(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実装装置の構成>
以下、対象物に対して第1移動体及び第2移動体を直線移動させる装置として半導体ダイ15を基板19等に実装する実装装置70を例に説明する。
図1に示すように、本実施形態の実装装置70は、半導体ダイ15を対象物である基板19または他の半導体ダイに実装するものである。実装装置70は、第1ボンディングヘッド13と第1画像取得手段である第1カメラ16とが取り付けられた第1移動体である第1ベース10と、第2ボンディングヘッド23と第2画像取得手段である第2カメラ26とが取り付けられた第2移動体である第2ベース20と、リニアスケール33と、制御部50と、レーザ距離検出器45と、対象物である基板19を吸着固定するボンディングステージ18とを備えている。実装装置70は、例えば半導体ダイ15を反転させた後に基板19に実装するフリップチップボンディング装置であるが、半導体ダイ15を反転させずに基板19に実装するダイボンディング装置であってもよい。
【0021】
第1ベース10、第2ベース20は、直線方向であるX方向に伸びる共通のガイドレール11にガイドされてX方向に直線移動する。また、第1ベース10、第2ベース20にはそれぞれ第1ベース10、第2ベース20をX方向に駆動する第1駆動部である第1リニアモータ12、第2駆動部である第2リニアモータ22が取り付けられている。
【0022】
第1ベース10に取り付けられた第1ボンディングヘッド13は、半導体ダイ15を真空吸着し基板19にボンディングする実装ツールである第1ボンディングツール14を上下方向であるZ方向に移動させるものである。
図1の符号13zは、第1ボンディングヘッド13のZ方向の中心線を示す。第1カメラ16は、基板19を上方から撮像してその画像を取得するものである。
図1の符号16zは第1カメラ16の光軸を示す。第1ボンディングヘッド13と第1カメラ16とは中心線13zと光軸16zがオフセット量ΔHだけX方向に離間するように第1ベース10に取り付けられている。同様に、第2ベース20に取り付けられた第2ボンディングヘッド23は、半導体ダイ15を真空吸着し基板19にボンディングする実装ツールである第2ボンディングツール24を上下方向であるZ方向に移動させるものである。
図1の符号23zは、第2ボンディングヘッド23のZ方向の中心線を示す。第2カメラ26は、基板19を上方から撮像してその画像を取得するものである。
図1の符号26zは第2カメラ26の光軸を示す。第2ボンディングヘッド23と第2カメラ26とは中心軸23zと光軸26zがオフセット量ΔHだけX方向に離間するように第2ベース20に取り付けられている。第1ベース10、第2ベース20は、第1、第2ボンディングツール14、24で吸着した半導体ダイ15を基板19に搬送する搬送機構である。
【0023】
第1ベース10の略中央には第1検出部である第1エンコーダヘッド17が取り付けられ、第2ベース20の略中央には第2検出部である第2エンコーダヘッド27が取り付けられている。
図1の符号17a、27aはそれぞれ第1エンコーダヘッド17の中心線、第2エンコーダヘッド27の中心線を示す。
【0024】
第1エンコーダヘッド17と第2エンコーダヘッド27に対向する位置には、第1、第2ベース10、20の移動方向であるX方向に伸びる共通のリニアスケール33が配置されている。リニアスケール33は所定のピッチpで複数の目盛34が刻まれている。第1エンコーダヘッド17と第2エンコーダヘッド27とはこの目盛34を光学的に読み取って、リニアスケール33の上の目盛番号を検出するものである。
【0025】
ボンディングステージ18は、基板19を真空吸着するものである。
【0026】
レーザ距離検出器45は、ボンディングステージ18から離れた位置に配置され、レーザによって第1ベース10または第2ベース20のX方向の基準位置からの距離を検出するものである。レーザ距離検出器45は、実装装置70の温度変化によるリニアスケール33の長さの変化と関係なく、第1ベース10、第2ベース20のX方向の基準位置からの距離を検出することができる。
【0027】
図1に示すように、第1リニアモータ12、第2リニアモータ22、第1ボンディングヘッド13、第2ボンディングヘッド23は制御部50に接続され、制御部50の指令によって動作する。また、第1エンコーダヘッド17、第2エンコーダヘッド27は制御部50に接続され、検出したリニアスケール33の目盛番号のデータは、制御部50に入力される。また、第1カメラ16、第2カメラ26、レーザ距離検出器45も制御部50に接続され、第1カメラ16、第2カメラ26が撮像した画像、レーザ距離検出器45が検出した第1ベース10または第2ベース20のX方向の移動距離のデータは、制御部50に入力される。
【0028】
制御部50は、内部に情報処理を行うCPUと動作プログラム、データを格納したメモリとを含むコンピュータであり、第1ベース10および第2ベース20のX方向位置あるいは移動量を調整するものである。
【0029】
<実装装置の基本動作>
図1に示す実装装置70の基本動作について簡単に説明する。制御部50は第1カメラ16によって基板19のボンディング位置を示すマークを撮像し、撮像した画像を分析してボンディング中心の位置と光軸16zとの位置差Δcを検出する。そして、オフセット量ΔHとΔcの合計値分だけ第1リニアモータ12によって第1ベース10をX方向に移動させる。これによって第1ボンディングヘッド13の中心線13zをボンディング中心に合わせることができる。そして、制御部50は、第1ボンディングヘッド13によって第1ボンディングツール14を下降させて半導体ダイ15を基板19のボンディング位置にボンディングする。第2ボンディングヘッド23によって半導体ダイ15を基板19にボンディングする際の動作も同様である。
【0030】
<実装装置におけるリニアスケールの位置補正係数k(n)の算出動作(算出方法)>
次に、
図2から
図3を参照しながらリニアスケール33の位置補正係数k(n)の算出動作について説明する。リニアスケール33或いは第1ベース10あるいは第2ベース20が熱膨張すると、実装装置70の基準位置から所定の位置まで第1ベース10、第2ベース20を移動させる際に誤差が発生する場合がある。そこで、以下、リニアスケール33の位置補正係数の算出動作(算出方法)について説明する。
【0031】
図2のステップS101に示すように、制御部50は、nを1に初期設定する。そして制御部50は、第1ベース10を
図3に示す左端の移動開始位置B(0)とする。次に、制御部50は、第2ベース20を左に移動させて第2ベース20の左端を第1ベース10の右端に当接させる。これにより、
図3に示すように、第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとの間隔は、所定間隔aとなる。
【0032】
次に、制御部50は、移動方向(
図3の右方向)の後側(
図3の左側)に位置する第1リニアモータ12を右方向に駆動して第1ベース10をX方向右側に移動させる。この際、第1ベース10は第2ベース20を押し付けながらX方向右側に移動していくので、第2ベース20は第1ベース10と共にX方向右側に移動していく。また、第1ベース10と第2ベース20とは当接した状態に保持されるので、第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとの間隔は所定間隔aに保持される。そして、制御部50は、
図2のステップS102、
図3に示すように、第1エンコーダヘッド17の中心線17aをリニアスケール33の第1目盛番号B1(1)に合わせる。次に、制御部50は、
図2のステップS103においてレーザ距離検出器45によってこの時の第1ベース10のX方向の位置を基準位置として検出する。
【0033】
次に、制御部50は、
図2のステップS104に示すように、第2エンコーダヘッド27によって第2エンコーダヘッド27の中心線27aの位置するリニアスケール33の第2目盛番号B2(1)を読みとる。そして、制御部50は、
図2のステップS105に進み、次の(式1)により、リニアスケール33の上の第2目盛番号B2(1)と第1目盛番号B1(1)との距離A(1)を算出する。距離A(1)は、リニアスケール33で検出した第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとの距離でもある。
A(1)=[B2(1)−B1(1)]×p ・・・・・(式1)
(式1)において、pはリニアスケール33の目盛34のピッチである。
【0034】
次に、制御部50は、
図2のステップS106に進み、次の(式2)によってリニアスケール33の位置補正係数k(1)を算出する。位置補正係数k(1)は、第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとの間の所定間隔aと、リニアスケール33の上の第2目盛番号B2(1)と第1目盛番号B1(1)との距離A(1)との比率である。
k(1)=a/A(1) ・・・・・(式2)
図2のステップS105、S106は、補正係数算出ステップを構成する。
【0035】
次に制御部50は、
図2のステップS107に進み、第1リニアモータ12によって第1ベース10をX方向に所定の目盛数ΔBだけ移動させ、第1エンコーダヘッド17の中心線17aを第2目盛番号B2(1)=B1(1)+ΔBに合わせる。この際、第2ベース20は、第1ベース10に当接した状態でX方向に移動するので、第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとの間隔は所定間隔aに保持される。
【0036】
そして、制御部50は、
図2のステップS108に進んでB1(2)にB1(1)+ΔBを格納する。制御部50は、
図2のステップS109でnがnendに到達したかどうかを判断し、nがnendに到達していない場合には、
図2のステップS110に進んでnを1だけインクリメントしてn=n+1=2として
図2のステップS104に戻る。ここで、nendは、第1ベース10が終了位置まで移動するまでに必要な移動回数であり、第1目盛番号B1(nend)は、第1ベース10が終了位置まで移動した際に第1エンコーダヘッド17の中心線17aが位置するリニアスケール33の目盛番号を示す。
図2のステップS104、S107−S110は、目盛番号検出ステップを構成する。
【0037】
このように、制御部50は、リニアスケール33の所定の目盛数ΔBだけ、第1ベース10および第2ベース20をX方向に直線移動させ、第1エンコーダヘッド17と第2エンコーダヘッド27とによって、逐次、第1エンコーダヘッド17の中心線17aが位置するリニアスケール33の第1目盛番号B1(n)と、第2エンコーダヘッド27の中心線27aが位置するリニアスケール33の第2目盛番号B2(n)とを検出する。そして、制御部50は、第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとの間の所定間隔aと、リニアスケール33の上の第2目盛番号B2(n)と第1目盛番号B1(n)との距離A(n)との比率であるリニアスケール33の位置補正係数k(n)を算出する動作を繰り返す。このように、制御部50は、リニアスケール33の一端から所定の目盛数ΔB毎に位置補正係数k(n)を算出し、
図3のグラフに示すように、リニアスケール33の各目盛番号B(n)におけるリニアスケール33の位置補正係数k(n)を算出することができる。
【0038】
今、リニアスケール33も第1ベース10、第2ベース20も常温で熱膨張がない場合、
図3に示すように、n=1における第1目盛番号B1(1)=0、第2目盛番号B2(1)=10とすると、
A(1)=[B2(1)−B1(1)]×p=[10−0]×p
=10目盛×p=a
であり、k(1)=a/A(1)=1.0
となる。
【0039】
n=2の位置ではリニアスケール33が熱膨張しているが、第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとの所定間隔aは不変であるとする。この場合、リニアスケール33の目盛34のピッチpは、熱膨張により、p´(>p)となっている。n=2において第1エンコーダヘッド17の中心線17aを第1目盛番号B1(2)=20番に合わせると、第2目盛番号B2(2)と第1目盛番号B1(2)との間の目盛数は、熱膨張のない場合の10目盛よりも少ない目盛数、例えば、9目盛となる。このため、リニアスケール33の上の第2目盛番号B2(2)と第1目盛番号B1(2)との距離A(2)、或いは、リニアスケール33で検出した第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとの間の距離A(2)は、
A(2)=[B2(2)−B1(2)]×p
=9目盛×p
となる。一方、第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとの所定間隔aは不変であり、10目盛×pであるから、
k(2)=a/A(2)=(10目盛×p)/(9目盛×p)>1.0
となる。このように、リニアスケール33が熱膨張によって伸びていると、位置補正係数k(n)は、1.0より大きい数字となる。また、逆にリニアスケール33が常温よりも低い温度で、収縮している場合には、位置補正係数k(n)は、1.0よりも小さい数字となる。
【0040】
リニアスケール33が熱膨張していない場合に第1ベース10をX方向に所定の目盛数ΔBだけ移動させると、第1ベース10はΔB×pだけX方向に移動する。リニアスケール33が熱膨張または収縮していると第1ベース10の移動距離は、熱膨張或いは収縮を補正し、ΔB×p×k(n)となる。リニアスケール33が熱膨張している場合には、k(n)は、1.0よりも大きいので、第1ベース10、第2ベース20の移動距離は、ΔB×pよりも大きくなり、リニアスケール33が収縮している場合には、k(n)が1.0よりも小さくなるので、第1ベース10、第2ベース20の移動距離はΔB×pよりも小さくなる。また、第1ベース10の初期位置から終了位置までの移動距離は、ΔB×p×k(n)をn=1からnendまで積算したものとなる。
【0041】
nがnendに到達したら、制御部50は、
図2のステップS111に進み、次の(式3)で第1ベース10の全移動距離Laを算出する。
La=Σ[ΔB×p×k(n)] ・・・・(式3)
【0042】
上記の(式3)で計算したLaは、第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとの所定間隔aが不変でリニアスケール33の熱膨張を考慮した場合の第1ベース10の全移動距離である。しかし、第1ベース10、第2ベース20の熱膨張により、所定間隔aも変化する。そこで、以下の様に、所定間隔aの熱膨張量を考慮して位置補正係数k(n)を修正する。
【0043】
制御部50は、
図2のステップS112に進み、レーザ距離検出器45によって第1ベース10の終了位置を検出して
図2のステップS113に進み、レーザ距離検出器45によって検出した第1ベース10の基準位置から終了位置までの移動距離Lcを算出する。
【0044】
制御部50は、
図2のステップS114に進んで、下記の(式4)によって位置補正係数k(n)を修正してka(n)とする。
ka(n)=k(n)×[La/Lc] ・・・・・(式4)
【0045】
制御部50は、修正した位置補正係数ka(n)をメモリに格納する。修正した位置補正係数ka(n)は、
図3に示すように、熱膨張による所定間隔aの変化を考慮したリニアスケール33の目盛番号B(n)に対するリニアスケール33の位置補正係数ka(n)の分布、あるいは、位置補正係数ka(n)のマップを示す。
図2のステップS111からS114は、補正係数修正ステップを構成する。
【0046】
制御部50は、修正した位置補正係数ka(n)を用いて以下のように、リニアスケール33を用いて検出した第1エンコーダヘッド17の中心線17aの位置を補正する。第1エンコーダヘッド17で検出したリニアスケール33の目盛番号がB100で、B100=ΔB×m+jの場合、制御部50は、目盛番号0から第1エンコーダヘッド17の中心線17aまでの距離L100を、
L100=[ΣΔB×ka(n)×p]
(n=1〜m)+ka(m+1)×j×p
として算出し、第1ベース10の移動量或いは移動距離を制御する。
【0047】
つまり、制御部50は、補正なしの場合に、リニアスケール33で検出した目盛番号0から目盛番号B100までの第1エンコーダヘッド17の移動距離L100b=(ΔB×m+j)×pを、修正した位置補正係数ka(n)を用いて、距離L100=[ΣΔB×ka(n)×p]
(n=1〜m)+ka(m+1)×j×pに修正し(移動量修正ステップ)、第1エンコーダヘッド17が取り付けられている第1ベース10の移動量或いは移動距離を制御する(移動量制御ステップ)。同様に第2エンコーダヘッド27が取りつけられている第2ベース20の移動距離を修正して第2ベース20の移動距離を制御する。
【0048】
以上、説明したように、本実施形態の実装装置70は、第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとのX方向の間隔を所定間隔aに保持しながら所定の目盛数ΔBだけ第1ベース10および第2ベース20をX方向に直線移動させる、第1エンコーダヘッド17と第2エンコーダヘッド27により、逐次、目盛番号を検出してリニアスケール33の位置補正係数ka(n)のマップを作成し、作成した位置補正係数ka(n)のマップに基づいて第1、第2エンコーダヘッド17、27の移動距離を修正するので、第1、第2ボンディングヘッド13、23、第1、第2カメラ16、26の位置検出精度を向上させて電子部品の実装精度が低下することを抑制することができる。
【0049】
なお、本実施形態では、第1ベース10を第2ベース20に当接させて、第1リニアモータ12によって第1ベース10をX方向に駆動すると共に、第1ベース10が第2ベース20を押すことによって第1ベース10と第2ベース20とが当接した状態を保持したまま第2ベース20を第1ベース10と共にX方向に移動させて、第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとの間隔を所定間隔aに保持することとして説明したが、これに限らない。例えば、第1ベース10と第2ベース20とを接続部材で一時的に接続して第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとの間隔を所定間隔aに保持するようにしてもよい。
【0050】
<実装装置におけるリニアスケールの位置補正係数k(n)の他の算出動作(算出方法)>
次に、
図4、
図5を参照しながら、本実施形態の実装装置70のリニアスケールの位置補正係数k(n)の他の算出動作について説明する。
図2、
図3を参照して説明した動作と同様の動作については、同様のステップ符号を付して説明は省略する。
【0051】
図3に示す動作は、第1ベース10および第2ベース20を所定の目盛数ΔBだけ移動させて第1、第2エンコーダヘッド17、27でリニアスケール33の移動目盛番号を検出して各位置補正係数k(n)を算出した後、レーザ距離検出器45によって第1ベース10の位置を検出しながら第1ベース10をリファレンス距離Lrだけ移動させた際の目盛数を検出し、この結果に基づいて位置補正係数k(n)を修正するものである。各位置補正係数k(n)を算出は、先に
図2、
図3を参照して説明したのと同様なので、説明は省略する。
【0052】
制御部50は、
図4のステップS101からS110を繰り返して実行してk(n)を算出したら、
図4のステップS201に進む。
【0053】
制御部50は、
図4のステップS201において、
図5に示すように、第1ベース10を所定の第1位置(基準位置)に合わせる。そして、制御部50は、第1エンコーダヘッド17によって第1ベース10が第1位置にある時の第1エンコーダヘッド17が位置するリニアスケール33の目盛番号B(s)を検出する。また、制御部50は、レーザ距離検出器45によってレーザ距離検出器45から第1ベース10までの第1距離を検出する。次に、制御部50は、レーザ距離検出器45によって第1ベース10までの距離を検出しながら第1ベース10および第2ベース20を先に
図2、3を参照して説明したと同様の方法でX方向にリファレンス距離Lrだけ移動させる。第1ベース10および第2ベース20がリファレンス距離Lrだけ移動し、第1ベース10が第2位置になったら、制御部50は、第1エンコーダヘッド17によって第2位置におけるリニアスケール33の目盛番号B(e)を検出する。制御部50は、第1位置の目盛番号B(s)と第2位置の目盛番号B(e)の差=(B(e)−B(s))からリファレンス距離Lrだけ第1ベース10が移動した際のリニアスケール33の目盛番号差NB=(B(e)−B(s))を算出する。
【0054】
制御部50は、目盛番号差NBを検出したら、
図4のステップS202に進み、下記の(式5)によって位置補正係数k(n)を修正する。
ka(n)=k(n)×[NB×p]/Lr ・・・・・(式5)
【0055】
制御部50は、先に説明した実施形態と同様、修正した位置補正係数ka(n)を用いてリニアスケール33によって検出した第1エンコーダヘッド17の中心線17aの位置、または、第2エンコーダヘッド27の中心線27aの位置を補正する。また、リニアスケール33で検出した第1、第2エンコーダヘッド17、27の移動距離を修正した位置補正係数ka(n)を用いて修正し(移動量修正ステップ)、第1、第2エンコーダヘッド17、27が取り付けられている第1、第2ベース10、20の移動量或いは移動距離を制御する(移動量制御ステップ)。
【0056】
本動作は、先に
図2、
図3を参照して説明した動作と同様、第1、第2ボンディングヘッド13、23、第1、第2カメラ16、26の位置検出精度を向上させて電子部品の実装精度が低下することを抑制することができる。なお、上記の説明では、第1エンコーダヘッド17によって第1ベース10が第1位置、第2位置にある際のリニアスケール33の目盛番号を検出することとして説明したが、第2エンコーダヘッド27によって第2ベース20が第1位置、第2位置にある際のリニアスケール33の目盛番号を検出してもよい。
【0057】
次に、
図4のステップS201、S202の他の動作について説明する。
【0058】
本実施形態の実装装置70は、
図5に示すように、位置マークMsが第1位置に配置されている第1リファレンス部材61と、位置マークMeが第2位置に配置されている第2リファレンス部材62を備えている。
【0059】
制御部50は、
図4のステップS201において、第1カメラ16の光軸16zを第1リファレンス部材61の位置マークMsの位置に合わせ、第1エンコーダヘッド17によって第1位置におけるリニアスケール33の目盛番号B(s)を検出する。次に、制御部50は、第1カメラ16で画像を取得しながら、第1カメラ16の光軸16zが位置マークMeの位置に来るまで第1ベース10および第2ベース20を移動させる。そして、第1カメラ16の光軸16zが位置マークMeの第2位置に来たら、第1エンコーダヘッド17でリニアスケール33の目盛番号B(e)を検出する。そして、制御部50は、第1位置の目盛番号B(s)と第2位置の目盛番号B(e)の差=(B(e)−B(s))からリファレンス距離Lrだけ第1ベース10および第2ベース20が移動した際のリニアスケール33の目盛番号差NB=(B(e)−B(s))を算出する。
【0060】
制御部50は、先の動作と同様、目盛番号差NBを検出したら、
図4のステップS202に進み、下記の(式5)によって位置補正係数k(n)を修正する。
ka(n)=k(n)×[NB×p]/Lr ・・・・・(式5)
【0061】
以上説明したように、先に説明した動作と同様、第1、第2ボンディングヘッド13、23、第1、第2カメラ16、26の位置検出精度を向上させて電子部品の実装精度が低下することを抑制することができる。なお、上記の説明では、第1エンコーダヘッド17によって第1ベース10が第1位置、第2位置にある際のリニアスケール33の目盛番号を検出することとして説明したが、第2エンコーダヘッド27によって第2ベース20が第1位置、第2位置にある際のリニアスケール33の目盛番号を検出してもよい。
【0062】
本実施形態は、先に説明した実施形態と同様の効果を奏する。
【0063】
以上説明した実施形態では、第1、第2カメラ16、26の光軸16z、26zを位置マークMs、Meに合わせることで第1、第2ベース10、20をリファレンス距離Lrだけ移動させることとして説明したが、以下のような方法で位置補正係数k(n)の修正を行ってもよい。
【0064】
第1カメラ16の視野に位置マークMsが入る位置に第1ベース10を移動させ、位置マークMsの画像を撮像し、第1カメラ16の光軸16zと位置マークMsとの距離d1を検出する。また、第1エンコーダヘッド17によってリニアスケール33の目盛番号B(s)を検出する。次に、第1カメラ16の視野に位置マークMeが入る位置まで第1ベース10を移動させ、第1カメラ16で位置マークMeの画像を検出し、第1カメラ16の光軸16zと位置マークMeとの距離d2を検出する。そして、リファレンス距離Lrに距離d1、d2を考慮した距離を近似リファレンス距離Lr1として取得する。また、第1エンコーダヘッド17によってリニアスケール33の目盛番号B(e)を検出する。
【0065】
そして、目盛番号差NB=(B(e)−B(s))と近似リファレンス距離Lr1とから、下記の(式6)によって位置補正係数k(n)を修正する。
ka(n)=k(n)×[NB×p]/Lr1 ・・・・・(式6)
【0066】
<他の実施形態の実装装置の構成>
次に、
図6から
図9を参照しながら、他の実装装置であるフリップチップボンディング装置200の構成について説明する。
【0067】
図6に示すように、本実施形態のフリップチップボンディング装置200は、主架台111と、主架台111の上に支持されてY方向に向かって平行に伸びる第1、第2ガントリーフレーム120A,120Bと、第1、第2ガントリーフレーム120A,120Bに支持される第1、第2実装ヘッド170A、170Bと、第1、第2ガントリーフレーム120A、120BをX方向に駆動する第1、第2X方向リニアモータ135A、135Bと、第1、第2実装ヘッド170A、170BをY方向に駆動する第1、第2Y方向リニアモータ155A、155Bと、主架台111と離間して配置された副架台180と、副架台180に取り付けられる第1、第2Y方向荷重受け154A、154Bと、を備えており、第1、第2Y方向リニアモータ155A,155Bの第1、第2Y方向固定子150A、150Bの一端と第1、第2Y方向荷重受け154A、154Bとは第1、第2接続部材153A、153Bで接続されている。なお、X方向、Y方向は水平面上で互いに直交する方向であり、本実施形態では、
図1に示すように第1、第2ガントリーフレーム120A、120Bが伸びる方向をY方向、これと直交する方向をX方向、として説明する。また、Z方向は、XY面に垂直な上下方向である。
【0068】
図1に示す様に、主架台111は四角形状の平面を有する架台であり、その上面に実装ステージ110が取り付けられている。実装ステージ110はその上に半導体ダイを実装する基板19を真空吸着するものである。主架台111上面の対向する二辺の近傍には互いに並行に2本のリニアガイド112が取り付けられている。
図6−
図8に示すように、リニアガイド112の上には第1、第2スライダ126A、126BがX方向に移動自在に取り付けられている。そして、2本のリニアガイド112の各スライダ126A、126Bの上には、それぞれ第1、第2ガントリーフレーム120A、120Bの第1、第2脚部123A、123Bが取り付けられている。つまり、第1、第2ガントリーフレーム120A、120Bは、主架台111の上を渡るようにY方向に伸び、両端の各脚部123A、123Bは各スライダ126A、126Bに取り付けられて主架台111に取り付けられたリニアガイド112によってX方向に移動自在に支持されている。
【0069】
また、本実施形態のフリップチップボンディング装置200は、
図6に示すように、主架台111の周囲を囲むように、主架台111と離間した副架台180を備えている。副架台180は、柱181、182と、梁184によって構成されるフレームである。
図6、
図8に示す様に、X方向に伸びる梁184の上には、第1、第2X方向リニアモータ135A、135BのX方向固定子130が取り付けられている。
図8に示すように、X方向固定子130は、支持板131の上に永久磁石132が空間を空けて対向して配置されたものである。X方向固定子130の永久磁石132の間の空間には第1、第2X方向リニアモータ135A、135Bの第1、第2X方向可動子140A、140Bの第1、第2コイル142A、142Bが配置されている。第1、第2コイル142A、142Bは上側の第1、第2ベース板141A、141Bに固定され、第1、第2ベース板141A、141Bは、第1、第2ガントリーフレーム120A、120Bの第1、第2脚部123A、123Bから伸びる第1、第2アーム124A、124Bの先端に取り付けられた第1、第2平板125A、125Bにボルト等で固定されている。従って、各X方向リニアモータ135A、135Bの各X方向可動子140A、140Bは各ガントリーフレーム120A、120Bと共にX方向に移動する。
【0070】
図1に示すように、X方向固定子130には、第1、第2X方向可動子140A、140Bが取り付けられている。X方向固定子130の各X方向可動子140A、140Bが組み合わされる部分は、それぞれ第1、第2X方向リニアモータ135A、135Bを形成する。
【0071】
また、
図6に示すように、主架台111の第1、第2X方向可動子140A、140B側の側面には、X方向に向かって直線状に伸びるリニアエンコーダ190のリニアスケール192が取り付けられており、第1、第2X方向可動子140A、140Bから主架台111の側に向かって伸びるL字形の第1、第2ラグ191A、191Bの先端にはリニアエンコーダ190の第1、第2エンコーダヘッド193A、193Bが取り付けられている。このように、第1、第2エンコーダヘッド193A、193Bは、第1、第2ガントリーフレーム120A、120Bのリニアスケール192の側の端部に取り付けられている。
【0072】
図6、
図9に示すように、第1、第2ガントリーフレーム120A、120Bには第1、第2実装ヘッド170A、170Bが支持されている。
図9に示すように、第1、第2実装ヘッド170A、170Bには先端に第1、第2実装ツール173A、173Bが取り付けられた第1、第2シャフト172AをZ方向に上下動させるZ方向移動機構が格納されている。Z方向移動機構は第1、第2実装ツール173A、173Bを上下動させて、実装ステージ110に吸着固定された基板19の上に半導体ダイ15を押圧させる。第1、第2ガントリーフレーム120A、120Bの内部には空間が設けられており、内面の両側にはY方向に伸びる第1、第2リニアガイド127A、127Bが2本取り付けられている。各リニアガイド127A、127Bにはそれぞれ第1、第2スライダ175A、175Bが取り付けられ、各スライダ175A、175Bには各実装ヘッド170A、170Bのつり各下げ部材174A、174Bが取り付けられている。
【0073】
<実装装置におけるリニアスケールの位置補正係数k(n)の算出動作(算出方法)>
次に、
図10、
図2から
図3を参照しながらリニアスケール192の位置補正係数k(n)の算出動作について説明する。リニアスケール192が熱膨張すると、フリップチップボンディング装置200の基準位置から所定の位置まで第1、第2ガントリーフレーム120A、1202Bを移動させる際に誤差が発生する場合がある。そこで、以下、リニアスケール192の位置補正係数の算出動作(算出方法)について説明する。
【0074】
図10に示すように、第1ガントリーフレーム120Aを初期位置に設定し、第2ガントリーフレーム120Bを第1ガントリーフレーム120Aに隣接する位置までX方向に移動させる。そして、第1ガントリーフレーム120Aと第2ガントリーフレーム120Bとを接続部材122によって接続する。これにより、第1エンコーダヘッド193Aの中心と第2エンコーダヘッド193Bの中心との間隔は、
図3に示す所定間隔aとなる。そして、制御部50は、
図2のステップS101に示すように、nを1に初期設定する。
【0075】
次に、制御部50は、第1X方向リニアモータ135Aを駆動して第1、第2ガントリーフレーム120A、120BをX方向に移動させる。この際、第1、第2ガントリーフレーム120A、120Bは接続部材122で接続されているので、第1エンコーダヘッド193Aの中心と第2エンコーダヘッド193Bの中心との間隔は所定間隔aに保持される。そして、制御部50は、
図2のステップS102、
図3に示すように、第1エンコーダヘッド193Aの中心をリニアスケール192の第1目盛番号B1(1)に合わせる。次に、制御部50は、
図2のステップS103においてレーザ距離検出器45によってこの時の第1ガントリーフレーム120AのX方向の位置を基準位置として検出する。
【0076】
先に、
図2、
図3を参照して説明したのと同様、制御部50は、リニアスケール192の所定の目盛数ΔBだけ、第1、第2ガントリーフレーム120A、120BをX方向に直線移動させ、第1エンコーダヘッド193Aと第2エンコーダヘッド193Bとによって、逐次、第1エンコーダヘッド193Aの中心が位置するリニアスケール192の第1目盛番号B1(n)と、第2エンコーダヘッド193Bの中心が位置するリニアスケール192の第2目盛番号B2(n)とを検出する。そして、制御部50は、第1エンコーダヘッド193Aの中心と第2エンコーダヘッド193Bの中心との間の所定間隔aと、リニアスケール192で検出した第1エンコーダヘッド193Aの中心と第2エンコーダヘッド193Bの中心との間の距離A(n)との比率であるリニアスケール192の位置補正係数k(n)を算出する動作を繰り返す。これにより、
図3のグラフとどうよう、リニアスケール192の各目盛番号B(n)におけるリニアスケール192の位置補正係数k(n)を算出することができる。
【0077】
また、制御部50は、先に
図4、
図5を参照して説明したと同様、位置補正係数k(n)を修正して修正した位置補正係数をka(n)算出することができる。
【0078】
以上説明したように、本実施形態のフリップチップボンディング装置200は、第1エンコーダヘッド193Aの中心と第2エンコーダヘッド193Bの中心とのX方向の間隔を所定間隔aに保持しながら所定の目盛数ΔBだけ第1ガントリーフレーム120Aおよび第2ガントリーフレーム120BをX方向に直線移動させ、第1エンコーダヘッド193Aと第2エンコーダヘッド193Bにより、逐次、目盛番号を検出してリニアスケール192の位置補正係数ka(n)のマップを作成し、作成した位置補正係数ka(n)のマップに基づいて各エンコーダヘッド193A、193Bの位置を修正するので、実装ヘッド170A、170Bの位置検出精度を向上させて電子部品の実装精度が低下することを抑制することができる。
【0079】
以上説明した実施形態では、第1ガントリーフレーム120Aと第2ガントリーフレーム120Bとを接続部材122で接続して第1エンコーダヘッド193Aの中心と第2エンコーダヘッド193Bの中心とのX方向の間隔を所定間隔aに保持することとして説明したが、先に、
図2、
図3を参照して説明した実施形態のように、第1ガントリーフレーム120Aと第2ガントリーフレーム120Bとを当接させて第1エンコーダヘッド193Aの中心と第2エンコーダヘッド193Bの中心とのX方向の間隔を所定間隔aに保持するようにしてもよい。
【0080】
実装装置70、フリップチップボンディング装置200を例として本発明の実施形態を説明したが、本発明は、フリップチップボンディング装置あるいはダイボンディング装置に限らず、さまざまな装置に適用することが可能である。例えば、ワイヤボンディング装置、工業用ロボット、搬送装置に適用することができる。搬送又は実装する対象物、対象物の大きさ、対象物の技術分野に限らず、あらゆる装置に適用することができる。