特許第6952368号(P6952368)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6952368対象物に対して第1移動体及び第2移動体を直線移動させる装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6952368
(24)【登録日】2021年9月30日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】対象物に対して第1移動体及び第2移動体を直線移動させる装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20211011BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20211011BHJP
   H01L 21/67 20060101ALI20211011BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20211011BHJP
【FI】
   H01L21/60 311T
   H01L21/60 301L
   H01L21/52 F
   H01L21/68 E
   H05K13/04 M
【請求項の数】13
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-539521(P2019-539521)
(86)(22)【出願日】2018年8月28日
(86)【国際出願番号】JP2018031737
(87)【国際公開番号】WO2019044816
(87)【国際公開日】20190307
【審査請求日】2020年1月22日
(31)【優先権主張番号】特願2017-163110(P2017-163110)
(32)【優先日】2017年8月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】519294332
【氏名又は名称】株式会社新川
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬山 耕平
(72)【発明者】
【氏名】歌野 哲弥
(72)【発明者】
【氏名】野口 勇一郎
【審査官】 安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−139750(JP,A)
【文献】 特開平09−064085(JP,A)
【文献】 特開2013−195778(JP,A)
【文献】 特開昭62−173151(JP,A)
【文献】 特開2004−167641(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/098448(WO,A1)
【文献】 特開2017−037068(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/119216(WO,A1)
【文献】 国際公開第2017/119217(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60−607
H01L 21/52
H01L 21/67−687
H05K 13/00−08
G01B 5/00−30
G01B 11/00−30
G01B 21/00−32
B23Q 15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に対して第1移動体及び第2移動体を直線移動させる装置であって、
レールにガイドされて直線移動する前記第1移動体と、
前記レールにガイドされ、直線移動する前記第2移動体と、
前記レールに沿って配置され、移動方向に沿って所定ピッチで複数の目盛が設けられたスケールと、
前記第1移動体に配置され、前記スケールの目盛番号を検出する第1検出部と、
前記第2移動体に配置され、前記スケールの目盛番号を検出する第2検出部と、
前記第1移動体及び前記第2移動体の移動量を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1検出部と前記第2検出部との間隔を一定に保持して前記第1移動体と前記第2移動体とを前記レールに沿って移動開始位置から移動終了位置まで移動させながら、逐次、前記第1検出部と前記第2検出部とで前記第1検出部が位置する第1目盛番号と前記第2検出部が位置する第2目盛番号とを検出し、前記第1目盛番号と前記第2目盛番号との差に前記目盛のピッチを掛けて前記第1検出部と前記第2検出部との間の前記スケール上の距離を算出し、算出した前記スケール上の距離に対する前記第1検出部と前記第2検出部の前記間隔の比として前記スケールの位置補正係数を算出すること、
を特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1移動体または前記第2移動体の基準位置からの距離を検出する距離検出器を備え、
前記制御部は、
前記第1検出部と前記第2検出部との前記間隔一定に保持し、前記距離検出器によって前記基準位置からの前記第1移動体または前記第2移動体の距離を検出しながら前記第1移動体および前記第2移動体を前記移動開始位置から前記移動終了位置まで移動させ、前記第1移動体及び前記第2移動体の前記移動開始位置における前記スケールの目盛番号と前記移動終了位置における前記スケールの目盛番号とを前記第1検出部又は前記第2検出部により検出し、検出した各目盛番号の差を目盛番号差として算出し、前記距離検出器によって検出した前記第1移動体または前記第2移動体の前記移動開始位置から前記移動終了位置までの距離に対する前記目盛番号差に前記目盛のピッチを掛けて求めた距離の比を前記位置補正係数に掛けて修正位置補正係数を算出し、
算出した前記修正位置補正係数を用いて前記スケールで検出した移動距離を修正して前記第1移動体と前記第2移動体の移動量を制御すること、
を特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、
電子部品を実装する実装ステージと、
前記実装ステージの上に前記第1移動体と前記第2移動体との移動方向に並べて配置された2つのリファレンス部材であって、それぞれ上面に位置マークが設けられているリファレンス部材
前記第1移動体に取り付けられ、前記位置マークの画像を取得する第1画像取得手段と、
前記第2移動体に取り付けられ、前記位置マークの画像を取得する第2画像取得手段と、を更に備え、
前記各リファレンス部材は、各前記位置マークが移動方向に既知のリファレンス距離だけ離間するように前記実装ステージの上に載置され、
前記移動開始位置は、一の前記位置マークの画像が前記第1画像取得手段の光軸となる位置又は前記第2画像取得手段の光軸となる位置であり、
前記移動終了位置は、他の前記位置マークの画像が前記第1画像取得手段の光軸となる位置又は前記第2画像取得手段の光軸となる位置であり、
前記制御部は、
前記移動開始位置から前記移動終了位置まで前記第1移動体および前記第2移動体を移動させ、前記第1移動体および前記第2移動体の前記移動開始位置における前記スケールの目盛番号と、前記移動終了位置における前記スケールの目盛番号とを前記第1検出部又は前記第2検出部により検出し、検出した各目盛番号の差を目盛番号差として算出し、既知の前記リファレンス距離に対する前記目盛番号差に前記目盛のピッチを掛けて求めた距離の比を前記位置補正係数に掛けて修正位置補正係数を算出し、
算出した前記修正位置補正係数を用いて前記スケールで検出した移動距離を修正して前記第1移動体と前記第2移動体の移動量を制御すること、
を特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、
前記制御部は、前記スケールの一端からの所定の目盛数毎の前記位置補正係数を算出すること、
を特徴とする装置。
【請求項5】
請求項2または3に記載の装置であって、
前記制御部は、前記スケールの一端からの所定の目盛数毎の前記位置補正係数と、前記修正位置補正係数とを算出すること、
を特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の装置であって、
前記第1移動体及び前記第2移動体は、それぞれ、半導体ダイを前記対象物に搬送する搬送機構であり、
前記対象物は、搬送された前記半導体ダイが実装される基板又は他の半導体ダイであって、
前記装置は、前記半導体ダイを前記対象物に実装する実装装置であること
を特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の装置であって、
前記第1移動体を駆動させる第1駆動部と、
前記第2移動体を駆動させる第2駆動部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記第1駆動部又は前記第2駆動部のどちらか一方を駆動させて前記第1移動体又は前記第2移動体の一方を他方に押し付け、前記第1検出部と前記第2検出部との間隔を一定に保持しながら前記第1移動体及び前記第2移動体を同時に移動させること
を特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の装置であって、
電子部品を実装する実装ステージを含み、
前記レールは、X方向に伸びる2本のリニアガイドであり、
前記第1移動体は、前記実装ステージの上を渡るようにY方向に伸びて、両端がそれぞれ前記2本のリニアガイドにガイドされてX方向に移動する第1ガントリーフレームであり、
前記第2移動体は、前記実装ステージの上を渡るように前記第1ガントリーフレームと平行にY方向に伸びて、両端がそれぞれ前記2本のリニアガイドにガイドされてX方向に移動する第2ガントリーフレームであり、
前記スケールは、一方のリニアガイドに沿って配置され、
前記第1検出部は、前記第1ガントリーフレームの前記スケールの側の端部に取り付けられ、
前記第2検出部は、前記第2ガントリーフレームの前記スケールの側の端部に取り付けられている、
装置。
【請求項9】
対象物に対して第1移動体及び第2移動体を直線移動させる方法であって、
レールにガイドされて直線移動する前記第1移動体と、前記レールにガイドされ、直線移動する前記第2移動体と、前記レールに沿って配置され、移動方向に沿って所定ピッチで複数の目盛が設けられたスケールと、前記第1移動体に配置された第1検出部と、前記第2移動体に配置された第2検出部と、を備える装置を準備するステップと、
前記第1検出部と前記第2検出部との間隔を一定に保持して前記第1移動体と前記第2移動体とを前記レールに沿って移動開始位置から移動終了位置まで移動させながら、逐次、前記第1検出部と前記第2検出部とで前記第1検出部が位置する第1目盛番号と前記第2検出部が位置する第2目盛番号とを検出する目盛番号検出ステップと、
記第1目盛番号と前記第2目盛番号との間の差に前記目盛のピッチを掛けて前記第1検出部と前記第2検出部との前記スケール上の距離を算出し、算出した前記スケール上の距離に対する前記第1検出部と前記第2検出部の前記間隔の比として前記スケールの位置補正係数を算出する位置補正係数算出ステップと、
を含む方法。
【請求項10】
請求項に記載の方法であって、
前記装置は、前記第1移動体または前記第2移動体の基準位置からの距離を検出する距離検出器を備え、
前記第1検出部と前記第2検出部との前記間隔一定に保持し、前記距離検出器によって前記基準位置からの前記第1移動体または前記第2移動体の距離を検出しながら前記第1移動体および前記第2移動体を前記移動開始位置から前記移動終了位置まで移動させ、前記第1移動体及び前記第2移動体の前記移動開始位置における前記スケールの目盛番号と前記移動終了位置における前記スケールの目盛番号とを前記第1検出部又は前記第2検出部により検出し、検出した各目盛番号の差を目盛番号差として算出し、前記距離検出器によって検出した前記第1移動体または前記第2移動体の前記移動開始位置から前記移動終了位置までの距離に対する前記目盛番号差に前記目盛のピッチを掛けて求めた距離の比を前記位置補正係数に掛けて修正位置補正係数を算出する補正係数修正ステップと、
算出した前記修正位置補正係数を用いて前記スケールで検出した移動距離を修正して前記第1移動体と前記第2移動体の移動量を制御する移動量制御ステップと、
を含む方法。
【請求項11】
請求項に記載の方法であって、
前記装置は、電子部品を実装する実装ステージと、上面に位置マークが設けられている2つのリファレンス部材と、前記第1移動体に取り付けられ、前記位置マークの画像を取得する第1画像取得手段と、前記第2移動体に取り付けられ、前記位置マークの画像を取得する第2画像取得手段と、を更に備え
前記各リファレンス部材の各位置マークが前記第1移動体と前記第2移動体との移動方向に既知のリファレンス距離だけ離間するように前記各リファレンス部材を前記実装ステージの上に載置し、
一の前記位置マークの画像が前記第1画像取得手段の光軸となる位置又は前記第2画像取得手段の光軸となる位置を前記移動開始位置とし、
他の前記位置マークの画像が前記第1画像取得手段の光軸となる位置又は前記第2画像取得手段の光軸となる位置を前記移動終了位置とし、
前記移動開始位置から前記移動終了位置まで前記第1移動体および前記第2移動体を移動させ、前記第1移動体および前記第2移動体の前記移動開始位置における前記スケールの目盛番号と、前記移動終了位置における前記スケールの目盛番号とを前記第1検出部又は前記第2検出部により検出し、検出した各目盛番号の差を目盛番号差として算出し、既知の前記リファレンス距離に対する前記目盛番号差に前記目盛のピッチを掛けて求めた距離の比を前記位置補正係数に掛けて修正位置補正係数を算出する補正係数修正ステップと、
算出した前記修正位置補正係数を用いて前記スケールで検出した移動距離を修正して前記第1移動体と前記第2移動体の移動量を制御する移動量制御ステップと、
を含む方法。
【請求項12】
請求項に記載の方法であって、
前記位置補正係数算出ステップは、前記スケールの一端からの所定の目盛数毎の前記位置補正係数を算出すること
を特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10又は11に記載の方法であって、
前記位置補正係数算出ステップは、前記スケールの一端からの所定の目盛数毎の前記位置補正係数を算出し、
前記補正係数修正ステップは、前記スケールの一端からの所定の目盛数毎の前記修正位置補正係数を算出すること、
を特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に対して第1移動体及び第2移動体を直線移動させる装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体装置の製造において、半導体ダイ等の電子部品を基板あるいは他の半導体ダイに実装する実装装置や、半導体ダイの電極と基板の電極にワイヤをボンディングするワイヤボンディング装置等の多くのボンディング装置が用いられている。ボンディング装置は、XYテーブル上に搭載されたボンディングヘッドと、ボンディングヘッドに取り付けられてボンディングツールを上下方向に移動させるボンディングアームと、ボンディングヘッドに取り付けられて基板のボンディング位置を検出する位置検出用カメラと、を備えている。ボンディングツールの中心線と位置検出用カメラの光軸とは所定のオフセット距離だけ離して配置されている。そして、位置検出用カメラの光軸をボンディング位置に合わせた後、オフセット距離だけボンディングヘッドを移動させてボンディングツールの中心線をボンディング位置に移動させてボンディングを行うものが多い。
【0003】
一方、ボンディング動作を継続すると、温度上昇によりオフセット距離が変化する。このため、位置検出用カメラの光軸をボンディング位置に合わせた後、オフセット距離だけボンディングヘッドを移動させても、ボンディングツールの中心線がボンディング位置とならない場合がある。そこで、ボンディング動作の中間でオフセット距離を較正するボンディング装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−203234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ボンディング装置では、ボンディングヘッドを有するベースの移動量の検出にリニアスケールを用いているものが多い。この場合、ボンディング装置の温度が上昇すると、リニアスケールが膨張し、リニアスケールの目盛に基づいて移動するベースの移動量に誤差が発生するという問題があった。また、リニアスケールの温度上昇は一様ではないため、リニアスケールの熱膨張量も部位によって異なっている場合が多い。このため、ボンディングヘッドの位置検出精度の低下により電子部品の実装精度が低下してしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、移動体の移動精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の装置は、対象物に対して第1移動体及び第2移動体を直線移動させる装置であって、レールにガイドされて直線移動する第1移動体と、レールにガイドされ、直線移動する第2移動体と、レールに沿って配置され、移動方向に沿って所定ピッチで複数の目盛が設けられたスケールと、第1移動体に配置され、スケールの目盛番号を検出する第1検出部と、第2移動体に配置され、スケールの目盛番号を検出する第2検出部と、第1移動体及び第2移動体の移動量を制御する制御部と、を備え、制御部は、第1検出部と第2検出部との間隔を一定に保持して第1移動体と第2移動体とをレールに沿って移動開始位置から移動終了位置まで移動させながら、逐次、第1検出部と第2検出部とで第1検出部が位置する第1目盛番号と第2検出部が位置する第2目盛番号とを検出し、第1目盛番号と第2目盛番号との差に目盛のピッチを掛けて第1検出部と第2検出部との間のスケール上の距離を算出し、算出したスケール上の距離に対する第1検出部と第2検出部の間隔の比としてスケールの位置補正係数を算出すること、を特徴とする。
【0008】
本発明の装置において、第1移動体または第2移動体の基準位置からの距離を検出する距離検出器を備え、制御部は、第1検出部と第2検出部との間隔を一定に保持し、距離検出器によって基準位置からの第1移動体または第2移動体の距離を検出しながら第1移動体および第2移動体を移動開始位置から移動終了位置まで移動させ、第1移動体及び第2移動体の移動開始位置におけるスケールの目盛番号と移動終了位置におけるスケールの目盛番号とを第1検出部又は第2検出部により検出し、検出した各目盛番号の差を目盛番号差として算出し、距離検出器によって検出した第1移動体または第2移動体の移動開始位置から移動終了位置までの距離に対する目盛番号差に目盛のピッチを掛けて求めた距離の比を位置補正係数に掛けて修正位置補正係数を算出し、算出した修正位置補正係数を用いてスケールで検出した移動距離を修正して第1移動体と第2移動体の移動量を制御してもよい。
【0009】
本発明の装置において、電子部品を実装する実装ステージと、実装ステージの上に第1移動体と第2移動体との移動方向に並べて配置された2つのリファレンス部材であって、それぞれ上面に位置マークが設けられているリファレンス部材第1移動体に取り付けられ、位置マークの画像を取得する第1画像取得手段と、第2移動体に取り付けられ、位置マークの画像を取得する第2画像取得手段と、を更に備え、各リファレンス部材は、各位置マークが移動方向に既知のリファレンス距離だけ離間するように実装ステージの上に載置され、移動開始位置は、一の位置マークの画像が第1画像取得手段の光軸となる位置又は第2画像取得手段の光軸となる位置であり、移動終了位置は、他の位置マークの画像が第1画像取得手段の光軸となる位置又は第2画像取得手段の光軸となる位置であり、制御部は、移動開始位置から移動終了位置まで第1移動体および第2移動体を移動させ、第1移動体および第2移動体の移動開始位置におけるスケールの目盛番号と、移動終了位置におけるスケールの目盛番号とを第1検出部又は第2検出部により検出し、検出した各目盛番号の差を目盛番号差として算出し、既知のリファレンス距離に対する目盛番号差に目盛のピッチを掛けて求めた距離の比を位置補正係数に掛けて修正位置補正係数を算出し、算出した修正位置補正係数を用いてスケールで検出した移動距離を修正して第1移動体と第2移動体の移動量を制御してもよい。
【0010】
本発明の装置において、制御部は、スケールの一端からの所定の目盛数毎の位置補正係数を算出してもよいし、制御部は、スケールの一端からの所定の目盛数毎の位置補正係数と、修正位置補正係数とを算出してもよい。
【0011】
本発明の装置において、第1移動体及び第2移動体は、それぞれ、半導体ダイを対象物に搬送する搬送機構であり、対象物は、搬送された半導体ダイが実装される基板又は他の半導体ダイであって、装置は、半導体ダイを対象物に実装する実装装置でもよい。
【0012】
本発明の装置において、第1移動体を駆動させる第1駆動部と、第2移動体を駆動させる第2駆動部と、をさらに備え、制御部は、第1駆動部又は第2駆動部のどちらか一方を駆動させて第1移動体又は第2移動体の一方を他方に押し付け、第1検出部と第2検出部との間隔を一定に保持しながら第1移動体及び第2移動体を同時に移動させてもよい。
【0013】
本発明の装置において、電子部品を実装する実装ステージを含み、レールは、X方向に伸びる2本のリニアガイドであり、第1移動体は、実装ステージの上を渡るようにY方向に伸びて、両端がそれぞれ2本のリニアガイドにガイドされてX方向に移動する第1ガントリーフレームであり、第2移動体は、実装ステージの上を渡るように第1ガントリーフレームと平行にY方向に伸びて、両端がそれぞれ2本のリニアガイドにガイドされてX方向に移動する第2ガントリーフレームであり、スケールは、一方のリニアガイドに沿って配置され、第1検出部は、第1ガントリーフレームのスケールの側の端部に取り付けられ、第2検出部は、第2ガントリーフレームのスケールの側の端部に取り付けられてもよい。
【0014】
本発明の方法は、対象物に対して第1移動体及び第2移動体を直線移動させる方法であって、レールにガイドされて直線移動する第1移動体と、レールにガイドされ、直線移動する第2移動体と、レールに沿って配置され、移動方向に沿って所定ピッチで複数の目盛が設けられたスケールと、第1移動体に配置された第1検出部と、第2移動体に配置された第2検出部と、を備える装置を準備するステップと、第1検出部と第2検出部との間隔を一定に保持して第1移動体と第2移動体とをレールに沿って移動開始位置から移動終了位置まで移動させながら、逐次、第1検出部と第2検出部とで第1検出部が位置する第1目盛番号と第2検出部が位置する第2目盛番号とを検出する目盛番号検出ステップと、第1目盛番号と第2目盛番号との間の差に目盛のピッチを掛けて第1検出部と第2検出部とのスケール上の距離を算出し、算出したスケール上の距離に対する第1検出部と第2検出部の間隔の比としてスケールの位置補正係数を算出する位置補正係数算出ステップと、を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の方法において、装置は、第1移動体または第2移動体の基準位置からの距離を検出する距離検出器を備え、第1検出部と第2検出部との間隔を一定に保持し、距離検出器によって基準位置からの第1移動体または第2移動体の距離を検出しながら第1移動体および第2移動体を移動開始位置から移動終了位置まで移動させ、第1移動体及び第2移動体の移動開始位置におけるスケールの目盛番号と移動終了位置におけるスケールの目盛番号とを第1検出部又は第2検出部により検出し、検出した各目盛番号の差を目盛番号差として算出し、距離検出器によって検出した第1移動体または第2移動体の移動開始位置から移動終了位置までの距離に対する目盛番号差に目盛のピッチを掛けて求めた距離の比を位置補正係数に掛けて修正位置補正係数を算出する補正係数修正ステップと、算出した修正位置補正係数を用いてスケールで検出した移動距離を修正して第1移動体と第2移動体の移動量を制御する移動量制御ステップと、を含んでもよい。
【0016】
本発明の方法において、装置は、電子部品を実装する実装ステージと、上面に位置マークが設けられている2つのリファレンス部材と、第1移動体に取り付けられ、位置マークの画像を取得する第1画像取得手段と、第2移動体に取り付けられ、位置マークの画像を取得する第2画像取得手段と、を更に備え各リファレンス部材の各位置マークが第1移動体と第2移動体との移動方向に既知のリファレンス距離だけ離間するように各リファレンス部材を実装ステージの上に載置し、一の位置マークの画像が第1画像取得手段の光軸となる位置又は第2画像取得手段の光軸となる位置を移動開始位置とし、他の位置マークの画像が第1画像取得手段の光軸となる位置又は第2画像取得手段の光軸となる位置を移動終了位置とし、移動開始位置から移動終了位置まで第1移動体および第2移動体を移動させ、第1移動体および第2移動体の移動開始位置におけるスケールの目盛番号と、移動終了位置におけるスケールの目盛番号とを第1検出部又は第2検出部により検出し、検出した各目盛番号の差を目盛番号差として算出し、既知のリファレンス距離に対する目盛番号差に目盛のピッチを掛けて求めた距離の比を位置補正係数に掛けて修正位置補正係数を算出する補正係数修正ステップと、算出した修正位置補正係数を用いてスケールで検出した移動距離を修正して第1移動体と第2移動体の移動量を制御する移動量制御ステップと、を含んでもよい。
【0017】
本発明の方法において、位置補正係数算出ステップは、スケールの一端からの所定の目盛数毎の位置補正係数を算出してもよいし、位置補正係数算出ステップは、スケールの一端からの所定の目盛数毎の位置補正係数を算出し、補正係数修正ステップは、スケールの一端からの所定の目盛数毎の修正位置補正係数を算出してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、移動体の移動精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態における実装装置のシステムの構成を示す系統図である。
図2図1に示す実装装置におけるリニアスケールの位置補正係数の算出動作を示すフローチャートである。
図3図2に示す動作の際のリニアスケールに対する第1、第2ベースの位置の変化と、リニアスケールに対する位置補正係数の変化とを示すグラフである。
図4図1に示す実装装置におけるリニアスケールの位置補正係数の他の算出動作を示すフローチャートである。
図5】第1、第2ベースをリファレンス距離だけ移動させた際のリニアスケールと第1、第2ベースとリファレンス部材との関係を示す説明図である。
図6】他の実施形態のフリップチップボンディング装置の構成を示す斜視図である。
図7図6に示すフリップチップボンディング装置の平面図である。
図8図6に示すフリップチップボンディング装置のガントリーフレームとリニアスケールの配置を示す側面図である。
図9図6に示すフリップチップボンディング装置のガントリーフレームの構成を示す断面図である。
図10図6に示すフリップチップボンディング装置において、第1ガントリーフレームと第2ガントリーフレームを一次的に接続した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実装装置の構成>
以下、対象物に対して第1移動体及び第2移動体を直線移動させる装置として半導体ダイ15を基板19等に実装する実装装置70を例に説明する。図1に示すように、本実施形態の実装装置70は、半導体ダイ15を対象物である基板19または他の半導体ダイに実装するものである。実装装置70は、第1ボンディングヘッド13と第1画像取得手段である第1カメラ16とが取り付けられた第1移動体である第1ベース10と、第2ボンディングヘッド23と第2画像取得手段である第2カメラ26とが取り付けられた第2移動体である第2ベース20と、リニアスケール33と、制御部50と、レーザ距離検出器45と、対象物である基板19を吸着固定するボンディングステージ18とを備えている。実装装置70は、例えば半導体ダイ15を反転させた後に基板19に実装するフリップチップボンディング装置であるが、半導体ダイ15を反転させずに基板19に実装するダイボンディング装置であってもよい。
【0021】
第1ベース10、第2ベース20は、直線方向であるX方向に伸びる共通のガイドレール11にガイドされてX方向に直線移動する。また、第1ベース10、第2ベース20にはそれぞれ第1ベース10、第2ベース20をX方向に駆動する第1駆動部である第1リニアモータ12、第2駆動部である第2リニアモータ22が取り付けられている。
【0022】
第1ベース10に取り付けられた第1ボンディングヘッド13は、半導体ダイ15を真空吸着し基板19にボンディングする実装ツールである第1ボンディングツール14を上下方向であるZ方向に移動させるものである。図1の符号13zは、第1ボンディングヘッド13のZ方向の中心線を示す。第1カメラ16は、基板19を上方から撮像してその画像を取得するものである。図1の符号16zは第1カメラ16の光軸を示す。第1ボンディングヘッド13と第1カメラ16とは中心線13zと光軸16zがオフセット量ΔHだけX方向に離間するように第1ベース10に取り付けられている。同様に、第2ベース20に取り付けられた第2ボンディングヘッド23は、半導体ダイ15を真空吸着し基板19にボンディングする実装ツールである第2ボンディングツール24を上下方向であるZ方向に移動させるものである。図1の符号23zは、第2ボンディングヘッド23のZ方向の中心線を示す。第2カメラ26は、基板19を上方から撮像してその画像を取得するものである。図1の符号26zは第2カメラ26の光軸を示す。第2ボンディングヘッド23と第2カメラ26とは中心軸23zと光軸26zがオフセット量ΔHだけX方向に離間するように第2ベース20に取り付けられている。第1ベース10、第2ベース20は、第1、第2ボンディングツール14、24で吸着した半導体ダイ15を基板19に搬送する搬送機構である。
【0023】
第1ベース10の略中央には第1検出部である第1エンコーダヘッド17が取り付けられ、第2ベース20の略中央には第2検出部である第2エンコーダヘッド27が取り付けられている。図1の符号17a、27aはそれぞれ第1エンコーダヘッド17の中心線、第2エンコーダヘッド27の中心線を示す。
【0024】
第1エンコーダヘッド17と第2エンコーダヘッド27に対向する位置には、第1、第2ベース10、20の移動方向であるX方向に伸びる共通のリニアスケール33が配置されている。リニアスケール33は所定のピッチpで複数の目盛34が刻まれている。第1エンコーダヘッド17と第2エンコーダヘッド27とはこの目盛34を光学的に読み取って、リニアスケール33の上の目盛番号を検出するものである。
【0025】
ボンディングステージ18は、基板19を真空吸着するものである。
【0026】
レーザ距離検出器45は、ボンディングステージ18から離れた位置に配置され、レーザによって第1ベース10または第2ベース20のX方向の基準位置からの距離を検出するものである。レーザ距離検出器45は、実装装置70の温度変化によるリニアスケール33の長さの変化と関係なく、第1ベース10、第2ベース20のX方向の基準位置からの距離を検出することができる。
【0027】
図1に示すように、第1リニアモータ12、第2リニアモータ22、第1ボンディングヘッド13、第2ボンディングヘッド23は制御部50に接続され、制御部50の指令によって動作する。また、第1エンコーダヘッド17、第2エンコーダヘッド27は制御部50に接続され、検出したリニアスケール33の目盛番号のデータは、制御部50に入力される。また、第1カメラ16、第2カメラ26、レーザ距離検出器45も制御部50に接続され、第1カメラ16、第2カメラ26が撮像した画像、レーザ距離検出器45が検出した第1ベース10または第2ベース20のX方向の移動距離のデータは、制御部50に入力される。
【0028】
制御部50は、内部に情報処理を行うCPUと動作プログラム、データを格納したメモリとを含むコンピュータであり、第1ベース10および第2ベース20のX方向位置あるいは移動量を調整するものである。
【0029】
<実装装置の基本動作>
図1に示す実装装置70の基本動作について簡単に説明する。制御部50は第1カメラ16によって基板19のボンディング位置を示すマークを撮像し、撮像した画像を分析してボンディング中心の位置と光軸16zとの位置差Δcを検出する。そして、オフセット量ΔHとΔcの合計値分だけ第1リニアモータ12によって第1ベース10をX方向に移動させる。これによって第1ボンディングヘッド13の中心線13zをボンディング中心に合わせることができる。そして、制御部50は、第1ボンディングヘッド13によって第1ボンディングツール14を下降させて半導体ダイ15を基板19のボンディング位置にボンディングする。第2ボンディングヘッド23によって半導体ダイ15を基板19にボンディングする際の動作も同様である。
【0030】
<実装装置におけるリニアスケールの位置補正係数k(n)の算出動作(算出方法)>
次に、図2から図3を参照しながらリニアスケール33の位置補正係数k(n)の算出動作について説明する。リニアスケール33或いは第1ベース10あるいは第2ベース20が熱膨張すると、実装装置70の基準位置から所定の位置まで第1ベース10、第2ベース20を移動させる際に誤差が発生する場合がある。そこで、以下、リニアスケール33の位置補正係数の算出動作(算出方法)について説明する。
【0031】
図2のステップS101に示すように、制御部50は、nを1に初期設定する。そして制御部50は、第1ベース10を図3に示す左端の移動開始位置B(0)とする。次に、制御部50は、第2ベース20を左に移動させて第2ベース20の左端を第1ベース10の右端に当接させる。これにより、図3に示すように、第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとの間隔は、所定間隔aとなる。
【0032】
次に、制御部50は、移動方向(図3の右方向)の後側(図3の左側)に位置する第1リニアモータ12を右方向に駆動して第1ベース10をX方向右側に移動させる。この際、第1ベース10は第2ベース20を押し付けながらX方向右側に移動していくので、第2ベース20は第1ベース10と共にX方向右側に移動していく。また、第1ベース10と第2ベース20とは当接した状態に保持されるので、第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとの間隔は所定間隔aに保持される。そして、制御部50は、図2のステップS102、図3に示すように、第1エンコーダヘッド17の中心線17aをリニアスケール33の第1目盛番号B1(1)に合わせる。次に、制御部50は、図2のステップS103においてレーザ距離検出器45によってこの時の第1ベース10のX方向の位置を基準位置として検出する。
【0033】
次に、制御部50は、図2のステップS104に示すように、第2エンコーダヘッド27によって第2エンコーダヘッド27の中心線27aの位置するリニアスケール33の第2目盛番号B2(1)を読みとる。そして、制御部50は、図2のステップS105に進み、次の(式1)により、リニアスケール33の上の第2目盛番号B2(1)と第1目盛番号B1(1)との距離A(1)を算出する。距離A(1)は、リニアスケール33で検出した第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとの距離でもある。
A(1)=[B2(1)−B1(1)]×p ・・・・・(式1)
(式1)において、pはリニアスケール33の目盛34のピッチである。
【0034】
次に、制御部50は、図2のステップS106に進み、次の(式2)によってリニアスケール33の位置補正係数k(1)を算出する。位置補正係数k(1)は、第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとの間の所定間隔aと、リニアスケール33の上の第2目盛番号B2(1)と第1目盛番号B1(1)との距離A(1)との比率である。
k(1)=a/A(1) ・・・・・(式2)
図2のステップS105、S106は、補正係数算出ステップを構成する。
【0035】
次に制御部50は、図2のステップS107に進み、第1リニアモータ12によって第1ベース10をX方向に所定の目盛数ΔBだけ移動させ、第1エンコーダヘッド17の中心線17aを第2目盛番号B2(1)=B1(1)+ΔBに合わせる。この際、第2ベース20は、第1ベース10に当接した状態でX方向に移動するので、第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとの間隔は所定間隔aに保持される。
【0036】
そして、制御部50は、図2のステップS108に進んでB1(2)にB1(1)+ΔBを格納する。制御部50は、図2のステップS109でnがnendに到達したかどうかを判断し、nがnendに到達していない場合には、図2のステップS110に進んでnを1だけインクリメントしてn=n+1=2として図2のステップS104に戻る。ここで、nendは、第1ベース10が終了位置まで移動するまでに必要な移動回数であり、第1目盛番号B1(nend)は、第1ベース10が終了位置まで移動した際に第1エンコーダヘッド17の中心線17aが位置するリニアスケール33の目盛番号を示す。図2のステップS104、S107−S110は、目盛番号検出ステップを構成する。
【0037】
このように、制御部50は、リニアスケール33の所定の目盛数ΔBだけ、第1ベース10および第2ベース20をX方向に直線移動させ、第1エンコーダヘッド17と第2エンコーダヘッド27とによって、逐次、第1エンコーダヘッド17の中心線17aが位置するリニアスケール33の第1目盛番号B1(n)と、第2エンコーダヘッド27の中心線27aが位置するリニアスケール33の第2目盛番号B2(n)とを検出する。そして、制御部50は、第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとの間の所定間隔aと、リニアスケール33の上の第2目盛番号B2(n)と第1目盛番号B1(n)との距離A(n)との比率であるリニアスケール33の位置補正係数k(n)を算出する動作を繰り返す。このように、制御部50は、リニアスケール33の一端から所定の目盛数ΔB毎に位置補正係数k(n)を算出し、図3のグラフに示すように、リニアスケール33の各目盛番号B(n)におけるリニアスケール33の位置補正係数k(n)を算出することができる。
【0038】
今、リニアスケール33も第1ベース10、第2ベース20も常温で熱膨張がない場合、図3に示すように、n=1における第1目盛番号B1(1)=0、第2目盛番号B2(1)=10とすると、
A(1)=[B2(1)−B1(1)]×p=[10−0]×p
=10目盛×p=a
であり、k(1)=a/A(1)=1.0
となる。
【0039】
n=2の位置ではリニアスケール33が熱膨張しているが、第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとの所定間隔aは不変であるとする。この場合、リニアスケール33の目盛34のピッチpは、熱膨張により、p´(>p)となっている。n=2において第1エンコーダヘッド17の中心線17aを第1目盛番号B1(2)=20番に合わせると、第2目盛番号B2(2)と第1目盛番号B1(2)との間の目盛数は、熱膨張のない場合の10目盛よりも少ない目盛数、例えば、9目盛となる。このため、リニアスケール33の上の第2目盛番号B2(2)と第1目盛番号B1(2)との距離A(2)、或いは、リニアスケール33で検出した第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとの間の距離A(2)は、
A(2)=[B2(2)−B1(2)]×p
=9目盛×p
となる。一方、第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとの所定間隔aは不変であり、10目盛×pであるから、
k(2)=a/A(2)=(10目盛×p)/(9目盛×p)>1.0
となる。このように、リニアスケール33が熱膨張によって伸びていると、位置補正係数k(n)は、1.0より大きい数字となる。また、逆にリニアスケール33が常温よりも低い温度で、収縮している場合には、位置補正係数k(n)は、1.0よりも小さい数字となる。
【0040】
リニアスケール33が熱膨張していない場合に第1ベース10をX方向に所定の目盛数ΔBだけ移動させると、第1ベース10はΔB×pだけX方向に移動する。リニアスケール33が熱膨張または収縮していると第1ベース10の移動距離は、熱膨張或いは収縮を補正し、ΔB×p×k(n)となる。リニアスケール33が熱膨張している場合には、k(n)は、1.0よりも大きいので、第1ベース10、第2ベース20の移動距離は、ΔB×pよりも大きくなり、リニアスケール33が収縮している場合には、k(n)が1.0よりも小さくなるので、第1ベース10、第2ベース20の移動距離はΔB×pよりも小さくなる。また、第1ベース10の初期位置から終了位置までの移動距離は、ΔB×p×k(n)をn=1からnendまで積算したものとなる。
【0041】
nがnendに到達したら、制御部50は、図2のステップS111に進み、次の(式3)で第1ベース10の全移動距離Laを算出する。
La=Σ[ΔB×p×k(n)] ・・・・(式3)
【0042】
上記の(式3)で計算したLaは、第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとの所定間隔aが不変でリニアスケール33の熱膨張を考慮した場合の第1ベース10の全移動距離である。しかし、第1ベース10、第2ベース20の熱膨張により、所定間隔aも変化する。そこで、以下の様に、所定間隔aの熱膨張量を考慮して位置補正係数k(n)を修正する。
【0043】
制御部50は、図2のステップS112に進み、レーザ距離検出器45によって第1ベース10の終了位置を検出して図2のステップS113に進み、レーザ距離検出器45によって検出した第1ベース10の基準位置から終了位置までの移動距離Lcを算出する。
【0044】
制御部50は、図2のステップS114に進んで、下記の(式4)によって位置補正係数k(n)を修正してka(n)とする。
ka(n)=k(n)×[La/Lc] ・・・・・(式4)
【0045】
制御部50は、修正した位置補正係数ka(n)をメモリに格納する。修正した位置補正係数ka(n)は、図3に示すように、熱膨張による所定間隔aの変化を考慮したリニアスケール33の目盛番号B(n)に対するリニアスケール33の位置補正係数ka(n)の分布、あるいは、位置補正係数ka(n)のマップを示す。図2のステップS111からS114は、補正係数修正ステップを構成する。
【0046】
制御部50は、修正した位置補正係数ka(n)を用いて以下のように、リニアスケール33を用いて検出した第1エンコーダヘッド17の中心線17aの位置を補正する。第1エンコーダヘッド17で検出したリニアスケール33の目盛番号がB100で、B100=ΔB×m+jの場合、制御部50は、目盛番号0から第1エンコーダヘッド17の中心線17aまでの距離L100を、
L100=[ΣΔB×ka(n)×p](n=1〜m)+ka(m+1)×j×p
として算出し、第1ベース10の移動量或いは移動距離を制御する。
【0047】
つまり、制御部50は、補正なしの場合に、リニアスケール33で検出した目盛番号0から目盛番号B100までの第1エンコーダヘッド17の移動距離L100b=(ΔB×m+j)×pを、修正した位置補正係数ka(n)を用いて、距離L100=[ΣΔB×ka(n)×p](n=1〜m)+ka(m+1)×j×pに修正し(移動量修正ステップ)、第1エンコーダヘッド17が取り付けられている第1ベース10の移動量或いは移動距離を制御する(移動量制御ステップ)。同様に第2エンコーダヘッド27が取りつけられている第2ベース20の移動距離を修正して第2ベース20の移動距離を制御する。
【0048】
以上、説明したように、本実施形態の実装装置70は、第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとのX方向の間隔を所定間隔aに保持しながら所定の目盛数ΔBだけ第1ベース10および第2ベース20をX方向に直線移動させる、第1エンコーダヘッド17と第2エンコーダヘッド27により、逐次、目盛番号を検出してリニアスケール33の位置補正係数ka(n)のマップを作成し、作成した位置補正係数ka(n)のマップに基づいて第1、第2エンコーダヘッド17、27の移動距離を修正するので、第1、第2ボンディングヘッド13、23、第1、第2カメラ16、26の位置検出精度を向上させて電子部品の実装精度が低下することを抑制することができる。
【0049】
なお、本実施形態では、第1ベース10を第2ベース20に当接させて、第1リニアモータ12によって第1ベース10をX方向に駆動すると共に、第1ベース10が第2ベース20を押すことによって第1ベース10と第2ベース20とが当接した状態を保持したまま第2ベース20を第1ベース10と共にX方向に移動させて、第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとの間隔を所定間隔aに保持することとして説明したが、これに限らない。例えば、第1ベース10と第2ベース20とを接続部材で一時的に接続して第1エンコーダヘッド17の中心線17aと第2エンコーダヘッド27の中心線27aとの間隔を所定間隔aに保持するようにしてもよい。
【0050】
<実装装置におけるリニアスケールの位置補正係数k(n)の他の算出動作(算出方法)>
次に、図4図5を参照しながら、本実施形態の実装装置70のリニアスケールの位置補正係数k(n)の他の算出動作について説明する。図2図3を参照して説明した動作と同様の動作については、同様のステップ符号を付して説明は省略する。
【0051】
図3に示す動作は、第1ベース10および第2ベース20を所定の目盛数ΔBだけ移動させて第1、第2エンコーダヘッド17、27でリニアスケール33の移動目盛番号を検出して各位置補正係数k(n)を算出した後、レーザ距離検出器45によって第1ベース10の位置を検出しながら第1ベース10をリファレンス距離Lrだけ移動させた際の目盛数を検出し、この結果に基づいて位置補正係数k(n)を修正するものである。各位置補正係数k(n)を算出は、先に図2図3を参照して説明したのと同様なので、説明は省略する。
【0052】
制御部50は、図4のステップS101からS110を繰り返して実行してk(n)を算出したら、図4のステップS201に進む。
【0053】
制御部50は、図4のステップS201において、図5に示すように、第1ベース10を所定の第1位置(基準位置)に合わせる。そして、制御部50は、第1エンコーダヘッド17によって第1ベース10が第1位置にある時の第1エンコーダヘッド17が位置するリニアスケール33の目盛番号B(s)を検出する。また、制御部50は、レーザ距離検出器45によってレーザ距離検出器45から第1ベース10までの第1距離を検出する。次に、制御部50は、レーザ距離検出器45によって第1ベース10までの距離を検出しながら第1ベース10および第2ベース20を先に図2、3を参照して説明したと同様の方法でX方向にリファレンス距離Lrだけ移動させる。第1ベース10および第2ベース20がリファレンス距離Lrだけ移動し、第1ベース10が第2位置になったら、制御部50は、第1エンコーダヘッド17によって第2位置におけるリニアスケール33の目盛番号B(e)を検出する。制御部50は、第1位置の目盛番号B(s)と第2位置の目盛番号B(e)の差=(B(e)−B(s))からリファレンス距離Lrだけ第1ベース10が移動した際のリニアスケール33の目盛番号差NB=(B(e)−B(s))を算出する。
【0054】
制御部50は、目盛番号差NBを検出したら、図4のステップS202に進み、下記の(式5)によって位置補正係数k(n)を修正する。
ka(n)=k(n)×[NB×p]/Lr ・・・・・(式5)
【0055】
制御部50は、先に説明した実施形態と同様、修正した位置補正係数ka(n)を用いてリニアスケール33によって検出した第1エンコーダヘッド17の中心線17aの位置、または、第2エンコーダヘッド27の中心線27aの位置を補正する。また、リニアスケール33で検出した第1、第2エンコーダヘッド17、27の移動距離を修正した位置補正係数ka(n)を用いて修正し(移動量修正ステップ)、第1、第2エンコーダヘッド17、27が取り付けられている第1、第2ベース10、20の移動量或いは移動距離を制御する(移動量制御ステップ)。
【0056】
本動作は、先に図2図3を参照して説明した動作と同様、第1、第2ボンディングヘッド13、23、第1、第2カメラ16、26の位置検出精度を向上させて電子部品の実装精度が低下することを抑制することができる。なお、上記の説明では、第1エンコーダヘッド17によって第1ベース10が第1位置、第2位置にある際のリニアスケール33の目盛番号を検出することとして説明したが、第2エンコーダヘッド27によって第2ベース20が第1位置、第2位置にある際のリニアスケール33の目盛番号を検出してもよい。
【0057】
次に、図4のステップS201、S202の他の動作について説明する。
【0058】
本実施形態の実装装置70は、図5に示すように、位置マークMsが第1位置に配置されている第1リファレンス部材61と、位置マークMeが第2位置に配置されている第2リファレンス部材62を備えている。
【0059】
制御部50は、図4のステップS201において、第1カメラ16の光軸16zを第1リファレンス部材61の位置マークMsの位置に合わせ、第1エンコーダヘッド17によって第1位置におけるリニアスケール33の目盛番号B(s)を検出する。次に、制御部50は、第1カメラ16で画像を取得しながら、第1カメラ16の光軸16zが位置マークMeの位置に来るまで第1ベース10および第2ベース20を移動させる。そして、第1カメラ16の光軸16zが位置マークMeの第2位置に来たら、第1エンコーダヘッド17でリニアスケール33の目盛番号B(e)を検出する。そして、制御部50は、第1位置の目盛番号B(s)と第2位置の目盛番号B(e)の差=(B(e)−B(s))からリファレンス距離Lrだけ第1ベース10および第2ベース20が移動した際のリニアスケール33の目盛番号差NB=(B(e)−B(s))を算出する。
【0060】
制御部50は、先の動作と同様、目盛番号差NBを検出したら、図4のステップS202に進み、下記の(式5)によって位置補正係数k(n)を修正する。
ka(n)=k(n)×[NB×p]/Lr ・・・・・(式5)
【0061】
以上説明したように、先に説明した動作と同様、第1、第2ボンディングヘッド13、23、第1、第2カメラ16、26の位置検出精度を向上させて電子部品の実装精度が低下することを抑制することができる。なお、上記の説明では、第1エンコーダヘッド17によって第1ベース10が第1位置、第2位置にある際のリニアスケール33の目盛番号を検出することとして説明したが、第2エンコーダヘッド27によって第2ベース20が第1位置、第2位置にある際のリニアスケール33の目盛番号を検出してもよい。
【0062】
本実施形態は、先に説明した実施形態と同様の効果を奏する。
【0063】
以上説明した実施形態では、第1、第2カメラ16、26の光軸16z、26zを位置マークMs、Meに合わせることで第1、第2ベース10、20をリファレンス距離Lrだけ移動させることとして説明したが、以下のような方法で位置補正係数k(n)の修正を行ってもよい。
【0064】
第1カメラ16の視野に位置マークMsが入る位置に第1ベース10を移動させ、位置マークMsの画像を撮像し、第1カメラ16の光軸16zと位置マークMsとの距離d1を検出する。また、第1エンコーダヘッド17によってリニアスケール33の目盛番号B(s)を検出する。次に、第1カメラ16の視野に位置マークMeが入る位置まで第1ベース10を移動させ、第1カメラ16で位置マークMeの画像を検出し、第1カメラ16の光軸16zと位置マークMeとの距離d2を検出する。そして、リファレンス距離Lrに距離d1、d2を考慮した距離を近似リファレンス距離Lr1として取得する。また、第1エンコーダヘッド17によってリニアスケール33の目盛番号B(e)を検出する。
【0065】
そして、目盛番号差NB=(B(e)−B(s))と近似リファレンス距離Lr1とから、下記の(式6)によって位置補正係数k(n)を修正する。
ka(n)=k(n)×[NB×p]/Lr1 ・・・・・(式6)
【0066】
<他の実施形態の実装装置の構成>
次に、図6から図9を参照しながら、他の実装装置であるフリップチップボンディング装置200の構成について説明する。
【0067】
図6に示すように、本実施形態のフリップチップボンディング装置200は、主架台111と、主架台111の上に支持されてY方向に向かって平行に伸びる第1、第2ガントリーフレーム120A,120Bと、第1、第2ガントリーフレーム120A,120Bに支持される第1、第2実装ヘッド170A、170Bと、第1、第2ガントリーフレーム120A、120BをX方向に駆動する第1、第2X方向リニアモータ135A、135Bと、第1、第2実装ヘッド170A、170BをY方向に駆動する第1、第2Y方向リニアモータ155A、155Bと、主架台111と離間して配置された副架台180と、副架台180に取り付けられる第1、第2Y方向荷重受け154A、154Bと、を備えており、第1、第2Y方向リニアモータ155A,155Bの第1、第2Y方向固定子150A、150Bの一端と第1、第2Y方向荷重受け154A、154Bとは第1、第2接続部材153A、153Bで接続されている。なお、X方向、Y方向は水平面上で互いに直交する方向であり、本実施形態では、図1に示すように第1、第2ガントリーフレーム120A、120Bが伸びる方向をY方向、これと直交する方向をX方向、として説明する。また、Z方向は、XY面に垂直な上下方向である。
【0068】
図1に示す様に、主架台111は四角形状の平面を有する架台であり、その上面に実装ステージ110が取り付けられている。実装ステージ110はその上に半導体ダイを実装する基板19を真空吸着するものである。主架台111上面の対向する二辺の近傍には互いに並行に2本のリニアガイド112が取り付けられている。図6図8に示すように、リニアガイド112の上には第1、第2スライダ126A、126BがX方向に移動自在に取り付けられている。そして、2本のリニアガイド112の各スライダ126A、126Bの上には、それぞれ第1、第2ガントリーフレーム120A、120Bの第1、第2脚部123A、123Bが取り付けられている。つまり、第1、第2ガントリーフレーム120A、120Bは、主架台111の上を渡るようにY方向に伸び、両端の各脚部123A、123Bは各スライダ126A、126Bに取り付けられて主架台111に取り付けられたリニアガイド112によってX方向に移動自在に支持されている。
【0069】
また、本実施形態のフリップチップボンディング装置200は、図6に示すように、主架台111の周囲を囲むように、主架台111と離間した副架台180を備えている。副架台180は、柱181、182と、梁184によって構成されるフレームである。図6図8に示す様に、X方向に伸びる梁184の上には、第1、第2X方向リニアモータ135A、135BのX方向固定子130が取り付けられている。図8に示すように、X方向固定子130は、支持板131の上に永久磁石132が空間を空けて対向して配置されたものである。X方向固定子130の永久磁石132の間の空間には第1、第2X方向リニアモータ135A、135Bの第1、第2X方向可動子140A、140Bの第1、第2コイル142A、142Bが配置されている。第1、第2コイル142A、142Bは上側の第1、第2ベース板141A、141Bに固定され、第1、第2ベース板141A、141Bは、第1、第2ガントリーフレーム120A、120Bの第1、第2脚部123A、123Bから伸びる第1、第2アーム124A、124Bの先端に取り付けられた第1、第2平板125A、125Bにボルト等で固定されている。従って、各X方向リニアモータ135A、135Bの各X方向可動子140A、140Bは各ガントリーフレーム120A、120Bと共にX方向に移動する。
【0070】
図1に示すように、X方向固定子130には、第1、第2X方向可動子140A、140Bが取り付けられている。X方向固定子130の各X方向可動子140A、140Bが組み合わされる部分は、それぞれ第1、第2X方向リニアモータ135A、135Bを形成する。
【0071】
また、図6に示すように、主架台111の第1、第2X方向可動子140A、140B側の側面には、X方向に向かって直線状に伸びるリニアエンコーダ190のリニアスケール192が取り付けられており、第1、第2X方向可動子140A、140Bから主架台111の側に向かって伸びるL字形の第1、第2ラグ191A、191Bの先端にはリニアエンコーダ190の第1、第2エンコーダヘッド193A、193Bが取り付けられている。このように、第1、第2エンコーダヘッド193A、193Bは、第1、第2ガントリーフレーム120A、120Bのリニアスケール192の側の端部に取り付けられている。
【0072】
図6図9に示すように、第1、第2ガントリーフレーム120A、120Bには第1、第2実装ヘッド170A、170Bが支持されている。図9に示すように、第1、第2実装ヘッド170A、170Bには先端に第1、第2実装ツール173A、173Bが取り付けられた第1、第2シャフト172AをZ方向に上下動させるZ方向移動機構が格納されている。Z方向移動機構は第1、第2実装ツール173A、173Bを上下動させて、実装ステージ110に吸着固定された基板19の上に半導体ダイ15を押圧させる。第1、第2ガントリーフレーム120A、120Bの内部には空間が設けられており、内面の両側にはY方向に伸びる第1、第2リニアガイド127A、127Bが2本取り付けられている。各リニアガイド127A、127Bにはそれぞれ第1、第2スライダ175A、175Bが取り付けられ、各スライダ175A、175Bには各実装ヘッド170A、170Bのつり各下げ部材174A、174Bが取り付けられている。
【0073】
<実装装置におけるリニアスケールの位置補正係数k(n)の算出動作(算出方法)>
次に、図10図2から図3を参照しながらリニアスケール192の位置補正係数k(n)の算出動作について説明する。リニアスケール192が熱膨張すると、フリップチップボンディング装置200の基準位置から所定の位置まで第1、第2ガントリーフレーム120A、1202Bを移動させる際に誤差が発生する場合がある。そこで、以下、リニアスケール192の位置補正係数の算出動作(算出方法)について説明する。
【0074】
図10に示すように、第1ガントリーフレーム120Aを初期位置に設定し、第2ガントリーフレーム120Bを第1ガントリーフレーム120Aに隣接する位置までX方向に移動させる。そして、第1ガントリーフレーム120Aと第2ガントリーフレーム120Bとを接続部材122によって接続する。これにより、第1エンコーダヘッド193Aの中心と第2エンコーダヘッド193Bの中心との間隔は、図3に示す所定間隔aとなる。そして、制御部50は、図2のステップS101に示すように、nを1に初期設定する。
【0075】
次に、制御部50は、第1X方向リニアモータ135Aを駆動して第1、第2ガントリーフレーム120A、120BをX方向に移動させる。この際、第1、第2ガントリーフレーム120A、120Bは接続部材122で接続されているので、第1エンコーダヘッド193Aの中心と第2エンコーダヘッド193Bの中心との間隔は所定間隔aに保持される。そして、制御部50は、図2のステップS102、図3に示すように、第1エンコーダヘッド193Aの中心をリニアスケール192の第1目盛番号B1(1)に合わせる。次に、制御部50は、図2のステップS103においてレーザ距離検出器45によってこの時の第1ガントリーフレーム120AのX方向の位置を基準位置として検出する。
【0076】
先に、図2図3を参照して説明したのと同様、制御部50は、リニアスケール192の所定の目盛数ΔBだけ、第1、第2ガントリーフレーム120A、120BをX方向に直線移動させ、第1エンコーダヘッド193Aと第2エンコーダヘッド193Bとによって、逐次、第1エンコーダヘッド193Aの中心が位置するリニアスケール192の第1目盛番号B1(n)と、第2エンコーダヘッド193Bの中心が位置するリニアスケール192の第2目盛番号B2(n)とを検出する。そして、制御部50は、第1エンコーダヘッド193Aの中心と第2エンコーダヘッド193Bの中心との間の所定間隔aと、リニアスケール192で検出した第1エンコーダヘッド193Aの中心と第2エンコーダヘッド193Bの中心との間の距離A(n)との比率であるリニアスケール192の位置補正係数k(n)を算出する動作を繰り返す。これにより、図3のグラフとどうよう、リニアスケール192の各目盛番号B(n)におけるリニアスケール192の位置補正係数k(n)を算出することができる。
【0077】
また、制御部50は、先に図4図5を参照して説明したと同様、位置補正係数k(n)を修正して修正した位置補正係数をka(n)算出することができる。
【0078】
以上説明したように、本実施形態のフリップチップボンディング装置200は、第1エンコーダヘッド193Aの中心と第2エンコーダヘッド193Bの中心とのX方向の間隔を所定間隔aに保持しながら所定の目盛数ΔBだけ第1ガントリーフレーム120Aおよび第2ガントリーフレーム120BをX方向に直線移動させ、第1エンコーダヘッド193Aと第2エンコーダヘッド193Bにより、逐次、目盛番号を検出してリニアスケール192の位置補正係数ka(n)のマップを作成し、作成した位置補正係数ka(n)のマップに基づいて各エンコーダヘッド193A、193Bの位置を修正するので、実装ヘッド170A、170Bの位置検出精度を向上させて電子部品の実装精度が低下することを抑制することができる。
【0079】
以上説明した実施形態では、第1ガントリーフレーム120Aと第2ガントリーフレーム120Bとを接続部材122で接続して第1エンコーダヘッド193Aの中心と第2エンコーダヘッド193Bの中心とのX方向の間隔を所定間隔aに保持することとして説明したが、先に、図2図3を参照して説明した実施形態のように、第1ガントリーフレーム120Aと第2ガントリーフレーム120Bとを当接させて第1エンコーダヘッド193Aの中心と第2エンコーダヘッド193Bの中心とのX方向の間隔を所定間隔aに保持するようにしてもよい。
【0080】
実装装置70、フリップチップボンディング装置200を例として本発明の実施形態を説明したが、本発明は、フリップチップボンディング装置あるいはダイボンディング装置に限らず、さまざまな装置に適用することが可能である。例えば、ワイヤボンディング装置、工業用ロボット、搬送装置に適用することができる。搬送又は実装する対象物、対象物の大きさ、対象物の技術分野に限らず、あらゆる装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0081】
10、20 ベース、11 ガイドレール、12、22 リニアモータ、13、23 ボンディングヘッド、13z、23z、17a、27a 中心線、14、24 ボンディングツール、15 半導体ダイ、16、26 カメラ、16z、26z 光軸、17、27 エンコーダヘッド、18 ボンディングステージ、19 基板、33、192 リニアスケール、34 目盛、45 レーザ距離検出器、50 制御部、61、62 リファレンス部材、70 実装装置、110 実装ステージ、111 主架台、120A、120B ガントリーフレーム、122、153A、153B 接続部材、123A、123B 脚部、124A、124B アーム、125A、125B 平板、126A、126B スライダ、112、127A、127B リニアガイド、130 X方向固定子、131 支持板、132 永久磁石、135A、135B X方向リニアモータ、140A、140B X方向可動子、141A、141B ベース板、142A、142B コイル、150A、150B Y方向固定子、155A、155B Y方向リニアモータ、170A、170B 実装ヘッド、172A、172B シャフト、173A、173B 実装ツール、175A、175B スライダ、180 副架台、181、182 柱、184 梁、190 リニアエンコーダ、191A、190B ラグ、193A、193B エンコーダヘッド、200 フリップチップボンディング装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10