誇張しているが、図11において、ターゲット物質1120のほぼ半分が、ある量の照射生成物1124に変化する。生成物1124は補助物質であると考えられるので、図11は、ソース1104中の補助物質の質量の相対的増加と、ターゲット物質1120の量の相応の減少とを示している。
【0053】
特に核分裂反応では、照射の直後の結果は直接の照射生成物のスペクトルであり、その照射生成物のうちにいくつかが、時間とともに、その後、間接の生成物へと崩壊してもよく、これが、それ自身、さらに、他の間接の生成物へと崩壊してもよい、ということを、読者は気づくであろう。したがって、照射生成物1124の正確な構成は、種々の直接および間接の生成物が崩壊するにつれて、時間とともに、変化してもよい。しかしながら、この議論の目的のために、図11は、直接の照射生成物と間接の照射生成物とを区別しておらず、また、照射生成物の構成が時間とともにどのように変化するのかを追跡する試みもしていない。
【0054】
サイクル1100はさらに、照射されたソース物質1104に対する(図1の分離動作14のような)第1の分離動作の効果を示す。分離の結果、所望の生成物1126のうちの特定の量が、照射されたソース物質1104から除去される。再び、説明目的のために誇張して、図11は、生成物のうちのいくつかを除去された、分離後のソース1106を示し、これにより、分離後のソース1106は、相対的に少ない補助物質を有し、しかし、ターゲットの量は、照射されたソース物質1104におけるのと同じままである。これは、分離動作が、ソース内のターゲット物質1120の質量に対して、効果が全く無いか、効果が実質的に無いことを、図解的に示している。
【0055】
図11は、いくつかの照射生成物1124が分離後にソース1106に補助物質1122として残る可能性があることも示している。これは、分離が100%の効率ではないこと、または、照射生成物1124の全てが必ずしも所望の生成物とは限らないので分離動作では意図的にそのような生成物を除去しないこと、またはその両方が理由となる可能性がある。
【0056】
図11は、さらに、ソース物質に対する照射動作と分離動作の別の組を示している。図11は、別の照射されたソース1108を示し、これは、前駆ソース物質1106のうちのある量のターゲット物質1120が、この別の照射動作によって、生成物1124へと変換されることを示している。その後、この別の照射動作は、所望の生成物1126のうちのいくらかを除去することによって、この別の照射されたソース1108の全体の質量を減少させるが、しかし、ソース物質1108中のターゲット物質1120の質量は変化させない。その結果得られる、この別の照射後のソース物質1110は、その後、図面の底に矢印で示すように、次の照射動作および分離動作の用意が出来ている。
【0057】
上述したように、図11は、説明目的のために誇張されている。しかしながら、これは、目標設定結合分離の特定の態様を明確に示している。具体的には、これは、ターゲット物質1120が、照射動作によって生成物1124へと変換され、ある量の生成物1126が除去され、ただしどのターゲット物質1120も実質的には除去しないことを示している。したがって、同じソースを照射動作および分離動作のくり返しに付すことによって、ソースのターゲット物質1120は、それが完全に生成物1124へと変換されるようなときまで、または、処理をくり返すのがもはや経済的でなくなるまで、消費されることができる。
【0058】
図11はさらに、生成物1124の必ずしも全てが分離動作によって除去されない可能性もあることを示している。これは、異なる理由により起こりうる。各分離で、所望の生成物1126のうちのできるだけ多くを除去するのが好ましいが、照射生成物1124の必ずしも全てが所望の生成物1126であるとは限らない、および/または、所望の生成物1126の必ずしも全ての除去が、技術的に現実的または可能であるとは限らない。したがって、設計次第(例えば、望まれない生成物の除去を回避または減少させるために抽出物質を適切に選択することによって)で、以前の照射動作からの(望まれない生成物のような)生成物1124が、ソース物質に残ってもよい。すべての生成物の除去について、分離動作が100%の効率ではなく、したがって、ソース物質にいくらかの所望の生成物を残すようにすることもできる。
【0059】
上で議論したように、ターゲット物質は、直接または間接に、照射で所望の生成物を形成できる任意の1つ以上の同位体または成分を含むことができる。「直接または間接」との用語は、ここでは、いくらかの所望の同位体はターゲット物質の直接の照射生成物でありうる一方で、他の所望の生成物は直接の照射生成物の自然崩壊によって生成されうるということを読者に指摘するために用いられる。例えば、99Moは、235Uの多くの直接の核分裂生成物のうちの一つである。すなわち、235Uの塊の熱中性子核分裂において、235Uの原子のうちのいくつか(正確には6.1%)が、99Moを含めて、99の質量を持つ原子へと直接変換される。235Uの原子のうちのその他は、135Iおよび157Gdのような他の生成物に変換される。しかしながら、多くの直接の核分裂生成物が不安定であり、その半減期に基づくある期間の後には、自然に崩壊し、間接の生成物になる。例としてもう一度99Moを用いて、99Moは、65.94時間の半減期を持ち、まず99mTcへと崩壊する。同位体99mTcは、6.01時間の半減期を持ち、99Tcへと崩壊する。したがって、99Moは、235Uの直接の核分裂生成物である一方、99Tcは、間接の生成物である。99Tcは、直接の核分裂生成物でもあって、ただし99Moとは異なる、独立した核分裂収率を有していることに注意すべきである。所望の生成物は、ターゲットの照射からの直接の生成物と、ターゲットの同じ照射の異なる直接の生成物の崩壊によって生成された間接の生成物との両方であってもよいことに注意すべきである。ターゲット物質は、物質の自然の形、金属、合金、金属間化合物、水素化物、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、カルコゲニド、窒化物、燐化物、炭化物、ケイ化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、過塩素酸塩、ホウ化物、ヒ酸塩、亜ヒ酸塩、燐酸塩、亜硝酸塩、ヨウ素酸塩、塩素酸塩、臭素酸塩、亜塩素酸塩、クロム酸塩、シアン化物、チオシアン酸塩、アミド、過酸化物、有機錯体、混合種、三元化合物、四元化合物またはそれ以上、またはこれらの化合物のうちの任意のものの組み合わせを含むことができる。
【0060】
ソース物質は、ソース物質の物理的な形の著しい変化(所望の生成物のうちのいくつかまたは全てを除去すること以外)を行うことなく、ターゲットから所望の生成物の分離が可能になるような、種々の構造、形または形態学を取ることができ、したがって、以前に照射されたソース物質が、実質的な再処理なしに、次の照射を行うことを可能にする。形態学、形および形状は、シート、モノリス、ゾル−ゲル、セラミック、ポリマー、金属相、粒子、球、層、集合体、結晶相、金属−有機枠組み(framework)、繊維、沈殿物、管、ミセル、スポンジ、かご、粉末、顆粒、懸濁液、スラリー、乳濁液、多孔性粒子およびコロイドを含むことができる。
【0061】
さらに、図4および図5を参照して以下により詳細に述べるように、ソース物質の物理的形または形態学は、分離動作14の性能または効率を改良するために、例えば選択された抽出物質または処理に適するためにソースにおいてターゲット物質の形を仕立てることによって、選択または変化してもよい。例えば、超臨界の二酸化炭素とリガンドとの混合物のように、固体のターゲット物質と液体または気体の抽出物質との間の接触を改良するために、ソース物質の特に高い表面積の形を用いてもよい。あるいは、照射の効果を利用できるように、ソース物質のある形を選択してもよい。例えば、いくらかのウラン燃料(例えばセラミックおよび金属燃料)は、原子炉での照射の後には多孔性になることができ、これは、分離の一部として残っているソース物質がもしあっても、そのうちのほとんどまたは全てを溶解させるまたは破壊する必要なしに、ターゲットからの生成物の分離のためおよび次の再照射のためのターゲットを調製することができる。
【0062】
一つの実施形態においては、ソースは、ターゲット物質を含む固体片または構造であってもよいが、ここで議論する多くの実施形態において、ターゲット物質は、ターゲット物質を少なくとも部分的に入れるコンテナに含まれてもよい。例えば、一つの実施形態において、ソース物質は、微粒子または小球状化(ペレット化、造粒)された形でもよく、コンテナは、図1の動作のうちのいくつかのまたは全ての間にソース物質を保持するように提供されていてもよい。ソース物質の物理的形に応じて(例えば、集合体、粉末、液体など)、物理的な制約を提供するようにコンテナを用いてもよく、また、取り扱いやすいように接触点を提供するようにコンテナを用いてもよい。加えて、コンテナは、分離動作14を簡素化するために適合されてもよい。図4を参照して、適したコンテナの実施形態がより詳細に議論されている。以下にさらに議論するように、多孔性のターゲット物質の形は、3D印刷、泡、型、微粒子、焼結微粒子などによって、製造または選択されることができる。
【0063】
図1に戻って、照射動作12の一つの実施形態において、ターゲット物質のうちの少なくともいくらかが所望の生成物に変換されるようにする放射線に、1つ以上のソースを曝露させる。放射線生成器は、原子炉、粒子加速器、電子加速器、プラズマ焦点装置、ピンチ装置、および/または、シールド管中性子生成器を含むことができる。加速器は、原子炉粒子を直接に供給でき、または、反応から粒子を生産するのに用いられることができる。一つの実施形態において、照射動作12は、ソースが放射線に安全に曝露するような制御された環境に、ターゲット物質を含む1つ以上のソースを配置することを含んでもよい。例えば、放射線が中性子を含む一つの実施形態において、ソース物質を、中性子生成器から中性子を受ける中性子衝撃室の中に配置することによって、または、ソース物質を、その中に通すことによって、曝露が達成される。
【0064】
分離動作14において、曝露されたソース物質は、ソース中の残っているターゲット物質を実質的に溶解も除去もせずに、所望の生成物を除去するように、処理される。一つの実施形態において、これは、以下のような抽出物質、すなわち、所望の生成物を優先的に溶解するが、ターゲット物質と補助物質は、それらがもしあれば、不溶性であるか、または、所望の生成物と相対的に、実質的に可溶性が減少するような、液体などの抽出物質と、ソース物質のうちの利用可能な表面とを、接触させることを含んでもよい。代替の実施形態において、ソース物質から所望の生成物を優先的に除去するような、何か他の分離技術を用いてもよい。ソース中のターゲット物質は、追加の所望の生成物を生成するための次の照射に適した形で、残される。
【0065】
読者は、完全な分離システムはなく、また、ある痕跡程度の量のターゲット物質は、分離動作14中に抽出物質で、意図せず、巻き込み、溶解および/またはあるいは除去されうることを理解するだろう。上述の通り、「実質的」との用語は、ときには、質量で、少量または極小(de minimis)量(0.01%より少ないことが予想されるけれども0.1%より少ない)のターゲット物質が実際に分離動作14中にソースから除去されうることを読者に気づかせるために、分離動作14の後にソース物質の中に残っているターゲットの量を参照するときに用いられる。
【0066】
上で導入して以下で議論する技術は、放射性同位体や他の核分裂生成物などの種々の所望の生成物に対して実施できるが、この開示は、主に、ターゲットとして核分裂性物質を含むソース物質からの1つ以上の核分裂生成物をくり返し生成して除去するシステムおよび方法と関連して目標設定結合分離システムおよび方法を議論する。より具体的には、この開示は、主に、ターゲットとして235Uを含むソース物質の粒子から所望の生成物として99Moをくり返し生成して除去するシステムおよび方法と関連して目標設定結合分離システムおよび方法を議論する。ウランの核分裂時に、99Mo生成物は、核分裂生成物として生産される多くの同位体のうちの一つである。99Mo生成物は、ソースからターゲット物質を除去する必要も、分離を促進するためにターゲット物質の形を変化させる必要もなく、ウランターゲットから容易に除去できるモリブデン特有の種の形成によって、ウランから分離できる。ソースからの分離を促進する、適したモリブデン種の例は、溶解によって除去可能なMo2−、または、揮発によって除去可能なMo(CO)を含む。
【0067】
読者は、99Moと関連して記載された技術が、適切なターゲット物質に中性子を照射することによって直接、または、適切なターゲット物質に中性子を照射して所望の生成物の放射性同位体親を形成してその親の崩壊を可能にすることによって間接に、表1に挙げられたもののような、任意の核反応生成物を生成する用途に適合できることを理解するだろう。より一般的には、ここに記載した目標設定結合分離方法およびシステムは、中性子照射だけでなく任意のタイプの照射を用いてターゲット物質の照射によって得られうる任意の所望の生成物を生成するのに適合していてもよい。
【0068】
図2は、再びハイレベルで、目標設定結合分離の実施形態を示す。示されたシステムは、235Uを含むターゲットから99Mo放射性同位体などの生成物の連続または準連続の生産に適合している。
【0069】
システム200の実施形態は手動動作を含んでもよいが、システム200は、特に、自動化に適し、全体の処理は、ターゲットが消費されるようなときまで、または、ターゲットから99Moのさらなる生成が非経済的であるような程度にまで、望ましくない副産物で汚れるようなときまで、連続的または準連続的に99Mo生成物を生成する、自動化されたシステムとして実施してもよい。例えば、235Uのいくつかの核分裂生成物は中性子毒(135Xe、149Smおよび151Smなど)であり、もしこれらの生成物が、継続的な再照射の間、ソース物質で蓄積が可能になると、各照射からの所望の生成物の次の収率が減少するだろう。このときでさえ、一つの実施形態において、利用可能なすべての、または、所望の量のターゲット物質が消費されるまで、古いソース物質は自動的に格納され、新しいソース物質がシステムに配置されてもよい。
【0070】
システム200は、中性子生成器202、中性子衝撃室204、運搬システム206(コンベヤタイプシステム206として図示)、分離システム208(これは、この実施形態において2つの部材を有し、それは、挿入部材210と抽出部材212である)、随意的な処理システム228、生成物格納システム224、および、抽出物質の供給源またはソース226、を含む。ウランを含む複数のソース214が分離システム200による種々の動作を行って、矢印220および222によって示されるようにコンベヤタイプシステム206の方向に移動するのが示されている。
【0071】
示された実施形態において、中性子生成器202は、適切な任意の中性子生成器とすることができる。例は、Pu−Beソース、252Cfソース、シールド管中性子生成器、高密度プラズマ焦点装置(dense plasma focus device)、ピンチ装置(pinch device)、慣性静電制限装置(Inertial electrostatic confinement device)、核分裂炉、または、加速度破砕装置(accelerator spallation device)を含むことができる。
【0072】
中性子衝撃室204は、中性子生成器202から中性子を受け、室204内の任意のソース214を中性子衝撃に曝露させる。室204は、ソースの出入りを可能にするように設計された複数の部材を含んでよい。室204は、室204自体の外側環境へのまたはシステム200の閉じ込め部の外側への、遊離中性子の放出を減少させるように構成されていてもよい。室204は、その内部でソースが中性子に曝露されるような照射区域を含んでもよい。照射区域は、同時刻に所望の数の任意のソースに放射線を照射するようなサイズとしてもよい。示した実施形態において、コンベヤ206により、ソースが照射区域を通る。
【0073】
ソースが照射区域に入ってそこを通る運搬速度が、中性子に対するソースの全曝露を、ある程度決定するので、運搬速度は、中性子生成器202の中性子束に基づいてターゲットの照射の所望の量を達成するように選択されてもよい。ソースの運搬は連続(ソースが連続的に動く)、非連続(運搬システム206が開始および停止して所望の速度を達成する)、または、それら2つの組み合わせ(例えば、衝撃室204を通る連続移動ではあるが、所望の量の分離が得られてその後運搬が再開されるまで、ソースは分離システム208に保持される)でもよい。速度は、一定、減少、断続的、または、ターゲット物質の照射への量を確認するのに用いることができる、中性子束または他の任意のパラメータの監視に基づき、変化してもよい。照射区域での照射の量レベルは、特定のソースに対して、または、1つのソースから、照射区域に導入された隣のソースへ、一定である必要はないことを理解すべきである。すなわち、中性子生成器202は、時間とともに一定の中性子束を有していなくてもよい。この状況では、中性子束が監視され、また、運搬速度は、所望の照射結果を達成するのに必要なように変化してもよい。
【0074】
新しいソースが照射区域に入るときには、ソース物質には、生成物はほとんどないか、全くないか、望まれない量の生成物があるかである。照射区域での時間を考慮すれば、ウラン原子と中性子との相互作用によってウラン原子のうちのいくつかが核反応を行うので、核反応生成物の濃度は、ソースで増加する。ソースが、所望の照射時間または被曝量に対して曝露してそれゆえ各ソースに99Moを含む核分裂生成物の指定された量を生成するように、照射区域での、コンベヤのスピード、停止点および/または中性子束が調整されてもよい。その後、ソースは、コンベヤ206のさらなる移動によって照射区域から除去され、分離システム208を通る。
【0075】
分離システム208は、一緒に抽出物質をソースに通して、ソースの照射後のウラン含量を実質的に減少させることなくソースから99Mo放射性同位体生成物の原子の少なくともいくつかを除去させる、部材を参照する。分離システム208は、抽出物質供給源226から抽出物質を得て、照射されたソース物質を抽出物質に接触させ、その後、ソース物質から(少なくとも99Mo生成物に沿って)抽出物質を除去する。図11に図解的に示すように、分離システム208は、ソースにおけるターゲット物質の質量を、もし減少させたとしても、実質的には減少させず、むしろ、もっぱら、または主として、所望の生成物だけを除去する。一般的に、99Mo放射性同位体生成物を抽出物質に溶解させるために、および、照射後のターゲット物質の全部の質量を、抽出物質から分離されたソース物質に実質的に保持するために、(生成物物質を含めて)照射されたソース物質に、抽出物質が導入されてもよい。分離を実行するのに用いられる抽出物質の化学は、ターゲット物質および所望の生成物に対して仕立てられてもよく、また、抽出物質の化学は、実施形態に応じて、水溶液、有機相、イオン性液体、臨界流体、流動層、反応性ガス、熱処理またはそれらの組み合わせを用いることができる。しかしながら、この実施形態において、分離システム208は、照射されたターゲット物質と接触して配置されて今やある量の99Mo生成物を含んでいる抽出物質を用いている。一つの実施形態において、抽出物質は、ウランターゲットを溶解させることなく、または、好ましくは、他の核分裂生成物などの他の任意の副産物を含む補助物質のうちのいずれをも溶解させることなく、99Moを優先的に溶解させる。代替の実施形態において、所望の生成物は、実際に、複数の核分裂生成物であり、また、抽出物質は、ソース物質における残っているターゲット物質に実質的に影響を及ぼすことなく、優先的に、所望の生成物のすべてを同時に溶解させる。さらに他の実施形態において、種々の生成物を除去するために、別個の接触動作にて、順次、複数の異なる抽出物質が用いられる。さらに他の実施形態において、種々の所望の生成物を除去するために、単一の接触動作にて、複数の異なる抽出物質が用いられる。
【0076】
除去された生成物は、その後、抽出物質から回収され、必要であれば、使用可能な形へと処理され、さらなる照射のために運搬システム206へ戻る。示した実施形態において、生成物は、生成物格納システム224へ出力される。生成物の回収は、分離システム208によって実行され、最後の、生成物の、使用可能な形が、格納システム224によって格納されてもよい。代替の実施形態において、生成物と抽出物質との混合物は、別個の回収システム(図示せず)によるさらなる処理のために格納システム224に格納され、この別個の回収システムは、システム200に対して局所的でもよく、システム200から離れていてもよい。
【0077】
図2に示した実施形態において、分離システム208の第1ステージは、挿入部材210である。示した実施形態において、ターゲットは、ある量のターゲット物質を入れるコンテナ214に含まれ、挿入部材210は、抽出物質をコンテナに転送する機器を参照する。挿入部材は、抽出物質をコンテナに転送するのに適合し、それゆえ、第1コンテナ内のソース物質を抽出物質と接触させる。一つの実施形態において、抽出物質は、ターゲット物質を溶解させずに、所望の生成物を溶解させるように選択される。抽出物質のコンテナへの転送は、加圧して抽出物質をコンテナへ注入すること、抽出物質の貯蔵庫に開いているコンテナへ真空を適用すること、重力で抽出物質がコンテナへ流れることを可能にすること、開いたコンテナを、抽出物質のプールに沈めること、または、抽出物質がコンテナへ転送するような他の任意の技術、のうちの1つ以上を含んでもよい。挿入部材210は、1つ以上のバルブまたはコンテナに提供された他のアクセスポイントを通すなどして、コンテナにアクセスして、抽出物質をコンテナに運搬する。この技術では知られているように、流体をコンテナに挿入する様々な多くの方法があり、任意の適した方法を用いてもよい。
【0078】
一つの実施形態において、抽出物質は、コンテナ中に、適切な滞留時間、維持される。滞留時間のなかの一部または全部の間に、コンテナは、抽出物質の加熱、冷却、加圧、減圧、撹拌、循環、および/または、ソース物質からの生成物の除去を改良するための所望されるような二次照射のような、追加の処置を付される。例えば、一つの実施形態において、ソース物質は、ゆるい微粒子または粉末であり、抽出物質は、加圧して、コンテナへくり返し流れ(循環)(例えば、コンテナの一端のバルブに流れ込み、コンテナの他端のバルブから除去される)、それによって、コンテナは、一時的に充填層反応装置(packed bed reactor)となり、または、もしコンテナを通る流速が十分であれば、流動層反応装置(fluidized bed reactor)になる。これらの実施形態において、抽出物質をソース物質と
接触させることは、そのコンテナからターゲット物質を実質的に除去することなく、またある場合には、コンテナから、所望の生成物以外のいずれのソース物質をも除去することなく、実行される。
【0079】
適切な滞留時間の後、分離システム208の抽出部材212は、抽出物質をコンテナから除去し、除去された生成物も含めて、抽出物質を処理システム228へ通す。挿入部材210のように、コンテナに抽出物質を挿入するための上述のものを含めて、抽出物質と生成物との混合物を除去する任意の適した技術を用いてもよい。抽出溶液は、生成物を混ぜるまたは運ぶことができる。あるいは、(抽出方法および動作パラメータを含めて)抽出溶液は、生成物を溶解するように選択されることができる。
【0080】
処理システムは、抽出物質から、溶解された99Mo生成物を分離してもよい。この議論の目的のための分離システム208の一部と考えられる処理システム228および/または処理後システム(図示せず)は、除去された生成物を精製して使用可能な99Moまたはさらなる崩壊生成物にし、これはその後、生成物格納システム224に格納される。例えば、一つの実施形態において、99Mo生成物は、最終処理ステップとして、分離システム208によって、同位体生成器に組み込まれてもよい。抽出物質は、抽出物質によって拾得された、望ましくない任意の副産物または痕跡ソース物質の除去によってなどで、再利用のためにさらに再生されてもよい。しかしながら、再生は随意的であり、分離システム208は、99Mo生成物の回収の一部として、抽出物質を再生してもしなくてもよい。抽出物質は、挿入部材210による再利用のために、抽出物質供給源226に戻ってもよい。あるいは、抽出物質は、システム200からの廃棄物および/または除去のために処理されてもよい。例えば、抽出物質の一部としてsCOを用いる一つの実施形態において、処理システム228は、分離の間に超臨界状態にあるsCOと、分離システム208に戻されたリサイクル済みのsCOとを、維持してもよい。
【0081】
99Mo生成物の精製は、痕跡量のターゲット成分または同位体の除去、核反応からの他の生成物の除去、および/または、ソース物質からの生成物の分離に用いられる分離化学物質の除去、を含んでもよい。精製方法は、既存の技術に基づいており、カラムクロマトグラフィー、重力分離、蒸留、蒸発、遠心分離、沈殿、イオン交換、吸収、濾過、および溶媒抽出を含む任意の1つ以上の適切な技術を含むことができる。これらの方法は、自動化された化学システムで実行できる。
【0082】
加えて、抽出部材212はまた、さらなる照射のためのソース物質を調製するための1つ以上の再生動作を実行することもできる。このような再生は、残っているソース物質を、揮発性の、酸性の、または塩基性の溶液、加熱、真空下での処理、ガス散布、溶液での洗浄、または、他の任意の処理、または、これらの処理のうちの任意のものの組み合わせを含むことができる。再生動作は、図2に示すように、抽出動作と同じ位置で起こすことができるし、同じ機器を用いてもよい。例えば、抽出部材212は、ソース再生を実行してもよく、また、その容量で、ソース再生部材であると考えられてもよい。代替の実施形態(図示せず)では、ソース再生動作は、独立のソース再生動作(図示せず)などのように、異なる位置で起こることができ、および/または、別個の機器を使用することができる。
【0083】
目標設定結合分離のいくつかの実施形態は、同位体生産の既存の方法と比べて利点を有しうる。ターゲットを含むソースの再利用はこの点で特性である。ターゲットは、濃縮されたまたは希少な同位体からなるので、実施形態は、減少した調製および/または再生費用でターゲットを再照射する用意ができている経路を提供してもよい。さらに、種々の実施形態において、生産された同位体生成物をソースから分離することは、実質的に、(照射によってターゲット物質のうちのある量の変換の後で)ソース中のターゲット物質の量を減少させないし、ソース物質からまたはコンテナからさえも、ターゲット物質が除去されることさえ要しない。理解される通り、ターゲットの溶解は、廃棄物の形成の結果となり得、これは、放射性物質を用いた著しい費用を示しうる。ターゲット物質は、溶解の後に回収されて新しいソースへと再形成されてもよく、不完全な再形成によるターゲットのロスおよび/または再形成のコストは、製造コストへの影響および廃棄物形成を有しうる。そして、ターゲット物質から新しいソースへの再形成に関する余分なコストは言うまでもない。
【0084】
目標設定結合分離の実施形態は、既存の原子炉または加速器中心に組み込まれることができ、それによって、しばしばこれらの設備に含まれるおよび/または伴う現在のインフラを利用する。この利用は、潜在的は生産の開始を減少させること、および/または、既存の照射設備のコストを変化させること、に役立つことができ、また、同位体生産中心の、より広い分布という結果になることに役立つことができる。
【0085】
加えて、システム200の自動化されたまたは手動の実施形態は、既存の機器または設備に容易に設置しうる。例えば、実施形態は、原子炉、加速器中心、ターゲット/生成物化学物質処理機器などを実行および/またはサポートする機器の任意の部材または組み合わせを含んでもよい。実施形態は、所望の同位体を生産するために、粒子加速器または原子炉と組み合わせることができる。加速器または原子炉は、工業用途と同様に、診断および治療医学的応用の範囲に対し、異なる同位体を生産する。ターゲット物質、その形態学、および分離化学の調整によって、実施形態は、これらの既存のものへの同じまたは類似の設備において医学的応用のための生成物同位体の範囲を生産するように調整されることができる。実施形態は、既存の化学物質自動化ツールを組み込むことができる。これらの自動化ツールは、ターゲットからの生産された放射性核種生成物の分離、分離された放射性核種の精製、および、再照射の前にソースの任意の調製および/または再生に適用されることができる。
【0086】
システム200の最終の放射性同位体生成物は、既存の生成器に統合されることができる。これらの生成器は、医学的応用のための放射性核種を提供するために、医学的設備に分配されることができる。分離システム208により用いられる処理は、生成器の使用のための所望の条件に合うために、生産された同位体の化学と溶液状態を調節するように選択されることができる。
【0087】
放射性同位体生成物は、生産された種の半減期の制限を部分的な要因として、時間に敏感であるので、その調製または最終の使用位置の近くで生成物を生産することは、医学的またはその他の応用に対するそれらの利用可能性を増加させることができる。加えて、および/または、代替的に、分離および同位体生産を自動化する能力は、生産速度を増加させ、潜在的な作業者線量を減少させるのに役立つことができる。ターゲットおよび/または廃棄物の高い活性は、それらの取り扱いに関係する作業者への放射線線量に帰着しうる。それゆえ、システム200および方法10の実施形態は、より短い照射時間と、分離および/または再形成の自動化とを結合することができ、また、ターゲットの再利用での廃棄物処理を減少させることができ、それによって、物質の取り扱いに起因する潜在的な作業者線量を減少させるのに役立つ。
【0088】
図2に示す実施形態において、コンベヤ206は、中性子衝撃室から、挿入部材210または抽出部材212のうちの一方または両方との相互作用のための、異なる位置へ、ソースを物理的に移動させる運搬システムである。運搬システム206は、システム200の他の部材の環境に対して開いていてもよく、または、代替的に、運搬システム206の周りの放射線放出を減少させるために、入れられ、および、ことによると、遮蔽されていてもよい。例えば、図2に示すように、コンベヤベルトのような運搬システム206の一部分は、他の部材とシステムのうちのいくつかまたは全てを通して物理的に移動してもよい。あるいは、運搬システム206は、運搬システムからコンテナを受けてそれを運搬システムに返却するための、それ自身のコンテナ取り扱い機構がそれぞれに備えられているような、種々の部材およびシステムの間でコンテナ214を単純に転送させてもよい。代替の実施形態において、限定されないが、ベルト、シュート、ダイバータ式ゲート、バケットエレベータ、エア式運搬機、スクリューコンベヤなどを含む、ロボティクスまたは他の任意の適したコンテナ取り扱いまたは転送のシステムのような、コンベヤ以外の他の運搬システムが用いられてもよい。
【0089】
コンベヤ206は、準連続的なやり方(例えば、コンテナがシステムや部材によって稼働中である一方で、コンベヤは周期的に停止する)、または、連続的なやり方で、動作してもよい。代替の実施形態において、システム200は、バッチ分離により追随されるバッチ照射、例えば、バッチとしての複数のソースおよび/またはコンテナの照射によって、生成物を生産してもよい。照射されたコンテナは、連続的に、または、1つ以上のバッチまたはコンテナのセットにて、生成物抽出のために処理されてもよい。図2は、個々のコンテナのバッチ分離により追随される実質的に連続な照射を示しているが、バッチまたは実質的に連続な照射と、バッチまたは実質的に連続な分離との任意の組み合わせが、必要に応じて使用されてもよい。
【0090】
目標設定結合分離システムの多くの異なる構成が可能であり、そのすべてが、この開示の範囲内であると考えられる。例えば、一つの実施形態において、手動の転送動作に有利になるように、コンベヤ206は除去してもよい。この実施形態において、操作者は、手動で、または、遠隔制御で、システム200の種々の部材間で、ソースを移動させる。さらに他の実施形態において、システム200の種々の部材は、ソースは移動せず、むしろ、異なる部材が、処理の間、異なる時刻に、静止したソースと相互作用するように、設計される。さらに他の実施形態において、1つ以上のソースが、移動可能な中性子衝撃室204の内部に固定され、室が、中性子生成器と分離システム208との間で移動する。
【0091】
図3は、目標設定結合分離を用いて所望の放射性同位体を選択的に生成する方法の実施形態を示す。方法300は、生成すべき放射性同位体の選択で始まる。これは選択動作302によって示されている。選択動作302では、任意の放射性同位体が選択でき、例えば、上記の図1から、操作者が最終に得たい、99Mo、238U、131I、51Cr、227Ra、223Ra、227Acなどである。一つの実施形態において、1つ以上の放射性同位体が選択されてもよい。
【0092】
すでに言及した通り、いくつかの望ましい放射性同位体は、照射動作の直接の生成物ではない可能性がある。そのような状況では、選択動作302は、崩壊系列の選択、または、崩壊系列での放射性同位体のうちの任意のものの選択、と同等と考えられてもよい。例えば、この技術では知られているように、223Raを得るためには、227Acから、223Ra生成器を生成することを希望してもよい。しかしながら、この開示の目的のためには、「選択された放射性同位体」という用語は、照射動作においてターゲットの照射の直接の生成物である放射性同位体を参照しており、選択された放射性同位体は、最終に所望の生成物を生成するために、必要に応じて、処理(予想された崩壊に対する保持時間を提供することを含む)されることができる。
【0093】
例えば、もし、医学的用途のために最終に223Raを生成するために目標設定結合分離を用いることを希望するようなことがあれば、選択される放射性同位体または直接の生成物は227Acとなるだろうと思われ、例えば、223Ra生成器への、次の組み込みのために、選択される放射性同位体は227Acとなるだろう。同様に、もし、99mTc生成器への、次の組み込みのために、99Moを生成するために目標設定結合分離を用いることを希望するようなことがあれば、選択される放射性同位体は99Moとなるだろう(なぜなら、これは直接の生成物であるからである)。しかしながら、この例では、ある崩壊系列または別の崩壊系列によって、99Moの親であって、かつ比較的迅速に99Moに崩壊する、原子番号99を持つ多くの直接の生成物もある。1つの特定の崩壊系列において少しだけ述べると、これらの直接の生成物親は、99Moへ崩壊し、15秒の半減期を持つ、99Nb、99Nbへ崩壊し、1.47秒の半減期を持つ、99Yr、および、99Yへ崩壊し、2.2秒の半減期を持つ、99Zr、を含んでいる。したがって、99mTc生成器のために99Moを生成するために目標設定結合分離を用いるためには、一つの実施形態において、選択される放射性同位体は、99Moという所望の生成物へ崩壊する、原子番号99を持つような、いくつかのまたは全ての、直接の生成物を含んでもよい。
【0094】
放射性同位体または同位体が選択された後、選択された放射性同位体がそのターゲット物質から照射によって生成されうるようなターゲット物質が確認される。これは、ターゲット確認動作304と称される。ターゲット確認動作は、さらに、ソースの物理的特性を含む全体のソース物質(ターゲットおよび補助物質)を確認することを含んでもよい。このように、ターゲット物質確認動作は、ソース物質確認動作と呼んでもよい。例えば、99Moが所望の生成物であり99Moとその原子番号99の直接の生成物の親が選択された放射性同位体であれば、235Uの酸化物または純粋な235U金属のように、1つの適したターゲット物質は235Uから生成されてもよく、そこから、99Moを、直接、および、中性子衝撃によって間接的に直接得ることができる。多くの放射性同位体は、異なる化合物、例えば235Uまたは239Pu、から得られてもよく、また、ターゲット物質として、化合物の組み合わせが選択されてもよい。
【0095】
確認されたターゲット物質は、任意の核分裂性物質、または、核分裂性物質の組み合わせ、または、核反応による所望の同位体の生産に適した他の同位体を含んでもよく、また、放射線生成器、衝撃室、原子炉のスペクトル(熱または高速)、および他の利用可能な機器から選択されてもよい。例えば、ターゲットは、中性子で核分裂して直接の、選択された放射性同位体生成物を生成することができる、および/または、選択された放射性同位体生成物を生成するための中性子を吸収することができる、任意の公知の物質を組み込んでもよい。ターゲット物質は、限定されないが、ウランに基づく金属、プルトニウムに基づく金属、または、トリウムに基づく金属、を含んでもよい。例えば、ターゲット物質は、235Uを含んでもよい。他の例では、ターゲット物質は、239Puを含んでもよい。さらに、ターゲット物質は、製造時に直接に核分裂性核種である必要はなく、むしろ、中性子吸収によって核分裂性核種物質に変換されうる燃料親物質(核分裂性物質に変換できる物質)ことが認識されるべきである。例えば、ターゲットは、中性子吸収によって、選択された生成物へと育成されうる、および/または、育成されてその後核分裂して、選択された放射性同位体生成物を生成しうる、任意の公知の核燃料親物質を含んでもよい。核分裂性物質は、低エネルギー熱中性子または高エネルギー中性子に曝露されたときに核分裂を行うことができる任意の核種を含んでもよい。さらに、この開示の目的のために、核分裂性物質は、任意の核分裂性核種物質、任意の燃料親物質または核分裂性核種物質と燃料親物質との組み合わせを含んでもよい。
【0096】
確認されたターゲット物質は、燃料親や核分裂性核種でなくてもよい。例えば、ターゲット物質として、232Thを用いることができ、これは、中性子に曝露されると同位体225Acまたは227Acを産する。同位体226Raは別の例であり、これは、陽子に曝露されるとやはり同位体225Acを生成する。さらに他の例はターゲット物質として153Euを用いることであり、これは、高速中性子(例えば、1keVより大きい運動エネルギー)放射線に曝露されると153Smを産する。さらに他の例はターゲット物質として14NHを用いることを含み、これは、ガンマ線に曝露されると、光核反応を行い、13NHを生成してもよい。
【0097】
ターゲット物質は、金属質のターゲット物質を含んでもよく、これは、限定されないが、実質的に純粋な金属ターゲット物質、金属合金ターゲット物質、または、金属間化合のターゲット物質などである。例えば、純粋な金属ターゲット物質は、限定されないが、233U、235U、239Pu、および/または、232Thを含んでもよい。他の例では、金属合金ターゲット物質は、限定されないが、ウラン−ジルコニウム、ウラン−プルトニウム−ジルコニウム、ウラン−ジルコニウム−水素化物、トリウム−アルミニウム、または、ウラン−アルミニウムを含んでもよい。さらなる例では、金属間化合のターゲット物質は、限定されないが、UFeまたはUNiを含んでもよい。ターゲットにおける包含のための適した金属質のターゲット物質の上記リストは、網羅的ではなく、限定と解釈すべきではなく、むしろ、単に例として解釈されるべきであることが認識されるべきである。
【0098】
他の実施形態において、ソースのターゲット物質は、1つ以上のセラミックのターゲット物質を含んでもよく、これは、限定されないが、酸化物ターゲット物質、窒化物ターゲット物質、または炭化物ターゲット物質である。例えば、酸化物ターゲット物質に基づく核物質は、限定されないが、ウラン酸化物(UO)、プルトニウム酸化物(UO)、またはトリウム酸化物(Th)を含んでもよい。さらに、酸化物ターゲット物質に基づく核物質は、混合された酸化物ターゲット物質を含んでもよく、これは、限定されないが、PuOと劣化または天然のUOとの混合物である。他の例では、窒化物に基づくターゲット物質は、限定されないが、ウラン−窒化物またはプルトニウム−窒化物を含んでもよい。さらなる例では、炭化物に基づくターゲット物質は、限定されないが、ウラン炭化物を含んでもよい。ターゲット物質における包含のための適したセラミックターゲット物質の上記リストは、限定と解釈すべきではなく、むしろ、単に例として解釈されるべきであることが認識されるべきである。
【0099】
一つの実施形態において、ターゲット物質確認動作304は、ソース物質のための完全な化合物または化合物の組み合わせの決定を含んでいる。上述の核分裂性物質に加えて、ソース物質も補助物質を含んでもよく、これは、いくつかの場合に、非核分裂性物質の部分を含んでもよく、これらは、限定されないが、放射線−不活性物質、中性子減速物質または中性子反射物質などであることを認識すべきである。このような非核分裂性物質は、核分裂性物質だけを用いたのでは容易に達成できないようなターゲットに、強度、形、構造、またはその他の特性を加えるために提供されてもよい。
【0100】
目標設定結合分離の代替の実施形態(図示せず)では、ターゲット物質確認動作304は、放射性同位体選択に先行してもよいことに注意すべきである。この実施形態は、ターゲット物質が提供されていて、代用可能でないような状況に、発生してもよい。この実施形態において、ターゲット物質の所有者は、ターゲット物質を単に処分するのに代えて、またはターゲット物質を単に処分する前に、ターゲット物質からいくつかの有用な放射性同位体を抽出するために、提供されたターゲット物質に目標設定結合分離を用いることを希望してもよい。
【0101】
与えられた任意の固体の選択されたターゲット物質に対し、選択された放射性同位体の反跳距離は、反跳距離決定動作306にて決定されてもよい。核分裂性核種物質の原子を放射性同位体の原子に変換する核反応が起きるとき、運動エネルギーは放射性同位体の原子に与えられる。与えられる運動エネルギーの量は、特に、中性子の初期の運動エネルギー、核分裂性核種原子の原子量、および、直接の生成物放射性同位体の原子量に基づいて変化する。運動エネルギーは、選択された放射性同位体に、反跳させ、すなわち、ソース物質において核反応を行う核分裂性核種原子の初期の位置に相対的に移動させる。反跳距離との用語は、与えられた運動エネルギーに基づいて特定の放射性同位体が移動することを期待される、平均距離または距離範囲を参照する。多くの核反応がよく特性評価されているので、運動エネルギーおよび/または反跳距離は、しばしば、核化学と中性子生成器との与えられた多くの組み合わせに対し、計算されるまたは経験的に決定されることができる。例えば、ウラン酸化物の核分裂生成物の反跳距離は、一般に、S.G. Prussin et al., “Release of fission products (Xe, I, Te, Cs, Mo, and Tc) from polycrystalline UO2,”Journal of Nuclear Materials, Vol. 154, Issue 1 pp. 25-37 (1988)に記載され、トリウム金属の核分裂生成物の反跳距離は、一般に、C.H. Fox Jr. et al., “The diffusion of fission products in thorium metal,”Journal of Nuclear Materials, Vol. 62, Issue 1 pp. 17-25 (1976)に記載され、ウラン−プルトニウム混合酸化物燃料における気体および固体の核分裂生成物の移動は、一般に、L.C. Michels et al., “In-pile migration of fission product inclusions in mixed-oxide fuels,”Journal of Applied Physics, Vol. 44, Issue 3 pp. 1003-1008 (1973)に記載されている。このような参考文献は、特定のシステムに対し、選択される放射性同位体の反跳距離を当業者が推定することを可能にする。
【0102】
反跳距離決定動作306は、選択されたターゲット物質の内部の選択された放射性同位体の期待される反跳距離を、計算し、推定し、あるいは、確認することを参照する。一つの実施形態において、反跳距離決定動作306は、ターゲット物質の密度(density)(濃度)、中性子生成器の詳細、および、システム設計の他の態様を考慮に入れる。反跳距離は、以前の実験から経験的に決定されてもよく、または、直接の照射生成物の原子番号などの、関連する物質および原子の公知の特性を用いて推定されてもよい。物質の任意の粒子の範囲は、阻止能を用いて見出されることができ、これは、物質における粒子の運動エネルギーと粒子の範囲との間の関係である。放射性同位体生成物の生産に対して、エネルギーは、核分裂またはアルファ崩壊におけるように、崩壊経路からの反跳に起因する、または、高速中性子または加速された粒子衝撃におけるように、核反応に起因することができる。生成物同位体のエネルギーは、その生産経路に基づいて決定される必要があるだろう。多くの経路が知られており、エネルギー粒子が物質を通って移動できる距離を算定するためのデータが利用可能である。Bethe-Blochの式は、エネルギー・単位質量あたりの二乗距離の単位で、物質を通って移動する粒子のエネルギーロスを提供し、例はMeV・cm−1である。阻止能と範囲との表は、多くの参考文献から、例えばInternational Atomic energy Agency and the National Institute of Standards and Technologyから、利用可能であり、これは、生産された同位体の、連続減速近似を含めて、反跳範囲にアクセスするデータを提供することができる。範囲と阻止能との単位は、Bethe-Blochの式と同じとすることができ、または、g・cm−2のような、面積あたりの質量の範囲と同じとすることができる。物質中のイオンに対する範囲と阻止能とを提供するプログラムも利用可能である(例えば、Dr. James F. Zieglerから利用可能なSRIMソフトウェアパッケージを参照)。一旦、範囲または阻止能が得られれば、物質中を粒子が移動する距離は、物質の密度と粒子のエネルギーとを用いて推定られることができる。もし、特定の生成物または核種のデータが見出されることができなければ、エネルギーロス、速度および電荷の間の関係を用いることができる。
【0103】
反跳距離はその後、ソースを設計および生成するために、ソース製造動作308に用いられ、これは、選択されたターゲット物質およびソース物質の特定の組み合わせに対し、反応の後にソース物質内部に分布する放射性同位体という結果を優先的に生み、それによって、放射性同位体は、バルク固体のまたは非多孔性のソースで起きるのよりも、抽出物質に対し、より容易に、利用可能となる。具体的には、(泡、粒子などのような)多孔性のソースの、固体の部分、例えば多孔性壁は、選択された放射性同位体生成物の反跳距離と実質的に類似となるようなサイズにしてもよい。このように、選択された生成物の予想される反跳は、ソース物質の利用可能な表面の近くの生成物の配置を改良するために、および、ソースから生成物の抽出を改良する(例えばターゲットの溶解なしでの生成物の溶解および抽出)ために、用いられることができる。「利用可能な表面」との用語は、固体のソース物質の表面の上またはその近くの、その位置から抽出物質が生成物を得ることができるような、位置を記載するのに用いられる。泡または他の多孔性の構造(例えば製造された細孔)として形成されたソース物質のような場合、細孔を形成するソース物質の構造(例えば細孔の壁)は、選択された放射性生成物の反跳距離と実質的に類似の厚みを有するように選択および形成されてもよい。粒子のような場合、粒子サイズの半分すなわち粒子の半径は、選択された放射性同位体の反跳距離と実質的に類似なサイズにされてもよい。他の例では、抽出物質が液体であるような一つの実施形態において、ソース物質の利用可能な表面は、ターゲット物質の物理的特性を変化させることを要さずに分離処理の間に液体がアクセスできるような表面である。あるケースでは、利用可能な表面は、物理的にはソース物質の表面の上にはない位置であって、抽出物質が拡散などによって生成物原子を今なお得ることができるほどに、アクセス可能な表面に十分近いような位置を含んでもよい。このように、目標設定結合分離は、選択された放射性同位体を生産すると同時に、その放射性同位体を分離動作にてより容易に回収可能にするために用いられる核反応からの反跳を利用する。
【0104】
ソース製造動作308では、選択されたソース物質は、選択された放射性同位体の反跳距離に基づいてソースに形成される。例えば、一つの実施形態において、ソース物質は、固体の粒子に形成され、粒子のサイズは、所望の放射性同位体の反跳距離に基づいて選択される。さらなる例として、もし99Moが、選択された放射性同位体生成物(所望の生成物の99mTcへの予想される崩壊を持つ)であり、選択されるターゲットが235Uの酸化物であれば、一つの実施形態において、99Mo生成物の反跳距離の2倍と等しいかそれより小さいが、反跳距離の10%より大きい、(直径または平均幅のような)平均粒子サイズを有する粒子を含むソース物質である。他の実施形態において、平均粒子サイズは、99Mo生成物の反跳距離の±50%以内(0.5〜1.5×)であるように選択されてもよく、さらに他の実施形態において、平均粒子サイズは、99Mo生成物の反跳距離の半分の±50%以内(0.25〜0.75×)であるように選択されてもよい。他の実施形態において、平均粒子サイズは、選択された放射性同位体の反跳距離の2倍の±50%以内(1〜3×)であるように選択されてもよい。異なる反跳距離をそれぞれ有する1つ以上の選択された放射性同位体がある状況では、分粒のために用いられる反跳距離は、選択された放射性同位体のうちの任意の一つ以上のものの反跳距離、選択された放射性同位体のうちのいくつかまたは全部のものの反跳距離の平均値、または、選択された放射性同位体の期待される収率に基づいた重量平均値、から選択されてもよい。
【0105】
代替の実施形態において、20マイクロメートルより小さい粒子サイズが用いられてもよい。さらに他の実施形態において、0.1ないし10マイクロメートルの粒子サイズが用いられてもよい。一般に、核分裂生成物は、UOにおいては、およそ10ミクロンの反跳範囲を有する。
【0106】
固体のソースの実施形態において、ソース物質の粒子を、固体の、多孔性の固体にする処理は、ターゲット物質の粒子の、焼結、製粉、篩いがけ、3D印刷、結晶化、沈殿、または加熱、のうちの1つ以上を含む任意の適した処理技術を含んでもよい。固体のソースは、開放セル泡、開放格子、開放枠組み(open framework)、セラミック、薄膜、単層、スポンジ、ナノ籠またはナノ結晶のような、任意の高い表面積をとってもよい。
【0107】
核反応は、選択的分離に用いられることができる化学変化を誘導することもできる。このような誘導された化学物質は、ホットアトム化学(反跳化学)と呼ばれ、文献に記載されている。ホットアトム化学では、核反応は、反応生成物の化学的な形を、ターゲットのそれと比べて変化させる。ターゲットと反応生成物との間の化学の違い、および、ターゲットの形態学は、ターゲットの破壊なしに、反応生成物の分離を許可する。例として、ターゲットは、高い酸化状態の化合物であることができる。中性子と反応すると、新しい同位体は、還元を行い、ターゲットと同じ成分であってもターゲットとは異なる化学的特性を有する。ターゲットの形態学は、ターゲットを溶解させることを要せずに、より低い酸化状態での生成物の分離を許可する。ターゲット、ソース物質、およびソース製造動作308の実施形態に関する追加の詳細は、図5を参照して以下に議論される。
【0108】
ソース製造動作308はさらに、ターゲット物質のための適したコンテナを、選択、生成、および/または、提供することを含んでもよい。例えば、中性子が、用いられる放射線の形であるような一つの実施形態において、コンテナは、中性子的に透明なコンテナで出来ており、それによって、中性子が、コンテナを通ることができる。コンテナは、任意の適した形状および形であってよく、また、抽出物質の容易な導入および/または除去を可能にするための1つ以上のバルブが設けられていてもよい。
【0109】
図3に示す実施形態において、ソースが生成された後に、ソースは、照射動作310においていくらかの照射期間の間、中性子に曝露される。この動作310は、例えば上述のようなコンベヤベルトにより、安全な照射のための照射設備/機器にソースを運搬することを含んでもよい。照射動作310では、ソース物質が中性子に曝露され、それによって、ソース物質の少なくともいくつかの原子が、核分裂または中性子捕獲を行い、選択された放射性同位体の原子を生成する。これは、図11を参照して議論されるように、減少した量の、無反応のターゲットの内部に、ある量の、選択された放射性同位体生成物を含む、照射されたソース物質という結果を生む。加えて、核分裂反応からの反跳ゆえ、選択された放射性同位体の新しく生成された原子の少なくともいくつかは、ソース物質内の、残っている、無反応のターゲットに相対的に、反跳距離を移動する。上述の通り、選択された放射性同位体生成物の反跳は、放射性同位体生成物をソース物質の利用可能な表面へもっと近づけることなどによって、放射性同位体を抽出物質に対してもっと利用可能にしてもよく、そのとき、これは、抽出物質による抽出を改良してもよい。
【0110】
照射期間の後、分離動作312が実行され、ソース物質から所望の生成物の原子を抽出する。上述の通り、所望の生成物は、選択された放射性同位体、選択された放射性同位体の崩壊娘、または、99Moのケースのように、両方であってもよい。この動作312は、例えば上述のようなコンベヤベルトにより、分離設備/機器にソースを運搬すること含んでもよい。動作312はまた、崩壊が起きるための時間を可能にするために、分離の前に、格納期間または保持期間を導入すること含んでもよい。分離動作312の一つの実施形態において、ターゲット物質の保持は、ソース物質中の残っているターゲットを実質的に溶解させることなく、ソースから、所望の生成物を優先的に抽出する溶媒のような抽出物質に曝露される。分離技術の実施形態は、この開示の他の所、特に、図1および図7を参照して、さらに議論されている。一つの実施形態において、残っている無反応のソース物質は、抽出剤と化学的に反応性でない、または、抽出剤によって影響を及ぼされない。具体的には、ターゲットから所望の生成物のいくらかを回収するために、ターゲットを溶解させる必要は無い。このように、ターゲットは、実質的に溶解されず、また、その物理相は、分離動作312によって変化しない。例えば、1つの実施形態において、ターゲットは固体相にあり、照射動作および分離動作じゅうずっと、固体相に残る。
【0111】
ソースがコンテナを含んでいる実施形態において、ソース物質は、分離動作312の間、コンテナから除去されてもされなくてもよい。例えば、一つの実施形態において、ソースは、中性子的に透明なコンテナに、ソース物質の、ゆるいまたは詰められた個々のゆるい粒子を含んでもよく、ここで、粒子サイズは、上述のようにして生産されるべき選択された放射性同位体の反跳距離に基づいている。ソース物質粒子は、コンテナから粒子を除去することなく、継続的な照射動作と抽出動作とにくり返し付されてもよい。この実施形態において、気体または液体の溶媒がコンテナを流れてもよく、コンテナが溶媒で満たされているまたは部分的に満たされていくらかの接触期間の間はコンテナに残され、その後、抽出物質、これは今や選択された放射性同位体の少なくともいくらかを含んでいるが、これが除去される。
【0112】
代替の実施形態において、反跳距離に基づくあるサイズ要件を満たす個々の粒子よりむしろ、ソースは、固体のターゲットの塊を含んでもよい。以下により詳細に述べる通り、このような固体のターゲットは、一緒に、より大きいソース物質の塊を形成する、焼結または(反跳距離に関して上述したのと同様に仕立てられうる)個々の粒子の結合によってなされてもよい。このような、より大きい塊は、多孔性であり、多孔性の塊への溶媒の浸透を促進し、それによって、生成された放射性同位体との接触を促進する。
【0113】
分離動作312はさらに、次の照射へターゲットを調製するために、ターゲットの再生を含んでもよい。これは、次の照射の前にソース物質から抽出物質を除去するために、1つ以上の洗浄動作に関連してもよい。
【0114】
分離動作312の後に、同じソースが再照射されて、選択された放射性同位体のうちのより多くのものを生成し、そして、ソース中のターゲット物質の残っている塊を、実質的に、溶解させず、その相を変化させず、全く除去せずに、照射動作310および分離動作312が複数回くり返されることを可能にする。上述の通り、これは、核分裂性物質が、単一の中性子曝露で可能となりうるであろう所望の生成物へもっと効率的に変換されることを可能にする。
【0115】
方法300はさらに、抽出された放射性同位体生成物を、商業利用に適した最終の生成物または最終の形に変換することを含んでいる。最終の処理動作314は、抽出物質から放射性同位体を分離することを含んでおり、放射性同位体を精製する、追加の処理をも含んでもよい。放射性同位体は、その後、さらに処理されて、運搬と、工業試薬または供給原料としての使用とに適した最終の形になってもよい。
【0116】
一つの実施形態において、最終処理動作314は、放射性同位体を娘同位体生成器に組み込むことを含む。例えば、方法300は、ほんの2〜3例を挙げると、放射性同位体227Acからなる223Ra、68Geからなる68Ga、99Moからなる99mTc、および、82Srからなる82Rbcを製造するのに用いられてもよい。娘同位体生成器および親放射性同位体からの娘同位体生成器の製造方法は、当業者には知られている。任意の適した方法を用いてもよい。
【0117】
例えば、99mTc生成器は、モリブデン酸塩MoO2−の形で99Moから生成されてもよい。生成器を生成するには、99Moモリブデン酸塩を、酸アルミナ(Al)基質に吸着させ、遮蔽されたカラムに配置する。99Mo原子が崩壊すると、それは99mTc過テクネチウム酸塩(pertechnetate)TcOを形成し、これは、その単一電荷ゆえ、アルミナへはあまり強く結合しない。不動化された99Moのカラムを通して正常食塩溶液を注ぐことで、可溶性の99mTcを溶出し、その結果、釣り合う陽イオンとしてナトリウムを有する99mTc過テクネチウム酸塩を含む正常食塩溶液が得られる。
【0118】
一つの実施形態において、最終処理動作314は、自動化または自動化された処理であってもよい。図2を参照して述べた通り、一つの実施形態において、目標設定結合分離は、抽出流体から放射性同位体を分離するのに必要な機器を組み込み、放射性同位体を修飾して娘生成器での使用に必要な生成器物質(カラムクロマトグラフィーに適した基質に結合した99Moのような)にし、自動化または自動化された処理で、生成器本体に物質を詰める。
【0119】
〔コンテナ〕
図4は、適したコンテナの例を示す。コンテナ400は、内部穴を規定する円筒本体402、噛み合うと穴を密封する最上部または蓋部404、および、ソース物質を含む内部室414を規定する底406を含む。最上部404と底406との一方または両方は、取り外し可能に本体402に接着されて、ソース物質がコンテナ400に挿入またはそこから除去されるのを可能にするようになっていてもよい。これは、例えば蓋部の上および円筒本体の中(図示せず)の、対応するネジ部のように、任意の公知のシステムによって達成されてもよい。あるいは、コンテナ400は単一の構造物として、ソース物質は、密封可能なアクセスポート(図示せず)を通してまたはコンテナの建造中に装填されてもよい。示した実施形態では、2つの流体流バルブ408、410が提供され、最上部404の第1バルブ408(ある例では出力値であってもよい)、および、底406の第2バルブ408(ある例では入力値であってもよい)である。さらに他の実施形態において、コンテナは、最上部が噛み合うときに、完全には密封されなくてもよく、例えば、気体が逃げるのを可能にし、または、バルブまたはアクセスポートを通してコンテナに抽出物質を注入するよりもむしろ抽出物質にコンテナが浸されるのを可能にしてもよい。バルブ408、410は、コンテナ400の最上部と底にそれぞれ示されているが、バルブ408、410は任意の適切な位置および/または方向に位置することができ、コンテナの対向する側に位置される必要は必ずしもないことを当業者は認識するだろう。あるいは、抽出物質および/またはコンテナの入力、出力、冗長性、および/または安全対策のうちのいずれのものに対しても、1つのバルブ408または追加のバルブ(図示せず)が用いられてもよい。
【0120】
コンテナは、ソース物質室の外部および内部の両方で、任意の形状であってよい。アクセスポート、バルブ、掛け金、コネクタ、接触点、または他の補助部材について、任意の数、タイプおよび構成が所望に使用されてもよい。例えば、示した実施形態では、拡散器412が提供され、コンテナが、流動層または充填層反応装置として容易に使用できる。その実施形態において、拡散器は、ミシン目で穴あけされた板の形であって、(粒状物質のような)ソース物質がそれを通るのを防ぐまたは減少させるようになっている。しかしながら、底バルブ410から導入される溶媒は、拡散器412を容易に通り、ソース物質との接触を可能にする。これは、コンテナに提供されうる補助部材の一例に過ぎない。例えば、多くの異なる流動層反応装置の設計は、追加の拡散器、多岐管、溶媒の流れを均一に分布させるための導風板、ソース物質室/穴414の非円筒の内部形状、流れを導くための導風板、などのような、追加の補助部材を有するコンテナに組み込まれることができる。
【0121】
中性子が、目標設定結合分離に用いられる放射線であるような一つの実施形態において、コンテナは、上述の通り、中性子的に透明であってもよい。適した中性子的に透明なコンテナ物質の例は、アルミニウム、ジルコニウムおよびモリブデン、およびそれらの合金、および、ステンレス鋼合金を含む。コンテナのいくつかまたは全ては、これらの中性子的に透明な物質のうちの1つ以上からなっていてもよい。
【0122】
コンテナは、用いられるソース物質の物理的な形の挿入と除去とを促進するための開口部を有してもよい。例えば、上述の通り、ソース物質の、1つ以上の大きな塊が用いられる場合、コンテナには、この塊の挿入と除去とを可能にする、比較的大きな開口部が提供されてもよい。これは、ソース物質が消費された後にコンテナが再利用されることを可能にする。あるいは、コンテナでソース物質が処分されるようになっていて、一旦、ターゲットが十分に消費されると、コンテナからソース物質を除去するためのものが何も提供されず、これによって廃棄物および/または廃棄物処理を減少させうる、という意図で、コンテナは、ソース物質の周りに構成されてもよい。
【0123】
〔ソース製造、反跳移動、表面処理の改良〕
図5は、放射性同位体生成ソースを製造する方法の実施形態をより詳細に示す。したがって、方法500は、図3を参照して上述のソース製造動作308の実施形態を示す。図5に示した実施形態では、ターゲット物質は、トリウム、ウランまたはプルトニウムの酸化物のように、核分裂性核種物質または燃料親物質酸化物を含む。可能性のある多くの例が以下に提供されているが、種々の実施形態において、目標設定結合分離のターゲットは、任意の適切な方法を用いて製造されてもよい酸化物を含んでもよい。適したターゲット特性を有するウラン酸化物とプルトニウム酸化物が調製されて特性評価されている。アクチニド塩は、溶液に溶解して沈殿されて固体を形成するようにしてもよい。
【0124】
固体のソースを用いる実施形態において、任意の形態学を用いてもよいが、より高い表面積形態学のほうが、より良い生成物回収を有する。適した高表面積形態学は、ゆるいまたは焼結された粒子または粉末、開放セル泡、3D印刷、製粉、結晶化された開放格子または開放枠組み、布、薄膜および単層、スポンジ、セラミック、ナノ籠またはナノ結晶、の多孔性ソースを含む。好ましくは、固体のソースは、Brunauer, Emmett and Teller (BET)分析によって測定したときに10m/gより大きい表面積を有する。
【0125】
液体ソースを用いる実施形態において、ターゲット物質は、コロイド懸濁液などの液体に懸濁された、固体粒子などの固体であってもよい。
【0126】
図5に示す実施形態において、方法500は、提供動作502において、開始物質としての、溶液中の核分裂性物質の溶解塩で開始する。一つの実施形態において、開始物質は、精製水に、適切な核分裂性物質の塩化物または硝酸塩を溶解および混合することによって生成されてもよい。実施形態において、核分裂性物質の提供された溶解塩は、酸性溶液、塩基性溶液、水溶液およびアルコール溶液などの溶液中にあってもよい。
【0127】
次に、沈殿物追加動作504において、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、および/または、シュウ酸のような沈殿物を、溶液に混合する。沈殿が起きる適切な状態に溶液を維持し、収集動作506にて、沈殿、すなわち核分裂性物質の酸化物を収集する。沈殿のバリエーションは、水酸化アンモニウム、過酸化物、炭化物またはシュウ酸塩の追加を含むことができる。沈殿は、トリウム、ウランおよびプルトニウムを含む酸化物を生産するために用いられ、また、他の金属酸化物の形成にも適切である。今知られている、または今後開発される、任意の適した核分裂性物質酸化物の沈殿方法が用いられてもよい。
【0128】
沈殿された酸化物からは、その後、粒子形成動作508にて粒子が形成される。これは、沈殿された酸化物を製粉、焼成または焼結して、粉末および/またはペレットおよび/または他の任意の適した形のターゲットを形成することを含んでもよい。例えば、粒子形成動作508の一つの実施形態において、沈殿は、収集の後、アセトンと精製水で洗浄し、製粉し、90℃で乾燥させてもよい。乾燥させた沈殿は、再び製粉して再び乾燥させることができる。それは、再び製粉して、および/または、その後、1時間、最高750℃にまで焼成させることができる。焼成された粉末は、製粉され、加えてまたは代替として、その後、適切な時間(あるケースでは適切2分間であってもよい)、コールドプレスして(選択された放射性同位体の反跳距離のようなソース物質の所望の特性に基づいて決定されたような適切な任意のサイズの)ペレットにされ、焼結される。一つの実施形態において、焼結は、1500℃で4時間、アルゴンと4%水素との混合物として行ってもよい。
【0129】
一つの実施形態において、粒子形成動作508は、粒子の粒子サイズ分布、および/または、粒子が、反跳距離のような、ある閾値サイズより小さいサイズの粒子を有すること、を確実にするための、分粒動作を含んでもよい。所望の結果を得るための粒子の分粒は、当業者には公知であり、機械的スクリーニング、濾過、分級、電気泳動および電気集塵などの電気的方法、および、浮選、などの、任意の適した分粒方法を用いることができる。例えば、粒子分粒に適した機器は、実施形態に応じて、篩、気体または液体の溶出カラム、静止スクリーン、グリズリ、旋回スクリーン、振動スクリーン、遠心篩、脱水フィルタ、浄化フィルタ、分級器および直交流型のフィルタを含んでもよい。ある実施形態において、沈殿が形成されて分粒された後、生成物の焼成は、焼結に適した化合物を産する。焼結時間、温度、雰囲気、および酸化物調製は、当業者には公知なように、適したターゲットの特性を生産するために変化することができる。
【0130】
実施形態において、図3を参照して上記列挙したサイズに加えて、ターゲットの粒子は、10,000nm(10マイクロメートル)と等しいまたはそれより小さい、または、1,000nmより小さい、100nmより小さい、50nmより小さい、10nmより小さい、5nmより小さい、または、2nmより小さい、最大粒子サイズを有するように分粒されてもよい。さらに、1nmないし10nmの範囲の粒子サイズを有する粒子が、核反応、核分裂、アルファ崩壊またはベータ崩壊からの反跳距離に基づいて、特に有益であると予想される。
【0131】
一つの実施形態において、方法500は、図3に示された目標設定結合分離を用いて所望の生成物を選択的に生成するための方法の動作のうちのいくつかを含むと考えられてもよい。例えば、ソース製造方法500の一つの実施形態において、図3を参照して記載された、選択された放射性同位体動作302、ターゲット確認動作304、および、反跳距離決定動作306が、方法500に含まれてもよい。
【0132】
示した実施形態において、方法500は、粒子からソース物質を形成するソース形成動作510を含む。この動作510は随意的であり、ソース物質の形としてゆるい粒子が用いられる実施形態においては必要ない。これは、粒子を小球状化する、粒子からセラミックを作る、および/または、粒子が組み込まれる固体マトリクスを作る、などのような、粒子を組み合わせてソース物質に組み込まれるべき固体の塊にすることを含んでもよい。
【0133】
セラミックの調製においてナノ粒子の使用は、目標設定結合分離のためのソースとして、望ましい特性を持った物質を産しうる。ナノ粒子との用語は、100ナノメートルより小さい粒子サイズを有する粒子を参照する。伝統的に生産されるセラミックと比較して、ナノ粒子から生成されるセラミック(ナノ粒子準拠セラミック)は、より大きな硬度と、より高い耐力とを有する。例えば、上述の沈殿方法によって、核分裂性物質のナノ粒子が生産されてもよい。
【0134】
ナノ粒子およびナノ粒子合成経路から生成されたセラミック特性は、四価のアクチノイドから多孔性のターゲット物質を生成するのに有益であろう。アクチノイド(例えばU、Th、および/またはPu)セラミックを生成する以下の方法が提案される。まず、選択された粒子サイズを有する四価のアクチノイドのナノ粒子を、不活性雰囲気中で生成する。粒子は、その後、例えば1,000ないし1,500℃の温度で、例えば1150℃などで、焼結される。アクチノイド金属の酸化を防ぐために、この処理全体で、不活性雰囲気が維持される。例えば、アルゴン、ネオン、ヘリウム、窒素または適した不活性ガス混合物が用いられてもよい。アクチノイドの代わりのものとして、ジルコニアナノ粒子にこの方法を適用すると、2時間の加熱後に、93.5%理論上の密度が得られた。密度は、40時間の加熱で97.5%に増加し、60時間で99%に達した。1150℃での加熱を60時間行った後に、平均の粒子サイズは120nmであることが見出された。アクチノイドナノ粒子は、同じまたは類似の特性を持ち、目標設定結合分離のソースに用いるのに適しているであろうことが予想される。
【0135】
アクチノイド酸化物ナノ粒子は、セラミックフィルムおよび膜を生産するのに用いることができること、および、このようなアクチノイド酸化物ナノ粒子は、目標設定結合分離にとって望ましい特性を持っているであろうことも、期待される。アクチノイド酸化物セラミックを生成する以下の方法が提案される。まず、アクチノイド酸化物ナノ粒子が生成される。一つの実施形態において、これは、塩基性溶液からアクチノイド酸化物を沈殿させることによって得られてもよい。代替の実施形態においては、酸性硝酸溶液にアクチノイドのオキシカルボン酸塩(oxycarbonate)を溶解し、次いで、ナノサイズで重合性のオキシ水酸化物(oxy-hydroxide)粒子の形成を促進すべき多核のアクチノイド陽イオンの加水分解および濃縮によって、アクチノイド酸化物粒子が合成されてもよい。代わりのものとしてのジルコンに適用すると、そのようにして生産されたジルコニア粒子は、3ないし6nmの範囲であることが見出された。
【0136】
アクチノイド酸化物粒子の生成は、種々の技術によっても向上されてもよい。一つの実施形態において、アルコールも、アクチノイド酸化物粒子を生成するための溶媒として用いられてもよい。アルコール溶媒は、より速い粒子形成速度と、アルコール溶液中の水酸化物種の低い溶解度ゆえの、生産されたサブマイクロメートルの微小球と、を誘導してもよい。さらに他の実施形態において、適した粒子サイズ分布を持つ粒子を生産するために、沈殿相にポリエチレンイミンと2,3−ジヒドロキシ安息香酸とを加えてもよい。さらに他の実施形態において、シュウ酸塩の沈殿により、適した粒子サイズ以内のナノ粒子が得られてもよい。
【0137】
熱水技術も、目標設定結合分離のソース物質に適した形でありうるアクチノイド酸化物ナノ粒子の合成に適しうる。熱水状態によって生産されるナノ粒子の合成には尿素を用いることができる。この技術の一般的な方法は、圧力容器に100℃を越える温度で塩基性条件にてのアクチノイドの沈殿である。単斜晶系のナノ結晶の核生成と成長は、強制的な加水分解によって生産される粉末から1200℃で起きることが期待される。このようにして生産された粒子は、その後、上述の通り焼結されてセラミックになってもよい。
【0138】
さらに他の実施形態において、アクチノイドナノ結晶物質を形成するために、ほぼ臨界の水を用いてもよい。アクチノイドの水性混合物は、ほぼ臨界の状態にされ、また、アクチノイド酸化物粒子を生成するためのノズルキャビテーションによって衝撃波が生産される。ほぼ臨界の水は、セリウムとジルコニウムの塩を迅速に加水分解して続いて脱水して、混合されたセリア−ジルコニアナノ結晶物質を形成する。ノズルキャビテーションによって生産された衝撃波は、TiOとZrOのナノサイズの粒子を生む。
【0139】
さらに他の実施形態において、アクチノイド酸化物粒子を衝撃するために、乳濁液燃焼方法を用いることができる。この実施形態において、水性相のアクチノイドイオンが、第2の可燃性の相に混合され、乳濁液を形成する。乳濁液は、その後、燃焼し、迅速に酸化したアクチノイドイオンが得られる。乳濁液燃焼方法では、可燃性の溶液内のジルコニウムイオンが燃焼で迅速に酸化される。この方法は、サブミクロメートルサイズの中空の薄壁粒子を生産した。
【0140】
種々の実施形態において、目標設定結合分離のソースは、金属−有機枠組み(「MOFs」)を含んでもよい。MOFsは、リンキング金属イオンと有機リガンドとから形成される配位固体を含む。その高い表面積の化合物は、放射性核種の結合生産と分離とに適したソースを作ることができる。ランタノイド準拠MOFsは、アクチノイドMOFsよりも詳細に調べられている。アクチノイド準拠MOFsのほとんどは、ウラニル陽イオンに基づく。リガンドの組み合わせと合成条件とを変化させることは、多くの固体状態の化合物を生成した。分子テンプレートは、ウラニルMOFsに適用された。
【0141】
種々の実施形態において、目標設定結合分離のソース物質は、単層および凝集物を含んでもよい。四価のウラン燐酸塩の粒子のようなアクチノイドの単層および凝集物を生産するために、有機溶媒中のアクチノイドの光化学還元が用いられる。生成物の形態学は、粒子以外の枠組みの、所望の粒子サイズまたは固有の長さを達成するための処理によって、変化させることができる。1つの単層例では、トリブチル燐酸塩有機相でのウラニルとのパルスレーザの相互作用によってウラン単層が形成される。この単層は、極めて異なる色を示し、有機相から単離されうる。凝集は、メタノールとの処理で起こる。ウラン生成物の特性は、結合光還元パラメータおよび単層処理によって調整することができる。
【0142】
種々の実施形態において、目標設定結合分離のターゲットは、ウラン金属を含んでもよい。高い表面積のウラン金属物質は、コンテナを用いてまたは用いずに、特定の放射性同位体生産のために、ターゲットとして調製されて用いられることができる。一つの実施形態において、アーク融解によるウラン金属形成のための開始形として、ウラン金属インゴットを用いることができる。アーク融解のパラメータは、選択された放射性同位体の反跳距離に基づいて選択された粒子サイズのような望ましい特性を持った金属粒子を生産するように調整されることができる。ウラン金属はまた、水素化−脱水素化によって高い表面積の構造を形成することができる。
【0143】
一つの実施形態において、アクチノイド四塩化物から多孔性のアクチノイド金属スポンジの形に高い表面積の構造を生産するために、Kroll処理を修飾してもよい。Kroll処理は、液体マグネシウムまたはナトリウムにより塩化ウランの還元に関連する。電気化学的関連はまた、望ましいターゲット特性を持つウラン金属を産することができる。
【0144】
形成動作510の後に、ソース物質は、詰め動作510にてコンテナに配置されてもよい。核分裂性物質のコンテナへの詰めるのは、上述の通りである。コンテナは、図4を参照して上に詳述した。
【0145】
〔粒子の代替の特性評価〕
図6Aないし図6Cは、固有の直径を有する球状の粒子のような粒子の典型的な近似よりも詳細な、粒子サイズを特性評価する手段を示す。1つ以上の粒子の少なくとも1つの寸法に沿った固有の長さ106は、ソース物質100の1つ以上の粒子104の全ての寸法に沿った固有の長さ106を含んでもよい。例えば、ソース物質100の粒子104は、「a」によって表される「高さ」と、「b」によって表される「幅」とが、類似のサイズであるように設計されてもよい。したがって、要因(例えば圧力または熱の勾配)にもかかわらず、生成時の反跳に付される放射線生成物は、粒子内部110から粒子境界112へ、粒子内の全ての方向に沿って、効率的に拡散してもよい。これと関連して、粒子の構造は、ソース物質100の粒子106の「粒子サイズ」によって特性評価されてもよい。「粒子サイズ」は、粒子が十分小さいために、1つ以上の粒子104の内部110から1つ以上の粒子の間の境界112へと、十分拡散することを可能にするように、選択されてもよい。
【0146】
図6Bに示すように、1つ以上の粒子104の少なくとも1つの寸法に沿った固有の長さ106は、1つ以上の粒子104の選択された寸法に沿った固有の長さ106を含んでもよい。例えば、図6Bに示すように、ソース物質100内の粒子104は、粒子104の与えられた寸法に沿って、選択された固有の長さ106を有するように設計されてもよい。例えば、引き伸ばされた粒子構造を有する粒子104では、粒子は、粒子104の、図6Bで寸法「a」で示すように、「薄い」寸法に沿った、選択された固有の長さを有してもよい。また例えば、引き伸ばされた粒子構造を有する粒子104では、粒子104は、粒子104の、図6Bで寸法「b」で示すように、「厚い」寸法に沿った、選択された固有の長さを有してもよい。粒子104は、1つ以上の粒子104の内部110から1つ以上の粒子104の境界112への、反跳による十分な拡散に必要な距離より小さい少なくとも1つの固有の長さ106を有することだけが必要であるということが認識されるべきである。しかしながら、粒子104の全ての寸法は、1つ以上の粒子104の内部110から1つ以上の粒子104の境界112への、核分裂生成物108の十分な拡散に必要な距離と等しいかそれより小さい固有の長さ106を有してもよい。
【0147】
図6Cに示すように、1つ以上の粒子104の少なくとも1つの寸法に沿った固有の長さ106は、選択された方向134に沿った固有の長さ106を含んでもよい。例えば、ソース物質100内の粒子106は、ソース物質100の与えられた方向に沿って、選択された固有の長さ106を有するように設計されてもよい。例えば、引き伸ばされた粒子構造を有する粒子104は、核燃料内の選択された方向134に沿った、選択された固有の長さ106を有してもよい。粒子内部110から粒子境界112への反跳に起因する、放射線生成物の十分な移動に必要な長さより小さい、選択された方向134に沿った固有の長さ106を有するように粒子構造を設計することは、粒子内部110から放射性同位体物質のような核分裂生成物を転送するためのより効率的な手段を供給してもよいということが認識されるべきである。
【0148】
他の実施形態において、1つ以上の粒子104は、粒子内部110から粒子境界112への熱転送を最大化するように選択された1つ以上の粒子の寸法に沿った固有の長さ104を有してもよい。例えば、1つ以上の粒子104は、図6Cに「a」で示されるその狭い寸法が、ソース物質100において熱勾配に実質的に平行に揃えられる。このような配置は、粒子内部110から粒子境界への熱転送を支援し、粒子内部110からその粒子境界112への核分裂生成物108の拡散を支援する。他の例としては(図示せず)、ソース物質100を利用して製造された円筒形のペレットにおいて、円筒形のペレットの半径方向の熱勾配に実質的に垂直な狭い寸法を有するように、ソース物質100の粒子104が配置されてもよい(すなわち、平均して、物質の粒子が配置されてもよい)。図6A図6Bおよび図6Cの図示は、複数の粒子106の簡素化された概念的な図示を示しており、本質的な図として解釈すべきでないことに注意すべきである。さらに、種々の物質処理技術(例えば、冷間加工および/または焼き戻し、圧縮または押し出し)は、図6Aの対称的な粒子構造や図6Bおよび図6Cに示された変形された引き伸ばされた粒子構造を展開するために実施されてもよいことが当業者によって認識されるべきである。種々の物質処理技術はここでさらに議論される。
【0149】
他の実施形態において、ソース物質100の粒子104は、核分裂生成物の十分な拡散に必要な選択された距離に等しいかそれより小さい少なくとも1つの寸法に沿った平均の固有の長さ106を有してもよい。例えば、ソース物質100の粒子106は、核燃料の粒子104の選択された寸法または方向に沿った平均の固有の長さ106を有してもよい。粒子104の内部110から粒子104の粒子境界112への核分裂生成物の十分な拡散を提供する最大の平均の粒子サイズが存在してもよいことが認識される。
【0150】
他の実施形態において、ソース物質の粒子104は、固有の長さの選択された統計的な分布を有してもよい。例えば、ソース物質100の粒子104は、選択された距離より下の粒子サイズを持つ粒子の選択された割合を有する粒子サイズ分布を有してもよい。例えば、ソース物質100は、粒子の75%が、5μmと等しいかそれより小さい粒子サイズを有し、平均の粒子サイズが3μmであるような、粒子サイズ分布を有してもよい。他の実施形態において、ソース物質100は、固有の長さの複数の統計的な分布を有してもよい。例えば、ソース物質100は、粒子の25%が、10μmと等しいかそれより小さい粒子サイズを有し、粒子の25%が、5μmと等しいかそれより小さい粒子サイズ106を有し、粒子の10%が、1μmより小さいような、粒子サイズ106分布を有してもよい。他の例としては、ソース物質100は、粒子の25%が、10μmと等しいかそれより小さい粒子サイズ106を有し、粒子の25%が、50μmと等しいかそれより大きい粒子サイズを有するような、粒子サイズ106分布を有してもよい。他の例としては、ソース物質100は、粒子の25%が、1μmないし5μmの粒子サイズ106を有し、粒子の50%が、5μmないし10μmの粒子サイズ106を有し、粒子の25%が、10μmより大きい粒子サイズを有するような、粒子サイズ106分布を有してもよい。出願人の相互に係属中の米国特許出願番号13/066,253(2011年4月8日出願)、発明の名称:核燃料およびそれを製造する方法は、ここに参照によって盛り込まれ、目標設定結合分離での使用に適したターゲット物質を生成するのに用いることができる核燃料製造の実施形態を含んでいる。
【0151】
〔液体ソース〕
ソースの他の種々の実施形態に関し、液体のソース物質を用いることができ、放射性同位体を提供するための連続分離と結合させることができる。上で述べた通り、分離によるターゲット(例えば、固体のまたは他の相の補助物質を有するまたは有さない液体ソース、または、液体相のソース物質中の固体ソースの懸濁液)の相変化を制限することによって、ターゲット破壊を減少させることができる。この実施形態では、液体ソースは、溶融した塩または溶液相とすることができる。液体ソースは、照射位置を通って流れることができ、または、照射位置を通るコンテナに含まれてもよい。その結果液体ソースから生産される放射性核種は、固体ソースについて述べたような条件および自動化処理を用いて、ターゲットから、分離され、単離され、精製されることができる。このような分離は、液体−液体抽出処理、液体−気体抽出処理、電気化学抽出処理、または、照射された液体ソースを、所望の生成物を液体相から除去するのに適合した固体物質に通すような液体固体抽出処理を用いてもよい。例えば、液体−液体抽出の実施形態において、ある条件下では、十分な接触時間の後に液体ソース物質からの液体抽出物質の分離を促進するために、ターゲットは、抽出物質に不混和性であってもよく、または、抽出物質から分離可能であってもよい。液体ソースの実施形態は、ターゲットの再利用と廃棄物の減少とからの類似の利益を有しうるが、ソースの構成と流れは、固体物質のソースよりも追加の検討材料を必要としうる。
【0152】
塩準拠燃料から核分裂生成物を除去するためおよび燃料を原子炉にリサイクルするための液体燃料リサイクルシステムは、金属質の燃料のために開発された処理と化学的に類似であってもよい。超臨界COの分離は、特に、それ自体はsCOに不溶性である塩の特性を利用する。ジケトンなどの抽出剤は、選択金属を、ここで述べるようなsCO相に引き入れるのに用いられてもよい。物理的に、液体燃料リサイクルシステムは、sCOシステムでの漏れの間の原子炉容器の加圧を回避するために作られてもよい。加えて、その液体状態での塩は、ジケトンを解離または低下させるのに十分高い温度であってもよい。これらの障害の両方を回避するために、液体燃料リサイクルシステムは、溶融塩が、外部から原子炉容器に吸われ、sCOを含む容器に注入されるように設計されてもよい。sCOシステムは、溶融塩を固化するのに十分低い温度に維持されてもよく、その結果、高い表面積の固体が得られる。sCOが十分低温に維持できるのであれば、β−ジケトンまたは他の適切な抽出剤は、解離を回避して、塩注入の間にsCOと共に混合されてもよい。
【0153】
あるいは、抽出剤は、塩注入に続いて、バッチ方式のやり方で、抽出容器に注入されてもよい。どちらの場合でも、結果は、sCOジケトン溶液で溶媒和された(選択された)金属錯体の塩溶液である。塩溶液は、その後、溶融塩燃料内のターゲットの実質的な破壊なしで塩溶液から金属錯体(生成物)を除去するように温度または圧力が調整された二次システムへ吸われてもよい。さらに、おそらく、加熱、冷却またはその両方によってCOを気体状態(臨界点未満)へ落とすことなく、金属錯体が塩溶液から除去可能である。金属錯体を揮発させるために熱を用いてもよく、これによって、sCO溶液の内部に分離気体相が発生する。あるいは、sCOは、臨界点近くまたはそれより上にまで冷却または加熱されてもよく、そこでは、温度および圧力の変化とともに可溶性が典型的に著しく変化し、その結果、分離した、熱力学条件の変化に起因して溶液から強制的に出された液体−金属錯体が得られる。この相は、その後、ポンピングなどによって、抽出システムから、暫定的または長期間の格納に設計されたシステムへ転送される。金属錯体または他の生成物を分離するためにさらなる加熱または冷却がされようとされなかろうと、最終的には、金属核分裂生成物を残して、ジケトンを熱的に分解するために、さらなる加熱を用いることができる。
【0154】
〔ソースからの放射性同位体の分離〕
上述の分離動作のうちの1つ以上についての使用に適した実施形態を以下により詳細に述べる。上述の通り、所望の生成物のソースからの分離の実施形態は、ターゲットのうちのいずれをも実質的に除去することなく、また、ターゲットの相または物理的形にてターゲットが溶解したり変化を要したりすることなく、選択された放射性同位体生成物をソース物質から優先的に抽出する抽出物質に、ソース物質のうちの少なくともいくつかを、曝露することを含んでもよい。これは、ターゲットが、再生処理や分離後処理をほとんどまたは全く持たない、次の中性子衝撃にて再利用されることを可能にする。
【0155】
一つの実施形態において、分離処理は、一般に、中性子衝撃によって生成された所望の生成物の、固体相ソース物質からの優先的な単離に関連する。分離は、抽出物質として溶媒を用いて、ソース物質またはソース物質内部のターゲットの溶解なしに、実行される。上述の通り、目標設定結合分離は、ターゲット原子核およびターゲット物質を選択的に仕立てて生産するのに用いられる核反応から反跳を利用することができ、分離動作にて所望の生成物をより容易に回収可能なものにする。反跳に対して加えておよび/または代替的に、ターゲットと物質原子核との間の化学的な違いが、選択され、仕立てられ、および/または利用されることができ、所望の生成物の優先的な分離を達成することができる。抽出された放射性同位体生成物を抽出物質から除去するために、また、次のステップで所望の生成物をさらに精製するために、追加のステップが所望されてもよい。追加の精製は、カラムクロマトグラフィー、沈殿、電気化学、イオン交換、収着、濾過、および溶媒抽出を含め、その分野で知られた1つ以上の任意の適切な技術を用いてもよい。
【0156】
種々の実施形態において、ソース物質の組成、特性および/または形態学に基づいて、核反応は、ソースから生成物原子核を分離してもよく、または、生成物原子核を、ソース物質の利用可能な表面の上またはその近くに物理的に移動させてもよく、ここで、この利用可能な表面は、抽出物質へよりよくアクセス可能にし、また、分離を達成するのに利用できる化学変化を誘導しうる。抽出生成物とターゲットとの違いを利用するために、分離処理において、適切な抽出物質を選択し、形成し、導入し、および/または、活性化することができ、ここで、抽出生成物は、中性子衝撃の直接の(選択された)生成物、または、選択された放射性同位体の間接的な(崩壊娘)生成物のいずれかである。所望の生成物は、固体、液体または気体の相でのその化学的な形の性質に起因した分離を受けることができる。加えて、化学的な処理は、認めうるほどにはソースを溶解せず、または、ターゲットの溶解を少なくとも実質的には減少させず、それによって、ターゲットを、さらなる照射のために再形成される状態のままにしておく。
【0157】
種々の分離処理のオプションが利用可能である。種々の実施形態において、ターゲットは、照射生成器から除去されて処理されてもよい。処理は、化学的、電気化学、熱、濾過、圧力、流動層、および気体相方法を含めて、任意の適切な処理のうちの任意の一つおよび/または組み合わせを用いることができる。溶液相は、水性相、有機相、イオン液体、溶融塩、懸濁液、および超臨界流体を含めて、1つ以上の任意の相を含むことができる。気体相の化学組成は、気体の組成、温度、流速、圧力などにおいて変化させることもできる。
【0158】
説明した分離処理および方法は、抽出、液体クロマトグラフィー、気体クロマトグラフィー、毛管クロマトグラフィー、結晶化、沈殿、濾過、蒸留、分留、電気泳動、毛管電気泳動、磁気分離、蒸発、浮選、曇り点、ミセル、凝集、電気化学的方法、揮発、および凝華を含むグループの部材のうちの任意の1つ以上のものを含むことができる。分離処理は、ソースのコンテナにて実行することができ、それによって、照射コンテナからターゲットを除去することを防止する。あるいは、もしコンテナがない場合は、ソース物質は、化学反応器または他のコンテナの中に配置して、その後、分離が完了した後に次の再照射のために除去されるようにしてもよい。もし所望であれば、分離処理は、Chemspeed Technologies、Skalar、Human Diagnostics、Randox または他の任意の適切な自動化された化学的システムによって生産されるもののような、自動化された化学的システムを利用することができる。
【0159】
図7は、目標設定結合分離での使用に適した一般的な分離方法の実施形態を示す。方法700は、所望の生成物の少なくともいくらかがソース物質の全体に分布するように、以前に照射されたソース物質から所望の生成物を得る。示した実施形態では、このようなソース物質は、動作702に提供されている。
【0160】
選択動作704では、ソース物質を実質的に溶解させることなくソース物質から所望の生成物を除去する抽出物質が、除去されるべき所望の生成物と、ソース物質の特性とに基づき、選択されて調製される。例えば、一つの実施形態において、抽出物質は、所望の生成物を溶解させるがソース物質内の核分裂性物質は溶解させないような溶媒であってもよい。さらに他の実施形態において、抽出物質は、所望の生成物に結合する(それゆえそれを抽出物質に関して可溶性にする)が核分裂性物質には結合しない、リガンドのような、抽出剤を含む溶媒であってもよい。もし所望の生成物が複数ある場合は、1つの抽出剤が適していてもよいし、あるいは、複数の抽出剤が選択されてもよい。このようなリガンドは、接触動作の温度および圧力条件の下で溶媒に可溶性であるべきである。
【0161】
さらに他の実施形態において、また、以下により詳細に述べる通り、溶媒は、sCOであってもよく、また、選択されたリガンドは、放射性同位体とともに、二酸化炭素に可溶性のキレートを形成する。さらに、このようなリガンドは、接触動作の温度および圧力条件の下で溶媒に可溶性であるべきである。例えば、sCOを用いる除去に対し、リガンドの濃度は、最大0.5モル/リットルまでであってもよく、また、温度と接触時間は変化させてもよい。しかしながら、220℃より低い温度で、1気圧で、30分またはそれより短い接触時間で、十分な除去が起こることが予想される。可能性のあるリガンドの例は、フッ素化β−ジケトンおよび燐酸トリアルキル、または、フッ素化β−ジケトンおよびトリアルキルホスフィン酸化物を含む。さらなる例は、ジチオカルバメート、チオカルバゾン、β−ジケトンおよびクラウンエーテルを含む。硝酸塩、硫酸塩、チオシアネート、シアネートおよび他の類似の化合物を含む無機リガンドも用いられてもよい。リガンドは、所望の生成物と結合および除去するリガンド能力を向上させるように選択された1つ以上の官能基が提供されてもよい。このような官能基は、ヒドロキシル、カルボニル、ジケトン、アルデヒド、ハロホルミル、炭酸エステル、カルボン酸塩、エステル、エーテル、ペルオキシ、アミン、カルボキサミド、イミド、イミン、硝酸塩、シアン酸塩、チオール、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、チオシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、燐酸塩、ホスホノ基を含む。
【0162】
次に、接触動作706にて、ソース物質が抽出物質に抽出され、いくつかのケースでは、この動作は、抽出物質をソース物質に加えることを含んでもよい。関連する化合物の特性にさらに応じて、抽出物質とソース物質との間の接触を向上させるために、種々の処置を実行してもよい。例えば、もしソース物質が固体であれば、接触動作706は、滞留時間の間、ソース物質を液体抽出物質に接触させることを含んでもよい。その結果、所望の放射性同位体生成物がソース物質から溶解されるので、抽出物質と放射性同位体液体との混合物が生成される。あるいは、もしソース物質が液体であれば、接触動作706は、滞留時間の間、ソース物質を不混和性の液体抽出物質に接触させることを含んでもよい。その結果、溶解された所望の生成物とともに、バルク物質の第1相と、抽出物質の第2相と、を含む二相液体混合物が得られる。
【0163】
接触動作706はまた、分離の援助をする他の処置を含んでもよい。例えば、一つの実施形態において、接触動作706は、滞留時間のうちの少なくとも一部分の間、ソース物質と抽出物質との一方または両方を撹拌することを含む。さらに他の実施形態において、接触動作706は、滞留時間のうちの少なくとも一部分の間、ソース物質と抽出物質との一方または両方の温度を変化させることを含む。さらに他の実施形態において、接触動作706は、滞留時間のうちの少なくとも一部分の間、ソース物質と抽出物質との一方または両方の圧力を変化させることを含む。
【0164】
ソース物質がコンテナに格納された固体の粒子の形であるようなさらに他の実施形態において、接触動作706は、コンテナにある量の抽出物質を挿入し、いくらかの所定の滞留時間の間、コンテナに抽出物質を保持することを含む。
【0165】
選択された滞留時間の後に、今や溶解された所望の放射性同位体生成物を含んでいる抽出物質は、除去動作708にて、ソース物質との接触から除去される。これは、単に、ソース物質から液体抽出物質を排出させることと関連するだけでもよいし、または、抽出物質を除去するための、遠心力、加熱、冷却、加圧、または減圧を用いるような、よりアクティブな処理を要してもよい。
【0166】
図3の最終処理動作314を参照して実質的に上述した通り、所望の生成物はその後、分離動作710において、抽出物質から分離されて、最終生成物へ変換される。
【0167】
〔揮発性準拠分離〕
種々の実施形態において、抽出処理は、照射されたソースから所望の生成物を単離するのに用いることができる、迅速な、揮発性準拠分離を含んでもよい。揮発性準拠分離の実施形態は、揮発性金属化合物を生産するために、ハロゲン化物(F、Cl、Br、I)、カルボニル(CO)、および、ヘキサフルオロアセチルアセトネート(hexafluoroacetylacetonate)(「hfac」)のような、ジケトン準拠のリガンドの形成を利用することができる。核物質との揮発フッ化物の形成は公知である。塩素化も試験され、フッ化物の性質と類似していることがわかった。調整可能な分離のために、既存の差異を利用でき、他のハロゲン化物へと拡張できる。これは、ZrIから純粋なZrを得るためのVan Arkel処理において容易に実行される。揮発性のNi種を形成するためのMond処理において、カルボニルが用いられる。核分裂生成物のMo、Tc、RuおよびRhもカルボニル種を形成し、Mo(CO)は、揮発性生成物の主要な例である。hfac錯体は、ある範囲の元素に対して揮発性であることが知られている。これは、放射性核種の迅速で選択的な分離を提供することができる。
【0168】
ハロゲン化物、カルボニルまたはhfac錯体は、揮発性の違いに基づいて開始物質からある範囲の元素の分離のために利用されることができる。揮発性の種の特定の形成をターゲット化することは、迅速で選択的でありうる分離を達成することができる。追加の利益は、揮発性の錯体が、金属蒸着前駆物質として用いられうることである。したがって、生成物の純粋なサンプルは、反応混合物にて形成された揮発性の錯体から直接得られることができる。照射生成物の崩壊は、生成物生成のためのさらなる処理を要してもよい(例えば、生成物前駆物質は、ソースの照射の結果である)。
【0169】
一つの実施形態において、Mond処理を用いて、以前の照射の結果としてソース物質の粒子の全体に分布する99Mo固体を有する顆粒形における、照射された、UO含有ソース物質は、0.5ないし5気圧の圧力および50〜60℃の温度で維持された容器、コンテナまたは室において、一酸化炭素に曝露されてもよい。Mond処理に従い、これは、99Moのうちの少なくともいくらかを、99Mo(CO)に変換する。曝露時間を拡張することによって、および、ソース物質の表面に一酸化炭素ガスをよりよく接触させるために、ソース物質を撹拌するなどの他の方法によって、比較的多くの99Mo(CO)が生成されてもよい。99Mo(CO)の融点(ほぼ156℃)は、UOの融点(ほぼ2,865℃)より実質的に低い。したがって、一酸化炭素接触動作の後のソース物質の温度を、99Mo(CO)の融点より高い温度にまで上げることによって、揮発は容易に達成されることができる。さらに、99Mo(CO)が運び出された後に温度をUOの融点より低く保つことによって、ソース物質は影響を受けず、次の照射動作の準備が出来る。
【0170】
他の、より一般化した実施形態において、以前の照射の結果としてソース物質の全体に分布する所望の生成物を有する照射されたある量のソース物質は、所望の生成物が所望の生成物の揮発性化合物を形成するがターゲット物質は変化させないような条件の下で、容器、コンテナまたは室において、F、Cl、Br、I、CO、またはジケトンに準拠したリガンドに、曝露されてもよい。曝露時間を拡張することによって、および、ソース物質の表面によりよく接触させるために、ソース物質を撹拌するなどの他の方法によって、比較的多くの揮発性の所望の生成物が生成されてもよい。その後、所望の生成物化合物の融点がターゲット物質の融点より低い限り、温度を上げることによって揮発は容易に達成されることができる。残っているソース物質は、影響を受けず、次の照射動作の準備が出来る。
【0171】
〔超臨界二酸化炭素分離〕
上述の通り、目標設定結合分離での使用に適した他の分離技術は、超臨界二酸化炭素である。ここで述べるsCO抽出は、目標設定結合分離ソースから所望の生成物を除去することに加えて、核燃料から核分裂生成物を除去する用途にも適しうる。水性溶液および固体溶液の両方から金属および准金属の抽出について超臨界COを試験した。したがって、種々のイオン液体(ILs)と組み合わせられたsCOが、溶液から金属イオンを抽出するためのリガンドとして用いられることができる。汚染された紙、織物、または土壌でさえそうであるが、固体物質から金属または准金属を抽出するのに、類似の方法も用いられてもよい。sCO溶液を用いる現行の照射された核分裂性物質リサイクル技術は、照射された物質を溶液に溶解すことを要する。ここに記載のsCO分離技術を用いれば、溶解を要しないやり方でsCOを用いて、(溶融塩原子炉のために考慮された核燃料を含めて、)使用済み燃料のソース物質を処理することが可能になりうる。一例として、進行波原子炉(TWR)のような増殖燃焼原子炉からの金属燃料は、U金属を溶解しないが選択された核分裂生成物を除去するようなsCOシステムで処理されることができる。sCOシステムは、これらの元素とそれらの対応する同位体とを選択的に除去することができうる。ILsに可溶性の元素のリストを表2に示す。
【0172】
【表2】
【0173】
ILsに対して、sCOは、ウランをILに導入するための手段として有用でありうる。他のケースでは、酸化物をILに直接溶解させることが適切でありうる。アクチノイド、ランタノイドおよび遷移金属のような核廃棄物処理に対する当該金属は、sCOにおける高い可溶性のフッ素化β−ジケトンを用いて化学的に特性評価されている。抽出は、抽出剤として適切なキレート剤を用いることによって完了させることができる。例えば、90%を越える効果的でのLaおよびEuの抽出は、燐酸トリブチル(TBP)と結合したフッ素化ジケトンを用いて示されている。この処理では、錯体化剤の、COを可溶化する能力ゆえ、錯体化剤として、室温のイオン液体と、イミダゾリウム準拠の1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム(BMIM)と、ビス(トリフルオロメチルスルフォニル)−イミド(Tfとしても知られ、正確には(CFSOである)が用いられた。このようにして、完全な、水/RTIL/sCOシステムが開発される。他のイオン液体および金属キレート剤(抽出剤)の類似の処理を表3にまとめている。TBPなしでテノイルトリフルオロアセトン(TTA)を用いたときを除いて、全てのシステムで、EuとLaとが両方とも抽出されることに注意すべきである。後者は、Laだけを抽出し、Euは分離(抽出)しなかった。
【0174】
例えば、sCOを用いる除去に対し、リガンドの濃度は、最大0.5モル/リットルまでであってもよく、また、温度と接触時間は変化させてもよい。しかしながら、220℃より低い温度で、1気圧で、30分またはそれより短い接触時間で、十分な除去が起こることが予想される。表3で実行された抽出は、抽出剤/sCO混合物で、150気圧、1時間、50℃で行われた。抽出は、sCO分離が、核燃料、核廃棄物物質および目標設定結合分離ソースを含む、照射されたソース物質での使用に適しているべきであるということを示している。さらに、抽出は、ウランのような核分裂性種の存在下で酸化物または金属と選択的に結合させるために、β−ジケトンが用いられることができるということを示している。この情報に基づき、その起源にかかわらず、核分裂性物質を実質的に溶解させずに、放射性同位体の酸化物または金属と選択的に結合させるために、β−ジケトンが用いられることができることが予想される。
【0175】
【表3】
【0176】
可能性のあるリガンドのさらなる例は、ジチオカルバメート、チオカルバゾン、β−ジケトンおよびクラウンエーテルを含む。硝酸塩、硫酸塩、チオシアネート、シアネートおよび他の類似の化合物を含む、無機リガンドも用いられることができる。リガンドは、所望の生成物と結合および除去するリガンド能力を向上させるように選択された1つ以上の官能基が提供されてもよい。このような官能基は、ヒドロキシル、カルボニル、ジケトン、アルデヒド、ハロホルミル、炭酸エステル、カルボン酸塩、エステル、エーテル、ペルオキシ、アミン、カルボキサミド、イミド、イミン、硝酸塩、シアン酸塩、チオール、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、チオシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、燐酸塩、ホスホノ基を含む。
【0177】
一般に、CO溶媒和への障害は、CO(非極性)の溶媒力が弱いことである。金属および金属キレートは、4〜5cal/cmの範囲でCO可溶性パラメータではsCOの可溶性が低い。これは、フッ化エーテル、フッ化アクリレート、フッ化アルキル、ケイ素樹脂、および特定のホスファゼンのような親CO性の官能基を加えることによって解消することができる。種々の金属を抽出する現行の技術では、フッ素化β−ジケトン(燐酸トリブチル有りまたは無し)が示されている。ビス(トリフルオロエチル)ジチオカルバメートは、フッ素化されていない相手方よりも高い可溶性を示し、フッ素化されていないものが10−6ないし10−7mol/Lであるのに対し、フッ素化されているものが10−4である。他の例として、ジエチルジチオカルバメート(DDC)は、100気圧でsCOにおいて、ビス(トリフルオロエチル)ジチオカルバメート(FDDC)よりも、3〜800倍、可溶性が小さいことがありうる。sCO密度の変化が、圧力とほぼ直線的であるので、可溶性も、圧力増加とともに増加する可溶性とほぼ直線的に変化する。
【0178】
ランタノイド、アクチノイド、銅、ヒ素およびアンチモン(および照射されたソースの他の生成物)は、10−4mol/LCOの桁の濃度を有しうる。溶液中の金属に対するキレートのモル比1000ないし10000で、現行の技術にて、水と土壌の抽出が示されている。
【0179】
大きいスケールの処理では、高圧縮可能な流体の高圧溶液を閉じ込めることの固有の安全性のリスクはもちろんのこと、COを超臨界状態に再圧縮することや高圧COの安定供給を要するので、sCOを気体相に遷移させて経済性を維持することは、非現実的でありうる。さらに、いくらかの残余の放射性物質や崩壊生成物が二酸化炭素ガス中に残っている可能性があるので、オフガスCOは、さらなる汚染除去または処分ができるコンテナに集められる必要がありうる。
【0180】
sCOからの放射性同位体の分離の一部としてのsCOの気化を要しない「逆抽出」処理を有する現行の技術がある。このタイプの処理では、金属または准金属キレートを形成するための超臨界流体を用いることにより、固体溶液または液体溶液から金属または准金属種が除去される。超臨界流体は、典型的には、数パーセントのHOまたはMeOHなどの溶媒修飾(改質、調節)剤(modifier)を含む。金属または准金属は、その後、酸性溶液を用いることによってsCO溶液から逆抽出され、それらのうちの1つは、好ましくはハロゲン化される。他の(水性)溶液に逆抽出することにより、sCOの減圧が回避される。残っているのは、選択された放射性同位体を生む他の溶液と、容易に再利用できるsCOである。これは、準自動化された、バッチ処理システムにおいてさえ、再加圧のステップを加えずにsCOをリサイクルする能力はコスト面で有利であるが、自動化されたシステムや連続処理では特に有利である。逆抽出は、放射性同位体生成物とともにリガンドを除去してもよいし、しなくてもよい。一つの実施形態において、抽出物質として再利用できるようになる前に、sCOに、新鮮なリガンドが加えられる必要がありうる。ILsは、逆抽出処理にも用いられることができることに注意すべきである。
【0181】
図10は、照射された核分裂性ソース物質から第1の放射性同位体生成物を抽出する方法の実施形態を示す。方法1000は、大部分動作1002によって示される照射された核分裂性ソース物質で開始する。照射された核分裂性ソース物質は、所望の放射性同位体生成物に加えて、複数の放射性同位体を含んでもよい。所望の放射性同位体生成物の例は、99Mo、238U、131I、51Cr、225Raおよび225Acを含む。
【0182】
所望の放射性同位体生成物およびターゲット物質の特性に基づいて、リガンド選択動作1006にてリガンドが選択される。一つの実施形態において、超臨界二酸化炭素(sCO)に可溶性で、所望の生成物とともにキレートを形成し、ターゲット物質とはキレートを形成しないリガンドが選択される。例えば、一つの実施形態において、所望の放射性同位体生成物は99Moであり、照射されたターゲット物質は、235Uおよび、モリブデンとの錯体に対して公知のリガンドである。他の適したリガンドの例は上で提供されている。
【0183】
次に、確認されたリガンドは、抽出物質調製動作1006で、sCO−リガンド溶液を形成するために、sCOに溶解される。もし、選択されたリガンドがsCOに特に可溶性でない場合、この動作1006は、また、フッ化エーテル、フッ化アクリレート、フッ化アルキル、ケイ素樹脂、および特定のホスファゼンのような親CO性の官能基を加えるなどすることによって、リガンドを、それがもっと可溶性になるように修飾することを含んでもよい。一つの実施形態において、リガンドは、フッ素化β−ジケトンおよび燐酸トリアルキル、または、フッ素化β−ジケトンおよびトリアルキルホスフィン酸化物であってもよい。他の実施形態において、リガンドは、ジチオカルバメート、チオカルバゾン、β−ジケトンおよびクラウンエーテルから選択されてもよい。
【0184】
sCO−リガンド溶液は、その後、接触動作1008にて、接触時間の間、照射されたソース物質と接触するように配置される。選択されたリガンドが所望の生成物と錯体を形成すると、接触動作1008の結果は、sCO−放射性同位体錯体溶液である。一つの実施形態において、照射されたソース物質は、コンテナにあり、接触動作1008は、sCO−リガンド溶液をコンテナに通すことを含む。
【0185】
接触動作1008はまた、放射性同位体生成物の、sCO−リガンド抽出物質への質量転送を向上させるための追加の処置を実行することを含んでもよい。例えば、照射されたソース物質が、コンテナのゆるいまたはゆるく詰められた粒子の形であるような実施形態において、接触動作1008は、特に、溶液を粒子の層に強引に通すことによって充填層反応装置としてコンテナを用いて、sCO−リガンド抽出物質をコンテナに通すことを含んでもよい。さらに他の実施形態において、sCO−リガンド溶液は、事実上、充填層反応装置としてコンテナを用いて、コンテナ内の複数の粒子を流動化させるのに十分な流速でコンテナを通ってもよい。さらに他の実施形態において、照射された核分裂性ソース物質は液体形であってもよく、また、接触は、核分裂性物質/sCO−リガンド溶液混合物を撹拌することを含んでもよい。
【0186】
選択時間の後、sCO−放射性同位体錯体抽出溶液は、その後、除去動作1010において、照射されたソース物質から除去される。この動作において、照射された核分裂性ターゲット物質の実質的に全てが、例えば粉末またはセラミックのように、その本来の物理的形で一緒に残るように、核分裂性ターゲット物質がsCO−放射性同位体錯体抽出物質で除去されるのを防ぐように、注意してもよい。完全なシステムは不可能であり、照射された物質の最小量が、抽出物質で除去されてもよい、ということを読者は理解するだろう。しかしながら、照射された物質の本来の量のうち、1重量%より少ない量、または、0.1重量%、0.01重量%または0.001重量%より少ない量がsCO−放射性同位体錯体溶液で除去されるようなシステムは、容易に達成できる。
【0187】
次に、分離動作1012にて、所望の生成物および/または所望の生成物のさらなる崩壊娘生成物が、sCOから分離される。これは、sCOの逆抽出によるものでもよいし、または、sCOを臨界未満にすることに関連してもよい。これは、リガンド−生成物錯体を除去することを含んでもよいし、または、生成物だけを除去することを含んでもよい。一つの実施形態において、逆抽出は、sCOリガンド溶液を減圧および再加圧することなく、再利用に適した分離動作1012からsCO−リガンド溶液も生成されるように、用いられる。一つの実施形態において、これは、sCO−生成物錯体溶液を酸性溶液と接触させて、それによって酸−生成物溶液と再生されたsCO−リガンド溶液とを生成することによって達成されてもよい。
【0188】
〔消費された燃料の再形成のための超臨界二酸化炭素分離〕
金属質燃料は、ベント形ピン構成および/または進行波原子炉に適切な金属燃料を含めて、典型的には、通気されて、フェライトマルテンサイトステンレス鋼外装材の内部に含まれて、高い燃焼度が可能な金属燃料を含む。寿命の最後には、燃料は、一般的に、金属質形燃料と、燃焼サイクルの間に燃料から沈殿した固体の核分裂生成物との、非常に多孔性のマトリクスを有する。
【0189】
図8は、sCOを用いる核燃料の再形成のための方法の実施形態を示す。照射後の燃料の再形成は、一般に、核燃料集合体またはその中に含まれる燃料ピンの修飾なしに、核分裂生成物、ランタノイド、またはアクチノイド除去処理のための燃料集合体全体の処理可能にするように設計されてもよい。目標設定結合分離での密封された容器の例を用いて、以前に燃焼した核燃料集合体ソース物質は、コンテナ動作802において、密封可能な圧力容器に配置されてもよい。
【0190】
容器はその後、加圧されたsCOおよび1つ以上の抽出剤(ジケトンまたは任意の他の適切な作用物質)で満たされ、動作804において、ILも水性成分もなしで、抽出物質を生成する。核分裂ガス通気のための既存の燃料集合体にベントがあるので、また、超臨界流体の性質ゆえ、sCO抽出剤溶液は、燃料ピンと多孔性の燃料のマトリクスとを満たすように働く(すなわち、超臨界流体は、内部にその流体が含まれる空間を満たす、低い表面張力と低い粘度の流体としてふるまう)。抽出物質は、ターゲット化された核分裂生成物(または、もし他の物質が所望されていて適切なリガンドが選ばれていれば、当該他の物質)を溶媒和し始め、ウラン金属マトリクスは影響を受けないままにする。核分裂生成物は、その後、全体のシステムの濃度が平衡に向かうように、燃料ソース物質から拡散し始める。
【0191】
溶解された核分裂生成物を含む抽出物質は、その後、抽出物質除去動作806において、圧力容器からゆっくりと放出さることができる。除去動作806の間に圧力容器に、新しいきれいな抽出物質が加えられてもよいし、されなくてもよい。溶媒和速度を向上させるために、撹拌、加熱および/または連続加圧および減圧がシステムに適用されてもよい。例えば、システムは、7.5MPa(51℃でのほぼ臨界点)より大きい値で動作し、±0.1MPaだけ揺動して、多孔性の燃料へのおよびそこからの抽出物質のポンピングを向上させてもよい。
【0192】
使用済みの燃料から除去された成分を含めて、システムから除去された抽出物質は、収集動作808において、他の容器のほうへ向かう。
【0193】
分離容器では、抽出物質内のsCOは、臨界点未満にされて、動作810で気体相へ変換されることができる。臨界点未満のCOを減少させることによって、抽出剤と核分裂生成物とがCOから分離され、容器にて液体相として収集される。
【0194】
次に、収集された液体相の抽出剤と核分裂生成物との混合物について揮発動作812が実行されることができ、そこでは、抽出剤は、その揮発温度より高くされて蒸気相へ変換され、選択された元素または同位体を残す。これは臨界未満動作810と同じ分離容器で行われてもよいし、または、抽出剤−核分裂生成物液体混合物が、この動作のための異なる容器へ移動されてもよい。
【0195】
必要に応じてこの仕組みのバリエーションを用いてもよい。例えば、もし、選ばれた抽出剤と液体COとが不溶性であれば、溶液を、二酸化炭素の液相線の点より下に下げることが好ましいことがありうる。他の代替物は、超臨界溶液の温度を、抽出剤の揮発点より上(例えば、100℃ないし200℃よりも上)に、または、分解温度より上(例えば、200℃ないし300℃よりも上)に、上げることでありうる。いずれの場合にも、一旦抽出剤が消失すると、金属は、実質的または部分的に、sCOから沈殿してもよい。抽出剤蒸気または分解生成物の除去は、気体相分離によって、または、上述のように、COを液体相に変換することによって、完了させることができる。さらに、溶液は、第1の超臨界状態から第2の超臨界状態へと、温度または圧力を変化させてもよく、ここで、第2の超臨界状態は、第1の超臨界状態の可溶性よりも低い抽出剤の可溶性を有している。この処理によって、抽出剤の全てまたは一部が、超臨界状態を残すことなく回収されうる。
【0196】
ターゲット化された核分裂生成物の90%を越えるものが、複数のsCO溶液処理で除去されることができる90%を越えるもので除去されうるので、燃料集合体からの核分裂生成物の除去は、燃料集合体の廃棄性を大きく向上させうる。いくつかの場合に、核分裂生成物の除去を増加させるために、くり返し処理や、それぞれが異なる抽出物質を有しているような複数の異なる処理などの、複数のサイクルを適用することは有利でありうる。例えば、いくつかの場合に、2つの処理は、アクセス可能な核分裂生成物の99%を除去でき、一方、3つの処理は、99.9%を除去できた、などである。任意の適切な因子は、処理の数および/またはタイプを決定するために用いられてもよいし、sCO溶液が浸透できない固体の燃料マトリクスの内部に溶解されるまたは刺される核分裂生成物に基づいていてもよい。しかしながら、燃料マトリクスからのおよび溶液への溶液可溶性金属の拡散を可能にするような温度および時間スケールで動作することは可能でありうることに注意すべきである。これは、消費された燃料集合体の短期間の熱負荷を小さくし、集合体を取り扱うおよび運搬することの危険を減少させ、また、長期間の処分にいっそう適したものにしうる。
【0197】
消費された燃料の処分のための代案は、上述の通り目標設定結合分離方法におけるソースとして一旦核分裂生成物が除去されると、燃料集合体を再利用することであろう。燃料集合体は、これのための目標設定結合分離設備に運搬されうるか、消費された燃料を生成したのと同じ設備にて処理されうる。燃料集合体は、修飾なしでソースとして用いられてもよく、または、それは、消費された燃料を、目標設定結合分離設備に対する該当の放射性同位体生成物のための適切なサイズの粒子に変換することなどによって、目標設定結合分離効果を改良するように処理されてもよい。
【0198】
例えば、一つの実施形態において、設備は、TWRなどの増殖燃焼タイプの原子炉である。この実施形態において、核分裂生成物が除去され、その後、溶媒和に用いられる圧力容器の内部で熱−機械処理が実行される。熱−機械処理は、原子炉内での連続使用のための構造物質を修飾する。処理を向上させるために、核分裂生成物が除去された後に、容器と連続集合体とは、著しくいっそう高い温度(燃料の融点を越えるようにされうる)および圧力(数MPaのうちの数10)をもたらされてもよい。
【0199】
目標設定結合分離を用いるシステムは、照射(原子炉の動作)の間に周期的に核分裂生成物を除去するために、sCO処理などの分離動作を燃料マネジメントまたは「シャッフル」サイクルに組み込むことによって、寿命の前に核分裂生成物を除去してもよい。例えば、いくつかのTWR燃料補給システムは、容器から集合体を上げるための密封囲いを組み込む。このようなシステムでは、既存の囲いはまた、集合体崩壊熱を管理するための冷却能力をも含む。これらのシステムは、最小システム修飾で、閉じ込め部に、核分裂生成物が除去されるように、より頑丈にされてもよい。これは、シャッフル動作の統合部分として行われるsCO抽出を可能にする。このようなシステムは、sCOの高い密度ゆえ、大きな容器および配管を要しないだろう。金属10−4kg/溶液kgより大きい濃度が可能である。寿命のときには、各集合体は、50kgの桁で、最大量の核分裂生成物を含む。溶液の密度は1000kg/mの桁である。それゆえ、いくつかの場合において、単一の集合体に全ての核分裂生成物を含むためには、sCO溶液のうちの5mだけが必要であろう。より頻繁な間隔で集合体を処理することは、明らかにこの最大の体積を減少させるだろう。さらに、COは、核分裂生成物から分離されてシステムに再び入ってもよいので、在庫はさらに減少されることができる。
【0200】
〔照射された物質の再処理〕
図12は、目標設定結合分離を用いる所望の放射性同位体を選択的に生成する方法の代替の実施形態を示す。図12の方法は、照射されたターゲット物質が開始物質として提供され、それゆえその所望の生成物が選択されうるようなオプションを制限することが図3の方法と異なる。これは、例えば、ある量の消費された核燃料が利用可能であって、消費された燃料からいくらかの値を回収するために目標設定結合分離を用いることが所望であるときに、発生しうる。このような例は、トリウム燃料サイクルからの廃棄生成物である223Uから223Raの生産を含む。
【0201】
方法1200は、ある量の照射されたソース物質の提供を有する動作1201で始まり、これは、目標設定結合分離に用いられる、ある量のターゲット物質および補助物質の両方を含んでもよい。初期のソース物質は、消費された核燃料、ある量の核分裂生成物を含む核廃棄物、または、なんらかの他の物質であってもよく、また、上述の任意のターゲット物質を含んでもよい。
【0202】
初期のソース物質は、その後、どのような放射性同位体が特性評価動作1202における物質の内部にあるのかを決定するように特性評価される。初期のソース物質は、さらなる処理および/またはソース物質へのそれの組み込み無しで、目標設定結合分離に適していてもよく、適していなくてもよい。このように、特性評価動作1202はまた、初期の物質の形が、任意の特定の放射性同位体の分離を向上させるように修飾されることができるかどうかを決定する。
【0203】
図3を参照して上述したのと同様に、選択動作1202がその後実行される。しかしながら、この動作1202では、初期のソース物質は公知であるため、選択されてもよい放射性同位体の範囲は、初期物質から得られうるものに限定される。一つの実施形態において、1つ以上の放射性同位体が選択されてもよい。
【0204】
すでに言及した通り、いくつかの望ましい放射性同位体は、照射動作の直接の生成物ではない可能性がある。そのような状況では、選択動作1204は、崩壊系列の選択、または、崩壊系列での放射性同位体のうちの任意のものの選択、と同等と考えられてもよい。
【0205】
その後、物質処理動作1206が実行されうる。初期のソース物質は、処理されて1つ以上のソースになる。再照射が起こる実施形態において、この処理は、図3を参照して上述したように、選択された放射性同位体の反跳距離に基づいて行われてもよい。処理動作1206は、初期のソース物質をコンテナに配置するのと同じくらい簡素であってもよい。他の実施形態において、初期のソース物質は、物理的および/または化学的に処理されて、分離動作に、より適したソース物質の形を作ってもよい。例えば、初期の物質は、破砕され、篩いがけされて、選択された粒子サイズを有する微粒子を生成してもよい。上述の通り、ソース物質が再照射されるのであれば、このサイズ処理は、選択された放射性同位体の反跳距離に基づいて行われてもよい。このような処理は、さらに、ここで述べる通り、微粒子を焼結してセラミックにすることを含んでもよい。ターゲット、ソース物質および処理動作1206の実施形態に関する追加の詳細は、図5を参照して以下に述べる。
【0206】
処理動作1206は、さらに、ソース物質に適したコンテナを選択、生成および/または提供することを含んでもよい。中性子を用いる再照射が起こる実施形態において、中性子がコンテナを通ることができるように、コンテナは、中性子的に透明な物質で出来ていてもよい。もし再照射が起きなければ、中性子吸収物質のコンテナが選択されてもよい。コンテナは、任意の適した形状および形であってもよく、また、抽出物質の容易な導入および/または除去を可能にするための1つ以上のバルブが提供されていてもよい。
【0207】
ソースが生成された後に、分離動作1208が実行され、ソース物質から所望の生成物の原子を抽出する。上述の通り、所望の生成物は、選択された放射性同位体、選択された放射性同位体の崩壊娘、または、99Moの場合のように両方であってもよい。この動作1208は、ソースを、例えば上述したコンベヤシステムによって、分離設備/機器へ運搬することを含んでもよい。分離動作1208の一つの実施形態において、ソース物質は、ソース物質中の残っているターゲットを実質的に溶解させずにソースから所望の生成物を優先的に抽出する溶媒のような、抽出物質に曝露される。例えば、1つの実施形態において、ソースは、固体相にあり、また、照射動作および分離動作の全体において固体相に残っている。
【0208】
図12に示した実施形態において、随意的な再照射動作1210が実行されてもよい。この動作では、ソースは、照射動作1210におけるいくらかの照射期間の間、中性子に曝露される。この動作1210は、ソースを、例えば上述したコンベヤシステムによって、安全な照射のための照射設備/機器へ運搬することを含んでもよい。照射動作1210において、ソース物質は中性子に曝露され、それによって、ソース物質のうちの少なくともいくつかの原子が、核分裂または中性子捕獲を行い、選択された放射性同位体の原子を生成する。この結果、図11を参照して述べた、減少した量の無反応ターゲット内の、ある量の、選択された放射性同位体生成物を含む、再照射されたソース物質が得られる。加えて、核分裂反応からの反跳に起因して、選択された放射性同位体の新しく生成された原子のうちの少なくともいつくかは、ソース物質内の残っている無反応ターゲットと相対的に反跳距離だけ移動する。上述の通り、選択された放射性同位体生成物の反跳は、放射性同位体生成物をソース物質の利用可能な表面にもっと近づけるなどによって、その放射性同位体を抽出物質に対していっそう利用可能にしてもよく、これはその後、抽出物質による抽出を改良しうる。
【0209】
ソースがコンテナを含む実施形態において、ソース物質は、分離動作1208の間、コンテナから除去されてもされなくてもよい。分離動作1208は、さらに、次の照射に対してそれを調製するためのターゲットの再生を含んでもよい。これは、次の照射の前にソース物質から抽出物質を除去するための1つ以上の洗浄動作に関連してもよい。
【0210】
分離動作1208の後、選択された放射性同位体のうちのもっと多くを生成するために、同じソースが再照射されて、その結果、( 核分裂反応の結果として以外で)ソース中の残っているターゲット物質の塊のうちのいずれをも実質的に溶解、変化、除去させずに、複数回くり返される照射動作1210、分離動作1208を可能にしてもよい。上述の通り、これは、核分裂性物質が、単一の中性子曝露を用いて可能であるのよりも効率的に、所望の生成物に変換されることを可能にする。
【0211】
方法1200は、さらに、図3を参照して述べたように、抽出された放射性同位体生成物を、商業利用に適した最終の生成物または最終の形に変換する最終処理動作1214を含んでいる。一つの実施形態において、最終処理動作1214は、放射性同位体を、上述したような娘同位体生成器に組み込むことを含んでいる。
【0212】
ここで述べたシステムおよび方法は、述べた目的と利益およびそこに固有の目的と利益を達成するために十分適合されることは明らかである。当業者は、この明細書内の方法およびシステムが、多くのやり方で実施できること、またしたがって先に例示した実施形態および例によって限定されないことを、認識する。この点に関して、ここで述べた異なる実施形態の特徴のいずれのものも単一の実施形態に組み込まれてもよく、また、ここに記載した特徴の全てのものより少ないものまたは多くのものを有する代替の実施形態が可能である。
【0213】
この開示の目的に対して種々の実施形態を記載したが、ここに記載した技術の十分範囲内である種々の変更と修正が行える。例えば、目標設定結合分離は、固体の核廃棄物から出来たソースから毒や他の核汚染物質を含む核分裂生成物を除去するのに適合していてもよい。当業者にそれを容易に示唆するような、また、本開示の精神に包含されて添付の請求項に規定されているような他の多くの変更を行うことができる。
【0214】
態様1.
放射性同位体生成システムであって、
1つ以上のコンテナであって、第1のコンテナを含み、上記第1のコンテナは、少なくとも1つのターゲット物質を含むソース物質を含んでいる、コンテナと、
放射線生成器と、
上記放射線生成器から放射線を受ける放射線衝撃室であって、上記放射線衝撃室は、1つ以上の上記コンテナを保持するとともに受けた上記放射線に曝露させるのに適合しており、それによって、上記放射線に対するターゲット物質の曝露の直接の生成物である少なくともいくつかの第1の放射性同位体を生成する、放射線衝撃室と、
上記第1のコンテナまで抽出物質を転送させるのに適合した挿入部材であって、それによって、上記第1のコンテナ内のソース物質を上記抽出物質と接触させ、上記抽出物質は、上記ターゲット物質を溶解させることなく、第1の放射性同位体、第1の放射性同位体の娘核種である第2の放射性同位体、または、第1の放射性同位体および第2の放射性同位体の両方、のうちの1つ以上を溶解させるように選択される、挿入部材と、
上記ターゲット物質を上記第1のコンテナから除去することなく、溶解した放射性同位体とともに抽出物質を上記第1のコンテナから除去するように適合された抽出部材と、
を含むことを特徴とするシステム。
【0215】
態様2.
上記ターゲット物質が核分裂性物質であり、上記放射線生成器が中性子生成器であることを特徴とする態様1に記載のシステム。
【0216】
態様3.
上記ソース物質は、核分裂性の上記ターゲット物質の直接の放射性同位体生成物の反跳距離に基づいた細孔壁幅を有する多孔性の形を有することを特徴とする態様2に記載のシステム。
【0217】
態様4.
溶解した放射性同位体とともに抽出物質を上記第1のコンテナから受けて、上記抽出物質から、少なくとも1種の放射性同位体のうちのいくらかを回収する回収部材を含むことを特徴とする態様1に記載のシステム。
【0218】
態様5.
コンテナを、上記放射線衝撃室から、上記挿入部材または上記抽出部材の一方または両方と相互作用するための別の位置へ、物理的に移動させるように適合された運搬システムを含むことを特徴とする態様1に記載のシステム。
【0219】
態様6.
上記運搬システムは、コンテナを、上記放射線衝撃室から上記別の位置へ、また、上記別の位置から上記放射線衝撃室へ、くり返し移動させるように適合されていることを特徴とする態様5に記載のシステム。
【0220】
態様7.
上記運搬システムは、複数のコンテナを、上記放射線衝撃室から上記別の位置へ、物理的に移動させるように適合されていることを特徴とする態様5に記載のシステム。
【0221】
態様8.
上記ターゲット物質は、ウランの核分裂生成物としての99Moの平均反跳距離より小さい平均粒子サイズを有する酸化ウランまたは金属ウランを含む粒子を含んでいることを特徴とする態様2に記載のシステム。
【0222】
態様9.
上記抽出物質は、第1の放射性同位体、第1の放射性同位体の娘核種である第2の放射性同位体、または、第1の放射性同位体および第2の放射性同位体の両方、のうちの1つ以上を優先的に溶解させる超臨界流体および水性流体から選択されることを特徴とする態様1に記載のシステム。
【0223】
態様10.
上記抽出物質は、第1の放射性同位体、第1の放射性同位体の娘核種である第2の放射性同位体、または、第1の放射性同位体および第2の放射性同位体の両方、のうちの1つ以上を優先的に溶解させるリガンドを含む超臨界二酸化炭素であることを特徴とする態様9に記載のシステム。
【0224】
態様11.
上記システムは、上記システムが、上記第1のコンテナを放射線に曝露させ、上記抽出物質を上記第1のコンテナに転送し、溶解した放射性同位体とともに抽出物質を上記第1のコンテナから除去する、放射性同位体生成サイクルを、自動的に実行することを特徴とする態様1に記載のシステム。
【0225】
態様12.
上記システムは、上記第1のコンテナにおいて、上記放射性同位体生成サイクルを自動的にくり返すことを特徴とする態様11に記載のシステム。
【0226】
態様13.
上記システムは、上記第1のコンテナを含め、複数のコンテナを処理し、それによって、上記複数のコンテナのそれぞれが放射線に曝露されることを特徴とする態様12に記載のシステム。
【0227】
態様14.
上記ターゲット物質は、粉末、塩、布、泡、または、液体中のコロイド懸濁液の形で、1つ以上の酸化ウランまたは金属ウランを含むことを特徴とする態様2に記載のシステム。
【0228】
態様15.
上記ソース物質は、ラジウム、または、ベリリウムに電気メッキされたラジウムを含むことを特徴とする態様2に記載のシステム。
【0229】
態様16.
上記放射性同位体の少なくとも1種は、227Ac、213Bi、131Cs、133Cs、11C、51Cr、57Co、60Co、64Cu、67Cu、165Dy、169Er、18F、67Ga、68Ga、68Ge、198Au、166Ho、111In、123I、124I、125I、131I、192Ir、59Fe、81mKr、212Pb、177Lu、99Mo、13N、15O、103Pd、32P、238Pu、42K、227Ra、223Ra、186Re、188Re、81Rb、82Rb、101Ru、103Ru、153Sm、75Se、24Na、82Sr、89Sr、99mTcおよび201Tlのうちの1つ以上から選択されることを特徴とする態様1に記載のシステム。
【0230】
態様17.
上記放射線生成器は、Pu−Beソース、252Cfソース、シールド管放射線生成器、高密度プラズマ焦点装置、ピンチ装置、慣性静電制限装置、核分裂炉および加速度破砕装置のうちの1つ以上から選択されることを特徴とする態様1に記載のシステム。
【0231】
態様18.
放射性同位体を選択的に製造する方法であって、
放射性同位体を選択するステップと、
選択された放射性同位体がターゲット物質から核分裂生成物として生成可能であるようなターゲット物質を確認するステップと、
上記ターゲット物質における選択された放射性同位体の反跳距離を決定するステップと、
選択された放射性同位体の反跳距離に基づいた粒子サイズを有するターゲット物質の複数の粒子を生成するステップと、
ターゲット物質の上記粒子を中性子に曝露させ、それによって、ターゲット物質のうちの少なくともいくつかの原子に核分裂を行わせて、選択された放射性同位体の原子を生成し、また、選択された放射性同位体の新規に生成された原子のうちの少なくともいくつかを、上記ターゲット物質に相対的に、反跳距離だけ移動させるステップと、
選択された放射性同位体の原子をターゲット物質から抽出するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【0232】
態様19.
曝露動作と抽出動作は、ターゲット物質の相を変化させずに実行されることを特徴とする態様18に記載の方法。
【0233】
態様20.
ターゲット物質の複数の粒子について、曝露動作と抽出動作とをくり返すステップを含むことを特徴とする態様18に記載の方法。
【0234】
態様21.
ターゲット物質の複数の粒子は、中性子的に透明なコンテナの中に含まれており、
上記方法は、
ターゲット物質の複数の粒子をコンテナから除去せずに、ターゲット物質の、同じ複数の粒子について、曝露動作と抽出動作とをくり返し実行するステップを含むことを特徴とする態様18に記載の方法。
【0235】
態様22.
上記粒子は、20ミクロンより小さい粒子サイズを有する酸化ウランまたは金属ウランの粒子であることを特徴とする態様18に記載の方法。
【0236】
態様23.
上記粒子は、およそ0.001ないし10ミクロンの粒子サイズを有する酸化ウランまたは金属ウランの粒子であることを特徴とする態様22に記載の方法。
【0237】
態様24.
複数の上記粒子ののうちの少なくともいくつかは、反跳距離と等しいまたはそれより小さい少なくとも1つの寸法に沿って固有の長さを有することを特徴とする態様18に記載の方法。
【0238】
態様25.
抽出動作は、
選択された放射性同位体をターゲット物質から優先的に抽出する溶媒に、ターゲット物質の粒子のうちの少なくともいくつかを曝露させるステップを含むことを特徴とする態様18に記載の方法。
【0239】
態様26.
曝露動作の前に、ターゲット物質の粒子を、固体の多孔性ソースへと処理するステップを含むことを特徴とする態様18に記載の方法。
【0240】
態様27.
処理するステップは、
ターゲット物質の粒子を、開放セル泡、開放格子、開放枠組み、セラミック、薄膜、単層、スポンジ、ナノ籠またはナノ結晶へと処理するステップを含むことを特徴とする態様26に記載の方法。
【0241】
態様28.
処理するステップは、
ターゲット物質の粒子を、Brunauer,EmmettおよびTeller(BET)分析によって測定されたときに10m/gより大きい表面積を有する固体の多孔性ソースへと処理するステップを含むことを特徴とする態様26に記載の方法。
【0242】
態様29.
処理するステップは、
ターゲット物質の粒子を、焼結、製粉、篩いがけ、3D印刷、結晶化、沈殿または加熱するステップのうちの1つ以上を含むことを特徴とする態様26に記載の方法。
【0243】
態様30.
99Mo放射性同位体を製造する方法であって、
第1の質量のウランを含むソースを提供するステップであって、上記ソースは、上記ソースの利用可能な表面から、選択された距離以内に、ウラン原子の大部分があるような形である、ステップと、
上記ソースを中性子に曝露させ、それによって、上記ソースにおける第1の質量のウランを、第1の質量より少ない第2の質量のウランにまで減少させ、また、99Mo放射性同位体のうちの少なくともいくつかの原子を生成し、それによって、また、99Mo放射性同位体の新規に生成された原子のうちの少なくともいくつかを、上記ソースの利用可能な表面のほうへ移動させる、ステップと、
上記ソースを中性子に曝露させた後に、上記ソースにおける第2の質量のウランからウランを実質的に除去することなく、99Mo放射性同位体の原子のうちの少なくともいくつかを上記ソースから除去するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【0244】
態様31.
除去動作は、上記ソースにおける第2の質量のウランから、0.01%より少ないウランを除去することを特徴とする態様30に記載の方法。
【0245】
態様32.
除去動作は、上記ソースにおける第2の質量のウランから、0.1%より少ないウランを除去することを特徴とする態様30に記載の方法。
【0246】
態様33.
提供動作は、
少なくとも部分的に、酸化ウランまたは金属ウランを含む粒子から作られたソースを提供するステップを含むことを特徴とする態様30に記載の方法。
【0247】
態様34.
上記ソースを中性子的に透明なコンテナに入れるステップを含むことを特徴とする態様30に記載の方法。
【0248】
態様35.
上記ソースを曝露させるステップは、
上記ソースを入れたコンテナを中性子に曝露させるステップを含み、
99Mo放射性同位体の原子のうちの少なくともいくつかを除去するステップは、
99Mo放射性同位体の原子のうちの少なくともいくつかを上記コンテナから除去するステップを含むことを特徴とする態様30に記載の方法。
【0249】
態様36.
上記ソースにおけるウランの相を変化させずに、99Mo放射性同位体の原子を溶解させる抽出物質を選択するステップを含むことを特徴とする態様30に記載の方法。
【0250】
態様37.
ウランの原子よりも99Mo放射性同位体の原子のほうが可溶性が高いような抽出物質を選択するステップを含むことを特徴とする態様30に記載の方法。
【0251】
態様38.
選択された抽出物質に基づいて上記ソースの形を決定するステップを含むことを特徴とする態様30に記載の方法。
【0252】
態様39.
ソースと抽出物質との組み合わせを選択するステップであって、上記組み合わせは、上記ソースに実質的に影響を及ぼすことなく、中性子への曝露の後に、上記ソースから99Mo放射性同位体を除去することを可能にする、ステップを含むことを特徴とする態様30に記載の方法。
【0253】
態様40.
除去動作は、
99Mo放射性同位体を溶解させるために選択された抽出物質をコンテナに通し、それによって、上記ソースの利用可能な表面を抽出物質に接触させるステップを含むことを特徴とする態様34に記載の方法。
【0254】
態様41.
抽出物質は、超臨界流体および水性流体から選択されることを特徴とする態様40に記載の方法。
【0255】
態様42.
抽出物質は、99Mo放射性同位体を溶解させるリガンドを含む超臨界二酸化炭素であることを特徴とする態様40に記載の方法。
【0256】
態様43.
リガンドは、8−ヒドロキシキノリン、α−ベンゾインオキシム、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼン 二スルホン酸二ナトリウム、燐酸塩化合物およびジケトン化合物から選択されることを特徴とする態様42に記載の方法。
【0257】
態様44.
リガンドは、ヒドロキシル、カルボニル、ジケトン、アルデヒド、ハロホルミル、炭酸エステル、カルボン酸塩、エステル、エーテル、ペルオキシ、アミン、カルボキサミド、イミド、イミン、硝酸塩、シアン酸塩、チオール、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、チオシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、燐酸塩、ホスホノ基から選択される1つ以上の官能基を有することを特徴とする態様42に記載の方法。
【0258】
態様45.
上記コンテナからウランを除去することなく、コンテナで抽出動作および除去動作をくり返し実行するステップを含むことを特徴とする態様35に記載の方法。
【0259】
態様46.
上記抽出物質から99Mo放射性同位体を除去するステップを含むことを特徴とする態様40に記載の方法。
【0260】
態様47.
除去動作の後に、同じソースで抽出動作をくり返すステップを含むことを特徴とする態様30に記載の方法。
【0261】
態様48.
99Mo放射性同位体に加えて、抽出動作中に生成された、ある量の、1つ以上の他の核分裂生成物を除去するステップを含むことを特徴とする態様30に記載の方法。
【0262】
態様49.
放射性同位体を選択的に製造する方法であって、
中性子的に透明なコンテナに固体の核分裂性物質を含むソースを受けるステップであって、上記ソースは、上記固体の核分裂性物質の放射性同位体生成物の反跳距離に実質的に類似の幅を有する細孔壁を持つ多孔性の形を有する、ステップと、
上記ソースを中性子に曝露させ、それによって、上記固体の核分裂性物質の少なくともいくつかの原子を、核分裂によって放射性同位体の原子に変換し、それによって、上記ソースが、放射性同位体と、変換されなかった固体の核分裂性物質とを含むようにする、ステップと、
上記核分裂性物質に相対的に放射性同位体を優先的に溶解させる抽出物質を選択するステップと、
上記抽出物質をコンテナに注入し、それによって、ソース物質を抽出物質に接触させるステップと、
滞留時間の後に、上記コンテナから抽出物質を除去し、それによって、少なくともいくつかの溶解した放射性同位体を上記コンテナから除去し、その一方で、変換されなかった固体の核分裂性物質の実質的に全てを、コンテナに残すステップと、
抽出物質を除去した後に、ソース物質を中性子に再曝露させ、それによって、変換されなかった固体の核分裂性物質のうちの少なくともいくつかの原子を、核分裂によって放射性同位体の原子に変換するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【0263】
態様50.
ターゲットを中性子に再曝露させた後に、ターゲットにて注入動作および除去動作をくり返すステップを含むことを特徴とする態様49に記載の方法。
【0264】
態様51.
溶解した放射性同位体を抽出物質から分離するステップと、
その溶解した放射性同位体を娘同位体生成器に組み込むステップと、
を含むことを特徴とする態様50に記載の方法。
【0265】
態様52.
上記娘同位体生成器から娘同位体を周期的に引き出すステップを含むことを特徴とする態様51に記載の方法。
【0266】
態様53.
コンテナから抽出物質を除去した後に、少なくとも第1の所定の期間が経過するまで待つステップであって、上記所定の期間は放射性同位体の半減期に基づいている、ステップを含むことを特徴とする態様49に記載の方法。
【0267】
態様54.
第1の指定された放射性同位体生成ターゲットを製造する方法であって、
溶液における核分裂性物質の溶解塩を提供するステップであって、上記核分裂性物質は、中性子に曝露すると第1の指定された放射性同位体を生成することが可能であり、また、第1の指定された放射性同位体は、上記核分裂性物質に対応した反跳距離を有する、ステップと、
上記溶液から上記核分裂性物質の酸化物を沈殿させるステップと、
沈殿した酸化物から、第1の指定された放射性同位体の反跳距離に基づいた粒子サイズを有する粒子を、選択的に形成するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【0268】
態様55.
沈殿させるステップは、
沈殿物を上記溶液に混合するステップを含むことを特徴とする態様54に記載の方法。
【0269】
態様56.
第1の指定された放射性同位体に基づいて核分裂性物質を選択するステップを含むことを特徴とする態様54に記載の方法。
【0270】
態様57.
選択された核分裂性物質に基づいて第1の指定された放射性同位体の反跳距離を決定するステップを含むことを特徴とする態様56に記載の方法。
【0271】
態様58.
形成するステップは、
10マイクロメートルと等しいまたはそれより小さい粒子サイズを有する粒子を形成するステップを含むことを特徴とする態様54に記載の方法。
【0272】
態様59.
形成するステップは、
1マイクロメートルと等しいまたはそれより小さい粒子サイズを有する粒子を形成するステップを含むことを特徴とする態様58に記載の方法。
【0273】
態様60.
形成するステップは、
100ナノメートルと等しいまたはそれより小さい粒子サイズを有する粒子を形成するステップを含むことを特徴とする態様58に記載の方法。
【0274】
態様61.
形成するステップは、
10ナノメートルと等しいまたはそれより小さい粒子サイズを有する粒子を形成するステップを含むことを特徴とする態様58に記載の方法。
【0275】
態様62.
形成するステップは、
沈殿した酸化物を、製粉、乾燥、濾過、洗浄、焼成または焼結するステップを含むことを特徴とする態様54に記載の方法。
【0276】
態様63.
沈殿した酸化物の粒子をコンテナに詰めるステップを含むことを特徴とする態様54に記載の方法。
【0277】
態様64.
コンテナへの溶媒の注入を可能にするのに適合した第1のバルブと、コンテナから溶媒の抽出を可能にするのに適合した第2のバルブと、を有するコンテナに、沈殿した酸化物の粒子を詰めるステップを含むことを特徴とする態様63に記載の方法。
【0278】
態様65.
沈殿した酸化物の粒子を、中性子的に透明なコンテナに詰めるステップを含むことを特徴とする態様64に記載の方法。
【0279】
態様66.
コンテナにより規定された穴に粒子を配置するステップと、
コンテナを密封し、それによって、穴に粒子を捕捉するステップと、
を含むことを特徴とする態様64に記載の方法。
【0280】
態様67.
沈殿した酸化物の粒子からセラミックを合成するステップを含むことを特徴とする態様54に記載の方法。
【0281】
態様68.
提供動作は、酸性溶液、塩基性溶液、水溶液およびアルコール溶液のうちの1つ以上から選択される溶液に、核分裂性物質の溶解塩を提供するステップを含むことを特徴とする態様54に記載の方法。
【0282】
態様69.
放射性同位体生成ターゲットであって、
中性子への長期の曝露による放射性同位体と、反跳距離に対応した放射性同位体とを生成することが可能なターゲット物質であって、
上記ターゲット物質は、放射性同位体の反跳距離に基づいて選択された固有の距離を有することを特徴とするターゲット。
【0283】
態様70.
上記放射性同位体は、ターゲット物質の核分裂の直接の核分裂生成物であることを特徴とする態様69に記載のターゲット。
【0284】
態様71.
複数の粒子を含む中性子的に透明なコンテナを含むことを特徴とする態様69に記載のターゲット。
【0285】
態様72.
コンテナは、流体の注入と抽出とを可能にする入力バルブと出力バルブとを有することを特徴とする態様71に記載のターゲット。
【0286】
態様73.
コンテナは、本体部と、噛み合わされるとコンテナ内にターゲット物質を入れる少なくとも1つの取り外し可能な蓋部と、を含むことを特徴とする態様71に記載のターゲット。
【0287】
態様74.
コンテナは、アルミニウム、アルミニウム合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、モリブデン、モリブデン合金およびステンレス鋼のうちの1つ以上から作られていることを特徴とする態様71に記載のターゲット。
【0288】
態様75.
ターゲット物質は、コンテナにゆるく詰められたターゲット物質の複数の粒子を含み、固有の距離は、放射性同位体の反跳距離に基づいて選択された粒子サイズであることを特徴とする態様71に記載のターゲット。
【0289】
態様76.
ターゲット物質は、セラミックへと形成されたターゲット物質の複数の粒子を含むことを特徴とする態様69に記載のターゲット。
【0290】
態様77.
ターゲット物質は、有機金属枠組みへと形成されたまたは有機金属枠組みに接着された、ターゲット物質の複数の粒子を含むことを特徴とする態様69に記載のターゲット。
【0291】
態様78.
ターゲット物質は、酸化ウランまたは金属ウランのうちの1つ以上を含むことを特徴とする態様69に記載のターゲット。
【0292】
態様79.
ターゲット物質は、ゆるい粉末、布、泡または液体中のコロイド懸濁液へと形成されたターゲット物質の複数の粒子を含むことを特徴とする態様69に記載のターゲット。
【0293】
態様80.
ターゲット物質は、ラジウム、または、ベリリウムに電気メッキされたラジウムを含むことを特徴とする態様69に記載のターゲット。
【0294】
態様81.
ターゲット物質は、アクチニド単層の粒子を含むことを特徴とする態様69に記載のターゲット。
【0295】
態様82.
アクチニド単層は、ウランの単層であることを特徴とする態様81に記載のターゲット。
【0296】
態様83.
ターゲット物質は、大きい表面積の金属ウランの粒子を含むことを特徴とする態様69に記載のターゲット。
【0297】
態様84.
大きい表面積の金属ウランの構造は、Kroll処理を用いて生成されることを特徴とする態様83に記載のターゲット。
【0298】
態様85.
第1の放射性同位体を含む複数の放射性同位体を含む照射された核分裂性物質から第1の放射性同位体を抽出する方法であって、
超臨界二酸化炭素(sCO2)に可溶性であり、第1の放射性同位体とともにキレートを形成し、核分裂性物質とともにキレートを形成しない、リガンドを選択するステップと、
確認されたリガンドをsCO2に溶解させて、sCO2−リガンド溶液を形成するステップと、
照射された核分裂性物質を、接触時間の間、sCO2−リガンド溶液に接触させ、それによって、sCO2−放射性同位体錯体溶液を生成するステップと、
sCO2−放射性同位体錯体溶液を、照射された核分裂性物質から分離するステップと、
sCO2−放射性同位体錯体溶液を、照射された核分裂性物質から分離した後に、sCO2−放射性同位体錯体溶液から放射性同位体を除去するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【0299】
態様86.
sCO2−放射性同位体錯体溶液から放射性同位体を除去するステップは、
sCO2−放射性同位体錯体溶液から放射性同位体錯体を除去するステップを含むことを特徴とする態様85に記載の方法。
【0300】
態様87.
除去動作は、sCO2−リガンド溶液を減圧および再加圧することなく、再利用に適したsCO2−放射性同位体錯体を生成することを特徴とする態様85に記載の方法。
【0301】
態様88.
除去動作は、sCO2−放射性同位体錯体溶液を酸性溶液に接触させ、それによって、酸−放射性同位体溶液と、再生されたsCO2−リガンド溶液とを生成することによって、再利用に適したsCO2−放射性同位体錯体を生成することを特徴とする態様85に記載の方法。
【0302】
態様89.
照射された核分裂性物質はコンテナに入れられ、
曝露動作は、
コンテナから核分裂性物質を実質的に少しも除去することなく、sCO2−リガンド溶液をコンテナに通すステップを含むことを特徴とする態様85に記載の方法。
【0303】
態様90.
コンテナが、充填層反応装置であることを特徴とする態様89に記載の方法。
【0304】
態様91.
照射された核分裂性物質は、ゆるい粒子の形であり、
曝露動作は、
コンテナ内に複数の粒子を流動化するのに十分な流速で、sCO2−リガンド溶液をコンテナに通すステップを含むことを特徴とする態様89に記載の方法。
【0305】
態様92.
照射された核分裂性物質は液体であることを特徴とする態様85に記載の方法。
【0306】
態様93.
放射性同位体は99Moであり、核分裂性物質は235Uであり、リガンドは、ヒドロキシル、カルボニル、ジケトン、アルデヒド、ハロホルミル、炭酸エステル、カルボン酸塩、エステル、エーテル、ペルオキシ、アミン、カルボキサミド、イミド、イミン、硝酸塩、シアン酸塩、チオール、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、チオシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、燐酸塩、ホスホノ基から選択される1つ以上の官能基を有することを特徴とする態様85に記載の方法。
【0307】
態様94.
リガンドは、フッ素化β−ジケトンおよび燐酸トリアルキル、または、フッ素化β−ジケトンおよびトリアルキルホスフィン酸化物から選択されることを特徴とする態様85に記載の方法。
【0308】
態様95.
リガンドは、ジチオカルバメート、チオカルバゾン、β−ジケトンおよびクラウンエーテルから選択されることを特徴とする態様85に記載の方法。
【0309】
態様96.
リガンドは、ヒドロキシル、カルボニル、ジケトン、アルデヒド、ハロホルミル、炭酸エステル、カルボン酸塩、エステル、エーテル、ペルオキシ、アミン、カルボキサミド、イミド、イミン、硝酸塩、シアン酸塩、チオール、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、チオシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、燐酸塩、ホスホノ基から選択される1つ以上の官能基を有することを特徴とする態様85に記載の方法。
【0310】
態様97.
放射性同位体は、227Ac、213Bi、131Cs、133Cs、11C、51Cr、57Co、60Co、64Cu、67Cu、165Dy、169Er、18F、67Ga、68Ga、68Ge、198Au、166Ho、111In、123I、124I、125I、131I、192Ir、59Fe、81mKr、212Pb、177Lu、99Mo、13N、15O、103Pd、32P、238Pu、42K、227Ra、223Ra、186Re、188Re、81Rb、82Rb、101Ru、103Ru、153Sm、75Se、24Na、82Sr、89Sr、99mTcおよび201Tlのうちの1つ以上から選択されることを特徴とする態様85に記載の方法。
【0311】
態様98.
バルク物質から放射性同位体を得る方法であって、バルク物質は少なくとも放射性同位体と核分裂性物質とから構成され、上記方法は、
核分裂性物質を実質的に溶解させることなく、バルク物質から放射性同位体を除去するステップと、
滞留時間の間、バルク物質を抽出物質に接触させ、それによって、抽出物質と放射性同位体との混合物を生成するステップと、
滞留時間の後、抽出物質と放射性同位体との混合物を除去するステップと、
抽出物質から放射性同位体を分離するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【0312】
態様99.
バルク物質は固体であり、
バルク物質を接触させるステップは、
滞留時間の間、バルク物質を液体抽出物質に接触させ、それによって、抽出物質と放射性同位体との液体混合物を生成するステップを含むことを特徴とする態様98に記載の方法。
【0313】
態様100.
バルク物質は液体であり、
バルク物質を接触させるステップは、
滞留時間の間、バルク物質を液体抽出物質に接触させ、それによって、バルク物質とは不混和性の、抽出物質と放射性同位体との液体混合物を生成するステップを含むことを特徴とする態様98に記載の方法。
【0314】
態様101.
接触動作は、
滞留時間の少なくとも一部分の間、バルク物質と抽出物質とのうちの一方または両方を撹拌するステップ、
滞留時間の少なくとも一部分の間、バルク物質と抽出物質とのうちの一方または両方の温度を変化させるステップ、
滞留時間の少なくとも一部分の間、バルク物質と抽出物質とのうちの一方または両方の圧力を変化させるステップ、
のうちの1つ以上を含むことを特徴とする態様98に記載の方法。
【0315】
態様102.
バルク物質は、コンテナに格納された固体の粒子の形であり、
接触動作は、
ある量の抽出物質をコンテナに挿入するステップと、
滞留時間の間、抽出物質をコンテナに保持するステップと、
を含むことを特徴とする態様98に記載の方法。
【0316】
態様103.
抽出物質は、抽出剤と溶媒とを含むことを特徴とする態様98に記載の方法。
【0317】
態様104.
抽出剤は、接触動作の温度と圧力の条件下で溶媒に可溶性の液体であることを特徴とする態様103に記載の方法。
【0318】
態様105.
溶媒はsCO2であることを特徴とする態様104に記載の方法。
【0319】
態様106.
リガンドは、放射性同位体とともに、二酸化炭素に可溶性のキレートを形成することを特徴とする態様104に記載の方法。
【0320】
態様107.
リガンドは、β−ジケトンおよび燐酸トリアルキル、または、β−ジケトンおよびトリアルキルホスフィン酸化物から選択されることを特徴とする態様104に記載の方法。
【0321】
態様108.
リガンドは、ジチオカルバメート、チオカルバゾン、β−ジケトンおよびクラウンエーテルから選択されることを特徴とする態様104に記載の方法。
【0322】
態様109.
リガンドは、ヒドロキシル、カルボニル、ジケトン、アルデヒド、ハロホルミル、炭酸エステル、カルボン酸塩、エステル、エーテル、ペルオキシ、アミン、カルボキサミド、イミド、イミン、硝酸塩、シアン酸塩、チオール、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、チオシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、燐酸塩、ホスホノ基から選択される1つ以上の官能基を有することを特徴とする態様98に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0323】
図1】同じターゲットから、放射性同位体のような放射線生成物をくり返し生成する目標設定結合分離方法の実施形態を示す。
図299Mo放射性同位体の連続または準連続の生産のための目標設定結合分離システムの実施形態を示す。
図3】目標設定結合分離を用いての所望の放射性同位体を選択的に生成するための方法の実施形態を示す。
図4】目標設定結合分離におけるターゲット物質を保持するのに適したコンテナの実施形態を示す。
図5】放射性同位体生成ターゲットを製造する方法の実施形態をより詳細に示す。
図6A】顆粒ターゲット物質の粒子サイズを特性評価するためのより詳細な方法を示す。
図6B】顆粒ターゲット物質の粒子サイズを特性評価するためのより詳細な方法を示す。
図6C】顆粒ターゲット物質の粒子サイズを特性評価するためのより詳細な方法を示す。
図7】目標設定結合分離とともに用いるのに適した一般的な分離方法の実施形態を示す。
図8】超臨界二酸化炭素sCOを用いる核燃料の再形成のための方法の実施形態を示す。
図9】いくつかの特定の放射性同位体を用いた目標設定結合分離における使用に適したリガンド、ヘキサフルオロアセチルアセトネート(「hfac」)の化学構造を示す。
図10】照射された核分裂性ソース物質から第1の放射性同位体生成物を抽出する方法の実施形態を示す。
図11】目標設定結合分離の2つの工程にわたってのソースの変化を示す物質変換サイクルを示す。
図12】目標設定結合分離を用いて所望の放射性同位体を選択的に生成するための方法の代替の実施形態を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12