特許第6952215号(P6952215)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6952215スペースクラフト、ランチャ、およびスペースクラフトのスタック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6952215
(24)【登録日】2021年9月29日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】スペースクラフト、ランチャ、およびスペースクラフトのスタック
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/10 20060101AFI20211011BHJP
   B64G 1/66 20060101ALI20211011BHJP
【FI】
   B64G1/10
   B64G1/66 C
【請求項の数】16
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2021-510151(P2021-510151)
(86)(22)【出願日】2019年8月12日
(65)【公表番号】特表2021-526998(P2021-526998A)
(43)【公表日】2021年10月11日
(86)【国際出願番号】EP2019071540
(87)【国際公開番号】WO2020038748
(87)【国際公開日】20200227
【審査請求日】2021年4月15日
(31)【優先権主張番号】1857621
(32)【優先日】2018年8月23日
(33)【優先権主張国】FR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517342903
【氏名又は名称】エアバス・ディフェンス・アンド・スペース・エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】カエル,フィリップ
【審査官】 塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−308199(JP,A)
【文献】 特表2005−514270(JP,A)
【文献】 特開平6−284061(JP,A)
【文献】 特表2018−535136(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0158357(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第1247741(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/10
B64G 1/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペースクラフト(28,98,108〜122)であって、
支持構造(30)と、
少なくとも1つのメイン通信アンテナ(52,54)と、を備えており、
前記支持構造(30)は、(i)互いに離間して平行に配置された2つの基壁(32,34)と、(ii)前記基壁に固定された少なくとも3つの平坦な側壁(36,38,40,42)と、を有しており、
前記少なくとも1つのメイン通信アンテナ(52,54)は、
少なくとも1つの平坦な側壁(36,38,40,42)によって保持された少なくとも1つの放射素子(62)と、
展開位置と収納位置との間において移動可能な可動アーム(60)と、
前記可動アームによって保持されたリフレクタ(58)と、を備えており、
前記少なくとも1つの放射素子(62)は、放射中心軸(A−A)を有しており、かつ、無線周波の放射または受信が可能であり、
前記リフレクタ(58)は、前記可動アーム(60)が展開位置にある場合に、放射方向(D)における無線周波の反射または受信に適しており、
前記少なくとも1つの放射素子(62)を保持する前記少なくとも1つの側壁(36,38,40,42)に対して、前記放射素子の前記放射中心軸(A−A)が直交するように、前記少なくとも1つの放射素子(62)が前記少なくとも1つの側壁(36,38,40,42)に固定されており、
前記可動アーム(60)が展開位置にある場合に、前記少なくとも1つの放射素子(62)を保持する少なくとも1つの側壁(36,38,40,42)と前記放射方向(D)との間に、25°〜65°のオフセット角度(β)を成すように、前記可動アーム(60)が形成されている、スペースクラフト(28,98,108〜122)。
【請求項2】
前記オフセット角度(β)は、35°〜55°である、請求項1に記載のスペースクラフト(28,98,108〜122)。
【請求項3】
前記オフセット角度(β)は、45°に等しい、請求項2に記載のスペースクラフト(28,98,108〜122)。
【請求項4】
互いに直接的に取り付けられた隣接する2つの平坦な側壁(40,42)のそれぞれは、前記側壁(40,42)と直交する放射中心軸(A−A)を有する少なくとも1つの放射素子(62)を保持する、請求項1から3のいずれか1項に記載のスペースクラフト(28,98,108〜122)。
【請求項5】
前記支持構造(30)は、前記基壁(32,34)と平行に延在する断面において正方形断面を有するように互いに垂直に固定された4つの平坦な側壁(36,38,40,42)を有しており、
前記可動アーム(60)が展開位置にある場合に、前記正方形断面の対向する2つのコーナーを結ぶ対角線(D)が、前記リフレクタ(58)の前記放射方向(D)に沿って延在している、請求項1から4のいずれか1項に記載のスペースクラフト(28,98,108〜122)。
【請求項6】
基壁(32,34)によって保持された少なくとも1つのメインラジエータ(44,46)と、
流体によって熱を輸送するための少なくとも1つのL字形のデバイス(70,71,72,73,74,75)を有する熱輸送デバイス(68)と、をさらに備えており、
熱を輸送するための前記デバイス(70,71,72,73,74,75)は、
前記メインラジエータ(44,46)を保持する前記基壁(32,34)と直接的に熱接触する第1直線部(77)と、
単一の屈曲部(78)と、
(i)前記少なくとも1つの放射素子(62)、および、(ii)前記少なくとも1つの放射素子を保持する前記平坦な側壁(40,42)と、直接的に熱接触する第2直線部(80)と、を有している、請求項1から5のいずれか1項に記載のスペースクラフト(28,98,108〜122)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの放射素子を保持する前記平坦な側壁(40,42)は、少なくとも1つの側方カットアウト(82,83)を有しており、
熱を輸送するための前記デバイスの前記屈曲部(78)は、前記側方カットアウト(82,83)と係合しており、
前記第2直線部(80)は、前記少なくとも1つの放射素子(62)を保持する前記平坦な側壁(40,42)の外面(76)の上に延在している、請求項6に記載のスペースクラフト(28,98,108〜122)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの放射素子(62)に送信される電気信号の増幅に適した少なくとも1つの電子増幅コンポーネント(63)と、
前記少なくとも1つの放射素子(62)および前記少なくとも1つの電子増幅コンポーネント(63)を含むハウジング(56)と、を備えている、請求項1から7のいずれか1項に記載のスペースクラフト(28,98,108〜122)。
【請求項9】
基壁(32,34)によって保持された少なくとも1つのメインラジエータ(44,46)と、
少なくとも1つのオグジュアリラジエータ(100)と、を備えており、
前記少なくとも1つのオグジュアリラジエータ(100)は、(i)前記オグジュアリラジエータが前記メインラジエータ(44,46)と平行にかつ隣接して配置されている収納位置と、(ii)前記オグジュアリラジエータ(100)が実質的に前記メインラジエータ(44,46)の延長部として延在している展開位置と、の間において回動するように取り付けられている、請求項1から5のいずれか1項に記載のスペースクラフト(28,98,108〜122)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのオグジュアリラジエータ(100)の概略的な形状は、三角形である、請求項9に記載のスペースクラフト(28,98,108〜122)。
【請求項11】
前記三角形の複数の頂点の内の1つは、(i)先端が切り落とされた形状を有しており、かつ、(ii)前記メインラジエータ(44,46)に対して回動するように取り付けられたエッジ(102)を画定する、請求項10に記載のスペースクラフト(28,98,108〜122)。
【請求項12】
基壁(32,34)によって保持された少なくとも1つのメインラジエータ(44,46)を備えており、
前記少なくとも1つのメインラジエータ(44,46)は、少なくとも3つのコーナー(84,84’)を有しており、
前記メインラジエータの少なくとも1つのコーナー(84)は、前記放射方向(D)と平行な断面に沿って先端が切り落とされた形状である、請求項1から5のいずれか1項に記載のスペースクラフト(28,98,108〜122)。
【請求項13】
前記支持構造(28)は、
前記基壁(32,34)と直交する方向に延在しており、かつ、平行四辺形の頂点に配置されている4つのポスト(85)と、
前記4つのポスト(85)を同じ中心(88)に堅固に接続する補強構造(86)と、を備えている、請求項1から12のいずれか1項に記載のスペースクラフト(28,98,108〜122)。
【請求項14】
前記支持構造(30)は、メインラジエータ(44,46)を保持する前記基壁(32,34)の面と平行な断面において多角形断面を有しており、
前記多角形断面は、三角形断面(112)、矩形断面(108)、正方形断面(28)、台形断面(116)、五角形断面(110)、六角形断面(114)、または任意の多角形(118)を形成する断面である、請求項1から5のいずれか1項に記載のスペースクラフト(28,98,108〜122)。
【請求項15】
フェアリング(92)と、
前記フェアリング(92)の下に配置された、請求項1から5のいずれか1項に記載の少なくとも1つのスペースクラフト(28)と、を備えたランチャ(91)であって、
前記スペースクラフトは、(i)基壁(32,34)によって保持されており、かつ、(ii)発射方向(A)と直交するように配置されている、少なくとも1つのメインラジエータ(44,46)を備えている、ランチャ(91)。
【請求項16】
請求項13に記載のスペースクラフト(28,98,108〜122)の複数のスタックであって、
重ねて配置された少なくとも2つのスペースクラフト(28,98,108〜122)を含んでおり、
第1スペースクラフト(28,98,108〜122)の各ポスト(85)は、第2スペースクラフト(28,98,108〜122)のポスト(85)によって保持されており、
各スペースクラフトの前記ポスト(85)は、同一方向に延在している、スタック。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、スペースクラフト(宇宙船,宇宙機)の分野に関し、より詳細には、軌道上への配置が意図されている衛星の分野に関する。
【0002】
従来より、スペースクラフトは、当該スペースクラフトの機器のためのサポート(支持体)を形成する構造を備えている。図1には、スペースクラフトが静止軌道上にある場合に一般的に使用される支持構造の一例が示されている。平行六面体形状のこの支持構造2は、(i)地球に向かうように方向付けられた平坦な壁(一般的には、地球壁4と称される)と、(ii)反対側に位置する平坦な壁(一般的には、反地球壁6と称される)と、(iii)4つの側壁(北壁、南壁、東壁8、および西壁9と称される)と、を有する。図1では、北壁および南壁は、示されていない。北壁、南壁、東壁8、および西壁9は、地球に向けられた軸Aと平行である。地球壁4は、複数のオグジュアリ通信アンテナ(補助通信アンテナ)を保持(担持)(carry)する。各オグジュアリ通信アンテナは、(i)構造13上に取り付けられたソース(源)10,11,12と、(ii)地球壁4によって保持されたリフレクタ14,15,16と、を備える。北壁と南壁とは、複数のメインラジエータ(主ラジエータ)と複数のソーラーパネルとを保持する。東壁8と西壁9とは、東メイン通信アンテナ(東主通信アンテナ)17と西メイン通信アンテナ(西主通信アンテナ)18とを保持する。東メイン通信アンテナ17についてのみ、詳細に説明する。
【0003】
東通信アンテナ17は、(i)ソース19と、(ii)可動アーム(ムーバブルアーム)21によって保持されたリフレクタ20と、を備えている。ソース19は、放射素子22のセットによって構成されている。放射素子22は、各放射素子の放射中心軸A−Aを通る直線の上にある複数の点を中心として有する無線周波(ラジオ波)を放射または受信できる。放射素子22は、メインラジエータに接続された複数のヒートパイプ23(またはサーマルループ)によって冷却される。ヒートパイプ23のそれぞれは、放射素子22と直接的に熱接触するように、少なくとも2つの屈曲部(ベンド)24,25を有している。リフレクタ20は、(i)ソース19から到来した無線周波を地球26に向けて反射するとともに、(ii)地球26から到来した無線周波を受信する。この目的のために、リフレクタ20の放射/受信方向Dが東壁8によって形成される平面と平行になるように、東通信アンテナ17の可動アーム21が形成されている。そして、放射素子22のそれぞれの放射中心軸A−Aが東壁8と約45°の角度を成すように、放射素子22は東壁8に固定されている。同様にして、西通信アンテナ18のリフレクタ20および放射素子22は、西壁9に対して配向されている。
【0004】
このような構成では、寄生反射現象(parasitic reflection phenomena)が生じうる。これらの漂遊反射現象(stray reflection phenomena)は、(i)東壁8および西壁9における波の反射と、および、(ii)これらの反射波と送信波との再合成と、によって生じる。これらの寄生反射現象は、送信される信号(または受信される信号)の品質を劣化させうる。
【0005】
本発明の第1の目的は、より良好な品質の無線周波の送信(および/または受信)に適しており、特に寄生反射現象の影響を受けにくいスペースクラフトを提供することにある。
【0006】
本発明の第2の目的は、より広い照射野(視野)(field of view)を有しており、それゆえ地球のより広範囲の領域に亘って無線周波を送信(または受信)できるスペースクラフトを提供することにある。
【0007】
本発明の第3の目的は、より容易に製造できるスペースクラフトを提供することにある。
【0008】
本発明の第4の目的は、放射素子を冷却するためにより効果的(効率的)なデバイスを有するスペースクラフトを提供することにある。
【0009】
本発明の第5の目的は、より容易に取り付け可能な、放射素子の冷却のためのデバイスを有するスペースクラフトを提供することにある。
【0010】
この目的のために、本発明は、スペースクラフトを対象としている。前記スペースクラフトは、
支持構造と、
少なくとも1つのメイン通信アンテナと、を備えており、
前記支持構造は、(i)互いに離間して平行に配置された2つの基壁と、(ii)前記基壁に固定された少なくとも3つの平坦な側壁と、を有しており、
前記少なくとも1つのメイン通信アンテナは、
少なくとも1つの平坦な側壁によって保持された少なくとも1つの放射素子と、
展開位置(deployed position)と収納位置(folded position)との間において移動可能な可動アームと、
前記可動アームによって保持されたリフレクタと、を備えており、
前記少なくとも1つの放射素子は、放射中心軸を有しており、かつ、無線周波の放射または受信が可能であり、
前記リフレクタは、前記可動アームが展開位置にある場合に、放射方向における無線周波の反射または受信に適しており、
前記少なくとも1つの放射素子を保持する前記少なくとも1つの側壁に対して、前記放射素子の前記放射中心軸が直交するように、前記少なくとも1つの放射素子が前記少なくとも1つの側壁に固定されており、
前記可動アームが展開位置にある場合に、前記少なくとも1つの放射素子を保持する少なくとも1つの側壁と前記放射方向との間に、25°〜65°のオフセット角度を成すように、前記可動アームが形成されている。
【0011】
一部の特定の実施形態によれば、前記スペースクラフトは、以下に挙げる複数の構成の内の1つ以上を有している。
【0012】
−前記オフセット角度は、35°〜55°である。
【0013】
−前記オフセット角度は、45°に等しい。
【0014】
−互いに直接的に取り付けられた隣接する2つの平坦な側壁のそれぞれは、前記側壁と直交する放射中心軸を有する少なくとも1つの放射素子を保持する。
【0015】
−前記支持構造は、前記基壁と平行に延在する断面において正方形断面を有するように互いに垂直に固定された4つの平坦な側壁を有しており、
前記可動アームが展開位置にある場合に、前記正方形断面の対向する2つのコーナー(隅部,角部)を結ぶ対角線が、前記リフレクタの前記放射方向に沿って延在している。
【0016】
−前記スペースクラフトは、
基壁によって保持された少なくとも1つのメインラジエータと、
流体によって熱を輸送するための少なくとも1つのL字形のデバイス(L字形デバイス)を有する熱輸送デバイスと、をさらに備えており、
熱を輸送するための前記デバイスは、
前記メインラジエータを保持する前記基壁と直接的に熱接触する第1直線部と、
単一の屈曲部と、
(i)前記少なくとも1つの放射素子、および、(ii)前記少なくとも1つの放射素子を保持する前記平坦な側壁と、直接的に熱接触する第2直線部と、を有している。
【0017】
−前記少なくとも1つの放射素子を保持する前記平坦な側壁は、少なくとも1つの側方カットアウト(側方切欠部)を有しており、
熱を輸送するための前記デバイスの前記屈曲部は、前記側方カットアウトと係合しており、
前記第2直線部は、前記少なくとも1つの放射素子を保持する前記平坦な側壁の外面の上に延在している。
【0018】
−前記スペースクラフトは、
前記少なくとも1つの放射素子に送信される電気信号の増幅に適した少なくとも1つの電子増幅コンポーネントと、
前記少なくとも1つの放射素子および前記少なくとも1つの電子増幅コンポーネントを含むハウジングと、を備えている。
【0019】
−前記スペースクラフトは、
基壁によって保持された少なくとも1つのメインラジエータと、
少なくとも1つのオグジュアリラジエータと、を備えており、
前記少なくとも1つのオグジュアリラジエータは、(i)前記オグジュアリラジエータが前記メインラジエータと平行にかつ隣接して配置されている収納位置と、(ii)前記オグジュアリラジエータが実質的に前記メインラジエータの延長部として延在している展開位置と、の間において回動するように取り付けられている。
【0020】
−前記少なくとも1つのオグジュアリラジエータの概略的な形状(凡その形状,全体的な形状)は、三角形である。
【0021】
−前記三角形の複数の頂点の内の1つは、(i)先端が切り落とされた形状を有しており、かつ、(ii)前記メインラジエータに対して回動(旋回)するように取り付けられたエッジ(端部)を画定する。
【0022】
−前記スペースクラフトは、基壁によって保持された少なくとも1つのメインラジエータを備えており、
前記少なくとも1つのメインラジエータは、少なくとも3つのコーナーを有しており、
前記メインラジエータの少なくとも1つのコーナーは、前記放射方向と平行な断面に沿って先端が切り落とされた形状である。
【0023】
−前記支持構造(28)は、
前記基壁と直交する方向に延在しており、かつ、平行四辺形の頂点に配置されている4つのポストと、
前記4つのポストを同じ中心に堅固に(剛体的に)接続する補強構造と、を備えている。
【0024】
−前記支持構造は、メインラジエータを保持する前記基壁の面と平行な断面において多角形断面を有しており、
前記多角形断面は、三角形(triangular)断面、矩形(長方形)(rectangular)断面、正方形(square)断面、台形(trapezoidal)断面、五角形(pentagonal)断面、六角形(hexagonal)断面、または任意の多角形(any polygon)を形成する断面である。
【0025】
本発明は、フェアリング(整形板)と、上述の複数の構成の内の1つに係る少なくとも1つのスペースクラフトと、を備えたランチャにも関する。前記スペースクラフトは、前記フェアリングの下に配置されており、
前記スペースクラフトは、(i)基壁によって保持されており、かつ、(ii)発射方向と直交するように配置されている、少なくとも1つのメインラジエータを備えている。
【0026】
本発明は、スペースクラフトの複数のスタックにも関する。前記スタックにおいて、
前記支持構造は、
前記基壁と直交する方向に延在しており、かつ、平行四辺形の頂点に配置されている4つのポスト(支柱)と、
前記4つのポストを同じ中心(センター)に堅固に接続する補強構造と、を備えており、
前記スタックは、
重ねて(上下に)配置された少なくとも2つのスペースクラフトを含んでおり、
第1スペースクラフトの各ポストは、第2スペースクラフトのポストによって保持されており、
各スペースクラフトの前記ポストは、同一方向に延在している。
【0027】
本発明は、各図面を参照しつつ、もっぱら例示として示される以下の説明を読むことにより、さらに良く理解されるであろう。
【0028】
図1は、地球の周りの静止軌道上にある、従来技術に係るスペースクラフトを示す概略的な断面図であって、北壁と平行な平面がその断面として適用されている断面図である。
【0029】
図2は、地球の周りの静止軌道上にある、本発明の第1の実施形態に係るスペースクラフトを示す概略的な断面図であって、基壁と平行な平面がその断面として適用されている断面図である。
【0030】
図3は、本発明の第1の実施形態に係るスペースクラフトの斜視図である。
【0031】
図4は、図3に示すスペースクラフトの部分切欠斜視図である。
【0032】
図5は、サーマルデバイスの一部、側壁の一部、およびソースハウジングの一部の斜視図である。
【0033】
図6は、本発明に係る2つのスペースクラフトのスタックおよび透過させて示したフェアリングの斜視図である。
【0034】
図7は、従来技術に係る2つのスペースクラフトのスタックおよび透過させて示したフェアリングの斜視図である。
【0035】
図8は、本発明の第1の実施形態に係るスペースクラフトの補強構造についての第1の変形例を示す断面図であって、その断面が基壁と平行である断面図である。
【0036】
図9は、本発明の第1の実施形態に係るスペースクラフトの補強構造についての第2の変形例を示す断面図であって、その断面が図8の断面と同一である断面図である。
【0037】
図10は、本発明の第2の実施形態に係るスペースクラフトの一部の斜視図であって、同図では展開可能なオグジュアリラジエータが収納位置に配置されている。
【0038】
図11は、本発明の第2の実施形態に係るスペースクラフトの斜視図であって、同図では展開可能なオグジュアリラジエータが展開位置に配置されている。
【0039】
図12は、本発明の第3の実施形態に係るスペースクラフトの斜視図である。
【0040】
図13は、本発明の第3の実施形態に係るスペースクラフトを示す断面図であって、その断面が基壁と平行である断面図である。
【0041】
図14は、本発明の第4の実施形態に係るスペースクラフトの斜視図である。
【0042】
図15は、本発明の第4の実施形態に係るスペースクラフトを示す断面図であって、その断面が基壁と平行である断面図である。
【0043】
図16は、本発明の第5の実施形態に係るスペースクラフトの斜視図である。
【0044】
図17は、本発明の第5の実施形態に係るスペースクラフトを示す断面図であって、その断面が基壁と平行である断面図である。
【0045】
図18図20はそれぞれ、本発明の第6の実施形態、第7の実施形態、および第8の実施形態に係るスペースクラフトを示す断面図であって、その断面が基壁と平行である断面図である。
【0046】
図21は、本発明の第9の実施形態に係るスペースクラフトの斜視図である。
【0047】
図22は、本発明の第10の実施形態に係るスペースクラフトの斜視図である。
【0048】
本特許出願において、「スペースクラフト」という用語(ターム)は、大気圏外の空間における軌道上での運用を目的としており、かつ、機器を輸送可能な任意の(あらゆる)システムを指す。スペースクラフトには、独自の推進手段が設けられていてもよい。あるいは、スペースクラフトは、宇宙の任意の地点において単にリリースされ、その後に他の宇宙資産(space assets)によって回収されるように意図されていてもよい。スペースクラフトは、静止軌道または他の任意のタイプの軌道などの軌道上に配置されてもよい。
【0049】
以下の記載において、「直接的に接触」という用語は、複数の部材(要素)間に、介在部材が存在していないこと、または、隙間(empty space)が存在していないことを意味する。
【0050】
本発明に係るスペースクラフト28は、地球26に向けた軸(一般的には、地球に向かう視軸(照準軸)(axis of sight)Aと称される)に対して45°の角度αを成す、少なくとも1つの側壁を備えている。
【0051】
図2図5を参照する。第1の実施形態に係るスペースクラフト28は、略立方体形状(generally square parallelepipedal shape)の支持構造30を備えている。この支持構造は、(i)平坦な第1基壁32と、(ii)平坦な第2基壁34と、(iii)4つの平坦な側壁36,38,40,42と、を有する。支持構造30は、多角形断面を有しており、特に、基壁32,34と平行な断面において正方形断面を有する。
【0052】
第1基壁32および第2基壁34は、互いに離間して平行に配置されている。当該第1基壁および当該第2基壁は、(i)ペイロードを冷却するためのメインラジエータ44,46と、(ii)ソーラーパネル(不図示)と、を保持する。
【0053】
4つの側壁36,38,40,42は、支持構造30が断面(X,Z)において正方形断面を有するように、互いに垂直に固定されている。断面(X,Z)は、基壁32,34と平行である。
【0054】
互いに直接的に取り付けられた隣接する2つの側壁36,38は、地球26に向かうように方向付けられている。本明細書の残りの部分では、これらの側壁は、下方側壁と称される。互いに直接的に取り付けられたその他の隣接する2つの側壁40,42は、地球26とは反対側に向かうように方向付けられている。本明細書の残りの部分では、これらの側壁は、上方側壁と称される。
【0055】
図2から理解される通り、この第1の実施形態に係るスペースクラフト28は、一旦軌道上に乗ると、図1に示されるその通常位置に対して斜めに配置される。従って、軌道上では、第1の実施形態に係るスペースクラフトの4つの側壁36,38,40,42は、地球に向かう視軸Aに対して45°の角度αを成すように配向されている。この姿勢(position)においては、支持構造30によって形成された正方形断面の対向する2つのコーナーを結ぶ対角線Dが、地球に向かう視軸Aと一致する。
【0056】
スペースクラフト28は、(i)上方側壁40,42によって保持されるメイン通信アンテナ52,54と、(ii)下方側壁36,38によって保持されるオグジュアリ通信アンテナ48,50,51と、を有している。
【0057】
メイン通信アンテナ52とメイン通信アンテナ54とは、互いに同一性を有している。以下では、メイン通信アンテナ52のみについて詳細に説明する。しかし、一般性を失うことなく、本発明が2つの異なるアンテナを有することも可能であることに留意されたい。
【0058】
メイン通信アンテナ52は、(i)ソースハウジング56と、(ii)無線周波の送信または受信が可能なリフレクタ58と、(iii)リフレクタ58を保持する可動アーム60と、を備えている。
【0059】
メイン通信アンテナ52のソースハウジング56は、上方側壁42に取り付けられている。他方のメイン通信アンテナ54のソースハウジング56は、上方側壁40に固定されている。上方側壁40は、上方側壁42と隣接しており、かつ、当該上方側壁42に直接的に取り付けられている。
【0060】
ソースハウジング56は、放射素子62を備えている。当該放射素子は、(i)電気信号から無線周波を発生させること、および、(ii)当該無線周波をリフレクタ58に対して送信すること、に適している。
【0061】
有益であることに、ソースハウジング56は、アクティブタイプである。このことは、当該ソースハウジングが、増幅コンポーネント63を備えていることを意味する。当該増幅コンポーネントは、電気信号を放射素子に送信する前に、当該電気信号を増幅することに適している。
【0062】
図面の簡略化のため、図2では、単一の放射素子62および単一の電子増幅コンポーネント63が、概略的に示されている。
【0063】
放射素子62は、例えば、ヘリカル、コーン、パッチ、またはダイポール(双極子)である。当該放射素子は、リフレクタ58に向かうように方向付けられた放射中心軸Ac−Acを有している。放射素子62を保持する側壁42によって形成された平面P−Pに対して、放射中心軸Ac−Acが直交して配置されるように、当該放射素子は上方側壁42に固定されている。
【0064】
好ましくは、ソースハウジング56は、上方側壁42の周縁エッジ64に隣接して取り付けられている。上方側壁42は、下方側壁38のエッジに取り付けられている。
【0065】
可動アーム60は、上方側壁42に取り付けられている。可動アーム60は、(i)図5に示す通り、リフレクタ58が支持構造30に対して折り畳まれた位置(収納位置と称される)と、(ii)図2に示す通り、最大限に移動可能な限度まで当該可動アームが展開された位置(展開位置と称される)と、の間において移動可能である。
【0066】
リフレクタ58が展開位置にある場合、放射方向Dにおいて無線周波の照射野(field)66の送信または受信が可能である。放射方向Dは、地球に向かう視軸Aと平行である。
【0067】
メイン通信アンテナ52,54の可動アーム60は、当該可動アームが展開位置にある場合に、オフセット角度βが45°に等しくなるように形成されている。本明細書において、「オフセット角度β」という用語は、可動アーム60が展開位置にある場合に、(i)上方側壁42によって形成された平面P−Pと、(ii)リフレクタ58によって送信される無線周波の放射方向Dと、の間に画定(規定)される角度を表すことが理解される。
【0068】
有益であることに、可動ブランチ60のこの構成により、上方側壁42と直交する放射中心軸Ac−Acをそれぞれ有する放射素子62の位置に関連して、寄生反射現象を抑える(制限する)ことが可能になる。実際に、この構成では、上方側壁40,42の一部および下方側壁36,38の一部は、リフレクタ60によって放射(出射)または受信される無線周波の照射野66から、より遠ざかっている。
【0069】
オグジュアリ通信アンテナ48,50,51は、メイン通信アンテナ52,54と概ね同様である。但し、(i)当該オグジュアリ通信アンテナのリフレクタ59の直径が、当該メイン通信アンテナのリフレクタ58の直径よりも小さいこと、および、(ii)当該補助通信アンテナのソースハウジング57および可動アーム61が、下方側壁36,38に固定されていること、において、当該オグジュアリ通信アンテナと当該メイン通信アンテナとは異なっている。
【0070】
(i)メインアンテナの放射素子62の位置と、(ii)メインアンテナの可動アーム60の構成と、(iii)結果として生じるスペースクラフト28の斜めの配向とによって、オグジュアリアンテナは、データ送信のために利用可能なより広い(大きい)表面積CA28を有しうる。本特許出願では、送信のために利用可能なこの表面積は、照射野CA28と称される。実際に、図1図2とを比較すると、本発明の第1の実施形態に係るスペースクラフト28では、照射野CA28が、現状技術(state of the art)に係るスペースクラフトのオグジュアリ通信アンテナ10,14;11,15;12,16の照射野CA2よりも広いことが理解できる。その結果、本発明の第1の実施形態に係るスペースクラフトによれば、地球26のより広い領域に亘ってデータを送信することが可能となる。
【0071】
加えて、有益であることに、本発明に係るスペースクラフト28では、オグジュアリ通信アンテナのソースハウジング57および/またはリフレクタ59が、支持構造30に近接して取り付けられている。その一方、図1に示されている従来技術に係るスペースクラフトでは、オグジュアリ通信アンテナのソースハウジング10,11,12は、支持構造から突出した構造13に取り付けられている。このことは、本発明と比較して、スペースクラフトに対して質量面での不利益(ペナルティ)および追加の製造コストの面での不利益をもたらす。
【0072】
図4および図5を参照する。本発明の第1の実施形態に係るスペースクラフト28は、熱輸送デバイス68をさらに備えている。当該熱輸送デバイスは、(i)ペイロードによって放散された熱をメインラジエータ44,46に伝達するために適した流体によって熱を輸送するためのデバイスと、(ii)放射素子62および電子増幅コンポーネント63によって放散された熱をメインラジエータ44,46に伝達することに適した流体によって熱を輸送するためのデバイスと、を備えている。
【0073】
図4に示されている第1の実施形態に係るスペースクラフトの例では、上方側壁42に取り付けられたソースハウジング56を冷却することに適した、(i)3つの輸送用デバイス(輸送のためのデバイス)70〜72を含む第1セット67と、(ii)3つの輸送用デバイス73〜75を含む第2セット69と、が示されている。なお、この図では、図示の簡略化のため、他方の上方側壁40に固定されたソースハウジング56を冷却するための輸送用デバイスについては示されていない。輸送用デバイスの第1セット67は、第1基壁32と直接的に熱接触している。輸送用デバイスの第2セット69は、第2基壁34と直接的に熱接触している。
【0074】
互いに反対の方向に向けて配置されたメインラジエータ44,46によって放射素子62および電子部品63を冷却することによって、北面と南面とを連結(接続)することにより、(i)冷却冗長機能を提供すること、および、(ii)スペースクラフトに対する太陽の位置によらず最大限に冷却を行うこと、の両方が可能になる。
【0075】
以下、輸送用デバイス70のみについて詳細に説明する。
【0076】
輸送用デバイス70は、例えばヒートパイプによって構成されている。
【0077】
輸送用デバイス70は、(i)第1基壁32の内面上に延在しているアームと、(ii)上方側壁42の外面76上に延在しているアームと、を有するL字形である。
【0078】
特に、図5を参照する。輸送用デバイス70は、(i)第1直線部77と、(ii)単一の屈曲部78と、(iii)第2直線部80と、を有している。
【0079】
第1直線部77は、メインラジエータ44を保持する第1基壁32と直接的に熱接触している。屈曲部78は、上方側壁42に形成された第1側方カットアウト(第1側方切欠部)82と係合している。第2直線部80は、(i)一方の面において、ソースハウジング56の放射素子62および電子増幅コンポーネント63と直接的に熱接触しており、かつ、(ii)他方の面において、当該放射素子を保持する上方側壁42の外面76と直接的に熱接触している。
【0080】
同様に、第2セット69の輸送用デバイス73〜75の屈曲部78は、上方側壁42の反対側のエッジに配置された側方カットアウト83に係合している。有益であることに、第2セット69の輸送用デバイス73〜75は、第1セット67の輸送用デバイス70〜73と交互に配置されている。
【0081】
輸送用デバイス70〜75は、放射素子62および増幅電子コンポーネント63と直接的に接触しているので、非常に効率的である。当該輸送用デバイスによれば、大量の放散されたパワー(電力)を効率的に除去できる。この構成により、メイン通信アンテナ52,54は、例えば、Ka、Q、V、またはWバンドなどの高周波帯域(高周波バンド)の無線周波を送信できる。実際には、複数の放射素子62間の距離は、当該放射素子によって放射される無線周波の波長の関数として決定されることが一般的である。放射素子62が高周波帯域の無線周波を放射する場合、放射素子62は、互いに近接して配置される必要がある。しかし、放射素子62同士を近接させると、無線周波を放射する増幅器によって放散されるパワー密度は増加する。有益であることに、本発明の第1の実施形態に係るスペースクラフトの輸送用デバイス70〜75によれば、2つのメインラジエータ44,46に大量の熱を効率的に輸送することが可能となる。
【0082】
有益であることに、輸送用デバイス70〜75は、すべて同一のL字形を有している。これにより、当該輸送用デバイスの製造を標準化できる。その結果、当該輸送用デバイスの製造コストを低減できる。
【0083】
また、有益であることに、輸送用デバイス70〜75の形状は、単純である。当該形状は、単一のエルボを含んでいる。これにより、当該デバイスの内部における流体の循環が促進される。その結果、より効率的な熱輸送が可能となる。
【0084】
図3および図4を参照する。第1の実施形態に係るスペースクラフトのメインラジエータ44,46の概略的な形状は、先端が切り落とされた形状の4つの切り落としコーナー84を有する扁平な平行六面体である。特に、メインラジエータ44,46の主面の形状は、サイドエッジ(側方エッジ)106を画定する2つの切り落としコーナー84,84’を有する正方形である。少なくとも2つの切り落としコーナー84’は、無線周波の照射野66内に位置するコーナーである。これらのコーナー84’の二等分線(bisector)は、放射方向Dとほぼ(実質的に)直交する。コーナー84’の切断面とその結果得られたサイドエッジ106とは、放射方向Dと平行である。
【0085】
有益であることに、切り落としコーナー84’が存在することにより、支持構造30の正方形断面のサイズよりも大きいサイズを有するラジエータを、第1の実施形態に係るスペースクラフト28に搭載することが可能となる。それゆえ、地球26の広い領域に亘って無線周波を送信するために大きい直径を有するリフレクタ58を備えつつ、スペースクラフト28の熱除去能力を増加させることが可能となる。
【0086】
図4を参照する。スペースクラフト28は、(i)基壁32,34と直交する方向に延在する4つのポスト85と、(ii)当該4つのポストを同じ中心88に堅固に接続する補強構造86と、を備えている。
【0087】
4つのポスト85は、平行四辺形(特に正方形)の頂点に配置されている。当該ポスト85は、側壁36,38,40,42の中央に配置されており、かつ、それぞれが側壁に固定されている。補強構造86は、4つのストラット(突っ張り,支柱)90を備えている。各ストラット90は、ポスト85と中心88との間に延在している。
【0088】
有益であることに、ポスト85および補強構造86によって、基壁32,34と直交する方向において、スペースクラフトに対して、剛性を付与すること、および、機械的強度を補強することが可能となる。
【0089】
従って、図6に示す通り、第1の実施形態に係る複数のスペースクラフト28が、ランチャ91のフェアリング92内にスタックされる(積み重ねられる)。この場合、メインラジエータ44,46は、ランチャの発射方向Aと直交するように配置されている。
【0090】
有益であることに、フェアリング92内の複数のスペースクラフトのこの新しい配向によって、ランチャの発射方向Aに沿って、より多くのスペースクラフトを積み重ねることができる。このことは、図7に示す従来技術に係る複数のスペースクラフト94を積み重ねたスタックと、図6に示す第1の実施形態に係る複数のスペースクラフト28を積み重ねたスタックとを比較すれば理解できるであろう。図7において、複数のスペースクラフト94は、当該スペースクラフトのメインラジエータ96が発射方向Aと平行な平面内に位置するように積み重ねられている。
【0091】
代替的には、図8に示す通り、ポスト85は、中心88と側壁36,38,40,42との間の中間点に固定されている(fixed midway)。
【0092】
図9に示す別の変形例によれば、ストラット90は、支持構造30のコーナー93と中心88との間に延在している。この変形例では、ポスト85は、コーナー93と中心88との間の中間点に固定されている。若干有利な変形例によれば、オフセット角度βは、35°〜55°である。
【0093】
さらに別の変形例によれば、オフセット角度βは、25°〜65°である。
【0094】
代替的には、可動アームの近位端(proximal end)は、上方側壁に取り付けられるのではなく、別の壁(例:基壁または下方側壁)に取り付けられる。
【0095】
代替的には、ソースハウジング56は、「アクティブ」タイプではない。換言すれば、
当該ソースハウジングは、放射素子62のみを有しており、電子増幅コンポーネントを有していない。
【0096】
代替的には、ソースハウジングは、1つの(単一の)放射素子を有している。
【0097】
代替的には、輸送用デバイス70は、1つ以上の熱ループによって構成されている。
【0098】
図10は、本発明の第2の実施形態に係るスペースクラフト98を示す。この第2の実施形態に係るスペースクラフト98は、(i)メインラジエータ44に取り付けられた1つまたは2つのオグジュアリラジエータ100と、(ii)メインラジエータ46に取り付けられた1つまたは2つのオグジュアリラジエータ100と、を備えていることを除いては、第1の実施形態に係るスペースクラフト28と同一である。第2の実施形態に係るスペースクラフト98についての詳細な説明は省略する。第1の実施形態に係るスペースクラフト28と比較した場合の相違点のみについて、以下に説明する。
【0099】
図10および図11では、図示の簡略化のため、1つのオグジュアリラジエータ100が示されている。
【0100】
オグジュアリラジエータ100の概略的な形状は、三角形である。当該形状の目的は、壁32上に存在するデバイスを考慮して、表面積を最大化することにある。特に、図10および図11に示す実施形態では、サイドエッジ106同士が同じ長さを有しているので、オグジュアリラジエータ100の概略的な形状は、二等辺三角形である。このオグジュアリラジエータ100は、メインラジエータ44と回動可能に(pivotally)固定されたエッジ102を画定する少なくとも1つの切り落とし頂部を有していてもよい。これにより、メインラジエータ44と直交する方向に向けられたソーラーパネル(不図示)の駆動機構のシャフトのための空間を残すことができる。
【0101】
オグジュアリラジエータ100は、収納位置と非収納位置(unfolded position)との間において回動する。図10に示す通り、収納位置では、オグジュアリラジエータ100は、メインラジエータ44と平行かつ当該メインラジエータの上方に配置されている。このように、オグジュアリラジエータ100は、メインラジエータ44と直交する方向において、当該メインラジエータ44から離間して配置されている。図11に示す通り、非収納位置では、オグジュアリラジエータ100は、実質的にメインラジエータ44の延長部として延在している。
【0102】
図10および図11に示す実施形態において、オグジュアリラジエータ100の他の2つの頂点も、無線アンテナと干渉しないように、先端が切り落とされた形状に形成されている。
【0103】
特に、有益であることに、オグジュアリラジエータ100は、リフレクタ58の無線周波の照射野66内に延在することがないように、横方向においては、メインラジエータのサイドエッジ106を越えて延在していない。
【0104】
オグジュアリラジエータ100のより長いサイドエッジ104は、メインラジエータ44の対角線に沿って延在している。有益であることに、このサイドエッジ104は、基壁32上に配置されたスラスタ57を収容するためのカットアウト(切欠部)107を有している。壁34上に取り付けられた他のデバイス(例:姿勢制御センサ)を収容するために、他のカットアウト(不図示)が存在していてもよい。
【0105】
有益であることに、ソーラージェネレータ(ソーラー発電機)(不図示)が展開され、かつ、太陽の方位に応じて回転する場合に、これらのオグジュアリヒータ100が展開されてもよい。
【0106】
図12および図13は、本発明の第3の実施形態に係るスペースクラフト108を示す。この第3の実施形態に係るスペースクラフト108は、基壁32,34と平行な断面において、支持構造30が長方形断面を有していることを除いては、第1の実施形態に係るスペースクラフト28と同一である。
【0107】
図14および15は、本発明の第4の実施形態に係るスペースクラフト110を示す。この第4の実施形態に係るスペースクラフト110は、基壁32,34と平行な断面において、支持構造30が五角形断面を有していることを除いては、第1の実施形態に係るスペースクラフト28と同一である。
【0108】
図16および図17は、本発明の第5の実施形態に係るスペースクラフト112を示す。この第5の実施形態に係るスペースクラフト112は、基壁32,34と平行な断面において、支持構造30が三角形断面を有していることを除いては、第1の実施形態に係るスペースクラフト28と同一である。
【0109】
図18は、本発明の第6の実施形態に係るスペースクラフト114を示す。この第6の実施形態に係るスペースクラフト114は、基壁32,34と平行な断面において、支持構造30が六角形断面を有していることを除いては、第1の実施形態に係るスペースクラフト28と同一である。
【0110】
図19は、本発明の第7の実施形態に係るスペースクラフト116を示す。この第7の実施形態に係るスペースクラフト116は、基壁32,34と平行な断面において、支持構造30が台形断面を有していることを除いては、第1の実施形態に係るスペースクラフト28と同一である。
【0111】
図20は、本発明の第8の実施形態に係るスペースクラフト118を示す。この第8の実施形態に係るスペースクラフト118は、基壁32,34と平行な断面において、支持構造30が任意の多角形を形成する断面を有していることを除いては、第1の実施形態に係るスペースクラフト28と同一である。この多角形は、可動アーム61が展開位置にある場合に、リフレクタ58の放射方向に対して45°に等しいオフセット角度βを成す(画定する)平面を形成する2つの側壁40,42を有している。スペースクラフト118が軌道上にあり、かつ、可動アーム61が展開位置にある場合、第1の実施形態に係るスペースクラフト28と同様に、放射方向Dは視軸Aと平行である。
【0112】
図21は、本発明の第9の実施形態に係るスペースクラフト120を示す。第9の実施形態に係るスペースクラフト120は、上方側壁40,42が、互いに取り付けられてV字形の角を成す2つの壁部(壁セクション)401,402および2つの壁部421,422をそれぞれ有していることを除いては、第1の実施形態に係るスペースクラフト28と同一である。各壁部401,402,421,422は、本発明の第1の実施形態に係るスペースクラフトの通信アンテナと同一のメイン通信アンテナを保持している。
【0113】
各壁部401,402,421,422は、放射方向Dに対して45°に等しいオフセット角度βを成す平面P−P内に延在している。スペースクラフト120が軌道上にあり、かつ、可動アームが展開されている場合、地球に向かう視軸Aは、放射軸Dと平行である。
【0114】
図22は、本発明の第10の実施形態に係るスペースクラフト122を示す。第10の実施形態に係るスペースクラフト122は、上方側壁40,42が、互いに取り付けられてU字形の角を成す3つの壁部401,402,403および3つの壁部421,422,423をそれぞれ有していることを除いては、第1の実施形態に係るスペースクラフト28と同一である。各側壁部401,402;421,422は、本発明の第1の実施形態に係るスペースクラフトの通信アンテナと同一のメイン通信アンテナを保持している。
【0115】
側壁部セクション401,402,421,422は、放射方向Dに対して45°に等しいオフセット角度βを成す平面P−P内に延在している。スペースクラフト122が軌道上にあり、かつ、可動アーム61が展開されている場合、放射方向Dは、地球に向かう視軸Aと平行である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
図1】地球の周りの静止軌道上にある、従来技術に係るスペースクラフトを示す概略的な断面図であって、北壁と平行な平面がその断面として適用されている断面図である。
図2】地球の周りの静止軌道上にある、本発明の第1の実施形態に係るスペースクラフトを示す概略的な断面図であって、基壁と平行な平面がその断面として適用されている断面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係るスペースクラフトの斜視図である。
図4図3に示すスペースクラフトの部分切欠斜視図である。
図5】サーマルデバイスの一部、側壁の一部、およびソースハウジングの一部の斜視図である。
図6】本発明に係る2つのスペースクラフトのスタックおよび透過させて示したフェアリングの斜視図である。
図7】従来技術に係る2つのスペースクラフトのスタックおよび透過させて示したフェアリングの斜視図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係るスペースクラフトの補強構造についての第1の変形例を示す断面図であって、その断面が基壁と平行である断面図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係るスペースクラフトの補強構造についての第2の変形例を示す断面図であって、その断面が図8の断面と同一である断面図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係るスペースクラフトの一部の斜視図であって、同図では展開可能なオグジュアリラジエータが収納位置に配置されている。
図11】本発明の第2の実施形態に係るスペースクラフトの斜視図であって、同図では展開可能なオグジュアリラジエータが展開位置に配置されている。
図12】本発明の第3の実施形態に係るスペースクラフトの斜視図である。
図13】本発明の第3の実施形態に係るスペースクラフトを示す断面図であって、その断面が基壁と平行である断面図である。
図14】本発明の第4の実施形態に係るスペースクラフトの斜視図である。
図15】本発明の第4の実施形態に係るスペースクラフトを示す断面図であって、その断面が基壁と平行である断面図である。
図16】本発明の第5の実施形態に係るスペースクラフトの斜視図である。
図17】本発明の第5の実施形態に係るスペースクラフトを示す断面図であって、その断面が基壁と平行である断面図である。
図18】本発明の第6の実施形態に係るスペースクラフトを示す断面図であって、その断面が基壁と平行である断面図である。
図19】本発明の第7の実施形態に係るスペースクラフトを示す断面図であって、その断面が基壁と平行である断面図である。
図20】本発明の第8の実施形態に係るスペースクラフトを示す断面図であって、その断面が基壁と平行である断面図である。
図21】本発明の第9の実施形態に係るスペースクラフトの斜視図である
図22】本発明の第10の実施形態に係るスペースクラフトの斜視図である。
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