(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6952370
(24)【登録日】2021年9月30日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】デキストランシェルコア構造を有する担体材料およびその調製ならびに適用
(51)【国際特許分類】
C08B 37/02 20060101AFI20211011BHJP
A23L 29/212 20160101ALI20211011BHJP
【FI】
C08B37/02
A23L29/212
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-566164(P2019-566164)
(86)(22)【出願日】2018年2月8日
(65)【公表番号】特表2020-521856(P2020-521856A)
(43)【公表日】2020年7月27日
(86)【国際出願番号】CN2018075794
(87)【国際公開番号】WO2019153178
(87)【国際公開日】20190815
【審査請求日】2019年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】514262886
【氏名又は名称】江南大学
【氏名又は名称原語表記】JIANGNAN UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】繆銘
(72)【発明者】
【氏名】江波
(72)【発明者】
【氏名】齊陽
(72)【発明者】
【氏名】金征宇
(72)【発明者】
【氏名】陳▲チン▼
(72)【発明者】
【氏名】張涛
【審査官】
水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−311103(JP,A)
【文献】
国際公開第02/006507(WO,A1)
【文献】
特開平08−134104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デキストランシェルコア構造を有する担体材料の調製方法であって、
グリコシルトランスフェラーゼを用いて、グリコシル基をα−1,4グリコシド結合で、球状超分岐水溶性澱粉粒子の外表面でグラフト鎖延長して調製され、
前記調製は、
(1)水溶性澱粉粒子を緩衝液に溶解して、質量濃度が0.5〜3.0%の均一な溶液に調製するステップと、
(2)水溶性澱粉粒子1gあたり1.5〜5gのグルコース−1−リン酸塩と10〜180Uのグリコシルトランスフェラーゼの比率に応じて、グルコース−1−リン酸塩およびグリコシルトランスフェラーゼを加え、均一に撹拌し、温度が35〜40℃、pHが6.5〜7.5の条件で3〜24時間定温反応させるステップと、
(3)加熱して酵素を失活させ、遠心分離し、得られた沈殿物を真空で乾燥させ、デキストランシェルコア構造を有する担体材料を得るステップと、
を含む、
ことを特徴とする、デキストランシェルコア構造を有する担体材料の調製方法。
【請求項2】
前記水溶性澱粉粒子は、107〜108g/molの分子量、7%〜10%のα−1,6グリコシド結合の比率、および30〜100nmの平均粒子直径を有する、ことを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記球状超分岐水溶性澱粉粒子は、天然植物の球状超分岐澱粉顆粒、動物のカキグリコーゲン、または生物工学的合成ポリマー球状多糖に由来する、ことを特徴とする、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記球状超分岐水溶性澱粉粒子は、スイートタイプの可溶性トウモロコシデキストランに由来する、ことを特徴とする、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法によりデキストランシェルコア構造を有する担体材料を調製する過程で、反応系に機能性成分を加える、ことを特徴とする、
機能性成分が埋め込まれた複合体の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デキストランシェルコア構造を有する担体材料およびその調製ならびに適用に関し、現代の食品加工の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
社会科学技術と経済の発展、ライフスタイルの変化、および環境の悪化に伴い、中国の疾患の範囲は変化し、糖尿病、高血圧、肥満などの慢性疾患の数は劇的に増加し、亜健康状態の人口もますます増えている。同時に、医療に対する人々の意識もますます強くなり、医療の概念は病気になった後の治療から予防的な医療に変化している。健康的なライフスタイル、および食事栄養などの手段による慢性疾患の予防はますます重要になっている。
【0003】
機能性食品は、その顕著な生理学的機能により、消費者の食事における慢性疾患の発生を予防または軽減するための重要な方法になる。しかし、多くの天然の有効成分は、融点が高く、水溶性が低く、光分解しやすく、酸化分解しやすく、人体で消化および吸収しにくいため、生物活性物質の利用率を高める有効な有効成分送達システムの設計は、該分野の研究焦点となっている。現在、Roche Pharmaceuticals、DSM、BASFなどの外国の主要な天然栄養物の製造サプライヤーは、天然栄養物のマイクロカプセルおよびエマルジョン保護技術を開発し、かつ大規模な生産と販売になっている。これに基づいて、本発明は、脂溶性成分の溶解性および生物学的利用率を改善するための処理方法に関する詳細な研究を行った。
【0004】
今日、環境保護、および資源節約は、世界のすべての国で持続可能な開発を達成するための基本戦略となっている。資源の世界的な供給が不足し、環境問題はますます顕著になり、そして低炭素経済発展への需要はますます強くなり、再生可能資源を原料とするバイオ担体材料は急速に開発され、広く使用されるに違いない。高分子材料から変換されたバイオ担体材料は、国際的な戦略的新興産業として使用される。現在、薬学分野でのタンパク質生体高分子の適用は急速に発展し、例えば、Yeonhee Yundらは、経口標的タンパク質ナノ粒子薬物担体を発見した。しかし、このような薬物担体は、胃腸の安定性が比較的低く、変質しやすく、吸収されにくく、それらの生物学的利用能に影響を与える。しかしながら、澱粉ベースの材料を使用する担体材料の中で、例えば、Zhang Genyi、Yang Yingらは、CN101293998に水溶性ナノ機能性脂肪酸複合体担体の調製方法を開示した。しかし、得られた担体複合体は、収率が低く、原料の損失が大きく、かつ、製造プロセスが複雑である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記問題を解決するために、本発明は、機能性栄養成分を埋め込むことができるデキストランシェルコア構造を有する担体材料およびその加工方法を提供する。本発明は可溶性澱粉粒子を採用し、バイオテクノロジーにより変性されて、特別な「核空洞アモルファスフォーム、外殻層結晶状態」を持つシェルコア構造を形成し、このプロセスでは、栄養因子は「つるの絡み合い」の方法で伝達される。本発明のデキストランシェルコア構造を有する担体材料は、機能的有効成分の生物学的安定性、生物学的使用および持続放出の有効性を改善できる。本発明の加工方法は、製造プロセスがシンプルであり、収率が高く、技術が高度であり、安全性が高く、機能性栄養成分の輸送および放出を保護および調節できるなどの特徴を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一目的は、機能性栄養成分を埋め込むことができるデキストランシェルコア構造を有する担体材料を提供することであり、前記デキストランシェルコア構造を有する担体材料は、トランスフェラーゼを用いて、グリコシル基をα−1,4グリコシド結合で、球状超分岐水溶性澱粉粒子の外表面でグラフト鎖延長して得られる。
【0007】
1つの実施形態において、前記水溶性澱粉粒子は、10
7〜10
8g/molの分子量、7%〜10%のα−1,6グリコシド結合の比率、および30〜100nmの平均粒子直径を有する。
【0008】
1つの実施形態において、前記球状超分岐水溶性澱粉粒子は、天然植物の球状超分岐澱粉顆粒、動物のカキグリコーゲン、または生物工学的合成ポリマー球状多糖などに由来することができる。
【0009】
1つの実施形態において、前記球状超分岐水溶性澱粉粒子は、スイートタイプの可溶性トウモロコシデキストランに由来する。
【0010】
1つの実施形態において、前記グリコシルトランスフェラーゼは、グリコーゲンホスホリラーゼまたはα−グルコースホスホリラーゼなどを採用することができる。
【0011】
1つの実施形態において、埋め込まれた機能性栄養成分は、リノール酸、リノレン酸、Q10などを含む。
【0012】
1つの実施形態において、前記グラフト鎖延長反応システムは、機能性成分をさらに含む。
【0013】
1つの実施形態において、前記デキストランシェルコア構造を有する担体材料の調製は、まず、水溶性澱粉粒子を溶液に調製し、続いて、グルコース分子を提供するドナー分子およびグリコシルトランスフェラーゼを含むシステムで反応させ、反応後、酵素不活性化、遠心分離、および乾燥沈殿によって、デキストランシェルコア構造を有する担体材料を得る。
【0014】
1つの実施形態において、前記グルコース分子を提供するドナー分子と水溶性澱粉粒子の質量比は、1.5:1〜5:1である。
【0015】
1つの実施形態において、グルコース分子を提供するドナー分子はグルコース−1−リン酸塩である。
【0016】
1つの実施形態において、前記グルコース−1−リン酸塩は、ナトリウム塩またはカリウム塩から選択することができる。
【0017】
1つの実施形態において、前記デキストランシェルコア構造を有する担体材料の調製は、スイートタイプの可溶性トウモロコシデキストランを主原料として、グリコシルトランスフェラーゼを用いて球状超分岐トウモロコシデキストランをグラフト鎖延長させ、さらに、「核空洞アモルファスフォーム、外殻層結晶状態」を持つデキストランシェルコア構造の担体材料を形成する。
【0018】
1つの実施形態において、前記調製の具体的な加工ステップは、以下のとおりである、
(1)水溶性澱粉粒子を緩衝液に溶解して、質量濃度が0.5〜3.0%の均一な溶液を調製する、
(2)水溶性澱粉粒子1gあたり1.5〜5gのグルコース−1−リン酸塩と10〜180Uのグリコシルトランスフェラーゼの比率に応じて、グルコース−1−リン酸塩およびグリコシルトランスフェラーゼを加え、均一に撹拌し、温度が35〜40℃、pHが6.5〜7.5の条件で3〜24時間恒温反応する、
(3)加熱して酵素を失活させ、遠心分離し、得られた沈殿物を真空で乾燥させると、デキストランシェルコア構造を有する担体材料を得る。
【0019】
1つの実施形態において、前記緩衝液はTris−HCl緩衝液であり、好ましくは、50mmol/L、pH7.0の緩衝液である。
【0020】
本発明の第二目的は、機能性成分が埋め込まれた複合体を提供することであり、前記複合体は、上記デキストランシェルコア構造を有する担体材料の形成中に反応系に機能性成分を加えて得られる。
【0021】
1つの実施形態において、前記機能性成分は、リノール酸、リノレン酸、Q10などの栄養成分であってもよい。
【0022】
本発明の第三目的は、デキストランシェルコア構造を有する上記担体材料を含むバイオ担体材料を提供することである。
【0023】
本発明の第四目的は、デキストランシェルコア構造を有する前記担体材料の担体への適用を提供することである。
【0024】
1つの実施形態において、前記担体が担持する対象は、薬物または機能性栄養成分である。
【0025】
本発明の第五目的は、食品、医薬品、日常化学物質などの分野でのデキストランシェルコア構造を有する担体材料の使用を提供することであり、機能因子標的制御放出、ナノ粒子埋め込みなどが含まれるが、これらに限定されない。
【発明の効果】
【0026】
本発明の利点および効果
本発明は、原料として球状超分岐水溶性澱粉粒子を採用し、酵素グラフト鎖延長プロセスを採用し、水溶性デキストラン分子の表面を、緻密な結晶構造を有する固体シェル構造に改変して形成され、それを、「核空洞アモルファスフォーム、外殻層結晶状態」を持つデキストランシェルコア構造を有する担体材料を形成させ、それは、以下の利点を有する、
(1)本発明で使用される球状超分岐水溶性澱粉粒子は、中国の資源が豊富な穀物原料を十分に利用でき、原料の供給源が広く、原産地および季節によって制限されず、かつ、原料は生分解性であり、環境に優しく、特に、優れた生体適合性を持つ天然のトウモロコシ多糖であり、医療分野での使用により適している。
(2)本発明のステップは簡単であり、操作しやすく、反応条件が制御可能であり、コストが比較的低く、かつ、クリーンかつ環境に優しい生産プロセスを採用し、環境を実質的に汚染しない。
(3)本発明により調製された製品は、機能性栄養成分を効果的に保護、輸送および放出する。食品、医薬品、および機能性因子標的放出、ナノ粒子埋め込みなどの日常化学物質などの多くの分野に適用でき、市場の見通しは非常に有望であり、経済的利益は広範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は「シェルコア構造」を有する担体材料、担体材料−栄養因子複合体の概略図である。
【
図2】
図2は生澱粉粒子と「シェルコア構造」を有する担体材料のX線回折パターンの結果である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の特許をより良く実現するために、生物学的安定性は、その酸化速度POV(過酸化物値)を測定することにより特徴付けられ、チオシアン酸カリウムPOVの測定方法が適用される。その式は、
【数1】
式中、cおよびc
0は、テストサンプルおよびサンプルブランク中の鉄の質量であり、mはCLAの質量であり、2は変換係数であり、55.84は鉄の相対原子質量である。このうち、純粋な栄養因子の酸化程度を対照として、純粋な栄養因子と対照する過酸化物の量および担体材料−栄養因子複合体材料中の過酸化物の量(POV)の最大値を計算および比較する。ここで、POVは脂肪酸化後に得られた第一段階製品中の過酸化物の量である。酸化環境で少量の過酸化物が小分子に分解し続けることを否定できないため、安定性は次のように特徴付けられ、
安定性≦(100−100gのCLA酸化により生成された過酸化物の量の最大値)/100×100%
【0029】
細胞実験:腸細胞実験は担体複合体に対して実施された。100μLの担体材料−栄養因子複合体溶液を細胞培養液に添加し、2mMの過酸化水素を2時間添加することにより細胞を刺激し、細胞をさらに4時間培養した。細胞生存率は、MTTアッセイによって測定された。
【実施例】
【0030】
以下、実施例と結び付けて本発明の内容をさらに詳細に説明するが、本発明に保護される内容は、下記の実施例に限定されない。
【0031】
実施例1
水溶性澱粉粒子1gを秤量し、Tris−HCl緩衝液(50mmol/L、pH7.0)に溶解して、質量濃度が0.5%の均一な溶液を調製した。1.5gのグルコース−1−リン酸塩および40Uのグリコシルトランスフェラーゼをさらに加え、均一に撹拌し、40℃の一定温度およびpH7.0で12時間反応させた。加熱して酵素を不活性化させ、遠心分離し、得られた沈殿物を真空で乾燥させ、デキストランシェルコア構造を有する担体材料を得た。
【0032】
図1に示すとおり、aは球状超分岐水溶性澱粉粒子を表し、bは澱粉粒子のバイオ技術による改質、グラフト鎖延長の初期段階を示す。すなわち、グリコシルトランスフェラーゼがα−1,4グリコシド結合によりグルコース基を順に球状澱粉粒子の非還元端に結合する。cは、澱粉粒子のバイオ技術による改質、グラフト鎖延長の後期段階を示す。すなわち、グラフト化によって形成された線形構造が球状澱粉粒子の外表面に絡み合って架橋され、二重らせん構造が部分的な位置に形成され、堆積および蓄積により、さらに「核空洞アモルファスフォーム、外殻層結晶状態」のコア構造を形成する。dは、「つる絡み合い」方法によって得られた担体材料および栄養因子複合体を表し、グラフト鎖延長によって生成された線形の単一らせんは、内部の疎水性および外部の親水性により、栄養因子と疎水性相互作用でカプセル化して担体材料および栄養因子複合体を形成することができる。
【0033】
図2は元の澱粉粒子と「シェルコア構造」を有する担体材料のX線回折パターンの結果である。結果は、アモルファスから特定の結晶構造への変化を示す。
【0034】
【表1】
【0035】
実施例2
水溶性澱粉粒子1gを秤量し、Tris−HCl緩衝液(50mmol/L、pH7.0)に溶解して、質量濃度が1%の均一な溶液を調製した。2.5gのグルコース−1−リン酸塩および60Uのグリコシルトランスフェラーゼをさらに加え、均一に撹拌し、40℃の一定温度およびpH7.0で18時間反応させた。加熱して酵素を不活性化させ、遠心分離し、得られた沈殿物を真空で乾燥させ、デキストランシェルコア構造を有する担体材料を得た。
【0036】
実施例3
水溶性澱粉粒子1gを秤量し、Tris−HCl緩衝液(50mmol/L、pH7.0)に溶解して、質量濃度が1.5%の均一な溶液を調製した。5.0gのグルコース−1−リン酸塩および100Uのグリコシルトランスフェラーゼをさらに加え、均一に撹拌し、40℃の一定温度およびpH7.0で24時間反応させた。加熱して酵素を不活性化させ、遠心分離し、得られた沈殿物を真空で乾燥させ、デキストランシェルコア構造を有する担体材料を得た。
【0037】
実施例4−デキストランシェルコア構造を有する担体材料の適用
実施例1〜3により調製されたデキストランシェルコア構造を有する担体材料を、機能性共役リノール酸を担持するために使用する。具体的なテスト方法は、以下のとおりである、
澱粉粒子のグラフト鎖延長の反応では、栄養因子を加え、すなわち1gの澱粉粒子を緩衝液に溶解し、5.0gのグルコース−1−リン酸塩、100Uの酵素、少量のエタノールに溶解した10mgの栄養因子共役リノール酸を連続的に加えて混合し、均一に撹拌し、40℃の一定温度、pH7.0で24時間反応させた。グラフト鎖延長を完成してシェルコア構造を形成し、構造には、疎水性を有する単一らせん空洞が含まれるため、栄養因子をカプセル化し、複合体をさらに形成した。生成物の形成は、15%の塩化ナトリウム溶液を加えることで加速され、遠心分離、50%のアルコール洗浄および乾燥によって、担体複合体を得ることができた。
【0038】
【表2】
【0039】
ここで、比較例1は、対照群、すなわち栄養因子−共役リノール酸である。比較例2の実施方法は、アミロースを90℃のジメチルスルホキシド溶液に溶解し、30℃に冷却させた。これを同じ温度で共役リノール酸を含むジメチルスルホキシドと混合して、単一らせん−栄養因子のカプセル化を完了した。生成物は、同じ温度で脱イオン水と15%塩化ナトリウム溶液の20倍の体積を加えることで加速され、遠心分離、50%アルコール洗浄、乾燥によって、担体材料−栄養因子複合体を得た。
【0040】
実施例5−デキストランシェルコア構造の担体材料の適用
実施例3により調製されたデキストランシェルコア構造を有する担体材料を、機能性活性物質コエンザイムQ10を担持するために使用する。
【0041】
具体的なテスト方法は、以下のとおりである、
澱粉粒子のグラフト鎖延長の反応中に、栄養因子を加え、すなわち1gの澱粉粒子を緩衝液に溶解し、10.0gのグルコース−1−リン酸、100Uの酵素、少量のエタノールに溶解した10mgの栄養因子コエンザイムQ10を連続的に加えて混合し、均一に撹拌し、40℃の一定温度、pH7.0で24時間反応させた。グラフト鎖延長を完成してシェルコア構造を形成し、構造には、疎水性を有する単一らせん空洞が含まれるため、栄養因子をカプセル化し、複合体をさらに形成することができた。生成物の形成は、15%の塩化ナトリウム溶液を加えることで加速され、遠心分離、50%のアルコール洗浄および乾燥によって、担体複合体を得ることができた。
【0042】
【表3】