特許第6952183号(P6952183)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6952183
(24)【登録日】2021年9月29日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】エンジン用制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02P 5/15 20060101AFI20211011BHJP
   F02P 5/145 20060101ALI20211011BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20211011BHJP
【FI】
   F02P5/15
   F02P5/145 N
   F02D45/00 395
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-501949(P2020-501949)
(86)(22)【出願日】2018年2月23日
(86)【国際出願番号】JP2018006694
(87)【国際公開番号】WO2019163088
(87)【国際公開日】20190829
【審査請求日】2020年10月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001340
【氏名又は名称】マーレエレクトリックドライブズジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099612
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100064469
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100073450
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 英俊
(72)【発明者】
【氏名】関田 智昭
【審査官】 家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−180281(JP,A)
【文献】 特開2018−025132(JP,A)
【文献】 特開平11−132077(JP,A)
【文献】 特開2018−028298(JP,A)
【文献】 特開2012−007575(JP,A)
【文献】 特開2013−177830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02P 3/00
H02J 7/16
F02D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の動作保証範囲内の電圧値を有する電源電圧が電源端子に印加されているときに動作が保証されるマイクロコンピュータを用いてエンジンを制御するエンジン用制御装置であって、
前記エンジンを点火する点火装置は、点火コイルの一次側に設けられた点火用コンデンサと、前記エンジンにより駆動されて交流電圧を出力する発電機を電源として前記点火用コンデンサを一方の極性に充電するコンデンサ充電回路と、オン状態にされたときに前記点火用コンデンサに蓄積された電荷を前記点火コイルの一次コイルを通して放電させるように設けられた放電用スイッチとを備えて、前記エンジンの点火時期に前記放電用スイッチをオン状態にすることにより前記点火コイルの二次コイルに点火用の高電圧を誘起させて点火動作を行うコンデンサ放電式の点火装置からなり、
前記発電機の出力電圧を前記動作保証範囲に収まる電圧値を有する電源電圧に変換して前記マイクロコンピュータの電源端子につながる電源ラインに印加する制御用電源部と、前記点火用コンデンサの両端の電圧を前記動作保証範囲に収まる電圧値を有する電圧まで降圧して前記電源ラインに印加する降圧動作を行う降圧回路とが設けられ、
前記エンジンが運転状態から停止状態に移行する過程で前記制御用電源部から前記電源ラインに印加される電圧が前記動作保証範囲の下限値を下回った後も、前記降圧回路から前記電源ラインに印加される電圧が前記動作保証範囲内にある間前記マイクロコンピュータが動作状態に保持されるように構成されているエンジン用制御装置。
【請求項2】
前記マイクロコンピュータは、前記エンジンが停止するか否かを判定するエンジン停止判定手段と、前記エンジンの運転時に前記降圧動作が行われるのを禁止して前記点火動作が行われるのを許可し、前記エンジン停止判定手段により前記エンジンが停止すると判定された後は前記点火動作が行われるのを禁止して前記降圧動作が行われるのを許可するように前記点火動作及び降圧動作を管理する点火動作・降圧動作管理手段とを構成するようにプログラムされている請求項1に記載のエンジン用制御装置。
【請求項3】
前記エンジンのクランク軸が設定された角度回転する毎にパルスを発生するパルス発生器が設けられ、
前記エンジン停止判定手段は、前記パルス発生器がパルスを発生する間隔が設定された間隔を超えたときに前記エンジンが停止するとの判定を行うように構成されている請求項2に記載のエンジン用制御装置。
【請求項4】
エンジンを停止する際に操作されて前記マイクロコンピュータにエンジン停止指令を与えるスイッチが設けられ、
前記エンジン停止判定手段は、前記エンジン停止指令が与えられたときにも前記エンジンが停止するとの判定を行うように構成されている請求項3に記載のエンジン用制御装置。
【請求項5】
前記発電機の出力電圧を入力として設定値以下に保たれた直流電圧を出力する整流電源部が設けられ、
前記コンデンサ充電回路は、前記整流電源部が出力する直流電圧を昇圧する昇圧回路の出力電圧で前記点火用コンデンサを充電するように構成され、
前記マイクロコンピュータは、前記エンジンの点火時期よりも前のタイミングで前記昇圧回路の動作を開始させ、前記点火用コンデンサの充電が完了するタイミングよりも遅れ、前記エンジンの点火時期よりも進んだタイミングで前記昇圧回路の動作を停止させるべく、前記昇圧回路を制御する昇圧回路制御手段を構成するようにプログラムされている請求項1,2,3又は4に記載のエンジン用制御装置。
【請求項6】
前記マイクロコンピュータは、前記エンジンが運転状態から停止状態に移行する過程で前記エンジンに関わる情報及び/又は前記エンジンの負荷に関わる情報を不揮発性メモリに記憶させるエンジン停止時処理を行うようにプログラムされている請求項1ないし5のいずれか一つに記載のエンジン用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロコンピュータを用いてエンジン(内燃機関)を制御するエンジン用制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンの点火装置や燃料噴射装置等を制御するエンジン用制御装置として、制御に必要な各種の手段をマイクロコンピュータを用いて構成するようにしたものが広く用いられている。この種の制御装置においては、エンジンの停止時に取得したエンジンに関する情報をメモリに記憶させておいて、この情報をエンジンの再始動時のエンジン制御や、エンジンの異常の有無の監視などに用いることが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1ないし3には、エンジンの停止時に検出したエンジンの冷却水温度や吸気温度等の温度情報をメモリに記憶させておくようにしたエンジン用制御装置が開示されている。このように、エンジン停止時のエンジンの温度情報をメモリに記憶させておくと、例えば、記憶させておいたエンジンの温度情報と、再始動時に検出されるエンジンの温度情報との差に基づいて、エンジンの停止時から再始動時までの経過時間を推定して、エンジンの吸気通路内に残存している燃料の量を推定することができるため、エンジンの再始動時の燃料噴射量を適正な範囲に設定してエンジンの始動性を向上させることができる。
【0004】
またエンジンのメンテナンスや、エンジンにより駆動される負荷のメンテナンスなどの管理を行う際に有用なデータを収集する等の目的で、エンジンの停止時に、エンジンの運転時間や負荷の駆動時間など、エンジンに関わる情報及び/又はエンジンの負荷に関わる情報を不揮発性メモリに記憶させることも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−229284号公報
【特許文献2】特開2003−254121号公報
【特許文献3】特開2013−204466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エンジン停止時にエンジンに関わる情報及び/又はエンジンの負荷に関わる情報をメモリに記憶させる等の処理(以下エンジン停止時処理という。)を確実に行わせるためには、エンジンの停止時に、当該処理を完了するのに要する時間の間、マイクロコンピュータを動作状態に保持しておくことが必要である。エンジンが搭載された装置(例えば車両)にバッテリが設けられている場合には、エンジンの停止時にもバッテリの電圧でマイクロコンピュータを動作状態に保持することができるため、何等問題なくマイクロコンピュータにエンジン停止時処理を行わせることができる。
【0007】
しかしながら、バッテリが設けられていない装置に搭載されたエンジンを制御するバッテリレスのエンジン用制御装置では、エンジンにより駆動される発電機を電源として一定の直流電圧を発生する制御用電源部からマイクロコンピュータに電源電圧を与えざるを得ないため、エンジンの停止時に発電機の出力電圧が喪失すると、マイクロコンピュータを動作状態に保持することができなくなり、エンジン停止時処理を確実に行わせることができない。
【0008】
このような問題を解決するために、例えば、エンジン用制御装置の電源部に、エンジンの運転中に発電機の整流出力で充電される大容量のキャパシタ等の電圧蓄積手段を付加して、エンジンが停止した後もこの電圧蓄積手段に蓄積されたエネルギを利用してマイクロコンピュータの電源電圧を確保することが考えられる。
【0009】
しかしながら、エンジン用制御装置の電源部にキャパシタ等の余分な電圧蓄積手段を付加すると、部品点数が増加して、制御装置の大形化を招いたり、コストの上昇を招いたりするため好ましくない。
【0010】
本発明の目的は、バッテリレスの構成をとる場合に、キャパシタ等の余分な電圧蓄積手段を追加することなく、エンジンの停止時にもマイクロコンピュータを動作状態に保持することができるようにしたエンジン用制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、一定の動作保証範囲内の電圧値を有する電源電圧が電源端子に印加されているときに動作が保証されるマイクロコンピュータを用いてエンジンを制御するエンジン用制御装置を対象とする。本願明細書には、上記の目的を達成するために少なくとも以下に示す第1ないし第6の発明が開示される。
【0012】
<第1の発明>
本発明においては、エンジンを点火する点火装置として、点火コイルの一次側に設けられた点火用コンデンサと、エンジンにより駆動されて交流電圧を出力する発電機を電源として点火用コンデンサを一方の極性に充電するコンデンサ充電回路と、オン状態にされたときに点火用コンデンサに蓄積された電荷を点火コイルの一次コイルを通して放電させるように設けられた放電用スイッチとを備えて、エンジンの点火時期に放電用スイッチをオン状態にすることにより点火コイルの二次コイルに点火用の高電圧を誘起させるコンデンサ放電式の点火装置を用いる。
【0013】
本発明においてはまた、発電機の出力電圧を動作保証範囲に収まる電圧値を有する電源電圧に変換してマイクロコンピュータの電源端子につながる電源ラインに印加する制御用電源部と、点火用コンデンサの両端の電圧を動作保証範囲に収まる電圧値を有する電圧まで降圧して電源ラインに印加する降圧回路とが設けられ、エンジンが運転状態から停止状態に移行する過程で制御用電源部から電源ラインに印加される電圧が動作保証範囲の下限値を下回った後も、降圧回路から電源ラインに印加される電圧が動作保証範囲内にある間マイクロコンピュータが動作状態に保持されるように構成される。
【0014】
上記のように構成すると、エンジンが搭載された装置にバッテリが設けられていない場合でも、エンジンの停止時に点火用コンデンサから降圧回路を通してマイクロコンピュータに動作保証範囲に収まる電源電圧を与えることができるため、マイクロコンピュータにエンジン停止時処理を確実に行わせることができる。一般に点火用コンデンサは高電圧で充電されており、高い静電エネルギーを有することから、エンジンの停止時に点火用コンデンサから降圧回路を通してマイクロコンピュータに電源電圧を与えることにより、エンジン停止時処理を行うのに必要な時間の間マイクロコンピュータを動作状態に保持することができる。
【0015】
また上記のように構成すると、エンジンを動作させるために必須の部品である点火装置に備わっている点火用コンデンサを利用してエンジンの停止時にマイクロコンピュータに電源電圧を供給することができるため、エンジン停止時にマイクロコンピュータを動作状態に保持するために、キャパシタのような余分の部品を追加する必要がない。従って本発明によれば、制御装置の大形化を招いたり、コストの上昇を招いたりすることがないという利点が得られる。
【0016】
<第2の発明>
第2の発明においては、エンジンが停止するか否かを判定するエンジン停止判定手段と、エンジンの運転時に降圧動作が行われるのを禁止して点火動作が行われるのを許可し、エンジン停止判定手段によりエンジンが停止すると判定された後は点火動作が行われるのを禁止して、降圧動作が行われるのを許可するように点火動作及び降圧動作を管理する点火動作・降圧動作管理手段とを構成するようにマイクロコンピュータがプログラムされる。
【0017】
<第3の発明>
第3の発明は、第2の発明に適用されるもので、本発明においては、エンジンのクランク軸が設定された角度回転する毎にパルスを発生するパルス発生器が設けられる。この場合、エンジン停止判定手段は、パルス発生器がパルスを発生する間隔が設定された間隔を超えたときにエンジンが停止するとの判定を行うように構成することができる。
【0018】
<第4の発明>
第4の発明は、第3の発明に適用されるもので、本発明においては、エンジンを停止する際に操作されてマイクロコンピュータにエンジン停止指令を与えるスイッチが設けられ、このスイッチが操作されてマイクロコンピュータにエンジン停止指令が与えられたときにもエンジンが停止するとの判定を行うように、エンジン停止判定手段が構成される。
【0019】
<第5の発明>
第5の発明は、第1ないし第4の発明の何れかに適用されるものである。本発明においては、発電機の出力電圧を入力として設定値以下に保たれた直流電圧を出力する整流電源部が設けられ、コンデンサ充電回路は、この整流電源部が出力する直流電圧を昇圧する昇圧回路の出力電圧で点火用コンデンサを充電するように構成される。この場合マイクロコンピュータは、エンジンの点火時期よりも前のタイミングで前記昇圧回路の動作を開始させ、前記点火用コンデンサの充電が完了するタイミングよりも遅れ、前記エンジンの点火時期よりも進んだタイミングで前記昇圧回路の動作を停止させるべく昇圧回路を制御する昇圧回路制御手段を構成するようにプログラムされる。
【0020】
<第6の発明>
第6の発明は、第1ないし第5の発明の何れかに適用されるもので、本発明においては、エンジンが運転状態から停止状態に移行する過程でエンジンに関わる情報及び/又はエンジンの負荷に関わる情報を不揮発性メモリに記憶させるエンジン停止時処理を行うようにマイクロコンピュータがプログラムされる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、エンジンが搭載された装置にバッテリが設けられていない場合でも、エンジンの停止時に点火用コンデンサから降圧回路を通してマイクロコンピュータに動作保証範囲に収まる電源電圧を与えることができるため、マイクロコンピュータにエンジン停止時処理を確実に行わせることができる。
【0022】
また本発明によれば、エンジンを動作させるために必須の部品である点火装置に設けられている点火用コンデンサを利用してエンジンの停止時にマイクロコンピュータに電源電圧を供給することができるため、エンジン停止時にマイクロコンピュータを動作状態に保持するために、キャパシタのような余分の部品を追加する必要がなく、制御装置の大形化を招いたり、コストの上昇を招いたりすることがないという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の一実施形態の構成を示した回路図である。
図2図2は、特定の機能を果たす部分をブロックで表して図1の実施形態の全体的な構成を示したブロック図である。
図3図3は、図2に示されたエンジン停止判定手段や点火動作・降圧動作管理手段を構成するためにマイクロコンピュータに実行させるプログラムのアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示したもので、同図において、1はエンジン(図示せず。)により駆動される発電機(ACG)、2はエンジンのクランク軸が設定された角度回転する毎にパルスを発生するパルス発生器、3は点火コイル、4はエンジンの点火装置や燃料噴射装置などを制御するエンジン用制御装置の主要部を構成するECU(電子制御ユニット)である。説明を簡単にするため、本実施形態ではエンジンが単気筒エンジンであるとする。
【0025】
発電機1は、例えば、エンジンのクランク軸に取り付けられたフライホイール磁石回転子と、この回転子の磁極に対向する磁極部を有する電機子鉄心に発電コイルを巻回してなる固定子とを備えた磁石式交流発電機や、励磁式の交流発電機(オルタネータ)などからなっていて、エンジンの回転に同期して交流電圧を出力する。
【0026】
パルス発生器2は、エンジンのクランク軸が設定された角度回転する毎にパルスを発生するものであれば如何なるものでもよいが、本実施形態では、発電機1の回転子ヨークを構成しているフライホイールの外周に設けられた突起からなるリラクタ1aと、リラクタ1aを検出してパルス信号を発生する信号発電子とによりパルス発生器2が構成されている。パルス発生器2を構成する信号発電子は、リラクタ1aに対向する磁極部を有する信号発生用鉄心と、この鉄心に巻回された信号コイルと、この鉄心に磁気結合された永久磁石とを備えていて、エンジンのケース等に固定されている。
【0027】
パルス発生器2を構成する信号発電子は、発電機1の回転子が回転する過程で、リラクタ1aが信号発生用鉄心の磁極部との対向を開始する際及び終了する際にそれぞれ鉄心内で生じる磁束の変化により、信号コイルに極性が異なるパルス信号を誘起させる。本実施形態では、発電機1の回転子の外周にリラクタ1aが1つだけ設けられていて、エンジンのクランク軸が1回転する間に、パルス発生器2が正負のパルスを1回だけ発生するようになっている。本実施形態では、パルス発生器2が発生する正負のパルスのうち、信号発電子がリラクタとの対向を開始する際に発生するパルスを第1のパルスとし、信号発電子がリラクタとの対向を終了する際に発生するパルスを第2のパルスとする。またエンジンのクランク軸の回転角度位置が、エンジンの点火位置(点火が行われるクランク角位置)の最大進角位置よりも更に進んだクランク角位置に設定された基準クランク角位置に一致した時に第1のパルスが発生し、エンジンのピストンが上死点に達する時のクラン角位置よりも僅かに遅れたクランク角位置で第2のパルスが発生するようにパルス発生器2が設けられている。
【0028】
点火コイル3は、一次コイル3Aと二次コイル3Bとを有していて、両コイルの一端が接地され、二次コイル3Bに誘起させられた高電圧Vh が図示しないエンジンの気筒に取り付けられた点火プラグPLに印加される。
【0029】
ECU4には、点火コイル3とともにエンジン用点火装置を構成する点火回路の構成部品及びエンジンの点火時期や燃料噴射時期などを制御するために用いるマイクロコンピュータなどの構成部品の他、点火装置及びマイクロコンピュータに必要な電源電圧を与える電源部の構成部品などが設けられている。
【0030】
図1に示されたECU4の構成部品のうち、5は点火コイル3の一次側に設けられて発電機1を電源として一方の極性に充電される点火用コンデンサ、6は、オン状態にされた際に点火用コンデンサ5に蓄積された電荷を点火コイルの一次コイル3Aを通して放電させる放電用スイッチを構成するサイリスタである。点火用コンデンサ5の一端は、点火コイル3の一次コイル3Aの非接地側の端部にアノードが接続されたダイオード7のカソードに接続され、点火用コンデンサ5の一端とダイオード7との接続点と接地間に、点火用コンデンサ5の充電時に充電電流を流すダイオード8が、そのカソードを接地側に向けて接続されている。
【0031】
放電用スイッチを構成するサイリスタ6は、点火用コンデンサ5の他端と接地間に、そのカソードを接地側に向けて接続されている。9は、発電機1から整流電源部10を通して供給される直流電圧VBを昇圧する昇圧回路で、そのプラス側出力端子が点火用コンデンサ5の他端に接続されている。昇圧回路9のマイナス側出力端子は接地され、整流電源部10と、昇圧回路9と、ダイオード8とにより、発電機1を電源として点火用コンデンサ5を一方の極性に充電するコンデンサ充電回路が構成されている。
【0032】
昇圧回路9は制御端子9aを有していて、この端子がマイクロコンピュータ11のポートP1 に接続されている。昇圧回路9は、マイクロコンピュータ11のポートP1から制御端子9aに高レベルの許可信号が与えられているときに昇圧動作を行い、マイクロコンピュータ11のポートP1から制御端子9aに与えられる信号が零レベルにされたとき(禁止信号が与えられたとき)に昇圧動作を停止するように構成されている。昇圧回路9としては、市販の昇圧型スイッチングレギュレータや、DC−DCコンバータを用いることができる。
【0033】
またマイクロコンピュータ11のポートP2 がサイリスタ6のゲートに接続され、ポートP2 から点火信号Si が出力されたときにサイリスタ6がオン状態になって、点火用コンデンサ5に蓄積された電荷を、点火用コンデンサ5→サイリスタ6→点火コイル3の一次コイル3A→ダイオード7→点火用コンデンサ5の閉回路からなる放電回路を通して放電させる。
【0034】
本実施形態では、点火コイル3と、点火用コンデンサ5と、サイリスタ6と、ダイオード7及び8と、昇圧回路9とによりコンデンサ放電式の点火装置が構成されている。この点火装置の基本的な動作は下記の通りである。
【0035】
エンジンの点火時期よりも所定時間だけ前のタイミングで昇圧回路9の動作が許可されて、昇圧回路9が動作状態にされ、昇圧回路9→点火用コンデンサ5→ダイオード8→昇圧回路9の閉回路からなるコンデンサ充電回路を通して点火用コンデンサ5が図示の極性に充電される。
【0036】
点火用コンデンサ5の充電が完了するタイミングよりも遅れ、エンジンの点火時期よりも進んだタイミングで昇圧回路9の昇圧動作が禁止された後、点火時期にマイクロコンピュータ11のポートP2 からサイリスタ6のゲートに点火信号Si が与えられる。これによりサイリスタ6が導通するため、点火用コンデンサ5に蓄積された電荷が、サイリスタ6と点火コイルの一次コイル3Aとダイオード7とを通して放電する。この放電により点火コイル3の一次コイル3Aに高い電圧が誘起し、この電圧が点火コイルの一次二次間の昇圧比により更に昇圧されるため、点火コイルの二次コイル3Bに点火用の高電圧Vhが誘起する。この高電圧はエンジンの気筒に取り付けられた点火プラグPLに印加されるため、点火プラグPLで火花放電が生じてエンジンが点火される。
【0037】
点火動作が完了した後、再度昇圧回路9の動作が許可されて、点火用コンデンサ5の充電が行われる。これらの動作が反復されることにより、所定の点火時期にエンジンが点火されて、エンジンが運転状態に保持される。
【0038】
エンジンの回転情報をマイクロコンピュータ11に与えるため、パルス発生器2がリラクタ1aの回転方向の前端側のエッジ及び後端側のエッジをそれぞれ検出した時に発生する第1のパルス及び第2のパルスをそれぞれ波形整形して第1の回転検出パルスVp1及び第2の回転検出パルスVp2を出力する回転検出回路14が設けられ、これらの回転検出パルスがそれぞれマイクロコンピュータ11のポートP3 及びP4 に入力されている。第1の回転検出パルスVp1及び第2の回転検出パルスVp2のうち、位相が進んだ方の第1の回転検出パルスVp1は点火位置の最大進角位置よりも位相が進んだ位置に設定された基準クランク角位置で発生し、第2の回転検出パルスVp2は、エンジンのピストンが上死点に達するクランク角位置よりも僅かに遅れた位置で発生する。
【0039】
マイクロコンピュータ11は、回転検出回路14から与えられる第1の回転検出パルス又は第2の回転検出パルスの発生間隔から求めたエンジンの回転速度に対してエンジンの点火時期を演算し、演算した点火時期を検出したときにサイリスタ6に点火信号を与えて点火動作を行わせる。
【0040】
昇圧回路9に入力する直流電圧VB を発生する整流電源部10は、発電機1が出力する交流電圧を整流する整流回路と、この整流回路の出力を設定電圧以下に制限するように制御する制御回路とを備えた第1のレギュレータ(REG)10Aと、第1のレギュレータ10Aの出力電圧を平滑するコンデンサ10Bとからなり、コンデンサ10Bの両端に得られる整流電源部10の出力電圧VBが昇圧回路9に入力されている。
【0041】
マイクロコンピュータ11は、CPUと、ROM(リードオンリーメモリ)及びRAM(ランダムアクセスメモリ)からなる記憶装置とを備えていて、その電源端子に与えられる電源電圧Vc が所定の動作保証範囲にあるときに動作状態を保持して、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより、各種の機能を果たす手段を構成する。
【0042】
マイクロコンピュータ11に与える電源電圧を得るため、整流電源部10の出力電圧をマイクロコンピュータ11の定格電源電圧(例えば5ボルト)に変換する制御用電源部12が設けられている。制御用電源部12は、整流電源部10の出力電圧をマイクロコンピュータ11の定格電源電圧に適した電圧に変換する第2のレギュレータ12A と、このレギュレータの出力電圧が印加された出力コンデンサ12Bとからなっていて、出力コンデンサ12Bの両端に得られる電圧Vc がマイクロコンピュータ11の電源端子につながる電源ラインに印加されている。
【0043】
エンジンの停止時に行うエンジン停止時処理において取得したエンジンに関する情報及び/又はエンジンの負荷に関する情報を記憶させるため、マイクロコンピュータ11に不揮発性メモリ(EEPROM)13が接続されている。
【0044】
また本実施形態では、エンジンを意図的に停止する際に操作されるストップスイッチ15がマイクロコンピュータ11のポートP5 と接地間に接続され、エンジンを停止させるためにストップスイッチ15が操作されてオン状態にされた際にマイクロコンピュータ11にエンジン停止指令が与えられるようになっている。なおストップスイッチ15は専らエンジンを停止させる際にのみ操作されるスイッチであってもよく、キースイッチにより構成されるものでもよい。
【0045】
またエンジンが停止するとの判定がされた後も、エンジン停止時処理を完了させるために必要な時間の間マイクロコンピュータ11を動作状態に保持しておくため、点火用コンデンサ5の両端の電圧をマイクロコンピュータ11の電源電圧の動作保証範囲に収まる電圧値を有する直流電圧Vc まで降圧してマイクロコンピュータの電源ラインに印加する降圧回路16が設けられている。
【0046】
降圧回路16は制御端子16aと、入力端子16b及び接地端子16cとを有していて、制御端子16aがマイクロコンピュータ11のポートP6 に接続され、点火用コンデンサ5の両端の電圧が、点火コイル3の一次コイル3Aとダイオード7とを通して降圧回路16の入力端子16bと接地端子16cとの間に入力されている。降圧回路16は、マイクロコンピュータ11のポートP6 から制御端子16aに高レベルの許可信号が与えられているときに、点火コイル3の一次コイルとダイオード7とを通して入力された点火用コンデンサの両端の電圧をマイクロコンピュータ11の電源電圧の動作保証範囲に収まる電圧値を有する電圧まで降圧して、マイクロコンピュータ11の電源ラインに印加する。降圧回路16はまた、マイクロコンピュータのポートP6 から制御端子16aに与えられる信号が零レベルにされたとき(禁止信号が与えられたとき)に動作を停止する。
【0047】
点火用コンデンサ5の両端の直流電圧を降圧する降圧回路16としては、例えば、パワーMOSFET等のスイッチング素子のオンオフにより入力電圧を降圧する動作を行う市販の降圧型スイッチングレギュレータを用いることができる。降圧型スイッチングレギュレータとしては、ECU内への実装が容易な小形(チップ形)のものを容易に入手することができる。
【0048】
上記のように構成すると、エンジンが搭載された装置にバッテリが設けられていない場合でも、エンジンの停止時に点火用コンデンサ5から降圧回路16を通してマイクロコンピュータ11の電源端子に動作保証範囲に収まる電源電圧を与えることができるため、マイクロコンピュータにエンジン停止時処理を確実に行わせることができる。点火用コンデンサ5は高電圧で充電されており、高い静電エネルギーを有することから、エンジンの停止時に点火用コンデンサから降圧回路16を通してマイクロコンピュータ11に電源電圧を与えることにより、エンジン停止時処理を行うのに必要な時間の間マイクロコンピュータを動作状態に保持することができる。
【0049】
また上記のように構成すると、エンジンを動作させるために必須の部品である点火装置に備わっている点火用コンデンサ5を利用してエンジンの停止時にマイクロコンピュータ11に電源電圧を供給することができるため、エンジン停止時にマイクロコンピュータを動作状態に保持するために、キャパシタのような余分の部品を追加する必要がなく、制御装置の大形化を招いたり、コストの上昇を招いたりするのを防ぐことができる。
【0050】
図1に示した例では、点火用コンデンサ5、サイリスタ6、ダイオード7,8等、点火コイル3とともに点火装置を構成する回路の構成部品をECU4内に設けているが、これらの部品の全部又は一部をECUの外部に設けることもできる。また図1に示した例では、整流電源部10及び制御用電源部12をECU4内に設けているが、これらの電源部はECUの外部に設けることもできる。
【0051】
本実施形態のエンジン制御装置においては、マイクロコンピュータ11に所定のプログラムを実行させることにより、エンジンを制御するために必要な各種の機能実現手段が構成される。図2を参照すると、マイクロコンピュータにより構成される機能実現手段を含む図1の実施形態の全体的な構成がブロック図で示されている。図2において、図1に示された各部と同一の部分には同一の符号が付されている。
【0052】
本実施形態においては、マイクロコンピュータ11に所定のプログラムを実行させることにより、点火制御部20と、昇圧回路制御手段21と、エンジン停止判定手段22と、点火動作・降圧動作管理手段23とを構成する。
【0053】
点火制御部20はエンジンの点火時期を制御する部分で、その基本的な構成は従来から用いられているものと同様である。点火制御部20は例えば、回転検出回路14を通して与えられる回転検出パルスVp1の発生間隔からエンジンの回転速度を演算する回転速度演算手段と、この回転速度演算手段により演算された回転速度に対して、エンジンの点火時期を演算する点火時期演算手段と、演算した点火時期が検出された時にサイリスタ6に与える点火信号Siを発生する点火信号発生手段とにより構成することができる。
【0054】
エンジンの点火時期は、例えば、第1の回転検出パルスVp1が発生するクランク角位置である基準クランク角位置から点火動作を行わせるクランク角位置までの区間をクランク軸が回転するのに要する時間の形で演算される。マイクロコンピュータ11は、第1の回転検出パルスVp1が発生した時に(基準クランク角位置が検出された時に)演算した点火時期の計測を開始し、その計測を完了したときにポートP2 からサイリスタ6のゲートに点火信号Si を供給して点火動作を行わせる。
【0055】
昇圧回路制御手段21は、点火動作を行う際に昇圧回路9からサイリスタ6に電圧が与えられてサイリスタ6がターンオフすることができなくなるのを防ぐために、点火用コンデンサ5の充電を行う際にのみ昇圧回路9を動作させ、サイリスタ6をオン状態にして点火動作を行わせる際には昇圧動作を停止させるように昇圧回路9を制御する手段である。昇圧回路制御手段21は、エンジンの点火時期よりも遅れたタイミングに設定された昇圧動作開始タイミングで昇圧回路9の制御端子9aに許可信号を与えてその動作を開始させ、昇圧回路9の昇圧動作開始タイミングよりも遅れ、エンジンの点火時期よりは進んだタイミングで昇圧回路に禁止信号を与えてその動作を停止させるように構成することができる。
【0056】
エンジン停止判定手段22は、回転検出回路14が発生する一方の回転検出パルスの発生間隔からエンジンが運転状態から停止状態に移行しようとしていることを判定する手段で、本実施形態では、この判定手段が、回転検出パルスVp1の発生間隔(クランク軸が1回転するのに要する時間)が停止判定値を超えたときにエンジンが停止するとの判定を行うように構成されている。エンジン停止判定手段22はまた、ストップスイッチ15が操作されてマイクロコンピュータにエンジン停止指令が与えられたときにもエンジンが停止するとの判定を行うように構成されることが好ましい。
【0057】
点火動作・降圧動作管理手段23は、点火動作を行う際に同時に降圧動作が行われて点火動作に支障を来すのを防ぎ、点火用コンデンサ5の両端の電圧を降圧してマイクロコンピュータに電源電圧を供給する際に点火用コンデンサがサイリスタ6を通して放電してしまうのを防ぐために、点火動作及び降圧動作を管理する手段である。本実施形態で用いる点火動作・降圧動作管理手段23は、エンジンの運転時には降圧回路16が降圧動作を行うのを禁止して点火装置が点火動作を行うのを許可(サイリスタ6に点火信号Siが与えられるのを許可)し、エンジン停止判定手段22によりエンジンが停止すると判定された後は点火動作が行われるのを禁止して降圧動作が行われるのを許可するように点火動作及び降圧動作を管理する。
【0058】
図3を参照すると、昇圧回路制御手段21、エンジン停止判定手段22、及び点火動作・降圧動作管理手段23を構成するために微小時間間隔でマイクロコンピュータ11に繰り返し実行させるタスク処理のアルゴリズムを示すフローチャートが示されている。
【0059】
図3に示した処理が開始されると、ステップS101で、エンジンのクランク軸が1回転する間に図3のタスク処理が実行される回数をカウントするカウンタであるエンストカウンタの計数値EnstCountをインクリメントする。エンストカウンタの計数値は、回転検出回路14が一方の回転検出パルスVp1を発生した時に実行される割り込み処理でクリアされる。次いでステップS102で、エンストカウンタの計数値EnstCountがエンスト判定値(エンジンがストールするか否かを判定するための判定値)ENSTJUDGETIME以上であるか否かを判定する。
【0060】
エンジンの運転中は、クランク軸が1回転するのに要する時間(回転検出パルスVp1の発生間隔)が十分に短く、エンストカウンタは、その計数値EnstCountがエンスト判定値ENSTJUDGETIMEに達する前にクリアされるため、計数値EnstCountがエンスト判定値ENSTJUDGETIMEに達することはない。しかしながら、エンジンが停止する際には、クランク軸が1回転するのに要する時間が長くなって、エンストカウンタの計数値EnstCountがエンスト判定値ENSTJUDGETIME以上になるため、エンストカウンタの計数値EnstCountが判定値EnstCount以上であるか否かを判定することにより、エンジンが停止するか否かを判定することができる。
【0061】
ステップS102でエンストカウンタの計数値EnstCountがエンスト判定値ENSTJUDGETIME以上ではないと判定されたときには、ステップS103に進んで点火装置が点火動作を行うのを許可し、降圧回路16が降圧動作を行うのを禁止してこの処理を終了する。
【0062】
ステップS102でエンストカウンタの計数値EnstCountがエンスト判定値ENSTJUDGETIME以上であると判定されたときには、ステップS104に進んでエンジン停止判定(エンジンがまもなく停止するとの判定)を行い、ステップS105に進む。ステップS105では、昇圧回路9の動作を禁止して点火動作を禁止すると同時に降圧回路16の動作を許可して、降圧回路16からマイクロコンピュータ11への電源電圧の供給を開始する。
【0063】
図3に示したアルゴリズムによる場合には、ステップS101、S102及びS104によりエンジン停止判定手段22が構成され、ステップS103及びS105により点火動作・降圧動作管理手段23が構成される。昇圧回路制御手段21は、点火制御部20を実現するために実行するタスク処理内で、エンジンの点火時期よりも遅れたタイミングに設定された昇圧動作開始タイミングで昇圧回路9の制御端子9aに許可信号を与えてその動作を開始させるステップと、昇圧回路9の昇圧動作開始タイミングよりも遅れ、エンジンの点火時期よりは進んだタイミングで昇圧回路に禁止信号を与えてその動作を停止させるステップとを行わせることにより実現できる。
【0064】
図3に示した例では、エンジンの回転速度からエンジンが停止するか否かの判定を行うようにしているが、このように構成しておくと、エンジンがトルク不足などの原因により停止させられる場合にもエンジンが停止するとの判定を行わせて、マイクロコンピュータを動作状態に保持することができる。
【0065】
なお図1及び図2に示した実施形態のように、ストップスイッチ15が設けられている場合には、ストップスイッチが操作された際にもエンジンが停止するとの判定を行うように図3のタスク処理を構成しておくことが好ましい。
【0066】
上記のように構成すると、エンジンの停止時に点火用コンデンサに蓄積されているエネルギを有効に利用して、マイクロコンピュータに電源電圧を与えることができるため、エンジンが搭載されている装置にバッテリが設けられていない場合でも、エンジンの停止時に、マイクロコンピュータの動作が保証される電圧範囲に収まる電圧値を有する電圧を降圧回路が出力している一定時間の間、マイクロコンピュータを動作状態に保持することができる。点火用コンデンサが十分に大きな静電容量を有している場合には、エンジンの停止後も一定時間の間マイクロコンピュータを動作状態に保持することが可能になる。
【0067】
上記のように、本発明によれば、マイクロコンピュータを用いてエンジンを制御するエンジン制御装置がバッテリレスの構成をとる場合に、エンジンの停止時に一定時間の間マイクロコンピュータを確実に動作状態に保持することができるため、エンジンの停止時に行う処理を確実に行わせることができる。また点火用コンデンサの容量によっては、エンジンの停止後相当に長い時間の間マイクロコンピュータを動作状態に保持することができるため、エンジンを停止した後余り時間が経過していない状態でエンジンを再始動する場合には、マイクロコンピュータが動作している状態でエンジンの始動操作を開始させることができ、エンジンの始動を容易にすることができる。またエンジン停止時にマイクロコンピュータを動作状態に保持するために、キャパシタのような余分の部品を追加する必要がなく、制御装置の大形化を招いたり、コストの上昇を招いたりするのを防ぐことができる。
【0068】
上記の実施形態では、発電機1から整流電源部10を通して供給される直流電圧VB を昇圧する昇圧回路9の出力電圧で点火用コンデンサ5を充電するようにコンデンサ充電回路が構成されたコンデンサ放電式の点火装置を用いているが、本発明を適用するエンジンを点火する点火装置に設けるコンデンサ充電回路は、エンジンにより駆動されて交流電圧を出力する発電機を電源として点火用コンデンサを一方の極性に充電するように構成されたものであればよく、上記の実施形態で用いたものには限定されない。例えば、エンジンにより駆動される発電機内に十分な巻数を持って設けられて、エンジンの回転に同期して交流電圧を発生するエキサイタコイルの一方の極性の半波の出力電圧で点火用コンデンサを一方の極性に充電する形式のコンデンサ充電回路を備えた周知のコンデンサ放電式点火装置を用いる場合にも、本発明を適用することができるのはもちろんである。
【0069】
上記の実施形態ではエンジンの点火装置を制御対象とするエンジン用制御装置を例にとったが、点火装置の制御の他に、燃料噴射装置の燃料噴射量の制御や、エンジンのアイドリング速度の制御等をも行うエンジン用制御装置にも本発明を適用できるのはもちろんである。
【0070】
また上記の実施形態では、制御の対象とするエンジンが単気筒エンジンであるとしたが、多気筒エンジンを制御するエンジン用制御装置にも本発明を適用できるのはもちろんである。
【符号の説明】
【0071】
1 発電機
2 パルス発生器
3 点火コイル
4 ECU
5 点火用コンデンサ
6 サイリスタ(放電用スイッチ)
7 ダイオード
8 ダイオード
9 昇圧回路
10 整流電源部
11 マイクロコンピュータ
12 制御用電源部
13 EEPROM
14 回転検出部
15 ストップスイッチ
16 昇圧回路
21 昇圧回路制御手段
22 エンジン停止判定手段
23 点火動作・降圧動作管理手段
図1
図2
図3