特許第6952161号(P6952161)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6952161
(24)【登録日】2021年9月29日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】補強フレキシブル回路基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20211011BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20211011BHJP
【FI】
   H05K1/02 D
   H05K3/00 J
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-102509(P2020-102509)
(22)【出願日】2020年6月12日
(65)【公開番号】特開2021-111770(P2021-111770A)
(43)【公開日】2021年8月2日
【審査請求日】2020年8月11日
(31)【優先権主張番号】108148745
(32)【優先日】2019年12月31日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】311005208
【氏名又は名称】▲き▼邦科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】馬 宇珍
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 信豪
(72)【発明者】
【氏名】周 文復
(72)【発明者】
【氏名】許 國賢
【審査官】 齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−150372(JP,A)
【文献】 特開2005−150373(JP,A)
【文献】 特開2006−147763(JP,A)
【文献】 特開2004−64086(JP,A)
【文献】 特開2000−132864(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−0944274(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/60
H05K1/00―3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面及び下面を有するフレキシブル基板と、パターン回路層とを有し、前記パターン回路層は前記上面に位置し、前記フレキシブル基板の前記下面は補強領域を含むフレキシブル回路基板と、
第一補強シートと、第二補強シートとを有し、前記第一補強シートは前記下面の前記補強領域に設置され、前記第二補強シートは前記第一補強シートに設置され、且つ前記第一補強シートは前記フレキシブル基板と前記第二補強シートとの間に位置し、前記フレキシブル回路基板のカットラインは前記第一補強シートのみを通過する補強構造とを備えることを特徴とする補強フレキシブル回路基板。
【請求項2】
前記第一補強シートの面積は前記第二補強シートの面積より大きいことを特徴とする請求項1に記載の補強フレキシブル回路基板。
【請求項3】
前記第一補強シートの厚さは前記第二補強シートの厚さ以下ではないことを特徴とする請求項2に記載の補強フレキシブル回路基板。
【請求項4】
前記補強構造は第一接着領域及び第二接着領域をさらに有し、
前記第一接着領域は前記フレキシブル基板と前記第一補強シートとの間に位置すると共に前記フレキシブル基板及び前記第一補強シートに接合され、
前記第二接着領域は前記第一補強シートと前記第二補強シートとの間に位置すると共に前記第一補強シート及び前記第二補強シートに接合されることを特徴とする請求項1に記載の補強フレキシブル回路基板。
【請求項5】
前記第一補強シート及び前記第二補強シートの材料としてポリイミド(Polyimide、PI)またはポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate、PET)を含むことを特徴とする請求項1に記載の補強フレキシブル回路基板。
【請求項6】
前記フレキシブル回路基板の前記カットラインは、作業領域を内に囲い込むように形成され、前記カットラインの外は非作業領域であり、前記第二補強シートは前記作業領域の中に位置することを特徴とする請求項1に記載の補強フレキシブル回路基板。
【請求項7】
前記第一補強シートは前記作業領域及び前記非作業領域に跨るように設置されることを特徴とする請求項6に記載の補強フレキシブル回路基板。
【請求項8】
前記パターン回路層は前記作業領域中に位置するアウターリード接続段を有し、
前記下面の前記補強領域は前記アウターリード接続段の下方に位置されることを特徴とする請求項6に記載の補強フレキシブル回路基板。
【請求項9】
前記パターン回路層はアライメントマークを有し、
前記第一補強シートの隅は前記アライメントマークにアライメントされることを特徴とする請求項1に記載の補強フレキシブル回路基板。
【請求項10】
前記アライメントマークの形状はL字型または一字型を呈することを特徴とする請求項9に記載の補強フレキシブル回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル回路基板に関し、更に詳しくは、補強フレキシブル回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイの薄型軽量化に伴って、パネルを制御するための駆動IC(Integrated Circuit)のフレキシブル回路基板の厚さも50μm以下まで減少している。このため強度が低下し、フレキシブル回路基板のアウターリードピン接続端と駆動回路のコネクタとの接続が難しくなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述した従来の技術では、フレキシブル回路基板のアウターリードピン接続端の下方に補強板が設置され、フレキシブル回路基板の強度を部分的に補強している。補強板が設置されることでフレキシブル回路基板のアウターリードピン接続端の強度が改善するが、補強板の厚さのために補強板の表面とフレキシブル回路基板の表面との間の差異が大きくなりすぎ、非常に大きな落差が生じる。これにより、フレキシブル回路基板の打ち抜き加工時に補強板とフレキシブル回路基板との間の接合箇所に応力が集中し、断裂が生じることがあった。
【0004】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の完成に至った。
【0005】
かかる従来技術の実情に鑑みて、本発明は、補強フレキシブル回路基板を提供することを目的とする。つまり、第一補強シート及び第二補強シートの補強構造によりフレキシブル回路基板の強度を強化し、十分な強度を提供すると同時に応力集中を減少させ、フレキシブル回路基板が打ち抜かれる際に亀裂が入らないようにする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための主たる発明である補強フレキシブル回路基板は、フレキシブル回路基板及び補強構造を備えている。前記フレキシブル回路基板はフレキシブル基板及びパターン回路層で構成され、前記フレキシブル基板は上面及び下面を有し、前記パターン回路層は前記上面に位置されている。前記フレキシブル基板の前記下面は補強領域を含み、前記補強構造は第一補強シート及び第二補強シートで構成され、前記第一補強シートは前記下面の前記補強領域に設置され、前記第二補強シートは前記第一補強シートに設置され、前記第一補強シートは前記フレキシブル基板と前記第二補強シートとの間に位置している。前記フレキシブル回路基板のカットラインは前記補強構造の前記第一補強シートのみを通過する。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、前記補強構造により前記フレキシブル回路基板が強化され、且つ前記フレキシブル回路基板の前記カットラインが前記補強構造の前記第一補強シートのみを通過するため、前記フレキシブル回路基板が十分な強度を有すると同時に、打ち抜かれる際の応力の集中が減少する。これにより、打ち抜き加工中に前記フレキシブル回路基板に亀裂が生じなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る補強フレキシブル回路基板の補強構造の一実施例を示す平面図である。
図2】本発明に係る補強フレキシブル回路基板の補強構造の一実施例を示す底面図である。
図3】本発明に係る補強フレキシブル回路基板の補強構造の一実施例を示す断面図である。
図4】本発明に係る補強フレキシブル回路基板の複数のアライメントマーク及び補強構造の異なる実施例の概略を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る補強フレキシブル回路基板について具体的に説明する。
なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能である。
【0010】
(一実施例)
図1は本発明に係る補強フレキシブル回路基板100及び補強構造200の一実施例を示す平面図である。図2は本発明に係る補強フレキシブル回路基板100及び補強構造200の一実施例を示す底面図である。
前記補強フレキシブル回路基板100はフレキシブル基板110及びパターン回路層120を備え、前記フレキシブル基板110は上面111及び下面112を有し、前記パターン回路層120は前記上面111に位置している。前記フレキシブル基板110としてポリイミド(Polyimide、PI)またはポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate、PET)を含む。前記パターン回路層120は前記フレキシブル基板110に電気めっき或いは圧着される銅層がパターン化エッチングされて形成されている。
【0011】
図1を参照すると、前記補強フレキシブル回路基板100はテープ形式であり、その辺縁にはローラーを伝動するための伝動穴を有する。これにより、ロール・ツー・ロール(Roll-to-Roll)の伝動に適すると共に各種プロセスを実行可能にする。一例を挙げると、銅の電気めっき、フォトレジストの塗布、エッチングの現像、ソルダーマスク層の塗布、及びチップの載置等がある。
前記補強フレキシブル回路基板100はカットラインCLを有する。前記カットラインCLは、前記補強フレキシブル回路基板100に後続の打ち抜き加工を行う際に、前記補強フレキシブル回路基板100を実際の使用サイズに切断するための切断位置である。前記カットラインCL内には作業領域WAが囲い込まれるように形成され、打ち抜き後の前記作業領域WAが駆動ICとなる。前記カットラインCLの外は非作業領域NWAであり、打ち抜き後には廃棄される。
【0012】
続いて、図1は前記パターン回路層120の構造全体を図示するものであるが、実際には前記パターン回路層120は複数の微細回路で構成されている。
前記パターン回路層120はアウターリード接続段121を有し、前記アウターリード接続段121は前記補強フレキシブル回路基板100の辺縁に位置すると共に前記作業領域WA中に位置している。前記アウターリード接続段121は、駆動回路のコネクタに接続して信号を伝送するために用いられている。
前記フレキシブル基板110の前記下面112は補強領域112aを有する(図1及び図2参照)。本実施例では、前記補強フレキシブル回路基板100の強化する部位が前記駆動回路に接続される前記アウターリード接続段121であるため、前記下面112の前記補強領域112aが前記アウターリード接続段121の下方に位置している。或いは、他の実施例では、前記補強領域112aが他の補強位置に位置してもよい。本発明にはそれらの位置についての制限はない。
【0013】
図2及び図3に示すように、前記補強構造200は前記下面112の前記補強領域112aに設置している。本実施例では、前記補強構造200は第一補強シート210及び第二補強シート220で構成され、前記第一補強シート210は前記下面112の前記補強領域112aに設置され、前記第二補強シート220は前記第一補強シート210に設置され、且つ前記第一補強シート210は前記フレキシブル基板110と前記第二補強シート220との間に位置している。
図3に示すように、好ましくは、前記補強構造200は第一接着領域230及び第二接着領域240を有し、前記第一接着領域230は前記フレキシブル基板110と前記第一補強シート210との間に位置し、且つ前記第一接着領域230は前記フレキシブル基板110及び前記第一補強シート210の接合に用いられている。前記第二接着領域240は前記第一補強シート210と前記第二補強シート220との間に位置し、且つ前記第二接着領域240は前記第一補強シート210及び前記第二補強シート220の接合に用いられている。
【0014】
図2及び図3に示すように、本実施例では、前記第一補強シート210及び前記第二補強シート220の材料としてポリイミド(Polyimide、PI)またはポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate、PET)を含む。前記第一補強シート210の厚さは前記第二補強シート220の厚さ以下ではない。これにより、2層の積層構造により前記補強フレキシブル回路基板100に十分な強度を提供する。
好ましくは、前記第一補強シート210の面積が前記第二補強シート220の面積より大きく、前記第二補強シート220の全体が前記作業領域WA中に含まれ、前記第一補強シート210が前記作業領域WA及び前記非作業領域NWAに跨設されており、前記カットラインCLは前記補強構造200の前記第一補強シート210のみを通過し、前記補強構造200の前記第二補強シート220を通過することはない。これにより、前記補強フレキシブル回路基板100の打ち抜き加工の実施時に、打ち抜き工具が到前記補強構造200の前記第一補強シート210のみが切断され、前記補強構造200の前記第二補強シート220は切断されない。単層の前記第一補強シート210の厚さと、前記フレキシブル基板110の前記下面112との間の落差が小さいため、打ち抜き加工の応力の集中問題が軽微になり、前記フレキシブル基板110と前記補強構造200との間の接合箇所が打ち抜かれる際に断裂しなくなる。
【0015】
図1を参照すると、本実施例では、前記パターン回路層120は2つのアライメントマーク122を有し、且つこれら前記アライメントマーク122の形状はL字型を呈する。図1によれば、前記第一補強シート210の2つの隅211は各前記アライメントマーク122のL字型の角箇所にそれぞれアライメントされ、前記第一補強シート210が前記下面112に貼付される際にアライメントされる。前記第二補強シート220が貼付される際には、前記第一補強シート210の辺縁及び前記パターン回路層120の前記アウターリード接続段121がアライメントされる。
【0016】
(異なる実施例)
図4を参照すると、異なる実施例では、これら前記アライメントマーク122はL字型以外の形状に変化している。一例を挙げると、図4(a)では凸字型を呈し、図4(b)では2重凸字型を呈し、図4(c)では十字型を呈し、図4(d)では口字型を呈しており、これらも全て前記第一補強シート210の2つの隅のアライメントに適用可能である。さらに、前記第一補強シート210の面積が十分大きいため縦方向にのみ位置決めすればいいという場合、これらの前記アライメントマーク122が図4(e)のように一字型を呈し、前記第一補強シート210の横方向の辺縁が一字型の各前記アライメントマーク122の横方向の辺縁にアライメントされてもよい。
【0017】
本発明は、前記補強構造200により前記補強フレキシブル回路基板100が強化され、且つ前記補強フレキシブル回路基板100の前記カットラインCLが前記補強構造200の前記第一補強シート210のみを通過するため、前記補強フレキシブル回路基板100が十分な強度を有すると同時に、打ち抜かれる際の応力の集中が減少するため、打ち抜き加工中に前記補強フレキシブル回路基板100に亀裂が生じなくなる。
【0018】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0019】
100 補強フレキシブル回路基板
110 フレキシブル基板
111 上面
112 下面
112a 補強領域
120 パターン回路層
121 アウターリード接続段
122 アライメントマーク
200 補強構造
210 第一補強シート
211 隅
220 第二補強シート
230 第一接着領域
240 第二接着領域
CL カットライン
WA 作業領域
NWA 非作業領域
図1
図2
図3
図4