(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記水溶性溶剤の割合が、前記水性インクジェット用インク組成物中、15質量%以上60質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の水性インクジェット用インク組成物。
前記水溶性溶剤が、モノアルコール類、多価アルコール類、多価アルコールの低級アルキルエーテル類、及び窒素含有化合物類からなる群より選ばれる1つ以上である溶剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水性インクジェット用インク組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の水性インクジェット用インク組成物は、顔料、アルカリ可溶性樹脂、界面活性剤、水溶性溶剤、コロイダルシリカ、及び水を含有する。
【0014】
<顔料>
本発明の顔料は、インクジェット用インク組成物に使用される有機顔料や無機顔料を特に制限なく使用することができる。前記有機顔料としては、例えば、染料レーキ顔料、アゾ系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、インジゴ系顔料、チオインジコ系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、イソインドリノン系顔料、ニトロ系顔料、ニトロソ系顔料、ラバンスロン系顔料、キノフタロン系顔料、ピランスロン系顔料、インダンスロン系顔料等が挙げられる。また、前記無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、亜鉛華、ベンガラ、黒鉛、鉄黒、酸化クロムグリーン、水酸化アルミニウム等が挙げられる。前記顔料は、公知の表面処理剤により表面処理されたものであってもよい。前記顔料は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0015】
前記顔料の代表的な色相ごとの具体例としては、以下のものが挙げられる。
【0016】
イエロー顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、42、73、74、75、81、83、87、93、95、97、98、108、109、114、120、128、129、138、139、150、151、155、166、180、184、185、213等が挙げられる。
【0017】
マゼンタ顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 5、7、12、22、38、48:1、48:2、48:4、49:1、53:1、57、57:1、63:1、101、102、112、122、123、144、146、149、168、177、178、179、180、184、185、190、202、209、224、242、254、255、270、C.I.Pigment Violet 19等が挙げられる。
【0018】
シアン顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、18、22、27、29、60等が挙げられる。
【0019】
ブラック顔料としては、例えば、カーボンブラック(C.I.Pigment Black 7)等が挙げられる。
【0020】
ホワイト顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム等が挙げられ、アルミナ、シリカ等の種々の材料で表面処理されていてもよい。
【0021】
<アルカリ可溶性樹脂>
本発明のアルカリ可溶性樹脂は、通常のインクや塗料の顔料分散用やバインダーとして利用できるアルカリ可溶性樹脂であって、塩基性化合物の存在下で水性媒体中に溶解できるものであれば特に制限はないが、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基(−P(=O)(OH
2))等のアニオン性基の1種又は2種以上を含有する樹脂が好ましい。
【0022】
前記アルカリ可溶性樹脂は、さらに、主に顔料との吸着性を向上させるための疎水性部分を分子中に有することが好ましい。分子内に導入する疎水性部分としては、例えば、長鎖アルキル基、脂環族、芳香族の環状炭化水素基等の疎水性基が挙げられる。
【0023】
前記アルカリ可溶性樹脂の酸価は、水性媒体への溶解性を高める観点から、40mgKOH/g以上であることが好ましく、70mgKOH/g以上であることがより好ましい。また、前記アルカリ可溶性樹脂の酸価は、印刷物の耐水性を向上させる観点から、300mgKOH/g以下であることが好ましく、250mgKOH/g以下であることがより好ましい。なお、前記酸価は、アルカリ可溶性樹脂を合成するために用いる単量体の組成に基づいて、アルカリ可溶性樹脂1gを中和するのに理論上要する水酸化カリウムのmg数を算術的に求めた理論酸価である。
【0024】
前記アルカリ可溶性樹脂のガラス転移温度は、印刷物の耐ブロッキング性を向上させる観点から、0℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましい。前記アルカリ可溶性樹脂のガラス転移温度は、印刷物の耐折り曲げ性を向上させる観点から、100℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましい。
【0025】
前記アルカリ可溶性樹脂のガラス転移温度は、アルカリ可溶性樹脂がアクリル系共重合体樹脂の場合、下記のwoodの式により求めた理論ガラス転移温度である。
Woodの式:1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+・・・・・+Wx/Tgx
[式中、Tg1〜Tgxはアルカリ可溶性樹脂を構成する単量体1、2、3・・・xのそれぞれの単独重合体のガラス転移温度、W1〜Wxは単量体1、2、3・・・xのそれぞれの重合分率、Tgは理論ガラス転移温度を表す。ただし、woodの式におけるガラス転移温度は絶対温度である。]
【0026】
前記アルカリ可溶性樹脂のガラス転移温度は、アルカリ可溶性樹脂がアクリル系共重合体樹脂以外の場合、熱分析により求めた理論ガラス転移温度である。熱分析の方法としては、JIS K7121(プラスチックの転移温度測定方法)に準じ、一例として、パーキンエルマー社製Pyris1 DSCを用いて、昇温速度20℃/分、窒素ガス流速20ミリリットル/分の条件下でガラス転移温度を測定することができる。
【0027】
前記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、印刷物の耐水性を向上させる観点から、5,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましい。前記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、水性媒体への溶解性を高める観点から、100,000以下であることが好ましく、50,000以下であることがより好ましい。
【0028】
前記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。一例として、GPC装置としてWater2690(ウォーターズ社製)、カラムとしてPLgel、5μ、MIXED−D(Polymer Laboratories社製)を使用して、展開溶媒としてテトラヒドロフラン、カラム温度25℃、流速1ミリリットル/分、RI検出器、試料注入濃度10ミリグラム/ミリリットル、注入量100マイクロリットルの条件下、クロマトグラフィーを行ない、ポリスチレン換算の重量平均分子量として求めることができる。
【0029】
前記アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、アクリル系共重合樹脂、マレイン酸系共重合樹脂、縮重合反応によって得られるポリエステル樹脂、及びポリウレタン樹脂等が挙げられる。この様なアルカリ可溶性樹脂を合成するための材料については、例えば、特開2000−94825号公報に開示されており、該公報に記載されている材料を使用して得られるアクリル系共重合樹脂、マレイン酸系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が利用可能である。さらには、これら以外のその他の材料を用いて得られた樹脂も利用可能である。前記アルカリ可溶性樹脂は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0030】
前記アクリル系共重合樹脂としては、例えば、アニオン性基含有単量体と共重合可能な他の単量体の混合物を通常のラジカル発生剤(例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ターシャリブチルパーオキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル等)の存在下、溶媒中で重合して得られるものが使用できる。
【0031】
前記アニオン性基含有単量体としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオン性基を有する単量体が挙げられ、これらの中でも、カルボキシル基を有する単量体が特に好ましい。
【0032】
前記カルボキシル基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、無水マレイン酸、無水フマール酸、マレイン酸ハーフエステル等が挙げられる。また、前記スルホン酸基を有する単量体としては、例えば、スルホエチルメタクリレート等が挙げられる。また、前記ホスホン酸基を有する単量体としては、例えば、ホスホノエチルメタクリレート等が挙げられる。
【0033】
前記アニオン基含有単量体と共重合可能な他の単量体としては、顔料との吸着性を向上させる観点から、疎水性基含有単量体を含むことが好ましい。
【0034】
前記疎水性基含有単量体としては、例えば、長鎖アルキル基を有する単量体として、(メタ)アクリル酸等のラジカル重合性不飽和カルボン酸の炭素数が8以上のアルキルエステル類(例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシステアリル(メタ)アクリレート等)、炭素数が8以上のアルキルビニルエーテル類(例えば、ドデシルビニルエーテル等)、炭素数が8以上の脂肪酸のビニルエステル類(例えば、ビニル2−エチルヘキサノエート、ビニルラウレート、ビニルステアレート等);脂環族炭化水素基を有する単量体として、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等;芳香族炭化水素基を有する単量体として、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系単量体等が挙げられる。前記疎水性基含有単量は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0035】
前記アニオン性基含有単量体と共重合可能な他の単量体としては、水性媒体中でアルカリ可溶性樹脂の凝集を抑制する観点から、親水性基含有単量体を含むことができる。
【0036】
前記親水性基含有単量体としては、例えば、(ポリ)オキシアルキレン鎖を有する単量体として、メトキシポリエチレングリコール、メトキシポリエチレンポリプロピレングリコール、エトキシポリエチレングリコール、エトキシポリエチレンポリプロピレングリコール、プロポキシポリエチレングリコール、プロポキシポリエチレンポリプロピレングリコール等の片末端アルキル封鎖(ポリ)アルキレングリコールと(メタ)アクリル酸等のラジカル重合性不飽和カルボン酸とのエステル化物や、(メタ)アクリル酸等のラジカル重合性不飽和カルボン酸へのエチレンオキシド付加物及び/又はプロピレンオキシド付加物等;塩基性基含有単量体として、例えば、1−ビニル−2−ピロリドン、1−ビニル−3−ピロリドン等のビニルピロリドン類、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、5−メチル−2−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン等のビニルピリジン類、1−ビニルイミダゾール、1−ビニル−2−メチルイミダゾール等のビニルイミダゾール類、3−ビニルピペリジン、N−メチル−3−ビニルピペリジン等のビニルビペリジン類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸第3ブチルアミノエチル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシ(メタ)アクリルアミド、N−エトキシ(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド等の(メタ)アクリル酸の含窒素誘導体類等;水酸基を有する単量体として、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類等;エポキシ基を有する単量体として、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。前記親水性基含有単量体は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0037】
前記疎水性基含有単量体、及び親水性基含有単量体以外の共重合可能な他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル等の(メタ)アクリル酸の炭素数が8未満のアルキルエステル類等が挙げられる。前記疎水性基含有単量体、及び親水性基含有単量体以外の共重合可能な他の単量体は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0038】
<界面活性剤>
本発明の界面活性剤は、HLB値が3以上10未満である界面活性剤(A)と、HLB値が10以上20以下である界面活性剤(B)を含む。ここで、HLB値とは、グリフィン法によって算出される界面活性剤の親水性と親油性の程度を表す指標であり、HLB値が小さいほど親油性が高く、HLB値が大きいほど親水性が高いことを示す。前記界面活性剤(A)及び前記界面活性剤(B)は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0039】
前記界面活性剤(A)及び前記界面活性剤(B)は、上記の各HLB値を満たせば、水性インクジェット用インク組成物に使用される公知の界面活性剤が特に制限なく使用でき、例えば、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ベタイン界面活性剤が挙げられる。前記界面活性剤の具体例としては、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アセチレン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも、吐出安定性、及び耐ハジキ性を向上させる観点から、アセチレン系界面活性剤が好ましい。
【0040】
前記界面活性剤(A)としては、例えば、商品名:「サーフィノール104E」、「サーフィノール104H」、「サーフィノール104A」、「サーフィノール104BC」、「サーフィノール104DPM」、「サーフィノール104PA」、「サーフィノール104PG−50」、「サーフィノール420」、「サーフィノール440」、「オルフィンE1004」(以上、日信化学工業社製)等が挙げられる。
【0041】
前記界面活性剤(B)としては、例えば、商品名:「サーフィノール465」、「サーフィノール485」、「オルフィンE1010」、「オルフィンE1020」(以上、日信化学工業社製)等が挙げられる。
【0042】
<水溶性溶剤>
本発明の水溶性溶剤は、沸点が1気圧下で170℃以上250℃以下である。
【0043】
前記水溶性溶剤は、沸点が1気圧下で170℃以上250℃以下であれば、水性インクジェット用インク組成物に使用される公知の水溶性溶剤が特に制限なく使用でき、例えば、モノアルコール類、多価アルコール類、多価アルコールの低級アルキルエーテル類、窒素含有化合物類等が挙げられる。
【0044】
前記水溶性溶剤としては、例えば、1−オクタノール(沸点195℃)、2−エチルヘキサノール(沸点184℃)、プロピレングリコール(沸点188℃)、1、2−ブタンジオール(沸点197℃)、エチレングリコール(沸点197℃)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(沸点174℃)、ジエチレングリコール(沸点245℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点188℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点175℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点196℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点231℃)、N−メチルピロリドン(202℃)、2−ピロリドン(245℃)等が挙げられる。
【0045】
本発明の水性インクジェット用インク組成物は、前記水溶性溶剤以外の、水性インクジェット用インク組成物に使用される公知の溶剤(その他の溶剤)を含んでいてもよい。
【0046】
<コロイダルシリカ>
本発明のコロイダルシリカは、SiO
2の化学組成式で示されるシリカ粒子が、媒体に分散してコロイドを形成した状態のものである。媒体としては、例えば、水、メタノ−ル、エタノ−ル、i−プロピルアルコ−ル、n−ブタノ−ル、キシレン、ジメチルホルムアミド、等が挙げられる。また、前記コロイダルシリカは、シリカ粒子の表面が、シラン化合物等の表面処理剤で修飾されたものであってもよい。前記コロイダルシリカは、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0047】
前記コロイダルシリカは、平均粒子径が3〜100nmであることが好ましく、5〜30nmであることがより好ましい。前記平均粒子径は、平均一次粒子径であり、動的光散乱法によって測定される体積基準粒度分布のメジアン径(D50)で示される。また、前記コロイダルシリカの形状としては、粒子状、鎖状、パールネックレス状等が挙げられる。
【0048】
前記コロイダルシリカの市販品としては、例えば、商品名:「スノーテックスXS」、「スノーテックスS」、「スノーテックス30」、「スノーテックス50T」、「スノーテックス30L」、「スノーテックスYL」、「スノーテックスZL」、「スノーテックスMP1040」、「スノーテックスUP」、「スノーテックスPS−S」、「スノーテックスPS−M」、「スノーテックスOXS」、「スノーテックスOS」、「スノーテックスO」、「スノーテックスO−40」、「スノーテックスOL」、「スノーテックスOYL」、「スノーテックスOUP」、「スノーテックスPS−SO」、「スノーテックスPS−MO」、「スノーテックスNXS」、「スノーテックスNS」、「スノーテックスN」、「スノーテックスN−40」、「スノーテックスCXS」、「スノーテックスC」、「スノーテックスCM」、「スノーテックスAK」、「スノーテックスAK−L」、「スノーテックスAK−Y」、「オルガノシリカゾルEG−ST」、「オルガノシリカゾルPMG−ST」、「オルガノシリカゾルIPA−ST」(以上、日産化学社製)、「Levasil CC151」、「Levasil CC301」、「Levasil CC401」、「Levasil CC503」(以上、Nouryon社製)等が挙げられる。
【0049】
<水>
本発明の水は、後述する顔料分散液中に含有する水性媒体としての水、及び本発明の水性インクジェット用インク組成物の濃度調製のために加える水、等を含むものである。前記水としては、例えば、イオン交換水、純水、蒸留水、工業用水等が挙げられる。前記水は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0050】
以下、本発明の水性インクジェット用インク組成物中の各成分の割合について説明する。
【0051】
本発明の水性インクジェット用インク組成物中の前記顔料の割合は、印刷物の印画濃度を向上させる観点から、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、そして、吐出安定性を向上させる観点から、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましい。ただし、前記顔料が白色顔料である場合、本発明の水性インクジェット用インク組成物中の前記白色顔料の割合は、4質量%以上であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましく、そして、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
【0052】
前記アルカリ可溶性樹脂の含有量は、前記顔料100質量部に対して、顔料の分散性を高める観点から、5質量部以上であることが好ましく、15質量部以上であることがより好ましい。前記アルカリ可溶性樹脂の含有量は、前記顔料100質量部に対して、水性インクジェット用組成物の粘度を低下させる観点から、100質量部以下であることが好ましく、80質量部以下であることがより好ましく、60質量部以下であることがさらに好ましい。
【0053】
本発明の水性インクジェット用インク組成物中の前記界面活性剤(A)の割合は、吐出安定性を向上させる観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.4質量%以上であることがさらに好ましく、そして、保存安定性を向上させる観点から、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。
【0054】
本発明の水性インクジェット用インク組成物中の前記界面活性剤(B)の割合は、吐出安定性及び保存安定性を向上させる観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.4質量%以上であることがさらに好ましく、そして、保存安定性を向上させる観点から、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。
【0055】
本発明の水性インクジェット用インク組成物中の前記水溶性溶剤の割合は、吐出安定性を向上させる観点から、15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、そして、塗膜乾燥性を向上させる観点から、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。
【0056】
本発明の水性インクジェット用インク組成物中の前記コロイダルシリカの割合は、0.05質量%以上2質量%以下である。本発明の水性インクジェット用インク組成物中の前記コロイダルシリカの割合は、保存安定性、吐出安定性、及び耐ハジキ性を向上させる観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、そして、保存安定性、機械的安定性、吐出安定性、及び耐ハジキ性を向上させる観点から、1.5質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましく、0.8質量%以下であることがさらに好ましい。
【0057】
本発明の水性インクジェット用インク組成物中の前記水(各成分に含有する水を含む)の割合は、塗膜乾燥性を向上させる観点から、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、そして、吐出安定性を向上させる観点から、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましい。
【0058】
<樹脂エマルジョン>
本発明の水性インクジェット用インク組成物は、塗膜乾燥性及び耐ハジキ性を向上させる観点から、樹脂エマルジョンを含むことが好ましい。前記樹脂エマルジョンは、水性インクジェット用インク組成物に使用される公知の樹脂エマルジョンが使用でき、例えば、アクリル系樹脂エマルジョン、スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、ポリエステル系樹脂エマルジョン、ポリウレタン系樹脂エマルジョン、ポリ酢酸ビニル系樹脂エマルジョン、ポリ塩化ビニル系樹脂エマルジョン、ポリブタジエン系樹脂エマルジョン、ポリオレフィン系樹脂エマルジョン等が挙げられる。前記樹脂エマルジョンは、印刷物の塗膜の乾燥性や基材への密着性を向上させる観点から、樹脂のガラス転移温度が20℃以下であることが好ましい。なお、ガラス転移温度は、製造元のカタログ値が参考となるが、これが入手できない場合、示差走査熱量測定(DSC)によって求められ、通常、ガラス転移が起こる温度範囲の中点により算出される。前記樹脂エマルジョンは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0059】
前記樹脂エマルジョンの(樹脂)固形分の割合は、水性インクジェット用インク組成物中、印刷画質及び耐擦過性を向上させる観点から、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることが好ましく、そして、印刷画質及び保存安定性を向上させる観点から、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
【0060】
<塩基性化合物>
本発明の水性インクジェット用インク組成物には、アルカリ可溶性樹脂を溶解させる観点から、塩基性化合物を含むことが好ましい。前記塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基性化合物;アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、モノエタノールアミン、N、N−ジメチルエタノールアミン、N、N−ジエチルエタノールアミン、N、N−ジブチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等の有機塩基性化合物等が挙げられる。前記塩基性化合物は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0061】
本発明の水性インクジェット用インク組成物中の前記塩基性化合物の割合は、前記アルカリ可溶性樹脂を媒体中に溶解させる量であればよいが、通常、アルカリ可溶性樹脂の分散安定性を高める観点から、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、そして、印刷物の耐水性を高める観点から、1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。
【0062】
本発明の水性インクジェット用インク組成物には、さらに、目的に応じて公知の樹脂、樹脂エマルジョン、ワックスエマルション、顔料分散剤、防黴剤、防錆剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、保存性向上剤、消泡剤、pH調整剤等の添加剤を添加することができる。
【0063】
<水性インクジェット用インク組成物の調製方法>
本発明の水性インクジェット用インク組成物を調製(製造)する方法としては、特に限定されず、上記の成分を順番に、あるいは同時に添加して、混合すればよいが、例えば、(1)前記塩基性化合物の存在下にアルカリ可溶性樹脂を水に溶解した水性樹脂ワニス、顔料、必要に応じて顔料分散剤等を混合した後、各種分散機、例えばボールミル、アトライター、ロールミル、サンドミル、アジテーターミル等を利用して顔料分散液(インクベース)を調製し、さらに残りの材料を添加して、水性インクジェット用インク組成物を調製する方法や、(2)上記の方法で顔料を分散した後、酸析法や再公表特許WO2005/116147号公報に記載のイオン交換手段等により、顔料表面にアルカリ可溶性樹脂を析出させた樹脂被覆顔料を得、次いで得られた樹脂被覆顔料を塩基性化合物で中和し、各種分散機(高速攪拌装置等)を用いて水に再分散し、さらに残りの材料を添加して、水性インクジェット用インク組成物を調製する方法等が挙げられる。
【0064】
本発明の水性インクジェット用インク組成物は、製造後の初期粘度が2.0〜15.0mPa・s、好ましくは3.0〜12.0mPa・sの範囲である。粘度は、例えば、E型粘度計(商品名「RE100L型粘度計」、東機産業社製)により測定できる。
【0065】
<印刷物>
本発明の印刷物は、前記水性インクジェット用インク組成物を印刷して得られる。具体的には、前記水性インクジェット用インク組成物を、基材にインクジェット印刷機を用いて塗工(印刷)して得られる。
【0066】
前記基材としては、例えば、アート紙、インクジェット専用紙、インクジェット光沢紙等のコート紙、ポリプロピレンフィルムやポリ塩化ビニルシートのようなプラスチック系基材等の非吸収性印刷媒体;普通紙、オフセット紙等の未コート紙;綿等の布帛等が挙げられる。とくに、本発明の水性インクジェット用インク組成物は、耐ハジキ性に優れるため、非吸収性印刷媒体のなかでも、プラスチック系基材に好適である。
【0067】
<インクジェット印刷方法>
本発明のインクジェット印刷方法は、従来公知の条件が適宜採用できるが、例えば、前記水性インクジェット用インク組成物をインクカートリッジに収容し、該インクカートリッジをシングルパス方式等のインクジェット記録装置に装着して、ノズルから基材へ噴射することによりインクジェット印刷をする方法が挙げられる。
【実施例】
【0068】
以下に本発明を実施例等によって説明するが、本発明はこれらのみに限定されない。
【0069】
<製造例1>
<顔料分散液(ブラックインクベース)の製造>
アルカリ可溶性樹脂(アクリル酸/n−ブチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体)、重量平均分子量30,000、酸価185mgKOH/g、ガラス転移温度40℃)20質量部を、水酸化カリウム2.5質量部と水77.5質量部との混合溶液に溶解させて、アルカリ可溶性樹脂の固形分が20質量%の水性樹脂ワニスを得た。
次に、上記水性樹脂ワニス23.7質量部に水64.3質量部を加え混合し、顔料分散用樹脂ワニスを調製した。この顔料分散用樹脂ワニスに、更に顔料としてカーボンブラック(商品名「プリンテックス90」、デグサ社製)12質量部を加え、攪拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行い、製造例1のブラック顔料分散液(ブラックインクベース)を製造した。
【0070】
<製造例2〜4>
<顔料分散液(イエロー、マゼンダ、及びシアンインクベース)の製造>
製造例1に記載のカーボンブラック(商品名「プリンテックス90」、デグサ社製)の替わりに、イエロー顔料(商品名「ノバパームイエロー4G01」、クラリアント社製)、マゼンタ顔料(商品名「インクジェットマゼンタE5B02」、クラリアント社製)、又はシアン顔料(商品名「ヘリオゲンブルーL7101F」、BASF社製)を使用したこと以外は、製造例1と同様の方法を行い、製造例2のイエロー顔料分散液(イエローインクベース)、製造例3のマゼンダ顔料分散液(マゼンダインクベース)、及び製造例4のシアン顔料分散液(シアンインクベース)を製造した。
【0071】
<製造例5>
<顔料分散液(ホワイトインクベース)の製造>
製造例1に記載の水性樹脂ワニス40.0質量部に水20.0質量部を加え混合し、顔料分散用樹脂ワニスを調製した。この顔料分散用樹脂ワニスに、更に顔料として酸化チタン(商品名「R−960」、デュポン社製)40質量部を加え、攪拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行い、製造例5のホワイト顔料分散液(ホワイトインクベース)を製造した。
【0072】
<実施例1>
<水性インクジェット用インク組成物の製造>
表1の質量割合になるように、前記ブラック顔料分散液(ブラックインクベース)、水溶性溶剤としてプロピレングリコール、界面活性剤(A)としてアセチレン系界面活性剤(商品名「オルフィンE1004」、固形分(有効成分)100%、HLB8、日信化学工業社製)、界面活性剤(B)としてアセチレン系界面活性剤(商品名「オルフィンE1010」、固形分(有効成分)100%、HLB13、日信化学工業社製)、コロイダルシリカとしてコロイダルシリカ(商品名「スノーテックス30」、固形分30%、粒子径12nm、Na
+安定型アルカリ性ゾル、日産化学工業社製)、樹脂エマルジョンとしてスチレン−アクリル系樹脂エマルジョン(商品名「Neocryl A−1092」、固形分48.5%、ガラス転移温度6℃、DSM社製)、及び水を攪拌混合し、実施例1の水性インクジェット用インク組成物を製造した。
【0073】
<実施例2〜26、比較例1〜9>
<水性インクジェット用インク組成物の製造>
各実施例及び各比較例において、使用する原料及びその量を、表1−4に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、各実施例及び各比較例の水性インクジェット用インク組成物を製造した。
【0074】
<水性インクジェット用インク組成物の評価>
以下の方法により評価し、それらの結果を表1−4に示す。なお、以下の評価において、1つでも×があるインク組成物は不合格とする。
【0075】
<保存安定性>
上記で製造した水性インクジェット用インク組成物をそれぞれガラス瓶にとり、25℃の粘度(mPa・s)を、粘度計(東機産業社製、「RE100L型」)を用いて測定した。その後、密栓し60℃、1ヵ月保存し、保存後の粘度(25℃)を粘度計により測定した。保存安定性は、粘度変化率(60℃、(1ヵ月後の粘度−保存前の粘度)/保存前の粘度)で評価した。
[保存安定性の評価基準]
○:粘度変化率が5%未満である。
△:粘度変化率が5%以上、10%未満である。
×:粘度変化率が10%以上である。
【0076】
<機械的安定性>
上記で製造した水性インクジェット用インク組成物について、それぞれポリ容器にとり、25℃の水浴中でダイヤフラムポンプ(KNF社製、NF60)を用いて500サイクル循環送液した。循環後のインクを目開き150のポリエステルメッシュでろ過し、残差を目視評価した。
[機械的安定性の評価基準]
○:残差がないもの。
△:わずかに残差がみられるもの。
×:多量に残差がみられるもの。
【0077】
<吐出安定性>
上記で製造した水性インクジェット用インク組成物をインクジェットプリンター(「PX105」、エプソン社製)のカートリッジに詰めて、写真用紙(「GL−101A450」、キャノン社製)に印字を行い、吐出安定性の評価を行った。
[吐出安定性の評価基準]
○:印字の乱れがほとんどなく、安定して吐出できる。
△:多少の印字の乱れがあるものの、吐出はできる。
×:印字の乱れがあり、安定して吐出できない。
【0078】
<塗膜乾燥性>
上記で製造した水性インクジェット用インク組成物をインクジェットプリンター(「PX105」、エプソン社製)のカートリッジに詰めて、OKトップコート紙(王子製紙社製)に印字を行い、印刷物を80℃で3分放置してインクを乾燥させ、印字部を綿棒でこすって、塗膜乾燥性を評価した。
[塗膜乾燥性の評価基準]
○:綿棒にインクが全く付着しない。
△:綿棒にインクが少量付着する。
×:綿棒にインクが多量に付着する。
【0079】
<耐ハジキ性>
上記で製造した水性インクジェット用インク組成物を、0.15mmバーコーターによりOPPフィルム(P2161、25μm、東洋紡社製)上に塗布し、目視観察することにより、耐ハジキ性を評価した。
[耐ハジキ性の評価基準]
○:ハジキがなく均一に塗布できる。
△:僅かにハジキがあるものの塗布できる。
×:ハジキが発生し明らかに均一塗布できない。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】
【表3】
【0083】
【表4】
【0084】
表1−4中、プロピレングリコールは、沸点:188℃;
ジプロピレングリコールジメチルエーテルは、沸点:175℃;
ジエチレングリコールモノブチルエーテルは、沸点:231℃;
エチレングリコールモノメチルエーテルは、沸点:124℃;
トリプロピレングリコールモノブチルエーテルは、沸点:274℃;を示す。
【0085】
また、表1−4中、
オルフィンE1004は、アセチレン系界面活性剤(固形分(有効成分):100%、HLB:8、日信化学工業社製);
サーフィノール104Eは、アセチレン系界面活性剤(固形分(有効成分):50%、HLB:4、日信化学工業社製);
オルフィンE1010は、アセチレン系界面活性剤(固形分(有効成分):100%、HLB:13、日信化学工業社製);
サーフィノール485は、アセチレン系界面活性剤(固形分(有効成分):100%、HLB:17、日信化学工業社製);
スノーテックス30は、コロイダルシリカ(固形分:30%、粒子径:12nm、Na
+安定型アルカリ性ゾル、日産化学社製);
スノーテックスXSは、コロイダルシリカ(固形分:20%、粒子径:5nm、Na
+安定型アルカリ性ゾル、日産化学社製);
スノーテックスOは、コロイダルシリカ(固形分:20%、粒子径:12nm、酸性ゾル、日産化学社製);
スノーテックスNは、コロイダルシリカ(固形分:20%、粒子径:12nm、NH
4+安定型アルカリ性ゾル、日産化学社製);
スノーテックスCは、コロイダルシリカ(固形分:20%、粒子径:12nm、中性域安定型ゾル、日産化学社製);
Levasil CC151は、コロイダルシリカ(固形分:15%、粒子径:5nm、シラン改質コロイダルシリカ、Nouryon社製);
Levasil CC301は、コロイダルシリカ(固形分:28%、粒子径:7nm、シラン改質コロイダルシリカ、Nouryon社製);
Levasil CC401は、コロイダルシリカ(固形分:37%、粒子径:12nm、シラン改質コロイダルシリカ、Nouryon社製);
Levasil CC503は、コロイダルシリカ(固形分:50%、粒子径:34nm、シラン改質コロイダルシリカ、Nouryon社製);
Neocryl A−1092(固形分:48.5%、スチレン−アクリル系エマルジョン、DSM社製、ガラス転移温度:6℃);を示す。
【解決手段】顔料、アルカリ可溶性樹脂、界面活性剤、水溶性溶剤、コロイダルシリカ、及び水を含有する水性インクジェット用インク組成物であって、前記界面活性剤は、HLB値が3以上10未満である界面活性剤(A)と、HLB値が10以上20以下である界面活性剤(B)を含み、前記水溶性溶剤は、沸点が1気圧下で170℃以上250℃以下であり、前記コロイダルシリカの割合は、前記水性インクジェット用インク組成物中、0.05質量%以上2質量%以下である水性インクジェット用インク組成物。