(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記開閉戸の前記側部は突出部と、この突出部から段部を介して引込む細長状の切欠部とを有し、前記パッキン装置のパッキン装置本体は前記切欠部の両側縁および前記突出部のうち段部側部分を覆う、請求項1または2記載のパッキン装置付き開閉戸。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、
図1乃至
図9を参照してパッキン装置付き開閉戸の実施の形態について説明する。
図1乃至
図8に示すように、パッキン装置付き開閉戸2は相手建具材1に対して摺動して離接し、相手建具材1に対して開閉するものである。このパッキン装置付き開閉戸2は相手建具材1側に位置する側部10Aを有する開閉戸、例えば引き戸10と、この引き戸10の側部10Aに設置されたパッキン装置20とを備えている。このうち引き戸10の側部10Aはカマ錠設置用の突出部11と、この突出部11から段部16を介して内側へ引込む細長状の切欠部12とを有し、この細長状の切欠部12に長手方向に延びる係合レール13が設けられている。またパッキン装置20は引き戸10の細長状の切欠部12に設置され、切欠部12に沿って細長状に延びている。
【0014】
次に開閉戸となる引き戸10について、以下詳述する。
引き戸10は一段にスチール製(鋼製)または木材からなっており、この引き戸10の相手建具材1側の側部10Aは、上述のようにカマ錠17を設置するための突出部11と、この突出部11から段部16を介して内側へ引込む細長状の切欠部12とを有している(
図3および
図4参照)。
【0015】
また
図4に示すように、引き戸10の側部10Aのうち、細長状の切欠部12にはこの切欠部12に沿って長手方向に延びる係合レール13が取付けられており、この係合レール13は一対の係合レール部分13a、13bを有している。なお、係合レール13は例えばアルミニウム製又は樹脂製となっている。
【0016】
次に引き戸10の切欠部12に設置されたパッキン装置20について説明する。
パッキン装置20は断面U字状のパッキン装置本体21と、このパッキン装置本体21の内部に設けられ、係合レール13の一対の係合レール部分13a、13bと各々係合する一対の係止部23a、23bとを有している。
【0017】
このうちパッキン装置本体21は引き戸10から離れた先端側に位置する軟質部分21aと、引き戸10側の基端側に位置する硬質部分21bとを有し、軟質部分21aは軟質塩化ビニル(以下、軟質塩ビともいう)からなり、硬質部分21bは硬質塩化ビニル(以下、硬質塩ビともいう)からなる。
【0018】
このようにパッキン装置本体21は先端側の軟質部分21aと、基端側の硬質部分21bとを有するため、パッキン装置付き開閉戸2を相手建具材1に対して閉める際、この軟質部分21aが相手建具材1と当接する。このことにより、相手建具材1とパッキン装置付き開閉戸2との間に形成される間隙を埋めることができ、パッキン装置付き開閉戸2を閉とする際、相手建具材1とパッキン装置付き開閉戸2との間に、手または指が挟まれて怪我をすることがない。
【0019】
またパッキン装置本体21は基端側の硬質部分21bを有しており、さらにパッキン装置本体21の内部に設けられた一対の係止部23a、23bも、硬質部分21bと同様に硬質塩ビからなっている。このため、硬質塩ビ製の一対の係止部23a、23bと、アルミニウム製又は樹脂製の一対の係合レール部分13a、13bを含む係合レール13とを堅固に係合させることができ、このことによりパッキン装置20を引き戸10の側部10Aに堅固に取り付けることができる。
【0020】
またパッキン装置20のパッキン装置本体21内部に設けられた一対の係止部23a、23bは、パッキン装置本体21の上方側端部より長さLだけ下方側内方に引込んでいる(
図2(a)(b)参照)。
【0021】
このように一対の係止部23a、23bがパッキン装置本体21の上方側端部より内方に引込んでいるため、引き戸10の側部10Aにパッキン装置20を取付ける際、一対の係止部23a、23bは引き戸10の段部16に当接する。この場合、一対の係止部23a、23bを段部16に当接させることにより、一対の係止部23a、23bより上方側のパッキン装置本体21により突出部11のうち段部16側の部分11aを覆うことができる(
図1および
図2(a)(b)参照)。
【0022】
また、同様にパッキン装置本体21の硬質部分21bにより、引き戸10の切欠部12の両側縁12a、12bを覆うことができる(
図1および
図4参照)。
【0023】
本実施の形態において、「上方側」および「下方側」とは、本実施の形態によるパッキン装置付き開閉戸2を
図1のように設置した場合における、
図1上での「上方側」および「下方側」を意味する。
【0024】
ところで、係合レール13を構成する係合レール部分13a、13bは、互いに当接した状態で引き戸10の側部10Aのうち細長状の切欠部12に取付けられている(
図4参照)。
【0025】
しかしながら、係合レール13を構成する係合レール部分13a、13bを互いに所定間隔Gをおいて切欠部12に取付けてもよい(
図9参照)。
図9に示すように、係合レール部分13a、13bを互いに所定間隔Gをおいて切欠部12に取付けることにより、例えば引き戸10の厚み(
図9において左右方向の厚み)の大きさによらず、一対の係合レール部分13a、13bを引き戸10の切欠部12において、その両側縁12a、12b側へ寄せて設置することができる。
【0026】
次に
図4、
図6乃至
図8により、引き戸10の側部10Aのうち、切欠部12に設けられた係合レール13について詳述する。
【0027】
図4,
図6乃至
図8に示すように、係合レール13は一対の係合レール部分13a、13bを有する。各係合レール部分13a、13bは略同一形状をもつ。そして係合レール部分13a、13bの断面形状30は、内部空間31を形成する円弧状の内周縁32を含む。また内部空間31を形成する円弧状の内周縁32は、円弧状に略270°に渡って延び、内部空間31は下方において外方へ向かって開放して、開放縁34を形成している。
【0028】
係合レール部分13a、13bの内部空間31は、後述のように、頭部36と軸部37とを有する止め具としてのビス35が挿入される部分である。
【0029】
また各係合レール部分13a、13bは、その側面外方(
図4の左右方向外方)に形成され、パッキン装置20の対応する係止部23a、23bと係合する係合部33、33を有する。
【0030】
また
図6に示すように、各係合レール部分13a、13bのうち、少なくとも一方の係合レール部分13aまたは13bの手前側端部、すなわち
図1に示す下方側端部に、内部空間31内に挿入される円筒状の軸部37と、この軸部37に連結された頭部36とを有するビス35が設けられている。
【0031】
このビス35の軸部37の外面には、外ねじ37aが形成されている。またビス35の頭部36はパッキン装置20の対応する係止部23a、23bまで達し、ビス35の頭部36によりパッキン装置20の、
図6において紙面に対して直交する方向に沿った長手方向の移動、すなわち
図1において上下方向に沿った長手方向の移動が防止される、さらにビス35の頭部36外面にはドライバ(図示せず)が挿着される十文字状のビス穴35aが設けられている。
【0032】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
まず、
図1に示すように相手建具材1側に位置する側部10Aを有する引き戸10を準備する。この場合、引き戸10の側部10Aは、カマ錠設置用の突出部11と、この突出部11から段部16を介して内側へ引込む細長状の切欠部12とを有し、この細長状の切欠部12に長手方向に延びるとともに一対の係合レール部分13a、13bを含む係合レール13が取付けられている。
【0033】
次にパッキン装置20を引き戸10の側部10Aに形成された細長状の切欠部12に取付ける。この場合、またパッキン装置20のU字状断面をもつパッキン装置本体21を拡げて、切欠部12に設けられた一対の係合レール部分13a、13bに、パッキン装置20の一対の係止部23a、23bを側方から嵌合させ、パッキン装置本体21を閉じる。
【0034】
このようにして、パッキン装置20の基端部側の硬質部分21bにより切欠部12の両側縁12a、12bを覆うことができる。切欠部12の両側縁12a、12bは鋭利な形状をもち、露出すると操作時に手または指を傷付けることも考えられる。このため、硬質部分21bにより切欠部12の両側縁12a、12bを覆うことにより、安全にパッキン装置付き開閉戸2を操作することが可能となる。
このとき引き戸10の切欠部12に取付けられたパッキン装置20は、
図1に示す位置にある。
【0035】
次に
図1に示すように、引き戸10の切欠部12に沿ってパッキン装置20を上方側へ引き上げる。この場合、パッキン装置20の一対の係止部23a、23bは、引き戸10側の一対の係合レール部分13a、13bに沿って上方側へ摺動し、一対の係止部23a、23bの上端が引き戸10の段部16に当接したところでパッキン装置20は停止する。このとき、一対の係止部23a、23bはパッキン装置本体21の端部より長さLだけ下方側内方に引込んでいるため、一対の係止部23a、23bが引き戸10の段部16に当接した際、パッキン装置本体21の基端側の硬質部分21bにより、突出部11のうち段部16側の部分11aを覆うことができる。
【0036】
一般に、突出部11のうち段部16側部分は、鋭利な形状をもち、露出すると操作時に手または指を傷付けることも考えられるため、軟質部分21aおよび硬質部分21bにより突出部11のうち段部16側の部分11aを覆うことにより、安全にパッキン装置付き引き戸2を操作することが可能となる。
【0037】
またパッキン装置本体21の一対の係止部23a、23bおよび硬質部分21bは、いずれも硬質塩ビからなるため、一対の係止部23a、23bをアルミニウム製又は樹脂製の一対の係合レール部分13a、13bに係合させ、かつ硬質部分21bを切欠部12に嵌合させることにより、引き戸10にパッキン装置20に容易かつ堅固に取付けることができる。
【0038】
なお、パッキン装置20を引き戸10の側部10Aに形成された軸長状の切欠部12に取付ける場合、パッキン装置本体21を拡げてパッキン装置20の一対の係止部23a、23bを側方から一対の係合レール部分13a、13bに嵌合させる例を示したが、これに限らず、パッキン装置20を引き戸10の側部10Aのうち下方側端部から挿入し、パッキン装置20の一対の係止部23a、23bを一対の係合レール部分13a、13bに係合させ、更にパッキン装置20を引き戸10の側部10Aに沿って上下側へ摺動させて、パッキン装置20を引き戸10の側部10Aに取付けてもよい。
【0039】
このようにパッキン装置20を引き戸10の側部10Aに取付けた際、パッキン装置20が引き戸10の側部10Aに沿って、例えば引き戸10の下方側へ向かって移動することも考えられる。
【0040】
そこで本実施の形態においては、パッキン装置20を引き戸10の側部10Aに取付けた後、係合レール13の一対の係合レール部分13a、13bのうち、少なくとも一方、あるいは双方の
図1に示す係合レール部分13a、13bの下方側端部に、頭部36と軸部37とを有する止め具としてのビス35を設ける。
【0041】
この場合、ビス35はステンレス製又は鋼製からなり、その軸部37の外面には外ねじ37aが形成されている。そしてビス35の軸部37は、一対の係合レール部分13a、13bの下方側端部から係合レール部分13a、13bの内部空間31内にねじ込まれる。
【0042】
このようにビス35の軸部37を係合レール部分13a、13bの内部空間31内にねじ込むことにより、ステンレス製又は鋼製のビス35は、その軸部37の外ねじ37aがアルミニウム製又は樹脂製の係合レール部分13a、13bの内部空間31内に内ねじを形成しながら前進する。
【0043】
このようにして係合レール部分13a、13bの内部空間31内にビス35の軸部37がねじ込まれた場合、ビス35の頭部36はパッキン装置20の対応する係止部23a、23bまで達している。このため、ビス35の頭部36が係止部23a、23bに係合して、パッキン装置20の
図1における、上下方向に沿った長手方向の移動を確実に防ぐことができる。
【0044】
また、ビス35の円筒状の軸部37が挿入される係合レール部分13a、13bの内部空間31は円弧状の内周縁32を有する。このため係合レール部分13a、13bの内部空間31内にビス35の円筒状の軸部37を挿入したとしても、このビス35の軸部37によって内部空間31が拡がって、係合レール部分13a、13bの外形が拡張したり歪むことはない。このことにより係合レール部分13a、13bの外形形状を一定に維持することができ、係合レール部分13a、13bと、係合レール部分13a、13bに対応するパッキン装置20の係止部23a、23bとを確実に係合させることができる。
【0045】
このようにして引き戸10とパッキン装置20とを含むパッキン装置付き開閉戸2が得られる。この場合、係合レール部分13a、13bの下方側端部は、パッキン装置20の下方側端部と略同一の位置にある。しかしながら、係合レール部分13a、13bの下方側端部は、必ずしもパッキン装置20の下方側端部と同一の位置にある必要はなく、係合レール部分13a、13bの下方側端部が、パッキン装置20の下方側端部よりわずかに上方に位置していてもよい。
【0046】
パッキン装置付き開閉戸2の使用にあたっては、
図1に示すように、相手建具材1に対してパッキン装置付き開閉戸2を摺動させて開閉する。パッキン装置付き開閉戸2を閉じる場合、パッキン装置付き開閉戸2を相手建具材1に対して接近させる。その後、パッキン装置20の軟質部分21aが相手建具材1に当接するため、相手建具材1とパッキン装置付き開閉戸2との間の間隙を軟質部分21aにより埋めることができる。このためパッキン装置付き開閉戸2を閉める際、手または指が挟まれて怪我をすることはない。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態によれば、引き戸10の突出部11のうち鋭利な形状をもつ段部16側の部分11a、および鋭利な形状をもつ切欠部12の両側縁12a、12bをパッキン装置本体21の軟質部分21aおよび硬質部分21bにより覆うことができる。またパッキン装置本体21の一対の係止部23a、23bおよび硬質部分21bはいずれも硬質塩ビからなるため、一対の係止部23a、23bを例えば、アルミニウム製又は樹脂製の一対の係合レール部分13a、13bに係合させ、硬質部分21bを切欠部12に嵌合させることにより、引き戸10にパッキン装置20を容易かつ堅固に取付けることができる。
【0048】
また、係合レール部分13a、13bの内部空間31内にビス35の軸部37をねじ込んだ場合、ビス35の頭部36はパッキン装置20の対応する係止部23a、23bまで達しているため、ビス35の頭部36が係止部23a、23bに係合して、パッキン装置20の
図1における上下方向に沿った長手方向の移動を確実に防ぐことができる。
【0049】
また、ビス35の円筒状の軸部37が挿入される係合レール部分13a、13bの内部空間31は円弧状の内周縁32を有するため、係合レール部分13a、13bの内部空間31内にビス35の円筒状の軸部37を挿入したとしても、このビス35の軸部37によって内部空間31が拡がって係合レール部分13a、13bの外形が拡張したり歪むことはない。このことにより係合レール部分13a、13bの外形形状を一定に維持することができ、係合レール部分13a、13bと、係合レール部分13a、13bに対応するパッキン装置20の係止部23a、23bとを確実に係合させることができる。
【0050】
なお、上記実施の形態においてパッキン装置付き開閉戸2が開閉戸としての引き戸10と、パッキン装置20とを有する例を示したが、これに限らず開閉戸として、引き戸10の代わりに、回転軸回りに回転する開き戸を用い、この開き戸とパッキン装置とによりパッキン装置付き開閉戸2を構成してもよい。
【0051】
あるいは開閉戸として、引き戸10あるいは開き戸の代わりに折れ戸を用いてもよい。
【0052】
あるいはまた、係合レール部分13a、13bの内部空間31内に挿入される止め具として、外ねじ37aを有する軸部37と、軸部37に連結された頭部36とを有するビス35を設けた例を示したが、これに限らず外ねじ37aを有しない軸部37と頭部36とを有する止め具を用いてもよい。