(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6952508
(24)【登録日】2021年9月30日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】環境制御装置、環境制御システム、環境制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A01G 9/24 20060101AFI20211011BHJP
【FI】
A01G9/24 G
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-119948(P2017-119948)
(22)【出願日】2017年6月19日
(65)【公開番号】特開2019-81(P2019-81A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2020年1月30日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朔晦 誠
(72)【発明者】
【氏名】出口 和広
【審査官】
田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−315448(JP,A)
【文献】
実開昭61−034030(JP,U)
【文献】
実開昭55−000113(JP,U)
【文献】
特開昭54−160633(JP,A)
【文献】
特開2011−205948(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0173307(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
換気部を有する栽培用ハウスのハウス内における環境を制御する環境制御装置であって、
前記ハウス内の温度である室内温度を取得する室内温度取得部と、
前記ハウス外の温度である室外温度を取得する室外温度取得部と、
前記室内温度の目標値である目標室内温度を設定する目標室内温度設定部と、
前記室内温度と前記目標室内温度との差を小さくするために前記換気部を制御する換気制御部に対して、所定の換気制御の実行及び前記換気部による換気の停止を指示する指示部と、
前記指示部が前記所定の換気制御の実行の開始を指示した時点における第1日射強度を取得する日射強度取得部と、
前記第1日射強度を記憶する記憶部と、
を備え、
前記指示部は、前記目標室内温度が前記室外温度以上、且つ、前記目標室内温度よりも前記室内温度が高くなった第1の場合、又は、前記目標室内温度が前記室外温度より低く、且つ、前記室外温度よりも前記室内温度が高くなった第2の場合に、前記換気制御部に対して前記所定の換気制御の実行の開始を指示し、
前記日射強度取得部は、前記換気制御部による前記所定の換気制御の実行中において第2日射強度を取得し、
前記指示部は、前記第2日射強度が前記第1日射強度よりも小さくなった場合に、前記換気制御部に対して前記換気部による換気の停止を指示する、環境制御装置。
【請求項2】
前記指示部は、前記第2日射強度が前記第1日射強度から所定の値cを減じた日射強度よりも小さくなった場合に、前記換気制御部に対して前記換気部による換気の停止を指示する、請求項1に記載の環境制御装置。
【請求項3】
前記第2日射強度は、一定期間に複数回測定された日射強度の平均値である、請求項1又は2に記載の環境制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の環境制御装置と、
前記ハウス内又は前記ハウス外の日射強度を測定する日射強度センサと、
前記室内温度を測定する室内温度センサと、
前記ハウス外の温度である室外温度を測定する室外温度センサと、
を含む、環境制御システム。
【請求項5】
換気部を有する栽培用ハウスのハウス内における環境を制御する環境制御方法であって、
前記ハウス内の温度である室内温度を取得するステップと、
前記ハウス外の温度である室外温度を取得するステップと、
前記室内温度の目標値である目標室内温度を設定するステップと、
前記目標室内温度が前記室外温度以上、且つ、前記目標室内温度よりも前記室内温度が高くなった第1の場合、又は、前記目標室内温度が前記室外温度より低く、且つ、前記室外温度よりも前記室内温度が高くなった第2の場合に、前記室内温度と前記目標室内温度との差を小さくするために前記換気部による所定の換気制御の実行を開始するステップと、
前記室内温度と前記目標室内温度との差を小さくするために前記換気部に対する所定の換気制御の実行を開始した時点における第1日射強度を取得するステップと、
取得した前記第1日射強度を記憶するステップと、
前記所定の換気制御の実行中において第2日射強度を取得するステップと、
取得した前記第2日射強度と、記憶しておいた前記第1日射強度とを比較して、前記第2日射強度が前記第1日射強度よりも小さい場合に、前記換気部による換気を停止するステップと、
を含む、環境制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栽培用ハウスのハウス内における環境を制御する環境制御装置、環境制御システム、環境制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、農業用ハウス内での農作物の栽培環境を最適な状態にするための環境制御システムが開示されている。特許文献1の環境制御システムは、ハウス内外の最新の環境情報測定値と直前の環境情報測定値とに変化があるとき、過去の環境情報蓄積データを検索し、最新の環境情報測定値に対応する過去の環境情報測定値及び環境調節装置の状態を取得する。取得した過去の環境調節装置の状態と最新の環境調節装置の状態とが異なる場合、取得した環境制御情報に基づいて環境調節装置が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−38547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の環境制御システムは、ハウス内の環境を制御するに際し、時系列でリスト化された環境情報蓄積データを参照する。このため、例えば初期化や消去等によって蓄積されていた環境情報蓄積データが失われた場合、環境の制御が不能となってしまう。よって、特許文献1の環境制御システムでは、環境制御の安定性を確保することが難しい。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、栽培用ハウス内の環境制御を安定して行うことができる環境制御装置、環境制御システム、環境制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の環境制御装置は、換気部を有する栽培用ハウスのハウス内における環境を制御する環境制御装置であって、
前記換気部を制御する換気制御部に対して、所定の換気制御の実行及び前記換気部による換気の停止を指示する指示部と、
前記指示部が前記所定の換気制御の実行の開始を指示した時点における第1日射強度を取得する日射強度取得部と、
前記第1日射強度を記憶する記憶部と、
を備え、
前記日射強度取得部は、前記換気制御部による前記所定の換気制御の実行中において第2日射強度を取得し、
前記指示部は、前記第2日射強度が前記第1日射強度よりも小さくなった場合に、前記換気制御部に対して前記換気部による換気の停止を指示するものである。
【0007】
本発明の環境制御装置によれば、換気部に対する所定の換気制御の実行を開始した時点(換気部による換気を開始した時点)における第1日射強度さえ記憶しておけば、換気部による換気を停止するか否かの判断をすることができる。すなわち、換気部による換気を開始した時点の第1日射強度を記憶すればよく、過去の環境情報を長期間に亘って蓄積する必要がない。このため、環境情報の消失によって栽培用ハウス内の環境制御が不能になるという事態は生じず、栽培用ハウス内の環境制御を安定して行うことができる。
【0008】
本発明において、前記指示部は、前記第2日射強度が前記第1日射強度から所定の値cを減じた日射強度よりも小さくなった場合に、前記換気制御部に対して前記換気部による換気の停止を指示してもよい。
【0009】
かかる構成によれば、現在の日射強度(第2日射強度)が換気開始時点での第1日射強度よりも一時的に小さくなった場合であっても、換気制御部に対する指示を直ちに行わないため、換気部による換気の不要な停止を抑制することができる。
【0010】
また、本発明において、前記第2日射強度は、一定期間に複数回測定された日射強度の平均値であってもよい。
【0011】
かかる構成によれば、天候や飛来物等による一時的な日射強度の変動を吸収することができるため、換気部による換気の不要な停止を抑制することができる。
【0012】
また、本発明の環境制御システムは、上記の環境制御装置と、
ハウス内又はハウス外の日射強度を測定する日射強度センサと、
ハウス内の温度である室内温度Tinを測定する室内温度センサと、
ハウス外の温度である室外温度Toutを測定する室外温度センサと、
を含むものである。
【0013】
本発明の環境制御システムによれば、上記環境制御装置の奏する作用効果を得ることができる。
【0014】
また、本発明の環境制御方法は、換気部を有する栽培用ハウスのハウス内における環境を制御する環境制御方法であって、
前記換気部に対する所定の換気制御の実行を開始した時点における第1日射強度を取得するステップと、
取得した前記第1日射強度を記憶するステップと、
前記所定の換気制御の実行中において第2日射強度を取得するステップと、
取得した前記第2日射強度と、記憶しておいた前記第1日射強度とを比較して、前記第2日射強度が前記第1日射強度よりも小さい場合に、前記換気部による換気を停止するステップと、
を含むものである。
【0015】
本発明の環境制御方法によれば、換気部に対する所定の換気制御の実行を開始した時点(換気部による換気を開始した時点)における第1日射強度さえ記憶しておけば、換気部による換気を停止するか否かの判断をすることができる。すなわち、換気部による換気を開始した時点の第1日射強度を記憶すればよく、過去の環境情報を長期間に亘って蓄積する必要がない。このため、環境情報の消失によって栽培用ハウス内の環境制御が不能になるという事態は生じず、栽培用ハウス内の環境制御を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態の環境制御システムの全体構成を示す概略図
【
図2】環境制御システムの構成を示す機能ブロック図
【
図3】環境制御装置の制御の手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の環境制御システムの全体構成を示す概略図である。
図2は、環境制御システムの構成を示す機能ブロック図である。
【0018】
本実施形態の環境制御システムは、栽培用ハウス1のハウス内における環境を制御するものである。栽培用ハウス1は、換気部2を有している。換気部2としては、天窓2a、側窓2b、換気扇2c等が例示され、これらから1又は複数が選択される。換気部2による換気状態は、環境制御システムにより制御される。具体的には、換気部2が天窓2a及び/又は側窓2bであれば、窓の開度が制御され、換気部2が換気扇2cであれば、換気ファンの送風出力が制御される。換気部2が天窓2a及び/又は側窓2bと換気扇2cとを含む場合、窓の開度及び換気ファンの送風出力の双方が制御される。
【0019】
栽培用ハウス1の内部には、ハウス内の温度である室内温度Tinを測定する室内温度センサ31が設けられている。栽培用ハウス1の外部には、ハウス外の温度である室外温度Toutを測定する室外温度センサ32が設けられている。
【0020】
栽培用ハウス1には、日射強度センサ33が設けられている。日射強度センサ33は、日射強度を測定するものである。日射強度は、単位面積が単位時間に太陽から受ける太陽光エネルギーの量であり、単位は[W/m
2]が用いられる。日射強度センサ33としては、日射強度を直接的又は間接的に測定可能なセンサであればよく、例えば、日射量センサ、熱流束センサ、照度センサ等が例示される。なお、本実施形態において、日射強度センサ33は、ハウス外に設けられているが、日射強度センサ33は、ハウス内に設けられてもよい。
【0021】
環境制御システムは、換気部2による換気を制御する環境制御装置4を備えている。本実施形態の環境制御装置4は、室内温度取得部41と、室外温度取得部42と、日射強度取得部43と、目標室内温度設定部44と、換気制御部45と、指示部46と、記憶部47と、を備え、室内温度、室外温度、日射強度等に応じて、換気部2による換気を制御可能に構成されている。
【0022】
室内温度取得部41は、室内温度センサ31で測定された室内温度Tinを取得する。室内温度取得部41で取得された室内温度Tinは、指示部46に入力される。また、室外温度取得部42は、室外温度センサ32で測定された室外温度Toutを取得する。室外温度取得部42で取得された室外温度Toutは、指示部46に入力される。
【0023】
日射強度取得部43は、日射強度センサ33で測定された日射強度を取得する。日射強度取得部43で取得された日射強度は、指示部46に入力され、又は記憶部47に記憶される。
【0024】
目標室内温度設定部44は、室内温度の目標値である目標室内温度Tsetを設定する。目標室内温度Tsetは、ハウス内で栽培される農作物に最適な条件となるように適宜設定される。目標室内温度設定部44で設定された目標室内温度Tsetは、指示部46に入力される。
【0025】
換気制御部45は、換気部2を制御する。換気部2の制御方法としては、室内温度Tinを目標室内温度TsetとするためにPID制御によって換気状態を自動制御する方法がある。PID制御は、換気制御部45の内部に設けられるPID演算処理部によって実行される。より具体的には、換気部2が天窓2a、側窓2b等の自然換気の場合、換気制御部45は、窓の開度を0〜100%の間でPID制御する。例えば、室内温度Tinの低下時には開度を小さくし、一方、室内温度Tinの上昇時には開度を大きくする。
【0026】
指示部46は、換気制御部45に対して、所定の換気制御の実行及び換気部2による換気の停止を指示する。本実施形態の所定の換気制御とは、前述のPID制御による換気制御である。また、換気部2による換気の停止とは、換気部2が天窓2a及び/又は側窓2bであれば、窓を完全に閉じた状態のことであり、換気部2が換気扇2cであれば、換気ファンを完全に停止した状態のことである。換気部2が天窓2a及び側窓2bの少なくとも一方と換気扇2cとで構成される場合、換気部2による換気が停止されると、窓が完全に閉じるとともに換気ファンが完全に停止する。指示部46により指示された換気制御部45は、換気部2に対する換気制御を実行し、又は換気部2による換気を停止する。
【0027】
指示部46は、室内温度取得部41で取得された室内温度Tin、室外温度取得部42で取得された室外温度Tout、日射強度取得部43で取得された日射強度、及び目標室内温度設定部44で設定された目標室内温度Tsetに基づいて、換気制御部45に対する指示を行う。
【0028】
記憶部47は、日射強度取得部43で取得された日射強度を記憶することができる。記憶部47は、指示部46が換気制御部5に対して所定の換気制御の実行の開始を指示した時点、すなわち換気部2による換気を開始した時点における日射強度である第1日射強度Gonを少なくとも記憶する。
【0029】
次に、上記の環境制御システムを用いた環境制御方法について説明する。
図3は、環境制御装置4の制御の手順を示すフローチャートである。
図4は、環境制御装置4による制御の一例を示すグラフである。
【0030】
まず、
図3に示すように、目標室内温度Tsetが室外温度Tout以上であるか否かを判定する(ステップS1)。目標室内温度Tsetが室外温度Tout以上であるか否かは、指示部46により判定される。
【0031】
目標室内温度Tsetが室外温度Tout以上である場合(
図4(a)参照)、室内温度Tinが目標室内温度Tsetに所定の値aを加算した温度よりも高いか否かを判定する(ステップS2)。室内温度Tinが目標室内温度Tsetに所定の値aを加算した温度よりも高いか否かは、指示部46により判定される。
【0032】
換気を停止した状態において、室内温度Tinは、日射強度が高くなるにつれ、目標室内温度Tsetよりも高くなっていく。そして、
図4(a)に示すように、室内温度Tinが目標室内温度Tsetに所定の値aを加算した温度よりも高くなった場合、指示部46は、換気制御部45に対して所定の換気制御の実行の開始を指示する(ステップS4)。所定の値aは、0以上の値であり、好ましくは0より大きい値であり、例えば2℃である。所定の換気制御が実行され、換気部2による換気が開始されると、室外温度Toutが目標室内温度Tsetよりも低いため、室内温度Tinは低下する。換気を開始後、換気制御部45により前述のPID制御が行われ、これにより換気部2の換気状態が制御される。
【0033】
また、指示部46が所定の換気制御の実行の開始を指示した時点、すなわち換気部2による換気を開始した時点における第1日射強度Gonを記憶部47に記憶する(ステップS4)。なお、室内温度Tinが目標室内温度Tsetに所定の値aを加算した温度以下の場合(ステップS2のNo)、ステップS1に戻る。
【0034】
日射強度取得部43は、換気部2による換気が開始した後、換気制御部45が所定の換気制御の実行中において第2日射強度Gを取得する。第2日射強度Gは、連続して取得されてもよく、所定の時間毎に取得されてもよい。取得された第2日射強度Gは指示部46に入力され、指示部46は、入力された第2日射強度Gと、記憶部47に記憶しておいた第1日射強度Gonとに基づいて、第2日射強度Gが第1日射強度Gonから所定の値cを減じた日射強度よりも小さいか否かを判定する(ステップS5)。第2日射強度Gが第1日射強度Gonから所定の値cを減じた日射強度よりも小さくなるまでの間(ステップS5のNo)、指示部46は、順次入力される第2日射強度Gと、第1日射強度Gonから所定の値cを減じた日射強度とを比較する。
【0035】
日射強度が低下していき、第2日射強度Gが第1日射強度Gonから所定の値cを減じた日射強度よりも小さくなった場合、指示部46は、換気制御部45に対して換気部2による換気の停止を指示する(ステップS6)。所定の値cは、0以上の値であり、好ましくは0より大きい値であり、例えば第1日射強度Gonの10%である。ステップS6が終了後、ステップS1に戻って換気部2は停止状態で待機する。
【0036】
一方、目標室内温度Tsetが室外温度Tout以上であるか否かを判定し、目標室内温度Tsetが室外温度Toutよりも低い場合(ステップS1のNo)(
図4(b)参照)、室内温度Tinが室外温度Toutから所定の値bを減じた温度よりも高いか否かを判定する(ステップS3)。室内温度Tinが室外温度Toutから所定の値bを減じた温度よりも高いか否かは、指示部46により判定される。
【0037】
換気を停止した状態において、室内温度Tinは、日射強度が高くなるにつれ、目標室内温度Tsetよりも高くなっていく。そして、
図4(b)に示すように、室内温度Tinが室外温度Toutから所定の値bを減じた温度よりも高くなった場合、指示部46は、換気制御部45に対して所定の換気制御の実行の開始を指示する(ステップS4)。所定の値bは、0以上の値であり、好ましくは0より大きい値であり、例えば2℃である。指示部46の指示により所定の換気制御が実行され、換気部2による換気が開始されるが、室外温度Toutが目標室内温度Tsetよりも高いため、室内温度Tinは上昇する。
【0038】
また、指示部46が所定の換気制御の実行の開始を指示した時点、すなわち換気部2による換気を開始した時点における第1日射強度Gonを記憶部47に記憶する(ステップS4)。なお、室内温度Tinが室外温度Toutから所定の値bを減じた温度以下の場合(ステップS3のNo)、ステップS1に戻る。ステップS4以降の制御は前述の通りである。
【0039】
本発明のプログラムは、上記方法を構成する各ステップをコンピュータに実行させるプログラムである。このプログラムを実行することによっても、上記方法の奏する作用効果を得ることが可能となる。
【0040】
[他の実施形態]
(1)換気部2の制御としては、以下のような制御でもよい。具体的には、換気部2が天窓2a、側窓2b等の自然換気の場合、換気制御部45は、室内温度Tin>目標設定温度Tset+1℃であれば、全開(開度100%)とし、室内温度Tin<目標設定温度Tset−1℃であれば、全閉(開度0%)とし、Tset−1℃≦Tin≦Tset+1℃であれば、開度を維持する。
【0041】
一方、換気部2が換気扇2cの強制換気の場合、換気制御部45は、換気ファンの送風出力を0〜100%の間でPID制御する。例えば、室内温度Tinの低下時には送風出力を小さくし、一方、室内温度Tinの上昇時には送風出力を大きくする。
【0042】
また、換気部2が換気扇2cの強制換気の場合、換気制御部45は、室内温度Tin>目標設定温度Tset+1℃であれば、換気扇2cをオンとし、室内温度Tin<目標設定温度Tset−1℃であれば、換気扇2cをオフとし、Tset−1℃≦Tin≦Tset+1℃であれば、換気扇2cによる換気を維持するようにしてもよい。
【0043】
(2)第2日射強度Gは、一定期間に複数回測定された日射強度の平均値としてもよい。これにより、一時的な日射強度の変動を吸収することができるため、換気部2による換気の不要な停止を抑制することができる。同様に、第1日射強度Gonについても、換気部2による換気を開始した時点を含めた一定期間に複数回測定された日射強度の平均値としてもよい。
【0044】
さらに、第1日射強度Gonは、換気部2による換気を開始した時点を含めた一定期間に複数回測定された日射強度の積算値であり、第2日射強度Gは、一定期間に複数回測定された日射強度の積算値であってもよい。これにより、一時的な日射強度の変動を吸収することができるため、換気部2による換気の不要な停止を抑制することができる。
【0045】
(3)前述の実施形態では、環境制御装置4が換気制御部45を含んでいるが、換気制御部45は、環境制御装置4の外部に配置されてもよい。すなわち、栽培用ハウス1に備えられた換気制御部45に対して環境制御装置4が指示するようにしてもよい。
【0046】
(4)また、環境制御装置4は、ネットワークを介して遠隔操作により栽培用ハウス1の換気部2を制御するようにしてもよい。また、環境制御装置4は、クラウド上に設置されていてもよい。
【0047】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1 栽培用ハウス
2 換気部
4 環境制御装置
31 室内温度センサ
32 室外温度センサ
33 日射強度センサ
41 室内温度取得部
42 室外温度取得部
43 日射強度取得部
44 目標室内温度設定部
45 換気制御部
46 指示部
47 記憶部