特許第6952160号(P6952160)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6952160スクリーンマスク検査装置、半田印刷検査装置及びスクリーンマスクの検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6952160
(24)【登録日】2021年9月29日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】スクリーンマスク検査装置、半田印刷検査装置及びスクリーンマスクの検査方法
(51)【国際特許分類】
   B41F 33/00 20060101AFI20211011BHJP
   B41F 15/08 20060101ALI20211011BHJP
   B41F 15/14 20060101ALI20211011BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20211011BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20211011BHJP
【FI】
   B41F33/00 200
   B41F15/08 303E
   B41F15/14 A
   B23K1/00 A
   B23K1/00 330E
   H05K3/34 512B
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2020-98245(P2020-98245)
(22)【出願日】2020年6月5日
【審査請求日】2021年7月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】菊池 和義
(72)【発明者】
【氏名】新山 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】大山 剛
(72)【発明者】
【氏名】坂井田 憲彦
【審査官】 中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−161894(JP,A)
【文献】 特開平11−000986(JP,A)
【文献】 特開2014−079907(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2019/0200494(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 33/00
B41F 15/08
B41F 15/14
B23K 1/00
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷パターンを形成するスクリーン開口を有し、該スクリーン開口を介して基板上にクリーム半田を印刷するためのスクリーンマスクを検査するスクリーンマスク検査装置であって、
基板上のランドに対応して印刷されたクリーム半田の位置情報を検出する半田位置情報検出手段と、
前記半田位置情報検出手段により検出された位置情報に基づいて、印刷時における前記スクリーンマスクに関する良否判定を行う使用時対応判定手段とを備え
前記半田位置情報検出手段は、前記位置情報として、所定の基準位置である前記ランドの位置に対する実際に印刷されたクリーム半田の位置ずれ量に基づく情報を検出することを特徴とするスクリーンマスク検査装置。
【請求項2】
前記半田位置情報検出手段は、前記位置情報として、基板上におけるスキージの移動方向に沿った一方の端に位置するクリーム半田に関する前記移動方向に沿った前記位置ずれ量と、基板上における前記移動方向に沿った他方の端に位置するクリーム半田に関する前記移動方向に沿った前記位置ずれ量とに基づく情報を検出することを特徴とする請求項に記載のスクリーンマスク検査装置。
【請求項3】
クリーム半田の非印刷時における前記スクリーン開口の位置情報を検出する開口位置情報検出手段と、
前記半田位置情報検出手段により検出されたクリーム半田の位置情報、及び、前記開口位置情報検出手段により検出された前記スクリーン開口の位置情報に基づき、前記スクリーンマスク自体の良否、及び、印刷時に前記スクリーンマスクに影響を与える外的要因の良否を判定可能な個別良否判定手段とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクリーンマスク検査装置。
【請求項4】
前記個別良否判定手段による判定結果に基づき、前記スクリーンマスクの交換を促す情報、又は、前記スクリーンマスクに影響を与える印刷条件の変更を促す情報を発信可能な情報発信手段を備えることを特徴とする請求項に記載のスクリーンマスク検査装置。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のスクリーンマスク検査装置と、
基板上に印刷されたクリーム半田を検査する半田検査手段とを有する半田印刷検査装置。
【請求項6】
印刷パターンを形成するスクリーン開口を有し、該スクリーン開口を介して基板上にクリーム半田を印刷するためのスクリーンマスクの検査に用いられるスクリーンマスクの検査方法であって、
基板上のランドに対応して印刷されたクリーム半田の位置情報を検出するとともに、その検出結果に基づいて、印刷時における前記スクリーンマスクに関する良否判定を行い
前記位置情報として、所定の基準位置である前記ランドの位置に対する実際に印刷されたクリーム半田の位置ずれ量に基づく情報を検出することを特徴とするスクリーンマスクの検査方法。
【請求項7】
前記位置情報として、基板上におけるスキージの移動方向に沿った一方の端に位置するクリーム半田に関する前記移動方向に沿った前記位置ずれ量と、基板上における前記移動方向に沿った他方の端に位置するクリーム半田に関する前記移動方向に沿った前記位置ずれ量とに基づく情報を検出することを特徴とする請求項に記載のスクリーンマスクの検査方法。
【請求項8】
クリーム半田の非印刷時における前記スクリーン開口の位置情報を検出し、
クリーム半田の位置情報及び前記スクリーン開口の位置情報に基づき、前記スクリーンマスク自体の良否、及び、印刷時に前記スクリーンマスクに影響を与える外的要因の良否を判定することを特徴とする請求項6又は7に記載のスクリーンマスクの検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上にクリーム半田を印刷する際に用いられるスクリーンマスクの検査装置及びその検査方法、並びに、スクリーンマスクの検査機能を備えた半田印刷検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に電子部品を実装する製造ラインにおいては、まず基板に配設されたランド上に、半田印刷機によりクリーム半田が印刷される。次に、該クリーム半田の粘性に基づいて基板上に電子部品が仮止めされる。その後、基板がリフロー炉へ導かれ、所定のリフロー工程を経ることで半田付けが行われる。
【0003】
また、半田印刷機によってクリーム半田を印刷する際には、スクリーンマスクが用いられる。スクリーンマスクは、例えばステンレス等の金属からなり、印刷パターンを形成するためのスクリーン開口(孔)が形成されている。クリーム半田の印刷は、基板にスクリーンマスクを押し当てつつ、該スクリーンマスクの表面にクリーム半田を載せた上で、所定のスキージを該スクリーンマスクの表面に押し当てつつ移動させて、クリーム半田をスクリーン開口に入り込ませることによってなされる。尚、弛み防止などを図るべく、スクリーンマスクは、所定のフレーム等によって張力を付与された状態で保持される。
【0004】
また、スクリーンマスクを用いてクリーム半田を印刷するにあたって、印刷されたクリーム半田の印刷ずれ率に係る補正値に基づき、基板に対するスクリーンマスクの相対位置を調節することで、クリーム半田の印刷位置を補正する技術が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−92557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、クリーム半田の印刷時には、付与される張力や基板に対する押し当て力、スキージから加わる力などの影響によって、スクリーンマスクに変形(伸び)や位置ずれが生じ得る。尚、この変形には、恒久的な変形のみならず、一時的な変形も含まれる。ここで、印刷時におけるスクリーンマスクの変形量や位置ずれ量が許容範囲を超えると、上記のように基板に対するスクリーンマスクの相対位置を調節したとしても、クリーム半田を適正位置に印刷することが困難又は不可能となって、歩留まりの低下や良品の製造不可といった事態を招くおそれがある。
【0007】
例えば、図13に示すように、クリーム半田の印刷時に、プリント基板1(「基板」に相当する)上のランドR1,R2(図14参照)に対応するスクリーン開口S1,S2を有するスクリーンマスクSMにおいて、スクリーン開口S1,S2間における変形量(伸び量)sがランドR1,R2の幅Wと同程度になっていたとする。この場合、プリント基板1に対するスクリーンマスクSMの相対位置を適切に調節したとしても、図14に示すように、ランドR1,R2に対するクリーム半田3の位置ずれ量tは「W/2」となり、クリーム半田3を適正位置に印刷することが困難となる。また、例えば、図15,16に示すように、変形量sが幅Wの2倍程度になってしまった場合には、プリント基板1に対するスクリーンマスクSMの相対位置を適切に調節したとしても、位置ずれ量tが「W」となり、ランドR1,R2上にクリーム半田3を印刷することができなくなる。尚、ランドの幅Wは小さなものでは0.1mm以下であるため、スクリーンマスクの変形等が僅かなものであっても、上記のような不具合が生じ得る。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、スクリーンマスクがクリーム半田を適切に印刷可能な状態であるか否かをより正確に検査することができるスクリーンマスクの検査装置などを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0010】
手段1.印刷パターンを形成するスクリーン開口を有し、該スクリーン開口を介して基板上にクリーム半田を印刷するためのスクリーンマスクを検査するスクリーンマスク検査装置であって、
基板上のランドに対応して印刷されたクリーム半田の位置情報を検出する半田位置情報検出手段と、
前記半田位置情報検出手段により検出された位置情報に基づいて、印刷時における前記スクリーンマスクに関する良否判定を行う使用時対応判定手段とを備え
前記半田位置情報検出手段は、前記位置情報として、所定の基準位置である前記ランドの位置に対する実際に印刷されたクリーム半田の位置ずれ量に基づく情報を検出することを特徴とするスクリーンマスク検査装置。
【0011】
上記手段1によれば、印刷されたクリーム半田の位置情報が検出され、その検出された位置情報に基づいて、印刷時におけるスクリーンマスクに関する良否判定が行われる。このように印刷されたクリーム半田の位置情報を利用することで、スクリーンマスク自体のみならず、基板に対する押し当て力やスキージから加わる力など、印刷時にスクリーンマスクに影響を及ぼす外的要因をも考慮して、印刷時におけるスクリーンマスクに関する良否を判定することができる。従って、スクリーンマスクがクリーム半田を適切に印刷可能な状態であるか否かをより正確に検査することができる。
【0012】
尚、クリーム半田の位置情報としては、スキージ(クリーム半田を広げるために使用される部品)の移動方向に沿った成分を有する情報を用いることが好ましい。この場合には、移動するスキージの影響が強く反映された、スクリーンマスクにおける変形や位置ずれの程度がより明確に表れやすい位置情報を得ることができる。そのため、スクリーンマスクがクリーム半田を適切に印刷可能な状態であるか否かを精度よく検査することができる。
【0013】
尚、「基準位置」としては、基板上に設けられたランド(クリーム半田の印刷対象)の位置挙げることができる(手段においても同様)。
【0014】
また、上記手段によれば、位置情報として、クリーム半田の位置ずれ量に基づく情報が検出される。従って、良否判定を行うために必要な位置情報を容易に得ることができ、検査処理に係る負担の低減を図ることができる。
【0015】
また、スクリーンマスク検査装置が、クリーム半田の位置ずれ量に基づき該クリーム半田の良否を判定する機能を備えた半田印刷検査装置に設けられる場合には、該機能により検出された位置ずれ量を利用して、スクリーンマスクの検査を行うことができる。従って、スクリーンマスクやクリーム半田の検査に係る処理の効率化を図ることができる。
【0016】
手段.前記半田位置情報検出手段は、前記位置情報として、基板上におけるスキージの移動方向に沿った一方の端に位置するクリーム半田に関する前記移動方向に沿った前記位置ずれ量と、基板上における前記移動方向に沿った他方の端に位置するクリーム半田に関する前記移動方向に沿った前記位置ずれ量とに基づく情報を検出することを特徴とする手段に記載のスクリーンマスク検査装置。
【0017】
基板上に対するクリーム半田の印刷は、所定のスキージをスクリーンマスクの表面に押し当てつつ該表面に沿って移動させることでなされるところ、上記手段によれば、クリーム半田の位置情報として、スキージの移動方向に沿ったクリーム半田の位置ずれ量に基づく情報が検出される。従って、移動するスキージの影響が強く反映された、スクリーンマスクにおける変形や位置ずれの程度がより明確に表れやすい情報に基づき、スクリーンマスクに関する良否判定を行うことができる。これにより、スクリーンマスクがクリーム半田を適切に印刷可能な状態であるか否かをより精度よく検査することができる。
【0018】
また、上記手段によれば、クリーム半田の位置情報として、スキージの移動方向に沿った一方の端に位置するクリーム半田に関する位置ずれ量と、該移動方向に沿った他方の端に位置するクリーム半田に関する位置ずれ量とに基づく情報(例えば、両位置ずれ量の差など)が用いられる。すなわち、クリーム半田の位置情報として、スキージの移動方向に沿って離れた位置にある両クリーム半田の各位置ずれ量に基づく情報が用いられる。従って、クリーム半田の位置情報はスクリーンマスクにおける変形や位置ずれの程度をより把握しやすいものとなり、検査精度を一層高めることができる。
【0019】
手段.クリーム半田の非印刷時における前記スクリーン開口の位置情報を検出する開口位置情報検出手段と、
前記半田位置情報検出手段により検出されたクリーム半田の位置情報、及び、前記開口位置情報検出手段により検出された前記スクリーン開口の位置情報に基づき、前記スクリーンマスク自体の良否、及び、印刷時に前記スクリーンマスクに影響を与える外的要因の良否を判定可能な個別良否判定手段とを備えることを特徴とする手段1又は2に記載のスクリーンマスク検査装置。
【0020】
尚、「スクリーン開口の位置情報」とは、所定のマスク基準位置〔例えば、理想的な(設計上の)スクリーン開口の位置〕に対する実際のスクリーン開口の相対位置に関する情報(例えば、位置ずれ量)や、複数のスクリーン開口同士の距離を示す情報などを挙げることができる。また、「スクリーン開口の位置情報」として、スクリーン開口の位置を間接的に示す情報(例えば、スクリーンマスクに付された所定のマークの位置に関する情報など)を用いてもよい(手段においても同様)。
【0021】
上記手段によれば、クリーム半田の位置情報及びスクリーン開口の位置情報に基づき、スクリーンマスク自体の良否、及び、印刷時にスクリーンマスクに影響を与える外的要因の良否を判定することができる。例えば、クリーム半田の位置情報及びスクリーン開口の位置情報の双方が所定の良条件を満たさない場合には、スクリーンマスク自体が不良であると判定することができる。一方で、クリーム半田の位置情報が良条件を満たさない一方、スクリーン開口の位置情報が良条件を満たす場合には、スクリーンマスク自体は良品であり、印刷時にスクリーンマスクに影響を及ぼす外的要因〔例えば、基板に対する押し当て力やスキージから加わる力(スキージ圧)など〕に問題があると判定することができる。従って、スクリーンマスクがクリーム半田を適切に印刷可能な状態でないことの原因をより正確に把握することができる。その結果、印刷不良への対応処理として考えられる複数の手法(例えば、スクリーンマスクの交換や印刷条件の変更など)の中から適切な手法をより容易に選択・決定することができ、対応処理をより迅速に行うことが可能となる。
【0022】
手段.前記個別良否判定手段による判定結果に基づき、前記スクリーンマスクの交換を促す情報、又は、前記スクリーンマスクに影響を与える印刷条件の変更を促す情報を発信可能な情報発信手段を備えることを特徴とする手段に記載のスクリーンマスク検査装置。
【0023】
上記手段によれば、個別良否判定手段による判定結果に基づき、スクリーンマスクの交換を促す情報、又は、スクリーンマスクに影響を与える印刷条件(例えばスキージ圧や基板に対する押し付け圧力など)の変更を促す情報が発信(教示)される。これにより、印刷時におけるスクリーンマスクが不良と判定されたときに、作業者は実行すべき対応処理を早期かつ正確に把握することができる。その結果、対応処理を一層迅速に行うことができ、生産効率を向上させることができる。
【0024】
手段.手段1乃至のいずれかに記載のスクリーンマスク検査装置と、
基板上に印刷されたクリーム半田を検査する半田検査手段とを有する半田印刷検査装置。
【0025】
上記手段によれば、上記手段1等と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0026】
手段.印刷パターンを形成するスクリーン開口を有し、該スクリーン開口を介して基板上にクリーム半田を印刷するためのスクリーンマスクの検査に用いられるスクリーンマスクの検査方法であって、
基板上のランドに対応して印刷されたクリーム半田の位置情報を検出するとともに、その検出結果に基づいて、印刷時における前記スクリーンマスクに関する良否判定を行い
前記位置情報として、所定の基準位置である前記ランドの位置に対する実際に印刷されたクリーム半田の位置ずれ量に基づく情報を検出することを特徴とするスクリーンマスクの検査方法。
【0027】
上記手段によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0028】
手段.前記位置情報として、基板上におけるスキージの移動方向に沿った一方の端に位置するクリーム半田に関する前記移動方向に沿った前記位置ずれ量と、基板上における前記移動方向に沿った他方の端に位置するクリーム半田に関する前記移動方向に沿った前記位置ずれ量とに基づく情報を検出することを特徴とする手段に記載のスクリーンマスクの検査方法。
【0029】
上記手段によれば、上記手段と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0030】
手段.クリーム半田の非印刷時における前記スクリーン開口の位置情報を検出し、
クリーム半田の位置情報及び前記スクリーン開口の位置情報に基づき、前記スクリーンマスク自体の良否、及び、印刷時に前記スクリーンマスクに影響を与える外的要因の良否を判定することを特徴とする手段6又は7に記載のスクリーンマスクの検査方法。
【0031】
上記手段によれば、上記手段と同様の作用効果が奏されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】プリント基板の平面模式図である。
図2】製造ラインの概略構成を示すブロック図である。
図3】半田印刷機の概略構成を示す斜視模式図である。
図4】半田印刷機の概略構成を示す側面模式図である。
図5】半田印刷機による印刷動作を説明するための模式図である。
図6】半田印刷検査装置等の電気的構成を示すブロック図である。
図7】半田印刷検査装置の概略構成を示す斜視模式図である。
図8】クリーム半田の位置情報を説明するためのプリント基板の平面模式図である。
図9】スクリーン開口の位置情報を説明するためのスクリーンマスクの平面模式図である。
図10】スクリーンマスクの検査方法を示すフローチャートである。
図11】別の実施形態において、クリーム半田の位置情報を説明するためのプリント基板の平面模式図である。
図12】別の実施形態において、スクリーン開口の位置情報を説明するためのスクリーンマスクの平面模式図である。
図13】従来技術を説明するためのスクリーンマスクの平面模式図である。
図14】従来技術を説明するためのプリント基板の平面模式図である。
図15】従来技術を説明するためのスクリーンマスクの平面模式図である。
図16】従来技術を説明するためのプリント基板の平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、図1を参照してプリント基板1の構成について説明する。本実施形態では、プリント基板1が「基板」に相当する。
【0034】
図1に示すように、プリント基板1は、ガラスエポキシ樹脂等からなる平板状のベース基板7上に、銅箔からなる配線パターン(図示略)や複数のランド2が形成されている。ベース基板7におけるランド2を除く部分には、レジスト膜8(図5参照)がコーティングされている。各ランド2上には、粘性を有するクリーム半田3(図1等にて、散点模様で示す部位)が印刷されている。そして、クリーム半田3に対し、チップ等の電子部品4が接合された状態となっている。尚、図1では、複数のランド2などのうちのごく一部のみを模式的に示している。
【0035】
次に、プリント基板1を製造するための製造ラインについて図2を参照して説明する。図2は、プリント基板1の製造ライン10の概略構成を示すブロック図である。製造ライン10には、その上流側から順に、半田印刷機20、半田印刷検査装置40、部品実装機70及びリフロー装置80が設置されている。まず、部品実装機70及びリフロー装置80について簡単に説明し、その後、半田印刷機20及び半田印刷検査装置40について詳しく説明する。
【0036】
部品実装機70は、半田印刷機20により印刷されたクリーム半田3に電子部品4(図1参照)を搭載する。電子部品4は、複数の電極やリード(それぞれ不図示)を備えており、該電極やリードがそれぞれ所定のクリーム半田3に対し仮止めされる。
【0037】
リフロー装置80は、クリーム半田3を加熱溶融させて、ランド2と、電子部品4の電極やリードとを半田接合(半田付け)する。
【0038】
次いで、半田印刷機20について説明する。半田印刷機20は、プリント基板1のランド2上に所定量のクリーム半田3を印刷する。半田印刷機20は、図3,4に示すように、印刷用移動機構22、印刷用レール機構23、チャック機構24、基板支持装置25、スクリーンマスク26、スキージ27、マスク用カメラ28、印刷用表示装置29(図6参照)、印刷用入力装置30(図6参照)及び印刷制御装置31を備えている。
【0039】
印刷用移動機構22は、クリーム半田3の印刷工程においてプリント基板1を移動させるための機構であり、所定の基台21上に設置されている。印刷用移動機構22は、X軸移動機構221、Y軸移動機構222及びZ軸移動機構223を備えている。X軸移動機構221及びY軸移動機構222が作動することで、印刷用レール機構23及びZ軸移動機構223がX軸方向及びY軸方向に沿ってスライド移動する。Z軸移動機構223が作動することで、印刷用レール機構23がZ軸方向(高さ方向)に沿って移動する。
【0040】
印刷用レール機構23は、クリーム半田3の印刷対象となるプリント基板1が載置される機構である。印刷用レール機構23は、平行に配設された一対のレールを備えている。これらレールの間隔は変更可能に構成されており、該間隔を変更することによって幅の異なる各種プリント基板1に対応可能となっている。また、印刷用レール機構23は、印刷用移動機構22の動作によってX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に沿って移動する。印刷用レール機構23を移動させることで、該印刷用レール機構23に載置されたプリント基板1を任意の方向(X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向)に移動させることが可能である。
【0041】
チャック機構24は、プリント基板1を保持することで、クリーム半田3の印刷時におけるプリント基板1の移動を抑制するための機構である。チャック機構24は、接離移動可能な一対の把持部を備えており、これら把持部によってプリント基板1を把持することで印刷用レール機構23に載置されたプリント基板1を保持する。
【0042】
基板支持装置25は、下方からプリント基板1を支持することで、クリーム半田3の印刷時における該プリント基板1の変形を抑制する。基板支持装置25は、印刷用レール機構23の前記両レール間に配置されており、棒状の支持ピン25aを多数備えている。これら支持ピン25aの先端部がプリント基板1の下面と接触した状態となることで、プリント基板1が支持される。
【0043】
スクリーンマスク26は、プリント基板1に対しクリーム半田3の印刷パターンを形成するために用いられる。スクリーンマスク26は、薄肉平板状をなしており、例えば所定の金属(ステンレス等)により形成されている。尚、スクリーンマスク26の構成材料については適宜変更してもよい。
【0044】
スクリーンマスク26は、その厚さ方向に貫通し、印刷パターンに対応する形状をなすスクリーン開口261を複数備えている。クリーム半田3の印刷時には、スクリーン開口261にクリーム半田3を入り込ませることで、該スクリーン開口261を介して(通して)プリント基板1上にクリーム半田3が印刷される。尚、図3等では、複数のスクリーン開口261のうちの一部のみを模式的に示している。
【0045】
また、スクリーンマスク26の外周部全周は、矩形状のフレーム262によって保持されている。スクリーンマスク26は、該フレーム262から張力が付与されることで、弛みなく張られた状態となっている。
【0046】
スキージ27は、スクリーンマスク26上に載せられたクリーム半田3を広げるためのへら状の部品である。スキージ27は、所定のスキージ保持部(不図示)によって保持されており、該スキージ保持部は、所定の駆動手段(不図示)によって任意の方向(X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向)に移動可能とされている。
【0047】
マスク用カメラ28は、例えばCCDカメラ等の所定の撮像装置により構成されており、スクリーンマスク26を撮像するために用いられる。本実施形態において、マスク用カメラ28は、スクリーンマスク26の全域を撮像可能に構成されている。従って、マスク用カメラ28によって、スキージ27の移動方向(本実施形態では、Y軸方向)に沿った一端に位置するスクリーン開口261(「一端側スクリーン開口261a」という)と、該移動方向に沿った他端に位置するスクリーン開口261(「他端側スクリーン開口261b」という)とを撮像可能である。
【0048】
また、マスク用カメラ28による撮像は、プリント基板1からスクリーンマスク26が離間しており、該プリント基板1に対するクリーム半田3の印刷を行っていないタイミングで行われるようになっている。これにより、印刷に係る影響を受けていない状態のスクリーンマスク26が撮像される。マスク用カメラ28により得られた撮像データは、印刷制御装置31や後述する検査制御装置50に出力される。尚、本実施形態において、マスク用カメラ28は、スクリーンマスク26の上方に配置されているが、スクリーンマスク26の下方に配置されていてもよい。
【0049】
また、本実施形態において、半田印刷機20は、マスク用カメラ28に加えて、プリント基板1を撮像するためのカメラ(不図示)を備えている。
【0050】
印刷用表示装置29は、例えば液晶ディスプレイ等からなり、印刷制御装置31に記憶された各種情報を表示するための装置である。
【0051】
印刷用入力装置30は、例えばキーボード等からなり、印刷制御装置31に対し情報を入力するための装置である。
【0052】
印刷制御装置31は、半田印刷機20の各部(例えば、印刷用移動機構22やマスク用カメラ28など)の動作を制御する。印刷制御装置31は、例えば、演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROM、演算データや入出力データなどの各種データを一時的に記憶するRAM、情報を長期記憶するための記憶装置(例えばハードディスク等)を備えた、いわゆるコンピュータシステムにより構成されている。
【0053】
印刷制御装置31には、各種情報が記憶されている。各種情報には、クリーム半田3の印刷に係る各種パラメータが含まれる。各種パラメータとしては、例えば、スキージ27の移動速度や移動方向、スクリーンマスク26に対するスキージ27の傾斜角度、スクリーンマスク26に対するスキージ27の接触圧力(スキージ圧)、クリーム半田3の印刷時におけるX軸方向及びY軸方向に沿ったプリント基板1(印刷用レール機構23)の位置、プリント基板1に対するスクリーンマスク26の押し当て力などを挙げることができる。尚、Z軸移動機構223の動作を調節することで、プリント基板1に対するスクリーンマスク26の押し当て力を変化させることができる。
【0054】
また、印刷制御装置31は、図6に示すように、スキージ制御部311及び印刷用移動制御部312を備えている。
【0055】
スキージ制御部311は、印刷制御装置31に記憶された各種パラメータに基づき、スキージ27を動作させるための前記駆動手段を制御することで、スキージ27の動作を制御する。スキージ制御部311によって、スキージ27の移動方向や移動速度、スキージ圧などが調節される。これにより、本実施形態では、クリーム半田3を印刷する際に、スキージ27は、設定されたスキージ圧でスクリーンマスク26の上面に接触しつつ、該スクリーンマスク26における幅方向一方側から幅方向他方側にかけてY軸方向に沿って直動する。尚、半田印刷機20においては、順次供給される複数のプリント基板1へとクリーム半田3が順次印刷されていくところ、本実施形態において、クリーム半田3を印刷する際におけるスキージ27の移動方向は、各プリント基板1で変わることなく、同一となるように構成されている。尚、クリーム半田3を印刷する際におけるスキージ27の移動方向は、Y軸方向に限定されるものではなく、Y軸方向以外の方向(例えばX軸方向)であってもよい。
【0056】
加えて、スキージ27の移動方向に関する情報は、印刷制御装置31から後述する検査制御装置50へと出力される。
【0057】
印刷用移動制御部312は、印刷制御装置31に記憶された各種パラメータに基づき、印刷用移動機構22の動作を制御する。本実施形態では、印刷用移動制御部312による印刷用移動機構22の動作制御によって、クリーム半田3の印刷前に、ランド2及びスクリーン開口261の位置が極力合うようにして、プリント基板1及びスクリーンマスク26のX−Y方向の位置合わせが行われる。この位置合わせは、プリント基板1を撮像するための前記カメラによって得られたプリント基板1の撮像データと、マスク用カメラ28によって得られたスクリーンマスク26の撮像データとに基づき行われる。
【0058】
また、印刷用移動制御部312は、プリント基板1及びスクリーンマスク26の位置合わせを行った後、Z軸移動機構223の動作を制御することで、所定の押し当て力でプリント基板1に対しスクリーンマスク26を押し当てた状態とする。
【0059】
クリーム半田3の印刷工程では、まず、印刷用移動制御部312や印刷用移動機構22によって、スクリーンマスク26及びプリント基板1のX−Y方向の位置合わせが行われるとともに、該プリント基板1が上動させられて、所定の押し当て力で該プリント基板1に対しスクリーンマスク26が押し当てられる。また、所定の半田供給装置(不図示)によって、スクリーンマスク26の上面にクリーム半田3が供給される。
【0060】
続いて、スキージ制御部311によって、設定されたスキージ圧でスキージ27をスクリーンマスク26の上面に接触させつつ所定方向(本実施形態ではY軸方向)に沿って移動させる(図5参照)。これにより、スクリーン開口261にクリーム半田3が入り込んで、プリント基板1にクリーム半田3が印刷される。クリーム半田3の印刷後には、印刷用移動機構22等によってプリント基板1が下動させられて、プリント基板1とスクリーンマスク26とが離間させられる。尚、クリーム半田3の印刷されたプリント基板1は、所定のコンベア(不図示)等によって半田印刷検査装置40へと送られる。
【0061】
次いで、半田印刷検査装置40について説明する。半田印刷検査装置40は、半田印刷機20により印刷されたクリーム半田3やスクリーンマスク26の検査を行う。半田印刷検査装置40は、図6,7に示すように、検査用移動機構42、検査用レール機構43、照明装置44、検査用カメラ45、検査用表示装置46、検査用入力装置47及び検査制御装置50を備えている。
【0062】
検査用移動機構42は、クリーム半田3等を検査する工程においてプリント基板1を移動させるための機構であり、所定の基台41上に設置されている。検査用移動機構42は、X軸移動機構421及びY軸移動機構422を備えている。X軸移動機構421及びY軸移動機構422が作動することで、検査用レール機構43はX軸方向及びY軸方向に沿ってスライド移動する。尚、本実施形態において、半田印刷検査装置40におけるX軸方向及びY軸方向と、半田印刷機20におけるX軸方向及びY軸方向とは同一である。
【0063】
検査用レール機構43は、検査対象となるプリント基板1が載置される機構である。検査用レール機構43は、平行に配設された一対のレールを備えており、これらレールの間隔を変更することで、幅の異なる各種プリント基板1に対応可能となっている。検査用レール機構43は、検査用移動機構42の動作によってX軸方向及びY軸方向に沿って移動する。検査用レール機構43が移動することで、該検査用レール機構43に載置されたプリント基板1を任意の方向(X軸方向及びY軸方向)に移動させることが可能である。
【0064】
照明装置44は、プリント基板1の上面に対し斜め上方から所定の光成分パターンを照射する。
【0065】
検査用カメラ45は、照明装置44から所定の光成分パターンの照射されたプリント基板1を撮像する。検査用カメラ45は、プリント基板1の真上に配置されており、プリント基板1の全域を撮像可能に構成されている。従って、検査用カメラ45によって、スキージ27の移動方向(本実施形態では、Y軸方向)に沿った一端に位置するクリーム半田3と、該移動方向に沿った他端に位置するクリーム半田3とを撮像可能である。検査用カメラ45によって得られた撮像データは、検査制御装置50に入力される。
【0066】
検査用表示装置46は、例えば液晶ディスプレイ等からなり、検査制御装置50に記憶された各種情報を表示するために用いられる。尚、1の表示装置が、印刷用表示装置29及び検査用表示装置46を兼ねるように構成してもよい。
【0067】
検査用入力装置47は、例えばキーボード等からなり、検査制御装置50に対し情報を入力するための装置である。尚、1の入力装置が、印刷用入力装置30及び検査用入力装置47を兼ねるように構成してもよい。
【0068】
検査制御装置50は、半田印刷検査装置40の各部(例えば、検査用移動機構42や検査用カメラ45など)の動作を制御したり、クリーム半田3やスクリーンマスク26の検査に係る処理を行ったりするための装置である。検査制御装置50は、印刷制御装置31と同様に、CPU、ROM、RAM及び記憶装置を備えた、いわゆるコンピュータシステムにより構成されている。
【0069】
検査制御装置50の記憶装置には、各種情報が記憶されている。各種情報には、検査実行時における半田印刷検査装置40の動作制御に係るパラメータ、検査用カメラ45やマスク用カメラ28により得られた撮像データ、クリーム半田3やスクリーンマスク26の検査を行うときに利用される検査用情報、撮像データに基づき得られた計測情報、及び、検査結果を示す検査結果情報などが含まれる。
【0070】
検査用情報としては、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向における設計上の(理想的な)クリーム半田3の位置、クリーム半田3の基準体積値や基準面積値、変形や位置ずれに係るスクリーンマスク26の許容量などを挙げることができる。また、計測情報としては、クリーム半田3の高さ(ピーク高さや平均高さ)、面積、体積値及び三次元形状、並びに、それぞれ後述する「スクリーン開口261の位置情報」や「クリーム半田3の位置情報」などを挙げることができる。さらに、検査結果情報としては、スクリーンマスク26自体の良否に関する判定結果、及び、印刷時にスクリーンマスク26に影響を及ぼす外的要因(プリント基板1に対するスクリーンマスク26の押し当て力やスキージ圧など)の良否に関する判定結果などを挙げることができる。
【0071】
検査制御装置50は、検査用移動制御部51、半田位置情報検出部52、使用時対応判定部53、開口位置情報検出部54、非使用時対応判定部55及び個別良否判定部56を備えている。本実施形態では、半田位置情報検出部52が「半田位置情報検出手段」を構成し、同様に、使用時対応判定部53が「使用時対応判定手段」を、開口位置情報検出部54が「開口位置情報検出手段」を、個別良否判定部56が「個別良否判定手段」を構成する。尚、検査制御装置50は、照明装置44を制御するための照明制御部や、検査用カメラ45の動作を制御するための撮像制御部なども備えている(それぞれ不図示)。
【0072】
検査用移動制御部51は、検査制御装置50に記憶された前記パラメータに基づき、検査用移動機構42の動作を制御する。検査用移動機構42の動作が制御されることで、検査の実行に適した位置にプリント基板1が配置される。
【0073】
半田位置情報検出部52は、検査用カメラ45により得られた撮像データに基づき、印刷されたクリーム半田3の位置やサイズなどを計測する。具体的には、半田位置情報検出部52は、プリント基板1における各クリーム半田3における、ランド2に対するX軸方向及びY軸方向に沿った位置ずれ量を計測する。また、半田位置情報検出部52は、予め設定された三次元計測手法(例えば位相シフト法など)などを用いて、クリーム半田3の高さ(ピーク高さや平均高さ)、面積、体積値及び三次元形状を計測する。半田位置情報検出部52によって得られた情報は、計測情報として、検査制御装置50に記憶される。
【0074】
また、半田位置情報検出部52は、計測した位置ずれ量と、スキージ制御部311から入力されたスキージ27の移動方向に関する情報とを利用して、プリント基板1における「クリーム半田3の位置情報」を検出する。
【0075】
本実施形態では、「クリーム半田3の位置情報」として、図8に示すように、プリント基板1上におけるスキージ27の移動方向に沿った一方の端に位置するクリーム半田3(「一端側クリーム半田3a」という)に関する位置ずれ量aと、プリント基板1上における前記移動方向に沿った他方の端に位置するクリーム半田3(「他端側クリーム半田3b」という)に関する位置ずれ量bとの前記移動方向に沿った差(b−a)が検出される。すなわち、「クリーム半田3の位置情報」として、スキージ27の移動方向に沿って最も離れた位置にあるクリーム半田3a,3bの各位置ずれ量a,bの該移動方向に沿った差が検出される。この差(b−a)は、クリーム半田3の印刷時における、スキージ27の移動方向に沿ったスクリーンマスク26の変形量や位置ずれ量に相当する。
【0076】
尚、位置ずれ量a,bとあるのは、より詳しくは、スキージ27の移動方向に沿った、所定の「基準位置」に対する実際に印刷されたクリーム半田3の位置ずれ量である。本実施形態では、「基準位置」としてプリント基板1上に設けられたランド2の中心(又は重心)が利用されている。そして、位置ずれ量a,bとして、ランド2の中心(又は重心)と、該ランド2が印刷対象となるクリーム半田3の中心(又は重心)とのスキージ27の移動方向に沿った位置ずれ量が検出されている。尚、本実施形態では、スキージ27の移動方向に沿って「基準位置」から一方側(図8では右側)に向けた位置ずれ量が「+」とされ、該移動方向に沿って「基準位置」から他方側(図8では左側)に向けた位置ずれ量が「−」とされる。「クリーム半田3の位置情報」は、計測情報として、検査制御装置50に記憶される。
【0077】
使用時対応判定部53は、半田位置情報検出部52により検出された「クリーム半田3の位置情報」に基づいて、印刷時におけるスクリーンマスク26の良否判定を行う。より詳しくは、使用時対応判定部53は、半田位置情報検出部52により検出された前記差(b−a)の絶対値と、検査用情報として記憶された前記許容量とを比較する。そして、前記差(b−a)の絶対値が前記許容量を上回る場合、つまり、印刷時におけるスクリーンマスク26の変形量などが許容範囲外である場合、使用時対応判定部53は、印刷時におけるスクリーンマスク26が不良である(クリーム半田3を適切に印刷可能な状態ではない)と判定する。一方、前記差(b−a)の絶対値が前記許容量以下である場合、つまり、印刷時におけるスクリーンマスク26の変形量などが許容範囲内である場合、使用時対応判定部53は、印刷時におけるスクリーンマスク26が良であると判定する。この判定結果は、検査結果情報として、検査制御装置50に記憶される。
【0078】
開口位置情報検出部54は、マスク用カメラ28により得られた撮像データに基づき、クリーム半田3の非印刷時における「スクリーン開口261の位置情報」を検出する。本実施形態では、「スクリーン開口261の位置情報」として、図9に示すように、スクリーンマスク26におけるスキージ27の移動方向に沿った一方の端に位置するスクリーン開口261(一端側スクリーン開口261a)に関する位置ずれ量xと、スクリーンマスク26における前記移動方向に沿った他方の端に位置するスクリーン開口261(他端側スクリーン開口261b)に関する位置ずれ量yとの前記移動方向に沿った差(y−x)が検出される。この差(y−x)は、クリーム半田3の非印刷時における、スキージ27の移動方向に沿ったスクリーンマスク26の変形量に相当する。
【0079】
尚、位置ずれ量x,yとあるのは、より詳しくは、スキージ27の移動方向に沿った、所定の「マスク基準位置」に対する実際のスクリーン開口261の位置ずれ量である。本実施形態では、「マスク基準位置」として、設計上の(理想的な)スクリーン開口261の中心(又は重心)が利用されている。そして、位置ずれ量x,yとして、設計上のスクリーン開口261の中心(又は重心)と、実際のスクリーン開口261の中心(又は重心)とのスキージ27の移動方向に沿った位置ずれ量が検出されている。尚、本実施形態では、スキージ27の移動方向に沿って「マスク基準位置」から一方側(図9では右側)に向けた位置ずれ量が「+」とされ、該移動方向に沿って「マスク基準位置」から他方側(図9では左側)に向けた位置ずれ量が「−」とされる。「スクリーン開口261の位置情報」は、計測情報として、検査制御装置50の前記記憶装置に記憶される。
【0080】
非使用時対応判定部55は、開口位置情報検出部54により検出された「スクリーン開口261の位置情報」に基づいて、非印刷時(つまり、スキージ27やプリント基板1に接していない状態)におけるスクリーンマスク26の良否判定を行う。より詳しくは、非使用時対応判定部55は、開口位置情報検出部54により検出された前記差(y−x)の絶対値と、検査用情報として記憶された前記許容量とを比較する。そして、前記差(y−x)の絶対値が前記許容量を上回る場合、つまり、非印刷時におけるスクリーンマスク26の変形量が許容範囲外である場合、非使用時対応判定部55は、非印刷時におけるスクリーンマスク26は不良であると判定する。一方、前記差(y−x)の絶対値が前記許容量以下である場合、つまり、非印刷時におけるスクリーンマスク26の変形量が許容範囲内である場合、非使用時対応判定部55は、非印刷時におけるスクリーンマスク26は良であると判定する。非印刷時におけるスクリーンマスク26の良否判定結果は、検査結果情報として、検査制御装置50の前記記憶装置に記憶される。
【0081】
個別良否判定部56は、半田位置情報検出部52により検出された「クリーム半田3の位置情報」、及び、開口位置情報検出部54により検出された「スクリーン開口261の位置情報」に基づいて、スクリーンマスク26自体の良否と、印刷時にスクリーンマスク26に影響を及ぼす外的要因(プリント基板1に対するスクリーンマスク26の押し当て力やスキージ圧など)の良否とを判定する。本実施形態において、個別良否判定部56は、使用時対応判定部53及び非使用時対応判定部55のそれぞれによる判定結果に基づき、スクリーンマスク26自体の良否と、前記外的要因の良否とを判定する。
【0082】
詳述すると、個別良否判定部56は、使用時対応判定部53及び非使用時対応判定部55による判定結果がそれぞれ良である場合、スクリーンマスク26自体が良であるとともに、前記外的要因も良であると判定する。
【0083】
また、個別良否判定部56は、使用時対応判定部53及び非使用時対応判定部55の判定結果がそれぞれ不良である場合、スクリーンマスク26自体が不良であると判定する。
【0084】
一方、個別良否判定部56は、使用時対応判定部53による判定結果が不良であり、非使用時対応判定部55による判定結果が良である場合、スクリーンマスク26自体は良であるが、スキージ圧などの前記外的要因が不良であると判定する。
【0085】
尚、使用時対応判定部53による判定結果が良であり、非使用時対応判定部55による判定結果が不良である場合、個別良否判定部56は、所定の異常判定(例えば「クリーム半田3の位置の検出に異常が生じている」といった判定)を行う。個別良否判定部56による判定結果は、検査結果情報として、検査制御装置50に記憶される。
【0086】
さらに、個別良否判定部56は、スクリーンマスク26自体が不良であると判定した場合、スクリーンマスク26の交換を促す情報を生成して、該情報に係る信号を検査用表示装置46へと出力する。これにより、検査用表示装置46において、スクリーンマスク26の交換を促す情報が発信(表示)される。
【0087】
一方、個別良否判定部56は、印刷時にスクリーンマスク26に影響を及ぼす外的要因が不良であると判定した場合、クリーム半田3の印刷に係る条件の変更を促す情報を生成して、該情報に係る信号を検査用表示装置46へと出力する。これにより、検査用表示装置46において、スクリーンマスク26に影響を与える印刷条件(例えば、プリント基板1に対するスクリーンマスク26の押し当て力やスキージ圧など)の変更を促す情報が発信(表示)される。本実施形態では、検査用表示装置46が「情報発信手段」を構成する。
【0088】
尚、「情報発信手段」として、音声によって情報を出力可能な装置を用いてもよい。また、「情報発信手段」として、無線通信により上記各情報に係る信号を受信して、作業者に対しこれら情報を発信する機能を備えた携帯端末を用いてもよい。
【0089】
本実施形態では、検査用移動機構42、照明装置44、検査用カメラ45、検査用表示装置46、検査用入力装置47、検査用移動制御部51、半田位置情報検出部52、使用時対応判定部53、開口位置情報検出部54、非使用時対応判定部55及び個別良否判定部56によって、スクリーンマスク26の検査を行うためのスクリーンマスク検査装置60(図6参照)が構成されている。
【0090】
また、検査制御装置50は、半田良否判定部58を備えている。半田良否判定部58は、半田位置情報検出部52により得られたクリーム半田3に係る計測情報と、前記検査用情報とを比較して、ランド2毎にクリーム半田3の印刷状態(複数のランド間に形成される半田ブリッジ等を含む)の良否判定を行う。本実施形態では、例えば、ピーク高さ、平均高さ、面積、体積、X軸方向に沿った位置ずれ量及びY軸方向に沿った位置ずれ量(位置ずれ量a,bを含む)がそれぞれ基準を満たしているか、クリーム半田3のかすれがないか、クリーム半田3が存在しない「無半田」状態となっていないかなどについての判定が行われる。良否判定結果は、検査結果情報として検査制御装置50に記憶され、検査用表示装置46にて表示可能とされる。尚、クリーム半田3の印刷状態が正常であったプリント基板1は、その下流の部品実装機70へ案内される一方、クリーム半田3の印刷状態が不良であったプリント基板1は、所定の不良品排出装置(不図示)により排出される。
【0091】
本実施形態では、検査用移動機構42、照明装置44、検査用カメラ45、検査用移動制御部51、半田位置情報検出部52及び半田良否判定部58によって、プリント基板1上に印刷されたクリーム半田3を検査するための半田検査部61が構成されている。半田検査部61が「半田検査手段」に相当する。
【0092】
次いで、スクリーンマスク26の検査方法について、図10を参照して説明する。まず、ステップS1のマスク撮像ステップにおいて、マスク用カメラ28により、クリーム半田3の非印刷時であってプリント基板1から離間した状態におけるスクリーンマスク26が撮像される。スクリーンマスク26に関する撮像データは、検査制御装置50などに出力される。
【0093】
次に、ステップS2の開口位置情報検出ステップにおいて、開口位置情報検出部54によって、ステップS1で得られた撮像データに基づき、クリーム半田3の非印刷時における「スクリーン開口261の位置情報」(y−x)が検出される。
【0094】
続くステップS3の非使用時対応判定ステップでは、ステップS2で得られた検出結果に基づいて、非使用時対応判定部55によって、非印刷時におけるスクリーンマスク26に関する良否判定が行われる。つまり、スクリーンマスク26単体の良否が判定される。
【0095】
ステップS4の基板撮像ステップでは、検査用カメラ45により、クリーム半田3の印刷されたプリント基板1が撮像される。得られたプリント基板1に関する撮像データは、検査制御装置50に出力される。
【0096】
次に、ステップS5の半田位置情報検出ステップにおいて、半田位置情報検出部52によって、ステップS4で得られた撮像データに基づき、「クリーム半田3の位置情報」(b−a)が検出される。
【0097】
ステップS6の使用時対応判定ステップでは、ステップS5で得られた検出結果に基づいて、使用時対応判定部53によって、印刷時におけるスクリーンマスク26に関する良否判定が行われる。つまり、印刷時における外的要因を加味したスクリーンマスク26の良否が判定される。尚、ステップS1〜S3に係る処理は、ステップS4〜S6に係る処理と同時期又は後に行われてもよい。
【0098】
次いで、ステップS7の個別良否判定工程では、個別良否判定部56によって、印刷時及び非印刷時におけるスクリーンマスク26に関するそれぞれの判定結果、つまり、ステップS3,S6における各判定結果に基づき、スクリーンマスク26自体の良否と、印刷時にスクリーンマスク26に影響を及ぼす外的要因の良否とが判定される。
【0099】
そして、ステップS8の出力ステップでは、ステップS7における判定結果に応じて、該判定結果に対応する信号が検査用表示装置46へと出力される。該信号の出力によって、検査用表示装置46では、スクリーンマスク26の交換を促す情報、又は、スクリーンマスク26に影響を与える印刷条件の変更を促す情報が発信(表示)される。
【0100】
以上詳述したように、本実施形態によれば、「クリーム半田3の位置情報」が検出され、その検出された位置情報に基づいて、印刷時におけるスクリーンマスク26に関する良否判定が行われる。このように印刷されたクリーム半田3の位置情報を利用することで、スクリーンマスク26自体のみならず、プリント基板1に対する押し当て力やスキージ27から加わる力など、印刷時にスクリーンマスク26に影響を及ぼす外的要因をも考慮して、印刷時におけるスクリーンマスク26に関する良否を判定することができる。従って、スクリーンマスク26がクリーム半田3を適切に印刷可能な状態であるか否かをより正確に検査することができる。
【0101】
また、「クリーム半田3の位置情報」として、クリーム半田3の位置ずれ量a,bに基づく情報が検出される。従って、良否判定を行うために必要な位置情報を容易に得ることができ、検査処理に係る負担の低減を図ることができる。
【0102】
さらに、「クリーム半田3の位置情報」として、スキージ27の移動方向に沿った位置ずれ量a,bの差が用いられる。すなわち、スキージ27の移動方向に沿った成分を有する情報が用いられる。従って、移動するスキージ27の影響が強く反映された、スクリーンマスク26における変形や位置ずれの程度がより明確に表れやすい位置情報を得ることができる。そのため、スクリーンマスク26がクリーム半田3を適切に印刷可能な状態であるか否かを精度よく検査することができる。
【0103】
特に本実施形態では、「クリーム半田3の位置情報」として、スキージ27の移動方向に沿って離れた位置にある一端側クリーム半田3a及び他端側クリーム半田3bの各位置ずれ量a,bの差が用いられる。従って、「クリーム半田3の位置情報」はスクリーンマスク26における変形や位置ずれの程度をより把握しやすいものとなり、検査精度を一層高めることができる。
【0104】
さらに、スクリーンマスク検査装置60は、位置ずれ量a,bに基づきクリーム半田3の良否を判定する半田検査部61を備えた半田印刷検査装置40に設けられるところ、半田検査部61による良否判定に利用される位置ずれ量a,bに基づき、スクリーンマスク26の検査を行うことができる。従って、スクリーンマスク26やクリーム半田3の検査に係る処理の効率化を図ることができる。
【0105】
また、「クリーム半田3の位置情報」及び「スクリーン開口261の位置情報」に基づき、スクリーンマスク26自体の良否、及び、印刷時にスクリーンマスク26に影響を与える外的要因の良否を判定することができる。従って、スクリーンマスク26がクリーム半田3を適切に印刷可能な状態でないことの原因をより正確に把握することができる。その結果、印刷不良への対応処理として考えられる複数の手法(例えば、スクリーンマスク26の交換や印刷条件の変更など)の中から適切な手法をより容易に選択・決定することができ、対応処理をより迅速に行うことが可能となる。
【0106】
さらに、本実施形態では、個別良否判定部56による判定結果に基づき、スクリーンマスク26の交換を促す情報、又は、スクリーンマスク26に影響を与える印刷条件の変更を促す情報が発信される。これにより、印刷時におけるスクリーンマスク26が不良と判定されたときに、作業者は実行すべき対応処理を早期かつ正確に把握することができる。その結果、対応処理を一層迅速に行うことができ、生産効率を向上させることができる。
【0107】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0108】
(a)上記実施形態では、一端側クリーム半田3aの位置ずれ量a及び他端側クリーム半田3bの位置ずれ量bに基づく情報として、両位置ずれ量の差(b−a)を挙げているが、両位置ずれ量a,bに基づく情報は、これに限定されるものではない。従って、両位置ずれ量a,bに基づく情報として、各位置ずれ量a,bの絶対値の和や、これら絶対値の平均値などを用いてもよい。
【0109】
また、「クリーム半田3の位置情報」として、プリント基板1上における両クリーム半田3a,3b以外の任意の2つのクリーム半田3の位置ずれ量に基づく情報(例えば、任意の2つのクリーム半田3のそれぞれの位置ずれ量の差)を用いてもよい。加えて、「クリーム半田3の位置情報」として、任意の1つのクリーム半田3に関する位置ずれ量に基づく情報を用いてもよい。勿論、3つ以上のクリーム半田3に関する位置ずれ量に基づく情報を用いてもよい。
【0110】
さらに、「クリーム半田3の位置情報」として、プリント基板1上におけるクリーム半田3同士の距離を示す情報を検出するように構成してもよい。例えば、図11に示すように、「クリーム半田3の位置情報」として、スキージ27の移動方向に沿った、一端側クリーム半田3a及び他端側クリーム半田3b間の距離L(例えば、各クリーム半田3a,3bの各中心間の距離)を検出するように構成してもよい。このように構成した場合においても、良否判定を行うために必要な位置情報を容易に得ることができ、検査処理に係る負担の低減を図ることができる。尚、上記クリーム半田3a,3bとは異なる複数のクリーム半田3同士の距離を「クリーム半田3の位置情報」として検出してもよい。
【0111】
また、上記実施形態では、位置ずれ量a,bを算出するための「基準位置」として、プリント基板1上に設けられたランド2の中心(又は重心)を挙げている。これに対し、「基準位置」として、理想的な(設計上の)クリーム半田3の印刷位置や、プリント基板1における選択された任意の位置(例えば、プリント基板1の外縁部における任意の一辺やプリント基板1に付されたマーク、スキージ27の移動方向に沿ったプリント基板1の中心)などを用いてもよい。
【0112】
(b)上記実施形態では、「スクリーン開口261の位置情報」として、スキージ27の移動方向に沿った、一端側スクリーン開口261aに関する位置ずれ量xと他端側スクリーン開口261bに関する位置ずれ量yとの差(y−x)が検出されるように構成されているが、「スクリーン開口261の位置情報」はこれに限定されるものではない。
【0113】
従って、「スクリーン開口261の位置情報」として、スクリーンマスク26における両スクリーン開口261a,261b以外の任意の2つのスクリーン開口261の位置ずれ量に基づく情報(例えば、任意の2つのスクリーン開口261における各位置ずれ量の差)を用いてもよい。また、「スクリーン開口261の位置情報」として、1つ又は3つ以上のスクリーン開口261の位置ずれ量に基づく情報を用いてもよい。
【0114】
さらに、「スクリーン開口261の位置情報」として、スクリーンマスク26における複数のスクリーン開口261同士の距離を示す情報を検出するように構成してもよい。例えば、「スクリーン開口261の位置情報」として、図12に示すように、スキージ27の移動方向に沿った、一端側スクリーン開口261a及び他端側スクリーン開口261b間の距離M(例えば、各スクリーン開口261a,261bの各中心間の距離)を検出するように構成してもよい。勿論、上記スクリーン開口261a,26bとは異なる複数のスクリーン開口261同士の距離を「スクリーン開口261の位置情報」として検出してもよい。
【0115】
また、上記実施形態では、設計上のスクリーン開口261の中心(又は重心)を「マスク基準位置」として、「スクリーン開口261の位置情報」が検出されている。これに対し、スクリーンマスク26における選択された任意の位置(例えば、スクリーンマスク26の中心やスクリーンマスク26に付された所定のマーク)、スクリーンマスク26を保持するフレーム262の所定位置(例えば、フレーム262の外縁部における任意の一辺)などを「マスク基準位置」として、「スクリーン開口261の位置情報」を検出してもよい。
【0116】
加えて、「スクリーン開口261の位置情報」として、スクリーン開口261の位置を間接的に示す情報を利用してもよい。例えば、「スクリーン開口261の位置情報」として、スクリーンマスク26に付された任意の2つのマークの間隔などを利用してもよい。
【0117】
尚、上記実施形態のように、「スクリーン開口261の位置情報」として、スキージ27の移動方向に沿った成分を有する情報を用いることが好ましい。この場合には、移動するスキージ27の影響が強く反映された、スクリーンマスク26における変形の程度がより明確に表れやすい位置情報を得ることができる。そのため、スクリーンマスク26自体の良否をより精度よく検査することができる。
【0118】
(c)上記実施形態において、個別良否判定部56は、使用時対応判定部53及び非使用時対応判定部55によるそれぞれの判定結果に基づき、スクリーンマスク26自体の良否などを判定するように構成されている。これに対し、個別良否判定部56は、両判定部53,55による判定結果を用いることなく、半田位置情報検出部52により得られた「クリーム半田3の位置情報」及び開口位置情報検出部54により得られた「スクリーン開口261の位置情報」に基づき、スクリーンマスク26自体の良否などを判定するものであってもよい。例えば、「クリーム半田3の位置情報」及び「スクリーン開口261の位置情報」を比較して良否判定を行ってもよい。
【0119】
(d)上記実施形態では、個別良否判定部56によって、印刷時にスクリーンマスク26に影響を及ぼす外的要因が不良であると判定された場合、検査用表示装置46において、クリーム半田3の印刷に係る条件の変更を促す情報が発信(表示)されるように構成されている。
【0120】
これに対し、印刷時にスクリーンマスク26に影響を及ぼす外的要因が不良であると判定された場合に、クリーム半田3の印刷に係る条件を自動的に変更する機能を設けてもよい。例えば、外的要因が不良である場合、スキージ圧やプリント基板1に対するスクリーンマスク26の押し当て力を一定の適正範囲内で自動的に調節する機能を設けてもよい。この場合には、作業者がスキージ圧などの調節する必要がなくなり、生産効率の向上をより図ることができる。
【0121】
(e)使用時対応判定部53により不良判定が行われていない状態(つまり、スクリーンマスク26がクリーム半田3を適切に印刷可能な状態)であって、「クリーム半田3の位置情報」が一定の条件を満たしたときに、スクリーンマスク26に影響を与える印刷条件の変更を促す情報が発信されるように構成してもよい。この場合には、スクリーンマスク26がクリーム半田3を適切に印刷することができない状態となる前に、印刷条件を前もって変更することができる。従って、不良品のプリント基板1の製造を抑えることができ、製造コストの低減を図ることができる。尚、「クリーム半田3の位置情報」が一定の条件を満たしたときに、印刷条件を自動的に調節するように構成してもよい。
【0122】
(f)上記実施形態において、クリーム半田3を印刷する際におけるスキージ27の移動方向は、各プリント基板1で同一となるように構成されているが、プリント基板1ごとに、スキージ27の移動方向が適宜変化する構成としてもよい。例えば、あるプリント基板1にクリーム半田3を印刷する際には、スキージ27がX軸方向に移動し、次のプリント基板1にクリーム半田3を印刷する際には、スキージ27がY軸方向に移動するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0123】
1…プリント基板(基板)、3…クリーム半田、26…スクリーンマスク、27…スキージ、40…半田印刷検査装置、52…半田位置情報検出部(半田位置情報検出手段)、53…使用時対応判定部(使用時対応判定手段)、54…開口位置情報検出部(開口位置情報検出手段)、56…個別良否判定部(個別良否判定手段)、60…スクリーンマスク検査装置、261…スクリーン開口。
【要約】
【課題】スクリーンマスクがクリーム半田を適切に印刷可能な状態であるか否かをより正確に検査することができるスクリーンマスクの検査装置などを提供する。
【解決手段】プリント基板1上に印刷されたクリーム半田3の位置情報を検出し、その検出結果に基づいて、印刷時におけるスクリーンマスクに関する良否判定を行う。クリーム半田3の位置情報を利用することで、スクリーンマスク自体のみならず、プリント基板1に対する押し当て力やスキージから加わる力など、印刷時にスクリーンマスクに影響を及ぼす外的要因をも考慮して、印刷時におけるスクリーンマスクに関する良否を判定することができる。従って、スクリーンマスクがクリーム半田3を適切に印刷可能な状態であるか否かをより正確に検査することができる。
【選択図】 図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16