(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6952372
(24)【登録日】2021年9月30日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】リニアレール装置及び該リニアレール装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
B60L 13/03 20060101AFI20211011BHJP
【FI】
B60L13/03 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-62183(P2020-62183)
(22)【出願日】2020年3月31日
(65)【公開番号】特開2021-90335(P2021-90335A)
(43)【公開日】2021年6月10日
【審査請求日】2020年3月31日
(31)【優先権主張番号】108144357
(32)【優先日】2019年12月4日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】518435873
【氏名又は名称】東佑達自動化科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】曾 坤成
(72)【発明者】
【氏名】陳 向緯
(72)【発明者】
【氏名】陳 重儒
【審査官】
今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3220212(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 13/00−13/10
H02K 41/00−41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リニアレールと、スライディングブロックと、駆動手段と、を備えたリニアレール装置であって、
前記リニアレールは、所定の軸線方向に沿って延伸すると共に、互いに向かい合う一対の側壁面と、前記一対の側壁面にそれぞれ接すると共に、該一対の側壁面と略直交する下板面と、を有するように形成されており、
前記スライディングブロックは、上面と前記上面の反対側にある下面とを有する台座部と、前記リニアレールが有する前記一対の側壁面に対応して、前記台座部の前記下面からそれぞれ突起し、且つ、前記軸線方向に沿って延伸する一対の突起部と、前記一対の突起部の間に介在するように前記台座部の前記下面に取り付けられている一対のストッパーと、を有する上、前記台座部の前記下面と前記一対の突起部と前記一対のストッパーとの間に、前記リニアレールの前記下板面に向かって開口する収容空間が画成されており、
前記駆動手段は、前記軸線方向に沿って延伸するように前記リニアレールの前記下板面に取りつけられている固定板と、前記収容空間内に収容されるように前記スライディングブロックに固定されている可動部とを有し、前記可動部が前記固定板に対して軸線方向に沿って移動することにより、前記スライディングブロックを駆動するように構成されており、
更に、前記収容空間内に、前記駆動手段の前記可動部の周面と前記収容空間を画成する前記一対の突起部及び前記一対のストッパーとの間にある隙間に、熱伝導ゲルが充満されており、
前記リニアレールの前記一対の側壁面には、それぞれ前記軸線方向に沿って延伸すると共に、互いに向かい合って開口する第1の案内溝が凹設されており、
前記スライディングブロックの前記一対の突起部には、いずれも前記軸線方向に沿って該突起部を貫通するボール収容孔と、それぞれいずれか1つの前記側壁面に凹設された前記第1の案内溝と向かい合って開口し、前記軸線方向に沿って延伸するボール通路を共に画成する第2の案内溝と、が形成されており、
更に、該リニアレール装置は、各前記ボール収容孔の対応する前記突起部を貫通する開口にそれぞれ取り付けられた案内ユニットと、各前記ボール収容孔にそれぞれ収容される複数のボールからなるボールセットとを有するボール手段を備え、
各前記案内ユニットは、いずれも対応する前記ボール収容孔及び該対応する前記ボール収容孔が形成される前記突起部に形成される前記第2の案内溝により画成される前記ボール通路と共に、前記ボールセットが通過可能なボール通過路を画成し、
更に、前記突起部が前記台座部から突起する高さ方向において、前記ボール収容孔と前記第1の案内溝と前記第2の案内溝とは、同一の高さレベルに形成されていると共に、該高さレベルの位置は、該高さレベルから前記台座部の前記下面の高さまでの第1の距離が、該高さレベルから前記突起部が前記台座部から延伸する先端の高さまでの第2の距離より長いという条件を満足することを特徴とするリニアレール装置。
【請求項2】
前記熱伝導ゲルとして、高熱伝導性エポキシ樹脂が使用されていることを特徴とする請求項1に記載のリニアレール装置。
【請求項3】
前記スライディングブロックが有する前記一対の突起部の前記収容空間に臨む面が平面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のリニアレール装置。
【請求項4】
前記スライディングブロックが有する前記一対の突起部の前記収容空間に臨む面が凹凸面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のリニアレール装置。
【請求項5】
上面と前記上面の反対側にある下面とを有する台座部と、前記台座部の前記下面からそれぞれ突起し、且つ、所定の軸線方向に沿って延伸する一対の突起部と、前記一対の突起部の間に介在するように前記台座部の前記下面に取り付けられている一対のストッパーと、を有する上、前記台座部の前記下面と前記一対の突起部と前記一対のストッパーとの間に、前記下面が面する方向に向かって開口する収容空間が画成されている上、
前記一対の突起部には、いずれも前記軸線方向に沿って該突起部を貫通するボール収容孔が形成され、
前記突起部が前記台座部から突起する高さ方向において、前記ボール収容孔は、所定の高さレベルに形成されていると共に、該高さレベルの位置は、該高さレベルから前記台座部の前記下面の高さまでの第1の距離が、該高さレベルから前記突起部が前記台座部から延伸する先端の高さまでの第2の距離より長いという条件を満足するスライディングブロックと、を用意し、
前記収容空間内に、所定の固定板に対して相対移動可能な可動部を固定し、
前記収容空間内に、前記可動部の周面と前記収容空間を画成する前記一対の突起部及び前記一対のストッパーとの間にある隙間を充満するように、液状の熱伝導ゲルを注入して固化させることを特徴とするリニアレール装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリニアレール装置及び該リニアレール装置の製造方法に関し、特に、リニアモーターを用いたリニアレール装置及び該リニアレール装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モーターを用いた従来のリニアレール装置の一例が記載されている。該従来のリニアレール装置は、レールユニットと、該レールユニットに沿って移動可能に取り付けられたスライディングユニットと、該レールユニットと該スライディングユニットの間に介在するベアリングボールと、該スライディングユニットを駆動するリニアモーターとを有している。
【0003】
このリニアモーターは、レールユニットに配置された複数の固定電磁石を有する固定板と、スライディングユニットに配置された可動電磁石を有する可動部とからなり、固定板が有するレールユニットに配置された複数の固定電磁石の磁極変化を繰り返して制御することにより、可動電磁石が配置されたスライディングユニットをレールユニットに対して移動するように駆動力を提供する構成になっている。
【0004】
一方、スライディングユニットの移動スピードや積載重量を上げるためには、可動電磁石に供給する電流を上げる必要が生じるが、このために可動電磁石の温度も高くなり、電磁石としての稼働効率が高温のために下がってしまう問題点がある。
【0005】
このため、いかに体積や重量を増やさずに、可動電磁石周りの放熱効果を高めることは、重要な課題の一つである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】台湾実用新案登録第M489035号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明は、全体の体積を増やさずに可動電磁石周りの放熱効果を高めることができるリニアレール装置及び該リニアレール装置の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、本発明は、リニアレールと、スライディングブロックと、駆動手段と、を備えたリニアレール装置であって、
前記リニアレールは、所定の軸線方向に沿って延伸すると共に、互いに向かい合う一対の側壁面と、前記一対の側壁面にそれぞれ接すると共に、該一対の側壁面と略直交する下板面と、を有するように形成されており、
前記スライディングブロックは、上面と前記上面の反対側にある下面とを有する台座部と、前記リニアレールが有する前記一対の側壁面に対応して、前記台座部の前記下面からそれぞれ突起し、且つ、前記軸線方向に沿って延伸する一対の突起部と、前記一対の突起部の間に介在するように前記台座部の前記下面に取り付けられている一対のストッパーと、を有する上、前記台座部の前記下面と前記一対の突起部と前記一対のストッパーとの間に、前記リニアレールの前記下板面に向かって開口する収容空間が画成されており、
前記駆動手段は、前記軸線方向に沿って延伸するように前記リニアレールの前記下板面に取りつけられている固定板と、前記収容空間内に収容されるように前記スライディングブロックに固定されている可動部とを有し、前記可動部が前記固定板に対して軸線方向に沿って移動することにより、前記スライディングブロックを駆動するように構成されており、
更に、前記収容空間内に、前記駆動手段の前記可動部の周面と前記収容空間を画成する前記一対の突起部及び前記一対のストッパーとの間にある隙間に、熱伝導ゲルが充満されていることを特徴とするリニアレール装置を提供する。
【0009】
また、本発明は上面と前記上面の反対側にある下面とを有する台座部と、前記台座部の前記下面からそれぞれ突起し、且つ、所定の軸線方向に沿って延伸する一対の突起部と、前記一対の突起部の間に介在するように前記台座部の前記下面に取り付けられている一対のストッパーと、を有する上、前記台座部の前記下面と前記一対の突起部と前記一対のストッパーとの間に、前記下面が面する方向に向かって開口する収容空間が画成されている上、
前記一対の突起部には、いずれも前記軸線方向に沿って該突起部を貫通するボール収容孔が形成され、
前記突起部が前記台座部から突起する高さ方向において、前記ボール収容孔は、所定の高さレベルに形成されていると共に、該高さレベルの位置は、該高さレベルから前記台座部の前記下面の高さまでの第1の距離が、該高さレベルから前記突起部が前記台座部から延伸する先端の高さまでの第2の距離より長いという条件を満足するスライディングブロックと、を用意し、
前記収容空間内に、所定の固定板に対して相対移動可能な可動部を固定し、
前記収容空間内に、前記可動部の周面と前記収容空間を画成する前記一対の突起部及び前記一対のストッパーとの間にある隙間を充満するように、液状の熱伝導ゲルを注入して固化させることを特徴とするリニアレール装置の製造方法をも提供する。
【発明の効果】
【0010】
上記構成により、本発明のリニアレール装置においては、駆動手段の可動部がスライディングブロックの台座部の下面と一対の突起部と一対のストッパーとの間に画成される収容空間内に収容されるので、スライディングブロックの体積を増やすことなく、且つ、駆動手段の可動部の周面と収容空間を画成する一対の突起部及び一対のストッパーとの間にある隙間に、熱伝導ゲルが充満されているため、可動部が発する熱を効率よくスライディングブロックに伝導することにより、スライディングブロック全体を放熱シンクとして利用することができ、以前より高い放熱効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のリニアレール装置の第1の実施形態の外部構成が示される斜視図
【
図2】本発明のリニアレール装置の第1の実施形態の構成が示される分解斜視図
【
図3】本発明のリニアレール装置の第1の実施形態の構成が示される断面図
【
図6】本発明のリニアレール装置の第1の実施形態の稼働効果が示されるグラフ
【
図7】本発明のリニアレール装置の第2の実施形態の構成が示される断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下は各図面を参照しながら本発明について詳しく説明する。
【0013】
図1〜
図5に本発明のリニアレール装置の第1の実施形態が示されている。図示のように、本発明のリニアレール装置の第1の実施形態は、リニアレール10と、スライディングブロック20と、駆動手段30と、を備えている。
【0014】
リニアレール10は、軸線方向Xに沿って延伸すると共に、軸線方向Xと直交する横方向Yにおいて互いに間を開けて向かい合う一対の側壁面11と、該一対の側壁面11にそれぞれ接すると共に、該一対の側壁面11と略直交する下板面12と、を有するように形成されている。また、該一対の側壁面11には、それぞれ軸線方向Xに沿って延伸すると共に、互いに向かい合って開口する第1の案内溝13が凹設されている。
【0015】
スライディングブロック20は、上面211と上面211の反対側にある下面212とを有する台座部21と、リニアレール10が有する一対の側壁面11に対応して、台座部21の下面212から、横方向Yにおいて互いに間を開けてそれぞれ突起し、且つ、軸線方向Xに沿って延伸する一対の突起部22と、一対の突起部22の間に介在するように前記台座部21の前記下面212に取り付けられている一対のストッパー23と、を有する上、台座部21の下面212と一対の突起部22と一対のストッパー23との間に、リニアレール10側の下板面12に向かって開口する収容空間24が画成されている。ちなみに、この実施形態において、一対のストッパー23はストッパー固定ねじ231により、台座部21の下面212に固定されている。
【0016】
スライディングブロック20の一対の突起部22には、いずれも軸線方向Xに沿って該突起部22の軸線方向Xの一端面213aから他端面213bまで貫通するボール収容孔215と、それぞれいずれか1つの側壁面11に凹設された第1の案内溝13と向かい合って開口し、軸線方向Xに沿って延伸するボール通路を第1の案内溝13と共に画成する第2の案内溝221と、が形成されている。
【0017】
更に、この実施形態において、一対の突起部22の収容空間24に臨む内側面223は平面に形成されている。
【0018】
駆動手段30は、軸線方向Xに沿って延伸するようにリニアレール10の下板面12に取りつけられている固定板31と、収容空間24内に収容されるようにスライディングブロック20に固定されている可動部32とを有している。固定板31は軸線方向Xに沿って配置される複数の電磁石を内蔵し、そして可動部32にも複数の電磁石を有しており、固定板31及び可動部32に配置される電磁石の磁極変化を繰り返して制御することにより、可動部32を固定板31に対して軸線方向Xに沿って移動させてスライディングブロック20を駆動するように構成されている。ちなみに、
図4に示されているように、この実施形態において、駆動手段30の可動部32は、スライディングブロック20の台座部21に形成される複数の通過孔217を挿通してから可動部32に形成される各固定孔322にねじ込まれる複数の固定ねじ33により、スライディングブロック20に固定されている。
【0019】
更に、この実施形態では、収容空間24内において、駆動手段30の可動部32の周面321と収容空間24を画成する一対の突起部22及び一対のストッパー23との間にある隙間に、熱伝導ゲル40が充満されている。
【0020】
この実施形態において、熱伝導ゲル40として、高熱伝導性エポキシ樹脂が使用されているが、本発明としてはエポキシ樹脂に限らず、高い熱伝導率を持つ他のゲル状素材を用いることも可能である。
【0021】
更に、該リニアレール装置は、各ボール収容孔215の対応する突起部22を貫通する開口にそれぞれ取り付けられた案内ユニット51と、各ボール収容孔215にそれぞれ収容される複数のボールからなるボールセット52とを有するボール手段50を備えている。
【0022】
図5に示されているように各案内ユニット51は、いずれも対応するボール収容孔215及び該対応するボール収容孔215が形成される突起部22に形成される第2の案内溝221により画成される前記ボール通路と共に、ボールセット52が通過可能なボール通過路53を画成する。即ち、この構成により、ボールセット52を構成するボールが、ボール収容孔215から案内ユニット51を経由して第1の案内溝13と第2の案内溝221とにより画成されるボール通路に進入し、そして該ボール通路から反対側にある案内ユニット51を経由してまたボール収容孔215に進入するループ状のボール通過路53が構成される。
【0023】
更に、
図3に示されているように、突起部22が台座部21から突起する高さ方向において、ボール収容孔215の中心軸線L1と第1の案内溝13と第2の案内溝221とは、同一の高さレベルPに形成されている。該高さレベルPの位置は、該高さレベルPから前記台座部21の下面の高さまでの第1の距離H1が、該高さレベルPから突起部22が台座部21から延伸する先端222の高さまでの第2の距離H2より長いという条件を満足するように配置構成されている。
【0024】
以上の構成により、本発明のリニアレール装置の駆動手段30が作動する際、可動部32が有する電磁石が発する熱は、高い熱伝導率を持つ熱伝導ゲル40を経由して効率よくスライディングブロック20に伝導されることによりスライディングブロック20全体を放熱シンクとして利用することができ、以前より高い放熱効果を得ることができる。従って可動部32の温度を低レベルに維持し、電磁石としての稼働効率並びにスライディングブロック20の移動速度と積載重量を維持することができる。
【0025】
また、収容空間24がリニアレール10側の下板面12に向かって開口し、且つ、ボール収容孔215と第1の案内溝13と第2の案内溝221とが同一の高さレベルPに形成され、且つ、該高さレベルPの位置は、該高さレベルPから台座部21の下面の高さまでの第1の距離H1が、該高さレベルPから突起部22が台座部21から延伸する先端222の高さまでの第2の距離H2より長いという条件を満足するように配置構成されることにより、スライディングブロック20全体を小型化することができる。
【0026】
更に、駆動手段30の可動部32が収容空間24内に収容され、且つ、固定ねじ33によりスライディングブロック20に固定されるので、熱伝導ゲルを成型する機器を用意する必要はなく、熱伝導ゲル40を収容空間24内に注入すればよいので、製造コスト及び手間を省くことができる。
【0027】
続いて、
図1〜
図5を用いて、本発明のリニアレール装置の製造方法について説明する。
【0028】
まず、上記構成を持つリニアレール10とスライディングブロック20と駆動手段30を用意する。
【0029】
続いて、ストッパー固定ねじ231を用いて一対のストッパー23を台座部21の下面212に固定して収容空間24を形成する。
【0030】
収容空間24を形成してから、可動部32を収容空間24内に設置し、固定ねじ33によってスライディングブロック20に固定する。
【0031】
可動部32をスライディングブロック20に固定した後、液状の熱伝導ゲル40を可動部32の周面321と一対の突起部22及び一対のストッパー23との間にある隙間に充満するまで収容空間24に注入し、固化させる。
【0032】
熱伝導ゲル40の固化を確認してから、スライディングブロック20をリニアレール10に設置し、案内ユニット51を取り付けて、ボール手段50のボールセット52をボール通過路53に設置して完成する。
【0033】
この製造方法により、熱伝導ゲル40は液体の状態で収容空間24に注入されるので、可動部32の周面321と一対の突起部22及び一対のストッパー23との間にある隙間を確実に充満することができ、熱伝導の効果を確保することができる。
【0034】
図6は熱伝導ゲル40の効果を示すグラフであり、横軸は本発明のリニアレール装置の連続稼働時間であり、縦軸はスライディングブロック20に対して測定した温度である。
図6に示されるように、リニアレール装置が稼働し始めると、熱伝導ゲル40が介在しない比較例より、スライディングブロック20から高い温度をすぐ確認することができる。連続稼働して1時間経過して温度の上昇が止まる時点では、熱伝導ゲル40が介在する本発明のリニアレール装置は、介在しない比較例より、スライディングブロック20に対して測定した温度が2℃高いことが示される。これにより可動部32からの熱が効率よくスライディングブロック20に伝わる本発明のリニアレール装置の優れた放熱効果を確認できる。
【0035】
図7は本発明のリニアレール装置の第2の実施形態の構成が示される断面図である。図示のように、本発明のリニアレール装置の第2の実施形態は第1の実施形態と共通する構成を有するが、第2の実施形態と第1の実施形態の相違点は、一対の突起部22の収容空間24に臨む内側面223が凹凸面に形成されているところにあり、この構成により収容空間24内に注入される熱伝導ゲル40と突起部22との接触面積が増え、第1の実施形態より更に効果的な熱伝導効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
上記実施形態によれば、駆動手段30の可動部32をスライディングブロック20の台座部21の下面212と一対の突起部22と一対のストッパー23との間に画成される収容空間24内に収容するので、スライディングブロック20の体積を増やすことなく、且つ、駆動手段30の可動部32と収容空間24を画成する一対の突起部22及び一対のストッパー23との間にある隙間に、熱伝導ゲル40が充満されているため、可動部32が発する熱を効率よくスライディングブロック20に伝導することによりスライディングブロック20全体を放熱シンクとして利用することができ、以前より高い放熱効果を得ることができるので、全体の体積や重量を増やさずに、可動電磁石周りの放熱効果を高められるリニアレール装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0037】
10 リニアレール
11 側壁面
12 下板面
13 第1の案内溝
20 スライディングブロック
21 台座部
211 上面
212 下面
213a 一端面
213b 他端面
215 ボール収容孔
217 通過孔
22 突起部
221 第2の案内溝
222 先端
223 内側面
23 ストッパー
24 収容空間
30 駆動手段
31 固定板
32 可動部
322 固定孔
33 固定ねじ
40 熱伝導ゲル
50 ボール手段
51 案内ユニット
52 ボールセット
53 ボール通過路
H1 第1の距離
H2 第2の距離
L1 中心軸線
P 高さレベル
X 軸線方向
Y 横方向