(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1〜3に記載の各事例のうち、特許文献1に記載のポテンショメータを位置検出の手段に用いた事例は、電源投入直後から開閉体の機械的な絶対位置を認識出来る点で優れており、最も簡単に開閉体の開閉動作を制御することが可能になっている。しかし、ポテンショメータの耐久性や経年劣化の問題により、長年にわたる使用によって開閉装置の開閉回数が増えると、ポテンショメータの抵抗エレメント及び接点の摩耗が進んで、ポテンショメータの出力値による位置検出が正確に行えなくなってくるという問題がある。そして、このような問題が発生すると、上限及び下限の停止位置にずれが生じるようになる。また、ポテンショメータは、比較的単価の高い部品であるため、近年では、コスト的により安価な位置検出の手法が求められている。
【0009】
また、特許文献2に記載の原点センサを位置検出の手段に用いた事例は、電源投入直後は開閉体の機械的な絶対位置を認識出来ないという問題があるが、原点センサの感知信号があった後には、エンコーダやホールセンサ等によるカウント値と開閉体の機械的な絶対位置が連動するようになる。このため、特許文献1に記載のポテンショメータを用いた事例ほどではないが、比較的簡単に開閉体の開閉動作を制御することが可能である。但し、原点センサの感知信号があるまでは、原点センサから離れる方向への動作を制限するなど、動作上の一定の制限が必要となる場合もある。
【0010】
また、この事例では、電源投入直後は原点センサの感知信号が必要となるが、一旦原点センサの感知信号があった後は、原点センサの感知信号を必要とせず、エンコーダやホールセンサ等によるカウント値のみでの動作も可能である。但し、本事例の原点センサの機械式のカウンター部分は、出力軸等の回転に同期して常時作動しており、電源の再投入を行うと、その度に、原点センサの感知信号が必要となるため、原点センサの部品単品としての耐久性及び信頼性は、ポテンショメータを用いた場合と同様に要求される。本事例のように原点センサが機械式のカウンターで構成されている場合には、カウンターの作動中に歯飛びが生じることによって、原点位置がずれることが有り得る。
【0011】
また、このような原点センサを用いた場合、開閉体の開閉装置を設置した際の初期設定時においては、原点センサの機械式のカウンターをリセットすることによって、原点センサの検出位置を設定するために、原点センサに設けられた操作用スイッチ等を操作することが必要になる。このため、開閉体の開閉装置のうち、原点センサの操作用スイッチの部分は、外部から操作可能な位置に設けられる。しかし、開閉装置の周囲に開閉体が巻き取られる構造になっている場合には、開閉体が巻き取られていない状態となるように、開閉体を全開位置近くまで降ろした状態でしか、原点センサの操作用スイッチを操作することが出来ない。また、原点センサの構造上の問題等によって、操作用スイッチ等による設定操作を行っても、原点の設定が確実に行えなかったり、設定した位置がずれたりする場合もある。さらに、ポテンショメータの場合と同様に、原点センサの部品自体のコスト的な問題もある。
【0012】
一方、特許文献3に記載の電動シャッターの制御装置の事例では、ポテンショメータや原点センサなどの部品を位置検出の手段に用いていないため、これらの部品に起因する問題やコスト的な問題は解決できる。但し、原点センサを用いた場合と同様に、上限位置や下限位置が定まるまでは、動作上の一定の制限が必要となるほか、特許文献1や特許文献2の事例に比べて、制御上の課題は最も多くなる。そして、この制御上の課題としては、電源投入を繰り返し行っても、上限位置や下限位置が毎回同じ位置に確実に設定できるかという問題が大きい。例えば、特許文献3の事例では、過負荷検出手段による過負荷検出が安定しないことなどによって、電源投入毎に上限位置や下限位置がずれたり、障害物が挟まることによって、誤った位置を上限位置や下限位置に設定してしまうことなどが考えられる。
【0013】
本発明の目的は、前記課題を解決するもので、ポテンショメータや原点センサなどの部品を位置検出の手段に用いないで、開閉体の開閉位置を正しく認識することができる開閉体の開閉装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するための本発明の一態様は、開放方向及び閉鎖方向の双方向に動作可能に支持された開閉体の開閉動作を行うためのモータと、該モータの回転に連動してその回転方向及び回転変化量が識別可能に出力されるモータ回転パルスのカウント値に基づいて前記開閉体の開閉位置を検出する位置検出部と、前記開閉体の開閉動作又は停止を指示する操作信号を入力する操作入力部と、前記操作信号及び前記位置検出部で検出した位置情報に基づいて前記モータを制御する制御部とを備えた開閉体の開閉装置の制御方法であって、前記制御部は、電源投入後において、前記操作信号及び前記位置情報に基づいて前記開閉体をあらかじめ設定した全開位置と全閉位置との間で開閉動作させる通常運転モードよりも前に、前記全開位置及び前記全閉位置の基準となる原点位置を検出するための運転を行う原点復帰運転モードを実行するようになっていると共に、前記原点復帰運転モードにおいて、電源投入後に前記開閉体が前記全開位置よりも前記全閉位置寄りの位置にある状態で開放動作を指示する前記操作信号が最初にあった場合に前記開閉体を前記開放方向へ開放動作させる第1開放動作ステップと、前記第1開放動作ステップによる開放動作中に前記開閉体が前記開放方向へそれ以上動作出来ないことを検知して前記モータを停止させる第1障害検知停止ステップと、前記第1障害検知停止ステップで前記モータが停止した位置を第1位置として記憶する第1位置記憶ステップと、前記第1位置記憶ステップの後に前記開閉体が再び前記全開位置よりも前記全閉位置寄りの位置にある状態で開放動作を指示する前記操作信号があった場合に前記開閉体を再び前記開放方向へ開放動作させる第2開放動作ステップと、前記第2開放動作ステップによる開放動作中に前記開閉体が前記開放方向へそれ以上動作出来ないことを検知して前記モータを停止させる第2障害検知停止ステップと、前記第2障害検知停止ステップで前記モータが停止した位置を第2位置として記憶する第2位置記憶ステップと、前記第1位置と前記第2位置が一致しているか否かを判定する位置判定ステップとを実行して、前記位置判定ステップによって前記第1位置と前記第2位置が一致していると判定された場合には、その位置を前記原点位置に決定して、当該原点復帰運転モードを終了するようになっており、前記通常運転モードにおいて、前記原点復帰運転モードの終了時に決定された前記原点位置を基準として定まる前記全開位置と前記全閉位置との間で開閉動作を行うようになっている開閉体の開閉装置の制御方法である。
【0015】
この開閉体の開閉装置の制御方法では、ポテンショメータや原点センサなどの部品を位置検出の手段に用いず、モータ回転パルスのカウント値に基づいて開閉体の開閉位置を検出している。そして、通常運転モードよりも前に実行される原点復帰モードにおいて、電源投入後の最初の開放動作中(第1開放動作ステップ)に開閉体が開放方向へそれ以上動作出来ないことを検知してモータを停止させ(第1障害検知停止ステップ)、その位置を第1位置として記憶している(第1位置記憶ステップ)。また、その後の開放動作中(第2開放動作ステップ)にも開閉体が開放方向にそれ以上動作出来ないことを検知してモータを停止させ(第2障害検知停止ステップ)、その位置を第2位置として記憶している(第2位置記憶ステップ)。その後、第1位置と第2位置が一致しているか否かを判定し(位置判定ステップ)、両位置が一致していると判定された場合には、その位置を原点位置に決定して、原点復帰運転モードを終了し、通常運転モードにおいては、このようにして決定された原点位置を基準として定まる全開位置と全閉位置との間で開閉動作を行うようになっている。
【0016】
このように、この開閉体の開閉装置の制御方法では、ポテンショメータや原点センサなどの部品を位置検出の手段に用いないので、特許文献3の事例と同様に、これらの部品に起因する問題やコスト的な問題が生じない。また、原点センサの設定操作に関する問題も生じない。そして、原点復帰運転モードにおける2回の開放動作によって、それぞれ開閉体が開放方向にそれ以上動作出来ないことを検知して第1位置と第2位置を記憶した上で、両位置が一致している場合のみ、その位置を原点位置に決定するので、電源投入を繰り返し行っても、原点位置を毎回同じ位置に決定できる確率が非常に高い。また、障害物が挟まった場合などでも、2回連続して同じ位置で停止する確率は低いので、誤った位置を原点位置として認識する可能性も低い。これにより、開閉体の開閉位置を正しく認識することができる。
【0017】
なお、この開閉体の開閉装置の制御方法において、開閉体が開放方向にそれ以上動作出来ないことを検知する場合とは、具体的には、障害物が挟まった場合などの異常状態を除くと、開閉体の下端の座板部材が開閉体の収納部のまぐさ部に当接して、モータの回転が機械的にロックされた状態になる場合が挙げられる。また、そのような場合の開閉体が開放方向にそれ以上動作出来ないことを検知する手法としては、モータ回転パルスから算出されるモータの回転数が規定値を下回ったことや、規定時間内にモータ回転パルスの変化が無かったことによって判定する手法が挙げられる。また、モータ回転パルスによる位置検出の手段とは別に、モータの負荷電流を検出する手段が設けられている場合には、モータの負荷電流が急激に変化したことを検知するによって判定する手法も挙げられる。
【0018】
また、上述の開閉体の開閉装置の制御方法であって、前記原点復帰運転モードにおいて、前記位置判定ステップによって前記第1位置と前記第2位置が一致していないと判定された場合には、それらの位置を破棄すると共に、それ以降に前記開閉体が再び前記全開位置よりも前記全閉位置寄りの位置にある状態で開放動作を指示する前記操作信号があった場合に、そのときに行う開放動作を新たな前記第1開放動作ステップ及び新たな前記第2開放
動作ステップとして実行するようになっている開閉体の開閉装置の制御方法としても良い。
【0019】
この開閉体の開閉装置の制御方法では、原点復帰運転モードにおいて、第1位置と第2位置が一致していないと判定された場合には、それらの位置を破棄して、原点復帰運転モードを継続し、その後の開放動作を新たな第1開放動作ステップ及び新たな第2開放動作ステップとして実行している。このようにすることで、正しい原点位置が決定されるまで、原点復帰運転モードを継続することができる。
【0020】
また、前述の開閉体の開閉装置の制御方法であって、前記原点復帰運転モードにおいて、前記位置判定ステップによって前記第1位置と前記第2位置が一致していないと判定された場合には、前記第1位置記憶ステップで記憶した前記第1位置を破棄して、前記第2位置記憶ステップで記憶した前記第2位置を新たな前記第1位置として記憶すると共に、その後に前記開閉体が再び前記全開位置よりも前記全閉位置寄りの位置にある状態で開放動作を指示する前記操作信号があった場合に、そのときに行う開放動作を新たな前記第2開放動作ステップとして実行するようになっている開閉体の開閉装置の制御方法としても良い。
【0021】
この開閉体の開閉装置の制御方法では、原点復帰運転モードにおいて、第1位置と第2位置が一致していないと判定された場合には、第1位置を破棄する一方、第2位置を新たな第1位置として記憶して、原点復帰運転モードを継続し、その後の開放動作を新たな第2開放動作ステップとして実行している。このようにすることで、正しい原点位置が決定されるまで、原点復帰運転モードを継続することができる。また、第1位置と第2位置のうち、第2位置は破棄せずに、新たな第1位置として記憶しているので、第1位置と第2位置が一致していないと判定された場合に、その後の判定動作の回数を減らすことができる。
【0022】
また、上述のいずれかの開閉体の開閉装置の制御方法であって、前記原点復帰運転モードにおいて、前記第1位置を前記原点位置の仮の位置となる仮原点位置に設定すると共に、該仮原点位置を基準として定まる前記全閉位置の仮の位置を仮全閉位置として設定し、前記第1
位置記憶ステップの後に閉鎖動作を指示する前記操作信号があった場合に、前記開閉体を前記閉鎖方向へ閉鎖動作させて、前記仮全閉位置で停止させるようになっている開閉体の開閉装置の制御方法としても良い。
【0023】
この開閉体の開閉装置の制御方法では、原点復帰運転モードにおいて、第1位置を仮原点位置に設定すると共に、この仮原点位置を基準として定まる仮全閉位置に向けて閉鎖動作が行えるようになっている。これにより、原点位置が決定される前の原点復帰運転モード中であっても、通常運転モードと同じように閉鎖動作を行って、仮全閉位置で停止することができる。
【0024】
また、上述の開閉体の開閉装置の制御方法であって、前記原点復帰運転モードにおいて、前記第1
位置記憶ステップの後に前記開閉体を前記閉鎖方向へ閉鎖動作させたときに、前記仮全閉位置で停止させる前に前記開閉体が前記閉鎖方向へそれ以上動作出来ないことを検知して前記モータを停止させた場合には、前記仮原点位置及び前記仮全閉位置を破棄するようになっている開閉体の開閉装置の制御方法としても良い。
【0025】
この開閉体の開閉装置の制御方法では、原点復帰運転モードにおいて、仮全閉位置に向けた閉鎖動作中に仮全閉位置で停止させる前に開閉体が閉鎖方向へそれ以上動作出来ないことを検知してモータが停止した場合には、仮原点位置及び仮全閉位置を破棄するようになっている。これにより、閉鎖動作中に障害物が挟まるなどの異常のほか、仮原点位置が全開位置よりも全閉位置寄りにずれて設定されたために、仮全閉位置で停止するよりも前に床面に当たって停止した場合などのように、仮原点位置が原点位置と一致していない可能性がある場合に、仮原点位置がそのまま原点位置に決定されることがない。
【0026】
また、前記課題を解決するための本発明の他の態様は、開放方向及び閉鎖方向の双方向に動作可能に支持された開閉体の開閉動作を行うためのモータと、該モータの回転に連動してその回転方向及び回転変化量が識別可能に出力されるモータ回転パルスのカウント値に基づいて前記開閉体の開閉位置を検出する位置検出部と、前記開閉体の開閉動作又は停止を指示する操作信号を入力する操作入力部と、前記操作信号及び前記位置検出部で検出した位置情報に基づいて前記モータを制御する制御部とを備えた開閉体の開閉装置であって、前記制御部は、電源投入後において、前記操作信号及び前記位置情報に基づいて前記開閉体をあらかじめ設定した全開位置と全閉位置との間で開閉動作させる通常運転モードよりも前に、前記全開位置及び前記全閉位置の基準となる原点位置を検出するための運転を行う原点復帰運転モードを実行するようになっていると共に、電源投入後に前記開閉体が前記全開位置よりも前記全閉位置寄りの位置にある状態で開放動作を指示する前記操作信号が最初にあった場合に前記開閉体を前記開放方向へ開放動作させる第1開放動作手段と、前記第1開放動作手段による開放動作中に前記開閉体が前記開放方向へそれ以上動作出来ないことを検知して前記モータを停止させる第1障害検知停止手段と、前記第1障害検知停止手段で前記モータが停止した位置を第1位置として記憶する第1位置記憶手段と、前記第1位置記憶手段により前記第1位置を記憶した後に前記開閉体が再び前記全開位置よりも前記全閉位置寄りの位置にある状態で開放動作を指示する前記操作信号があった場合に前記開閉体を再び前記開放方向へ開放動作させる第2開放動作手段と、前記第2開放動作手段による開放動作中に前記開閉体が前記開放方向へそれ以上動作出来ないことを検知して前記モータを停止させる第2障害検知停止手段と、前記第2障害検知停止手段で前記モータが停止した位置を第2位置として記憶する第2位置記憶手段と、前記第1位置と前記第2位置が一致しているか否かを判定する位置判定手段とを備えて、これらを前記原点復帰運転モードにおいて実行し、前記位置判定手段によって前記第1位置と前記第2位置が一致していると判定された場合には、その位置を前記原点位置に決定して、前記原点復帰運転モードを終了するようになっており、前記通常運転モードにおいて、前記原点復帰運転モードの終了時に決定された前記原点位置を基準として定まる前記全開位置と前記全閉位置との間で開閉動作を行うようになっている開閉体の開閉装置である。
【0027】
この開閉体の開閉装置では、前述の制御方法において既に説明したように、ポテンショメータや原点センサなどの部品を位置検出の手段に用いないので、これらの部品に起因する問題やコスト的な問題が生じず、原点センサの設定操作に関する問題も生じない。そして、電源投入を繰り返し行っても、原点位置を毎回同じ位置に決定できる確率が非常に高く、障害物が挟まった場合などに、誤った位置を原点位置として認識する可能性も低い。これにより、開閉体の開閉位置を正しく認識することができる開閉体の開閉装置とすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の開閉体の開閉装置及びその制御方法によれば、ポテンショメータや原点センサなどの部品を位置検出の手段に用いないで、開閉体の開閉位置を正しく認識することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、車庫などに設置される電動シャッターに本発明を適用した例を示す。
図1は、本実施形態に係る開閉体であるシャッターのスラットカーテン10、及び、その開閉装置であるシャッター開閉機1の取り付け状態を示す外観全体の説明図である。また、
図2は、シャッター開閉機1の電気的な構成を示す説明図である。
まず、
図1を参照しつつ、シャッターのスラットカーテン10及びシャッター開閉機1の機械的な構造や、シャッターの開閉動作の仕組み等について説明する。
【0031】
図1に示すように、開閉体であるシャッターのスラットカーテン10は、水平方向に延びる略矩形板状の複数の金属板が垂直方向に連結された構成であり、その水平方向の両側がガイドレール11に挟まれて吊下状態で支持され、車庫などの建築物の開口部に設置されている。そして、開閉装置であるシャッター開閉機1が作動すると、スラットカーテン10の垂直方向の上端側10bが駆動系を介して巻き取られるようになっており、これにより、スラットカーテン10は、その垂直方向について、開放方向DO(
図1において上方)及び閉鎖方向DC(
図1において下方)の双方向に動作可能になっている。
また、スラットカーテン10の垂直方向の下端部には座板部10aが設けられており、スラットカーテン10が開放方向DOへ開放動作して全開状態になったときに、この座板部10aが、建築物の開口部上端のまぐさ部12に当接するようになっている。
【0032】
シャッター開閉機1は、スラットカーテン10の開閉動作を行うためのモータ2と、このモータ2を制御する制御部3とを備えており、このシャッター開閉機1は、スラットカーテン10を巻き取るための駆動系の固定部分をなす棒状のシャフト13に固定されている。また、シャフト13の両端部は、建築物の開口部よりも上方に設けられた板状のブラケット14に固定されている。そして、シャフト13の軸方向の中間部分の径方向外側には、前記駆動系の可動部分をなす円盤状のアウター回転ホイール15が設けられている。このアウター回転ホイール15は、シャフト13に固定されて可動しない径方向内側の固定部(図示しない)と、その径方向外側に位置して、可動部分としてシャフト13の径方向外周を回転する回転部(図示しない)とからなる。また、アウター回転ホイール15には、回転部の回転のためにシャッター開閉機1のモータ2の出力軸ギア2aと噛み合うギア(図示しない)が設けられている。
【0033】
また、シャフト13の軸方向の両端寄りの部分及び中間部分の径方向外側には、複数の円盤状の巻取用ホイール16が設けられている。さらに、この巻取用ホイール16とアウター回転ホイール15の回転部には、複数の棒状のステー17がシャフト13の軸方向に沿って挿通されており、ステー17を介して、巻取用ホイール16とアウター回転ホイール15の回転部が互いに連結されている。また、巻取用ホイール16には、スラットカーテン10の上端部が固定されており、シャッター開閉機1のモータ2が回転することで、これに連動して、アウター回転ホイール15の回転部、巻取用ホイール16及びステー17が一体となってシャフト13の径方向外周を回転し、スラットカーテン10が巻取用ホイール16の外周に巻き取られるようになっている。
図1から分かるように、スラットカーテン10が巻取用ホイール16の外周に巻き取られた状態のとき、シャッター開閉機1は、巻き取られたスラットカーテン10の内側に収容されて、外側から見えない状態となる。
【0034】
また、スラットカーテン10及びガイドレール11に近接する建築物の壁面には、スラットカーテン10の開閉動作又は停止を指示するための操作入力を行う押ボタンスイッチボックス4が設置されている。押ボタンスイッチボックス4には、上昇(開放)ボタンPBU、下降(閉鎖)ボタンPBD及び停止ボタンPBSが設けられており、この押ボタンスイッチボックス4は、シャッター開閉機1の制御部3に電気的に接続されている。そして、シャッター開閉機1のモータ2が停止している状態で押ボタンスイッチボックス4の上昇(開放)ボタンPBUを押下すると、モータ2が所定の方向に回転して、シャッターのスラットカーテン10が開放動作(上昇)を開始する。同様に、シャッター開閉機1のモータ2が停止している状態で押ボタンスイッチボックス4の下降(閉鎖)ボタンPBDを押下すると、モータ2が上記の開放動作の場合とは逆方向に回転して、シャッターのスラットカーテン10が閉鎖動作(下降)を開始する。また、シャッターのスラットカーテン10が開放動作又は閉鎖動作を行っているときに、押ボタンスイッチボックス4の停止ボタンPBSを押下すると、モータ2の回転が停止して、スラットカーテン10の開放動作又は閉鎖動作が停止する。
【0035】
なお、
図2に示すように、シャッター開閉機1のモータ2は、モータ本体、減速機及びブレーキから構成されており、スラットカーテン10の開放動作中又は閉鎖動作中には、モータ2のブレーキは解除状態となっている。また、モータ2の回転が停止して、スラットカーテン10の開放動作又は閉鎖動作が停止した際には、モータ2のブレーキが復帰するようになっている。
次いで、この
図2を参照しつつ、本実施形態に係るシャッター開閉機1の電気的な構成について説
明する。
【0036】
既に説明したように、シャッター開閉機1は、スラットカーテン10の開閉動作を行うためのモータ2と、このモータ2を制御する制御部3とを備えている。モータ2は、モータ本体、減速機及びブレーキからなり、このモータ2の出力軸(減速機による減速後)に設けられた出力軸ギア2aがアウター回転ホイール15(
図1参照)のギアに噛み合うようになっている。なお、本実施形態において、モータ2のモータ本体は、コンデンサラン形の単相100V用誘導モータである。また、モータ2のブレーキは、非通電時にモータ2の出力軸(減速機による減速後)に制動をかける無励磁作動形の電磁ブレーキである。制御部3は、制御プログラムを実行するマイクロプロセッサ3aと、これに接続されたモータ駆動回路3c及びブレーキ駆動回路3dを備えており、これらモータ駆動回路3a及びブレーキ駆動回路3dには、AC100V電源(図示しない)が接続されている。また、モータ駆動回路3cには、モータコンデンサ(図示しない)も接続されている。また、制御部3は、マイクロプロセッサ3aやその他の回路の制御用の電源を生成する制御用電源回路(図示しない)も備えている。以上により、制御部3のマイクロプロセッサ3aからモータ駆動回路3c及びブレーキ駆動回路3dを通じて、モータ2に対して、モータ駆動信号Mu,Mv,Mx、及び、ブレーキ駆動信号B+,B−が出力される。
【0037】
また、モータ2には、このモータ2のモータ本体の回転軸(減速機による減速前)の回転を検出するためのモータ回転パルス検出センサ2bが取り付けられている。モータ回転パルス検出センサ2bは、具体的には、モータ2のモータ本体の回転軸シャフトの外周に設けられたリング状の回転検出用磁石と、この回転検出用磁石の回転による磁界の変化を検出する2つのホールセンサからなり、モータ2の回転方向に応じて、互いの位相関係が逆転する2相のモータ回転パルスHa,Hbが出力される。つまり、このモータ回転パルスHa,Hbによって、モータ2の回転方向及び回転変化量が識別可能になっている。そして、このモータ回転パルスHa,Hbは、制御部3のモータ回転パルス入力回路3eを通じて、制御部3のマイクロプロセッサ3aに入力される。また、このマイクロプロセッサ3aに入力されたモータ回転パルスHa,Hbは、マイクロプロセッサ3aのプログラム又は内部カウンタによるモータ回転パルスカウント処理部3a1で処理されて、モータ2の回転方向に応じて加算又は減算されたカウント値CTに変換される。この結果、カウント値CTは、スラットカーテン10の開閉位置を検出した位置情報となる。
なお、本実施形態では、ポテンショメータや原点センサなどの部品を位置検出の手段に用いておらず、モータ回転パルス検出センサ2bが出力するモータ回転パルスHa,Hbのみが位置検出の手段となっている。
【0038】
また、制御部3には、
図1において既に説明した押ボタンスイッチボックス4が接続されており、上昇(開放)ボタンPBUの操作に対応する開放操作信号SU、下降(閉鎖)ボタンPBDの操作に対応する閉鎖操作信号SD、及び、停止ボタンPBSの操作に対応する停止操作信号SSが押ボタン入力回路3bを通じて、マイクロプロセッサ3aに入力される。以上により、制御部3のマイクロプロセッサ3aは、上記の各操作信号SU,SD,SS、及び、カウント値CTによるスラットカーテン10の開閉位置の位置情報に基づいて、モータ2の制御を行うようになっている。
【0039】
次いで、
図3〜
図8を参照しつつ、本実施形態に係るシャッター開閉機1の制御方法について説
明する。
図3は、本実施形態に係るシャッター開閉機1の電源投入後における原点復帰運転モードと通常運転モードの実行順の関係を示すフローチャートである。また、
図4〜
図5は、本実施形態に係るシャッター開閉機1の通常運転モードにおける動作を示すフローチャートである。さらに、
図6〜
図8は、本実施形態に係るシャッター開閉機1の原点復帰運転モードにおける動作を示すフローチャートである。これらのフローチャートは、いずれも制御部3のマイクロプロセッサ3aが実行する制御プログラムの処理内容を示すものである。
【0040】
図3に示すように、シャッター開閉機1は、電源投入後に、ステップS1の原点復帰運転モードを実行し、この原点復帰運転モードの終了後に、ステップS2の通常運転モードを実行するようになっている。ここでは、後から実行される通常運転モードについて先に説明する。
通常運転モードは、前述した操作信号SU,SD,SS、及び、カウント値CTによる位置情報に基づいて、開閉体であるシャッターのスラットカーテン10をあらかじめ設定した全開位置UL(=上限リミット、
図5のステップS209参照)と全閉位置DL(=下限リミット、
図4のステップS204参照)の間で開閉動作させる運転モードである。なお、全開位置ULと全閉位置DLの設定は、シャッターの設置時に行われるが、ここでは、その方法等についての説明は省略する。
【0041】
通常運転モードでは、モータ2が停止している状態で、まず、
図4のステップS201において、閉鎖操作信号SDがあるか否かのチェックが行われる。そして、閉鎖操作信号SDがあった場合(Yes)には、ステップS202に進んで、スラットカーテン10の閉鎖方向DCへの閉鎖動作を開始する。一方、閉鎖操作信号SDがなかった場合(No)には、
図5のステップS206に進むようになっている。また、ステップS206では、開放操作信号SUがあるか否かのチェックが行われる。そして、開放操作信号SUがあった場合(Yes)には、ステップS207に進んで、スラットカーテン10の開放方向DOへの開放動作を開始する。一方、開放操作信号SUがなかった場合(No)には、
図4のステップS201に戻るようになっている。
【0042】
また、ステップS202で閉鎖方向DCへの閉鎖動作を開始した後は、ステップS203で停止操作信号SSがあるか否かのチェックが行われる。そして、停止操作信号SSがあった場合(Yes)には、ステップS205に進んで、モータ2を停止する。一方、停止操作信号SSがなかった場合(No)には、ステップS204に進み、カウント値CTによる位置情報に基づいて全閉位置DLを検出したか否かのチェックが行われる。そして、全閉位置DLを検出した場合(Yes)には、ステップS205に進んで、モータ2を停止し、全閉位置DLを検出していない場合(No)には、閉鎖方向DCへの閉鎖動作を継続したまま、ステップS203に戻り、ステップS203及びステップS204のチェックを繰り返すようになっている。また、ステップS205でモータ2を停止した後は、既に説明した
図5のステップS206に進むようになっている。
【0043】
同様に、
図5のステップS207で開放方向DOへの開放動作を開始した後は、ステップS208で停止操作信号SSがあるか否かのチェックが行われる。そして、停止操作信号SSがあった場合(Yes)には、ステップS210に進んで、モータ2を停止する。一方、停止操作信号SSがなかった場合(No)には、ステップS209に進み、カウント値CTによる位置情報に基づいて全開位置ULを検出したか否かのチェックが行われる。そして、全開位置ULを検出した場合(Yes)には、ステップS210に進んで、モータ2を停止し、全開位置ULを検出していない場合(No)には、開放方向DOへの開放動作を継続したまま、ステップS208に戻り、ステップS208及びステップS209のチェックを繰り返すようになっている。また、ステップS210でモータ2を停止した後は、既に説明した
図4のステップS201に戻るようになっている。
【0044】
なお、
図4〜
図5のフローチャートでは、開放動作中又は閉鎖動作中に障害を検知した場合などの異常時の処理についての記載は省略してある。また、全開位置ULを検出した状態での開放動作の開始や全閉位置DLを検出した状態での閉鎖動作の開始は、それぞれ禁止されるが、
図4〜
図5のフローチャートでは、これらの処理についての記載も省略している。
また、後述するように、本実施形態に係るシャッター開閉機1の制御方法によれば、原点復帰運転モードで、スラットカーテン10を開放動作させ、スラットカーテン10の座板部10aが建築物の開口部上端のまぐさ部12に当接して、障害検知となって停止した状態で原点復帰運転モードが終了することになる。このため、原点復帰運転モードの終了時には、スラットカーテン10が全開状態となり、このとき、全開位置ULを検出した状態となる。よって、通常運転モードが開始された直後においては、
図4のステップS201で閉鎖操作信号SDがあれば、ステップS202に進んで、閉鎖方向DCへの閉鎖動作が開始されるが、
図5のステップS206で開放操作信号SUがあっても、ステップS207には進まず、開放方向DOへの開放動作の開始は禁止される。すなわち、通常運転モードが開始された直後は、開放方向DOへの開放動作が禁止され、閉鎖方向DCへの閉鎖動作のみが許可された状態となる。
【0045】
次いで、
図6〜
図8のフローチャートを参照しつつ、本実施形態に係るシャッター開閉機1の制御方法による原点復帰運転モードについて説明する。本実施形態では、既に説明したように、ポテンショメータや原点センサなどの部品を位置検出の手段に用いておらず、モータ回転パルス検出センサ2bが出力するモータ回転パルスHa,Hbのみが位置検出の手段となっている。そして、このモータ回転パルスHa,Hbからは、モータ2の回転方向及び回転変化量が識別可能なだけであり、電源投入時に、スラットカーテン10の開閉位置の機械的な絶対位置を識別することは出来ない。すなわち、電源投入時には、スラットカーテン10が全開状態なのか、全閉状態なのか、あるいは、中間位置で停止した状態なのかを、シャッター開閉機1の制御部3が認識出来ず、シャッター設置時にあらかじめ設定した全開位置UL及び全閉位置DLについても、どこにあるかが分からない状態となっている。
【0046】
よって、本実施形態に係るシャッター開閉機1の制御方法では、スラットカーテン10を開放動作させたときに、スラットカーテン10の座板部10aがまぐさ部12に当接する位置を、全開位置UL及び全閉位置DLの基準となる原点位置OP(
図7のステップS118参照)に定め、この原点位置OPを正しく検出するための運転を原点復帰運転モードで行うようになっている。つまり、電源投入後に原点復帰運転モード(
図3のステップS1)を実行して原点位置OPを決定し、その後に実行する通常運転モード(
図3のステップS2)では、この原点位置OPを基準に定まる全開位置ULと全開位置DLとの間で開閉動作を行うようになっているのである。
【0047】
以下に、原点復帰運転モードにおける動作を順に説明する。
電源投入後に原点復帰運転モード(
図3のステップS1)が開始されたとき、開閉体であるスラットカーテン10の開閉位置は、まちまちであり、全開状態のときもあれば、全閉状態のときもあれば、それ以外の状態のときもある。そして、本実施形態では、スラットカーテン10の座板部10aがまぐさ部12に当接する位置を原点位置OPとしているため、電源投入後に全開状態以外の状態から開放動作を行えば、原点位置OPを検出するための運転となる。
そこで、
図6では、全開状態以外の状態(すなわち、ステップS101の開閉体であるスラットカーテン10が全閉位置ULよりも全閉位置DL寄りの位置で停止中の状態)から説明を開始する。よって、電源投入後に全開状態になっている場合には、一旦、閉鎖方向DCへの閉鎖動作が行われた後の状態からの説明となる。但し、電源投入直後に閉鎖方向DCへの閉鎖動作を行う場合には、原点位置OPとは反対方向への動作となる。このため、電源投入直後には、例えば、押ボタンスイッチボックス4の下降(閉鎖)ボタンPBDの押下中のみ閉鎖動作をさせ、下降(閉鎖)ボタンPBDを離すとモータ2を停止させるなど、動作上の一定の制限が加わる場合もあるが、ここでは、そのような動作についての詳細な説明は省略する。
【0048】
原点復帰運転モードの開始後、
図6のステップS101では、開閉体であるスラットカーテン10が全開位置ULよりも全閉位置DL寄りの位置で停止中の状態となっている。そして、続くステップS102において、開放操作信号SUがあるか否かのチェックが行われる。開放操作信号SUがあった場合(Yes)には、ステップS103に進んで、スラットカーテン10の開放方向DOへの開放動作を開始する。一方、開放操作信号SUがなかった場合(No)には、ステップS102を継続して、開放操作信号SUがあるのを待つ。
【0049】
ステップS103でスラットカーテン10の開放動作を開始した後は、ステップS104において、開放動作中に障害検知があったか否かのチェックが行われる。そして、開放動作中に障害検知があった場合(Yes)、すなわち、スラットカーテン10が開放方向DOへそれ以上動作出来ないことを検知した場合は、ステップS105に進んで、モータ2を停止する。一方、ステップS104で障害検知がなかった場合(No)には、このステップS104のチェックを繰り返しながら、開放方向DOへの開放動作を継続する。
なお、
図6のフローチャートでは記載を省略しているが、ステップS104で障害検知となる前の開放動作中に停止操作信号SSがあった場合には、モータ2を停止して、ステップS101に戻ることとする。
【0050】
本実施形態において、開放動作中に障害検知となる場合、すなわち、スラットカーテン10が開放方向DOへそれ以上動作出来なくなる場合とは、正常時であれば、スラットカーテン10の座板部10aがまぐさ部12に当接して、モータ2の回転が機械的にロックされた状態になる場合を意味する。また、障害物が挟まった場合などの異常状態によって、モータ2の回転が機械的にロックされた状態になる場合もある。そして、そのような状態を検知する手法としては、例えば、モータ回転パルスHa,Hbから算出されるモータ2の回転数が規定値を下回ったことや、規定時間内にモータ回転パルスHa,Hbの変化が無かったことによって判定する手法が挙げられる。
【0051】
ステップS104からステップS105に進み、モータ2を停止した後は、続くステップS106において、モータ2が停止した位置(すなわち、このときのカウント値CT)を第1位置P1として記憶する。上述したように、スラットカーテン10が開放方向DOへそれ以上動作出来なくなる場合には、スラットカーテン10の座板部10aがまぐさ部12に当接する正常な場合と、障害物が挟まった場合などの異常な場合があるため、この時点では、第1位置P1が正常な場合と異常な場合のどちらの停止位置かは分からない。
ステップS106で第1位置P1を記憶した後は、そのまま原点復帰運転モードを継続し、続くステップS107で、閉鎖操作信号SDがあれば、ステップS108へ進んで、スラットカーテン10の閉鎖方向DCへの閉鎖動作を開始する。
ステップS108で閉鎖動作を開始した後については、
図6のフローチャートでは記載を省略しているが、閉鎖動作中に停止操作信号SSがあった場合などに、モータ2を停止する。この場合、再び、スラットカーテン10が全開位置ULよりも全閉位置DL寄りの位置で停止中の状態となり、
図7のステップS111に進む。
【0052】
図7のステップS111で、再び、スラットカーテン10が全開位置ULよりも全閉位置DL寄りの位置で停止中の状態となった後、続くステップS112において、開放操作信号SUがあるか否かのチェックが行われる。開放操作信号SUがあった場合(Yes)には、ステップS113に進んで、スラットカーテン10の開放方向DOへの開放動作を開始する。一方、開放操作信号SUがなかった場合(No)には、ステップS112を継続して、開放操作信号SUがあるのを待つ。
【0053】
ステップS113でスラットカーテン10の開放動作を開始した後は、ステップS114において、開放動作中に障害検知があったか否かのチェックが行われる。そして、開放動作中に障害検知があった場合(Yes)、すなわち、スラットカーテン10が開放方向DOへそれ以上動作出来ないことを検知した場合は、ステップS115に進んで、モータ2を停止する。一方、ステップS114で障害検知がなかった場合(No)には、このステップS114のチェックを繰り返しながら、開放方向DOへの開放動作を継続する。
なお、
図7のフローチャートでは記載を省略しているが、ステップS114で障害検知となる前の開放動作中に停止操作信号SSがあった場合には、モータ2を停止して、ステップS111に戻ることとする。
【0054】
ステップS114からステップS115に進み、モータ2を停止した後は、続くステップS116において、モータ2が停止した位置(すなわち、このときのカウント値CT)を第2位置P2として記憶する。そして、続くステップS117において、記憶した第1位置P1と第2位置P2が一致しているか否かを判定する。
第1位置P1と第2位置P2が一致している場合には、これらの停止位置が、どちらもスラットカーテン10の座板部10aがまぐさ部12に当接する正常な場合である確率が高く、障害物が挟まった場合などの異常な場合には、第1位置P1と第2位置P2が一致する確率は低い。
よって、ステップS117で第1位置P1と第2位置P2が一致していると判定された場合(Yes)には、原点復帰運転モードを終了させるため、ステップS118へ進む。ステップS118では、一致した第1位置P1と第2位置P2のその位置を原点位置OPに決定する。そして、この原点位置OPを基準に、全開位置UL及び全閉位置DLが定まり、原点復帰運転モードが終了する。なお、以上の処理により、原点復帰運転モードは、スラットカーテン10の座板部10aがまぐさ部12に当接した状態で終了することとなる。
そして、原点復帰運転モードが終了した後は、既に説明したように、通常運転モードを実行し(
図3のステップS2を参照)、原点位置OPを基準として定まる全開位置ULと全閉位置DLとの間で開閉動作を行う(
図4及び
図5のステップS201〜ステップS210を参照)。
【0055】
一方、ステップS117で第1位置P1と第2位置P2が一致していないと判定された場合(No)には、原点復帰運転モードをそのまま継続し、原点復帰運転モードの継続のために必要な処理を行う。なお、この原点復帰運転モードを継続するために必要な処理には、いくつかの手法があるが、本実施形態では、
図8のステップS121に進んだ場合について説明する。
【0056】
図8のステップS121では、記憶した第1位置P1及び第2位置P2の両方を破棄する。そして、続くステップS122で、閉鎖操作信号SDがあれば、ステップS123へ進んで、スラットカーテン10の閉鎖方向DCへの閉鎖動作を開始する。
ステップS123で閉鎖動作を開始した後については、
図8のフローチャートでは記載を省略しているが、閉鎖動作中に停止操作信号SSがあった場合などに、モータ2を停止する。この場合、再び、スラットカーテン10が全開位置ULよりも全閉位置DL寄りの位置で停止中の状態となるが、本実施形態では、
図6のステップS101に進む。そして、第1位置P1を記憶するためのステップS101〜ステップS106までの処理と、第2位置P2を記憶するためのステップS111〜ステップS116までの処理を、それぞれ新たに行い、再び、ステップS117にて、第1位置P1と第2位置P2が一致しているか否かを判定する。これにより、正常に原点位置OPが決定されるまで、原点復帰運転モードが継続する。
【0057】
このように、本実施形態に係るシャッター開閉機1及びその制御方法では、原点復帰運転モードにおいて、2回の開放動作を行い、第1位置P1と第2位置P2が一致した場合のみ、正常に原点位置OPが決定された判断として、原点復帰運転モードを終了するようになっている。このため、ポテンショメータや原点センサなどの部品を位置検出の手段に用いずに、シャッターのスラットカーテン10の開閉位置を正しく認識することができるようになっている。
特に、本実施形態では、スラットカーテン10が巻取用ホイール16の外周に巻き取られた状態のときに、シャッター開閉機1が、巻き取られたスラットカーテン10の内側に収容されてしまうため、初期設定時の操作等を考えると、原点センサ等の部品を位置検出の手段に用いる必要が無いことのメリットは大きい。また、ポテンショメータや原点センサなどの部品に起因する問題やコスト的な問題も生じない。
【0058】
以上により、開閉体をシャッターのスラットカーテン10として、また、その開閉装置をシャッター開閉機1として、本発明の開閉体の開閉装置及びその制御方法を、第1実施形態に即して説明した。
本実施形態では、モータ回転パルス検出センサ2b、制御部3のモータ回転パルス入力回路、及び、マイクロプロセッサ3aのモータ回転パルスカウント処理部3a1が本発明の位置検出部に相当する。また、押ボタンスイッチボックス4、及び、制御部3の押ボタン入力回路3bが本発明の操作入力部に相当し、開放操作信号SU、閉鎖操作信号SD、及び、停止操作信号SSが本発明の操作信号に相当する。
【0059】
また、本実施形態では、ステップS101〜ステップS103が本発明の第1開放動作ステップに相当し、マイクロプロセッサ3aが実行するこれらのステップが本発明の第1開放動作手段に相当する。また、ステップS104〜ステップS105が本発明の第1障害検知停止ステップに相当し、マイクロプロセッサ3aが実行するこれらのステップが本発明の第1障害検知停止手段に相当する。また、ステップS106が本発明の第1位置記憶ステップに相当し、マイクロステップ3aが実行するこのステップS106が本発明の第1位置記憶手段に相当する。
【0060】
さらに、ステップS111〜ステップS113が本発明の第2開放動作ステップに相当し、マイクロプロセッサ3aが実行するこれらのステップが本発明の第2開放動作手段に相当する。また、ステップS114〜ステップS115が本発明の第2障害検知停止ステップに相当し、マイクロプロセッサ3aが実行するこれらのステップが本発明の第2障害検知停止手段に相当する。また、ステップS116が本発明の第2位置記憶ステップに相当し、マイクロステップ3aが実行するこのステップS101が本発明の第2位置記憶手段に相当する。また、ステップS117が本発明の位置判定ステップに相当し、マイクロステップ3aが実行するこのステップS117が本発明の位置判定手段に相当する。
【0061】
(第2実施形態)
次いで、本発明の第2実施形態について、
図6〜
図7及び
図9のフローチャートを参照しつつ説明する。
本実施形態は、第1実施形態に係るシャッター開閉機1の制御方法のうち、原点復帰運転モードの継続のために必要となる
図8に示した処理を、
図9に示す処理に置き換えたものである。このため、第1実施形態と共通の部分については説明を省略する。
本実施形態では、第1実施形態と同様に、電源投入後の原点復帰運転モードにおいて、
図6のステップS101〜S106、及び、
図7のステップS111〜S116の各処理を行い、2回の開放動作によって第1位置P1及び第2位置P2を記憶する。そして、続くステップS117で第1位置P1と第2位置P2が一致していると判定された場合(Yes)も、第1実施形態と同様に、ステップS118へ進み、一致した第1位置P1と第2位置P2のその位置を原点位置OPに決定して、原点復帰運転モードを終了する。
【0062】
一方、ステップS117で第1位置P1と第2位置P2が一致していないと判定された場合(No)には、原点復帰運転モードをそのまま継続し、原点復帰運転モードの継続のために必要な処理として、
図9のステップS131に進む。
ステップS131では、記憶した第1位置P1及び第2位置P2のうち、第1位置P1を破棄して、第2位置P2を新たな第1位置P1として記憶する。そして、続くステップS132で、閉鎖操作信号SDがあれば、ステップS133へ進んで、スラットカーテン10の閉鎖方向DCへの閉鎖動作を開始する。
ステップS133で閉鎖動作を開始した後については、
図9のフローチャートでは記載を省略しているが、閉鎖動作中に停止操作信号SSがあった場合などに、モータ2を停止する。この場合、再び、スラットカーテン10が全開位置ULよりも全閉位置DL寄りの位置で停止中の状態となる。このとき、第1実施形態では、
図6のステップS101に進んだが、本実施形態では、
図7のステップS111に進む。つまり、新たな第1位置P1はステップS131で記憶済みのため、第2位置P2を記憶するためのステップS111〜ステップS116までの処理を新たに行うことになる。そして、再び、ステップS117にて、第1位置P1と第2位置P2が一致しているか否かを判定し、正常に原点位置OPが決定されるまで、原点復帰運転モードを継続する。
【0063】
このように、本実施形態では、最初に記憶した第1位置P1と第2位置P2のうち、第2位置P2は破棄せずに、新たな第1位置P1として記憶しているので、第1位置P1と第2位置P2が一致していないと判定された場合に、その後の判定動作の回数を減らすことができる。
【0064】
(第3実施形態)
次いで、本発明の第3実施形態について、
図6〜
図7及び
図10のフローチャートを参照しつつ説明する。
本実施形態は、第1〜第2実施形態に係るシャッター開閉機1の制御方法のうち、原点復帰運転モードで第1位置P1を記憶した後の処理を変更したものである。このため、第1〜第2実施形態と共通の部分については説明を省略する。
本実施形態では、第1〜第2実施形態と同様に、電源投入後の原点復帰運転モードにおいて、まず、
図6のステップS101〜S106の各処理を行い、ステップS106で第1位置P1を記憶する。本実施形態では、
図6におけるステップS106と、
図10におけるステップS106が同じであり、ステップS106で第1位置を記憶した後は、
図10のステップ141に進む。
【0065】
ステップS141では、原点復帰運転モードを継続したまま、第1位置P1を原点位置OPの仮の位置となる仮原点位置TOPに設定すると共に、この仮原点位置TOPを基準として定まる全閉位置DLの仮の位置を仮全閉位置TDLとして設定する。
そして、続くステップS142で、閉鎖操作信号SDがあれば、ステップS143へ進んで、スラットカーテン10の閉鎖方向DCへの閉鎖動作を開始する。このとき、この閉鎖方向DCへの閉鎖動作は、仮全閉位置TDLに向けての閉鎖動作となる。
ステップS143で閉鎖動作を開始した後は、ステップS144において、閉鎖動作中に障害検知があったか否かのチェックが行われる。そして、閉鎖動作中に障害検知があった場合(Yes)には、ステップS147に進んで、モータ2を停止する。なお、この障害検知があった場合の処理については、後で説明する。
【0066】
ステップS144で閉鎖動作中に障害検知がなかった場合(No)には、ステップS145に進み、カウント値CTによる位置情報に基づいて仮全閉位置TDLを検出したか否かのチェックが行われる。そして、仮全閉位置TDLを検出した場合(Yes)には、ステップS146に進んで、モータ2を停止し、仮全閉位置TDLを検出していない場合(No)には、閉鎖方向DCへの閉鎖動作を継続したまま、ステップS144に戻り、ステップS144及びステップS145のチェックを繰り返すようになっている。これにより、閉鎖動作中に障害検知があるか、仮全閉位置TDLを検出するまで、閉鎖方向DCへの閉鎖動作が継続される。
そして、ステップS145で仮全閉位置TDLを検出し、ステップS146でモータ2を停止した場合は、閉鎖動作中に障害を検知せず、仮全閉位置TDLで正常に停止した場合である。この場合は、第1位置P1である仮原点位置TOPが原点位置OPと一致している可能性が高いので、その後は、
図7のステップS111に進み、第1〜第2実施形態と同様に、ステップS111〜S116の各処理を行って、第2位置P2を記憶する。本実施形態のその後の処理は、第1又は第2実施形態のいずれかの場合と同じである。
【0067】
ステップS144で閉鎖動作中に障害検知があった場合(Yes)、すなわち、仮全閉位置TDLで停止させる前に、スラットカーテン10が閉鎖方向DCへそれ以上動作出来ないことを検知した場合には、前述の通り、ステップS147に進んで、モータ2を停止する。そして、この場合には、閉鎖動作中に障害物が挟まった場合も考えられるが、第1位置P1である仮原点位置TOPが原点位置OPと一致していない可能性もある。このため、ステップS147に続くステップS148では、ステップS141で設定した仮原点位置TOP及び仮全閉位置TDLを破棄する。仮原点位置TOPは第1位置P1であるため、第1位置P1も破棄することとなる。よって、その後は、
図6のステップS101へ戻り、再び、ステップS101〜S106の各処理を行って、第1位置P1を新たに記憶する。
【0068】
以上のように、本実施形態では、原点復帰運転モードにおいて、第1位置P1を仮原点位置TOPに設定すると共に、この仮原点位置TOPを基準として定まる仮全閉位置TDLに向けて閉鎖動作が行えるようになっている。これにより、原点復帰運転モード中であっても、通常運転モードと同じように閉鎖動作を行うことができる。
加えて、本実施形態では、第1位置P1である仮原点位置TOPを設定した後、閉鎖動作中に障害物が挟まるなどの異常のほか、仮原点位置TOPが全開位置ULよりも全閉位置DL寄りにずれて設定されたために、仮全閉位置TDLで停止するよりも前に床面に当たって停止した場合などのように、仮原点位置TOPが原点位置OPと一致していない可能性がある場合に、仮原点位置TOPがそのまま原点位置OPに決定されることがないようになっている。
【0069】
以上において、本発明を第1〜第3実施形態に即して説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0070】
例えば、第1〜第3実施形態では、開閉体であるシャッターのスラットカーテンが巻き取られた状態のときに、開閉装置であるシャッター開閉機が開閉体の内側に収容されるようになっていたが、開閉体の形状、及び、開閉体と開閉装置の取り付け状態は、これに限定されない。
また、第1〜第3実施形態では、開閉装置のモータがコンデンサラン形の単相100V用誘導モータである場合を示したが、三相200V用誘導モータや、三相DCブラシレスモータを用いた開閉装置であっても良い。
【0071】
また、第1〜第3実施形態では、位置検出部として、回転検出用磁石と2つのホールセンサからなるモータ回転パルス検出センサによって、モータ回転パルスを出力する例を示したが、モータ回転パルスを出力する位置検出部としては、ロータリーエンコーダーなどを用いても良い。また、モータが三相DCブラシレスモータの場合には、ローターの回転位置を検出するための磁石と3つのホールセンサの組み合わせをそのまま位置検出部として用いれば良い。
【0072】
また、第1〜第3実施形態では、開閉体であるシャッターのスラットカーテンが開放方向へそれ以上動作出来ないことを検知する手法として、モータ回転パルスから算出されるモータの回転数が規定値を下回ったことや、規定時間内にモータ回転パルスの変化が無かったことによって判定する手法を挙げたが、他の手法を用いて検知を行っても良い。例えば、モータ回転パルスによる位置検出の手段とは別に、モータの負荷電流を検出する手段が設けられている場合には、モータの負荷電流が急激に変化したことを検知するによって判定する手法を用いても良い。
【解決手段】電源投入後の原点復帰運転モードにおいて、第1開放動作ステップによる開放動作中に開閉体10が開放方向へそれ以上動作出来ないことを検知してモータ2が停止した位置を第1位置として記憶し、第2開放動作ステップによる開放動作中に開閉体10が開放方向へそれ以上動作出来ないことを検知してモータ2が停止した位置を第2位置として記憶し、第1位置と第2位置が一致していると判定された場合にその位置を原点位置に決定して、原点復帰運転モードを終了し、通常運転モードにおいて、原点位置を基準として定まる全開位置と全閉位置との間で開閉動作を行うようになっている開閉体10の開閉装置1の制御方法。