(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
患者の透視画像を撮像する撮像装置と、患者に造影剤である第1の薬液と生理食塩水である第2の薬液とを注入可能な薬液注入装置とを少なくとも備える撮像システムに接続されて使用される、制御部を備えるデータ処理装置であって、
前記薬液注入装置は、患者に対して行われた複数の注入フェーズを含む薬液注入の注入履歴のデータを生成する履歴生成部と、前記注入履歴のデータを外部に送信する履歴出力部とを有し、
前記薬液注入装置は、前記薬液の注入中に、横軸が時間で、縦軸が薬液注入において測定された薬液の注入圧力である圧力グラフを作成し、前記圧力グラフには、時間および前記注入圧力を示すインジケータが前記圧力グラフの曲線上に複数の注入フェーズに対応して表示され、前記インジケータは、注入中の薬液と注入が終了した薬液とで表示の色または濃淡が異なるように構成されており、
前記制御部は、患者に対して行われた複数の注入フェーズを含む薬液注入の注入履歴のデータを取得する注入履歴データ取得部を有する、
データ処理装置。
前記閲覧画面の少なくとも一部に、前記注入履歴のデータとして、薬液の注入速度、薬液の注入量、使用した薬液に関する情報、および薬液の注入時間から選ばれる少なくとも1つが、テキストデータとして表示される、請求項2に記載のデータ処理装置。
患者の透視画像を撮像する撮像装置と、患者に造影剤である第1の薬液と生理食塩水である第2の薬液とを注入可能な薬液注入装置とを少なくとも備える撮像システムに接続されて使用される、制御部を備えるデータ処理装置であって、
前記薬液注入装置は、患者に対して行われた複数の注入フェーズを含む薬液注入の注入履歴のデータを生成する履歴生成部と、前記注入履歴のデータを外部に送信する履歴出力部とを有し、
前記薬液注入装置は、前記薬液の注入中に、横軸が時間で、縦軸が薬液注入において測定された薬液の注入圧力である圧力グラフを作成し、前記圧力グラフには、時間および前記注入圧力を示すインジケータが前記圧力グラフの曲線上に複数の注入フェーズに対応して表示され、前記インジケータは、注入中の薬液と注入が終了した薬液とで表示の色または濃淡が異なるように構成されており、
前記制御部は、患者に対して行われた複数の注入フェーズを含む薬液注入の注入履歴のデータを取得する注入履歴データ取得部と、
前記撮像装置によって撮像された患者の透視画像のデータを取得する画像データ取得部と、
前記撮像装置によって実施された撮像検査における曝射時間のデータを取得する曝射時間データ取得部と、
1つまたは複数の前記透視画像を表示した閲覧画面を作成する閲覧画面作成部と、
を有し、
一回の検査において複数の撮像動作が行われ、それぞれの撮像動作に対応して、撮像開始時間から撮像終了時間までの範囲である複数の撮像タイミング表示部が表示され、
前記複数の撮像タイミング表示部のうち選択されている1つのみがアクティブ表示となり、それ以外が非アクティブ表示となるように構成されているデータ処理装置。
患者の透視画像を撮像する撮像装置と、患者に造影剤である第1の薬液と生理食塩水である第2の薬液とを注入可能な薬液注入装置とを少なくとも備える撮像システムに接続されて使用されるデータ処理装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記薬液注入装置は、患者に対して行われた複数の注入フェーズを含む薬液注入の注入履歴のデータを生成する履歴生成部と、前記注入履歴のデータを外部に送信する履歴出力部とを有し、
前記薬液注入装置は、前記薬液の注入中に、横軸が時間で、縦軸が薬液注入において測定された薬液の注入圧力である圧力グラフを作成し、前記圧力グラフには、時間および前記注入圧力を示すインジケータが前記圧力グラフの曲線上に複数の注入フェーズに対応して表示され、前記インジケータは、注入中の薬液と注入が終了した薬液とで表示の色または濃淡が異なるように構成されており、
1つのコンピュータまたは複数のコンピュータを、
患者に対して行われた複数の注入フェーズを含む薬液注入の注入履歴のデータを取得する注入履歴データ取得部として機能させる、
コンピュータプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図面を参照して以下に説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
本実施形態の医用検査システム1000は、
図4Aに示すように、患者の透視画像を撮像する撮像装置300と、患者に薬液を注入するための薬液注入装置100と、放射線科情報システムであるRIS(Radiology Information System)701と、画像保存通信システムであるPACS(Picture Archiving and Communication Systems)702と、データ処理装置であるワークステーション500とを備えている。また、薬液注入装置100と撮像装置300とを組み合わせたものは「撮像システム」と称されることもある。
【0016】
なお、
図4Aはあくまでも本発明の一例であって、図示されている全ての要素が本発明に必須というわけではない。各機器の接続は、例えば、LAN(Local Area Network)や専用線などの通信回線を介して行われてもよい。また、この医用検査システム1000は、デジタル医用画像に関する標準規格であるDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)に準拠したものであってもよい。
【0017】
以下、本システムの各部について順に説明する。まず、薬液注入装置100について説明し、次いで、撮像装置300、RIS701、PACS702、および、ワークステーション500について説明するものとする。
【0018】
〔A1.薬液注入装置〕
薬液注入装置100は、一例として
図1に示すように、可動式スタンド111の上部に保持された注入ヘッド110と、ケーブル102で注入ヘッド110と電気的に接続されたコンソール150とを備えている。この例では、注入ヘッド110には、
図2のように、2つのシリンジ200C、200Pが並列に取外し自在に装着される。
【0019】
なお、以下の説明では、シリンジ200C、200Pを区別せずに単に「シリンジ200」ということもある。「注入ヘッド」は、インジェクターまたはインジェクションヘッド等とも呼ばれる。また、以下の説明では図面に表された1つの具体的な形態に基づいて説明を行うが、薬液注入装置やシリンジ等については、下記に説明するもの以外にも種々変更可能である。
【0020】
(シリンジ)
シリンジ200C、200P(
図2参照)に充填される薬液としては、造影剤および生理食塩水などが挙げられる。例えば、一方のシリンジ200Cに造影剤が充填され、もう一方のシリンジ200Pに生理食塩水が充填されていてもよい。
【0021】
シリンジ200は、中空筒状のシリンダ部材221と、そのシリンダ部材221にスライド自在に挿入されたピストン部材222とを有している。シリンダ部材221は、その基端部にシリンダフランジ221aが形成されるとともに先端部に導管部221bが形成されたものであってもよい。ピストン部材222をシリンダ部材221内に押し込むことにより、シリンジ内の薬液が導管部221bを介して外部に押し出される。なお、シリンジは予め薬液が充填されたプレフィルドタイプであってもよいし、空のシリンジに薬液を吸引して使用する吸引式のものであってもよい。
【0022】
各シリンジ200の導管部221bには、延長チューブ230が連結される。延長チューブ230は、いわゆるT字管またはY字管であってもよく、一方のシリンジ200Cの導管部221bから分岐部まで延びるチューブ231aと、他方のシリンジ200Pの導管部221bから分岐部まで延びるチューブ231bと、分岐部から患者に向けて延びるチューブ231cとを有するものであってもよい。チューブ231cの先端側(不図示)には例えば注入針が接続される。この注入針を患者の血管に穿刺して、シリンジ200Cおよび/またはシリンジ200P内の薬液を押し出すことで血管内に薬液が注入される。
【0023】
図3に示すように、シリンダ部材221の一部にICタグ225が付されていてもよい。このICタグには、シリンジに関する情報(シリンジの識別情報、シリンジの耐圧、シリンダ部材の内径、ピストン部材のストローク等)や、該シリンジに充填された薬液の情報(名称(例えば製品名)、ヨード量などの成分情報、消費期限、薬液容量等)が記憶されている。ICタグは、そのタグに固有のユニークIDを有していてもよい。ICタグは、シリンジサイズ、シリンジの製造番号、および薬剤標準化コードから選ばれる少なくとも1つの情報を有していてもよい。なお、ICタグとしては、例えば、RFID(Radio frequency identification)タグを利用することができる。ICタグを貼り付ける位置としては、一例で、シリンダ部材221の外周面であってもよく、具体的には、外周面のうちシリンダフランジの付近であってもよい。
【0024】
(注入ヘッド)
注入ヘッド110は、
図2に示すように、一例として前後方向に長く延びるような筐体を有しており、この筐体の上面先端側には、それぞれシリンジ200C、200Pが載せられる2つの凹部120aが形成されている。凹部120aはシリンジ保持部として機能する部分である。
【0025】
凹部120aに対しては、シリンジ200が直接装着されてもよいし、または、所定のシリンジアダプタを介して装着されてもよい。
図2では、各シリンジ200のシリンダフランジ221aおよびその近傍を保持するシリンジアダプタS121、S122が一例として図示されている。シリンジアダプタの形状や機能は特定のものに限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。
【0026】
注入ヘッド110は、また、
図2および
図3に示すように、シリンジ200のピストン部材222を押し込む機能を少なくとも有するピストン駆動機構130を有している。ピストン駆動機構130は二系統設けられており、各機構130は独立して動作する。ピストン駆動機構130は、例えばシリンジ内への薬液吸引のために、ピストン部材222を後退させる機能を有するものであってもよい。2つのピストン駆動機構130は同時に駆動されてもよいし、別々のタイミングで駆動されてもよい。
【0027】
ピストン駆動機構130は、詳細な図示は省略するが、駆動モータ(不図示)と、その駆動モータの回転出力を直線運動に変換する運動変換機構(不図示)と、その運動変換機構に連結され、ピストン部材222を前進および/または後退させるシリンジプレッサー(ラム部材)とを有するものであってもよい。このようなピストン駆動機構としては、薬液注入装置で一般に用いられる公知の機構を用いることができる。
【0028】
なお、ピストン駆動機構130は、ラム部材がピストン部材220を押圧する力を検出するためのロードセル(不図示)を有していてもよい。ロードセルの検出結果を利用して、例えば、薬液を注入しているときの薬液の圧力の推定値を求めることができる。この推定値の算出は、針のサイズ、薬液の濃度、注入条件なども考慮して行われる。他にも、ロードセル(不図示)を用いるのではなく、駆動モータ(不図示)のモータ電流に基づいて圧力の算出を行うものであってもよい。さらに、これら両方の圧力検出方式を備えたものであってもよい。
【0029】
注入ヘッド110の筐体の上面および側面には、注入ヘッド110に各種動作を行わせるための複数の物理ボタンも設けられている。これらの物理ボタンの一部は、例えば、所定の情報を術者に知らせるために発光するように構成されていてもよい。
【0030】
シリンジ200にICタグが付されている場合には、注入ヘッド110は、
図3に示すように、同ICタグの情報を読み取るおよび/または同ICタグに情報を書き込むリーダ/ライタを有していてもよい。このリーダ/ライタは、シリンジが装着される凹部120aに設けられていてもよい。なお、リーダ/ライタは、ICタグの情報を読み取る機能のみを有するものであってもよい。この場合、それは単にリーダと呼ばれるものであってもよい。
【0031】
注入ヘッド110は、
図3に示すように、ピストン駆動機構130やリーダ/ライタ145の動作を制御するための制御部144を有していてもよい。また、例えば、ICタグ225から読み取られた情報を一時的に記憶する記憶部146を有していてもよい。制御部144は、プロセッサおよびメモリ等を有する制御回路として構成することができる。一例で、制御部144に対しては、1つまたは複数のセンサが電気的に接続され、物理ボタン等の入力装置(入力インターフェース)が電気的に接続され、ICタグのリーダ/ライタが電気的に接続され、外部機器との接続のための接続インターフェースが電気的に接続される。
【0032】
(コンソール)
コンソール150は、検査室に隣接した操作室内に置かれて使用されるものであってもよい。コンソール150は、所定の画像を表示する表示ユニット151と、その筐体前面に設けられた操作パネル159と、筐体内に配置された制御回路(詳細下記)などを有している。操作パネル159は、1つまたは複数の物理ボタンが配置された部分であり、操作者によって操作される。操作パネル159は入力インターフェースとして機能する。
【0033】
表示ユニット151は、タッチパネル式ディスプレイであってもよいし、単なるディスプレイであってもよい。タッチパネル式ディプレイの場合、タッチパネルは入力インターフェースとして機能する。コンソール150は、音および/または音声を出力するためのスピーカ等(不図示)を有していてもよい。
【0034】
コンソール150は、
図3のブロック図では、接続されている各部の動作を制御する制御部153と、種々のデータが記憶される記憶部154と、所定の外部機器と接続するための接続インターフェースとを有するものとして描かれている。
【0035】
コンソール150は、注入ヘッド110との接続のための接続インターフェースと、撮像装置との接続のための接続インターフェースとを有していてもよい。コンソール150は、操作者の手元で操作されるハンドユニット157(
図3参照。
図1等では不図示)を有していてもよい。
【0036】
詳細な図示は省略するが、コンソール150は、コンピュータ可読媒体の情報を読み取る読取デバイス、外部の機器と無線方式で所定のデータ通信を行う無線モジュール等を有していてもよい。
【0037】
制御部153は、メモリやプロセッサ等を有し、実装されたコンピュータプログラムにしたがって種々の処理を行うものであってもよい。制御部153は、一例として、
図5に示すように、設定画面表示部153a、注入プロトコル作成部153b、注入制御部153c、履歴生成部153d、および履歴出力部153eを含んでいてもよい。
【0038】
設定画面表示部153aは、注入プロトコルを設定するための情報を表示ユニット151に表示させる機能に相当するものであってもよい。
【0039】
プロトコル作成部153bは、例えば、操作者による表示ユニット151のタッチパネル等への入力操作を受け付け、注入プロトコルを作成する機能に相当するものであってもよい。このように操作者によって入力される条件としては、例えば、薬液の種類、薬液の注入速度、薬液の注入量、患者の身体情報から選ばれる少なくとも1つであってもよい。
【0040】
注入制御部153cは、作成された注入プロトコルにしたがってピストン駆動機構130の動作を制御する機能に相当するものであってもよい。注入制御部153bは、ピストン駆動機構130の一方のみを動作させること、および、両方を同時に動作させることを行うものであってもよい。
【0041】
履歴生成部153dは、注入履歴データを生成する機能に相当するものであってもよい。「注入履歴データ」としては、例えば次のようなもののうち少なくとも1つの情報を含むものであってもよい:
−実施した薬液注入における、経過時間と薬液の圧力(推定値)との関係を示す経時グラフ
−薬液の注入速度
−薬液の注入量
−薬液の注入時間(注入継続時間)
−薬液の注入圧力
−注入時刻
−薬液の種類
−造影剤のヨード量
−薬液を注入した身体区分または撮像部位
−実施した薬液注入を識別するための識別情報
−患者の識別情報
−計画された薬液注入プロトコル(すなわち設定した注入プロトコル)。
【0042】
また、薬液注入中に薬液が血管外に漏出したかどうかに関する情報を含んでいてもよい。この場合、具体的には、単に血管外漏出があったことを示す情報のみが注入履歴データに含まれていてもよいし、または、設定した注入プロトコルと薬液圧力の推移グラフとの関係を示す数値データもしくは画像データ等が含まれてもよい。別の態様としては、例えば発光素子および受光素子等を備えた漏出検出センサ等で漏出の検出を行う構成においては、その漏出検出センサの検出結果のデータを履歴データに含んでもよい。このような血管外漏出に関する情報が、後述するようにワークステーションにおいて表示され、確認できるように構成されていることも好ましい。
【0043】
「経時グラフ」は、圧力グラフとも呼ばれるもので、例えばロードセルを用いてまたはモータ電流を用いて算出した薬液の圧力推定値をプロットしたもの(具体的な一例としては圧力カーブが描かれるもの)であってもよい。経時グラフは例えば数値データであっても画像データであってもよく、その形式は特に限定されるものはない。
「薬液注入を識別するための識別情報」としては、検査のシリアルナンバー、注入作業ID、および注入作業の日時を示す情報などの少なくとも1つであってもよい。
「患者の識別情報」としては、氏名、患者ID、および生年月日を示す情報などの少なくとも1つであってもよい。
「薬液を注入した身体区分または撮像部位」に関し、身体区分とは例えば頭部、胸部、腹部などの身体の区分を表す上位項目であり、撮像部位とはその身体区分に含まれる例えば心臓、肝臓、血管等などの下位項目である。
【0044】
履歴生成部153dは、例えば薬液注入に関する情報情報にその薬液注入が行われた時刻データを関連付けて付与するものであってもよい。時刻データは、一例として、NTP(Network Time Protocol)サーバの時刻データ、またはNTPサーバに基いて時刻設定された他のタイムサーバの時刻データ、またはそのようなサーバに基いて時刻設定されたシステム内の所定の機器の時刻データ、またはそのようなサーバに基いて時刻設定されたコンソール内の時刻データ等を利用するものであってもよい。履歴生成部153dからのデータは、薬液注入装置内の所定の記憶デバイス、またはネットワーク上の所定のサーバ等に記憶されてもよい。
【0045】
履歴出力部153eは、注入履歴データを外部に送信する機能に相当するものであってもよい。具体的には、外部の所定の機器および/またはネットワークにデータを送信するものであってもよい。当然ながら、こうしたデータ送信は有線または無線の送信手段(一例で外部機器との間で通信を行うトランスミッター)を介して実施することができる。シリンジのICタグから取得した、または操作者によって手動で入力された、または外部ネットワーク等から入力された薬液の情報やシリンジの情報(これらの例として、例えばシリンジの識別ID、製品名称、メーカ名等)が、上記送信手段経由で、薬液注入装置から病院内の医療情報システムに送信されてもよい。例えば会計処理機能を備えるシステムが、その情報に基づいて会計処理を行うようなシステム構成も可能である。
【0046】
なお、各部153a〜153eの各機能は、実装されたコンピュータプログラムによって制御部153が実行するものであってもよい。コンピュータプログラムは、コンソール内の所定の記憶手段(例えば記憶部154でもよい)に予め記憶されたものであってもよい。
【0047】
記憶部154には、例えば、表示ユニット151に表示される画像のデータなどが記憶されていてもよい。また、注入条件を設定するための計算式などを含むアルゴリズムや、注入プロトコルのデータが記憶されていてもよい。注入速度は、一定であってもよいし、時間とともに変化するものであってもよい。造影剤と生理食塩水とを注入する場合、それらの薬液をどのような順序で注入するかといった情報も、注入プロトコルに含まれる。
【0048】
なお、このような注入プロトコルに関する情報は、接続インターフェース端子158を介して有線または無線で接続された外部機器から入力されてもよい。また、コンソール150がスロット(不図示)を有し、そこに差し込まれる外部記憶媒体を通じて入力されてもよい。
【0049】
注入ヘッドおよびコンソール等の構成に関し、下記のような変更がなされてもよい:
(a1)注入ヘッド110とコンソール150とは、ケーブル102で接続されるのではなく、無線方式の通信ユニット等を介して接続されていてもよい。この場合、通信ユニットは、注入ヘッド110に外付けされてもよいし、内蔵されてもよい。同様に、通信ユニットは、コンソール150に外付けされてもよいし、内蔵されてもよい。
(a2)
図3では描かれていないが、薬液注入装置100と撮像装置300とが有線または無線で接続されていてもよい。具体的には、コンソール150が有線または無線で撮像装置300と接続されてもよい。または、注入ヘッド110が、有線または無線で、撮像装置300と接続されてもよい。
【0050】
(a3)上記では2つのシリンジが装着される注入ヘッドを示したが、1つの注入ヘッドのみが装着される注入ヘッドとしてもよい。
(a4)薬液注入装置100は、CT検査用に限らず、MR検査用、アンギオグラフィ検査用、超音波診断用等のものであってもよい。
(a5)造影剤の注入パターンとしては、注入速度を直線的に低下させ以後は注入速度を一定に維持する可変パターン、および/または、注入速度を直線的に低下させ以後は再び注入速度を直線的に増加させる可変パターンを使用することもできる。
【0051】
(a6)上記では、例えば
図1に示すように、注入ヘッドとコンソールとが別体に構成された薬液注入装置を示した。しかしながら、下記のような薬液注入装置としてもよい:
−注入ヘッドとコンソールとが一体となったような薬液注入装置、換言すれば、1つの装置で、注入プロトコルの設定、薬液注入中の各種状態の表示、およびピストン駆動機構の動作制御等を行うことができるような薬液注入装置。
−注入ヘッドとコンソールとが1つの筐体として一体となったような上記薬液注入装置において、さらに、別体のバッテリーユニットを備える薬液注入装置。このようなバッテリーユニットはAC電源であってもよく、また、検査室の任意の個所に据え置かれてもよいし、可動式スタンドの一部に保持されるものでもよい。
【0052】
−例えば有線または無線のリモートコントローラを用いて、検査室の外部から薬液注入装置の所定の動作をコントロール可能な薬液注入装置。この場合、無線の方式としては、赤外線を用いる方式であってもよいし、無線LAN、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等を用いるものであってもよい。
−コントロールされる動作としては、例えば、装置の電源オン/電源オフ等をはじめとしてどのようなものであっても構わない。他の例としては、注入ヘッドの任意の動作の開始および/または停止がリモートコントローラでコントロールされてもよい。
−注入ヘッドとコンソールとが別体であるが、注入ヘッドにサブディスプレイが設けられた薬液注入装置。サブディスプレイはシステム内の任意の位置に、スタンドアロンとしてまたは他の機器の一部として、設けられていてもよい。
【0053】
−コンソールを小型化したようなコントロールユニットが、注入ヘッドの近傍に配置された薬液注入装置。例えばこのようなコントロールユニットは、注入ヘッドと一緒に可動式スタンド上に保持される。または、例えばこのようなコントロールユニットは注入ヘッドと一緒に天井懸垂式のアームに保持される。
−コンソールに相当するもの(特には、制御部153に相当するものが)、撮像装置に組み込まれている構成、または撮像装置とは別体の機器として設けられ撮像装置に接続されている構成。この場合、このような構成のものを薬液注入装置と称してもよいが、システムといった用語で表現してもよい。
−コンソールは、注入ヘッドと撮像装置との両方の動作を制御可能な共通コンソールであってもよい。この場合、コンソールは、注入条件の設定および/または撮像条件の設定のためのグラフィカル・ユーザ・インターフェースを提供、それを介して操作者が条件の設定を行い、設定された条件が注入ヘッドおよび/または撮像装置に送られ、その条件に従って注入動作および/または撮像動作が実施されるようになっていてもよい。
【0054】
〔A2.撮像装置〕
撮像装置300としては、X線CTスキャナなどを利用することができる。この例では、撮像装置300は、
図3Aに示すように、患者の透視画像を撮像する撮像部303bと、患者を載せるベッド304と、それらの動作を制御する制御部303aとを有するものであってもよい。撮像装置は、また、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、超音波診断装置、血管造影(アンギオグラフィ)撮像装置等であってもよい。
【0055】
制御部303aは、例えば次のような機能の少なくとも1つを有するものであってもよい:
−取得した画像に対して識別情報(画像ID)を付与する。
−取得した画像に対して撮像時刻情報を付与する。
−患者の透視画像のデータを外部に送信する。
−実施した透視撮像(一回の検査)における曝射時間のデータを外部に送信する。
−実施した透視撮像(一回の検査)における曝射量のデータを外部に送信する。
−実施した透視撮像の識別情報を外部に送信する。
−実施したパーフュージョン検査用撮像動作のタイムシーケンスのデータを外部に送信する。
−任意のデータを、接続されたPACS/RISに送信する。
−任意のデータを、接続された薬液注入装置に送信する。
−任意のデータを、接続されたワークステーションに送信する。
【0056】
これらはそれぞれ、例えば、識別情報付与部、撮像時刻情報付与部、画像データ出力部、曝射時間データ出力部、曝射量データ出力部、透視撮像識別情報出力部、タイムシーケンスデータ出力部、PACS通信部、薬液注入装置通信部、ワークステーション通信部等によって実現されてもよい。
【0057】
「曝射時間のデータ」としては、撮像動作に関する、撮像開始時間(時刻)のデータと撮像終了時間(時刻)のデータが挙げられる。一回の検査で複数の撮像動作が行われる場合には、それぞれの撮像開始時間および撮像終了時間のデータを含むこととなる。例えば、撮像動作1:a秒〜b秒、撮像動作2:c秒〜d秒、撮像操作3:e秒〜f秒というようなデータであってもよい。
【0058】
さらに、造影剤を利用する撮像では、例えば薬液注入を開始し、その後、所定のディレイ時間を開けて撮像開始が行われることもある。この場合、薬液注入の開始時刻と、厳密な意味での撮像開始時刻とが一致しないこととなるが、このような場合でも、当該薬液注入と当該撮像とが互いに関連するものであることを識別できるように構成されていることが好ましい。例えば、撮像装置と薬液注入装置とが連動する場合においては、連動開始時刻のデータに基いて管理を行うようにしても良い。
【0059】
撮像装置が付与する時刻データとしては、一例として、NTP(Network Time Protocol)サーバの時刻データ、またはNTPサーバに基いて時刻設定された他のタイムサーバの時刻データ、またはそのようなサーバに基いて時刻設定されたシステム内の所定の機器の時刻データ、またはそのようなサーバに基いて時刻設定された撮像装置内の時刻データ等を利用するものであってもよい。時刻データないし時刻データが関連付けられた画像データ等は、撮像装置内の所定の記憶デバイス、またはネットワーク上の所定のサーバ等に記憶されてもよい。(i)画像データ、または画像データに撮像条件データが付与されたデータ、または画像データに時刻データが付与されたデータ等と、(ii)薬液注入に関するデータとが共通の記憶デバイスまたはデータベースサーバに記憶されることも好ましい。
【0060】
「患者の透視画像のデータ」としては、例えばCT画像データであってもよい。このCT画像データとは、人体を断層撮影したもので、1枚の画像に骨、血管、臓器等の観察対象の2次元断層画像を含むものであってもよい。通常、多数の隣接する画像(スライス画像)について得られている。したがって、全体としては、3次元の画像データとして扱われることもある。CT画像データは、被写体としての組織(骨、血管、臓器等)毎に異なるCT値を持っている。CT値は、水を基準として表現した組織のX線減弱係数である。CT値により組織や病変の種類等が判断できるようになっている。
【0061】
(注入動作の一例)
薬液注入装置は、一例として次のように動作するものであってもよい:
まず、薬液注入装置100の電源がオンの状態で、操作者は、注入ヘッド110にシリンジ200P、200Cを装着する。シリンジ200P、200Cの装着後、操作者は、一例で、延長チューブ230を介してシリンジ200P、200Cに延長チューブを接続し、延長チューブの先端に設けられている注入針(不図示)を患者に穿刺する。
【0062】
その後、一例として、操作者がコンソール150の所定のボタンを操作すると、表示ユニット151に注入プロトコル設定用の1つまたは複数の画面が表示される。この画面では、次のようなパラメータの少なくとも1つが入力、選択、または変更されるようになっていてもよい:
−撮像の対象である身体区分
−撮像の対象である部位(撮像部位)
−患者の体重などの情報
−注入する薬液の種類、等。
【0063】
これらのパラメータを選択するための画像は順次あるいは一括して表示されてもよい。上記のようなパラメータの入力、選択、または変更は、装置の機能によって自動的になされるものであってもよいし、操作者の操作によりなされるものであってもよい。本システムは、上記のようなパラメータを選択するためのグラフィカル・ユーザ・インターフェース(単にGUIともいう)を備え、それを提供する。
【0064】
パラメータの入力が完了したら、操作者は画面上の所定のボタン(例えば確認ボタン)を押す。注入プロトコルを作成する場合には、画面に表示された注入プロトコル作成用のGUIの画像に従い、例えば、(i)予め用意された幾つかの基本パターンのうち1つを選択し、その内容を確認もしくは必要に応じて変更する、(ii)GUIの画面上に表示された注入グラフ内に幾つかの基準点をプロットしていくことにより任意の注入プロトコルを作成する、等の方式によって行うことができる。なお、操作者による確認ボタンの押圧は、注入ヘッドに設けられたボタンを押すものであってもよい。
【0065】
なお、仕上げた注入プロトコルについて、薬液注入装置の制御部がそのデータを所定の記憶部に保存するように構成されていてもよい。この場合、記憶部としては、薬液注入装置(例えばコンソール内)が有する記憶デバイスであってもよいし、コンソールのスロットに挿入される記憶媒体であってよいし、または、有線または無線で薬液注入装置に接続された外部のネットワークの記憶デバイスであってもよい。また、薬液注入装置の制御部は、注入プロトコルの内容が事後的に変更・上書きされないようにロックをかけた状態で保存してもよい。当該ロックは、パスワードを入力することによって解除されるものであってもよい。
【0066】
注入プロトコルが作成されたら、操作者により所定の注入開始ボタンが操作された後、その注入プロトコルに基づいてピストン駆動機構130が動作制御され、患者への薬液注入が行われる。
【0067】
薬液注入中、注入後、またはその両方において、薬液注入装置は、例えばロードセル等の計測値に基づいて、薬液の圧力推定値を算出する。また、時間計測機能等を利用して注入開始時間や注入終了時間を計測する。薬液注入装置は、このようにして作成した種々のデータを注入履歴データとして作成し、不図示の記憶部に保存する。
【0068】
なお、一例として、薬液注入装置は、ロードセル等の計測値に基づき、及び/またはモータ電流を利用して薬液の圧力推定値を求めそれに基いて注入圧力グラフ(経時グラフ)を作成する。その注入圧力グラフのデータを不図示の記憶部(例えばネットワーク上の任意のデータベースサーバなどでもよい)に記憶してもよい。このときのデータ方式は、単なる数値文字情報でもよいし、画像データとしてもよい。同様に、注入条件やシリンジのICタグ情報を例えば数値文字情報として不図示の記憶部(例えばネットワーク上の任意のデータベースサーバなどでもよい)に記憶してもよい。
【0069】
〔A3.RISおよびPACS〕
RIS701は、例えば、患者に対して撮像を行うための撮像オーダデータを管理するものであってもよい。この撮像オーダデータは、例えば次のような情報の少なくとも1つを含むものであってもよい:
−固有の識別情報である撮像作業ID、
−透視撮像装置の識別情報、
−患者の識別情報、
−撮像を実施した日時、など。
【0070】
RIS701は、薬液注入装置から受信した検査情報を保存するものであってもよい。
【0071】
PACS702は、患者の透視画像データを保存するためのものである。PACS702は、一例で、専用のコンピュータプログラムが実装されているデータベースサーバとして構成されていてもよい。PACS702は、次のような機能の少なくとも1つを有するものであってもよい:
−撮像装置300から受信した画像データを保存する。
−薬液注入装置から受信した検査情報を保存する。
−ワークステーション500から受信した所定のデータを保存する。
−ワークステーション500に対して保存している所定のデータを送信する。
−接続されている任意の画像閲覧装置(不図示)に対して、保存している所定のデータを送信する。
【0072】
〔A4.ワークステーション〕
ワークステーション500は、例えば、撮像装置300により取得された患者の透視画像を閲覧するのに使用される。このワークステーション500は、一例でコンピュータ等から構成され、
図4Aおよび
図6に示すように、コンピュータ本体503と、その内部に設けられた制御部501aと、記憶部501bと、表示ユニット502と、入力装置505、506などを備えるものであってもよい。
【0073】
なお、制御部501aや記憶部501bの配置位置は特に限定されるものではなく、コンピュータ本体503の内部または外部のいずれに配置されていてもよい。本実施形態では、「データ処理装置」としてこのように1つのコンピュータで構成されるものを想定する。しかし、本発明はそれに限定されるものではなく、コンピュータプログラムにより複数のコンピュータを全体として1つの処理装置として機能させるようなものも、本発明の「データ処理装置」に含まれるものとする。
【0074】
制御部501aは、プロセッサおよびメモリなどを含んでいてもよい。また、ワークステーション500は、上記プロセッサにより処理されるコンピュータプログラムを有し、このコンピュータプログラムは、例えば、記憶部501bまたは制御部501内の記憶デバイス(不図示)に記憶されていてもよい。
【0075】
表示ユニット502は、制御部501aにより制御されて、検査データや透視画像などの各種のデータを表示する。表示ユニット502は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などにより構成される。
【0076】
入力装置505、506としては、例えば、キーボード、マウス、トラックボール、ジョイスティックなどの任意のデバイスが挙げられる。表示ユニット502がタッチ式ディスプレイである場合には、該タッチパネル式ディスプレイが入力装置の役割も兼用することとなる。
【0077】
記憶部501bは、各種のデータを記憶する。記憶部501bは、ハードディスクドライブ等の記憶装置を含んで構成されてもよい。記憶部501bに対するデータの格納処理や、従来公知の方式により、制御部501aが実施可能である。
【0078】
ワークステーション500のコンピュータプログラムとしては、1つのコンピュータまたは複数のコンピュータを、次のような機能部のうち一部または全部として機能させるものであってもよい:
(a)前記撮像装置によって撮像された患者の透視画像のデータ(552)を、人または機器による所定の入力があったときに、取得する画像データ取得部(511)、
(b)前記撮像装置によって実施された撮像検査における曝射時間のデータを、人または機器による所定の入力があったときに、取得する曝射時間データ取得部(512)、
(c)前記患者に対して行われた薬液注入の注入履歴のデータを、人または機器による所定の入力があったときに、取得する注入履歴データ取得部(513)、
(d)人または機器による所定の入力があったときに、1つまたは複数の前記透視画像を表示した閲覧画面(551)を作成し、前記表示ユニットに表示させる閲覧画面作成部(514)、
(e)人または機器による所定の入力があったときに、横軸または縦軸のいずれかを時間軸とするグラフであって、前記注入履歴のデータ(561)と前記曝射時間のデータ(563)とが一緒に表示される結果グラフ(556)を作成し、前記表示ユニットに表示させる結果グラフ作成部(515)、
(f)人または機器による所定の入力があったときに、操作者からの所定の入力にしたがって前記透視画像がページングされた際に、それに連動して現在位置インジケータ(563c)を時間軸に沿って移動させるページング連動処理部(516)、および
(g)人または機器による所定の入力があったときに、前記透視画像のデータ(552)、前記注入履歴のデータ(561)、および前記曝射時間のデータ(563)から選ばれる少なくとも1つのデータを外部に出力するデータ出力部(517)。
【0079】
すなわち、本実施形態のワークステーション500は、
図4Bに示すように、画像データ取得部511、曝射時間データ取得部512、注入履歴データ取得部513、閲覧画面作成部514、結果グラフ作成部515、ページング連動処理部516、およびデータ出力部517を有するものであってもよい。
【0080】
次に、本実施形態のワークステーション500でのデータ処理について説明する。
【0081】
(第1のデータ処理の例)
以下の説明における前提として、患者に対する薬液注入および透視撮像が実施された状態を想定する。説明の都合上、透視画像、時間、条件等に関する各種のデータは、
図7の閲覧画面551や
図8Aの結果グラフ560に表示されているものを参照しつつ説明するものとする。
【0082】
薬液注入装置100が行う薬液注入に関しては、所望の造影効果を目的として例えば従来公知の種々の注入プロトコルを利用することが可能である。また、撮像装置300が行う透視撮像についても従来公知の種々の撮像技法を利用することが可能である。本実施形態においては、特定の注入プロトコルや撮像技法に限定されるものではない。
【0083】
薬液注入装置100は、薬液注入中、薬液注入後、もしくはその両方において、今回実施した注入履歴のデータを作成する。薬液注入装置100は上述したように例えば次のようなデータの少なくとも1つを用意する:
−注入開始時間のデータおよび注入終了時間のデータ、
−計画された注入プロトコルのデータ、
−経時グラフのデータ(一例として、横軸が時間で縦軸が薬液の圧力値で表される)
−患者の識別情報、
−血管外漏出に関するデータ、
−ICタグから読み込んだデータ、
−その薬液の副作用情報、等。
【0084】
これらのデータは、一例として、薬液注入装置100の記憶部154、記憶部146、もしくはその両方に記憶されていてもよいし、外部のデータベースサーバのような不図示の記憶デバイスに記憶されていてもよい。
【0085】
撮像装置300は、予め設定された所定の撮影プランに従って透視撮像を行い、患者の所定の撮像範囲の透視画像データを得る。撮像装置300は、これらの透視画像のデータを例えばその内部の所定の記憶部(不図示)に記憶し、または、PACS702に送信した後にPACS702側で記憶する。
【0086】
撮像装置300は、また、今回実施した透視撮像における曝射時間のデータを作成する。曝射時間のデータも、画像データと同様、撮像装置300所定の記憶デバイス(不図示)、または、PACSに送信した後にPACS側に記憶される。
【0087】
このような状態で、操作者がワークステーション500の電源をONとし、画像閲覧を開始する。具体的な一例としては、操作者からの所定の入力に応じてもしくは予め設定された所定のタイミングで、ワークステーション500が、画像データ取得部511で、透視画像のデータ552a〜552c(これらを区別せず単に「552」として示すこともある)を取得する。なお、このデータは、撮像装置300から取得されてもよいし、PACS702等から取得されてもよい。取得する場合のデータ形式はどのようなものであってもよく、例えば数値文字情報などであってもよい。
【0088】
ワークステーション500は、また、曝射時間データ取得部512で、曝射時間のデータ563a、563b(
図8A参照)を取得する。具体的には、
図8Aに示すような例では、撮像装置300による撮像開始時間のデータ563aと、撮像終了時間のデータ563bとが取得される。なお、このデータについても、撮像装置300内の記憶部(不図示)から取得されてもよいし、PACS702から取得されてもよいし、または、それらの組合せであってもよい。
【0089】
ワークステーション500は、また、注入履歴データ取得部513で、患者に対して行われた薬液注入に関する注入履歴のデータ561、562a、562b、562c(詳細下記)を取得する。具体的には、
図8Aに示すような例では、注入開始時間のデータ562aおよび注入終了のデータ562bが取得され、表示される。また、経時グラフ561のデータも取得され、表示される。これらのデータは、例えば薬液注入装置100内の所定の記憶部から取得可能である。上記動作は、操作者からの所定の入力に応じて行われてもよいし、または、予め設定された所定のタイミングで自動的に行われてもよい。注入履歴としてどのようなものを表示させるかは任意であり、
図8Aに例示したようなものに限定されるものではない。例えば、経時グラフのデータのみを表示するような態様も可能である。
【0090】
経時グラフ561は、時間を横軸で表し、薬液注入中の薬液圧力の推定値を縦軸で表したようなものであってもよい。このような経時グラフをどのデバイスが作成するかについては特に限定されるものではない。薬液注入装置100が予めこのようなグラフを作成し、ワークステーション500がそれを画像データとして取得するようにしてもよい。あるいは、ワークステーション500が、経時グラフを作成するための数値情報や文字情報を取得し、それを用いてワークステーション500が上述のような経時グラフを作成するようにしてもよい。
【0091】
ワークステーション500は、次いで、閲覧画像作成部514で、一例として
図7に示すような閲覧画面551を作成し、表示する。この閲覧画面551では、3つの表示部に透視画像552a、552b、552cが表示されている。ワークステーション500は、いわゆるページング機能を有しており、操作者の例えばマウスの操作に応じて透視画像552a(一例)が変化していくようになっている。
【0092】
ワークステーション500は、また、操作者からの所定の入力があったときに、結果グラフ部作成部515で、結果グラフ560(例えば
図7、
図8A参照)を作成し、表示する。具体的には、
図8Aに示すように、横軸が時間軸であるグラフ内に、(i)経時グラフ561、注入開始時間を示すインジケータ562a、注入終了時間を示すインジケータ562bを表示するとともに、(ii)曝射時間のデータである撮像タイミング表示部563を含むグラフが表示される。
【0093】
実施された薬液注入の内容が履歴情報ウィンドウ562c内に表示されてもよい。例えば薬液注入に関し、設定された注入速度、注入量、注入時間の情報が表示されてもよいし、加えて、実施された注入速度、注入量、注入時間の情報が表示されてもよい。血管外漏出に関する情報(例えば血管外漏出があったこと)が表示されてもよい。ICタグから読み取ったデータ、一例として薬液の製品名、メーカ名、商品名の商標、メーカの商標、製品に関するロゴマーク等を表示してもよい。
【0094】
撮像タイミング表示部563は、撮像開始時間を示す表示部563aと撮像終了時間を示す表示部563bとを含む。また、撮像タイミング表示部563内には、現在の断層画像(詳細後述)の撮像タイミングを示す現在位置インジケータ563cが表示されている。時間に関する表示部563a、563bとしては、図示のように、グラフ内に表示されるラインであってもよいし、単なるテキストデータ(例えば「0:15」のような表示)
であってもよいし、それらの組合せであってもよい。
図8Aでは、領域563にハッチングが付されているが、このように、領域563にグラフ内の配色とは異なる所定の色を付して表示してもよい。あるいは、単に撮像開始時間および撮像終了時間をラインで表示してもよい。
【0095】
このような結果グラフ560を表示するための「操作者からの所定の入力」とは、例えば、ワークステーション500の画面上に表示された画像ボタン(不図示)を押すこと等であってもよい。
【0096】
限定されるものではないが、結果グラフ560は
図7のような結果表示ウィンドウ555内に表示されるものであってもよい。この場合、同ウィンドウ555内に注入履歴のデータをテキストデータで示す履歴情報ウィンドウ560′が表示されてもよい。
【0097】
操作者が透視画像の閲覧中ページング動作を行った場合、ワークステーション500は、ページング連動処理部516で、タイミング表示部563内の現在位置インジケータ563cをページング動作に連動させて時間軸に沿って移動させる。具体的には、この例では、現在位置インジケータ563cが、ページング動作に連動して右方向または左方向に移動することとなる。
【0098】
なお、ワークステーション500の別の機能として、タイミング表示部563内の現在位置インジケータ563cを左右に移動させた場合に、それに連動して透視画像の方もページングされ、現在位置インジケータ563cが示す時間に対応した透視画像を表示させる機能を持たせてもよい。
【0099】
ワークステーション500は、また、操作者からの所定の入力があったときにまたは予め設定された所定のタイミングで、データ出力部517の機能により、作成したデータを外部のネットワークまたは所定の機器に送信する。一例として、結果表示ウィンドウ555に相当するデータあるいは結果グラフ560に相当するデータが出力される。データの出力形式は、画像データとしてであってもよいし、テキストデータとしてであってもよい。また、DICOMデータとして出力してもよい。テキストデータについては例えばCSV(Comma Separated Value)形式で出力することも可能である。出力先の機器としては一例としてPACSであってもよい。
【0100】
以上のように構成された本実施形態の構成によれば、注入履歴のデータと曝射時間のデータとが1つの閲覧画面中(具体的には結果グラフ560)に表示されるので、患者に対する実際の注入結果(561)や曝射時間(563a、563b)と、得られた透視画像(552)との相関関係を確認しながら画像診断を行うことができる。したがって、仮に所望の透視画像が得られなかった場合でも、それがどのような原因に基づくものなのか等の判断を良好に行うことができる。
【0101】
また、
図8Aに示したような例では、経時グラフ561やタイミング表示部563が画像としてグラフ上に表示されているので、操作者はこれらの内容を視覚的に良好に把握することができる。
【0102】
また、注入履歴のデータにはタイムサーバ等に基いた正確な時刻データが付与されており、他方、曝射条件データにもタイムサーバ等に基いた正確な時刻データが付与されており、両者の時刻データを対応させてグラフを作成することにより、注入グラフと曝射タイミングのズレを防止することができる。
図8Aに示したようなグラフによれば、例えば注入開始から撮像開始までの時間等を一目で理解することもできる。
【0103】
また、撮像プランの設定の観点からは次のような作用効果もある。すなわち、撮像装置300においては、通常、注入開始後に所定のディレイタイムをおいて撮像が開始されることとなるが、このディレイタイム(言い換えれば、どのタイミングで撮像を開始するか)は基本的には撮像プランのデフォルト値として予め決定されている。他方、造影剤注入後、どれくらいのタイミングで良好な造影効果が現れるかについては患者の個体差によって大きくばらつくこともある。この点、本実施形態の構成によれば、
図8A(一例)のような結果グラフ560を見つつ、次回の撮像開始タイミングを再設定すること等もできるので、当該患者に合わせて撮像のタイミングの一層の適正化を図ることもできる。このように撮像タイミングの適正化を図ることができるということは、例えば無駄な造影剤注入を低減できることを意味し、造影剤による副作用のリスクの低減や、コスト低減の観点からも有意義であるといえる。
【0104】
(他のデータ処理の例1)
本発明の一形態に係るワークステーション500は、
図8Bのような結果グラフ560を表示するものであってもよい。この結果グラフは、一回の検査で複数(ここでは3回)の撮像動作を行った場合のものであって、各撮像動作に対応して3つのタイミング表示部563−1〜563−3が表示されている。
【0105】
各タイミング表示部563−1〜563−3には、
図8Aのグラフと同様、撮像開始時間を示す表示部563a、撮像終了時間を示す表示部563b、および、現在の断層画像の撮像タイミングを示す現在位置インジケータ563cが表示されている。
【0106】
このように複数のタイミング表示部563−1〜563−3が表示される場合、現在閲覧を行なっている断層画像に対応する1つのタイミング表示部のみがアクティブ表示となり、その他は非アクティブ表示となるように構成されていることも好ましい。なお、非アクティブ表示としては、例えば画像の明るさを一時的に暗くするようなグレーアウト処理を行うものであってもよい。アクティブ表示としては、他がグレーアウト表示となることによってその対象がアクティブであることを認識できる態様、または、対象がハイライトされる等によりその対象がアクティブであることを認識できる態様などであってもよい。
【0107】
(他のデータ処理の例2)
また、ワークステーション500は、
図9のような結果グラフ560を表示するものであってもよい。このグラフは、パーフュージョン検査とよばれる検査(詳細下記)で行われる撮像動作の履歴を反映させたものである。
【0108】
ここで、パーフュージョン検査について以下に説明する。従来、X線CT装置を用いて心筋の血流動態(パーフュージョン、Perfusion)の検査や、脳内の器官についてのパーフュージョン検査が実施されている。パーフュージョン検査においては、造影剤を短時間で注入するボーラス注入によりダイナミック撮影を行い、得られたダイナミック造影CTデータを解析することによりパーフュージョン像が生成される。このようなパーフュージョン検査の背景としては、近年、X線検出器の多列化にともない、空間の3次元に時間の1次元を加えた4次元の画像を撮影することが可能なX線CT装置が開発されてきていることもある。すなわち、こうしたX線CT装置は、経時的に臓器の動きや血流動向を観察することが可能であることから、従来の形態診断を目的とした検査以外にも、形態診断を目的とした整形領域や様々な臓器のパーフュージョン検査を行う際にも利用することが可能である。
【0109】
通常、X線CT装置では、各種の撮影条件(例えば、X線の照射間隔、撮影時間、X線管へ供給される管電流など)からなる複数の撮影プランがあらかじめ設定されたうえで撮影が行われる。また、上記パーフュージョン検査の場合には、患者への被曝量を低減するため、一定の間隔で最後まで撮影するよりも、血流中の造影剤の濃度に応じてX線の照射間隔が異なるように各撮影プランが設定されることが望ましく、異なる照射間隔の撮影プランを組み合わせて使用している。例えば、60秒のパーフュージョン解析用の画像を撮影する場合には、60秒連続してスキャンする方法もある。しかしながら、被曝量の観点から、2つまたは3つ程度の撮影プランを組み合わせて撮影が行われることもある。具体的には、撮影開始から造影剤の濃度のピークまでは細かいデータが必要であるため、連続スキャンまたは細かい間欠スキャン(例えば、1秒間隔)を行う。造影剤の濃度がピークを越えて徐々に低下する中盤では、間隔を少し開けて中程度の間欠スキャン(例えば、2秒間隔)を行う。造影剤の変化がほとんどなくなる終盤では、大きく間隔を開けて間欠スキャン(例えば、3秒間隔)を行う。このような撮影プランが設定される場合が多い。
【0110】
しかし、造影剤が体内を巡る速さは患者ごとに異なっており、造影剤の濃度が激しく変化する期間を逃さずにスキャンするためには、個々の撮影プランの撮影時間を長めに設定せざるを得ない。他方、被曝量の問題などに鑑みると、患者に応じた適切な撮影プランを設定することが望ましい。
【0111】
再び
図9を参照し、この結果グラフ560では、上述した実施形態と同様に経時グラフ561が表示されるとともに、曝射時間のデータとして、パーフュージョン検査のタイムシーケンスのデータ572(言い換えれば撮像プランの情報)が表示されている。また、そのタイムシーケンスのデータ572に重なるように、時間濃度曲線(TDC)571が表示されている。
【0112】
このような構成によれば、結果グラフ560を参照し、今回のパーフュージョン検査のタイムシーケンスのデータ572と、実際の時間濃度曲線(TDC)571とを確認しつつ、次回の撮像プランをより患者に適したものとすることができる。
【0113】
〔C:薬液注入装置の各部の具体的構成〕
(薬液注入装置)
薬液注入装置100は、具体的には、
図10のような構成であってもよい。この薬液注入装置100は、可動式スタンド111の上部に回動自在に保持された二筒式の注入ヘッド110を備えている。この注入ヘッド110は、各凹部120aに対して、一例として、シリンジのシリンダフランジおよびその近傍を保持するシリンジアダプタS121、S122を介してシリンジが装着される。
【0114】
コンソール150は、一例で、ケーブル102により注入ヘッド110に接続されている。表示ユニット151はタッチパネル式ディスプレイである。操作パネル159としては複数の物理ボタンが配置されていている。例えば、コンソール正面にホームボタン(物理ボタン)が設けられており、このホームボタンを押すと、画面上に、複数のアイコンが配列されたホーム画面が表示されるように構成されていてもよい。ハンドユニット157は、コンソール150に有線接続され、作業テーブル上などで使用される。当然ながら、ハンドユニット157は無線方式で接続されてもよい。
【0115】
なお、薬液注入装置100は、PACS(Picture Archiving and Communication Systems)、HIS(Hospital Information System)、RIS(Radiology Information System)、ワークステーション、画像読影装置などのうち一部または全部が接続されたネットワークに有線または無線で接続されるものであってもよい。ここで、
(p1)薬液注入装置が医療費会計システムに接続されていてもよいし、ネットワーク経由でそのような医療費会計システムに接続されていてもよい。
(p2)薬液の血管外漏出を検出するためのセンサユニットが、注入ヘッド(一例でその制御部)に有線または無線で接続されていてもよい。
(p3)薬液の血管外漏出を検出するためのセンサユニットが、コンソール(一例でその制御部)に有線または無線で接続されていてもよい。
(p4)医療ネットワーク内にある固定型またはポータブル血液分析器装置から腎機能を示すクレアチニン値等の情報を注入器に送る(すなわち、薬液注入装置がそのような情報を受信する)。そして、GFRにより値が高い場合は注入を止める。グレーゾーンで医師の判断で注入して副作用が発現した場合、副作用の有無も、漏出についての記録と同様に、記録としてワークステーションへ送り記録する。このような構成としてもよい。
【0116】
(シリンジ)
シリンジとしては具体的には
図11A(a)、(b)に示すようなものであってもよく、このシリンジは例えば100ml用のものである。このシリンジは、シリンダ部材S501とピストン部材S502とを備え、シリンダ部材S501のシリンダフランジS501aはフランジ両側がストレートに切り取られたようなIカット形状の輪郭形状を有し、同フランジS501aの外周部には2つの切欠き部S505(一方のみを示す)が形成されている。シリンダ部材S501の先端の導管部S501bは、同軸状に配置された内側および外側の2つの筒状部を有するルアーロック接続用のものであってもよい。
図11A(b)に示すように、シリンダフランジS501aの後面には、リング状の突起部S501cが形成されていてもよい。
【0117】
2本のシリンジのうちの他方としては、
図11B(a)、(b)に示すようなシリンジであってもよく、このシリンジは例えば200ml用のものである。このシリンジも、上記シリンジと同様、シリンダ部材S501とピストン部材S502とを備え、シリンダ部材S501のシリンダフランジS501aはIカット形状の輪郭形状を有するものであってもよい。シリンダフランジS501aの外周部には2つの切欠き部S505(一方のみを示す)が形成されている。シリンダ部材S501の先端の導管部S501bは、同軸状に配置された内側および外側の2つの筒状部を有するルアーロック接続用のものであってもよい。
図11B(b)に示すように、シリンダフランジS501aの後面には、リング状の突起部S501cと、その突起部S501cから外側に向かって延びる複数のリブS501dが形成されていてもよい。
【0118】
なお、
図11BではシリンダフランジS501aに切欠き部S505とリブS501dの両方が形成されたものが描かれているが、いずれか一方のみが形成されたもの(例えば、切欠き部S505が形成されていないもの)であってもよい。また、リブS501dに関し、図示上下方向に並んだ複数のリブのうち上部と下部の2つのリブのみを残し、他のリブを省略したような形状としてもよい。このようなリブ群が図示の例(
図11B(b))では、フランジ部の左右両側に形成されているが、一方のみとしてもよい。
【0119】
延長チューブS508の一例としては、
図11Cに示すようなものであってもよい。この延長チューブS508は、T字コネクタを介して接続された3本のチューブを有している。各シリンジに接続されるチューブの端部には接続コネクタS509、509が取り付けられており、患者側に向かうチューブの端部には別の形態の接続コネクタS510が取り付けられている。各接続コネクタS509は、先端にネジ部S509bが形成された円筒部S509aを有し、ルアーロック方式でシリンジの導管部S501bに接続されるものであってもよい。また、この接続コネクタS509は、一方弁としての機能を有するもの、特には、WO2012/060365に公開されているようなものであってもよい。接続コネクタS510は、例えば不図示のカテーテルや留置針に接続されるものであってもよい。
【0120】
(延長チューブ)
延長チューブS508の一例としては、
図11Cに示すようなものであってもよい。この延長チューブS508は、T字コネクタを介して接続された3本のチューブを有している。各シリンジに接続されるチューブの端部には接続コネクタS509、S509が取り付けられており、患者側に向かうチューブの端部には別の形態の接続コネクタS510が取り付けられている。各接続コネクタS509は、先端にネジ部S509bが形成された円筒部S509aを有し、ルアーロック方式でシリンジの導管部S501bに接続されるものであってもよい。また、この接続コネクタS509は、一方弁としての機能を有するもの、特には、WO2012/060365に公開されているようなものであってもよい。接続コネクタS510は、例えば不図示のカテーテルや留置針に接続されるものであってもよい。
【0121】
(天井懸垂型の保持アーム)
天井懸垂型の保持アーム111′としては、
図12Aに示すような、水平回転および上下移動の組合せを可能とするようなものであってもよい。この例では、天井に取り付けられるベース部と、そこから延び出した多関節の複数のアーム部とを有しており、注入ヘッド110は、アーム部の末端側の支持バー(一例で鉛直方向に延びる棒状部材)に保持されている。
【0122】
(サブディスプレイ)
図12Bのように、保持アーム111′の一部、具体的には注入ヘッド110をの保持する部分部の近傍に、サブディスプレイ149を取り付けた薬液注入装置としてもよい。このサブディスプレイ149は、注入ヘッド110に電気的に接続され、または、コンソール150に電気的に接続され、または、撮像装置300と電気的に接続され、薬液注入に関する様々な情報を表示することが可能となっていてもよい。サブディスプレイ149は、タッチパネル式ディスプレイであってもよいし、タッチパネルの機能の無い単なるディスプレイであってもよい。
【0123】
なお、このようなサブディスプレイ149が注入ヘッド110の一部に直接設けられていてもよい。例えば、注入ヘッド110の筐体の側方または後方にそのようなサブディスプレイ149を設けてもよい。または、サブディスプレイ149が可動式スタンド111の一部に取り付けられてもよい。なお、可動式スタンド111上に、注入ヘッド110とは別体に制御ユニット(不図示)が搭載されていてもよい。
【0124】
以上、本発明について幾つかの形態を参照して説明したが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、種々変更可能である。
(b1)上記では、薬液注入中に計測したデータに基づく経時グラフ561(例えば
図8A)を表示することを例として説明した。経時グラフ561は曲線状に表現されたものではなく、所定の時間間隔で計測された圧力推定値のプロットとして表現されたものでもよい。
(b2)撮像タイミング表示部563に関し、
図8A等では時間表示部563a、563bを破線として表示しているが当然ながら実線でもよい。また、各時間表示部563a、563bに対応して、時間軸のところに“a”sec、“b”sec等の表示を付与してもよい。タイミング表示部563内に現在位置インジケータ563cが表示されない構成としてもよい。また、現在位置インジケータ563cがページング動作と連動しない構成としてもよい。
【0125】
(b3)上記では、主にX線CTスキャナを例として説明した。しかし、ワークステーションは、MRI画像データ、PET画像データ、およびMRA画像データ等から選ばれる1つまたは複数の医用画像が表示するものであってもよい。
(b4)
図4AのシステムではPACS702が設けられているが、PACS702の無い構成としてもよい。
−ワークステーション500が、NTP(Network Time Protocol)サーバとの時刻同期機能を備えていてもよい。
(b5)当然ながら、上述した各種の形態は、その内容が相反しないかぎり、各種に組み合わせることができる。
【0126】
(d7−1)延長チューブからのエア抜きのための動作としては、Aシリンジ(造影剤)側のピストン駆動機構を動作させ、次いで、Bシリンジ(生理食塩水)側のピストン駆動機構を動作させさせてもよい。あるいは、Aシリンジ(造影剤)側のピストン駆動機構とBシリンジ(生理食塩水)側のピストン駆動機構とを同時に動作させさせてもよい。
(d7−2)
図11Cの延長チューブのような構成の場合、チューブ末端の接続コネクタS510に液溜まりキャップを設けてもよい。この液溜まりキャップは、チューブからの薬液を受け止め、薬液が床や他の医療機器等の上に垂れることを防止する。薬液が機器の隙間等に浸入した場合、機器の故障や操作者の誤操作の原因となりうるが、このような構成によればそうした不具合の発生を低減させることができる。
(d7−3)延長チューブのT管部分として、特開2011−217796に開示されたような部材を備える延長チューブである場合には、薬液注入を行う際の薬液どうしの混合をより効果的に実施でき、優れた造影効果を得ることが可能となる。
【0127】
(ディスプレイ・コントローラ・ユニットでの表示制御)
図13に示すように、本システムは、制御部501aに操作接続され、制御部からの指令信号に応じて表示内容をコントロールするディスプレイ・コントロール・ユニット(DCU)1201を備えていてもよい。このDCU1201は、ディスプレイ1203に操作可能に接続され、表示内容をコントロールするものである。DCU1201は、制御部501aとは別個に用意されたディスプレイ制御用のICユニット等であってもよい。DCU1201は、ディスプレイ1203にグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)をはじめとする種々の画像を表示させる。DCU1201は、ディスプレイ1203に、薬液残量、注入速度、注入圧力、プログラムされた注入量などを表示させてもよい。DCU1201は、GUIデータを有するものであってもよい。DCU1201は、上記に説明した種々の画像の全部または一部をディスプレイ1203に表示させることができる。ディスプレイは、1つでも複数でもよく、また、システム内の任意の位置に配置可能である。DCU1201は、撮像装置300、ワークステーション500、薬液注入装置100、およびその他のコンピュータから選ばれる1つまたは複数の構成要素として設けられていてもよい。
【0128】
(注入結果画面について)
図14は、入開始後一定時間経過した時点での圧力グラフ(横軸が時間、縦軸が圧力)である。例えば時間0:00sec〜0:30secの第1フェーズに造影剤注入を行い、それ以降の第2フェーズで生理食塩水の注入を行うような場合、図示するように圧力グラフに現在の位置を示すためのインジケータ581、582が表示されるようになっていてもよい。
【0129】
この図の例では、第1フェーズが終わり第2フェーズに入っているので、インジケータ582が現在の位置を示すものとなっている。時間の経過とともにインジケータ582が右方向に移動し、また圧力グラフもそれに合わせて伸びていく。このように圧力曲線上に現在位置を示すインジケータ582が表示されるようになっている場合、操作者は現在の圧力を視覚的に容易に把握できるものとなる。
【0130】
第1フェーズの造影剤注入に関してもこれと同様に、インジケータ581が表示されるようになっている。このインジケータ581は第1フェーズが終わった時点(0:30)でその位置、すなわち、圧力曲線と時点0:30を通過する縦軸とが交わる位置で停止し、表示されたままの状態となる。造影剤(第1の薬液)の注入と、生理食塩水(第2の薬液)の注入とで、インジケータ581、582の色が異なる(同色であるが濃淡が異なる場合も含む)構成としてもよい。
図15は、インジケータの表示例を示しており、(a)が造影剤注入のインジケータ581、(b)が生理食塩水注入のインジケータ582である。
図14では同時注入は行われないが、仮に同時注入を行う場合、例えばインジケータ583のように、インジケータを半分に割った一方をインジケータ581と同様の表示、他方をインジケータ582と同様の表示としてもよい。
【0131】
図14、
図15では逆三角形形状のインジケータを例示しているが、インジケータの形状はこれに限定されるものではない。円形、楕円形、上向き三角形、矩形、多角形、星形など様々な態様とすることができる。また、同時注入の場合のインジケータに関しても、必ずしも
図15(c)のような表示態様に限定されるものではなく、インジケータ581、582と区別できるようなものであればどのようなものであってもよい。例えば、色または濃度をインジケータ581、582のものと異なるものとすることで区別できるようにしてもよい。
【0132】
このような圧力グラフのデータが、薬液注入装置300から外部のサーバもしくはワークステーションに送信され、ワークステーション500が圧力グラフを、撮像装置によって撮像された透視画像とともに表示するように構成されていることも好ましい。この場合も上記同様、圧力グラフと透視画像とが関連付けられることとなる。
【0133】
本明細書の所定の実施態様として開示された技術的事項は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の実施態様と組み合わせることができる。
【0134】
(付記)
本出願は下記の発明を開示する。なお、以下では説明を分かりやすくするために図面の符号を付しているがこれらは本発明を何ら限定するものではない。
1.患者の透視画像を撮像する撮像装置(300)と、患者に薬液として少なくとも造影剤を注入する薬液注入装置(100)とを少なくとも備える撮像システムに直接または間接的に接続されて使用されるデータ処理装置(500)であって、
制御部(501a)と、表示ユニット(502)とを備え、
前記制御部(501a)は、
(a)前記撮像装置によって撮像された患者の透視画像のデータ(552)を取得する画像データ取得部(511)と、
(b)前記撮像装置によって実施された撮像検査における曝射時間のデータを取得する曝射時間データ取得部(512)と、
(c)前記患者に対して行われた薬液注入の注入履歴のデータを取得する注入履歴データ取得部(513)と、
(d)1つまたは複数の前記透視画像を表示した閲覧画面(551)を作成し、前記表示ユニットに表示させる閲覧画面作成部(514)と、
(e)横軸または縦軸のいずれかを時間軸とするグラフであって、前記注入履歴のデータ(561)と前記曝射時間のデータ(563;具体的には、前記注入履歴のデータに関連付けられた対応する前記曝射時間のデータ)とが一緒に表示される結果グラフ(560)を作成し、前記表示ユニットに表示させる結果グラフ作成部(506)と、
を有するデータ処理装置(500)。
【0135】
2.前記結果グラフ(560)内に、
前記注入履歴のデータとして、横軸が時間で、縦軸が薬液注入において測定された薬液の注入圧力もしくは注入速度である経時グラフ(561)が表示される、
データ処理装置。
【0136】
3.前記結果グラフ(560)内に、
前記曝射時間のデータ(563)として、撮像開始時間(563a)から撮像終了時間(563b)までの範囲である撮像タイミング表示部(563)が表示される、データ処理装置。
【0137】
3−1.前記結果グラフ内に、
前記注入履歴のデータとして、横軸が時間で、縦軸が薬液注入において測定された薬液の注入圧力もしくは注入速度である経時グラフ(時間軸と、薬液の注入圧力もしくは注入速度を示す軸とを有するグラフ)と、
前記曝射時間のデータとして、撮像開始時間から撮像終了時間までの範囲である撮像タイミング表示部とが表示され、
前記注入履歴のデータに含まれる時刻情報と、前記曝射時間のデータに含まれる時刻情報とが同期されている、データ処理装置。
【0138】
3−2.前記同期は、NTP(Network Time Protocol)サーバ用いて実施される、データ処理装置。
【0139】
このような構成によれば、注入履歴のデータと曝射時間のデータの時刻情報が同期されるので、例えば経時グラフと曝射時刻データとのずれを防止できる。NTPサーバ等に基づく正確な時刻情報の付与は、注入履歴のデータの生成する機器ないし機能および曝射時間のデータを生成する機器ないし機能がそれぞれ行うものであってもよい。
【0140】
4.一回の検査において複数の撮像動作が行われ、それぞれの撮像動作に対応して、複数の前記撮像タイミング表示部(563−1〜563−3)が表示される、データ処理装置。
【0141】
5.前記複数の撮像タイミング表示部のうち選択されている1つのみがアクティブ表示となり、それ以外が非アクティブ表示となる、データ処理装置。
【0142】
6.前記撮像タイミング表示部(563)において、現在表示されている透視画像の撮像時間を示す現在位置インジケータ(563c)が表示される、データ処理装置。
【0143】
7.さらに、
(f)操作者からの所定の入力にしたがって前記透視画像がページングされた際に、それに連動して前記現在位置インジケータ(563c)を時間軸に沿って移動させるページング連動処理部(516)を備える、データ処理装置。
【0144】
8−1.前記結果グラフ内に、前記曝射時間のデータとして、撮像装置が実施したパーフュージョン検査のタイムシーケンスのデータが表示される、データ処理装置。
8−2. 前記結果グラフ内に、パーフュージョン検査のタイムシーケンスのデータとともにまたは単独で、造影効果を示す時間濃度曲線(Time Density Curve)が表示される、上記いずれかに記載のデータ処理装置。
【0145】
なお、パーフュージョン検査のタイムシーケンスのデータは、読影用画面内における結果グラフ外に表示されてもよく、タイムシーケンスのデータは、数値情報として、または可視化された画像として、またはそれらの組合せとして表示されてもよい。
【0146】
9.前記閲覧画面(551)の少なくとも一部に、
前記注入履歴のデータとして、薬液の注入速度、薬液の注入量、および薬液の注入時間から選ばれる少なくとも1つが、テキストデータとして表示される、データ処理装置。前記閲覧画面(551)の少なくとも一部に、前記注入履歴のデータとして、使用した薬液に関する情報、例えば、造影剤の製品名、造影剤のメーカ名、造影剤のヨード濃度、血管外漏出の有無などに関する情報が等がテキストデータあるいは画像データとして表示されるデータ処理装置。
【0147】
10.前記閲覧画面(551)の少なくとも一部に、
前記曝射時間のデータとして、撮像開始時間および撮像終了時間の少なくとも1つが、テキストデータとして表示される、データ処理装置。
【0148】
11.さらに、
(g)前記透視画像のデータ(552)、前記注入履歴のデータ(561)、および前記曝射時間のデータ(563)から選ばれる少なくとも1つのデータを外部に出力するデータ出力部(517)を備える、データ処理装置。
【0149】
12.前記データ出力部(517)は、前記データをDICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)データとして外部に出力する、データ処理装置。
【0150】
13.データ処理装置と、
患者の透視画像データを撮像する撮像装置(300)と、
患者に薬液として少なくとも造影剤を注入する薬液注入装置(100)と、
を備える医用検査システム(1000)。
【0151】
14.さらに、画像保存通信システムであるPACS(Picture Archiving and Communication Systems)を備える医用検査システム。
【0152】
15.患者の透視画像を撮像する撮像装置(300)と、患者に薬液として少なくとも造影剤を注入する薬液注入装置(100)とを少なくとも備える撮像システムに直接または間接的に接続されて使用されるデータ処理装置(500)のためのコンピュータプログラムであって、
1つのコンピュータまたは複数のコンピュータを、
(a)前記撮像装置によって撮像された患者の透視画像のデータ(552)を取得する画像データ取得部(511)と、
(b)前記撮像装置によって実施された撮像検査における曝射時間のデータを取得する曝射時間データ取得部(512)と、
(c)前記患者に対して行われた薬液注入の注入履歴のデータを取得する注入履歴データ取得部(513)と、
(d)1つまたは複数の前記透視画像を表示した閲覧画面(551)を作成し、前記表示ユニットに表示させる閲覧画面作成部(514)と、
(e)横軸または縦軸のいずれかを時間軸とするグラフであって、前記注入履歴のデータ(561)と前記曝射時間のデータ(563)とが一緒に表示される結果グラフ(556)を作成し、前記表示ユニットに表示させる結果グラフ作成部(506)と、
して機能させるコンピュータプログラム。
【0153】
16.1つのコンピュータまたは複数のコンピュータを、さらに、
(f)操作者からの所定の入力にしたがって前記透視画像がページングされた際に、それに連動して現在位置インジケータ(563c)を時間軸に沿って移動させるページング連動処理部(516)と、
して機能させるコンピュータプログラム。
【0154】
17.1つのコンピュータまたは複数のコンピュータを、さらに、
(g)前記透視画像のデータ(552)、前記注入履歴のデータ(561)、および前記曝射時間のデータ(563)から選ばれる少なくとも1つのデータを外部に出力するデータ出力部(517)と、
して機能させるコンピュータプログラム。
【0155】
18.上記13.記載の医用検査システムにおいて、
前記薬液注入装置に搭載されるシリンジが、シリンジ内に予め薬液が充填されたプレフィルドタイプのシリンジである、医用検査システム。
【0156】
19.前記シリンジがICタグ付きのシリンジである、上記記載の医用検査システム。
【0157】
20.前記シリンジが、
中空のシリンダ部材とそれにスライド自在に挿入されたピストン部材を有するものであり、
前記シリンダ部材の端部のシリンダフランジに少なくとも1つの切欠き部が形成されている、上記記載の医用検査システム。
【0158】
21.前記シリンジ内の薬液が造影剤である、上記記載の医用検査システム。
【0159】
本出願は下記の発明をも開示する:
A1.患者の透視画像を撮像する撮像装置(300)と、
患者に薬液として少なくとも造影剤を注入する薬液注入装置(100)と、
を少なくとも備えるシステムであって、
撮像装置、薬液注入装置、またはその他の機器に設けられた1つまたは複数の制御部と、システム内の所定の任意に存在する1つまたは複数の表示ユニットとを備え、
前記制御部は、
(a)前記撮像装置によって撮像された患者の透視画像のデータ(552)を取得する画像データ取得部(511)と、
(b)前記撮像装置によって実施された撮像検査における曝射時間のデータを取得する曝射時間データ取得部(512)と、
(c)前記患者に対して行われた薬液注入の注入履歴のデータを取得する注入履歴データ取得部(513)と、
(d)1つまたは複数の前記透視画像を表示した閲覧画面(551)を作成し、前記表示ユニットに表示させる閲覧画面作成部(514)と、
(e)横軸または縦軸のいずれかを時間軸とするグラフであって、前記注入履歴のデータ(561)と前記曝射時間のデータ(563)とが一緒に表示される結果グラフ(560)を作成し、前記表示ユニットに表示させる結果グラフ作成部(506)と、
を有する、システム。
【0160】
A2.患者の透視画像を撮像する撮像装置(300)と、
患者に薬液として少なくとも造影剤を注入する薬液注入装置(100)と、
を少なくとも備えるシステムであって、
撮像装置、薬液注入装置、またはその他の機器に設けられた1つまたは複数の制御部と、表示ユニット(502)とを備え、
前記制御部は、
−撮像装置によって撮像された患者の透視画像のデータ(552)を取得し、
−前記撮像装置によって実施された撮像検査における曝射時間のデータを取得し、
−前記患者に対して行われた薬液注入の注入履歴のデータを取得し、
−1つまたは複数の前記透視画像を表示した閲覧画面(551)を作成し、前記表示ユニットに表示させ、
−横軸または縦軸のいずれかを時間軸とするグラフであって、前記注入履歴のデータ(561)と前記曝射時間のデータ(563)とが一緒に表示される結果グラフ(560)を作成し、前記表示ユニットに表示させ
るように構成されている(プログラムされている)、システム。
【0161】
A3.医用システムにおけるデータ処理方法であって、
(a)撮像装置によって撮像された患者の透視画像のデータを取得するステップと、
(b)前記撮像装置によって実施された撮像検査における曝射時間のデータを取得するステップと、
(c)前記患者に対して行われた薬液注入の注入履歴のデータを取得するステップと、
(d)1つまたは複数の前記透視画像を表示した閲覧画面(551)を作成し、前記表示ユニットに表示させるステップと、
(e)横軸または縦軸のいずれかを時間軸とするグラフであって、前記注入履歴のデータ(561)と前記曝射時間のデータ(563)とが一緒に表示される結果グラフ(556)を作成し前記表示ユニットに表示させるステップと、
を有する方法。
【0162】
A4.コンピュータに上記方法を実施させるためのコンピュータプログラム。
【0163】
A5−1.患者の透視画像を撮像する撮像装置(300)と、
患者に薬液として少なくとも造影剤を注入する薬液注入装置(100)と、
を少なくとも備えるシステムであって、
−注入履歴のデータ(561)と前記曝射時間のデータ(563)とが一緒に表示される結果グラフ(560)を含むグラフィカル画像を有するシステム。
A5−2.上記グラフィカル画像がさらに1つまたは複数のビューの断層画像を有する、システム。
A5−2.上記グラフィカル画像が表示ユニットに表示される、システム。
A5−3.注入履歴のデータ(561)と、前記曝射時間のデータ(563)、断層画像との一部または全部が互いに関連付けられている、システム。
【0164】
ここで、関連付けは、例えば撮像装置の撮像時刻と注入装置の注入時刻に基づきそれらが互いに一致する場合に関連付けを行うものであってもよい。また、検査を一意に識別する検査識別子、患者を一意に識別する患者識別子(例えば患者名、生年月日、性別、患者番号等)を利用してもよい。透視画像に関しては、DICOMタグを利用してもよい。関連付けが行われた透視画像データ、薬液注入情報データ、注入結果データ等のうち2つまたは全部が、システム内の記憶デバイスに格納されてもよい。
【0165】
なお、上記のように表現した本願発明においても、上述した2.以降の発明を適宜組み合わせることができることは言うまでもない。
【0166】
A6.造影剤注入を行って透視撮像することにより得た患者の透視画像を読影するための読影用画面の生成方法であって、
a:患者の透視画像のデータを取得するステップと、
b:造影剤注入条件のデータを作成するステップと、
c:(i)撮像装置の曝射条件データ、または、実際に行った薬液注入に対応する注入結果データ(例えば圧力グラフまたはTDC)を取得するステップと、
d:透視画像のデータと、それに対応する(例えば時刻による関連付け、ID等による関連付け)曝射条件データまたは注入結果データと、を含む読影用画面を生成するステップと、
を有する、読影用画面の生成方法。
【0167】
A7.1つまたは複数のコンピュータに、
a:患者の透視画像のデータを取得するステップと、
b:造影剤注入条件のデータを作成するステップと、
c:(i)撮像装置の曝射条件データ、または、実際に行った薬液注入に対応する注入結果データを取得するステップと、
d:透視画像のデータと、それに対応する(例えば時刻による関連付け、ID等による関連付け)曝射条件データまたは注入結果データと、を含む読影用画面を生成するステップと、
を行わせる読影用画面の生成プログラム。
本出願は下記の内容を開示する:
P1.患者の透視画像を撮像する撮像装置と、患者に薬液として少なくとも造影剤を注入する薬液注入装置とを少なくとも備える撮像システムに直接または間接的に接続されて使用されるデータ処理装置であって、
制御部と、表示ユニットとを備え、
前記制御部は、
(a)前記撮像装置によって撮像された患者の透視画像のデータを取得する画像データ取得部と、
(b)前記撮像装置によって実施された撮像検査における曝射時間のデータを取得する曝射時間データ取得部と、
(c)前記患者に対して行われた薬液注入の注入履歴のデータを取得する注入履歴データ取得部と、
(d)1つまたは複数の前記透視画像を表示した閲覧画面を作成し、前記表示ユニットに表示させる閲覧画面作成部と、
(e)横軸または縦軸のいずれかを時間軸とするグラフであって、前記注入履歴のデータと前記曝射時間のデータとが一緒に表示される結果グラフを作成し、前記表示ユニットに表示させる結果グラフ作成部と、
を有するデータ処理装置。
P2.前記結果グラフ内に、
前記注入履歴のデータとして、横軸が時間で、縦軸が薬液注入において測定された薬液の注入圧力もしくは注入速度である経時グラフが表示される、
上記記載のデータ処理装置。
P3.前記結果グラフ内に、
前記曝射時間のデータとして、撮像開始時間から撮像終了時間までの範囲である撮像タイミング表示部が表示される、
上記記載のデータ処理装置。
P4.前記結果グラフ内に、
前記注入履歴のデータとして、時間軸と、薬液注入において測定された薬液の注入圧力もしくは注入速度を示す軸とを有する経時グラフと、
前記曝射時間のデータとして、撮像開始時間から撮像終了時間までの範囲である撮像タイミング表示部とが表示され、
前記注入履歴のデータに含まれる時刻情報と、前記曝射時間のデータに含まれる時刻情報とが同期されている、
上記記載のデータ処理装置。
P5.前記同期は、NTP(Network Time Protocol)サーバを用いて実施される、上記記載のデータ処理装置。
P6.一回の検査において複数の撮像動作が行われ、それぞれの撮像動作に対応して、複数の前記撮像タイミング表示部が表示される、
上記記載のデータ処理装置。
P7.前記複数の撮像タイミング表示部のうち選択されている1つのみがアクティブ表示となり、それ以外が非アクティブ表示となる、上記記載のデータ処理装置。
P8.前記撮像タイミング表示部において、現在表示されている透視画像の撮像時間を示す現在位置インジケータが表示される、上記記載のデータ処理装置。
P9.さらに、
(f)操作者からの所定の入力にしたがって前記透視画像がページングされた際に、それに連動して前記現在位置インジケータを時間軸に沿って移動させるページング連動処理部を備える、
上記記載のデータ処理装置。
P10.前記結果グラフ内に、
前記曝射時間のデータとして、撮像装置が実施したパーフュージョン検査のタイムシーケンスのデータが表示される、
上記記載のデータ処理装置。
P11.前記結果グラフ内に、造影効果を示す時間濃度曲線(Time Density Curve)が表示される、上記記載のデータ処理装置。
P12.前記閲覧画面の少なくとも一部に、
前記注入履歴のデータとして、薬液の注入速度、薬液の注入量、使用した薬液に関する情報、および薬液の注入時間から選ばれる少なくとも1つが、テキストデータとして表示される、
上記記載のデータ処理装置。
P13.前記閲覧画面の少なくとも一部に、
前記曝射時間のデータとして、撮像開始時間および撮像終了時間の少なくとも1つが、テキストデータとして表示される、
上記記載のデータ処理装置。
P14.さらに、
(g)前記透視画像のデータ、前記注入履歴のデータ、および前記曝射時間のデータから選ばれる少なくとも1つのデータを外部に出力するデータ出力部を備える、
上記記載のデータ処理装置。
P15.前記データ出力部は、前記データをDICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)データとして外部に出力する、
上記記載のデータ処理装置。
P16.上記記載のデータ処理装置と、
患者の透視画像データを撮像する撮像装置と、
患者に薬液として少なくとも造影剤を注入する薬液注入装置と、
を備える医用検査システム。
P17.さらに、画像保存通信システムであるPACS(Picture Archiving and Communication Systems)を備える上記記載の医用検査システム。
P18.患者の透視画像を撮像する撮像装置と、患者に薬液として少なくとも造影剤を注入する薬液注入装置とを少なくとも備える撮像システムに直接または間接的に接続されて使用されるデータ処理装置のためのコンピュータプログラムであって、
1つのコンピュータまたは複数のコンピュータを、
(a)前記撮像装置によって撮像された患者の透視画像のデータを取得する画像データ取得部と、
(b)前記撮像装置によって実施された撮像検査における曝射時間のデータを取得する曝射時間データ取得部と、
(c)前記患者に対して行われた薬液注入の注入履歴のデータを取得する注入履歴データ取得部と、
(d)1つまたは複数の前記透視画像を表示した閲覧画面を作成し、前記表示ユニットに表示させる閲覧画面作成部と、
(e)横軸または縦軸のいずれかを時間軸とするグラフであって、前記注入履歴のデータと前記曝射時間のデータとが一緒に表示される結果グラフを作成し、前記表示ユニットに表示させる結果グラフ作成部と、
して機能させるコンピュータプログラム。
P19.1つのコンピュータまたは複数のコンピュータを、さらに、
(f)操作者からの所定の入力にしたがって前記透視画像がページングされた際に、それに連動して現在位置インジケータを時間軸に沿って移動させるページング連動処理部と、
して機能させる、上記記載のコンピュータプログラム。
P20.1つのコンピュータまたは複数のコンピュータを、さらに、
(g)前記透視画像のデータ、前記注入履歴のデータ、および前記曝射時間のデータから選ばれる少なくとも1つのデータを外部に出力するデータ出力部と、
して機能させる、上記記載のコンピュータプログラム。
P21.上記記載の医用検査システムにおいて、
前記薬液注入装置に搭載されるシリンジが、シリンジ内に予め薬液が充填されたプレフィルドタイプのシリンジである、医用検査システム。
P22.前記シリンジがICタグ付きのシリンジである、上記記載の医用検査システム。
P23.前記シリンジが、
中空のシリンダ部材とそれにスライド自在に挿入されたピストン部材を有するものであり、
前記シリンダ部材の端部のシリンダフランジに少なくとも1つの切欠き部が形成されている、上記記載の医用検査システム。
P24.前記シリンジ内の薬液が造影剤である、上記記載の医用検査システム。