特許第6952573号(P6952573)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立Astemo株式会社の特許一覧
特許6952573ブレーキ用摩擦パッドおよびディスクブレーキ
<>
  • 特許6952573-ブレーキ用摩擦パッドおよびディスクブレーキ 図000002
  • 特許6952573-ブレーキ用摩擦パッドおよびディスクブレーキ 図000003
  • 特許6952573-ブレーキ用摩擦パッドおよびディスクブレーキ 図000004
  • 特許6952573-ブレーキ用摩擦パッドおよびディスクブレーキ 図000005
  • 特許6952573-ブレーキ用摩擦パッドおよびディスクブレーキ 図000006
  • 特許6952573-ブレーキ用摩擦パッドおよびディスクブレーキ 図000007
  • 特許6952573-ブレーキ用摩擦パッドおよびディスクブレーキ 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6952573
(24)【登録日】2021年9月30日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】ブレーキ用摩擦パッドおよびディスクブレーキ
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/095 20060101AFI20211011BHJP
   F16D 65/092 20060101ALI20211011BHJP
【FI】
   F16D65/095 K
   F16D65/092 D
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-207983(P2017-207983)
(22)【出願日】2017年10月27日
(65)【公開番号】特開2019-78389(P2019-78389A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2020年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 学聖
(72)【発明者】
【氏名】リム カイ ピャウ
(72)【発明者】
【氏名】長島 史朗
(72)【発明者】
【氏名】中村 悟志
【審査官】 熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−117935(JP,U)
【文献】 国際公開第2008/097025(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 49/00−71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏板と、
該裏板の一面に貼り付けられたライニングと、
前記裏板の前記ライニングとは反対側の他面に配置されたシムと、を備え、
前記ライニングにおいてディスクに接触するブレーキ用摩擦パッドであって、
前記裏板は、前記他面に突起を有し、
前記シムは、前記裏板とは反対側に折り返され、前記突起と当接することで前記シムと前記裏板とのディスク周方向の相対移動を制限する折返部を有し、
前記折返部は、前記突起に当接する当接部が、ディスク径方向に延び、ディスク径方向の外側ほど、前記シムの長手方向の中心を通って該長手方向に直交する面から離れており、
前記突起は、前記折返部に当接する当接部が、ディスク径方向に延びており、前記裏板の長手方向に直交する面に平行であることを特徴とするブレーキ用摩擦パッド。
【請求項2】
前記突起は、ディスク径方向の長さがディスク周方向の長さよりも長いことを特徴とする請求項1記載のブレーキ用摩擦パッド。
【請求項3】
請求項1または2記載のブレーキ用摩擦パッドを備えたディスクブレーキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ用摩擦パッドおよびディスクブレーキに関する。
【背景技術】
【0002】
ブレーキ用摩擦パッドにおいて、裏板のライニングとは反対側にシムを配置したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−215279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブレーキ用摩擦パッドにおいて、シムの耐久性向上が望まれている。
【0005】
本発明の目的は、シムの耐久性を向上することが可能なブレーキ用摩擦パッドおよびこれを備えたディスクブレーキを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、裏板が、ライニングとは反対側の他面に突起を有し、シムが、前記裏板とは反対側に折り返され、前記突起と当接することで前記シムと前記裏板とのディスク周方向の相対移動を制限する折返部を有し、前記折返部は、前記突起に当接する当接部が、ディスク径方向に延び、ディスク径方向の外側ほど、前記シムの長手方向の中心を通って該長手方向に直交する面から離れている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シムの耐久性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態のブレーキ用摩擦パッドを備えたディスクブレーキを示す断面図。
図2】実施形態のブレーキ用摩擦パッドを備えたディスクブレーキを示す平面図。
図3】実施形態のブレーキ用摩擦パッドを備えたディスクブレーキを示す背面図。
図4】実施形態のブレーキ用摩擦パッドを備えたディスクブレーキを示す正面図。
図5】実施形態のブレーキ用摩擦パッドを備えたディスクブレーキ用のパッドスプリングを示す斜視図。
図6】実施形態のブレーキ用摩擦パッドを示す平面図。
図7】実施形態のブレーキ用摩擦パッドを示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態を図面を参照して以下に説明する。実施形態の摩擦パッド3(ブレーキ用摩擦パッド)は、ディスクブレーキ10に組み込まれるものである。この摩擦パッド3を備えたディスクブレーキ10は、自動車等の車両用であって車両に制動力を付与するものであり、具体的には四輪自動車の前輪制動用のものである。ディスクブレーキ10は、図示略の車輪と共に回転する円板状のディスク1の回転を止めることで車両を制動する。図2図4において、車両の前進走行時のディスク1の回転方向を矢印Rで示している。以下、ディスク1の中心軸線の方向をディスク軸方向、ディスク1の径方向をディスク径方向、ディスク1の周方向つまり回転方向をディスク周方向と称す。また、ディスク径方向におけるディスク1の中心側をディスク径方向の内側、ディスク径方向におけるディスク1の中心とは反対側をディスク径方向の外側と称す。また、ディスクブレーキ10において、車両の前進走行時のディスク1の回転方向における入口側をディスク回入側、出口側をディスク回出側と称す。
【0010】
図1に示すように、ディスクブレーキ10は、取付部材2と、一対の摩擦パッド3と、キャリパ5とを備えている。また、ディスクブレーキ10は、図2に示すように、一対のブーツ6を備えており、図3図4に示すように、四つのパッドスプリング7を備えている。
【0011】
取付部材2は、図3に示すインナビーム部11および一対のインナ側トルク受部12と、図2に示す一対のピン挿嵌部13と、図4に示す一対のアウタ側トルク受部14およびアウタビーム部15とを有している。取付部材2は、鋳造により一体成形された鋳物であり、ディスク周方向の中央を基準とする鏡面対称の形状となっている。取付部材2は、例えば鋳鉄製である。
【0012】
図1に示すように、インナビーム部11は、ディスク1に対しディスク軸方向の一側に配置されて車両の非回転部分に取り付けられる。ここで、取付部材2が取り付けられる車両の非回転部分は、ディスク1に対し車両の車幅方向内側すなわちインナ側に配置されており、この非回転部分に取り付けられるインナビーム部11も、ディスク1に対しインナ側に配置されている。図3に示すように、インナビーム部11は、ディスク周方向に延びるように配置されており、ディスク周方向両側、すなわちディスク回入側とディスク回出側とに、それぞれ取付穴17を有する一対の取付ボス部18が設けられている。インナビーム部11は、一対の取付ボス部18において車両の非回転部分に取り付けられる。
【0013】
一対のインナ側トルク受部12は、一方のインナ側トルク受部12が、インナビーム部11のディスク回入側の端部から、他方のインナ側トルク受部12が、インナビーム部11のディスク回出側の端部から、それぞれ、ディスク径方向の外側に延出する。一対のインナ側トルク受部12は、インナビーム部11と同様、ディスク1に対しインナ側に配置されている。
【0014】
図2に示すように、一対のピン挿嵌部13は、一方のピン挿嵌部13がディスク回入側のインナ側トルク受部12のディスク径方向の外側の端部から、他方のピン挿嵌部13がディスク回出側のインナ側トルク受部12のディスク径方向の外側の端部から、それぞれ、ディスク軸方向にディスク1の外周側を跨いで延出する。
【0015】
一対のアウタ側トルク受部14は、一方のディスク回入側のアウタ側トルク受部14が、ディスク回入側のピン挿嵌部13のインナ側トルク受部12とは反対側すなわちアウタ側の端部から、他方のディスク回出側のアウタ側トルク受部14が、ディスク回出側のピン挿嵌部13のアウタ側の端部から、それぞれ、図4に示すように、ディスク径方向の内側に延出する。一対のアウタ側トルク受部14は、ディスク1に対しアウタ側に配置されている。
【0016】
アウタビーム部15は、ディスク周方向に延びて一対のアウタ側トルク受部14のディスク径方向の内側同士を連結する。アウタビーム部15は、一対のアウタ側トルク受部14と同様、ディスク1に対しアウタ側に配置されている。
【0017】
以上により、取付部材2は、ディスク1の外周側を跨いで配置されて車両の非回転部分に取り付けられる。インナビーム部11および一対のインナ側トルク受部12は、取付部材2において、車両の非回転部分への取り付け側となるインナ側に配置されており、一対のアウタ側トルク受部14およびアウタビーム部15は、取付部材2において、インナ側とは反対となるアウタ側に配置されている。
【0018】
図3および図4に示すように、一対のアウタ側トルク受部14および一対のインナ側トルク受部12には、同様の凹形状のパッドガイド部20がそれぞれ形成されている。
【0019】
すなわち、図3に示すように、一方のインナ側トルク受部12には、そのディスク周方向の内側(取付部材2のディスク周方向の中央側)の面からディスク周方向の外側(取付部材2のディスク周方向の中央とは反対側)に向かって凹む形状のパッドガイド部20が形成されており、他方のインナ側トルク受部12にも、そのディスク周方向の内側の面からディスク周方向の外側に向かって凹む形状のパッドガイド部20が形成されている。よって、一対のインナ側トルク受部12には、相互対向側に、互いにディスク周方向に沿って離れる方向に凹む凹状のパッドガイド部20が形成されている。
【0020】
また、図4に示すように、一方のディスク回入側のアウタ側トルク受部14には、そのディスク周方向の内側の面からディスク周方向の外側に向かって凹む形状のパッドガイド部20が形成されており、他方のディスク回出側のアウタ側トルク受部14にも、そのディスク周方向の内側の面からディスク周方向の外側に向かって凹む形状のパッドガイド部20が形成されている。よって、一対のアウタ側トルク受部14には、相互対向側に、互いにディスク周方向に沿って離れる方向に凹む凹状のパッドガイド部20が形成されている。
【0021】
取付部材2には、ディスク周方向両側の一対のピン挿嵌部13のそれぞれに図示略のピン挿入穴が形成されており、これらのピン挿入穴に、図2に示すキャリパ5のディスク周方向両側の一対のスライドピン37が摺動可能に嵌合する。これにより、取付部材2は、その一対のピン挿嵌部13において、キャリパ5をディスク軸方向に摺動可能に支持する。言い換えれば、キャリパ5は、ディスク周方向両側に設けられた一対のスライドピン37が、それぞれ、取付部材2の一対のピン挿嵌部13の図示略のピン挿入穴に摺動可能に嵌合されることになり、これにより、取付部材2にディスク軸方向に摺動可能となるように支持される。
【0022】
図3図4に示すように、一対のインナ側トルク受部12および一対のアウタ側トルク受部14には、それぞれのパッドガイド部20の位置に、個別にパッドスプリング7が取り付けられている。つまり、一つの取付部材2に、四つのパッドスプリング7が取り付けられている。ここで、インナ側のディスク回入側に配置されるパッドスプリング7と、アウタ側のディスク回出側に配置されるパッドスプリング7とは同形状の共通部品であり、インナ側のディスク回出側に配置されるパッドスプリング7と、アウタ側のディスク回入側に配置されるパッドスプリング7とは同形状の共通部品となっている。インナ側のディスク回入側およびアウタ側のディスク回出側のパッドスプリング7と、インナ側のディスク回出側およびアウタ側のディスク回入側のパッドスプリング7とは、鏡面対称の形状となっている。
【0023】
パッドスプリング7は、一枚の板材からプレス成形により形成されるものである。パッドスプリング7について、鏡面対称の形状をなすうちの一方のものを例にとり、図5を参照して説明する。図5に示すパッドスプリング7は、インナ側のディスク回入側およびアウタ側のディスク回出側に配置されるものである。
【0024】
パッドスプリング7は、凹状の案内部82を有している。案内部82は、基板部83と板部84と板部85とを有している。基板部83は矩形状であり、板部84は基板部83の一端縁部から基板部83に対し垂直に延出している。板部85は、基板部83の一端縁部と平行な他端縁部から板部84と平行をなして板部84と同側に延出している。
【0025】
パッドスプリング7は、延出部91と、係合板部92と、突片板部93と、突出板部94と、バネ板部95と、バネ板部96とを有している。延出部91は、S字状をなしており、基板部83の板部84,85が設けられていない端縁部のうちの一方の端縁部の板部85の近傍位置から基板部83の板厚方向において板部84,85とは反対方向に延出している。係合板部92は、基板部83の板部84,85が設けられていない端縁部のうちの他方の端縁部の板部85の近傍位置から基板部83の板厚方向において板部84,85とは反対方向に突出している。突片板部93は、基板部83の延出部91が設けられた端縁部に連続する板部84の端縁部から板部84と同一平面で突出した後、板部85とは反対方向に突出している。
【0026】
突出板部94は、板部84の基板部83とは反対側の端縁部から基板部83と平行をなして板部85とは反対方向に突出している。バネ板部95は、板部84の突片板部93が設けられた端縁部に連続する突出板部94の端縁部から板部84とは反対側に折り返されている。バネ板部96は、基板部83の延出部91が設けられた端縁部に連続する板部85の端縁部から板部85と同一平面で延出した後、板部84側に折り返されている。バネ板部96は、基板部83、板部84および板部85と共に凹状の案内部82を構成している。
【0027】
パッドスプリング7は、一つずつ、それぞれの案内部82が、一対のインナ側トルク受部12および一対のアウタ側トルク受部14のそれぞれの凹状のパッドガイド部20に嵌合されることになる。その際に、アウタ側トルク受部14に取り付けられるパッドスプリング7は、延出部91と係合板部92とで、アウタ側トルク受部14を挟持する。また、インナ側トルク受部12に取り付けられるパッドスプリング7は、延出部91と係合板部92とで、インナ側トルク受部12を挟持する。いずれのパッドスプリング7も延出部91をディスク1とは反対側に配置する。
【0028】
図1に示す一対の摩擦パッド3は共通部品である。図6に示すように、摩擦パッド3は、金属製の裏板101と、裏板101の板厚方向一側の一面101aに貼り付けられた摩擦材であるライニング102とを有するパッド本体103と、裏板101のライニング102とは反対側の他面101bに配置されたシム104と、を備えている。シム104は、パッド本体103に対し別体であり、金属板、あるいは金属板に弾性被膜を施した板材からなっている。図3図4に示すように、摩擦パッド3は、裏板101においてパッドスプリング7を介して取付部材2に支持され、図1に示すように、ライニング102においてディスク1に対向する。よって、摩擦パッド3は、ライニング102がディスク1に接触することになる。
【0029】
裏板101は、ライニング102が貼着される主板部105と、図7に示すように、主板部105のディスク周方向の両外側の端部からディスク周方向の外側に突出する凸状部106と、両側の凸状部106のそれぞれの主板部105側の部分から、ディスク軸方向に沿って突出する突出部108と、主板部105のディスク周方向に離間する二箇所から、ディスク軸方向に沿って突出する突起109とを有している。
【0030】
ここで、突出部108および突起109は、裏板101のライニング102とは反対側の他面101bに形成されている。言い換えれば、裏板101の板厚方向において、突出部108は、凸状部106からライニング102とは反対側に突出しており、突起109は、主板部105からライニング102とは反対側に突出している。両側の凸状部106は、ディスク周方向における主板部105とは反対側の両端縁部が、ライニング102とは反対側に突出している。裏板101は、ディスク周方向の中央を基準とした鏡面対称の形状をなしている。二箇所の突起109は、同形状であり、互いにディスク径方向の位置を合わせている。
【0031】
裏板101は、ディスク周方向に長い形状をなしており、よって、長手方向の両端部に凸状部106を有している。裏板101は、長手方向の両側の端面101cが長手方向に直交する平面となっており、一方の端面101cは一方の凸状部106の主板部105とは反対側の端部に、他方の端面101cは他方の凸状部106の主板部105とは反対側の端部に、それぞれ形成されている。
【0032】
二箇所の突起109は、ディスク径方向の長さがディスク周方向の長さよりも長い長円形状である。二箇所の突起109は、互いに反対に向くディスク周方向外側(裏板101のディスク周方向の中央とは反対側)の端縁部110(当接部)が、ディスク径方向に延びており、裏板101の長手方向に直交する面に平行となっている。すなわち、端縁部110のディスク周方向に向く外面がディスク径方向に延びており、裏板101の長手方向に直交する平面となっている。二箇所の突起109は、互いに対向するディスク周方向内側(裏板101のディスク周方向の中央側)の端縁部111も、ディスク径方向に延びており、裏板101の長手方向に直交する面に平行となっている。すなわち、端縁部111のディスク周方向に向く外面がディスク径方向に延びており、裏板101の長手方向に直交する平面となっている。端縁部110,111は、いずれも、裏板101を板厚方向に見た場合に、裏板101の長手方向の中心を通って該長手方向に直交する線に平行となっている。
【0033】
また、二箇所の突起109は、それぞれのディスク径方向の外側の端縁部112がディスク径方向の外側に凸の半円筒状となっている。すなわち、端縁部112におけるディスク径方向の外側に向く外面がディスク径方向の外側に向けて凸の半円筒面となっている。二箇所の突起109は、それぞれのディスク径方向の内側の端縁部113がディスク径方向の内側に凸の半円筒状となっている。すなわち、端縁部113におけるディスク径方向の内側に向く外面がディスク径方向の内側に向けて凸の半円筒面となっている。
【0034】
シム104は、裏板101の主板部105を覆うように配置される平板状の基板部114を有しており、また、裏板101とは反対側に折り返された折返部115を有している。基板部114の折返部115の基端位置には基板部114を板厚方向に貫通する穴部116が形成されている。基板部114にあるシム104の長手方向両側の端縁部104aは、シム104の長手方向に直交して延びている。シム104は、一枚の板材から内側範囲の一部が切り起こされることによって基板部114に折返部115が形成された形状となり、よって、穴部116は、板材において切り起こされる前の折返部115が存在していた部分である。
【0035】
折返部115は、基板部114の穴部116のディスク周方向の外側(シム104のディスク周方向の中央とは反対側)からディスク周方向の内側(シム104のディスク周方向の中央側)に向けて延出しつつ裏板101とは反対側に延出した後、さらに裏板101とは反対側に延出しつつディスク周方向の外側に向け延出するように湾曲形状で折り返された湾曲部117(当接部)と、湾曲部117の基板部114とは反対側の端縁部からディスク周方向の外側に延出する平板状の先端板部118と、を有している。
【0036】
湾曲部117は、シム104の長手方向に対し直交する面内で基板部114に平行な線を中心とするテーパ筒部であってディスク径方向の外側ほど小径となるテーパ筒部を、その中心軸を含みシム104の長手方向に対し直交する面で半分に切断した形状となっている。よって、湾曲部117は、半円錐筒状であって、ディスク径方向に延びており、基板部114に平行な面で切断すると、切り口が直線状であってディスク径方向の外側ほど、シム104の長手方向の中心を通って該長手方向に直交する面から離れている。言い換えれば、シム104を板厚方向に見た場合に、湾曲部117は、ディスク径方向の外側ほど、シム104の長手方向の中心を通って該長手方向に直交する線から離れている。具体的には、湾曲部117における湾曲の外側に向く外面が上記形状となっている。湾曲部117に繋がる先端板部118は、ディスク径方向の外側ほど基板部114に近づくように傾斜している。
【0037】
シム104は、一方の穴部116内に一方の突起109を配置し、他方の穴部116内に他方の突起109を配置しつつ、基板部114において裏板101の主板部105に当接する。その際に、シム104は、例えば粘着性のあるグリスで基板部114が裏板101の主板部105へ当接する状態に保持される。シム104は、両方の穴部116が両方の突起109に対し移動できる範囲で裏板101に対する相対移動が可能となっている。
【0038】
ディスク周方向においては、一方の穴部116に配置された一方の突起109が、その端縁部110で、この穴部116の端縁部から延出する一方の折返部115に当接し、この穴部116のディスク周方向内側の端縁部190から離間した状態で、他方の穴部116に配置された他方の突起109が、この穴部116の端縁部から延出する他方の折返部115およびこの穴部116のディスク周方向内側の端縁部190から離間することになる。また、他方の穴部116に配置された他方の突起109が、その端縁部110で、この穴部116の端縁部から延出する他方の折返部115に当接し、この穴部116のディスク周方向内側の端縁部190から離間した状態で、一方の穴部116に配置された一方の突起109が、この穴部116の端縁部から延出する一方の折返部115およびこの穴部116のディスク周方向内側の端縁部190から離間することになる。シム104は、ディスク周方向においては、これらの間で裏板101に対し移動する。
【0039】
また、ディスク径方向においては、シム104が裏板101に対しディスク径方向外方に相対移動すると、穴部116のディスク径方向内側の端縁部191が突起109の端縁部113に当接することになり、逆にシム104が裏板101に対しディスク径方向内方に相対移動すると、穴部116のディスク径方向外側の端縁部192が突起109の端縁部112に当接することになる。シム104は、ディスク径方向においては、これらの間で裏板101に対し移動する。
【0040】
以上により、シム104と裏板101とは、折返部115と突起109とが当接することでディスク周方向の相対移動が制限されるようになっている。折返部115は、突起109に当接する際に、湾曲部117において当接する。よって、折返部115は、突起109に当接する当接部である湾曲部117が、ディスク径方向に延び、ディスク径方向の外側ほど、シム104の長手方向の中心を通って該長手方向に直交する面から離れている。突起109は、折返部115に当接する際に、端縁部110において当接する。よって、突起109は、折返部115に当接する当接部としての端縁部110が、ディスク径方向に延びており、裏板101の長手方向に直交する面に平行になっている。
【0041】
シム104は、両方の穴部116のディスク径方向内側の端縁部191が同時に裏板101のそれぞれ対応する突起109に当接した状態で、両方の湾曲部117が、それぞれに対向する突起109の端縁部110に対してディスク径方向外側ほど離れるように傾斜している。
【0042】
一対の摩擦パッド3のうちのインナ側の摩擦パッド3は、図3に示すように、一対の凸状部106が、ディスク1に対し同じインナ側にある一対のインナ側トルク受部12に取り付けられた一対のパッドスプリング7の案内部82に挿入されることになり、その際に、一対の凸状部106がそれぞれ、バネ板部96を弾性変形させた状態で板部84とバネ板部96とに挟持される。それと共に、摩擦パッド3は、主板部105がバネ板部95をディスク周方向に弾性変形させる。このように一対のパッドスプリング7を介して取付部材2に取り付けられたインナ側の摩擦パッド3は、ディスク1の一面側に位置して取付部材2に対してディスク軸方向に移動可能となる。
【0043】
一対の摩擦パッド3のうちアウタ側の摩擦パッド3は、図4に示すように、一対の凸状部106が、ディスク1に対し同じアウタ側にある一対のアウタ側トルク受部14に取り付けられた一対のパッドスプリング7の案内部82に挿入されることになり、その際に、一対の凸状部106がそれぞれバネ板部96を弾性変形させた状態で板部84とバネ板部96とに挟持される。それと共に、摩擦パッド3は、主板部105がバネ板部95をディスク周方向に弾性変形させる。このように一対のパッドスプリング7を介して取付部材2に取り付けられたアウタ側の摩擦パッド3は、ディスク1の他面側に位置して取付部材2に対してディスク軸方向に移動可能となる。よって、一対の摩擦パッド3はディスク1の両面側に位置して取付部材2に対してディスク軸方向に移動可能に取り付けられている。
【0044】
各パッドスプリング7は、取付部材2に取り付けられて対応する摩擦パッド3を弾性的に支持する。凸状部106は、パッドスプリング7の案内部82の板部84、基板部83およびバネ板部96に案内されてディスク軸方向に移動する。言い換えれば、パッドスプリング7の案内部82が、支持している摩擦パッド3をディスク軸方向に案内する。支持している摩擦パッド3の凸状部106は、バネ板部96の付勢力によってディスク径方向の外側に押圧されて板部84に当接することになり、この摩擦パッド3がディスク径方向の内側に力を受けると、バネ板部96を弾性変形させながらディスク径方向の内側に若干移動する。摩擦パッド3は、バネ板部95の付勢力によって凸状部106が基板部83から離れる方向に押圧されることになり、これとは逆向きにディスク周方向の力を受けると、バネ板部95を弾性変形させながらディスク周方向に移動して、凸状部106を、パッドガイド部20の奥面に当接する基板部83に当接させる。
【0045】
図3に示すように、インナ側トルク受部12の凹状のパッドガイド部20には、インナ側の摩擦パッド3の凸状部106が、パッドスプリング7の案内部82を介して入れ子状に配置されることになる。よって、インナ側トルク受部12のパッドガイド部20は、インナ側の摩擦パッド3の凸状部106のディスク径方向の移動を、板部84と、板部85およびバネ板部96とを介して規制する。また、インナ側トルク受部12のパッドガイド部20は、インナ側の摩擦パッド3の凸状部106からディスク周方向の制動トルクを基板部83を介して受ける。
【0046】
図4に示すように、アウタ側トルク受部14の凹状のパッドガイド部20には、アウタ側の摩擦パッド3の凸状部106が、パッドスプリング7の案内部82を介して入れ子状に配置されることになる。よって、アウタ側トルク受部14のパッドガイド部20は、アウタ側の摩擦パッド3の凸状部106のディスク径方向の移動を、板部84と、板部85およびバネ板部96とを介して規制する。また、アウタ側トルク受部14のパッドガイド部20は、アウタ側の摩擦パッド3の凸状部106からディスク周方向の制動トルクを基板部83を介して受ける。
【0047】
図3に示すように、インナ側の摩擦パッド3には、ディスク回入側のインナ側トルク受部12に当接して摩擦パッド3をディスク1から離す方向に付勢するバネ材119が、ディスク回入側の突出部108に、突出部108を加締めることによって取り付けられている。
【0048】
図4に示すように、アウタ側の摩擦パッド3にも、ディスク回入側のアウタ側トルク受部14に当接して摩擦パッド3をディスク1から離す方向に付勢するバネ材119が、ディスク回入側の突出部108に、突出部108を加締めることによって取り付けられている。
【0049】
以上により、取付部材2においては、インナ側トルク受部12が、インナ側の摩擦パッド3の制動トルクを受承するようにディスク回入側とディスク回出側とにそれぞれ形成されており、アウタ側トルク受部14が、アウタ側の摩擦パッド3の制動トルクを受承するようにディスク回入側とディスク回出側とにそれぞれ形成されている。
【0050】
図1に示すように、キャリパ5は、キャリパボディ120と、ピストン121と、ピストンシール122と、ピストンブーツ123とを備えている。キャリパ5は、ほぼ鏡面対称の形状となっている。
【0051】
キャリパボディ120は、鋳造により一体成形されており、ディスク1に対しディスク軸方向のインナ側に配置されるシリンダ部126と、シリンダ部126のディスク径方向の外側からディスク1の外周を跨ぐようにディスク軸方向に沿って延出するブリッジ部127と、ブリッジ部127のシリンダ部126とは反対側からディスク径方向の内側に延出してディスク1のディスク軸方向の他側に位置する爪部128と、図2に示すように、シリンダ部126からディスク周方向の両側に延出する一対のピン取付部131とを有している。
【0052】
キャリパボディ120は、ディスク回入側のピン取付部131にスライドピン37が取り付けられており、ディスク回出側のピン取付部131にもスライドピン37が取り付けられている。一対のブーツ6は、それぞれ、ピン挿嵌部13から突出するスライドピン37を被覆している。
【0053】
図1に示すように、シリンダ部126には、爪部128側に向けて一端が開口しディスク軸方向のディスク1とは反対側に向けて凹むシリンダボア135が形成されている。シリンダ部126には、シリンダボア135が複数、具体的には2カ所設けられている。これらのシリンダボア135は、同形状であり、ディスク軸方向およびディスク径方向の位置を合わせ、ディスク周方向の位置をずらして、ディスク周方向に並んで設けられている。
【0054】
複数のシリンダボア135が形成されることにより、シリンダ部126は、爪部128とは反対側に、複数のシリンダボア135の内底面138を含むシリンダ底部136を有しており、シリンダ底部136から爪部128側に延出して複数のシリンダボア135の壁面139を含むシリンダ胴部137を有している。
【0055】
シリンダボア135には、それぞれ、ピストン121がディスク軸方向に移動可能となるように配置されている。シリンダボア135の壁面139は、ピストン121の移動を案内する円筒面であるガイド内周面141を有している。シリンダボア135の壁面139は、ガイド内周面141よりもシリンダ底部136側に、ガイド内周面141よりも径方向外方に凹む円環状の大径溝142を有している。シリンダボア135の壁面139は、ガイド内周面141のシリンダ底部136とは反対側の中間位置に、ガイド内周面141よりも径方向外方に凹む円環状のピストンシール溝145を有している。
【0056】
シリンダ部126には、シリンダボア135よりも爪部128側に、シリンダボア135のガイド内周面141よりも径方向外方に凹む円環状のブーツ嵌合穴148が形成されている。ブーツ嵌合穴148の底部にシリンダボア135の開口部151が開口している。シリンダ部126のシリンダ底部136には、図3に示すように配管穴155が形成されている。配管穴155は、キャリパボディ120のディスク周方向の中央位置に設けられており、シリンダ部126内で分岐して各シリンダボア135に連通している。
【0057】
図4に示すように、爪部128には、ディスク径方向内側の端縁部からディスク径方向外方に凹むリセス161が複数、具体的には2カ所設けられている。これらのリセス161は、同形状であり、ディスク軸方向およびディスク径方向の位置を合わせ、ディスク周方向の位置をずらして、ディスク周方向に並んで設けられている。一方のリセス161は、一方のシリンダボア135を加工する工具が挿通される部分であり、このシリンダボア135とディスク径方向およびディスク周方向の位置を合わせている。他方のリセス161は、他方のシリンダボア135を加工する工具が挿通される部分であり、このシリンダボア135とディスク径方向およびディスク周方向の位置を合わせている。
【0058】
図1に示すように、ピストン121は、円板状のピストン底部171と円筒状のピストン胴部172とを備えている。ピストン121は、ピストン胴部172のピストン底部171とは反対側の端部が開口された有底筒状に形成されている。ピストン胴部172には、その軸方向のピストン底部171と反対側に、円筒面からなる外径面174よりも径方向内方に凹む円環状の係止溝175が形成されている。ピストン121は、ピストン底部171がシリンダボア135内でシリンダ底部136側に位置する向きでシリンダボア135に収容されており、この状態で、爪部128側の開口する先端がシリンダボア135よりも爪部128側に突出している。ピストン121には、このようにシリンダボア135よりも突出する先端側に係止溝175が形成されている。
【0059】
ピストンシール122は、シリンダボア135のピストンシール溝145に嵌合されており、このピストンシール122の内周側にピストン121が嵌合されている。ピストンシール122は、シリンダ部126とピストン121との隙間をシールすると共に、シリンダボア135のガイド内周面141とでピストン121をディスク軸方向に移動可能に支持する。
【0060】
ピストンブーツ123は、蛇腹状であり、一端側がシリンダ部126のブーツ嵌合穴148に嵌合するとともに他端側がピストン121の係止溝175に嵌合する。ピストンブーツ123は、ピストン121の係止溝175よりもシリンダボア135側の部分のシリンダ部126から露出する外周部を覆うことになり、ピストン121のシリンダ部126に対する移動に伴って伸縮する。
【0061】
ここで、シリンダ部126のシリンダ底部136およびシリンダ胴部137のシリンダ底部136側の部分と、シリンダボア135に嵌合されたピストン121との間が、配管穴155を介して作動液が給排される液圧室180となっている。シリンダボア135がディスク周方向に並んで複数、具体的には2カ所設けられる結果、液圧室180もディスク周方向に並んで複数、具体的には2カ所設けられている。
【0062】
図4に示すように、アウタ側の摩擦パッド3は、ディスク周方向一側の突起109および折返部115が爪部128のディスク周方向一側のリセス161内に配置され、ディスク周方向他側の突起109および折返部115がディスク周方向他側のリセス161内に配置されている。そして、アウタ側の摩擦パッド3は、シム104の基板部114において爪部128に当接する。ディスクブレーキ10が非制動状態にあるとき、摩擦パッド3の二箇所の突起109の端縁部110は、ディスク1の中心軸線を含んでキャリパ5のディスク周方向の中心を通る面に平行となっている。
【0063】
図示は略すが、インナ側の摩擦パッド3は、ディスク周方向一側の突起109および折返部115がディスク周方向一側のピストン121のピストン胴部172内に配置され、ディスク周方向他側の突起109および折返部115がディスク周方向他側のピストン121のピストン胴部172内に配置されている。そして、インナ側の摩擦パッド3は、シム104の基板部114において両方のピストン121に当接する。
【0064】
なお、摩擦パッド3は、インナ側とアウタ側とで同一形状の共通部品が使用されることになるが、インナ側に取り付けた場合と、アウタ側に取り付けた場合とでは、例えばディスク回入側に位置する折返部115と突起109との組み合わせが逆になる。すなわち、摩擦パッド3をインナ側に取り付けた場合に一方の折返部115と一方の突起109とがディスク回入側に位置し、アウタ側に取り付けた場合には他方の折返部115と他方の突起109とがディスク回入側に位置することになる。
【0065】
ディスクブレーキ10には、図示略のブレーキ配管を介して、キャリパ5の配管穴155内に作動液が導入されると、作動液は2カ所の液圧室180に導入される。すると、2カ所の液圧室180のそれぞれにおいて、キャリパ5のピストン121にブレーキ液圧が作用する。その結果、両方のピストン121が、ディスク1側に前進し、これらピストン121とディスク1との間に配置されたインナ側の摩擦パッド3をディスク1に向かって押圧する。これにより、インナ側の摩擦パッド3が移動してディスク1に接触する。また、この押圧の反力で、キャリパボディ120が取付部材2に対しスライドピン37をスライドさせてディスク軸方向に移動し、爪部128が、爪部128とディスク1との間に配置されたアウタ側の摩擦パッド3をディスク1に向かって押圧する。これにより、アウタ側の摩擦パッド3が、ディスク1に接触する。このようにして、キャリパ5は、複数のピストン121の作動により、これらピストン121と爪部128とで一対の摩擦パッド3を両側から挟持してディスク1の両面に押圧する。その結果、キャリパ5は、ディスク1に摩擦抵抗を付与して、制動力を発生させる。キャリパ5は、フィスト型キャリパである。
【0066】
ここで、上記の制動時に、アウタ側の摩擦パッド3は、シム104が爪部128に当接し、パッド本体103のライニング102が回転中のディスク1に当接する。このとき、シム104は爪部128から大きなクランプ力を受けており、シム104と爪部128とは相対移動しないが、ディスク1に当接したライニング102はディスク1から受けるディスク周方向の力により接線方向に移動するため、パッド本体103はシム104に対して相対移動することになる。その結果、シム104は、ディスク回入側の折返部115の湾曲部117が裏板101のディスク回入側の突起109の端縁部110に当接する。
【0067】
しかも、ライニング102がディスク1から受ける摩擦力は、ディスク回入側ではシム長手方向だけでなくディスク径方向外側に向かう力成分も含み、かつディスク回出側ではシム長手方向だけでなくディスク径方向内側に向かう力成分も含む。これらのディスク径方向の力成分が作用することにより、シム104は、裏板101に対してディスク回出側がディスク回入側よりもディスク径方向内側に位置するような回転モーメントが発生することになる。
【0068】
このような裏板101に対するシム104の回転により、湾曲部117が裏板101のディスク回入側の突起109の端縁部110に対し平行に近い角度で当接する状態になり、面当たりで当接することになる。これにより、湾曲部117に生じる応力を低減することが可能となる。したがって、シム104の耐久性を向上することが可能となる。なお、インナ側の摩擦パッド3についても、同様に湾曲部117に生じる応力を低減することが可能となり、シム104の耐久性を向上することが可能となる。
【0069】
ここで、シム104の長手方向の中心を通って該長手方向に直交する面に対する湾曲部117の傾斜角度について有限要素法解析により解析を行った。その結果、この傾斜角度を3°とすると、シムを裏板に加締めて取り付ける構造のものと比べて最小主応力を50%低減できることがわかった。また、上記傾斜角度を8°とすると、シムを裏板に加締めて取り付ける構造のものと比べて最小主応力を78.5%低減できることがわかった。なお、湾曲部117の曲げ加工を容易とするためには、上記傾斜角度を3度とするのが好ましい。車両の重量や、キャリパ5の形状の違いに合わせて、上記傾斜角度を調整して対応することが可能である。
【0070】
特許文献1に記載の摩擦パッドは、裏板のライニングとは反対に内側シムおよび外側シムの二枚を配置している。そして、内側シムおよび外側シムのそれぞれに複数の係止片を形成し、内側シムおよび外側シムを、これら係止片において裏板に係止するようになっている。ところで、シムの耐久性向上が望まれている。
【0071】
実施形態の摩擦パッド3およびこれを備えたディスクブレーキ10は、摩擦パッド3のシム104の折返部115における、裏板101の突起109に当接する湾曲部117が、ディスク径方向に延び、ディスク径方向の外側ほど、シム104の長手方向の中心を通って該長手方向に直交する面から離れている。よって、シム104が制動時に生じるモーメントで裏板101に対して傾いた際に、湾曲部117が突起109に当接することで生じる応力を低減することができる。したがって、シム104の耐久性を向上することが可能となる。しかも、シム104を裏板101に対し加締めて取り付けずに済むため、製造効率を向上することができる。
【0072】
また、裏板101の突起109は、シム104の折返部115に当接する端縁部110が、ディスク径方向に延びており、裏板101の長手方向に直交する面に平行になっている。よって、突起109の端縁部110は、シム104が制動時に生じるモーメントで裏板101に対して傾いた際に、湾曲部117に面当たりで当接することが可能となり、湾曲部117が突起109に当接することで生じる応力を低減することができる。したがって、シム104の耐久性を向上することが可能となる。
【0073】
また、突起109は、ディスク径方向の長さがディスク周方向の長さよりも長いため、突起109の大型化を抑制しつつディスク径方向に延びる端縁部110を設けることができる。
【0074】
なお、湾曲部117を、シム104の長手方向に直交する面に対しディスク径方向の外側ほどディスク周方向の外側に位置するように傾斜する面に配置されて基板部114に平行をなす線を中心とする円筒部を、その中心軸を含み基板部114に直交する面で半分に切断した形状としても良い。このような半円筒形状であっても、湾曲部117は、ディスク径方向に延び、基板部114に平行な面で切断すると、切り口が直線状であってディスク径方向の外側ほど、シム104の長手方向の中心を通って該長手方向に直交する面から離れることになる。
【0075】
以上に述べた実施形態の第1の態様のブレーキ用摩擦パッドは、裏板と、該裏板の一面に貼り付けられたライニングと、前記裏板の前記ライニングとは反対側の他面に配置されたシムと、を備え、前記ライニングにおいてディスクに接触するブレーキ用摩擦パッドであって、前記裏板は、前記他面に突起を有し、前記シムは、前記裏板とは反対側に折り返され、前記突起と当接することで前記シムと前記裏板とのディスク周方向の相対移動を制限する折返部を有し、前記折返部は、前記突起に当接する当接部が、ディスク径方向に延び、ディスク径方向の外側ほど、前記シムの長手方向の中心を通って該長手方向に直交する面から離れていることを特徴とする。これにより、シムの耐久性を向上することが可能となる。
【0076】
また、第2の態様は、第1の態様において、前記突起は、前記折返部に当接する当接部が、ディスク径方向に延びており、前記裏板の長手方向に直交する面に平行であることを特徴とする。
【0077】
また、第3の態様は、第1または第2の態様において、前記突起は、ディスク径方向の長さがディスク周方向の長さよりも長いことを特徴とする。
【0078】
また、第4の態様のディスクブレーキは、第1乃至第3のいずれか一態様のブレーキ用摩擦パッドを備えている。
【符号の説明】
【0079】
1 ディスク
3 摩擦パッド(ブレーキ用摩擦パッド)
10 ディスクブレーキ
101 裏板
101a 一面
101b 他面
102 ライニング
104 シム
109 突起
110 端縁部(当接部)
115 折返部
117 湾曲部(当接部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7