特許第6952302号(P6952302)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6952302
(24)【登録日】2021年9月30日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】洗浄装置及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20211011BHJP
【FI】
   H01L21/304 646
   H01L21/304 648G
   H01L21/304 643Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-111501(P2017-111501)
(22)【出願日】2017年6月6日
(65)【公開番号】特開2018-206983(P2018-206983A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000117009
【氏名又は名称】旭サナック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304000836
【氏名又は名称】学校法人 名古屋電気学園
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清家 善之
(72)【発明者】
【氏名】宮地 計二
(72)【発明者】
【氏名】小林 義典
(72)【発明者】
【氏名】甘利 昌彦
【審査官】 堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−078268(JP,A)
【文献】 特開2007−317463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を噴射するノズルと、
筒状の絶縁部、前記絶縁部の内側に配されている筒状の第1の電極、及び、前記絶縁部を外側から囲むように配されている筒状の第2の電極を有する電荷誘導素子であって、噴射された前記洗浄水の飛行経路を囲むように前記第1の電極が配されており、前記第2の電極が接地されている電荷誘導素子と、
前記第1の電極に正の電圧を印加する電圧源と、
を備える洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄装置であって、
前記洗浄水の飛行経路の形状はコーン状又はストレート状である、洗浄装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の洗浄装置であって、
前記洗浄水は洗浄機能を有する機能水である、洗浄装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の洗浄装置であって、
噴射された前記洗浄水が微粒化した液滴の電荷量を計測する計測装置と、
前記計測装置によって計測された電荷量が目標範囲内となるように、前記電圧源から前記第1の電極に印加される電圧をフィードバック制御する制御部と、
を備える洗浄装置。
【請求項5】
ノズルから洗浄水を噴射する噴射工程と、
筒状の絶縁部、前記絶縁部の内側に配されている筒状の第1の電極、及び、前記絶縁部を外側から囲むように配されている筒状の第2の電極を有する電荷誘導素子であって、噴射された前記洗浄水の飛行経路を囲むように前記第1の電極が配されており、前記第2の電極が接地されている電荷誘導素子の前記第1の電極に正の電圧を印加する電圧印加工程と、
を含む洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は洗浄水を高圧で噴射して洗浄対象物を洗浄する洗浄装置及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗浄水(純水や洗浄機能を有する機能水など)を高圧で噴射して洗浄対象物を洗浄する洗浄装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような洗浄装置ではノズルから噴射された洗浄水が飛行中に微粒化して液滴となり、洗浄対象物に付着している不純物にその液滴が衝突することによって不純物が物理的に除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−35300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、洗浄水として純水を用いる場合、純水がノズルから噴射される際のノズルとの摩擦による摩擦帯電や、噴射された純水が飛行中に微粒化して液滴となる際の分裂帯電などによって液滴に正の電荷が帯電することが知られている。洗浄対象物が液晶ディスプレイや半導体ウェハなどの電子デバイスである場合、液滴が帯電すると静電気障害によって電子デバイスに損傷を与えてしまう虞がある。
【0005】
このため、従来、純水に炭酸ガス(CO2)を混入させた炭酸水や、純水にアンモニアを添加した後に電気分解したアンモニア水素水などの機能水にすることによって純水を改質し、それにより純水の比抵抗値を下げて液滴に帯電する電荷量を減らすことが行われている。しかしながら、純水を改質しても電荷量を減らすことには限界があり、純水を洗浄水として使用できる洗浄プロセスが限られるという問題があった。このため、液滴に帯電する電荷量をより減らすことができる別の手法が望まれている。
【0006】
また、一般に洗浄水の噴射圧力が高くなると液滴の径が小さくなるとともに、液滴の速度が速くなることが知られている。液滴の径が小さいほど、また、液滴の速度が速いほど洗浄効果が向上するので、噴射圧力が高いほど洗浄効果は高くなる。しかしながら、本願発明者が実験したところでは、液滴が小さくなるほど液滴に帯電する電荷量が多くなり、また、液滴の速度が速いほど液滴に帯電する電荷量が多くなるという結果となった。このため、噴射圧力を高くして洗浄効果を向上させることには限界があった。その意味でも、液滴に帯電する電荷量をより減らすことができる別の手法が望まれている。
【0007】
本明細書では、液滴に帯電する電荷量をより減らし、もって電子デバイスの静電気障害を抑制する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書で開示する洗浄装置は、洗浄水を噴射するノズルと、噴射された前記洗浄水の飛行経路の近傍に配されている電極と、前記電極に正の電圧を印加する電圧源と、を備える。
【0009】
本願発明者は、ノズルから噴射された洗浄水が微粒化した液滴に正の電場(あるいは電界)を与えると、液滴に帯電している正の電荷が減少するという知見を得た。上記の洗浄装置によると、洗浄水の飛行経路の近傍に配されている電極に正の電圧を印加することにより、液滴に正の電場(あるいは電界)を与えることができる。これにより、液滴に帯電する電荷量を従来に比べて減らすことができ、もって電子デバイスに影響を与える静電気障害を抑制することができる。
【0010】
また、前記洗浄水の飛行経路の形状はコーン状又はストレート状であり、前記電極は前記飛行経路を囲む筒状に形成されてもよい。
【0011】
上記の洗浄装置によると、洗浄水の飛行経路の形状がコーン状又はストレート状となるノズルを用いる洗浄装置において、液滴に帯電している正の電荷を減少させることができる。
【0012】
また、前記洗浄水の飛行経路の形状は略扁平な扇状であり、前記電極は前記扇状の飛行経路を厚さ方向の両側から挟むように略平行に配されている一対の平板状の電極であり、前記電圧源は各前記電極に電圧を印加してもよい。
【0013】
上記の洗浄装置によると、洗浄水の飛行経路の形状が略扁平な扇状となるノズルを用いる洗浄装置において、液滴に帯電している正の電荷を減少させることができる。
【0014】
また、前記洗浄水の飛行経路の形状は略扁平な扇状であり、前記電極は前記扇状の飛行経路の厚さ方向の片側に配されている平板状の電極であってもよい。
【0015】
上記の洗浄装置によると、洗浄水の飛行経路の形状が略扁平な扇状となるノズルを用いる洗浄装置において、液滴に帯電している正の電荷を減少させることができる。
【0016】
また、前記洗浄水は洗浄機能を有する機能水であってもよい。
【0017】
上記の洗浄装置によると、洗浄機能を有する機能水を用いることにより、純水を用いる場合に比べて洗浄効果を向上させることができる。
【0018】
また、前記液滴の電荷量を計測する計測装置と、前記計測装置によって計測された電荷量が目標範囲内となるように、前記電圧源から前記電極に印加される電圧をフィードバック制御する制御部と、を備えてもよい。
【0019】
上記の洗浄装置によると、電圧源から電極に印加される電圧をフィードバック制御することにより、液滴に帯電している電荷量をより確実に目標範囲内にすることができる。
【0020】
本明細書で開示する洗浄方法は、ノズルから洗浄水を噴射する噴射工程と、噴射された前記洗浄水の飛行経路の近傍に配されている電極に正の電圧を印加する電圧印加工程と、を含む。
【0021】
上記の洗浄方法によると、液滴に帯電する電荷量をより減らし、もって電子デバイスの静電気障害を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態1に係る洗浄装置の模式図
図2】電荷誘導素子の断面図
図3】実験環境の模式図
図4】電圧と電荷量との関係を示すグラフ
図5】実施形態2に係るスプレーパターンとそれに対応する電荷誘導素子の模式図
図6】実施形態3に係る洗浄装置の模式図
図7】実施形態4に係る洗浄装置の模式図
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態1>
実施形態1を図1ないし図4によって説明する。
【0024】
(1)洗浄装置の構成
図1に示すように、実施形態1に係る洗浄装置1はノズル10、電荷誘導素子11、及び、高電圧源12(電圧源の一例)を備えている。図1において洗浄対象物Wは液晶ディスプレイや半導体ウェハなどの電子デバイスである。
ここで、実施形態1では洗浄水として比抵抗値が15MΩ・cm以上の純水(所謂超純水)を用いるものとする。比抵抗値は水の純度の指標となるものであり、値が大きいほど純度が高くなる。なお、洗浄水として用いる水の比抵抗値はこれに限られるものではなく、電子デバイスWの特性などに応じて適宜に決定することができる。
【0025】
ノズル10は高圧ポンプ13から供給される高圧の純水を電子デバイスWに向けて噴射するものである。ノズル10は例えば純水だけを噴射する一流体ノズルであってもよいし、純水と空気とを噴射するニ流体ノズルであってもよい。図1に示すように、実施形態1に係るノズル10のスプレーパターン14(言い換えるとノズル10から噴射された純水の飛行経路の形状)はストレート状である。
【0026】
電荷誘導素子11はノズル10から噴射された純水が微粒化した液滴に正の電場(あるいは電界)を与えるためのものであり、スプレーパターン14の近傍に配されている。より具体的には、実施形態1に係る電荷誘導素子11は筒状に形成されており、スプレーパターン14を囲むように配されている。
図2に示すように、電荷誘導素子11はポリアセタールなどの絶縁性の樹脂によって円筒状に形成されている絶縁部11A、絶縁部11Aの内周面に接着されている筒状の電極11B(電極の一例)、及び、絶縁部11Aの外周面に接着されている筒状の電極11Cを備えている。電極11Bは高電圧源12に接続されており、電極11Cは接地(アース)されている。なお、電極11B及び電極11Cは例えば絶縁部11Aの内周面や外周面に張り付けたアルミ箔であってもよい。
【0027】
高電圧源12は商用電源を昇圧して電極11Bに正の直流の電圧を印加するものである。高電圧源12は電極11Bに印加する電圧が例えば0kV〜20kV(キロボルト)の範囲で可変である。なお、高電圧源12は電極11Bに印加する電圧が固定されていてもよい。
【0028】
(2)電圧と電荷量との関係
本願発明者は、比抵抗値が5MΩ・cmの純水をノズル10から噴射し、液滴に帯電する電荷量(pC:ピコクーロン)を計測する実験を行った。
ここでは先ず、図3を参照して、上述した実験を行った実験環境について説明する。上述した実験では、本願発明者はファラデーケージ20(計測装置の一例)を用いて電荷量を計測した。ファラデーケージ20は内側に配されている金属製の容器21と外側に配されている金属製の容器22とを備えており、内側の容器21と外側の容器22とがコンデンサとして機能する。
【0029】
図3に示すように、外側の容器22は直に接地されている一方、内側の容器21は電圧計測回路23を介して接地されている。電荷量の測定では内側の容器21に純水が噴射され、電圧計測回路23によって内側の容器21と外側の容器22との電位差が計測される。この電位差から単位質量当たりの電荷量を求めることによって液滴の電荷量が計測される。
【0030】
次に、図4を参照して、実験結果について説明する。この実験では1MPa(メガパスカル)、2MPa、3MPa、4MPa及び5MPaの5つの噴射圧力について、高電圧源12から電極11Bに印加する電圧を−20kV〜+20kVまで段階的に変化させ、各電圧において液滴に帯電している電荷量をファラデーケージ20によって計測した。なお、この実験に用いた高電圧源12は負の電圧を印加することも可能なものである。
【0031】
図4において0kVは電極11Bに電圧を印加していない状態である。従来の洗浄装置は本実施形態に係る電荷誘導素子11を備えていないので、0kVにおける電荷量は従来の洗浄装置によって噴射された液滴の電荷量に相当する。
図4に示すように、電圧が0kVのとき液滴は正に帯電していた。そして、電圧が−20kVに近くなるほど正の電荷量が多くなり、+20kVに近くなるほど正の電荷量が減少するという結果となった。つまり、液滴自体は正に帯電しているが、電荷誘導素子11によって液滴に正の電場(あるいは電界)を与えると液滴に帯電している正の電荷が0kVのとき(すなわち従来)より減少することが実験によって確認された。正の電場を与えると正の電荷が減少する理論的な理由は現時点では明らかではないが、上述した実験結果は再現性のあるものであり、複数回の実験を行っても同様の結果となった。
【0032】
ただし、図4に示すように、電圧が+10kVを超えると電荷量のばらつきが大きくなることも確認された。これは電圧が高いことによって電荷誘導素子11内部の液滴の絶縁破壊が起きたからであると考えられる。このため、液滴の電荷量を安定して減少させるためには0kVより大きく+10kV以下の範囲で電圧を印加するのが望ましいといえる。
【0033】
また、図4に示すように、0kV〜+10kVの範囲では+10kVに近いほど電荷量が少なくなっているので、+10kVに近い電圧、例えば+8kV〜+10kVの範囲がより望ましいといえる。
なお、ここでは純水の比抵抗値として5MΩ・cmを例に説明したが、比抵抗値が5MΩ・cmより大きくても同様の結果になると推定される。
【0034】
(3)洗浄装置の作動
洗浄装置1を用いた洗浄では、高電圧源12によって電極11Bに電圧が印加される(電圧印加工程)。前述したように液滴の電荷量を安定して減少させるためには0kVより大きく+10kV以下の範囲で電圧を印加するのが望ましいといえるので、本実施形態に係る洗浄装置1は0kVより大きく+10kV以下の範囲で電極11Bに電圧を印加する。より具体的には、前述したように電圧が+10kVに近いほど電荷量は少なくなるので、洗浄装置1は+8kV〜+10kVの範囲で電極11Bに電圧を印加する。
【0035】
そして、その状態でノズル10から純水が噴射される(噴射工程)。前述したように噴射された純水が微粒化した液滴は電荷誘導素子11によって与えられる電場によって正の電荷が減少するので、従来と同じ圧力で噴射しても電荷量が少ない液滴によって電子デバイスWが洗浄される。
【0036】
(4)実施形態の効果
以上説明した実施形態1に係る洗浄装置1によると、高電圧源12によって電極11Bに正の電圧を印加するので、ノズル10から噴射された純水が微粒化した液滴に正の電場(あるいは電界)を与えることができる。これにより、液滴に帯電する電荷量を従来に比べて減らすことができ、もって電子デバイスWに影響を与える静電気障害を抑制することができる。このため、従来に比べてより多くの洗浄プロセスにおいて純水を洗浄水として使用することが可能となる。また、従来と同じ洗浄プロセスにおいても噴射圧力をより高くすることが可能となり、洗浄効果を向上させることができる。
【0037】
また、洗浄水として機能水を用いる場合は純水に不純物を混入させる問題や機能水を生成するためのコストの問題があるが、洗浄装置1では純水そのものを洗浄水として用いるので不純物の混入やコストを抑制できる。
【0038】
また、洗浄装置1によると、洗浄水のスプレーパターン(純水の飛行経路の形状)がストレート状となるノズル10を用いる洗浄装置1において、液滴に帯電している正の電荷を減少させることができる。
【0039】
<実施形態2>
次に、実施形態2を図5によって説明する。
前述した実施形態1では洗浄水のスプレーパターンがストレート状であり、電荷誘導素子11が筒状である場合を例に説明した。これに対し、実施形態2では他のスプレーパターンとそれに対応する電荷誘導素子の例について説明する。
【0040】
図5においてパターン1は前述した実施形態1で説明したストレート状のスプレーパターンと筒状の電荷誘導素子11とを示している。
パターン2はノズル30のスプレーパターンがコーン状(言い換えると円錐状)である。パターン2に対応する電荷誘導素子11は実施形態1に係る電荷誘導素子11と同じであり、噴射された洗浄水が内側を通過するように配されている。
【0041】
パターン3はノズル40のスプレーパターンが略扁平な扇状である。パターン3に対応する電荷誘導素子41は平行に配された一対の平板状の電極41A,41Bによって構成されており、スプレーパターンを厚さ方向の両側から挟むように略平行に配されている。一対の電極41A,41Bにはそれぞれ高電圧源12から電圧が印加される。
パターン4のノズル40及び電荷誘導素子41はパターン3と同じものである。ただし、パターン4では電極41Bが接地されており、他方の電極41Aのみに電圧が印加される。なお、パターン4では電極41Bは設けられていなくてもよい。
【0042】
以上説明した実施形態2に係る洗浄装置によると、スプレーパターンがコーン状となるノズル30を用いる洗浄装置において、液滴に帯電している正の電荷を減少させることができる。
【0043】
また、実施形態2に係る洗浄装置によると、スプレーパターンが略扁平な扇状となるノズル40を用いる洗浄装置において、液滴に帯電している正の電荷を減少させることができる。
【0044】
<実施形態3>
次に、実施形態3を図6によって説明する。
前述した実施形態1では洗浄水として純水そのものを用いる場合を例に説明した。これに対し、図6に示すように、実施形態3では洗浄水として洗浄機能を有する機能水を用いる。洗浄機能を有する機能水としては、例えば純水に二酸化炭素(CO2)を混入させた炭酸水や、純水にアンモニアを添加した後に電気分解したアンモニア水素水、純水にオゾンガスを溶解させたオゾン水などを用いることができる。
【0045】
なお、機能水はこれらに限定されるものではなく、例えばヘリウム水、窒素水、酸素水、アルゴン水などであってもよい。これらの機能水も高い洗浄能力を有している。
【0046】
以上説明した実施形態3に係る洗浄装置によると、洗浄機能を有する機能水を用いることにより、純水を用いる場合に比べて洗浄効果を向上させることができる。
【0047】
<実施形態4>
次に、実施形態4を図7によって説明する。
実施形態4は実施形態1〜3の変形例である。ここでは実施形態1の変形例として説明する。図7に示すように、実施形態4に係る洗浄装置2は実施形態1に係る洗浄装置1の構成に加えて制御部50、及び、実施形態1で説明したファラデーケージ20を備えている。制御部50はファラデーケージ20の電圧計測回路23に接続されているとともに、高電圧源12に接続されている。
【0048】
実施形態4では、ファラデーケージ20の内側に電子デバイスWが収容された状態で洗浄され、洗浄に用いられた純水に帯電している電荷量がファラデーケージ20によって計測される。制御部50はファラデーケージ20によって計測される電荷量を監視し、高電圧源12から電極11Bに印加される電圧を、液滴の電荷量が目標範囲内となるようにフィードバック制御する。
【0049】
以上説明した実施形態4に係る洗浄装置2によると、高電圧源12から電極11Bに印加される電圧をフィードバック制御することにより、液滴に帯電している電荷量をより確実に目標範囲内にすることができる。
【0050】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0051】
(1)上記実施形態で説明したスプレーパターン(飛行経路の形状)や電極の形状は一例であり、スプレーパターンや電極の形状はこれらに限られるものではない。例えば前述したパターン2はスプレーパターンがコーン状(円錐状)であるが、スプレーパターンは四角錐状であってもよい。また、例えばスプレーパターンが扇状である場合、電荷誘導素子を上面視U字状に形成し、扇状のスプレーパターンをU字状の電荷誘導素子によって厚さ方向の両側から挟むような構成であってもよい。
【0052】
(2)上記実施形態では洗浄対象物として液晶ディスプレイや半導体ウェハを例に説明したが、洗浄対象物はこれらに限られるものではない。例えば洗浄対象物は回路基板であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1,2…洗浄装置、10…ノズル、11B…電極、12…高電圧源(電圧源の一例)、20…ファラデーケージ(計測装置の一例)、30…ノズル、40…ノズル、41A,41B…電極、50…制御部、W…電子デバイス(洗浄対象物の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7