特許第6952495号(P6952495)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6952495
(24)【登録日】2021年9月30日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】機械式駐車システム
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20211011BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20211011BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20211011BHJP
【FI】
   E04H6/42 C
   B60R21/00 991
   B62D6/00
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-104471(P2017-104471)
(22)【出願日】2017年5月26日
(65)【公開番号】特開2018-199925(P2018-199925A)
(43)【公開日】2018年12月20日
【審査請求日】2020年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】特許業務法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 右季
(72)【発明者】
【氏名】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】中村 裕貴
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−031682(JP,A)
【文献】 特開2008−075289(JP,A)
【文献】 特開平06−108685(JP,A)
【文献】 特許第5644200(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0017848(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第104746922(CN,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0144905(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00−6/44
B60R 21/00
B60R 99/00
B60W 30/06
B62D 6/00−6/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車支援装置が搭載された駐車支援装置搭載車、又は乗員が関与せずに自動走行自在な自動運転車を機械式駐車装置のパレットに積載して駐車させる機械式駐車システムであって、
前記機械式駐車装置の入出庫口の内側における駐車目標位置となるパレットの両幅端位置に駐車枠を示す区画線を、前記駐車支援装置搭載車又は自動運転車の線検出手段が認識するよう施工すると共に、前記区画線の延長線を、前記駐車支援装置搭載車又は自動運転車の線検出手段が認識するよう前記入出庫口の外側の路面に施工したことを特徴とする機械式駐車システム。
【請求項2】
前記線検出手段は、前記駐車支援装置搭載車又は自動運転車に取り付けられた車載カメラと、該車載カメラで撮影された映像に基づいて前記区画線及び延長線を認識する駐車支援コントローラとを備えた請求項1記載の機械式駐車システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、運転が苦手な人でも楽に駐車ができる技術として、インテリジェントパーキングアシストと称される駐車支援装置が搭載された駐車支援装置搭載車の開発が進められている。
【0003】
前記駐車支援装置は、車庫入れ等の駐車の際、必要なステアリング操作を車両がアシストするものであり、シフトを「R(リバースレンジ)」に入れるだけで駐車枠を認識し、ドライバがOKボタンをタッチすれば自動でステアリング操作が行われる。このため、ドライバは周囲の安全確認とブレーキ操作による速度調整を行うだけで駐車区画の中央付近に精度良く駐車することが可能となる。
【0004】
又、乗員が関与せずに自動走行自在な自動運転車の開発も進められている。
【0005】
尚、前記駐車支援装置と関連する一般的技術水準を示すものとしては、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許5644200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、自動車の普及に伴い、特に都市部では駐車場の敷地の確保が困難なことから、商業用の機械式駐車装置の建設が進められていると共に、大規模な集合住宅(マンション)等に付帯した機械式駐車装置の建設も進められている。
【0008】
しかしながら、前記駐車支援装置搭載車による駐車支援や自動運転車による乗員無関与の自動駐車はあくまでも平置き駐車場に駐車することを前提としており、現時点において、前記機械式駐車装置に対して、駐車支援装置搭載車を駐車支援機能を作動させて駐車させたり、或いは自動運転車を全自動で駐車させたりすることは困難となっていた。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなしたもので、駐車支援装置搭載車又は自動運転車を機械式駐車装置に精度良く駐車させ得る機械式駐車システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の機械式駐車システムは、駐車支援装置が搭載された駐車支援装置搭載車、又は乗員が関与せずに自動走行自在な自動運転車を機械式駐車装置のパレットに積載して駐車させる機械式駐車システムであって、
前記機械式駐車装置の入出庫口の内側における駐車目標位置となるパレットの両幅端位置に駐車枠を示す区画線を、前記駐車支援装置搭載車又は自動運転車の線検出手段が認識するよう施工すると共に、前記区画線の延長線を、前記駐車支援装置搭載車又は自動運転車の線検出手段が認識するよう前記入出庫口の外側の路面に施工することができる。
【0011】
前記機械式駐車システムにおいて、前記線検出手段は、前記駐車支援装置搭載車又は自動運転車に取り付けられた車載カメラと、該車載カメラで撮影された映像に基づいて前記区画線及び延長線を認識する駐車支援コントローラとを備えることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の機械式駐車システムによれば、駐車支援装置搭載車又は自動運転車を機械式駐車装置に精度良く駐車させ得るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の機械式駐車システムの実施例における機械式駐車装置をエレベータパーキングとした例を示す平面図である。
図2】本発明の機械式駐車システムの実施例における機械式駐車装置をエレベータパーキングとした例を示す斜視図である。
図3】本発明の機械式駐車システムの実施例における駐車支援装置を示す制御ブロック図である。
図4】本発明の機械式駐車システムの実施例における機械式駐車装置を複数段式パーキングとした例を示す平面図である。
図5】本発明の機械式駐車システムの実施例における機械式駐車装置を複数段式パーキングとした例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0015】
図1及び図2は本発明の機械式駐車システムの実施例における機械式駐車装置1をエレベータパーキング2Aとした例を示している。
【0016】
図1及び図2に示す如く、機械式駐車装置1としてのエレベータパーキング2Aの入出庫口3の内側における駐車目標位置は、駐車支援装置4(図3参照)が搭載された駐車支援装置搭載車C1が積載されるパレットPとなるため、該パレットPの外周における両幅端位置に、駐車枠を示す車両前後方向へ延びる区画線L1を施工してある。更に、前記区画線L1の延長線L2を前記入出庫口3の外側の路面に施工してある。
【0017】
ここで、前記駐車支援装置4は、駐車支援装置搭載車C1周囲の俯瞰映像を表示しながら駐車支援装置搭載車C1の駐車時におけるドライバの運転操作を支援するものであり、図3に示す如く、制御の中核をなす駐車支援コントローラ5に対して、前記駐車支援装置搭載車C1に取り付けられ且つ該駐車支援装置搭載車C1周囲の映像を撮影する複数(例えば、四個)の車載カメラ6と、ドライバによる操作入力を受け付ける操作入力デバイス7と、駐車支援のための映像を表示するディスプレイ8とを接続してなる構成を有している。
【0018】
そして、前記車載カメラ6と、該車載カメラ6で撮影された映像が入力される前記駐車支援コントローラ5とから線検出手段9が構成されており、該線検出手段9により前記車載カメラ6で撮影された映像に基づいて前記区画線L1及び延長線L2が認識されるようになっている。
【0019】
次に、上記実施例の作用を説明する。
【0020】
前記機械式駐車装置1としてのエレベータパーキング2Aに駐車支援装置搭載車C1を入庫する際には、先ず、駐車支援装置搭載車C1を図1の(イ)に示す位置に一旦停止させる。図1の(イ)に示す位置は、入出庫口3の前方領域に駐車支援装置搭載車C1の前部が収まり、ドライバの目線が一方の延長線L2を捉えて、該延長線L2がドライバから略真横に見える位置となる。
【0021】
続いて、ドライバはステアリングを時計回りに略半回転させ、図1の(ロ)に示す位置まで進み、停止させる。
【0022】
この後、ドライバがシフトを「R(リバースレンジ)」に入れると、車載カメラ6で撮影された映像がディスプレイ8に表示されると共に、該映像に基づいて駐車支援装置4の線検出手段9により区画線L1及び延長線L2が認識され、駐車目標位置となるパレットPの駐車枠が認識される。ドライバがディスプレイ8内に表示されたOKボタンをタッチすると、操作入力デバイス7から駐車支援コントローラ5へ信号が入力され、駐車支援動作が開始される。
【0023】
前記駐車支援動作が開始されると、自動でステアリング操作が行われるため、ドライバが周囲の安全確認とブレーキ操作による速度調整を行うだけで、駐車支援装置搭載車C1は図1の(ハ)の位置を経て入出庫口3から機械式駐車装置1としてのエレベータパーキング2Aの内部へ後退する形で進入し、前記パレットPに乗り上げ、駐車枠の中央付近に精度良く収まる。
【0024】
因みに、図1には、駐車支援装置搭載車C1が図1の右方向から走行してきて、機械式駐車装置1としてのエレベータパーキング2Aに入庫する場合を示しているが、駐車支援装置搭載車C1が図1の左方向から走行してきて、機械式駐車装置1としてのエレベータパーキング2Aに入庫する場合、図1は左右反転したものとなる。
【0025】
本実施例の場合、平置き駐車場に駐車することを前提としていた駐車支援装置搭載車C1であっても、区画線L1及び該区画線L1の延長線L2を線検出手段9が認識することにより、前記機械式駐車装置1としてのエレベータパーキング2Aに対して、駐車支援装置搭載車C1を駐車支援機能を作動させて駐車させることが可能となる。
【0026】
尚、前記駐車支援装置搭載車C1に代えて、乗員が関与せずに自動走行自在な自動運転車C2としても良い。該自動運転車C2も駐車支援装置搭載車C1と同様、平置き駐車場に駐車することを前提としていた車両であるが、区画線L1及び該区画線L1の延長線L2を自動運転車C2の線検出手段9が認識するようにすれば、前記機械式駐車装置1としてのエレベータパーキング2Aに対して、自動運転車C2を全自動で駐車させることも可能となる。
【0027】
又、前記機械式駐車装置1は、エレベータパーキング2Aに限定されるものではなく、例えば、図4及び図5に示すような複数段式パーキング2Bとしても良いことは言うまでもない。
【0028】
こうして、駐車支援装置搭載車C1又は自動運転車C2を機械式駐車装置1に精度良く駐車させ得る。
【0029】
尚、本発明の機械式駐車システムは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、機械式駐車装置は、エレベータパーキングや複数段式パーキングに限らず、垂直循環式のタワーパーキングにも適用可能なこと等、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0030】
1 機械式駐車装置
3 入出庫口
4 駐車支援装置
5 駐車支援コントローラ
6 車載カメラ
9 線検出手段
C1 駐車支援装置搭載車
C2 自動運転車
L1 区画線
L2 延長線
図1
図2
図3
図4
図5