特許第6952198号(P6952198)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6952198電力/接地のグリッド構造体上における、オン−ダイ(on−die)スロット−ライン(slot−line)による隔離強化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6952198
(24)【登録日】2021年9月29日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】電力/接地のグリッド構造体上における、オン−ダイ(on−die)スロット−ライン(slot−line)による隔離強化
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20211011BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20211011BHJP
【FI】
   H01L27/04 H
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-539751(P2020-539751)
(86)(22)【出願日】2018年12月14日
(65)【公表番号】特表2021-512486(P2021-512486A)
(43)【公表日】2021年5月13日
(86)【国際出願番号】US2018065826
(87)【国際公開番号】WO2019143431
(87)【国際公開日】20190725
【審査請求日】2020年10月1日
(31)【優先権主張番号】15/875,568
(32)【優先日】2018年1月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591025439
【氏名又は名称】ザイリンクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】XILINX INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ジャオイン・ディ
(72)【発明者】
【氏名】ウパディアヤ,パラグ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,クン−ユン
【審査官】 市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−233951(JP,A)
【文献】 特開平8−321685(JP,A)
【文献】 特表2008−537849(JP,A)
【文献】 特開2004−273685(JP,A)
【文献】 特開2001−320137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路であって、
接地構造体と、
ソースと、
トランスミッタとを備え、
前記トランスミッタがアクティブであるとき、リターン電流が前記接地構造体を通って前記ソースから前記トランスミッタへ流れ、
前記ソースと前記トランスミッタとの間に配置された受動部品と、
前記接地構造体を通って延びる第1のスロットとをさらに備え、
前記集積回路の上面に関連して、前記第1のスロットは、前記受動部品と前記ソースとの間に存在し、
前記接地構造体を通って延びる第2のスロットをさらに備え、
前記上面に関連して、前記第2のスロットは、前記受動部品と前記トランスミッタとの間に存在し、前記第1および第2のスロットのそれぞれの第1の端部は、前記接地構造体の縁部で終端し、
前記第1および第2のスロットのそれぞれの第2の端部は、前記接地構造体内で終端し、前記上面に関連する前記受動部品は、前記第1スロットの前記それぞれの第1および第2の端部の間、および前記第2スロットの前記それぞれの第1および第2の端部の間、に完全に配置される、集積回路。
【請求項2】
前記第1および第2のスロットの前記それぞれの第2の端部は、前記リターン電流が前記それぞれの第2の端部の周りを流れることができるが、前記それぞれの第1の端部の周りを流れることが阻止されるように配置される、請求項1に記載の集積回路。
【請求項3】
半導体基板をさらに備え、
前記接地構造体は、前記半導体基板の上に配置された複数の金属ルーティング層を含み、
前記第1および第2のスロットは、前記複数の金属ルーティング層を通って延びている、請求項1または請求項2に記載の集積回路。
【請求項4】
前記受動部品は、前記複数の金属ルーティング層上に亘って配置されている、請求項3に記載の集積回路。
【請求項5】
前記受動部品は、インダクタおよびキャパシタのうちの少なくとも1つを備える、請求項4に記載の集積回路。
【請求項6】
前記リターン電流は、前記トランスミッタを用いて信号をドライブすることで誘起される磁界によって、前記ソースにおいて生成される、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の集積回路。
【請求項7】
前記受動部品を含む位相同期回路と、
信号をドライブするときに前記位相同期回路から制御信号を受信するように構成された第2のトランスミッタとをさらに備える、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の集積回路。
【請求項8】
集積回路であって、
接地構造体と、
ソースと、
シンクとを備え、
リターン電流が前記接地構造体を通って前記ソースから前記シンクへ流れ、
前記ソースと前記シンクとの間に配置されるインダクタと、
前記接地構造体を通って延びる第1のスロットとをさらに備え、
前記集積回路の上面に関連して、前記第1のスロットは、前記インダクタと前記ソースとの間に存在し、前記第1のスロットの第1の端部は、前記接地構造体の縁部で終端し、前記第1のスロットの第2の端部は、前記接地構造体内で終端し、前記上面に関連する前記インダクタは、前記第1のスロットの前記第1および第2の端部の間に完全に配置される、集積回路。
【請求項9】
前記接地構造体を通って延びる第2のスロットをさらに備え、前記第2のスロットは、前記インダクタと前記シンクとの間に存在し、前記第2のスロットの第1の端部は、前記接地構造体の縁部で終端する、請求項8に記載の集積回路。
【請求項10】
前記第1および第2のスロットのそれぞれの第2の端部は、前記リターン電流が前記それぞれの第2の端部の周りを流れることができるように前記接地構造体内で終端し、前記リターン電流が前記第1および第2のスロットの前記第1の端部の周りを流れることが阻止される、請求項9に記載の集積回路。
【請求項11】
前記シンクを含むトランスミッタをさらに備え、
前記リターン電流は、前記トランスミッタを用いて信号をドライブすることで誘起される磁界によって、前記ソースにおいて生成される、請求項8〜請求項10のいずれか1項に記載の集積回路。
【請求項12】
半導体基板をさらに備え、
前記接地構造体は、前記半導体基板の上に配置された複数の金属ルーティング層を含み、
前記第1のスロットは、前記複数の金属ルーティング層を通って延びている、請求項8〜請求項11のいずれか1項に記載の集積回路。
【請求項13】
前記インダクタは、前記複数の金属ルーティング層上に亘って配置されている、請求項12に記載の集積回路。
【請求項14】
集積回路の製造方法であって、
半導体基板のアクティブ領域にアクティブデバイスを形成することと、
前記半導体基板の前記アクティブ領域上に亘って接地構造体を形成することと、
前記接地構造体を通じて第1のスロットおよび第2のスロットを形成することと、
前記集積回路の上面に関連して、受動部品が前記第1のスロットと前記第2のスロットとの間に存在するように、前記接地構造体の上方に前記受動部品を形成することとを含み、
前記第1および第2のスロットのそれぞれの第1の端部は、前記接地構造体の縁で終端し、前記第1および第2のスロットのそれぞれの第2の端部は、前記接地構造体内で終端し、
前記上面に関連する前記受動部品は、前記第1のスロットのそれぞれの前記第1および第2の端部の間に完全に配置される、集積回路の製造方法。
【請求項15】
前記第1および第2のスロットのそれぞれの第2の端部は、リターン電流が前記それぞれの第2の端部の周りを流れることができるが、前記それぞれの第1の端部の周りを流れることが阻止されるように、前記接地構造体内で終端する、請求項14に記載の集積回路の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示の例は、一般的に、スロットを使用して集積回路(IC)内の受動部品を隔離することに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
IC内のトランスミッタおよび他のドライブ回路は、接地平面内に大きなリターン電流を生じさせる信号を出力し得る。換言すれば、トランスミッタは、例えば、クロッキングまたは電力ネットワークをドライブする電流を生成し、その電流は、リターン電流を誘導する磁界を結果的に生成する。通常、リターン電流は、トランスミッタのシンクに流れる。しかしながら、ICを設計する際にリターン電流の方向およびソースを制御および予測することは困難である。もし、IC内またはIC上の受動部品(例えば、インダクタまたはキャパシタ)の近くにかなりの量のリターン電流が流れると、リターン電流は、受動部品を含むIC内の他のデバイス、例えば、発振器または位相同期回路、の機能に影響を及ぼし得るノイズを注入する可能性がある。したがって、リターン電流から受動部品を隔離できることによって、ICの機能性を改善することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
集積回路を動作させおよび製造するための技術が説明される。一例は、接地構造体と、ソースと、トランスミッタとを含む集積回路であり、トランスミッタがアクティブであるとき、リターン電流は、接地構造体を通ってソースからトランスミッタに流れる。集積回路はまた、ソースとトランスミッタとの間に配置された受動部品と、接地構造体を通って延びる第1スロットとを含み、第1スロットは、受動部品とソースとの間にあり、集積回路はさらに、接地構造体を通って延びる第2スロットを含み、第2スロットは、受動部品とトランスミッタとの間にあり、第1および第2スロットのそれぞれの第1の端部は、接地構造体の縁部で終端する。
【0004】
いくつかの実施形態では、第1および第2のスロットのそれぞれの第2の端部は、リターン電流がそれぞれの第2の端部の周りを流れることができるが、それぞれの第1の端部の周りを流れることが阻止されるように、接地構造体内で終端してもよい。
【0005】
いくつかの実施形態では、集積回路は、半導体基板をさらに含んでもよい。接地構造体は、半導体基板の上に配置された複数の金属ルーティング層を含んでもよい。第1および第2のスロットは、複数の金属ルーティング層を通って延びていてもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、受動部品は、複数の金属ルーティング層上に亘って配置されてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、受動部品は、インダクタおよびキャパシタのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、リターン電流は、トランスミッタを使用して信号をドライブすることによって誘導される磁界によって、ソースにおいて発生されるものであってもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、集積回路は、受動部品を含む位相同期回路と、信号をドライブするときに位相同期回路から制御信号を受信するように構成された第2のトランスミッタとをさらに含んでもよい。
【0010】
本明細書で説明する一例は、接地構造体と、ソースと、シンクとを含み、リターン電流が接地構造体を通ってソースからシンクへ流れる集積回路である。集積回路はまた、ソースとシンクとの間に配置されたインダクタと、接地構造体を通って延びる第1のスロットとを含み、第1のスロットは、インダクタとソースとの間に存在し、第1のスロットの第1の端部は、接地構造体の縁部で終端する。
【0011】
いくつかの実施形態では、集積回路は、接地構造体を通って延びる第2のスロットをさらに含んでもよい。第2のスロットは、インダクタとシンクとの間に存在してもよい。第2のスロットの第1の端部は、接地構造体の縁部で終端してもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1および第2のスロットのそれぞれの第2の端部は、リターン電流がそれぞれの第2の端部の周りを流れることができるように、接地構造体内で終端してもよい。リターン電流が第1および第2のスロットの第1の端部の周りを流れることが阻止されるようにしてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、集積回路は、シンクを含むトランスミッタをさらに含んでもよい。リターン電流は、トランスミッタを用いて信号をドライブすることで誘起される磁界の働きによって、ソースにおいて生成されるものであってもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、集積回路は、半導体基板をさらに含んでもよい。接地構造体は、半導体基板の上に配置された複数の金属ルーティング層を含んでもよい。第1のスロットは、複数の金属ルーティング層を通って延びていてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、インダクタは、複数の金属ルーティング層上に亘って配置されてもよい。
【0016】
本明細書に記載する一例は、半導体基板のアクティブ領域にアクティブデバイスを形成することと、半導体基板のアクティブ領域上に亘って接地構造体を形成することと、接地構造体を通じて第1のスロットおよび第2のスロットをカットすることと、接地構造体の上方で、かつ、第1のスロットと第2のスロットとの間に受動部品を形成することとを含む方法であり、第1および第2のスロットのそれぞれの第1の端部は、接地構造体の縁部で終端する。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1および第2のスロットのそれぞれの第2の端部は、リターン電流がそれぞれの第2の端部の周りを流れることができるが、それぞれの第1の端部の周りを流れることが阻止されるように、接地構造体内で終端してもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、方法は、接地構造体を流れるリターン電流のソースを形成し、接地構造体を流れるリターン電流のシンクを形成することをさらに含んでもよい。第1のスロットは、受動部品とソースとの間にあってもよく、第2のスロットは、受動部品とシンクとの間にあってもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、方法は、シンクと半導体基板のアクティブ領域内に存在する少なくとも1つのアクティブデバイスとを含むトランスミッタを形成することをさらに含んでもよい。リターン電流は、トランスミッタを使用して信号をドライブすることによって誘導される磁界によって、ソースにおいて発生されるものであってもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、接地構造体を形成することは、半導体基板のアクティブ領域上に亘って、誘電体によって隔離された複数の金属ルーティング層を形成することを含んでもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1および第2のスロットは、複数の金属ルーティング層を通って延びていてもよく、そのことによって、半導体基板のアクティブ領域を露出させてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1および第2のスロットのそれぞれの第1の端部は、複数の金属ルーティング層の縁部で終端してもよい。
図面の簡単な説明
上記で言及した特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約した、より具体的な説明は、そのいくつかを添付の図面に示す例示的な実施形態を参照することによって得られるであろう。しかしながら、添付の図面は、典型的な例示的な実装を示すに過ぎず、したがって、その範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一例による集積回路のブロック図である。
図2】一例によるジッタに対するリターン電流の影響を例示するチャートである。
図3】一例による、受動部品に影響を及ぼすリターン電流を伴う集積回路を示す図である。
図4】一例による、2つの短絡端を有するスロットを使用してリターン電流を遮断することを示す図である。
図5】一例による、リターン電流から受動部品を隔離するための2つのスロットを有する接地構造体を示す図である。
図6】一例による図5の接地構造体の上面図である。
図7】一例による、図6の接地構造体におけるスロットの断面図である。
図8】一例による、トランスインピーダンスに対してスロットが有する影響を示すチャートである。
図9】一例による、受動部品をリターン電流から隔離するために接地構造体にスロットを製造するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
理解を容易にするために、可能な場合には、同一の参照番号は、図に共通の同一の要素を示すために使用されている。1つの例の要素は、他の例に有益に組み込まれ得ることが予期される。
詳細な説明
以下、図面を参照して、様々な特徴について説明する。図面は、同縮尺で描かれても描かれていなくもよく、同様の構造または機能の要素は、図面全体を通して同様の参照番号によって表されることに留意されたい。図面は、特徴の説明を容易にすることのみを意図していることに留意されたい。これらは、説明の余すところのない説明として、または特許請求の範囲に対する限定として意図されない。加えて、例示は、示されるすべての態様または利点を有する必要はない。特定の例に関連して説明される態様または利点は、必ずしもその例に限定されず、そのように例示されなくても、またはそのように明示的に説明されなくても、任意の他の例において実施され得る。
【0025】
本明細書の例は、接地平面内のリターン電流からセンシティブな部品(例えば、インダクタまたはキャパシタ)を含むICの部分を隔離するための技術を記載する。上述したように、IC内のトランスミッタまたはドライバによって生成される出力電流は、接地平面内にリターン電流を誘導する磁界を発生させ得る。もし、リターン電流がセンシティブな部品に近接していると、リターン電流は、IC内の他の部品に悪影響を及ぼすおそれのあるノイズを注入する可能性がある。リターン電流からセンシティブな部品を隔離するために、本開示の実施形態は、センシティブな部品の1つ以上の側面上に存在する接地平面を含む接地構造体を通ったスロットを形成することを含む。
【0026】
一実施形態では、スロットはそれぞれ、開放された第1の端部と短絡された第2の端部とを有する。開放端は、接地構造体を通って流れるリターン電流が開放端の周りを流れないように、接地構造体の縁部まで延びていてもよい。例えば、スロットの開放端は、開放端の周りの接地平面内に導電経路が存在しないように、接地構造体の最遠の縁部で終端してもよい。対照的に、短絡端は、リターン電流がスロットのこの端の周りを流れることができるように接地構造体内で終端する。一実施形態では、センシティブな部品は、2つの平行なスロットの間に配置され、それによって、仮にスロットを配置しない場合にはセンシティブな部品の付近で流れてしまうであろういかなるリターン電流についても、代わりにスロットの短絡端の周りを流れるように仕向け、それによって部品へのリターン電流の影響を緩和する。
【0027】
図1は、一例によるIC100のブロック図である。IC100は、2つの位相同期回路(PLL)110と共に4つのトランスミッタ(TX)105を含む。図示されないが、IC100は、プロセッサブロック、ノン‐プログラマブル回路ブロック(例えば、デジタル信号処理ブロック、メモリ、レジスタ)、およびプログラマブル回路ブロック(例えば、設定可能な論理ブロック)などの多くの異なる回路ブロックおよび回路を含み得る。一実施形態では、IC100は、プロセッサまたは特定用途向け集積回路(ASIC)などのノン‐プログラマブルチップである。別の実施形態では、IC100は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのプログラマブルチップである。一実施形態では、トランスミッタ105は、クロックネットワークのためのクロック信号を提供するが、それに限定されず、データ信号、電力信号などをドライブしてもよい。
【0028】
一実施形態では、PLL110は、トランスミッタ105によって出力されるクロック信号の周波数を設定する制御信号をトランスミッタ105に提供する。しかしながら、トランスミッタ105によってドライブされる電流は、トランスミッタ105によって出力されるクロック信号に悪影響を及ぼす可能性があるリターン電流を誘導し得る。一実施形態では、トランスミッタ105は、それらのクロック信号を生成するために最も近いPLL110を使用しなくてもよい。すなわち、いくつかの設定においては、IC100の左側に配置されるトランスミッタ105Aは、PLL110Aではなく、PLL110Bが出力する制御信号を使用してもよい。PLL110Bに最も近いトランスミッタが動作していない限り、PLL110Bによって生成される制御信号は、リターン電流の結果としてほとんどノイズがない。
【0029】
しかしながら、PLL110Bの近くのトランスミッタ105Cまたはトランスミッタ105Dが信号を出力し始めると、関連する電流およびその磁界は、PLL110Bの近くを流れるリターン電流を発生し得る。これらのリターン電流は、PLL110Bの受動部品(例えば、インダクタまたはキャパシタ)にノイズを注入し得る。一実施形態では、トランスミッタ105Aは、そのクロック信号の生成をPLL110Bに依存しているので、PLL110Bにおけるノイズは、トランスミッタ105Aの出力信号にジッタをもたらす。
【0030】
図2は、一例による、トランスミッタ105Aにおけるジッタに対するリターン電流の影響を示すチャート200である。チャート200のY軸は、他のトランスミッタが能動的に出力信号を送信しているときのトランスミッタ105Aの出力信号のジッタの変化を示す。チャート200のX軸は、異なるデータレートにおけるジッタを示す。
【0031】
三角形は、トランスミッタ105Bが作動しているときのトランスミッタ105Aにおけるジッタを表し、正方形は、トランスミッタ105Cが作動しているときのトランスミッタ105Aにおけるジッタを表し、ひし形は、トランスミッタ105Dが作動しているときのトランスミッタ105Aにおけるジッタを表す。図示のように、トランスミッタ105Bを作動させることは、トランスミッタ105Aの出力信号のジッタにほとんど変化を与えない。これは、トランスミッタ105BがPLL110Bからかなり離れているためであり、したがって、トランスミッタ105Bを作動させることによって生成されるリターン電流は、PLL110B内の受動部品に対してほとんど影響を与えないであろう。その結果、デルタジッタは非常に小さい。
【0032】
しかしながら、トランスミッタ105Cまたは105Dを作動させると、トランスミッタ105Aによって出力され信号のジッタが変化する。すなわち、チャート200は、トランスミッタ105Cまたは105Dのいずれかが、PLL110Bに影響を与えるリターン電流を生成し得、したがって、トランスミッタ105Aの出力信号のジッタを増大させることを示している。
【0033】
図3は、一例による、IC100内の受動部品に影響を及ぼすリターン電流を示す。具体的には、図3は、IC100内の接地構造体300を示し、半導体基板および他の回路など、IC100内に存在するであろう他の構造は省略されている。簡単にするために、接地構造体300は、図1に示されるトランスミッタ105CおよびPLL110Bを含むが、他のトランスミッタおよびPLLは省略されている。しかしながら、以下で説明する実施形態は、トランスミッタ105Dまたはトランスミッタ105Aおよび105Bに等しく適用することができ、PLL110Aに対するそれらの影響に等しく適用することができる。
【0034】
トランスミッタ105Cを使用して電流をドライブするとき、結果として生じる磁界は、ソース320においてリターン電流330を発生させ得る。リターン電流330の1つの経路だけが示されているが、接地構造体300を通るリターン電流の複数の経路が存在してもよい。一般に、リターン電流330は、IC100内の様々なソースから、接地構造体300を通ってトランスミッタ105C内のシンク325に向かって戻る。
【0035】
一実施形態では、ソース320は、ICまたは下層にあるパッケージ(図示せず)内の他の部品よりも強力に磁界による影響を受けるコントロールド・コラプス・チップ・コネクション(Controlled Collapse Chip Connection)(すなわち、c4はんだバンプ)としてもよい。したがって、ソース320とシンク325との間の経路におけるリターン電流の電流密度は、接地構造体300の他のエリアにおける電流密度よりも大きいかもしれない。PLL110B内のインダクタ305およびキャパシタは、リターン電流330の経路上、またはその近くにあるので、リターン電流330は、PLL110Bの出力に依存する1つまたは複数のトランスミッタにおけるジッタに影響を与えるノイズを注入し得る。
【0036】
一実施形態では、インダクタ305およびキャパシタ315は、PLL110B内の電圧コントローラ発振器(VCO)310のためのLCタンク回路を形成する。インダクタ305および/またはキャパシタ315は、リターン電流330が流れる接地構造体300内の同じ接地平面に結合され得る。したがって、PLL110Bに近い接地平面の部分におけるリターン電流330の電流密度が大きいほど、リターン電流330がインダクタ305およびキャパシタ315の動作に与える影響は大きくなる。
【0037】
以下の実施形態は、PLL110B内のセンシティブな部品(例えば、インダクタ305およびキャパシタ315)をリターン電流330から隔離するための異なる技術を説明する。換言すれば、接地平面内でPLL110Bの近くに流れるリターン電流330の量を減らすことによって、PLL110Bのノイズを低減することができ、それによってPLL110Bによって出力される制御信号の品質を改善することができる。
【0038】
図4は、一例による、2つの短絡端を有するスロット400を使用してリターン電流を遮断することを示している。図3と同様に、図4は、接地平面415においてソース320からシンク325に流れるリターン電流を示す。この図では、リターン電流は、接地平面415においてソース320からシンク325に流れるときのリターン電流の経路を示す複数の矢印によって表される。さらに、図4は、リターン電流に関連する磁界405および電界410を示す。
【0039】
PLL110Bをリターン電流から隔離するために、スロット400は、接地平面415を通って切断され、それによって、リターン電流が流れることができない絶縁領域を形成する。代わりに、リターン電流がスロット400に近づいたとき、矢印は、リターン電流の第1の部分がスロット400の第1の端部420Aの周りを流れることを示す一方、リターン電流の第2の部分がスロット400の第2の端部420Bの周りを流れることを示す、Y字型に分割される。リターン電流の第1の部分および第2の部分は、次いで、シンク325に流れる前に再結合する。もちろん、リターン電流を表す矢印は、リターン電流が接地平面415内で流れるであろう経路の簡略化された表現である。例えば、リターン電流の一部は、端部420の周りを流れた後に再結合せず、代わりに、一般的に直線でシンク325に直接的に移動するかもしれない。
【0040】
図4では、端部420は、短絡端部と称されるが、これは、スロット400が接地平面415内で終端し、それによって、リターン電流がスロット400の周りを流れ、次いで、スロット400の他方の側で再結合するための導電経路を提供するからである。対照的に、開放端は、接地平面415の縁上の終端である(以下の図に示される)。したがって、開放端は、リターン電流がスロットの周りを流れることを可能にする導電経路を有さない。換言すれば、短絡端420を使用してスロット400の周りにリターン電流を方向転換させる代わりに、開放端は、スロット400の周りに電流が流れるのを防止する。
【0041】
仮に、リターン電流の大部分が、端部420の周りを流れた後にシンク325に直接、流れるのであれば、スロット400は、リターン電流の大部分からPLL110Bを隔離することに成功するであろう。すなわち、リターン電流の最大密度は、PLL110Bを通って流れるのではなく、PLL110Bの左側および右側に存在することになるであろう。しかしながら、図示されるように、スロット400は、端部420の周りでリターン電流を方向転換させるが、電流の大部分は、シンク325に向かって流れる際にスロット400の他方の側で再結合する。したがって、リターン電流の大部分は、PLL110BまたはPLL110Bの近くにある接地平面415の部分を流れることになり、よって、上述の問題を生じる。実際、シミュレーションは、スロット400がPLL110Bとリターン電流との間の結合をわずか10〜20%しか低減できないことを示している。したがって、スロット400は、PLL110Bとリターン電流との間の結合を低減するが、以下で説明するスロット構造体は、より良い結果を提供することができる。
【0042】
図5は、一例による、リターン電流から受動部品を隔離するための2つのスロット500を有する接地構造体501である。接地構造体501は、シンク325、PLL110B、およびソース320の下または上に配置される複数の層(例えば、複数の金属ルーティング層)を含んでもよい。一実施形態では、接地構造体501内の1つ以上の層が接地平面を形成し、その接地平面を通って、ソース320とシンク325との間にリターン電流が流れ、そのリターン電流は、PLL110B内のインダクタ305および/またはキャパシタ315に悪影響を与え得る。一実施形態では、接地構造体501は、IC用のオンダイ(on die)電力グリッドを形成する。
【0043】
この実施形態では、PLL110Bは、それぞれのスロット500によってソース320およびシンク325から隔離される。スロット500のうちの1つ(すなわち、スロット500B)は、PLL110Bとソース320との間に配置される一方、スロット500Aは、PLL110Bとシンク325との間に存在する。この実施形態では、スロット500は平行に延びるが、これは必須ではない。例えば、スロット500は、スロット500がPLL110Bとソース320との間で、かつ、PLL110Bとシンク325との間にある限り、接地構造体501を通って異なる方向に延びていてもよい。
【0044】
上述したように、シンク325は、IC内の信号をドライブする回路(例えば、トランスミッタ)の一部であってもよい。その結果、信号は、接地構造体501のソース320とシンク325との間にリターン電流(図示せず)を流す。しかしながら、スロット500は、PLL110Bまたはその近くで流れるリターン電流の量を軽減し、それにより、インダクタ305およびキャパシタ315に対するリターン電流のネガティブな影響を低減する。
【0045】
図5では、2つの短絡端を有するスロット500の代わりに、スロット500の各々は、1つの短絡端510および1つの開放端505を含む。後述するように、リターン電流は、接地構造体501の短絡端510の周りを流れ得るが、開放端505の周りを流れることはできない。したがって、スロット500は、ソース320からのリターン電流のすべてを本質的に短絡端510の周りに強制的に流す。
【0046】
図示のように、開放端505は接地構造体501の縁部515で終端する。一実施形態では、縁部515は、接地構造体300を形成する金属ルーティング層が終端するICの平面である。縁部515は、ICの縁部であってもよいが、しかし、図5では、接地構造体501は、接地構造体501が存在しないところにもICの物理的寸法が及ぶことを示す周辺部520によって取り囲まれている。例えば、ICを構成する半導体基板の表面の一部のみに接地構造体501を形成してもよい。周辺部520の材料(例えば、誘電体)は、接地構造体501を支持する基板の部分を取り囲む半導体基板の別の部分に配置することができる。接地構造体501の縁部515(そして、周辺部520内の材料が非導電性であると仮定する)で開放端505を終端することは、リターン電流がスロット500の短絡端510の周りでのみ流れることを確実にする。
【0047】
一実施形態では、PLL110Bおよびシンク325は、接地構造体501の縁部515に近いICの一部分に意図的に形成される。換言すれば、ICを設計するとき、設計者は、PLL110の位置を縁部515の近くに置く。したがって、スロット500の長さは、PLL110Bから縁部515までの距離に依存する。例えば、もし、PLL110Bが縁部515から遠くに配置されると、スロット500の長さは、短絡端510が縁部515とインダクタ305およびキャパシタ315との間の距離よりも縁部515から遠くの距離で終端するように増大される。
【0048】
スロット500の深さは、構造体501内の金属ルーティング層の数に応じて変化し得る接地構造体501の厚さに依存して変化する。一実施形態では、スロット500の深さは、スロット500が接地構造体501内のすべての金属ルーティング層を通って延びることを確実にする。スロット500の幅は、ICを製造する場合に、スロット500が接地構造体を通って延びることを可能にするのに十分である。例えば、その幅は5〜10ミクロンの範囲であってもよい。
【0049】
図6は、一例による、図5の接地構造体501の上面図である。図5中の矢印は、リターン電流がソース320とトランスミッタ105C(例えば、シンク)との間で流れ得る異なる経路を示す。一般に、矢印の個々の厚さは、接地構造体501における電流の密度を示す。図示のとおり、リターン電流は、短絡端510の周りを流れる。さらに、リターン電流の大部分(例えば、最大電流密度)は、PLL110Bのインダクタ305の右側に位置する。すなわち、インダクタ305の下方に位置する接地構造体501の部分には、比較的、リターン電流がわずかしか流れない。例えば、インダクタ305の周囲の周りに少量のリターン電流が流れてもよい。このようにして、スロット500は、インダクタ305が結合される接地構造体501内の接地平面の部分またはその近くのリターン電流を緩和する。一実施形態では、インダクタ305の周囲またはインダクタ305の周りの隔離壁の周りにエッチングされた六角形のスロットまたはカットアウトホールが存在してもよく、それによって、リターン電流が直接的にインダクタ305の下に流れるのを防止するが、これらの特徴は必ずしも必要ではない。一実施形態では、スパイラルインダクタ305は、その差動レッグターミナルにおいてキャンセル電磁誘導電圧を経験する。
【0050】
図5および図6は、2つのスロット500の使用を示すが、一実施形態では、1つのスロットだけが使用されてもよい。例えば、接地構造体501は、ソース320をインダクタ305から切り離すスロット500Bのみ、またはインダクタ305をトランスミッタ105Cから切り離すスロット500Aのみを含んでもよい。そのようにすることは、スロットを使用しない、または2つの短絡端を有する図4に示されるスロット400を使用するよりも、より良い結果を提供するであろう。一実施形態では、両方のスロット500の使用は、インダクタ305に対してリターン電流を対称にし、このことは、スロット500のうちの1つのみが使用される場合に発生しない。例えば、もし、1つのスロット500のみが使用される場合、スロット500を通過した後、リターン電流の経路は制御されにくく、このことは、かなりの部分がインダクタ305またはその近くを通過するおそれがあることを意味する。すなわち、シンク325に至るより短い経路(例えば、最小のインピーダンスとなる経路)は、短絡端510の間にあり、そのことは、最も高い電流密度がインダクタ305の右に位置することを意味する。
【0051】
一実施形態では、インダクタ305は、トランスミッタ105Cおよびソース320から100〜1000ミクロンの間に位置してもよい。
【0052】
図7は、一例による、図6の接地構造体501におけるスロット500の断面図である。具体的には、図7は、図6に示すA−A線に従う断面図であるが、ソース320は省略されている。この例では、接地構造体501は、それらの層間に誘電体が配置され得る複数の金属ルーティング層705を含む。図示されていないが、接地構造体501は、金属ルーティング層705の間に延びて層705の間に相互接続を形成するビアを含んでもよい。
【0053】
接地構造体501は、シリコン基板715上に配置されている。シリコンが説明されるが、IC100は、任意の種類の半導体材料を含んでもよい。さらに、基板715は、他の層と同様に結晶半導体を含んでもよい。例えば、基板715は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)構造であってもよい。この実施形態では、接地構造体501に接触する基板715の部分は、アクティブ領域710を含む。一実施形態では、接地構造体501を形成する前に、アクティブ領域710が処理(例えば、ドープまたはエッチング)されて、トランジスタまたは他のアクティブ部品を含み得るアクティブデバイス720が形成される。この例では、アクティブデバイス720は、トランスミッタ105Cの一部を形成してもよい。例えば、アクティブデバイス720は、クロックネットワーク上にクロック信号をドライブするために使用されるMOSFETを含んでもよい。一実施形態では、接地構造体501は、シリコン基板715に最も近い金属ルーティング層705をアクティブ領域710内のアクティブデバイス720に接続するビアを含む。
【0054】
スロット500は、接地構造体501を通ってアクティブ領域710に達するところまで延びている。要求はされないが、一実施形態では、スロット500は、シリコン基板715内に延びることができる。いずれの場合においても、スロット500は、両側の金属ルーティング層705を電気的に絶縁する障壁を提供する。したがって、スロット500の一方の側の金属ルーティング層705に流れるリターン電流は、スロット500を通って他方の側の金属ルーティング層705に到達するように流れることができない。代わりに、リターン電流は、上述のようにスロット500の短絡端の周りを流れる。
【0055】
インダクタ305を形成する導電材料は、IC100の上面725に配置されている。したがって、インダクタ305は、シリコン基板715上に接地構造体501を形成した後に形成されることになる。さらに、図示されないが、追加のスロットがインダクタの周囲に続くインダクタのすぐ隣の接地構造体501に形成されてもよい。さらに、接地構造体501は、接地平面を形成する金属ルーティング層705にインダクタ305を結合する1つ以上のビアを含んでもよい。
【0056】
図8は、一例による、トランスインピーダンスに対してスロットが有する影響を示すチャート800である。プロット805は、トランスミッタ105Cがアクティブであるが接地構造体内にスロットがない場合に生じるインダクタ305の電圧の差を表す。プロット810は、トランスミッタ105Dがアクティブであるが接地構造体内にスロットがない場合に生じるインダクタ305の電圧の差を表す。プロット815は、トランスミッタ105Cがアクティブであり、図5および図6に示されるように接地構造体内にスロットが存在する場合に生じるインダクタ305の電圧の差を表す。プロット820は、トランスミッタ105Dがアクティブであり、図5および図6に示されるように接地構造体内にスロットが存在する場合に生じるインダクタ305の電圧の差を表す。
【0057】
プロット805および810と、プロット815および820との比較は、インダクタ305と、トランスミッタ105Cおよび105Cによって生じるリターン電流との間の結合をスロットが低減することを示している。したがって、インダクタ305に注入されるノイズが少ないので、ICの全体的な性能が向上され得る。これにより、インダクタ305に依存する下流側の任意の回路(例えば、図1のトランスミッタ105Aまたは105B)の機能が改善される。
【0058】
図9は、一例による、受動部品をリターン電流から隔離するために接地構造体にスロットを製造するための方法900のフローチャートである。ブロック905では、アクティブデバイスが半導体基板内のアクティブ領域内に形成される。一実施形態では、アクティブデバイスは、トランジスタを含むが、それに限定されない。アクティブデバイスは、複数の異なる処理ステップを使用して形成することができる。例えば、アクティブ領域は、アクティブデバイスを形成するためにドープおよびエッチングされてもよい。さらに、アクティブデバイスを形成するために、ポリシリコン、誘電体、金属などの追加の材料が、アクティブ領域上またはアクティブ領域内に堆積されてもよい。
【0059】
ブロック910では、複数の金属ルーティング層がアクティブ領域の上方に形成される。例えば、アクティブデバイスが形成された後、ICの他の領域への相互接続を提供するために、複数の金属ルーティング層がアクティブデバイス上に形成される。例えば、複数の金属ルーティング層は、ICのための電力グリッドまたは通信ネットワークを確立する接地構造体の一部であってもよい。
【0060】
一実施形態では、誘電体層は、複数の金属ルーティング層の間に交互配置される。しかしながら、接地構造体は、金属ルーティング層を相互接続する誘電体層を通って延びるビアを含むことができる。さらに、追加のビアを使用して、金属ルーティング層をアクティブ領域内のアクティブデバイスならびに金属ルーティング層の上に配置され得る部品に接続してもよい。
【0061】
ブロック915では、金属ルーティング層を通って延びる2つのスロットが形成される。一実施形態では、スロットは、複数の金属ルーティング層が形成されるブロック910と並列に形成される。すなわち、各金属ルーティング層が形成されたとき、層の部分は、2つのスロットを形成するために開いたままにされる。このようにして、2つのスロットが形成されると同時に、複数の金属ルーティング層が形成され得る。あるいは、別の実施形態では、スロットは、複数の金属ルーティング層が形成された後に、任意の適切なエッチング技術を使用して、複数の金属ルーティング層および誘電体層を除去し、それらの層の下にある半導体基板を露出させることによって、形成されてもよい。
【0062】
一実施形態では、スロットは、図5および図6に示されるように、金属ルーティング層の縁部で終端する一端(例えば、開放端)を有する一方、反対側の端部が金属ルーティング層内で終端する(例えば、短絡端)。
【0063】
ブロック920において、受動部品(例えば、コンデンサまたはインダクタ)が、金属ルーティング層の上方で、かつ、2つのスロットの間に形成される。上述のように、スロットは、受動部品の近くの金属ルーティング層を通って流れるリターン電流のネガティブな影響を低減し得る。これにより、リターン電流によって受動部品へ注入されるノイズを低減することができる。
【0064】
図面のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な例による、システム、方法、およびコンピュータプログラム製品の可能な実装の構造、機能、および動作を示す。この点に関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、モジュール、セグメント、または命令の一部を表し得るのであり、それらは、指定された論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能な命令を含む。いくつかの代替的な実装形態では、ブロックに示される機能は、図に示される記述の順序から外れて発生するかもしれない。例えば、連続して示される2つのブロックは、事実上、実質的に同時に実行される可能性があり、またはブロックは、関連する機能に応じて、時折、逆の順序で実行される可能性がある。ブロック図および/またはフローチャート図の各ブロック、ならびに、ブロック図および/またはフローチャート図のブロックの組み合わせは、指定された機能または行為を遂行するか、または、専用ハードウエアとコンピュータ命令との組み合せを実行する、専用ハードウエア−ベースのシステムによって実装され得ることにも留意されたい。
【0065】
上述した点は、特定の例に向けられているが、他の例およびさらなる例は、その基本的な範囲から逸脱することなく創作されることができ、その範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9