(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一以上のピッチアクチュエータは、ピストンをフェザー側へ押すための第1受圧面積が前記ピストンをファイン側へ押すための第2受圧面積より大きいシリンダ構造を有し、
前記ピッチ角は、前記非励磁状態において前記油圧回路内に油圧がある限り、前記一以上のピッチアクチュエータによって前記フェザー位置に維持される
請求項1に記載の風車。
前記第1圧力センサは、前記風車のハブ内に位置し、前記風車のナセル内又はタワー内あるいは前記風車外に位置する前記情報収集機器に前記計測結果を送信するように構成される
請求項1又は2に記載の風車。
停電によって前記第2圧力センサが非作動となった場合を除き、前記第1圧力センサと前記第2圧力センサは、それぞれ並行して前記ピッチ角を前記フェザー位置に制御するための前記油圧の計測及び送信を行うように構成される
請求項13又は14に記載の風車。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0011】
(風車の全体構成)
まず、油圧回路70を備える風車1について説明する。
図1は、一実施形態に係る風車1の全体構成を示す概略図である。風車1は風力発電装置であってもよい。
【0012】
例えば、
図1に示すように、風車1は、風車翼4が取り付けられたハブ3と、ハブ3が連結される回転シャフト6とを含む風車ロータ2と、発電機10と、回転シャフト9を介して風車ロータ2の回転エネルギーを発電機10に伝えるためのドライブトレイン8と、を備える。発電機10は、ドライブトレイン8によって伝えられる風車ロータ2の回転エネルギーによって駆動されるように構成される。
【0013】
風車1において、風車翼4が受けた風の力によって風車ロータ2全体が回転すると、回転シャフト6からドライブトレイン8に回転が入力される。回転シャフト6から入力された回転はドライブトレイン8によって回転シャフト9を介して発電機10に伝達される。
【0014】
ドライブトレイン8は、回転シャフト6から入力された回転を増速するように構成された増速機であってもよい。ドライブトレイン8は、油圧ポンプと、高圧油ラインと、低圧油ラインと、油圧モータとを含む油圧式ドライブトレインや、機械式(ギヤ式)の増速機であってもよい。ドライブトレイン8及び発電機10は、タワー12に支持されるナセル11の内部に収容されていてもよい。タワー12は水上又は陸上の基礎に立設されてもよい。なお、風車1は、ハブ3と発電機10とがドライブトレイン8を介さずに直接連結されたダイレクトドライブ方式の風力発電装置であってもよい。
【0015】
(油圧に関する構成)
図2は、一実施形態に係る風車1の油圧に関する構成を示す概略図である。
図2に示すように、風車1は、風車翼4のピッチ角を調節するための翼ピッチ機構20と、翼ピッチ機構20を制御するように構成された風車コントローラ110とを備えている。
【0016】
風車コントローラ110は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えるコンピュータである。風車コントローラ110では、プロセッサ(CPU)がメモリ(RAM又はROM)に記憶されているプログラムを実行することにより、後述する各種機能を実現する。風車コントローラ110は、PLC(Programmable Logic Controller)を含んでいてもよい。
【0017】
翼ピッチ機構20は、風車翼4のピッチ角を変化させるように構成されたピッチ駆動装置14を含む。ピッチ駆動装置14は、複数の風車翼4の各々に設けられる。各ピッチ駆動装置14は、該ピッチ駆動装置14に対応する風車翼4のピッチ角を変化させるように構成されている。ピッチ駆動装置14は、風車翼4に接続されて、風車翼4のピッチ角を変化させるように作動する油圧式のピッチアクチュエータを含む。ピッチアクチュエータは、油圧シリンダ16を含む。
【0018】
翼ピッチ機構20は、油圧シリンダ16(ピッチアクチュエータ)及び油圧バルブ18を含むピッチ駆動装置14と、油圧源としての油圧ポンプ22と、油を貯留するための油タンク24と、油圧ポンプ22と油圧シリンダ16との間に設けられた供給ライン26と、を含む。油タンク24に貯留された油は、供給ライン26を介して油圧シリンダ16に供給されるようになっている。なお、油圧シリンダ16は、各々の風車翼4の翼根部5(
図1参照)に設けられていてもよい。
【0019】
なお、図示する実施形態において、風車1は、第1翼〜第3翼からなる3枚の風車翼4を有し、ピッチ駆動装置14は、3枚の風車翼4の各々に対応して設けられている。
図2においては第1翼に対応するピッチ駆動装置14のみが明示的に図示されており、第2翼及び第3翼にそれぞれ対応するピッチ駆動装置14の図示は省略されている。第2翼及び第3翼に対応するピッチ駆動装置14は、第1翼に対応するピッチ駆動装置14と同様の構成を有する。
【0020】
油タンク24には作動油が貯蔵されており、該作動油は、油圧ポンプ22によって昇圧され、供給ライン26を通って分配ブロック28及び流量調整弁30を介して、さらに風車翼4毎に設けられる分岐供給ライン27を通って各風車翼4毎に設けられた油圧バルブ18及び油圧シリンダ16へ供給される。
【0021】
なお、各風車翼4に設けられる油圧シリンダ16からの油は、分岐返送ライン31及び返送ライン32を通って油タンク24に返送されるようになっている。また、供給ライン26と返送ライン32とは、リリーフ弁34を介して接続され、供給ライン26の圧力が規定値を超えた時にリリーフ弁34を介して圧油が返送ライン32に逃れるようにして、供給ライン26の圧力が過大とならないようにしてもよい。
【0022】
供給ライン26には、圧油を蓄積するためのアキュムレータ41が設けられていてもよい。また、供給ライン26には、供給ライン26における油圧を検出するための圧力センサ101が設けられていてもよい。アキュムレータ41には、アキュムレータ41の封入ガス圧を検出するための圧力センサ102が設けられていてもよい。
【0023】
供給ライン26には、油圧式のブレーキキャリパー及びヨーブレーキを駆動するための作動油を供給するための供給ライン25が接続されていてもよい。供給ライン25には、圧油を蓄積するためのアキュムレータ43が設けられていてもよい。アキュムレータ43には、アキュムレータ43の封入ガス圧を検出するための圧力センサ103が設けられていてもよい。
【0024】
図3は、
図2に示す構成のうちピッチ駆動装置14の部分をより詳細に示す図である。
風車1は、油圧シリンダ16(ピッチアクチュエータ)の作動に関連するパラメータを計測する少なくとも1つのセンサを備える。少なくとも1つのセンサは、例えば、
図3に示すように、油圧回路70の油圧を計測するための第1圧力センサ203及び第2圧力センサ201と、アキュムレータ66の封入ガス圧を検出するための圧力センサ202と、ナセル11の内部に設けられる温度センサ(不図示)とを含んでいてもよい。
【0025】
図2及び
図3に示すように、油圧シリンダ16は、油圧シリンダ16内を摺動するピストン36により隔てられる第1室15と第2室17とを含む。そして油圧シリンダ16は、第1室15への油の供給と第2室17への油の供給の切り替えにより、風車翼4のピッチ角の変化をファイン側又はフェザー側との間で切り替え可能に構成される。すなわち、油圧シリンダ16のピストンロッド38には風車翼4が接続されており、第1室15又は第2室17への油の供給量に応じてピストン36が移動すると、それに伴ってピストンロッド38に接続された風車翼4のピッチ角がファイン側とフェザー側との間で変化するようになっている。
【0026】
ピッチアクチュエータ16は、ピストン36をフェザー側へ押すための第1受圧面積がピストン36をファイン側へ押すための第2受圧面積より大きいシリンダ構造を有する。例えば、ピストン36をフェザー側へ押すためのピッチアクチュエータ16のシリンダ構造は、第2室17内における第2受圧面積が第1室15内の第1受圧面積からピストンロッド38の断面積を除いた面積より小さくなるため、実現可能である。例えば、第1室15内の第1受圧面積は円形状であり、第2室17内の第2受圧面積は中抜き円形状であってもよい。
【0027】
油圧バルブ18は、分岐供給ライン27に設けられており、油圧シリンダ16への油の供給量を調節可能に、かつ、第1室15と第2室17との間で油の供給先を切り替え可能に構成される。
【0028】
幾つかの実施形態では、油圧バルブ18に供給される電流が制御され、油圧バルブ18の状態に応じて油圧シリンダ16(ピッチアクチュエータ)が作動する。すなわち、油圧バルブ18に供給される電流等は、油圧シリンダ16(ピッチアクチュエータ)を駆動するための指令値である。
【0029】
一実施形態では、油圧バルブ18には、風車コントローラ110から風車翼4のピッチ角の調節のための指令値に応じた電流等が供給される。これにより、油圧バルブ18は、風車翼4のピッチ角を変化させる方向に応じて油圧流路を切り替えると共に、油圧シリンダ16へ供給する作動油の流量を制御する。このような油圧バルブ18により油の供給先および供給量を調節することで、風車翼4のピッチ角を、油の供給量に応じて所望の量だけ任意に調節可能である。
【0030】
油圧バルブ18は、比例弁であってもよい。例えば、一実施形態では、油圧バルブ18は、指令値を供給することにより油が流れる方向を制御し、指令値としての電流等の大きさを変えることにより油の流量を制御することが可能な電磁比例制御弁である。一実施形態では、油圧バルブ18は、指令値としてのサーボ電流が供給されることにより、油圧シリンダ16(ピッチアクチュエータ)を駆動するように構成されたサーボ比例弁である。
【0031】
図3に示すピッチ駆動装置14において、比例弁である油圧バルブ18は、Aポート、Bポート、Pポート及びTポートを含む4つのポートを有している。これらのポートは、それぞれ、第1室15と油圧バルブ18とを接続する第1シリンダライン42、第2室17と油圧バルブ18とを接続する第2シリンダライン44、分岐供給ライン27、及び分岐返送ライン31に接続されている。そして、油圧バルブ18に供給される指令値に応じて、各ポートの接続状態が変わるようになっている。
【0032】
分岐供給ライン27には、圧油を蓄積するためのアキュムレータ66が設けられたピッチオイルライン46が接続されている。ピッチオイルライン46には、ピッチオイルラインと分岐供給ライン27との連通状態を変更するための電磁弁56が設けられている。なお、アキュムレータ66に蓄積された圧油は、必要に応じて、分岐供給ライン27、又は、連通ライン48を介して、油圧シリンダ16の第1室15又は第2室17に供給可能になっている。
【0033】
風車1は、ピッチアクチュエータ16とアキュムレータ66とを接続する油圧回路70を風車翼4ごとに備える。電磁弁56は、3つの風車翼4のそれぞれに設けられる。電磁弁56は、非励磁状態において油圧回路70からの油の流出を阻止する遮断状態となるように構成され、ピッチ角をフェザー位置に制御するための油圧を油圧回路70内に維持するように構成される。
【0034】
なお、一実施形態では、風車1は3つの風車翼4を備え、風車翼4のピッチ角を油圧によって制御するように構成されたピッチアクチュエータ16と、風車翼4のピッチ角をフェザー位置に制御するための油圧を保持するためのアキュムレータ66と、電磁弁56と、油圧回路70の油圧を計測するための第1圧力センサ203及び第2圧力センサ201と、を風車翼4ごとに備えている。しかし、風車1は、このような構成に限られない。風車1は、これらの構成要素を一以上ずつ備える構成であってもよい。
【0035】
例えば、
図3に示すように、油圧回路70の油圧を計測するための第1圧力センサ203は、油圧回路70の保守用ポート72に設けられてもよい。保守用ポート72は、例えば、油圧回路70又はアキュムレータ66に対して油を補充するためにポンプからのホースを接続する場合、第1圧力センサ203の動作状態に疑念があるために目視圧力計を接続する場合等の保守時に使用されるポート(接続口)である。保守用ポート72は、例えば、連通ライン48に設けられる。
【0036】
保守用ポート72を保守目的で使用する頻度は低いため、通常時は第1圧力センサ203を設けておき、保守時に第1圧力センサ203を取り外してもよい。なお、
図3において、第1圧力センサ203は、着脱自在であることを示唆するために破線で示している。
【0037】
例えば、
図3に示すように、油圧回路70の油圧を計測するように構成された第2圧力センサ201は、アキュムレータ66の近傍(例えば、ピッチオイルライン46)に設けられる。第2圧力センサ201は、風車コントローラ110と通信可能に設けられる。第2圧力センサ201は、風車コントローラ110と有線接続され、風車コントローラ110から電源供給される。
【0038】
第2圧力センサ201が計測する油圧は、基本的に第1圧力センサ203が計測する油圧と同じである。ただし、第1圧力センサ203は、風車コントローラ110に接続されないのに対し、第2圧力センサ201は、風車コントローラ110に接続される。すなわち、第1圧力センサ203は、風車1の運転制御を行うための風車コントローラ110を経由せずに、油圧の計測結果を収集するための情報収集機器100(後述)と通信可能に構成される。
【0039】
ピッチオイルライン46に接続する連通ライン48からは、油圧シリンダ16の第1室15及び第2室17にそれぞれ接続される第1通路50及び第2通路52が分岐している。また、第1通路50及び第2通路52には、それぞれパイロットチェック弁62,64が設けられている。
【0040】
パイロットチェック弁62,64は、パイロットライン54を介してパイロット圧が付与されるパイロットポートを有している。パイロットライン54と、分岐供給ライン27及び分岐返送ライン31との間には危急弁58が設けられており、この危急弁58の切替えによって、パイロットチェック弁62,64のパイロットポートに付与されるパイロット圧が切替えられるようになっている。
【0041】
図示する実施形態においては、危急弁58は電磁弁であり、危急弁58の励磁時には、パイロットライン54と比較的高圧の分岐供給ライン27が連通可能となり、該分岐供給ライン27の圧力がパイロット圧として、パイロットチェック弁62,64のパイロットポートに付与される。また、危急弁58の非励磁時には、パイロットライン54と比較的低圧の分岐返送ライン31が連通可能となり、該分岐返送ライン31の圧力がパイロット圧として、パイロットチェック弁62,64のパイロットポートに付与される。
【0042】
以下、パイロットチェック弁62,64のパイロットポートに比較的高圧の分岐供給ライン27の圧力がパイロット圧として付与される状態をパイロットONといい、比較的低圧の分岐返送ライン31の圧力がパイロット圧として付与される状態をパイロットOFFという。
【0043】
パイロットチェック弁62は、パイロットONのときには連通ライン48と第1通路50との間の圧油の流れを遮断するとともに、パイロットOFFのときには連通ライン48から第1通路50への圧油の流れを許容するチェック弁として機能する。パイロットチェック弁64は、パイロットONのときには連通ライン48と第2通路52との間の圧油の流れを遮断するとともに、パイロットOFFのときには第2通路52から連通ライン48への圧油の流れを許容するチェック弁として機能する。
【0044】
分岐供給ライン27には、チェック弁68が設けられており、供給ライン26から供給される油圧が低下したときには、供給ライン26と分岐供給ライン27とを非連通状態とするようになっている。また、ピッチオイルライン46には、ピッチオイルライン46の圧力を検出するための第2圧力センサ201が設けられる。アキュムレータ66には、アキュムレータ66のガス圧力を検出するための圧力センサ202が設けられる。
【0045】
(ピッチ駆動装置の動作)
風車翼4のピッチ角を調節するときのピッチ駆動装置14の動作について3つの場合に分けて説明する。まず、通常運転時の動作について説明する。
【0046】
風車1の通常運転時において、風車翼4のピッチ角をファイン側に変化させるときには、油圧バルブ18に指令値を与えて、油圧バルブ18のPポートとBポート、及び、TポートとAポートがそれぞれ接続されるように作動させる。そうすると、分岐供給ライン27からの圧油が、Pポート、Bポート、及び第2シリンダライン44を介して油圧シリンダ16の第2室17に導かれるとともに、第1室15の中の圧油が、第1シリンダライン42、Aポート及びTポートを介して分岐返送ライン31に導かれる。これにより、油圧シリンダ16のピストン36及びピストンロッド38が第1室15側に向かって移動し、風車翼4のピッチ角はファイン側に変化する。
【0047】
風車1の通常運転時において、風車翼4のピッチ角をファイン側に変化させるときには、油圧バルブ18に指令値を与えて、油圧バルブ18のPポートと、Aポート及びBポートとが接続されるように作動させる。そうすると、分岐供給ライン27からの圧油が、Pポート、Aポート、及び第1シリンダライン42を介して油圧シリンダ16の第1室15に導かれるとともに、第2室17の中の圧油が、第1シリンダライン42、Aポート及びBポートを介して第1室15に導かれる。これにより、油圧シリンダ16のピストン36及びピストンロッド38が第2室17側に向かって移動し、風車翼4のピッチ角はフェザー側に変化する。
【0048】
なお、風車1の通常運転時には、チェック弁68を介して、供給ライン26からの圧油がピッチ駆動装置14に供給される。また、電磁弁56は励磁状態とされ、ピッチオイルライン46と分岐供給ライン27とが連通した状態となる。これにより、アキュムレータ66と分岐供給ライン27の圧力がほぼ同一となり、アキュムレータ66に圧油が蓄積された状態となる。また、危急弁58は励磁状態とすることにより、パイロットチェック弁62,64はそれぞれ閉止された状態となる。次に、危急時の動作について説明する。
【0049】
風車1の危急時において、風車翼4のピッチ角をフェザー側に変化させるときには、油圧バルブ18に与える指令値を中立(ゼロ)とし、分岐供給ライン27、分岐返送ライン31、第1シリンダライン42及び第2シリンダライン44の接続が遮断されるように作動させる。また、危急弁58を非励磁状態として、これにより、パイロットチェック弁62,64がそれぞれチェック弁として機能し、上述したように規定方向の圧油の流れが許容される。
【0050】
油圧シリンダの第2室17内の圧油は、第2通路52及び第1通路50を介して第1室15に導かれる。これにより、油圧シリンダ16のピストン36及びピストンロッド38が第2室17側に向かって移動し、風車翼4のピッチ角はフェザー側に変化する。次に、風車1の停電時又は運転停止時の動作について説明する。
【0051】
風車1の停電時又は運転停止時には、電磁弁56は非励磁状態である。電磁弁56は、非励磁状態において油圧回路70からの油の流出を阻止する遮断状態である。すなわち、ピッチオイルライン46と分岐供給ライン27とは連通していない。その結果、ピッチ角をフェザー位置に制御するための油圧が油圧回路70内に維持される。
【0052】
アキュムレータ66に蓄積された圧油が、連通ライン48及び第1通路50を介して、油圧シリンダ16の第1室15に導かれる。また、油圧シリンダの第2室17内の圧油は、第2通路52及び第1通路50を介して第1室15に導かれる。これにより、油圧シリンダ16のピストン36及びピストンロッド38が第2室17側に向かって移動し、風車翼4のピッチ角はフェザー側に変化する。なお、ピッチ角は、油圧回路70内に油圧がある限り、ピッチアクチュエータ16のシリンダ構造における受圧面積差によってフェザー位置に維持される。
【0053】
(油圧の監視系統)
以下、幾つかの実施形態に係る風車1の油圧を監視するための構成について説明する。
図4は、一実施形態に係る風車1の油圧を監視するための構成を示す概略図である。
図5は、一実施形態に係る風車1の油圧を監視するための構成を示す概略図である。
図6は、一実施形態に係る風車1の油圧を監視するための構成を概略的に示すブロック図である。
図7は、一実施形態に係る風車1の油圧を監視するための構成を概略的に示すブロック図である。
【0054】
上述したように、第1圧力センサ203は、風車コントローラ110を経由せずに、油圧の計測結果を収集するための情報収集機器100と通信可能に構成される。情報収集機器100は、例えば、
図4に示すように、作業者端末100Aであってもよい。作業者端末100Aは、現地作業者が使用する通信端末であり、例えば、スマートフォン、タブレット、又はウェラブル端末である。
【0055】
情報収集機器100は、遠隔地に配置されたサーバ装置(不図示)であってもよい。この場合、サーバ装置がSNS上でユーザ(作業者又は監視オペレータ)の通信端末に油圧の計測結果を通知してもよい。
【0056】
情報収集機器100は、例えば、
図5〜
図7に示す中継コンピュータ100Bであってもよいし、中継コンピュータ100Bと通信可能に接続された通信端末又はサーバ装置であってもよい。中継コンピュータ100Bは、無線通信機能を有する小型のコンピュータであってもよいし、例えばIoT向けスマートセンシングプロセッサを搭載可能なボードコンピュータであってもよい。ボードコンピュータは、例えば、RASPBERRY PI(登録商標)、スプレッセンス「SPRESENSE」(登録商標)等である。中継コンピュータ100Bは、
図6及び
図7に示すように、ナセル11内に配置されたルータ330に接続されてもよい。
【0057】
幾つかの実施形態では、第1圧力センサ203は、例えば、
図4〜
図7に示すように、風車1のハブ3内に位置し、風車1のナセル11内に位置する情報収集機器100に計測結果を送信するように構成されてもよい。なお、情報収集機器100は、タワー12内あるいは風車1外に位置してもよい。
【0058】
風車翼4が回転可能な状態では、ハブ3内に作業者が入ることは好ましくない。この点、上記構成によれば、ユーザ(遠隔監視オペレータや現地作業者)は、ハブ3内に入ることなく、情報収集機器100を介して、油圧の計測結果を確認することが可能となる。
【0059】
風車1は、ハブ3内から、ナセル11内又はタワー14内あるいは風車1外に向かって延在する通信線Lを備えていてもよい。第1圧力センサ203は、通信線Lを介して、情報収集機器100に油圧の計測結果を送信するように構成されていてもよい。例えば、
図5に示す一実施形態では、第1圧力センサ203と情報収集機器100としての中継コンピュータ100Bとが通信線Lで接続されている。
【0060】
通信線Lは、LAN(Local Area Network)ケーブルであってもよい。なお、ハブ3内からナセル11内へ通信線Lを敷設する場合は、回転体と非回転体との間で通信可能とするためにスリップリングなどを利用してもよい。このような構成によれば、情報収集機器100と第1圧力センサ203が有線通信をするため、情報収集機器100は電波環境に依らずに第1圧力センサ203から油圧の計測結果を取得することが可能となる。
【0061】
第1圧力センサ203は、無線信号を送信するためのアンテナ(不図示)を備え、アンテナを介して、油圧の計測結果を情報収集機器100に送信するように構成されていてもよい。例えば、
図4に示すように、第1圧力センサ203から無線信号が発信され、地上Gに位置する作業者Hが情報収集機器100としての作業者端末100Aを用いて受信してもよい。このような構成によれば、第1圧力センサ203は、通信線Lが接続されなくても油圧の計測結果を情報収集機器100に送信することができる。
【0062】
第1圧力センサ203は、近距離無線通信規格に基づく通信方式により、情報収集機器100としての作業者端末100Aと通信可能に構成されてもよい。近距離無線通信規格は、例えば、Bluetooth(登録商標)、BLE(Bluetooth Low Energy)、又はZigbeeである。このような構成によれば、第1圧力センサ203は、低消費電力で油圧の計測結果を現地作業者に通知することができる。また、通信範囲が小さいため、セキュリティに優れる。
【0063】
第1圧力センサ203は、LPWA(Low Power Wide Area)規格に基づく通信方式により、情報収集機器100と通信可能に構成されてもよい。この場合、情報収集機器100は、風車1外に位置してもよい。LPWA規格は、例えば、NB−IoT、LoRaWAN、又はSIGFOXである。このような構成によれば、第1圧力センサ203が低消費電力で長距離伝送することが可能となるため、遠隔地のユーザに情報を通知することができる。
【0064】
第1圧力センサ203は、例えば、
図6及び
図7に示すように、電池210を含んでいてもよい。第1圧力センサ203は、電池210を電源として油圧回路70における油圧を計測し、油圧の計測結果を情報収集機器100に送信するように構成されてもよい。このような構成によれば、第1圧力センサ203は電池を電源としているため、停電時においても、油圧の計測及び計測結果の送信が実現可能となる。
【0065】
第1圧力センサ203は、例えば、
図6及び
図7に示すように、給電ポート211を含み、電池210は、給電ポート211を介して充電可能な二次電池であってもよい。この場合、外部から電源供給を受けることにより、第1圧力センサ203の電池を充電することができる。
【0066】
第1圧力センサ203は、電池210の電圧値を、油圧の計測結果とともに情報収集機器100に送信するように構成されてもよい。この場合、ユーザは、第1圧力センサ203の電池残量が十分か否かを確認することができる。
【0067】
第1圧力センサ203は、第1時間毎に油圧を計測するように構成されてもよい。この場合において、複数回分の油圧の計測結果は、第1時間より長い第2時間毎に遠隔地に送信されてもよい。このような構成によれば、油圧を計測するたびに油圧の計測結果を遠隔地に送信する構成に比べて、消費電力と通信量を低減することができる。
【0068】
第1時間は、例えば、1分間以上1時間未満の範囲内の時間であることが好ましい。この場合、第1圧力センサ203の消費電力を抑えつつ、油圧の監視に必要な計測間隔の条件を満たすことができる。第2時間は、例えば、1時間以上24時間未満の範囲内の時間であることが好ましい。この場合、油圧の計測結果を遠隔地に送信するための消費電力を抑えつつ、油圧の監視に必要な送信間隔の条件を満たすことができる。例えば、第1時間は、10分間に設定され、第2時間は、8時間に設定される。
【0069】
第1圧力センサ203は、第2圧力センサ201に比べて長い計測間隔で油圧を計測するように構成されてもよい。例えば、第1圧力センサ203の計測間隔(すなわち第1時間)が10分間に設定され、第2圧力センサ201の計測間隔が1秒未満の時間に設定される。このような構成によれば、油圧の計測頻度が少なくなるため、第1圧力センサ203の電力消費を低減することができる。このような省エネ化は、例えば、第1圧力センサ203の電源が電池210である場合、第1圧力センサ203が油圧の計測結果を無線通信によって送信する場合等に特に有利である。
【0070】
停電によって第2圧力センサ201が非作動となった場合を除き、第1圧力センサ203と第2圧力センサ201は、それぞれ並行してピッチ角をフェザー位置に制御するための油圧の計測及び送信を行うように構成されてもよい。この場合、例えば、停電によって風車コントローラ110が停止している場合においても油圧の計測結果を取得するという第1圧力センサ203の目的と、風車コントローラ110が各種警報の出力や特殊運転を実行するために油圧の計測結果を参照するという第2圧力センサ201の目的との両方を満たすことができる。
【0071】
風車1は、例えば、
図6及び
図7に示すように、ナセル11内に位置し、第1圧力センサ203から受信した油圧の計測結果を他の装置に送信するための中継コンピュータ100Bを備えてもよい。例えば、
図6及び
図7に示す中継コンピュータ100Bは、第1圧力センサ203から近距離無線通信によって油圧の計測結果を受信し、それをルータ330に送信してもよい。ルータ330は、WiFiルータであってもよい。ルータ330は、4G、LTE(Long Term Evolution)等の通信回線によって遠隔地に情報送信可能に構成されてもよい。
【0072】
このような構成によれば、第1圧力センサ203の信号伝送距離に制限があっても、中継コンピュータ100Bがその伝送を中継することにより、第1圧力センサ203からの油圧の計測結果を他の装置に送信することができる。また、中継コンピュータ100Bはナセル11内に配置されるため、ハブ3内に配置される場合に比べて保守が容易となる。なお、中継コンピュータ100Bは、第1圧力センサ203との通信を確立しやすくするために、ナセル11内ではなく、ハブ3内に配置されてもよい。
【0073】
風車1は、中継コンピュータ100B及び/又は中継コンピュータ100Bに接続されるルータ330に、電源供給するための太陽光パネル310及び/又はポータブル蓄電池ユニット320を備えていてもよい。このような構成によれば、風車1が停電状態であっても、中継コンピュータ100及び/又はルータ330に電源供給することができるため、ユーザは第1圧力センサ203からの計測データを取得することができる。
【0074】
例えば、
図6に示すように、ナセル11に太陽光パネル310とポータブル蓄電池ユニット320が設けられ、太陽光パネル310及びポータブル蓄電池ユニット320が接続されてもよい。ポータブル蓄電池ユニット320は、太陽光パネル310又は風車補機電源(不図示)からの電力供給により充電可能に構成されてもよい。風車補機電源は、商用の電力系統のAC100Vの電圧を供給する電源コンセントである。
【0075】
風車1は、ポータブル蓄電池ユニット320の代わりに、太陽光パネル310の発電電力によって充電可能なバッテリ350を備えていてもよい。例えば、
図7に示すように、太陽光パネル310がチャージコントローラ340に接続され、チャージコントローラ340がバッテリ350を充電するように構成されてもよい。また、チャージコントローラ340は、DC/ACインバータ360に直流電力を供給するように構成されてもよい。DC/ACインバータ360は、交流100Vの電源電圧をルータ330に供給してもよい。DC/ACインバータ360は、アダプタ370を介して中継コンピュータ100Bに直流の電源電圧を供給してもよい。
【0076】
中継コンピュータ100Bは、第1圧力センサ203から取得した油圧の計測結果と共に、自身の電源供給状態を示す情報を他の装置に送信するように構成されてもよい。この場合、ユーザは、中継コンピュータ100Bの正常動作に必要な電源が確保されているか否かを確認することができる。電源供給状態を示す情報は、電源電圧値であってもよいし、電源電圧値が閾値未満となったことを示す警報であってもよいし、負荷に対して電源電圧値が不足していることを示す警報であってもよい。
【0077】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、複数の実施形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0078】
(まとめ)
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0079】
(1)本開示に係る風車(1)は、
一以上の風車翼(4)と、
前記一以上の風車翼(4)のそれぞれのピッチ角を油圧によって制御するように構成された一以上のピッチアクチュエータ(16)と、
前記一以上の風車翼(4)のそれぞれに対応し、前記ピッチ角をフェザー位置に制御するための前記油圧を保持するための一以上のアキュムレータ(66)と、
前記一以上のピッチアクチュエータ(16)と前記一以上のアキュムレータ(66)とを接続する油圧回路(70)と、
前記一以上の風車翼(4)のそれぞれに対応し、停電状態となり非励磁状態になった場合に前記油圧回路(70)からの油の流出を阻止する遮断状態となるように構成され、前記ピッチ角を前記フェザー位置に制御するための前記油圧を前記油圧回路(70)内に維持するように構成された一以上の電磁弁(56)と、
前記油圧回路(70)に設けられ、前記油圧を計測するための一以上の第1圧力センサ(203)と、
を備える風車(1)であって、
前記第1圧力センサ(203)は、前記風車(1)の運転制御を行うための風車コントローラ(110)を経由せずに、前記油圧の計測結果を収集するための情報収集機器(100)と通信可能に構成される。
【0080】
上記構成によれば、停電状態又は風車(1)が運転停止状態である場合に、一以上の電磁弁(56)は、非励磁状態であるため、油圧回路(70)からの油の流出を阻止する遮断状態となる。その結果、停電状態又は運転停止状態においても、ピッチ角をフェザー位置にするための油圧を油圧回路(70)内に維持し、風車翼(4)が過回転する虞を低減することが可能となる。また、一以上の第1圧力センサ(203)は、油圧の計測結果を、風車コントローラ(110)を経由せずに情報収集機器(100)に送信可能に構成されている。そのため、停電によって風車コントローラ(110)が停止している場合においても、情報収集機器(100)は油圧の計測結果を取得することができる。
【0081】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の構成において、
前記一以上のピッチアクチュエータ(16)は、ピストン(36)をフェザー側へ押すための第1受圧面積が前記ピストン(36)をファイン側へ押すための第2受圧面積より大きいシリンダ構造を有し、
前記ピッチ角は、前記非励磁状態において前記油圧回路(70)内に油圧がある限り、前記一以上のピッチアクチュエータ(16)によって前記フェザー位置に維持される。
【0082】
上記構成によれば、ピッチアクチュエータ(16)のシリンダ構造によって、停電状態又は風車の運転停止状態においてピッチ角をフェザー位置に維持することをより確実にすることができる。
【0083】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載の構成において、
前記第1圧力センサ(203)は、前記風車(1)のハブ(3)内に位置し、前記風車(1)のナセル(11)内又はタワー(12)内あるいは前記風車(1)外に位置する前記情報収集機器(100)に前記計測結果を送信するように構成される。
【0084】
風車翼が回転可能な状態では、ハブ(3)内に作業者が入ることは好ましくない。この点、上記構成によれば、ユーザ(遠隔監視オペレータや現地作業者)は、ハブ(3)内に入ることなく、情報収集機器(100)を介して、油圧の計測結果を確認することが可能となる。
【0085】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)に記載の構成において、
前記ハブ(3)内から、前記ナセル(11)内又は前記タワー(14)内あるいは前記風車(1)外に向かって延在する通信線(L)を備え、
前記第1圧力センサ(203)は、前記通信線(L)を介して、前記情報収集機器(100)に前記油圧の計測結果を送信するように構成される。
【0086】
上記構成によれば、情報収集機器(100)と第1圧力センサ(203)が有線通信をするため、情報収集機器(100)は電波環境に依らずに第1圧力センサ(203)から油圧の計測結果を取得することが可能となる。
【0087】
(5)幾つかの実施形態では、上記(3)に記載の構成において、
前記第1圧力センサ(203)は、無線信号を送信するためのアンテナを備え、
前記第1圧力センサ(203)は、前記アンテナを介して、前記油圧の計測結果を前記情報収集機器(100)に送信するように構成される。
【0088】
上記構成によれば、第1圧力センサ(203)は、通信線(L)が接続されなくても油圧の計測結果を情報収集機器(100)に送信することができる。
【0089】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)に記載の構成において、
前記第1圧力センサ(203)は、近距離無線通信規格に基づく通信方式により、前記情報収集機器(100)としての作業者端末(100A)と通信可能に構成される。
【0090】
上記構成によれば、第1圧力センサ(203)は、低消費電力で油圧の計測結果を現地作業者に通知することができる。また、通信範囲が小さいため、セキュリティに優れる。
【0091】
(7)幾つかの実施形態では、上記(5)に記載の構成において、
前記第1圧力センサ(203)は、LPWA規格に基づく通信方式により、前記情報収集機器(100)と通信可能に構成される。
【0092】
上記構成によれば、第1圧力センサ(203)が低消費電力で長距離伝送することが可能となるため、遠隔地のユーザに情報を通知することができる。
【0093】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(7)の何れか一項に記載の構成において、
前記第1圧力センサ(203)は、電池(210)を含み、前記電池(210)を電源として前記油圧を計測し、前記油圧の計測結果を前記情報収集機器(100)に送信するように構成される。
【0094】
上記構成によれば、第1圧力センサ(203)は電池(210)を電源としている。そのため、停電時においても、油圧の計測及び計測結果の送信が実現可能となる。
【0095】
(9)幾つかの実施形態では、上記(8)に記載の構成において、
前記第1圧力センサ(203)は、給電ポート(211)を含み、
前記電池(210)は、前記給電ポート(211)を介して充電可能な二次電池である。
【0096】
上記構成によれば、外部から電源供給を受けることにより、第1圧力センサ(203)の電池(210)を充電することができる。
【0097】
(10)幾つかの実施形態では、上記(8)又は(9)に記載の構成において、
前記第1圧力センサ(203)は、前記電池(210)の電圧値を、前記油圧の計測結果とともに前記情報収集機器(100)に送信するように構成される。
【0098】
上記構成によれば、ユーザは、第1圧力センサ(203)の電池残量が十分か否かを確認することができる。
【0099】
(11)幾つかの実施形態では、上記(3)乃至(10)の何れか一項に記載の構成において、
前記ナセル(11)内に位置し、前記第1圧力センサ(203)から受信した前記油圧の計測結果を他の装置に送信するための中継コンピュータ(100B)を備える。
【0100】
上記構成によれば、第1圧力センサ(203)の信号伝送距離に制限があっても、中継コンピュータ(100B)がその伝送を中継することにより、第1圧力センサ(203)からの油圧の計測結果を他の装置に送信することができる。また、中継コンピュータ(100B)はナセル(11)内に配置されるため、ハブ(3)内に配置される場合に比べて保守が容易となる。
【0101】
(12)幾つかの実施形態では、上記(11)に記載の構成において、
前記中継コンピュータ(100B)及び/又は前記中継コンピュータ(100B)に接続されるルータ(330)に、電源供給するための太陽光パネル(310)及び/又はポータブル蓄電池ユニット(320)を備える。
【0102】
上記構成によれば、風車(1)が停電状態であっても、中継コンピュータ(100B)及び/又はルータ(330)に電源供給することができるため、ユーザは第1圧力センサ(203)からの計測データを取得することができる。
【0103】
(13)幾つかの実施形態では、上記(3)乃至(12)の何れか一項に記載の構成において、
前記第1圧力センサ(203)は、第1時間毎に前記油圧を計測し、
複数回分の前記油圧の計測結果は、前記第1時間より長い第2時間毎に遠隔地に送信される。
【0104】
上記構成によれば、油圧を計測するたびに油圧の計測結果を遠隔地に送信する構成に比べて、消費電力と通信量を低減することができる。
【0105】
(14)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(13)の何れか一項に記載の構成において、
前記油圧を計測するように構成され、前記風車コントローラ(110)と通信可能に設けられた第2圧力センサ(201)を備える。
【0106】
上記構成によれば、風車コントローラ(110)は、第1圧力センサ(203)の状態に依らず、第2圧力センサ(201)から油圧の計測結果を取得することができる。
【0107】
(15)幾つかの実施形態では、上記(14)に記載の構成において、
前記第1圧力センサ(203)は、前記第2圧力センサ(201)に比べて長い計測間隔で前記油圧を計測するように構成される。
【0108】
上記構成によれば、油圧の計測頻度が少なくなるため、第1圧力センサ(203)の電力消費を低減することができる。このような省エネ化は、例えば、第1圧力センサ(203)の電源が電池(210)である場合、第1圧力センサ(203)が油圧の計測結果を無線通信によって送信する場合等に有利である。
【0109】
(16)幾つかの実施形態では、上記(14)又は(15)に記載の構成において、
停電によって前記第2圧力センサ(201)が非作動となった場合を除き、前記1圧力センサ(203)と前記第2圧力センサ(201)は、それぞれ並行して前記ピッチ角を前記フェザー位置に制御するための前記油圧の計測及び送信を行うように構成される。
【0110】
上記構成によれば、第1圧力センサ(203)と第2圧力センサ(201)は、それぞれ並行してピッチ角をフェザー位置に制御するための油圧を計測し、その計測結果を送信するように構成されている。この場合、例えば、停電によって風車コントローラ(110)が停止している場合においても油圧の計測結果を取得するという第1圧力センサ(203)の目的と、風車コントローラ(110)が各種警報の出力や特殊運転を実行するために油圧の計測結果を参照するという第2圧力センサ(201)の目的との両方を満たすことができる。
【0111】
(17)幾つかの実施形態では、上記(14)乃至(16)の何れか一項に記載の構成において、
前記第1圧力センサ(203)は、前記油圧回路(70)の保守用ポート(72)に設けられる。
【0112】
上記構成によれば、油圧回路(70)に第2圧力センサ(203)専用の接続口を設ける必要がないため、コストを抑えることが可能となる。
【解決手段】風車は、一以上の風車翼と、一以上の風車翼のそれぞれのピッチ角を油圧によって制御するように構成された一以上のピッチアクチュエータと、一以上の風車翼のそれぞれに対応し、ピッチ角をフェザー位置に制御するための油圧を保持するための一以上のアキュムレータと、一以上のピッチアクチュエータと一以上のアキュムレータとを接続する油圧回路と、一以上の風車翼のそれぞれに対応し、停電状態となり非励磁状態になった場合に油圧回路からの油の流出を阻止する遮断状態となるように構成され、ピッチ角をフェザー位置に制御するための油圧を油圧回路内に維持するように構成された一以上の電磁弁と、油圧回路に設けられ、油圧を計測するための一以上の第1圧力センサと、を備える。第1圧力センサは、風車の運転制御を行うための風車コントローラを経由せずに、油圧の計測結果を収集するための情報収集機器と通信可能に構成される。