特許第6952168号(P6952168)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友重機械工業株式会社の特許一覧

特許6952168クライオポンプ及びクライオポンプ制御方法
<>
  • 特許6952168-クライオポンプ及びクライオポンプ制御方法 図000002
  • 特許6952168-クライオポンプ及びクライオポンプ制御方法 図000003
  • 特許6952168-クライオポンプ及びクライオポンプ制御方法 図000004
  • 特許6952168-クライオポンプ及びクライオポンプ制御方法 図000005
  • 特許6952168-クライオポンプ及びクライオポンプ制御方法 図000006
  • 特許6952168-クライオポンプ及びクライオポンプ制御方法 図000007
  • 特許6952168-クライオポンプ及びクライオポンプ制御方法 図000008
  • 特許6952168-クライオポンプ及びクライオポンプ制御方法 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6952168
(24)【登録日】2021年9月29日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】クライオポンプ及びクライオポンプ制御方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 37/16 20060101AFI20211011BHJP
   F04B 37/08 20060101ALI20211011BHJP
   F04B 49/10 20060101ALI20211011BHJP
【FI】
   F04B37/16 A
   F04B37/08
   F04B49/10 331G
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-118985(P2020-118985)
(22)【出願日】2020年7月10日
(62)【分割の表示】特願2017-122848(P2017-122848)の分割
【原出願日】2017年6月23日
(65)【公開番号】特開2020-172932(P2020-172932A)
(43)【公開日】2020年10月22日
【審査請求日】2020年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 走
【審査官】 上野 力
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4912438(JP,B2)
【文献】 特開2014−156831(JP,A)
【文献】 特開2004−027866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 37/16
F04B 37/08
F04B 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1段クライオパネルと、
2段クライオパネルと、
前記1段クライオパネルおよび前記2段クライオパネルに熱的に結合され、前記1段クライオパネルを1段冷却温度に冷却し、前記2段クライオパネルを前記1段冷却温度より低い2段冷却温度に冷却する冷凍機と、
前記1段冷却温度を直接制御することなく前記2段冷却温度を2段目標温度に制御する2段温度制御と、前記2段冷却温度を直接制御することなく前記1段冷却温度を1段目標温度に制御する1段温度制御とを実行するよう構成された制御装置であって、前記2段温度制御の実行中に前記1段冷却温度所定の1段下限温度と比較し、前記1段冷却温度が前記1段下限温度を下回る場合に前記2段温度制御から前記1段温度制御に切り替えるよう構成された制御装置と、を備えることを特徴とするクライオポンプ。
【請求項2】
1段クライオパネルと、
2段クライオパネルと、
前記1段クライオパネルおよび前記2段クライオパネルに熱的に結合され、前記1段クライオパネルを1段冷却温度に冷却し、前記2段クライオパネルを前記1段冷却温度より低い2段冷却温度に冷却する冷凍機と、
前記1段冷却温度を直接制御することなく前記2段冷却温度を2段目標温度に制御する2段温度制御と、前記2段冷却温度を直接制御することなく前記1段冷却温度を1段目標温度に制御する1段温度制御とを実行するよう構成された制御装置であって、前記2段温度制御の実行中に前記1段冷却温度を所定の1段上限温度と比較し、前記1段冷却温度が前記1段上限温度を上回る場合に前記2段温度制御から前記1段温度制御に切り替えるよう構成された制御装置と、を備えることを特徴とするクライオポンプ。
【請求項3】
前記制御装置は、前記2段温度制御において前記2段冷却温度を前記2段目標温度に制御するように前記冷凍機の運転周波数を制御し、前記1段温度制御において前記1段冷却温度を前記1段目標温度に制御するように前記冷凍機の運転周波数を制御することを特徴とする請求項1または2に記載のクライオポンプ。
【請求項4】
前記1段クライオパネルを加熱する第1ヒータをさらに備え、
前記制御装置は、前記1段温度制御において前記1段冷却温度を前記1段目標温度に制御するように前記第1ヒータを制御することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のクライオポンプ。
【請求項5】
前記2段クライオパネルを加熱する第2ヒータをさらに備え、
前記制御装置は、前記2段温度制御において前記2段冷却温度を前記2段目標温度に制御するように前記第2ヒータを制御することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のクライオポンプ。
【請求項6】
前記2段温度制御から前記1段温度制御への切替を使用者に通知する通知部を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のクライオポンプ。
【請求項7】
クライオポンプの制御方法であって、前記クライオポンプは、1段クライオパネルと、
2段クライオパネルと、前記1段クライオパネルおよび前記2段クライオパネルに熱的に結合され、前記1段クライオパネルを1段冷却温度に冷却し、前記2段クライオパネルを前記1段冷却温度より低い2段冷却温度に冷却する冷凍機と、を備え、
前記1段冷却温度を直接制御することなく前記2段冷却温度を2段目標温度に制御する2段温度制御を実行することと、
前記2段温度制御の実行中に前記1段冷却温度所定の1段下限温度と比較することと、
前記1段冷却温度が前記1段下限温度を下回る場合、前記2段温度制御から1段温度制御に切り替えることと、を備え
前記1段温度制御は、前記2段冷却温度を直接制御することなく前記1段冷却温度を1段目標温度に制御するものであることを特徴とする方法。
【請求項8】
クライオポンプの制御方法であって、前記クライオポンプは、1段クライオパネルと、
2段クライオパネルと、前記1段クライオパネルおよび前記2段クライオパネルに熱的に結合され、前記1段クライオパネルを1段冷却温度に冷却し、前記2段クライオパネルを前記1段冷却温度より低い2段冷却温度に冷却する冷凍機と、を備え、
前記1段冷却温度を直接制御することなく前記2段冷却温度を2段目標温度に制御する2段温度制御を実行することと、
前記2段温度制御の実行中に前記1段冷却温度を所定の1段上限温度と比較することと、
前記1段冷却温度が前記1段上限温度を上回る場合、前記2段温度制御から1段温度制御に切り替えることと、を備え、
前記1段温度制御は、前記2段冷却温度を直接制御することなく前記1段冷却温度を1段目標温度に制御するものであることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クライオポンプ及びクライオポンプ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クライオポンプは、極低温に冷却されたクライオパネルに気体分子を凝縮または吸着により捕捉して排気する真空ポンプである。クライオポンプは半導体回路製造プロセス等に要求される清浄な真空環境を実現するために一般に利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4912438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
長期の使用によりクライオポンプの排気性能が劣化した場合、クライオポンプの修繕または新たなクライオポンプとの交換などのメンテナンスを行うことが推奨される。しかし、クライオポンプの用途によっては、メンテナンスの可能な時期は制約される。例えば、工場設備でクライオポンプが使用されている場合、製品の製造効率を最大化するように計画されたタイミングでメンテナンスを行うことが求められる。したがって、クライオポンプの排気性能に劣化の兆しが見えるとき、その後ある期間にわたり、あるいは、望ましくは計画されたメンテナンス時期まで、排気性能の劣化を抑制しながらクライオポンプの運転を続けることが望まれる。
【0005】
本発明のある態様の例示的な目的のひとつは、クライオポンプの寿命をある程度延ばすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によると、クライオポンプは、1段クライオパネルと、2段クライオパネルと、前記1段クライオパネルおよび前記2段クライオパネルに熱的に結合され、前記1段クライオパネルを1段冷却温度に冷却し、前記2段クライオパネルを前記1段冷却温度より低い2段冷却温度に冷却する冷凍機と、前記1段冷却温度を1段目標温度に制御する1段温度制御を実行するよう構成された制御装置であって、前記1段温度制御の実行中に前記2段冷却温度の上昇を検知して前記冷凍機の冷凍能力を増加させるよう構成された制御装置と、を備える。
【0007】
本発明のある態様によると、クライオポンプの制御方法であって、前記クライオポンプは、1段クライオパネルと、2段クライオパネルと、前記1段クライオパネルおよび前記2段クライオパネルに熱的に結合され、前記1段クライオパネルを1段冷却温度に冷却し、前記2段クライオパネルを前記1段冷却温度より低い2段冷却温度に冷却する冷凍機と、を備え、本方法は、前記1段冷却温度を1段目標温度に制御する1段温度制御を実行することと、前記1段温度制御の実行中に前記2段冷却温度の上昇を検知して前記冷凍機の冷凍能力を増加させることと、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を装置、方法、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、クライオポンプの寿命をある程度延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ある実施形態に係るクライオポンプを模式的に示す図である。
図2】ある実施形態に係るクライオポンプの制御装置の構成を概略的に示す図である。
図3】典型的なクライオポンプが長期間使用された結果としてとりうる温度プロファイルの一例を示す図である。
図4】ある実施形態に係るクライオポンプの制御方法を示すフローチャートである。
図5】ある実施形態に係るクライオポンプの制御方法を示すフローチャートである。
図6】ある実施形態に係るクライオポンプが長期間使用された結果としてとりうる温度プロファイルの一例を示す図である。
図7】ある実施形態に係るクライオポンプが長期間使用された結果としてとりうる温度プロファイルの他の一例を示す図である。
図8】他の実施形態に係るクライオポンプの制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。説明および図面において同一または同等の構成要素、部材、処理には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。図示される各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。実施の形態は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0012】
典型的なクライオポンプは二段式の極低温冷凍機で冷却される。極低温冷凍機の運転周波数を1段と2段で異ならせることはできないから、1段と2段の冷凍能力は個別に制御することができない。クライオポンプ、とくにハイエンドのクライオポンプにおいては通例、1段の冷却温度を目標温度に維持するように温度制御がなされている。極低温冷凍機の1段または2段に制御可能なヒータが設置される場合は別として、2段の冷却温度は制御されていない。
【0013】
長期の使用により極低温冷凍機の冷凍能力は徐々に劣化していく。劣化の影響は、より低温である2段の冷凍能力に顕著に現れる。そのため、長く使用されたクライオポンプにおいては、1段冷却温度は制御により維持されるが2段冷却温度は新品のクライオポンプほどには低くすることができない、といった運転状況が生じうる。そうした状況が進み、2段冷却温度がある限界まで高まると、クライオポンプの排気能力を保証することができない。この場合、クライオポンプの修繕または新たなクライオポンプとの交換などのメンテナンスを行うことが推奨される。
【0014】
しかし、半導体回路製造設備など工場設備でクライオポンプが使用されている場合、クライオポンプのメンテナンスの可能な時期は制約される。こうした工場では、製品の製造効率を最大化するように計画されたタイミングでメンテナンスを行うことが強く要請されるからである。
【0015】
不測のメンテナンスを避けるために、計画されたメンテナンス時期にクライオポンプを予防的に交換することもしばしば行われている。これは、劣化の兆しなく健全に運転されていたクライオポンプが新品のクライオポンプに交換されるということである。余力を残したクライオポンプの残り寿命を利用せず、無駄にしているので、もったいない。
【0016】
そこで、ある実施形態に係るクライオポンプの制御装置は、1段温度制御の実行中に2段冷却温度の上昇を検知して前記冷凍機の冷凍能力を増加させるよう構成されている。制御装置は、クライオポンプの性能の劣化の兆しとして、1段温度制御の実行中に発生する2段冷却温度の上昇を検知する。そのような兆しが検知された場合に、制御装置は、その検知時点以降の冷凍能力をそれ以前に比べて増強するように極低温冷凍機を制御する。
【0017】
このようにすれば、冷凍能力を増強せずに1段温度制御をそのまま継続した場合に比べて、2段冷却温度の上昇を遅らせることができる。クライオポンプのメンテナンスを要する限界の温度にまでクライオポンプの2段冷却温度が到達する時間を延ばすことができる。こうして、クライオポンプの寿命をある程度延ばすことができる。クライオポンプの運転を、望ましくは計画されたメンテナンス時期まで、排気性能の劣化を抑制しながら続けることが可能となる。
【0018】
図1は、ある実施形態に係るクライオポンプ10を模式的に示す図である。クライオポンプ10は、例えばイオン注入装置やスパッタリング装置等の真空チャンバに取り付けられて、真空チャンバ内部の真空度を所望のプロセスに要求されるレベルまで高めるために使用される。
【0019】
クライオポンプ10は、気体を受け入れるための吸気口12を有する。吸気口12はクライオポンプ10の内部空間14への入口である。クライオポンプ10が取り付けられた真空チャンバから吸気口12を通じて、排気されるべき気体がクライオポンプ10の内部空間14に進入する。
【0020】
なお以下では、クライオポンプ10の構成要素の位置関係をわかりやすく表すために、「軸方向」、「径方向」との用語を使用することがある。軸方向は吸気口12を通る方向を表し、径方向は吸気口12に沿う方向を表す。便宜上、軸方向に関して吸気口12に相対的に近いことを「上」、相対的に遠いことを「下」と呼ぶことがある。つまり、クライオポンプ10の底部から相対的に遠いことを「上」、相対的に近いことを「下」と呼ぶことがある。径方向に関しては、吸気口12の中心に近いことを「内」、吸気口12の周縁に近いことを「外」と呼ぶことがある。なお、こうした表現はクライオポンプ10が真空チャンバに取り付けられたときの配置とは関係しない。例えば、クライオポンプ10は鉛直方向に吸気口12を下向きにして真空チャンバに取り付けられてもよい。
【0021】
クライオポンプ10は、冷却システム15と、1段クライオパネル18と、2段クライオパネル19と、を備える。冷却システム15は、1段クライオパネル18及び2段クライオパネル19を冷却するよう構成されている。冷却システム15は、冷凍機16と、圧縮機36と、を備える。
【0022】
冷凍機16は、例えばギフォード・マクマホン式冷凍機(いわゆるGM冷凍機)などの極低温冷凍機である。冷凍機16は、第1冷却ステージ20、第2冷却ステージ21、第1シリンダ22、第2シリンダ23、第1ディスプレーサ24、及び第2ディスプレーサ25を備える二段式の冷凍機である。よって、冷凍機16の高温段は、第1冷却ステージ20、第1シリンダ22、及び第1ディスプレーサ24を備える。冷凍機16の低温段は、第2冷却ステージ21、第2シリンダ23、及び第2ディスプレーサ25を備える。よって以下では第1冷却ステージ20及び第2冷却ステージ21をそれぞれ高温段の低温端及び低温段の低温端と呼ぶこともできる。
【0023】
第1シリンダ22と第2シリンダ23は直列に接続されている。第1冷却ステージ20は、第1シリンダ22と第2シリンダ23との結合部に設置されている。第2シリンダ23は第1冷却ステージ20と第2冷却ステージ21とを連結する。第2冷却ステージ21は、第2シリンダ23の末端に設置されている。第1シリンダ22及び第2シリンダ23それぞれの内部には第1ディスプレーサ24及び第2ディスプレーサ25が冷凍機16の長手方向(図1において左右方向)に移動可能に配設されている。第1ディスプレーサ24と第2ディスプレーサ25とは一体に移動可能に連結されている。第1ディスプレーサ24及び第2ディスプレーサ25にはそれぞれ第1蓄冷器及び第2蓄冷器(図示せず)が組み込まれている。
【0024】
冷凍機16の室温部には、駆動機構17が設けられている。駆動機構17は、第1ディスプレーサ24及び第2ディスプレーサ25のそれぞれが第1シリンダ22及び第2シリンダ23の内部を往復動可能とするように第1ディスプレーサ24及び第2ディスプレーサ25に接続されている。また駆動機構17は、作動気体の吸入と吐出を周期的に繰り返すよう作動気体の流路を切り替える流路切替機構を含む。流路切替機構は例えばバルブ部とバルブ部を駆動する駆動部とを含む。バルブ部は例えばロータリーバルブを含み、駆動部はロータリーバルブを回転させるためのモータを含む。モータは、例えばACモータまたはDCモータであってもよい。また流路切替機構はリニアモータにより駆動される直動式の機構であってもよい。
【0025】
冷凍機16は高圧導管34及び低圧導管35を介して圧縮機36に接続される。冷凍機16は、圧縮機36から供給される高圧の作動気体(例えばヘリウム)を内部で膨張させて第1冷却ステージ20及び第2冷却ステージ21に寒冷を発生させる。圧縮機36は、冷凍機16で膨張した作動気体を回収し再び加圧して冷凍機16に供給する。
【0026】
具体的には、まず駆動機構17が高圧導管34と冷凍機16の内部空間とを連通させる。圧縮機36から高圧導管34を通じて冷凍機16に高圧の作動気体が供給される。冷凍機16の内部空間が高圧の作動気体で満たされると、駆動機構17は冷凍機16の内部空間を低圧導管35に連通させるよう流路を切り替える。これにより作動気体は膨張する。膨張した作動気体は圧縮機36へと回収される。こうした作動気体の給排に同期して、第1ディスプレーサ24及び第2ディスプレーサ25のそれぞれが第1シリンダ22及び第2シリンダ23の内部を往復動する。このような熱サイクルを繰り返すことで冷凍機16は第1冷却ステージ20及び第2冷却ステージ21に寒冷を発生させる。
【0027】
冷凍機16は、第1冷却ステージ20を1段冷却温度に冷却し、第2冷却ステージ21を2段冷却温度に冷却するよう構成されている。2段冷却温度は1段冷却温度よりも低温である。例えば、第1冷却ステージ20は60K〜130K程度、または65K〜120K程度、または、好ましくは80K〜100Kに冷却され、第2冷却ステージ21は10K〜20K程度に冷却される。
【0028】
冷凍機16は、高温段を通じて低温段に作動気体を流すよう構成されている。すなわち、圧縮機36から流入する作動気体は、第1シリンダ22から第2シリンダ23へと流れる。このとき第1ディスプレーサ24及びその蓄冷器によって作動気体は第1冷却ステージ20の温度に冷却される。こうして冷却された作動気体が低温段に供給される。
【0029】
図示されるクライオポンプ10は、いわゆる横型のクライオポンプである。横型のクライオポンプとは一般に、冷凍機16がクライオポンプ10の軸方向に交差する(通常は直交する)よう配設されているクライオポンプである。
【0030】
2段クライオパネル19は、クライオポンプ10の内部空間14の中心部に設けられている。2段クライオパネル19は例えば、複数のクライオパネル部材26を含む。クライオパネル部材26は例えば、それぞれが円すい台の側面の形状、いわば傘状の形状を有する。各クライオパネル部材26には通常活性炭等の吸着剤(図示せず)が設けられている。吸着剤は例えばクライオパネル部材26の裏面に接着されている。このようにして、2段クライオパネル19は、気体分子を吸着するための吸着領域を備える。
【0031】
クライオパネル部材26はクライオパネル取付部材28に取り付けられている。クライオパネル取付部材28は第2冷却ステージ21に取り付けられている。このようにして、2段クライオパネル19は、第2冷却ステージ21に熱的に接続されている。よって、2段クライオパネル19は2段冷却温度に冷却される。
【0032】
1段クライオパネル18は、放射シールド30と入口クライオパネル32とを備える。1段クライオパネル18は、2段クライオパネル19を包囲するよう2段クライオパネル19の外側に設けられている。1段クライオパネル18は第1冷却ステージ20に熱的に接続されており、1段クライオパネル18は1段冷却温度に冷却される。
【0033】
放射シールド30は主として、クライオポンプ10のハウジング38からの輻射熱から2段クライオパネル19を保護するために設けられている。放射シールド30は、ハウジング38と2段クライオパネル19との間にあり、2段クライオパネル19を囲む。放射シールド30は、吸気口12に向けて軸方向上端が開放されている。放射シールド30は、軸方向下端が閉塞された筒形(例えば円筒)の形状を有し、カップ状に形成されている。放射シールド30の側面には冷凍機16の取付のための孔があり、そこから第2冷却ステージ21が放射シールド30の中に挿入されている。その取付孔の外周部にて放射シールド30の外面に第1冷却ステージ20が固定されている。こうして放射シールド30は第1冷却ステージ20に熱的に接続されている。
【0034】
入口クライオパネル32は、2段クライオパネル19の軸方向上方に設けられ、吸気口12において径方向に沿って配置されている。入口クライオパネル32はその外周部が放射シールド30の開口端に固定されて、放射シールド30に熱的に接続されている。入口クライオパネル32は、例えば、ルーバ構造やシェブロン構造に形成される。入口クライオパネル32は、放射シールド30の中心軸を中心とする同心円状に形成されていてもよいし、あるいは格子状等他の形状に形成されていてもよい。
【0035】
入口クライオパネル32は、吸気口12に入る気体を排気するために設けられている。入口クライオパネル32の温度で凝縮する気体(例えば水分)がその表面に捕捉される。また、入口クライオパネル32は、クライオポンプ10の外部の熱源(例えば、クライオポンプ10が取り付けられる真空チャンバ内の熱源)からの輻射熱から2段クライオパネル19を保護するために設けられている。輻射熱だけではなく気体分子の進入も制限される。入口クライオパネル32は、吸気口12を通じた内部空間14への気体流入を所望量に制限するように吸気口12の開口面積の一部を占有する。
【0036】
クライオポンプ10は、ハウジング38を備える。ハウジング38は、クライオポンプ10の内部と外部とを隔てるための真空容器である。ハウジング38は、クライオポンプ10の内部空間14の圧力を気密に保持するよう構成されている。ハウジング38の中に、1段クライオパネル18と冷凍機16とが収容されている。ハウジング38は、1段クライオパネル18の外側に設けられており、1段クライオパネル18を囲む。また、ハウジング38は冷凍機16を収容する。つまり、ハウジング38は、1段クライオパネル18及び2段クライオパネル19を囲むクライオポンプ容器である。
【0037】
ハウジング38は、1段クライオパネル18及び冷凍機16の低温部に非接触であるように、冷凍機16の室温部(例えば駆動機構17)に固定されている。ハウジング38の外面は外部環境にさらされており、冷却されている1段クライオパネル18よりも温度が高い(例えば室温程度)。
【0038】
また、ハウジング38はその開口端から径方向外側に向けて延びる吸気口フランジ56を備える。吸気口フランジ56は、取付先の真空チャンバにクライオポンプ10を取り付けるためのフランジである。真空チャンバの開口にはゲートバルブが設けられており(図示せず)、吸気口フランジ56はそのゲートバルブに取り付けられる。そのようにして入口クライオパネル32の軸方向上方にゲートバルブが位置する。例えばクライオポンプ10を再生するときにゲートバルブは閉とされ、クライオポンプ10が真空チャンバを排気するときに開とされる。
【0039】
クライオポンプ10は、第1冷却ステージ20の温度を測定するための第1温度センサ90と、第2冷却ステージ21の温度を測定するための第2温度センサ92と、を備える。第1温度センサ90は、第1冷却ステージ20に取り付けられている。第2温度センサ92は、第2冷却ステージ21に取り付けられている。第1温度センサ90の測定温度は1段冷却温度を表し、第2温度センサ92の測定温度は2段冷却温度を表す。なお、第1温度センサ90は1段クライオパネル18に取り付けられていてもよい。第2温度センサ92は2段クライオパネル19に取り付けられていてもよい。
【0040】
また、クライオポンプ10は、クライオポンプ制御装置(以下、制御装置ともいう)100を備える。制御装置100はクライオポンプ10に一体に設けられていてもよいし、クライオポンプ10とは別体の制御装置として構成されていてもよい。
【0041】
制御装置100は、クライオポンプ10の真空排気運転、再生運転、及びクールダウン運転のために冷凍機16を制御するよう構成されている。制御装置100には、第1温度センサ90及び第2温度センサ92を含む各種センサの測定結果を受信するよう構成されている。制御装置100は、そうした測定結果に基づいて、冷凍機16に与える制御指令を演算する。
【0042】
制御装置100は、冷却ステージ温度が目標の冷却温度に追従するように冷凍機16を制御する。第1冷却ステージ20の目標温度は通常、一定値に設定される。第1冷却ステージ20の目標温度は例えば、クライオポンプ10が取り付けられる真空チャンバで行われるプロセスに応じて仕様として定められる。なお、クライオポンプの運転中に、目標温度は必要に応じて変更されてもよい。
【0043】
例えば、制御装置100は、第1冷却ステージ20の目標温度と第1温度センサ90の測定温度との偏差を最小化するようにフィードバック制御により冷凍機16の運転周波数を制御する。すなわち、制御装置100は、駆動機構17のモータ回転数を制御することにより、冷凍機16における熱サイクル(例えばGMサイクル)の周波数を制御する。
【0044】
クライオポンプ10への熱負荷が増加したとき第1冷却ステージ20の温度が高まりうる。第1温度センサ90の測定温度が目標温度よりも高温である場合には、制御装置100は、冷凍機16の運転周波数を増加させる。その結果、冷凍機16における熱サイクルの周波数も増加され、第1冷却ステージ20は目標温度に向けて冷却される。逆に第1温度センサ90の測定温度が目標温度よりも低温である場合には、冷凍機16の運転周波数は減少されて第1冷却ステージ20は目標温度に向けて昇温される。こうして、第1冷却ステージ20の温度を目標温度の近傍の温度範囲に留めることができる。熱負荷に応じて冷凍機16の運転周波数を適切に調整することができるので、こうした制御はクライオポンプ10の消費電力の低減に役立つ。
【0045】
第1冷却ステージ20の温度を目標温度に従って冷凍機16を制御することを、以下では「1段温度制御」と呼ぶことがある。クライオポンプ10が真空排気運転をしているときは通常、1段温度制御が実行される。1段温度制御の結果、第2冷却ステージ21及び2段クライオパネル19は、冷凍機16の仕様及び外部からの熱負荷によって定まる温度に冷却される。同様にして、制御装置100は、第2冷却ステージ21の温度を目標温度に従って冷凍機16を制御する、いわば「2段温度制御」を実行することもできる。
【0046】
図2は、ある実施形態に係るクライオポンプ10の制御装置100の構成を概略的に示す図である。こうした制御装置は、ハードウエア、ソフトウエア、またはそれらの組合せによって実現される。また、図2においては、関連する冷凍機16の一部の構成を概略的に示す。
【0047】
冷凍機16の駆動機構17は、冷凍機16を駆動する冷凍機モータ80と、冷凍機16の運転周波数を制御する冷凍機インバータ82と、を備える。上述のように冷凍機16は作動気体の膨張機であるので、冷凍機モータ80及び冷凍機インバータ82はそれぞれ膨張機モータ及び膨張機インバータと呼ぶこともできる。
【0048】
冷凍機16の運転周波数(運転速度ともいう)とは、冷凍機モータ80の運転周波数または回転数、冷凍機インバータ82の運転周波数、熱サイクルの周波数、または、これらのいずれかを表す。熱サイクルの周波数とは、冷凍機16において行われる熱サイクルの単位時間あたりの回数である。
【0049】
制御装置100は、冷凍機制御部102、記憶部104、入力部106、及び出力部108を備える。
【0050】
冷凍機制御部102は、1段温度制御、2段温度制御、またはその他のクライオパネル温度制御からいずれかを選択して実行するよう構成されている。冷凍機制御部102は、1段温度制御の実行中に2段冷却温度の上昇を検知して冷凍機16の冷凍能力を増加させるよう構成されている。例えば、冷凍機制御部102は、1段温度制御の実行中に2段冷却温度の上昇を検知して1段温度制御から2段温度制御に切り替えるよう構成されている。
【0051】
記憶部104は、クライオポンプ10の制御に関連するデータを格納するよう構成されている。入力部106は、ユーザまたは他の装置からの入力を受け付けるよう構成されている。入力部106は例えば、ユーザからの入力を受け付けるためのマウスやキーボード等の入力手段、及び/または、他の装置との通信をするための通信手段を含む。出力部108は、クライオポンプ10の制御に関連するデータを出力するよう構成され、ディスプレイやプリンタ等の出力手段を含む。
【0052】
記憶部104、入力部106、及び出力部108はそれぞれ冷凍機制御部102と通信可能に接続されている。よって、冷凍機制御部102は、必要に応じてデータを、記憶部104から読み出し及び/または記憶部104に格納することができる。また、冷凍機制御部102は、入力部106からデータの入力を受け、及び/または、出力部108にデータを出力することができる。
【0053】
冷凍機制御部102は、温度制御部110、1段温度監視部112、2段温度監視部114、通知部116を備える。
【0054】
温度制御部110は、1段温度制御および2段温度制御を実行するよう構成され、1段温度制御または2段温度制御のいずれかを選択して実行可能である。温度制御部110は、クライオポンプ10の現況(例えば、1段クライオパネル18及び/または2段クライオパネル19の温度)に基づいて、1段温度制御から2段温度制御へと、または、2段温度制御から1段温度制御へと切り替えるよう構成されている。
【0055】
温度制御部110は、上述のように、クライオパネルの測定温度と目標温度との偏差の関数として(例えばPID制御により)冷凍機モータ80の運転周波数を決定するよう構成されている。温度制御部110は、予め定められた運転周波数範囲内において冷凍機モータ80の運転周波数を決定する。運転周波数範囲は、予め定められた運転周波数の上限及び下限により定義される。温度制御部110は、決定された運転周波数を冷凍機インバータ82に出力する。
【0056】
冷凍機インバータ82は、冷凍機モータ80の可変周波数制御を提供するよう構成されている。冷凍機インバータ82は、入力電力を、温度制御部110から入力された運転周波数を有するよう変換する。冷凍機インバータ82への入力電力は、冷凍機電源(図示せず)から供給される。冷凍機インバータ82は、変換された電力を冷凍機モータ80に出力する。こうして冷凍機モータ80は、温度制御部110によって決定され冷凍機インバータ82から出力された運転周波数で駆動される。
【0057】
このように冷凍機16の冷凍能力がインバータ方式で制御される場合には、1段温度制御において2段冷却温度は直接制御されない。1段温度制御において2段冷却温度は、冷凍機16の2段の冷凍能力と、外部から第2冷却ステージ21への熱負荷とによって定まる。同様に、2段温度制御において1段冷却温度は直接制御されない。2段温度制御において1段冷却温度は、冷凍機16の1段の冷凍能力と、外部から第1冷却ステージ20への熱負荷とによって定まる。
【0058】
冷凍機16の冷凍能力は、ヒータ方式によって、または、インバータ方式とヒータ方式の組み合わせによって、制御されてもよい。温度制御部110は、冷凍機モータ80の運転周波数とともに(または冷凍機モータ80の運転周波数に代えて)、冷凍機16に付設されたヒータを制御してもよい。図1に示されるように、冷凍機16は、第1冷却ステージ20および1段クライオパネル18を加熱するよう第1冷却ステージ20(または1段クライオパネル18)に取り付けられた第1ヒータ94を備えてもよい。また、冷凍機16は、第2冷却ステージ21および2段クライオパネル19を加熱するよう第2冷却ステージ21(または2段クライオパネル19)に取り付けられた第2ヒータ96を備えてもよい。冷凍機16にヒータが設けられる場合には、1段温度制御および2段温度制御において1段冷却温度と2段冷却温度を個別に制御可能である。
【0059】
冷凍機16の冷凍能力がインバータ方式で制御される場合には、第1ヒータ94および第2ヒータ96は冷凍機16に設けられなくてもよい。
【0060】
1段温度監視部112は、1段冷却温度が所定の1段下限温度T1min以上であるか否かを判定するよう構成されている。1段温度監視部112は、2段温度制御の実行中に、1段冷却温度が所定の1段下限温度T1min以上であるか否かを判定してもよい。
【0061】
1段下限温度T1minは、クライオポンプ10の真空排気運転中に1段冷却温度として許容される最低温度にあたる。例えば、クライオポンプ10によって排気すべき主たる気体が水、アルゴン、およびキセノンである場合には、1段クライオパネル18で水を排気し、2段クライオパネル19でアルゴンおよびキセノンを排気することになる。1段クライオパネル18の温度が過剰に低ければ、2段クライオパネル19上に本来凝縮させるべきアルゴンおよびキセノンが1段クライオパネル18にも凝縮されうる。しかし、これはクライオポンプ10の異常挙動を招きうるので防止すべきである。クライオポンプ10によって実現すべき真空度を10−8Paとするとき、各種気体の蒸気圧線図から、1段冷却温度は、60Kから130Kであればよいことがわかる。
【0062】
したがって、1段下限温度T1minは、例えば、約60Kから約65Kの温度範囲から選択されてもよい。1段下限温度T1minは、例えば、60Kに設定することができる。1段下限温度T1minは、例えば、65Kに設定されてもよい。
【0063】
2段温度監視部114は、2段冷却温度が所定の2段上限温度T2max以下であるか否かを判定するよう構成されている。2段温度監視部114は、1段温度制御の実行中に、2段冷却温度が所定の2段上限温度T2max以下であるか否かを判定してもよい。
【0064】
2段冷却温度は例えば、約10Kから約15Kの温度範囲、好ましくは約11Kから約13Kの温度範囲に維持されることが望まれる。そこで、2段上限温度T2maxは例えば、約14Kから約20Kの温度範囲から、または約15Kから約17Kの温度範囲選択されてもよい。2段上限温度T2maxは例えば、15Kに設定されてもよい。2段上限温度は例えば、14Kに設定されてもよい。
【0065】
通知部116は、1段温度制御から2段温度制御への切替を使用者に通知するよう構成されている。通知部116は、温度制御部110において1段温度制御から2段温度制御への切替が行われた場合、第1切替通知信号を生成し、出力部108に出力する。出力部108は、第1切替通知信号を受信すると、1段温度制御から2段温度制御への切替が行われたことをディスプレイに表示させ、またはその他の方法で使用者に知らせる。
【0066】
また、通知部116は、2段温度制御から1段温度制御への切替を使用者に通知するよう構成されている。通知部116は、温度制御部110において2段温度制御から1段温度制御への切替が行われた場合、第2切替通知信号を生成し、出力部108に出力する。出力部108は、第2切替通知信号を受信すると、2段温度制御から1段温度制御への切替が行われたことをディスプレイに表示させ、またはその他の方法で使用者に知らせる。
【0067】
上記の構成のクライオポンプ10の真空排気運転を以下に説明する。クライオポンプ10の作動に際しては、まずその作動前に他の適当な粗引きポンプで真空チャンバ内部を1Pa程度にまで粗引きする。その後、クライオポンプ10を作動させる。冷凍機16の駆動により第1冷却ステージ20及び第2冷却ステージ21がそれぞれ1段冷却温度及び2段冷却温度に冷却される。よって、これらに熱的に結合されている1段クライオパネル18、2段クライオパネル19もそれぞれ1段冷却温度及び2段冷却温度に冷却される。
【0068】
入口クライオパネル32は、真空チャンバからクライオポンプ10に向かって飛来する気体を冷却する。入口クライオパネル32の表面には、1段冷却温度で蒸気圧が充分に低い(例えば10−8Pa以下の)気体が凝縮する。この気体は、第1種気体と称されてもよい。第1種気体は例えば水蒸気である。こうして、入口クライオパネル32は、第1種気体を排気することができる。1段冷却温度で蒸気圧が充分に低くない気体の一部は、吸気口12から内部空間14へと進入する。あるいは、気体の他の一部は、入口クライオパネル32で反射され、内部空間14に進入しない。
【0069】
内部空間14に進入した気体は、2段クライオパネル19によって冷却される。2段クライオパネル19の表面には、2段冷却温度で蒸気圧が充分に低い(例えば10−8Pa以下の)気体が凝縮する。この気体は、第2種気体と称されてもよい。第2種気体は例えばアルゴンである。こうして、2段クライオパネル19は、第2種気体を排気することができる。
【0070】
第2冷却温度で蒸気圧が充分に低くない気体は、2段クライオパネル19の吸着材に吸着される。この気体は、第3種気体と称されてもよい。第3種気体は例えば水素である。こうして、2段クライオパネル19は、第3種気体を排気することができる。したがって、クライオポンプ10は、種々の気体を凝縮または吸着により排気し、真空チャンバの真空度を所望のレベルに到達させることができる。
【0071】
図3は、典型的なクライオポンプが長期間使用された結果としてとりうる温度プロファイルの一例を示す図である。図3の縦軸及び横軸はそれぞれ温度及び時間を表す。図3には、1段冷却温度T1及び2段冷却温度T2の時間変化を概略的に示す。
【0072】
上述のように、長期の使用によりクライオポンプを冷却する極低温冷凍機の冷凍能力は徐々に劣化していく。その結果、図3に示されるように、1段冷却温度T1は制御により維持されるが2段冷却温度T2は徐々に高くなっていく。こうした昇温傾向は、極低温冷凍機の冷凍能力の劣化を反映している。よって、クライオポンプの運転期間が長くなりクライオポンプの劣化が進むにつれて、2段の昇温傾向は顕著となる。2段冷却温度T2が高まるにつれて、クライオポンプの2段の排気能力が不十分となりうる。
【0073】
クライオポンプが設置された半導体回路製造設備がクライオポンプの排気能力不足のままで稼動することを予防するために、典型的なクライオポンプにおいては、2段冷却温度T2が運転停止温度T2fに達すると、運転が停止されメンテナンスが行われる。運転停止温度T2fは例えば17K以上の温度であってもよい。こうした運転停止が発生すれば、製造設備も止めなければならないので、好ましくない。クライオポンプのメンテナンスは、半導体製品の製造計画に与える影響を最小化できるタイミングで行うことが望ましい。そうしたメンテナンス実行可能なタイミングまでクライオポンプの寿命を延ばすことが望ましい。
【0074】
図4および図5は、ある実施形態に係るクライオポンプ10の制御方法を示すフローチャートである。図4および図5には、1段温度制御と2段温度制御との切替処理が例示される。冷凍機制御部102は、クライオポンプ10の真空排気運転中に本処理を周期的に実行する。
【0075】
図4に示されるように、処理が開始されると、温度制御部110は、クライオポンプ10の運転状態を判定する(S10)。温度制御部110は、現在選択されている温度制御が1段温度制御と2段温度制御のどちらであるのかを判定する。制御装置100においては、異なる複数の運転状態それぞれに対応する運転状態フラグが予め定められていてもよい。記憶部104は、これらの運転状態フラグを記憶していてもよい。制御装置100は、現在選択されている温度制御が1段温度制御である場合には、1段温度制御フラグを記憶し、現在選択されている温度制御が2段温度制御である場合には、2段温度制御フラグを記憶するよう構成されていてもよい。温度制御部110は、このような運転状態フラグを参照してクライオポンプ10の運転状態を判定してもよい。
【0076】
1段温度制御が現在選択されている場合には(S10のI)、温度制御部110は、1段温度制御を実行する(S12)。温度制御部110は、1段冷却温度として例えば第1温度センサ90の測定温度を取得する。温度制御部110は、取得された1段冷却温度と予め設定されている1段目標温度に基づいて冷凍機モータ80の運転周波数を制御する。また、冷凍機モータ80の運転周波数とともに(または冷凍機モータ80の運転周波数に代えて)、温度制御部110は、取得された1段冷却温度と予め設定されている1段目標温度に基づいて第1ヒータ94及び/または第2ヒータ96の出力(例えばヒータ電流)を制御してもよい。
【0077】
1段目標温度は例えば、60Kから100Kの温度範囲から、または、65Kから80Kの温度範囲から選択される。1段目標温度は例えば、80Kであってもよい。1段目標温度は例えば、65Kであってもよい。
【0078】
2段温度監視部114は、1段温度制御の実行中に、2段冷却温度T2が所定の2段上限温度T2max以下であるか否かを判定する(S14)。2段温度監視部114は、2段冷却温度として例えば第2温度センサ92の測定温度を取得する。2段温度監視部114は、取得された2段冷却温度T2を予め設定されている2段上限温度T2maxと比較する。このようにして、1段温度制御の実行中に2段冷却温度T2の上昇が検知される。2段冷却温度T2が2段上限温度T2max以下である場合には(S14のY)、本処理は終了される。1段温度制御から2段温度制御への切替は行われない。
【0079】
このようにして、1段温度制御の実行中に、2段冷却温度T2が2段上限温度T2max以下である場合には、温度制御部110は、1段温度制御を継続する。クライオポンプ10の排気能力が正常な水準にある場合には、2段冷却温度T2は2段上限温度T2maxより低いはずである。したがって、クライオポンプ10が正常に運転しているときは、1段温度制御が行われる。
【0080】
一方、2段冷却温度T2が2段上限温度T2maxを超える場合には(S14のN)、温度制御部110は、1段温度制御から2段温度制御に切り替える(S20)。2段温度制御で使用される2段目標温度は、2段上限温度T2maxに設定される。2段温度制御フラグが設定され、記憶部104に記憶される。また、1段温度制御において設定されていた1段目標温度の値が記憶部104に記憶される。通知部116は、温度制御部110において1段温度制御から2段温度制御への切替が行われたことを使用者に通知する(S22)。こうして、1段温度制御は終了し、2段温度制御が開始される。
【0081】
図5には、図4のS10に続く処理が示されている。2段温度制御が現在選択されている場合には(図4のS10のII)、温度制御部110は、2段温度制御を実行する(S24)。温度制御部110は、2段冷却温度T2として例えば第2温度センサ92の測定温度を取得する。温度制御部110は、取得された2段冷却温度T2と予め設定されている2段目標温度(すなわち、2段上限温度T2max)に基づいて冷凍機モータ80の運転周波数を制御する。また、冷凍機モータ80の運転周波数とともに(または冷凍機モータ80の運転周波数に代えて)、温度制御部110は、取得された2段冷却温度T2と予め設定されている2段目標温度に基づいて第1ヒータ94及び/または第2ヒータ96の出力(例えばヒータ電流)を制御してもよい。
【0082】
1段温度監視部112は、2段温度制御の実行中に、1段冷却温度T1が所定の1段下限温度T1min以上、所定の1段上限温度T1max以下の温度範囲にあるか否かを判定する(S26)。1段温度監視部112は、1段冷却温度として例えば第1温度センサ90の測定温度を取得する。1段温度監視部112は、取得された1段冷却温度T1を予め設定されている1段下限温度T1minと比較する。このようにして、2段温度制御の実行中に1段冷却温度T1の過剰な低下が検知される。また、1段温度監視部112は、取得された1段冷却温度T1を予め設定されている1段上限温度T1maxと比較する。このようにして、2段温度制御の実行中に一時的に生じうる1段冷却温度T1の過剰な上昇が検知される。1段上限温度T1maxは例えば、直近の1段温度制御において設定されていた1段目標温度の値と等しくてもよい。
【0083】
1段冷却温度T1が1段下限温度T1min以上1段上限温度T1max以下である場合には(S26のT1max≧T1≧T1min)、本処理は終了される。2段温度制御から1段温度制御への切替は行われない。
【0084】
このようにして、2段温度制御の実行中に、1段冷却温度T1が1段下限温度T1min以上1段上限温度T1max以下の温度範囲にある場合には、温度制御部110は、2段温度制御を継続する。2段目標温度が2段上限温度T2maxに設定されているから、2段冷却温度T2を2段上限温度T2maxに維持することができる。これは、2段温度制御のもとで、図3を参照して述べた2段の昇温傾向に対抗するように冷凍機16の2段の冷凍能力が増加されたことを意味する。
【0085】
一方、1段冷却温度T1が1段下限温度T1minを下回る場合には(S26のT1<T1min)、温度制御部110は、2段温度制御から1段温度制御に切り替える(S28)。こうして、クライオポンプ10は、2段温度制御から1段温度制御に復帰する。復帰後の1段温度制御で使用される1段目標温度は、1段下限温度T1minに設定される(S30)。1段温度制御フラグが設定され、記憶部104に記憶される。通知部116は、温度制御部110において2段温度制御から1段温度制御への切替が行われたことを使用者に通知する(S32)。2段温度制御は終了し、1段温度制御が開始される。
【0086】
復帰後の1段温度制御で使用される1段目標温度は、当初の1段温度制御で使用される1段目標温度より低いので、冷凍機16の1段の冷凍能力が増加されたことになる。なお、復帰後の1段温度制御で使用される1段目標温度は、1段下限温度T1minと異なってもよい。復帰後の1段温度制御で使用される1段目標温度は、当初の1段温度制御で使用される1段目標温度より低く、1段下限温度T1minより高くてもよい。
【0087】
1段冷却温度T1が1段上限温度T1maxを上回る場合には(S26のT1>T1max)、温度制御部110は、2段温度制御から1段温度制御に切り替える(S34)。こうして、クライオポンプ10は、2段温度制御から1段温度制御に復帰する。復帰後の1段温度制御で使用される1段目標温度は、もとの1段目標温度、すなわち、直近の1段温度制御において設定されていた1段目標温度の値に設定される(S36)。1段温度制御フラグが設定され、記憶部104に記憶される。通知部116は、温度制御部110において2段温度制御から1段温度制御への切替が行われたことを使用者に通知する(S38)。2段温度制御は終了し、1段温度制御が開始される。
【0088】
なお、通知部116による通知または警報のタイミングが1段温度制御と2段温度制御の切替と同時であることは、必須ではない。種々のタイミングがありうる。例えば、通知タイミングは、2段温度制御の開始後に生じる1段冷却温度の低下量が閾値(例えば約10K)を超えるとき、2段温度制御の実行中に冷凍機16の運転周波数が所定値を超えるとき、または、2段温度制御の実行中に第1ヒータ94の出力が所定値を下回るとき、であってもよい。通知部116は、1段温度制御と2段温度制御の切替時点で第1警報を通知し、その後に第2警報を通知するというように、複数段階の警報を生成してもよい。第2警報は、2段温度制御の開始後に生じる1段冷却温度の低下量が閾値(例えば約10K)を超えるとき、2段温度制御の実行中に冷凍機16の運転周波数が所定値を超えるとき、または、2段温度制御の実行中に第1ヒータ94の出力が所定値を下回るときに通知されてもよい。
【0089】
必要に応じて、通知部116による通知または警報のタイミングは、2段温度制御から1段温度制御に切り替える前であってもよい。例えば、通知部116は、2段温度制御の実行中において1段冷却温度T1が、1段下限温度T1minより若干高い閾値温度を下回る場合に、通知または警報を出してもよい。閾値温度は例えば、1段下限温度T1minに比べて1Kから5K高い温度であってもよい。このようにして、2段温度制御から1段温度制御への復帰前に事前に通知または警報が出されてもよい。
【0090】
図6は、ある実施形態に係るクライオポンプ10が長期間使用された結果としてとりうる温度プロファイルの一例を示す図である。クライオポンプ10においては、図5に示される制御処理が実行されている。ここで、冷凍機16の冷凍能力はインバータ方式で制御されている。図3と同様に、図6の縦軸及び横軸はそれぞれ温度及び時間を表す。図6においては比較のために、図3に示す温度プロファイルを破線で示す。
【0091】
図6に示される場合においても、図3に示される場合と同様に、長期の使用によりクライオポンプ10を冷却する冷凍機16の冷凍能力は徐々に劣化していく。1段温度制御が実行されている間、1段冷却温度T1は当初の1段目標温度T1aに維持されるが2段冷却温度T2は徐々に高くなっていく(時点t1からt2)。
【0092】
ところが、図6においては図3と異なり、2段冷却温度T2が2段上限温度T2maxまで昇温すると(時点t2)、クライオポンプ10の温度制御は、1段温度制御から2段温度制御に切り替えられる。2段温度制御が実行されている間、2段冷却温度T2は2段上限温度T2maxに維持されるが1段冷却温度T1は徐々に下がっていく(時点t2からt3)。これは、1段温度制御から2段温度制御に切り替えて2段温度制御を実行することにより、図6に破線で示されるような昇温傾向を抑えるように冷凍機16の2段の冷凍能力が増加されるためである。冷凍機16の2段の冷凍能力が増加されれば1段の冷凍能力も増加されるから、1段冷却温度T1は低下する。
【0093】
その後、1段冷却温度T1が1段下限温度T1minにまで降温すると(時点t3)、クライオポンプ10の温度制御は、2段温度制御から1段温度制御に再び切り替えられる。ここで、1段温度制御で使用される1段目標温度は1段下限温度T1minであるから、1段冷却温度T1が1段下限温度T1minに維持される。2段冷却温度T2は再び徐々に高くなっていく(時点t3からt5)。2段冷却温度T2が運転停止温度T2fに達すると、クライオポンプ10の運転が停止される(時点t5)。
【0094】
図6から理解されるように、クライオポンプ10の運転停止時点t5は、破線で示される典型的なクライオポンプの運転停止時点t4よりも遅れている。すなわち、ある実施形態に係るクライオポンプ10の寿命が、典型的なクライオポンプに比べてΔt(=t5−t4)だけ延びている。
【0095】
本実施形態によると、クライオポンプ10は、1段温度制御の実行中に2段冷却温度T2の上昇を検知して冷凍機16の冷凍能力を増加させることができる。具体的には、1段温度制御の実行中に2段冷却温度T2が2段上限温度T2maxを超える場合に、1段温度制御が終了され2段温度制御が開始されている。
【0096】
それにより、冷凍能力を増強せずに1段温度制御をそのまま継続した場合に比べて、2段冷却温度の上昇を遅らせることができる。クライオポンプ10の運転停止温度T2fにまでクライオポンプ10の2段冷却温度T2が到達する時間を延ばすことができる。こうして、クライオポンプ10の寿命をある程度延ばすことができる。クライオポンプ10の運転を、望ましくは計画されたメンテナンス時期まで、排気性能の劣化を抑制しながら続けることが可能となる。
【0097】
図7は、ある実施形態に係るクライオポンプ10が長期間使用された結果としてとりうる温度プロファイルの他の一例を示す図である。クライオポンプ10においては、図5に示される制御処理が実行されている。ここで、冷凍機16の冷凍能力はヒータ方式で制御されている。本発明は、冷凍機16の冷凍能力がインバータ方式で制御される場合だけでなく、冷凍機16の冷凍能力がヒータ方式で制御される場合にも、適用可能である。
【0098】
図7に示される場合においても、図3に示される場合と同様に、長期の使用によりクライオポンプ10を冷却する冷凍機16の冷凍能力は徐々に劣化していく。1段温度制御が実行されている間、1段冷却温度T1は当初の1段目標温度T1aに維持される(時点t1からt3)。冷凍機16の2段の冷凍能力に余裕があるクライオポンプ10の正常な運転状態においては、第2ヒータ96を動作させることによって、2段冷却温度T2を1段冷却温度T1とは独立に制御することができる。こうして、1段温度制御の実行中に、1段冷却温度T1だけでなく、2段冷却温度T2も2段目標温度T2aに維持することができる。
【0099】
2段冷却温度T2を2段目標温度T2aに維持するために、温度制御部110は、冷凍機16の2段の冷凍能力が劣化するにつれて、第2ヒータ96の出力を低下させ、最終的には第2ヒータ96をオフにする(時点t2)。その後は、1段温度制御が実行されている間、1段冷却温度T1は当初の1段目標温度T1aに維持されるが2段冷却温度T2は徐々に高くなっていく(時点t2からt3)。
【0100】
2段冷却温度T2が2段上限温度T2maxまで昇温すると(時点t3)、クライオポンプ10の温度制御は、1段温度制御から2段温度制御に切り替えられる。2段温度制御においては、温度制御部110は、第1ヒータ94を制御することによって、2段冷却温度T2を制御する。第1ヒータ94の出力を低下させれば、1段冷却温度T1は低下し、1段から2段への熱流入が減少する。そのため、冷凍機16の2段の冷凍能力が増加し、2段冷却温度T2が下がる。逆に第1ヒータ94の出力を増加させれば、冷凍機16の2段の冷凍能力が低下し2段冷却温度T2が上がる。
【0101】
2段温度制御が実行されている間、2段冷却温度T2は2段上限温度T2maxに維持されるが1段冷却温度T1は徐々に下がっていく(時点t3からt4)。1段温度制御から2段温度制御に切り替えて2段温度制御を実行することにより、クライオポンプ10の経時的な劣化に伴う上述の昇温傾向を抑えるように冷凍機16の冷凍能力が増加されるためである。
【0102】
その後、1段冷却温度T1が1段下限温度T1minにまで降温すると(時点t4)、クライオポンプ10の温度制御は、2段温度制御から1段温度制御に再び切り替えられる。ここで、1段温度制御で使用される1段目標温度は1段下限温度T1minであるから、1段冷却温度T1が1段下限温度T1minに維持される。2段冷却温度T2は再び徐々に高くなっていく(時点t4からt5)。2段冷却温度T2が運転停止温度T2fに達すると、クライオポンプ10の運転が停止される(時点t5)。
【0103】
このように、本発明は、冷凍機16の冷凍能力がインバータ方式で制御される場合だけでなく、冷凍機16の冷凍能力がヒータ方式で制御される場合にも、適用可能である。
【0104】
図8は、他の実施形態に係るクライオポンプ10の制御方法を示すフローチャートである。制御装置100は、1段温度制御の実行中に2段冷却温度の上昇を検知して1段目標温度を低下させるよう構成されている。上述の実施形態とは異なり、1段温度制御から2段温度制御に切り替えるのではなく、2段冷却温度の上昇を検知しても1段温度制御が継続される。1段目標温度を低下させることによって、冷凍機16の冷凍能力が増加される。
【0105】
図8に示されるように、温度制御部110は、1段温度制御を実行する(S40)。2段温度監視部114は、1段温度制御の実行中に、2段冷却温度T2が所定の2段上限温度T2max以下であるか否かを判定する(S42)。2段冷却温度T2が2段上限温度T2max以下である場合には(S42のY)、本処理は終了される。1段目標温度は変更されない。
【0106】
2段冷却温度T2が2段上限温度T2maxを超える場合には(S42のN)、温度制御部110は、1段目標温度を低下させる(S44)。例えば、温度制御部110は、1段目標温度を1段下限温度T1minに変更する。あるいは、温度制御部110は、1段目標温度を、現在の1段目標温度と1段下限温度T1minとの間の温度値に変更してもよい。こうして、以降の1段温度制御では、変更後の1段目標温度が使用される。なお、1段目標温度が既に1段下限温度T1minにまで低下されている場合には、温度制御部110は、1段目標温度を変更しない。
【0107】
通知部116は、温度制御部110において1段目標温度が低下したことを使用者に通知する(S46)。こうして、本処理は終了される。以降、本処理は、クライオポンプ10の真空排気運転中に周期的に実行される。
【0108】
このようにしても、クライオポンプ10は、1段温度制御の実行中に2段冷却温度T2の上昇を検知して冷凍機16の冷凍能力を増加させることができる。それにより、クライオポンプ10の寿命をある程度延ばすことができる。クライオポンプ10の運転を、望ましくは計画されたメンテナンス時期まで、排気性能の劣化を抑制しながら続けることが可能となる。
【0109】
図8に示される制御処理は、図4および図5に示される制御処理と組み合わせることも可能である。2段温度監視部114は、1段温度制御の実行中に、2段冷却温度T2が所定の温度閾値以下であるか否かを判定してもよい。温度閾値は、2段上限温度T2maxより低くてもよい。温度制御部110は、2段冷却温度T2が温度閾値以下である場合には1段目標温度を維持し、2段冷却温度T2が温度閾値を超える場合には1段目標温度を低下させてもよい。このようにすれば、例えば、図7に示される時点t2からt3において、1段目標温度を低下させ、2段冷却温度の上昇を抑制することができる。
【0110】
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0111】
10 クライオポンプ、 16 冷凍機、 18 1段クライオパネル、 19 2段クライオパネル、 100 制御装置、 110 温度制御部、 112 1段温度監視部、 114 2段温度監視部、 116 通知部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8