特許第6952603号(P6952603)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6952603クラミジア活性化B細胞プラットフォーム及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6952603
(24)【登録日】2021年9月30日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】クラミジア活性化B細胞プラットフォーム及びその方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0781 20100101AFI20211011BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20211011BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20211011BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20211011BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20211011BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20211011BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20211011BHJP
   A61K 39/118 20060101ALN20211011BHJP
   A61K 35/74 20150101ALN20211011BHJP
【FI】
   C12N5/0781
   A61K39/00 H
   A61K35/17 Z
   A61K35/17 A
   A61P31/00
   A61P35/00
   A61P37/04
   A61P43/00 107
   !A61K39/118
   !A61K35/74 Z
【請求項の数】39
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2017-541938(P2017-541938)
(86)(22)【出願日】2016年2月10日
(65)【公表番号】特表2018-506282(P2018-506282A)
(43)【公表日】2018年3月8日
(86)【国際出願番号】US2016017338
(87)【国際公開番号】WO2016130667
(87)【国際公開日】20160818
【審査請求日】2019年1月16日
(31)【優先権主張番号】62/114,349
(32)【優先日】2015年2月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/247,827
(32)【優先日】2015年10月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514137997
【氏名又は名称】オハイオ・ステイト・イノベーション・ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141195
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 恵美子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】チェアプス,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ミグエル,ロドルフォ ヴィセッチ
【審査官】 安川 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−528955(JP,A)
【文献】 特表2008−527051(JP,A)
【文献】 Proc. Natl. Acad. Sci.,1995年,vol. 92,p. 3348-3352
【文献】 Infection and Immunity,2013年,vol. 81, no. 1,p. 303-310
【文献】 The Journal of Immunology,1986年,vol. 136,p. 4249-4254
【文献】 Infection and Immunity,1984年,p. 84-92
【文献】 Vaccines,2014年,vol. 2,p. 323-353
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
A61K
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的とする抗原に対する活性化された抗原提示細胞(APC)をインビトロ又はエクスビボで作製するための、プラットフォームであって、
a.クラミジア種と、
b.B細胞の集団と、
c.抗原と、を含み、
前記抗原が、クラミジア種に由来しない、かつ、
前記作製が、対象由来のB細胞をクラミジア種に曝露することと、クラミジア種に曝露された前記B細胞をクラミジア種に由来しない目的の抗原に曝露し、それにより、活性化された抗原提示B細胞であって、クラミジア種に曝露されることにより活性化された前記B細胞(CAB)を得ることにより行われることである、プラットフォーム。
【請求項2】
前記APCが、クラミジア種に曝露されることにより活性化されたB細胞(CAB)である、請求項1に記載のプラットフォーム。
【請求項3】
前記クラミジア種が、C.トラコマチス、C.シッタシ、又はC.ムリダルムを含む、請求項1又は2に記載のプラットフォーム。
【請求項4】
前記クラミジア種が、不活性である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラットフォーム。
【請求項5】
クラミジア種が、クラミジアの主要外膜(MOMP)タンパク質を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラットフォーム。
【請求項6】
前記プラットフォームが、1つを超える抗原を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプラットフォーム。
【請求項7】
前記プラットフォームが、2つを超える抗原を含む、請求項6に記載のプラットフォーム。
【請求項8】
c)の前記抗原が、腫瘍関連抗原を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプラットフォーム。
【請求項9】
c)の前記抗原が、感染性因子を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のプラットフォーム。
【請求項10】
クラミジア種に曝露されることにより活性化された前記B細胞(CAB)が、不活性B細胞と比較して、100%以上多く増殖する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のプラットフォーム。
【請求項11】
クラミジア種に曝露されることにより活性化された前記B細胞(CAB)が、不活性B細胞と比較して、より高い主要組織適合複合体(MHC)及び共刺激分子発現レベルを有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のプラットフォーム。
【請求項12】
クラミジア種に曝露されることにより活性化された前記B細胞(CAB)が、不活性B細胞と比較して、抗原を提示し、T細胞を活性化するための改善された能力を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプラットフォーム。
【請求項13】
クラミジア種に曝露されることにより活性化された前記B細胞(CAB)の集団が、不活性B細胞を上回る速度で、二次リンパ器官に移動する、請求項1〜12のいずれか一項に記載のプラットフォーム。
【請求項14】
クラミジア種に曝露されることにより活性化された前記B細胞(CAB)の集団が、不活性B細胞を上回る速度で、T細胞動員を増強するように、サイトカインを分泌する、請求項1〜13のいずれか一項に記載のプラットフォーム。
【請求項15】
前記プラットフォームが、エクスビボまたはインビトロで使用するためのものである、請求項1〜14のいずれか一項に記載のプラットフォーム。
【請求項16】
対象において、目的とする抗原に対する活性化された抗原提示B細胞であって、クラミジア種に曝露されることにより活性化された前記B細胞(CAB)を産生するためのインビトロ又はエクスビボの方法であって、
b.対象由来のB細胞を、クラミジア種に曝露することと、
c.工程b)の前記B細胞を、クラミジア種に由来しない所望の抗原に曝露し、それにより、活性化された抗原提示B細胞であって、クラミジア種に曝露されることにより活性化された前記B細胞(CAB)を得ることと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記クラミジア種が、C.トラコマチス、C.シッタシ、又はC.ムリダルムを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
工程c)が、タンパク質、ペプチド、核酸、脂質、炭水化物、又はそれらの断片を、工程b)の前記B細胞に架橋する工程を含み、前記タンパク質、ペプチド、核酸、脂質、炭水化物、若しくはそれらの断片が、抗原である、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
工程b)の対象由来の前記B細胞が、血液、末梢血単核細胞(PBMC)、骨髄またはンパ器官から得られるものである、請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記クラミジア種が、不活性である、請求項16〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
工程c)において、前記B細胞が、1つを超える抗原に曝露若しくは架橋されるか、又は1つを超える抗原が、同時に使用される、請求項16〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
工程c)の前記抗原が、腫瘍関連抗原または感染性因子を含む、請求項16〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
請求項16に記載の方法によって産生される、クラミジア種に曝露されたB細胞を、クラミジア種に由来しない所望の抗原に曝露し、それによって得られた、活性化された抗原提示B細胞。
【請求項24】
b.対象由来のB細胞を、クラミジア種に曝露することと、
c.工程b)の前記B細胞を、クラミジア種に由来しない目的とする抗原に曝露することにより得られた、活性化された抗原提示B細胞であって、クラミジア種に曝露されることにより活性化されたB細胞(CAB)を含む、医薬組成物。
【請求項25】
対象における感染性疾患又は癌を治療または予防するための医薬組成物であって、
b.対象由来のB細胞を、クラミジア種に曝露することと、
c.工程b)の前記B細胞を、クラミジア種に由来しない目的とする抗原に曝露することにより得られた、活性化された抗原提示B細胞であって、クラミジア種に曝露されることにより活性化されたB細胞(CAB)を含む、前記組成物。
【請求項26】
前記クラミジア種が、C.トラコマチス、C.シッタシ、又はC.ムリダルムを含む、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
工程c)が、タンパク質、ペプチド、核酸、又はそれらの断片を、工程b)の前記B細胞に架橋する工程を含み、前記タンパク質、ペプチド、核酸、又はそれらの断片が、抗原である、請求項25又は26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
工程b)の対象由来の前記B細胞が、血液、末梢血単核細胞(PBMC)、骨髄またはリンパ器官から得られる、請求項25〜27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記クラミジア種が、不活性である、請求項25〜28のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記クラミジア種タンパク質が、主要外膜(MOMP)タンパク質を含む、請求項25〜29のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
工程c)において、前記B細胞が、1つを超える抗原に曝露又は架橋される、請求項25〜30のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記対象が、癌を有する、請求項25〜31のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
工程c)の前記抗原が、腫瘍関連抗原である、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記対象が、感染性疾患を有する、請求項25〜31のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
工程c)の前記抗原が、前記感染性疾患に特異的である、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記工程b)および工程c)が、インビトロで行われるか、またはエクスビボで行われる、請求項25〜35のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記対象が、哺乳類である、請求項25〜36のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記哺乳類が、ヒトである、請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
ワクチンである、請求項24〜38のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2015年2月10日に出願された米国仮出願第62/114,349号、及び2015年10月29日に出願された米国仮出願第62/247,827号の利益を主張するものであり、これらの双方は、それらの全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
樹状細胞(DC)は、強力な抗原提示細胞(APC)であると考えられており、感染性疾患及び癌に対する防御免疫の有効な誘導因子である。これらは、細胞性ワクチンとしてのDC、特に、末梢血単球から分化したDCの使用に対する強い関心を引き起こしてきた。しかしながら、DCを使用する臨床試験は、非常に低率の全体的な臨床応答を実証してきたのみであり、DC系ワクチンを改善する必要性を強調している。これらの細胞療法の成功に対する具体的な制限は、DCがエクスビボで増殖させることができないため、単球から産生することができるDCの数が限られていることであり、長期的な多回投与プロトコルにおける使用のためにこれらの細胞を大量に生成することは困難である。更に、DCは、凍結保存後、免疫応答をプライムするためのそれらの能力における著しい程度の変動性を有する。より多くのDC数及び治療が、より強固な抗腫瘍免疫を生じさせ、かつ臨床応答を改善することが示されているため、これらの制限は特に意味を持つ。
【0003】
B細胞は、多くの強力なAPCを提示し、免疫療法の目的上、エクスビボで生成することができる、DCの唯一の自己APC代替物である可能性が高い。B細胞は、T細胞耐性を誘導する、又は更にはインビボで抗腫瘍免疫応答を遮断することが説明されている一方で、これらの報告は、重要なアクセサリ及び共刺激分子発現を欠く休止B細胞に制限されていた。他方で、B細胞は、サイトカイン又はToll様受容体(TLR)リガンドとの組み合わせにおいて、CD40Lを発現する細胞によって、有効なAPCになるように活性化させることができるが、しかしながら、これらのアプローチは、最適なB細胞活性化(TLRリガンド)を誘導しなかったか、又は細胞株(CD40L)の使用を必要とし、これらの制限により、それらは臨床用途に対して不適である。
【0004】
活性化B細胞は、MHC及び共刺激分子発現を増強し、未感作及び記憶T細胞を完全に活性化させるための大幅に改善された抗原提示能力を呈する。また、重要なことには、活性化B細胞は、ケモカインの分泌を通じてT細胞を動員し、二次リンパ器官に移動する(migrate)ことができ、これは、有効な抗腫瘍免疫応答のインビボ誘導に対する非常に重要な要件である。B細胞はエクスビボで容易に得ることができるため、それらは、免疫療法用途に対する魅力的な自己APC源に相当する。更に、活性化B細胞は、MHCクラスI及びIIを発現し、したがって、広範な抗原とともに使用される。よって、複数の種類の腫瘍及び感染性疾患を標的と細胞性ワクチンを提供するために、B細胞の活性化及び増殖を誘導する実用的な方法が、当該技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
活性化された抗原提示細胞(APC)を作製するためのプラットフォームが、本明細書に開示され、当該プラットフォームは、a)クラミジア種(Chlamydia spp.)(C.トラコマチス、C.シッタシ、及びC.ムリダルムを含む)、又はその活性化(activating)タンパク質、ペプチド、若しくは断片と、b)B細胞の集団と、c)抗原と、を含み、当該抗原は、クラミジア種(C.トラコマチス、C.シッタシ、及びC.ムリダルムを含む)、又はそのタンパク質、ペプチド、若しくは断片に由来しない。
【0006】
対象において活性化された抗原提示クラミジア活性化B細胞(Chlamydia-activated B cell)を産生するための方法も開示され、当該方法は、a)対象からB細胞を得ることと、b)工程a)からのB細胞を、クラミジア種(C.種(C.トラコマチス、C.シッタシ、及びC.ムリダルムを含む)を含む、又はその活性化タンパク質、ペプチド、若しくは断片に曝露することと、c)工程b)のB細胞を、C.種(C.トラコマチス、C.シッタシ、及びC.ムリダルムを含む)、又はそのタンパク質、ペプチド、若しくは断片に由来しない所望の抗原に曝露し、それにより、活性化された抗原提示クラミジア活性化B細胞(CAB)を得ることと、を含む。
【0007】
治療を必要とする対象を治療する方法も開示され、当該方法は、a)対象からB細胞を得ることと、b)工程a)からのB細胞を、クラミジア種(C.トラコマチス、C.シッタシ、及びC.ムリダルムを含む)、又はその活性化タンパク質、ペプチド、若しくは断片に曝露することと、c)工程b)のB細胞を、クラミジア種(C.トラコマチス、C.シッタシ、及びC.ムリダルムを含む)、又はそのタンパク質、ペプチド、若しくは断片に由来しない抗原に曝露し、それにより、活性化された抗原提示クラミジア活性化B細胞(CAB)を得ることと、d)対象を、工程c)の活性化された抗原提示クラミジア活性化B細胞で治療することと、を含む。
【0008】
本発明の1つ若しくは2つ以上の実施形態の詳細が、添付の図面及び以下の説明において記載される。本発明の他の特性、目的、及び利点は、説明及び図面から、並びに請求項から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】マウス、マカク、及びヒトB細胞を活性化させるC.トラコマチスの概略図を示す。CABはまた、イヌ及びネコにおいても生成されている。
図2】CABが、可溶性抗原をクロスプライミングし、抗原特異的CD8+T細胞を活性化することができるということを実証するために使用される、実験計画を描写する概略図を示す。トランスジェニックOT−Iマウスに対するT細胞受容体(TCR)は、オボアルブミン(OVA)に対して特異的であり、これらの細胞は、脾臓から取得され、細胞増殖を判定するために蛍光マーカで標識され、次いで、OVAを負荷したCABでの野生型マウスの処置の1日前に、野生型マウスに移した。OT−I細胞の増殖は、フローサイトメトリーによって3日後に評価した。
図3】CABが、用量依存的に、インビボで抗原特異的CD8+T細胞をクロスプライミングすることができることを示す。
図4】ヒトCABが、共培養において7日後に、ヒト未感作CD4+及びCD8+T細胞の双方の強固な同種異系未感作T細胞増殖を促進することを示す。フローサイトメトリーを使用して、T細胞増殖を誘導するためのCABの能力を評価した。
図5】示される時点において、特異的抗原を負荷したCABで、インビボで処置されたアカゲザルを示す。次いで、これらの動物からのPBMCを使用して、抗原特異的T細胞応答を評価した。CAB処置は、インターフェロン−ガンマのT細胞分泌を大幅に増加させた。加えて、これらの処置からの認識可能な有害作用はなかった。
図6】C57BL/6Jマウスが、無負荷CAB(CAB)、又はB16メラノーマ特異的ペプチド(Trp−2及びgp100)を負荷したCAB(即ち、CAB−B16)でワクチン接種されたことを示す。次いで、マウスは、200,000のB16−F10細胞で静脈内チャレンジされた。18日後、肺腫瘍結節を計数した。左パネルは、無負荷CAB又はCAB−B16で処置されたマウスにおける、肺腫瘍結節の数を示し、右パネルは、双方の処置されたマウス群からの代表的な結果を示す。
図7】CABが、強固な抗腫瘍活性を伴って、内因性CTL応答をプライムすることを示す。E.G7−OVA腫瘍の皮下注射の前のOVA特異的CAB処置は、腫瘍発生を予防することができる。
図8】CABが、強固な抗ウイルス活性を伴って、内因性CTL応答をプライムすることを示す。致死的な眼内HSV−2チャレンジの前のHSV−1の免疫優勢エピトープ(gB498〜505)を負荷したCABは、致死的な感染から動物を救う。
図9】OVA負荷CABが、CTL免疫を促進することによって、早期に確立された腫瘍を制御することを示す。CAB処置は、腫瘍注射後、最初の5日までは投与されなかった。表示されるように、抗原特異的CAB処置は、腫瘍発生を著しく制限し、この効果は、マウスが内因性CD8 T細胞が枯渇した抗体で処置されるとき、無効化された。青色矢印は、CAB処置を示す。
図10】OVA負荷CABが、早期に確立された腫瘍を制御することを示す。これは、図9に示される経時的な腫瘍成長結果を伴う。
図11】αGCが、CAB治療有効性を増加させることを示す。CABに、CAB有効性を最適化する目的で、注射の前にαGCを負荷した。マウスではなくCABが、αGCで処理さたため、これは、インビボαGC投与と関連付けられる毒性を回避した。青色矢印は、CAB処置を示す。
図12】OVA(SIINFEKL)の免疫優勢ペプチドのCABへの架橋が、それらの治療有効性の一貫性を増加させることを示す。ゼロ長架橋は、水溶性1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドを使用して実施される。青色矢印は、CAB処置を示す。
図13】抗原(OVA)のCABへの架橋の実施例を示す。左側のピークは、偽架橋を受けたCABを示す一方、右側のピークは、OVAで架橋されたCABを示す。CABの細胞表面上の架橋されたOVAの検出は、抗OVAモノクローナル抗体で実施した。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な説明
定義
「a」及び「an」という冠詞は、冠詞の文法上の目的語の1つ、又は1つを超える(即ち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「an element」は、1つの要素又は1つを超える要素を意味する。
【0011】
「約」とは、本明細書において使用される際、量、時間的な持続時間など等の測定可能な値を指すとき、かかる変動が、開示される方法を実施するのに適切である際、指定される値から.+−.20%又は.+−.10%、より好ましくは.+−.5%、更により好ましくは.+−.1%、なおより好ましくは.+−.0.1%の変動を包含することを意味する。
【0012】
「抗原組成物」という用語は、宿主又は対象において、免疫系を刺激し、免疫応答を生じさせる材料を含む組成物を指す。
【0013】
「免疫応答を生じさせる」という用語は、抗原等の刺激に応答したインビボでの免疫細胞の刺激を指す。免疫応答は、細胞免疫応答、例えば、T細胞及びマクロファージ刺激と、体液性免疫応答、例えば、B細胞及び補足刺激並びに抗体産生の双方からなる。免疫応答は、抗体イムノアッセイ、増殖アッセイ、及び他のものが挙げられるが、これらに限定されない、当該技術分野において公知の技術を使用して測定され得る。
【0014】
「ワクチン」という用語は、本明細書に使用される際、本明細書において説明される組み換えウイルスを含む組成物を指し、これは、対象において、ウイルスに対する免疫を確立するために有用である。ワクチンが、薬学的に許容される担体及び/又はアジュバントを含むことが企図される。ワクチンが、予防的又は治療的であることが企図される。
【0015】
「予防的」治療は、病変を発症するリスクを減少させる目的で、疾患の兆候を呈しないか、又は早期兆候のみを呈する対象に施される治療である。本明細書に開示されるワクチンは、病変を発症する可能性を低減するため、又は発症した場合、病変の重症度を最小化するために、予防的治療として与えることができる。
【0016】
「治療的」治療は、病変の兆候又は症状を呈する対象に、それらの兆候又は症状を減退又は排除する目的で施される治療である。兆候又は症状は、生化学的、細胞的、組織学的、機能的、主観的、又は客観的であり得る。
【0017】
「不活性化された」は、「殺滅された」又は「死滅した」微生物としても当該技術分野において既知である、クラミジア種(C.トラコマチス、C.シッタシ、及びC.ムリダルムを含む)等の微生物を説明するために本明細書において使用される。不活性化された細菌は、感染特性を有しない全細菌であり、細菌が以前に任意の様態で弱毒化されたかどうかにかかわらず、「生きている」細菌から産生される。
【0018】
ポリペプチドの「断片」は、全長ポリペプチド又はタンパク質発現産物よりも小さい、ポリペプチドの任意の部分を指す。断片は、一態様において、1つ若しくは2つ以上のアミノ酸残基が、全長ポリペプチドのアミノ末端及び/又はカルボキシ末端から除去されている、全長ポリペプチドの欠失アナログである。したがって、「断片」は、以下で説明される欠失アナログのサブセットである。
【0019】
「抗体」という用語は、本明細書において使用される際、抗原上の特異的エピトープに特異的に結合することができる、免疫グロブリン分子を指す。抗体は、天然源又は組み換え源に由来する無傷免疫グロブリンであり得、無傷免疫グロブリンの免疫反応性部分であり得る。抗体は、本明細書において説明されるワクチンから産生することができ、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、細胞内抗体(「イントラボディ」)、Fv、Fab、及びF(ab)2、並びに単鎖抗体(scFv)、重鎖抗体、例えば、ラクダ抗体、合成抗体、キメラ抗体、及びヒト化抗体を含む、様々な形態において存在し得る(Harlow et al.,1999,Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY;Harlow et al.,1989,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,N.Y.;Houston et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879〜5883;Bird et al.,1988,Science 242:423〜426)。
【0020】
「異常」という用語は、生物、組織、細胞、又はその構成要素の文脈において使用されるとき、「正常な」(予想される)それぞれの特徴を示す、それらの生物、組織、細胞、又はその構成要素からの少なくとも1つの観察可能な又は検出可能な特徴(例えば、年齢、治療、時刻など)において異なる、それらの生物、組織、細胞、又はその構成要素を指す。1つの細胞又は組織型に対して正常であるか、又は予想される特徴は、異なる細胞又は組織型に対しては異常である場合がある。
【0021】
本明細書において使用される際、疾患を「緩和する」ことは、疾患又は障害の少なくとも1つの兆候又は症状の頻度又は重症度を低減することを意味する。
【0022】
「有効量」は、本明細書において使用される際、治療的又は予防的利益を提供する量を意味する。
【0023】
本明細書において使用される際、「イムノアッセイ」は、標的分子を検出及び定量化するために、標的分子に特異的に結合することが可能な抗体を使用する、任意の結合アッセイを指す。
【0024】
本明細書において使用される際、「説明材料」は、本明細書において説明される方法を実践するためのキットにおける、本発明の化合物、組成物、方法、プラットフォーム、又はシステムの有用性を伝えるために使用することができる、公開物、記録、図、又は任意の他の表現媒体を含む。本発明のキットの説明材料は、例えば、本発明の識別される化合物、組成物、プラットフォーム、若しくは送達システムを含有する容器に付着され得るか、又は本発明の特定される化合物、組成物、方法構成要素、プラットフォーム、若しくはシステムを含有する容器とともに出荷され得る。代替的に、説明材料は、説明材料及び化合物が受容者によって協働的に使用されることを意図して、容器から別個に出荷することができる。
【0025】
本明細書において使用される際、「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、同義的に使用され、ペプチド結合によって共有結合されたアミノ酸残基からなる化合物を指す。タンパク質又はペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含有しなければならず、タンパク質又はペプチドの配列を含むことができるアミノ酸の最大数に制限は設けられない。ポリペプチドは、ペプチド結合によって互いに接合された2つ若しくは3つ以上のアミノ酸を含む、任意のペプチド又はタンパク質を含む。本明細書において使用される際、当該用語は、短鎖(当該技術分野において、例えば、ペプチド、オリゴペプチド、及びオリゴマーとしても一般的に称される)、並びにより長い鎖(当該技術分野において、タンパク質として一般的に称され、これには多くの型が存在する)の両方を指す。「ポリペプチド」としては、とりわけ、例えば、生物学的に活性な断片、実質的に相同的なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモダイマー、ヘテロダイマー、ポリペプチドの変異体、修飾されたポリペプチド、誘導体、アナログ、融合タンパク質が挙げられる。ポリペプチドとしては、天然ペプチド、組み換えペプチド、合成ペプチド、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0026】
「疾患」は、動物が恒常性を維持することができず、疾患が改善されない場合、動物の健康が悪化し続ける、動物の健康状態である。対照的に、動物における「障害」は、動物が恒常性を維持することができるが、動物の健康状態が、障害がないときよりも良くない、健康状態である。治療されないまま放置されると、障害は、動物の健康状態における更なる悪化を必ずしも引き起こさない。
【0027】
「対象」という用語は、投与又は治療の標的である任意の個体を指す。対象は、脊椎動物、例えば、哺乳類であり得る。このため、対象は、ヒト又は獣医学的患者であり得る。「患者」という用語は、臨床医、例えば、医師の治療下にある対象を指す。
【0028】
本明細書において使用される際、「療法」又は「治療レジメン」という用語は、障害又は疾患状態を緩和又は改変するために採られるそれらの活動、例えば、薬理学的、外科的、食物的、及び/又は他の技術を使用した、疾患又は障害の少なくとも1つの兆候又は症状を低減又は排除することが意図される治療過程を指す。治療レジメンは、処方された用量の1つ若しくは2つ以上の薬物又は外科処置を含み得る。療法は、ほとんどの場合有益であり、かつ障害又は疾患状態の少なくとも1つの兆候又は症状を低減又は排除するが、一部の例において、療法の効果は、望ましくない、又は副作用を有する。療法の効果はまた、対象の生理学的状態、例えば、年齢、性別、遺伝的特徴、体重、他の疾患状態などによって、影響される。
【0029】
「治療有効量」という用語は、研究者、獣医師、医師、又は他の臨床医によって求められている、組織、系、又は対象の生物学的又は医学的応答を生じさせる、対象化合物の量を指す。「治療有効量」という用語は、投与されるとき、治療されている障害又は疾患の兆候又は症状のうちの1つ若しくは2つ以上の発症を予防するか、あるいはある程度緩和させるのに十分である、化合物の当該量である。治療有効量は、化合物、疾患、及びその重症度、並びに治療される対象の年齢、体重などに依存して変動する。
【0030】
当該用語が本明細書において使用される際、疾患を「治療する」ことは、対象によって経験される疾患又は障害の少なくとも1つの兆候又は症状の頻度又は重症度を低減することを意味する。
【0031】
「細胞」という用語もまた、本明細書において使用される際、具体的に示されない限り、個々の細胞、細胞株、初代培養物、又はかかる細胞に由来する培養物を指す。「培養物」は、同じ又は異なる型の単離された細胞を含む組成物を指す。細胞株は、無限に再現することができ、このため、細胞株を「不死」にする、特定の種類の細胞の培養物である。細胞培養物は、寒天等の培地上で成長させた細胞の集団であり得る。初代細胞培養物は、細胞からの培養物であるか、又は生きた生物から直接採られ、これは、不死化されていない。
【0032】
「生物学的試料」という用語は、組織(例えば、組織生検)、器官、細胞(培養物において維持される細胞を含む)、細胞溶解物(若しくは溶解物画分)、細胞若しくは細胞性材料に由来する生体分子(例えば、ポリペプチド若しくは核酸)、又は対象からの体液を指す。体液の非限定的な例としては、血液、尿、血漿、血清、涙液、リンパ液、胆汁、脳脊髄液、間質液、房水若しくは硝子体液、初乳、痰、羊水、唾液、肛門及び膣分泌物、汗、精液、浸出液、滲出液、並びに滑液が挙げられる。
【0033】
単数若しくは複数形のいずれかで使用される「腫瘍細胞」又は「癌細胞」という用語は、細胞を宿主生物に対して病的なものにする悪性転換を生じた細胞を指す。原発性癌細胞(つまり、悪性転換の部位近傍から得られる細胞)は、十分に確立された技術、具体的には、組織学的検査によって、非癌性細胞から容易に区別することができる。癌細胞の定義は、本明細書において使用される際、原発性癌細胞だけでなく、癌細胞祖先に由来する任意の細胞を含む。これは、転移した癌細胞、並びに癌細胞に由来するインビトロ培養物及び細胞株を含む。「腫瘍関連抗原」又は「TAA」という用語は、同じ組織型の非腫瘍細胞よりも、腫瘍細胞によって、より高い頻度又は密度で発現される、分子又は複合体を指すために使用される。腫瘍関連抗原は、宿主によって通常発現されない抗原であり得る;それらは、突然変異しているか、切断されているか、ミスフォールドしているか、若しくはそうでなければ宿主によって通常発現される分子の異常発現であり得る;それらは、通常発現されるが、異常に高いレベルで発現された分子と同一であり得る;又は、それらは、異常である状況若しくは環境において発現され得る。腫瘍関連抗原は、例えば、タンパク質若しくはタンパク質断片、複合炭水化物、ガングリオシド、ハプテン、核酸、又はこれら若しくは他の生物学的分子の任意の組み合わせであり得る。特定の腫瘍関連抗原の存在又は特徴の知識は、本発明の実践に必要ではない。
【0034】
「B細胞」という用語は、Bリンパ球を指す。B細胞前駆体は、未成熟B細胞が産生される骨髄に存在する。B細胞発達は、いくつかの段階を通じて生じ、各段階は、抗体遺伝子座におけるゲノム量の変化を表す。ゲノム重鎖可変領域において、3つのセグメント、V、D、及びJが存在し、これらは、VDJ再構成と呼ばれるプロセスにおいてランダムに再結合して、各B細胞の免疫グロブリンにおいて固有の可変領域を産生する。同様の再構成が、関与する2つのみのセグメント、V及びJが存在することを除き、軽鎖可変領域に対して生じる。完全な再構成後、B細胞は、骨髄においてIgM+未成熟段階に達する。これらの未成熟B細胞は、それらの表面上に膜結合IgM、即ち、BCRを提示し、脾臓に移動し、ここでは、それらは、移行B細胞と呼ばれる。これらの細胞の一部は、成熟Bリンパ球に分化する。それらの表面上にBCRを発現する成熟B細胞は、血液及びリンパ系を循環し、免疫監視の役割を果たす。それらは、それらが完全に活性化されるまで、可溶性抗体を産生しない。各B細胞は、1つの特定の抗原に結合する、固有の受容体タンパク質を有する。一度B細胞がその抗原に遭遇し、Tヘルパー細胞から追加のシグナルを受信すると、それは、可溶性抗体を発現及び分泌するプラズマB細胞、又は記憶B細胞のいずれかに更に分化することができる。
【0035】
「B細胞」という用語はまた、その表面上に、完全に再構成された、即ち、成熟した、B細胞受容体(BCR)を提示する、任意のBリンパ球を指し得る。例えば、B細胞は、未成熟又は成熟B細胞であり得、好ましくは未感作B細胞、即ち、前記B細胞の表面上のBCRによって特異的に認識された抗原に曝露されていないB細胞である。B細胞は、記憶B細胞、好ましくは、IgG+記憶B細胞であり得る。「B細胞」という用語はまた、B細胞の混合物を指し得る。B細胞の混合物は、混合物中のB細胞が、異なる抗原特異性を有する、即ち、様々な抗原を認識する抗体又は完全に再構成されたBCRを産生することを意味し得る。単一B細胞の抗体又はBCRは、抗原特異性に関しても、通常同一である。
【0036】
「抗体を分泌するB細胞」という用語は、好ましくは、プラズマB細胞を指す。「それらの表面上にBCRを担持するB細胞」という用語は、好ましくは、それらのプラズマ膜において、BCR、好ましくは完全に再構成されたBCRを発現する、B細胞を指す。この文脈において、「BCR」は、好ましくは、単一のBCRを意味するのではなく、好ましくは、同じ抗原を有する多数のBCRを意味する。
【0037】
「部分」という用語は、ほんの一部を意味する。部分は、好ましくは、エンティティ全体の少なくとも20%、少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、及び最も好ましくは少なくとも90%を意味する。「相当な部分」という用語は、好ましくは、エンティティ全体の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、及び最も好ましくは少なくとも99%を指す。
【0038】
「クローン性増殖」という用語は、特異的エンティティが繁殖されるプロセスを指す。本発明の文脈において、当該用語は、好ましくは、リンパ球、好ましくはBリンパ球が、抗原によって刺激され、増殖し、前記抗原を認識する特異的リンパ球が増幅される、免疫学的応答の文脈において使用される。好ましくは、クローン性増殖は、リンパ球の、好ましくは、抗体を産生及び分泌するリンパ球への分化につながる。抗体を分泌するBリンパ球は、例えば、プラズマB細胞である。
【0039】
「抗原」という用語は、免疫応答がそれに対して生成されるエピトープを含む物質に関する。「抗原」という用語は、具体的には、タンパク質、ペプチド、多糖、脂質、核酸、特に、RNA及びDNA、並びにヌクレオチドを含む。「抗原」という用語はまた、形質転換(例えば、体タンパク質での完了によって、分子において中間で)を通じてのみ、抗原性(及び感作性)になる、二次物質としての、誘導体化された抗原、並びに原子団(例えば、イソシアネート、ジアゾニウム塩)の人工的な組み込みを通じて、新たな構成的特異性を示す、共役された抗原を含む。好ましい実施形態において、抗原は、細胞質、細胞表面、及び細胞核に由来し得る、腫瘍抗原、即ち、癌細胞の構成物、具体的には、好ましくは、細胞内に、又は腫瘍細胞上の表面抗原として、多量に産生される、それらの抗原である。例は、癌胎児性抗原、1−フェトタンパク質、イソフェリチン及び胎児硫糖タンパク質(sulfoglycoprotein)、a2−H−鉄タンパク質及びγ−フェトタンパク質、並びに種々のウイルス性腫瘍抗原である。更なる実施形態において、抗原は、ウイルス性リボ核タンパク質又はエンベロープタンパク質等のウイルス抗原である。具体的には、抗原又はそのペプチドは、B細胞受容体、又は抗体等の免疫グロブリン分子によって認識可能であるべきである。好ましくは、抗原は、B細胞受容体によって認識される場合、適切な共刺激シグナルの存在下で、抗原を特異的に認識するBCRを担持するB細胞のクローン性増殖、及びかかるB細胞の抗体分泌B細胞への分化を誘導することができる。抗原は、反復性機構において提示することができ、即ち、抗原は、免疫応答がそれに対して生成されるか、又は産生される抗体に対する、1個を超える、好ましくは少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、最大6個、10個、12個以上の物質又はエピトープを含む。かかる反復性抗原は、好ましくは、同じ特異性の1つを超える抗体に結合することが可能である。換言すると、かかる反復性抗原は、1つを超えるエピトープ、好ましくは同一のエピトープを含み、このため、前記エピトープを対象とする抗体を「架橋する」ことが可能である。1つを超える物質又はエピトープは、共有又は非共有結合され得、共有結合は、ペプチド結合等による任意の化学物質のグルーピングによるものであってもよい。抗原は、抗原ペプチドの反復を含むか、又は共通のエピトープを有する異なる抗原ペプチドを含む、融合分子であり得る。1つの好ましい実施形態において、前記抗原ペプチドは、ペプチドリンカーによって結合される。
【0040】
範囲:本開示を通じて、本発明の種々の態様は、範囲形式において提示され得る。範囲形式での説明は、便宜性及び簡潔性のためであるにすぎず、本発明の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、範囲の説明は、具体的に開示されたすべての可能な部分範囲、並びにその範囲内の個々の数値を有すると見なされるべきである。例えば、1〜6等の範囲の説明は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6など等の具体的に開示された部分範囲、並びにその範囲内の個々の数値、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、及び6を有すると見なされるべきである。これは、その範囲の幅にかかわらず適用される。
【0041】
本明細書において教示される方法によると、対象は、有効量の薬剤が投与される。有効量及び有効な用量という用語は、同義的に使用される。有効量という用語は、所望の生理学的応答をもたらすために必要な任意の量として定義される。薬剤を投与するための有効量及びスケジュールは、経験的に判定され得、かかる判定を行うことは、当該技術分野の技術内である。投与のための用量範囲は、疾患又は障害の1つ若しくは2つ以上の症状が影響される(例えば、低減又は遅延される)、所望の効果をもたらすのに十分に大きいものである。用量は、望ましくない交差反応、アナフィラキシー反応など等の相当な有害な副作用を引き起こすほど大きくあるべきではない。一般的に、用量は、年齢、状態、性別、疾患の種類、疾患若しくは障害の程度、投与経路、又は他の薬物がレジメンに含まれているかどうかとともに変動し、当業者によって判定することができる。用量は、いずれかの禁忌がある場合には、個々の医師によって調整することができる。用量は、毎日、1日、又は数日間、変更することができ、かつ1つ若しくは2つ以上の用量の投与において投与することができる。指針は、所与のクラスの医薬製品に対する適切な用量に関する文献において見出すことができる。
【0042】
本明細書において使用される際、治療(treatment)、治療する(treat)、又は治療している(treating)という用語は、疾患若しくは状態、又は疾患若しくは状態の症状の影響を低減する方法を指す。このため、開示される方法において、治療は、確立された疾患若しくは状態、又は疾患若しくは状態の症状の重症度の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の低減を指し得る。例えば、疾患を治療するための方法は、対照と比較して、対象における疾患の1つ若しくは2つ以上の症状の10%の低減が存在する場合、治療と見なされる。このため、低減は、未感作又は対照レベルと比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は10%〜100%の任意のパーセントの低減であり得る。治療が、必ずしも、疾患、状態、又は疾患若しくは状態の症状の療養又は完全切除を指すわけではないことが理解される。
【0043】
本明細書において使用される際、疾患又は障害を予防する(prevent)、予防している(preventing)、及び予防(prevention)という用語は、対象が疾患又は障害の1つ若しくは2つ以上の症状を示し始める前、又はそれとほぼ同時に行われる、行為、例えば、治療薬の投与を指し、これは、疾患又は障害の1つ若しくは2つ以上の症状の発病又は増悪を阻害又は遅延する。本明細書において使用される際、減少、低減、又は阻害への言及は、対照レベルと比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はそれ以上の変化を含む。かかる用語は、完全な排除を含むことができるが、必ずしも含まない。
【0044】
概説
腫瘍及び病原体に対する免疫応答を誘導及び強化する細胞性ワクチンとしての使用のための、多数の活性化B細胞等の活性化された抗原提示細胞(APC)を迅速かつ容易に生成するための新規のプラットフォームが、本明細書に開示される。重要なことに、これらの細胞の機能性は、長期的な低温保存によって影響されない。このプラットフォームを使用して、動物(例えば、マウス、ネコ、イヌ、及びアカゲザル)、並びに末梢血又は二次リンパ器官から得られるヒトB細胞は、様々な投与プロトコルを使用して、元のドナーへの点滴のために、インビトロで活性化及び増殖させることができる。B細胞は、同じ個体(自己)から得ることができるか、若しくはそこにおいて使用することができ、又はB細胞は、1つの個体から得ることができるか、若しくは別の個体(同種異系)において使用することができる。これらの細胞は、不活性化クラミジアトラコマチス基本小体若しくは溶解物の存在下で、末梢血単核細胞又は全リンパ器官細胞調製物の培養物によってインビトロで活性化され、それらの活性化及び増殖を誘導することができ、これは、サイトカイン等の追加の因子によって更に増強される。活性化B細胞の数は、初期B細胞数から何倍も増殖させることができる。例えば、活性化B細胞の数は、対照と比較して、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20倍以上増殖させることができる。これらの細胞は、外来タンパク質抗原を処理すること、免疫原性ペプチドを提示すること、かつ同種異系の、未感作CD4+及びCD8+T細胞、並びに未感作及び記憶抗原特異的CD8+T細胞を刺激することが可能である、効率的なAPCであるということが、本明細書において示されている。更に、抗原は、それらの治療能力を増加させるために、CABに架橋することによって負荷され得る。
【0045】
これらの活性化B細胞のインビボ投与は、腫瘍を拒絶し、ウイルス感染を制御することが可能な、強固なCD8+T細胞応答をプライムすることから、認識(cognizant)抗原での負荷のために利用可能な効率的なAPCの数を増殖させることは、自己細胞性ワクチンを産生するプロセスをより効果的にする。したがって、細胞性ワクチンプラットフォームが、腫瘍及び感染性疾患の免疫療法における使用のために開発されている。このプラットフォーム及び関連方法は、他の現在利用可能な細胞性ワクチンよりも侵襲性、費用、及び労働集約度が低い。
【0046】
クラミジアトラコマチスは、末梢血又は二次リンパ器官(例えば、リンパ節)、並びに多様な哺乳類(マウス、ネコ、イヌ、アカゲザル、及びヒト)から容易に得られる、静止B細胞の選択的なポリクローナル活性化を誘導するための固有の能力を有する。不活性化クラミジアトラコマチス基本小体(EB)又はそれらの溶解物は、末梢血又は二次リンパ器官から得られる静止B細胞を活性化すること、及びそれらの増殖を誘導することができる。これは、それらの数を著しい量増殖させることを可能にし、これは、サイトカイン等の追加の因子によって更に増強される。これは、それらのその後の免疫磁気選択をかなり効率的にする。これらのクラミジアトラコマチス活性化B細胞(CAB)は、高いレベルの共刺激分子を発現し、可溶性タンパク質を取得すること、及びそれらを静止B細胞よりも効率的に処理することができる。これらの必要条件は、生成されたCABが、T細胞に抗原を提示することができるようになることを可能にする。生成されたCABは、プラットフォームが多数のAPCを生成する能力、及び凍結保存されるCABの従順性により、種々の投与プロトコルを使用した、自己又は同種異系点滴のために使用することができ、かつ依然としてAPCとしてのそれらの完全な機能性を維持することができる。
【0047】
能動的又は受動的免疫療法、イムノモニタリング、及び研究目的で、腫瘍及び細胞内の病原体に対して、抗原特異的T細胞を誘導するためのCABの使用も開示される。より具体的には、外来タンパク質抗原を処理すること、免疫原性ペプチドを提示すること、かつ同種異系未感作CD4+及びCD8+T細胞、並びに未感作及び記憶抗原特異的CD8+T細胞を刺激することが可能である、効率的なAPCとしての機能を果たす能力を有する、ヒト、マウス、及びアカゲザルCABが、本明細書に開示される。これらの特性は、CABが、癌の治療において望ましものを含む、インビボT細胞応答をプライプすることを可能にする。
【0048】
本明細書に開示される条件(実施例1で説明されるもの等)下で産生されるCABは、当業者に既知の様々な技術によって、任意の所望の抗原又は抗原の組み合わせ、並びに免疫原性ペプチドと組み合わせることができる。CABは、例えば、対象に静脈内投与することができる。T細胞増殖及び活性化の大きさは、投与されるAPCの数に依存する。本明細書に開示される方法で得ることができる高い数の細胞により、高い数のCABの反復投与によって誘導されるT細胞応答は、DCの限られた数により、現在利用可能なDCの調製物によって誘導されるものを上回る。例えば、本明細書に開示されるCABは、同種腫瘍抗原又は腫瘍特異的ペプチドでパルスすることができ、マウスモデルにおいて対応する腫瘍チャレンジを拒絶することが可能な腫瘍特異的CD8+T細胞応答を誘導することができる。
【0049】
B細胞を活性化する開示される方法の結果として、CABは、腫瘍関連抗原等の所望の抗原をT細胞に提示するための広範なアプローチにおいて使用することができる。ヒトCABは、非常に効率的なAPCであり、ヒト同種異系未感作CD4+及びCD8+T細胞を刺激する。それらはまた、動物及びヒトにおいて、ウイルス及び腫瘍抗原に特異的な自己未感作及び記憶T細胞をプライムすることができる。更に、マウスにおいて、これらのT細胞応答は、致死的なウイルス感染から救い、確立された腫瘍を退縮させることが可能である。
【0050】
クラミジアトラコマチス活性化B細胞プラットフォーム
活性化APCを作製するためのプラットフォームが、本明細書に開示され、当該プラットフォームは、クラミジアトラコマチス、又はその活性化タンパク質、ペプチド、若しくは断片と、B細胞の集団と、抗原と、を含む。一実施例において、抗原提示細胞の抗原は、クラミジア種(C.トラコマチス、C.シッタシ、及びC.ムリダルムを含む)、又はそのタンパク質、ペプチド、若しくは断片に由来しない。本明細書に開示される方法によって産生されるクラミジア活性化B細胞(CAB)も開示される。
【0051】
本明細書において使用される元のB細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、感染部位からの組織、脾臓組織、及び腫瘍を含む、いくつかの源から得ることができる。当該技術分野において利用可能な任意の数のB細胞株を、本明細書に開示されるプラットフォーム及び方法とともに使用することができる。本明細書において説明される方法のある実施形態において、B細胞は、FICOLL(商標)(高密度溶液を調製するために使用され得る、スクロースとエピクロルヒドリンとのコポリマー)分離等の、当業者に既知の任意の数の技術を使用して、対象から採取されたある単位の血液から得ることができる。
【0052】
本明細書に開示されるプラットフォーム及び方法において使用されるクラミジア種(C.トラコマチス、C.シッタシ、及びC.ムリダルムを含む)は、生きている、不活性化されていてもよいか、又はクラミジア種(C.トラコマチス、C.シッタシ、及びC.ムリダルムを含む)からのタンパク質又は断片であってもよい。
【0053】
クラミジア種は、既知の種の変異型であり得、かつ依然として、本明細書に開示される効果を付与する機能を保持することができる。例えば、細菌全体を使用することができる。生きている細菌は、白血球には感染せず、抗生物質を含有する培養培地においては生存することができない。代替的に、不活性化された全細菌(X線若しくはガンマ線を照射した)、又は全細菌から生成された溶解物を使用することができる。
【0054】
別の実施形態において、CABを活性化させることができるとして特定されている特異的タンパク質又はその断片を使用することができる。その「活性化」タンパク質、ペプチド、若しくは断片とは、そのタンパク質、ペプチド、若しくは断片が、活性化された抗原提示細胞(APC)を作製することが可能であることを意味する。当業者であれば、クラミジアのどのタンパク質、ペプチド、又は断片が、所望の結果をもたらすことが可能であるかを容易に特定することができる。
【0055】
B細胞上でその効果を媒介することができるかかる構成要素の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:主要外膜タンパク質(MOMP);クラミジアトラコマチス多形膜タンパク質(例えば、PmpA、PmpB、PmpC、PmpD、PmpE、PmpF、PmpG、PmpH、PmpI);死ドメイン関連クラミジアタンパク質(CADD);クラミジアプロテアーゼ様活性因子(CPAF);主要外膜タンパク質及びシステイン富化タンパク質(例えば、OmcA及びOmcB);クラミジアトラコマチス70−kDa熱ショックタンパク質;PulD/YscC;PorB;CTL0887;CTL0541;OprB;OMP85;CTL0645;Pal;Ef−Tu/TufA;GroEL;CopD;DnaK/HSP70;CTL0255;Hc1;CTL0850;並びにRpoB。クラミジアタンパク質のその考察のために、その全体として参照により本明細書に組み込まれる、Heinz et al.(Comprehensive in silico Prediction and Analysis of Chlamydial Outer Membrane Proteins Reflects Evolution and Lifestyle of the Chlamydiae.BMC Genomics.2009 Dec 29;10:634)において見出されるようなクラミジア構成要素が、更に開示される。
【0056】
1つの具体的な実施形態において、クラミジアトラコマチス主要外膜タンパク質(MOMP)又はその断片を使用することができる。当業者であれば、クラミジアのどの断片、タンパク質、又は変異型が、所望の効果を付与するために使用することができるかを容易に判定することができる。
【0057】
任意の疾患、障害、又は状態からの任意の抗原を使用することができる。例示的な抗原としては、細菌、ウイルス、寄生虫、アレルゲン、自己抗原、及び腫瘍関連抗原が挙げられるが、これらに限定されない。DNAに基づくワクチンが使用される場合、抗原は、典型的に、投与されたDNA構築物の配列によってコードされる。代替的に、抗原が共役体として投与される場合、抗原は、典型的に、投与された共役体に含まれるタンパク質である。具体的には、抗原は、タンパク質抗原、ペプチド、全不活性化生物などを含むことができる。
【0058】
使用することができる抗原の具体的な例としては、A、B、C、若しくはD型肝炎、インフルエンザウイルス、リステリア菌、ボツリヌス菌、結核、ツラレミア、大痘瘡(天然痘)、ウイルス性出血熱、ペスト菌(腺ペスト)、HIV、ヘルペス、パピローマウイルスからの抗原、及び感染性因子(infectious agent)に関連する他の抗原が挙げられるが、これらに限定されない。他の抗原としては、自己免疫状態、炎症性状態、アレルギー、ぜんそく、及び移植拒絶反応と関連する抗原が挙げられる。抗原負荷CABは、単独で、又は疾患状態を治療するため、若しくは免疫を抑制するための治療的若しくは予防的ワクチンとしての使用のための、CD40アゴニスト又はTLR、具体的にはCD40抗体等の他の治療薬と併せて投与することができる。別の実施例において、本明細書に開示されるCABプラットフォームは、チェックポイント阻害剤と併せて使用することができる。チェックポイント阻害剤技術の例は、第WO1999015157A2号、第WO2015016718A1号、及び第WO2010149394A1号において見出すことができ、これらは、チェックポイント阻害剤に関するそれらの開示に対するそれらの全体として、本明細書に組み込まれる。他の組み合わせ療法もまた、本明細書において考察される。
【0059】
一実施形態において、抗原は、腫瘍関連抗原を含むことができる。治療され得る腫瘍の例としては、以下が挙げられる:膵管腺癌等の膵臓腫瘍;小及び大細胞腺癌、扁平上皮細胞癌、及び気管支肺胞癌等の肺腫瘍;上皮腺癌及びそれらの転移等の結腸腫瘍;並びに肝臓癌及び胆管癌等の肝臓腫瘍。また、乳腺及び小葉腺癌等の乳房腫瘍;子宮頸部の扁平上皮及び腺癌、並びに子宮及び卵巣上皮腺癌等の婦人科腫瘍;前立腺腺癌等の前立腺腫瘍;移行扁平上皮細胞癌等の膀胱腫瘍;結節性若しくはびまん性B若しくはT細胞リンパ腫、形質細胞腫、及び急性若しくは慢性白血病等のRES系の腫瘍;悪性メラノーマ等の皮膚腫瘍;並びに軟組織肉腫及び平滑筋肉腫等の軟組織腫瘍も含まれる。星状細胞腫、乏突起膠腫、上衣腫、髄芽腫、及び未分化神経外胚葉性腫瘍等の脳腫瘍が、特に関心が高い。このカテゴリには、神経膠腫、膠芽細胞腫、及び神経膠肉腫が含まれる。
【0060】
具体的には、以下の抗原は、以下の種類の癌に関連し、表1に開示されるプラットフォーム及び方法において使用することができる。
【0061】
【表1】
【0062】
個体の免疫は、以下のうちのいずれかであり得る:個体は、組成物中に存在するある腫瘍関連抗原に対して、免疫学的に未感作であり得、この場合、当該組成物は、抗腫瘍応答の成熟を開始又は促進するために与えられ得る。個体は、現在、抗腫瘍免疫を発現していない可能性があるが、ワクチンに含まれる腫瘍関連抗原に関連する、免疫学的記憶、具体的には、T細胞記憶を有し得、この場合、当該組成物は、記憶応答を刺激するために与えられ得る。個体はまた、ワクチンに含まれる腫瘍関連抗原に対して、活性免疫(体液性若しくは細胞性免疫のいずれか、又は両方)を有し得、この場合、当該組成物は、応答を維持、強化、若しくは成熟させるために、又は免疫系の他のアームを動員させるために与えられ得る。対象は、少なくとも部分的に免疫応答性であるべきであり、そのため、ワクチンは、内因性T細胞応答を誘導することができる。
【0063】
別の実施形態において、抗原は、感染性因子を含むことができる。本明細書に開示されるプラットフォーム及び方法を使用して処置することができる感染性因子の例としては、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス、及び他のヘルペスウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。他の例としては、リステリア・モノサイトゲネス、サルモネラ、マイコバクテリウム・ツベルクローシス、プラスモジウム種(マラリア)、トキソプラズマ・ゴンディ、及びクルーズトリパノソーマが挙げられる。具体的には、CABは、マウスに免疫付与するために、及びマウスにおいては、致死的な感染である、HSV−2(ヘルペスウイルス)による眼内感染から、それらを保護するために、使用することができることが示されている。
【0064】
本明細書に開示されるCABは、同時に、又は逐次的に、1つを超える抗原に曝露又は架橋することができる。例えば、本明細書に開示されるCABは、同時に、又は逐次的に、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、若しくはそれ以上の抗原に曝露することができるか、又は異なる単一抗原を負荷したCABが、投与のために一緒に組み合わされてもよい。
【0065】
本明細書に開示されるCABは、クラミジア種(C.トラコマチス、C.シッタシ、及びC.ムリダルムを含む)又はそのタンパク質若しくは断片に曝露されていないB細胞の集団と比較して、著しく増殖することができる。本明細書において使用される際、B細胞の増殖は、細胞の増殖の刺激、並びにアポトーシス又は他の細胞死の予防を含む。本明細書において使用される際、「培養」及び「インキュベーション」は、細胞が、適切な添加物(フィーダ細胞、サイトカイン、アゴニスト、他の刺激分子、若しくは緩衝剤、塩、糖、血清、若しくは種々の他の構成物を含み得る培地)を伴って、ある期間、細胞培養培地において維持されることを示すために使用される。当業者は、培養又はインキュベーション時間が、適切な増殖を可能にするように、異なる細胞密度若しくは個々のサブセットの頻度を調整するように、及び研究者が細胞の使用を適切に時間調整することを可能にするように、変動してもよいことを理解するであろう。このため、正確な培養の長さは、当業者によって、経験的に判定され得る。
【0066】
CABは、不活性又は静止B細胞と比較して、より高い主要組織適合複合体(MHC)及び及び/又は共刺激分子発現レベルを有することができる。例えば、CABは、不活性B細胞、あるいはクラミジア種(C.トラコマチス、C.シッタシ、及びC.ムリダルムを含む)又はそのタンパク質若しくは断片に曝露されていないB細胞と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、50、60、70、90、100%高いMHC及び/又は共刺激分子発現レベルを有することができる。CABは、不活性B細胞、あるいはクラミジア種(C.トラコマチス、C.シッタシ、及びC.ムリダルムを含む)又はそのタンパク質若しくは断片に曝露されていないB細胞と比較して、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20倍以上高いMHC及び共刺激分子発現レベルを有することができる。
【0067】
CABは、不活性B細胞と比較して、抗原を提示し、かつT細胞を活性化させるための改善された能力を有することができる。「改善された能力」は、それらが、クラミジア種(C.トラコマチス、C.シッタシ、及びC.ムリダルムを含む)又はそのタンパク質若しくは断片に曝露されていない細胞の集団と比較して、抗原を提示し、かつT細胞を活性化させるための1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、50、60、70、90、又は100%多い能力を有することを意味する。CABは、クラミジア種(C.トラコマチス、C.シッタシ、及びC.ムリダルムを含む)又はそのタンパク質若しくは断片に曝露されていない細胞の集団と比較して、抗原を提示し、かつT細胞を活性化させるための2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20倍以上の能力を有することができる。
【0068】
CABは、不活性B細胞、あるいはクラミジア種(C.トラコマチス、C.シッタシ、及びC.ムリダルムを含む)又はそのタンパク質若しくは断片に曝露されていないB細胞を上回る速度で、二次リンパ器官に移動することができる。例えば、CABは、クラミジア種(C.トラコマチス、C.シッタシ、及びC.ムリダルムを含む)又はそのタンパク質若しくは断片に曝露されていない細胞の集団と比較したとき、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、50、60、70、90、又は100%速い速度で移動することができる。CABは、クラミジア種(C.トラコマチス、C.シッタシ、及びC.ムリダルムを含む)又はそのタンパク質若しくは断片に曝露されていない細胞の集団と比較して、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20倍以上である速度で移動することができる。
【0069】
CABは、不活性B細胞を上回る速度で、T細胞動員を増強するために、サイトカインを分泌することができる。例えば、CABは、クラミジア種(C.トラコマチス、C.シッタシ、及びC.ムリダルムを含む)又はそのタンパク質若しくは断片に曝露されていない細胞の集団と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、50、60、70、90、又は100%上回る速度でT細胞増強を動員することができる。CABは、クラミジア種(C.トラコマチス、C.シッタシ、及びC.ムリダルムを含む)又はそのタンパク質若しくは断片に曝露されていない細胞の集団と比較して、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20倍以上の速度で、T細胞動員を増強することができる。
【0070】
本明細書に開示されるCABは、それらを、B細胞活性化因子、例えば、様々なサイトカイン、成長因子、又はB細胞を活性化及び/若しくは分化させることが既知である細胞株のうちのいずれかと接触させることによって更に増強されるそれらの活性を有することができる(例えば、Fluckiger,et al.Blood 1998 92:4509〜4520;Luo,et al.,Blood 2009 1 13:1422〜1431を参照されたい)。かかる因子は、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IL−19、IL−20、IL−21、IL−22、IL−23、IL−24、IL−25、IL−26、IL−27、IL−28、IL−29、IL−30、IL−31、IL−32、IL−33、IL−34、及びIL−35、IFN−γ、IFN−α、IFN−β、IFN−δ、C型ケモカインXCL1及びXCL2、C−C型ケモカイン、及びCXC型ケモカイン、並びにTNFスーパーファミリー{例えば、TNF−a、4−1 BBリガンド、B細胞活性化因子(BLyS)、FASリガンド、sCD40L(sCD40Lの多量体型を含む;例えば、複数のsCD40L分子を一緒にグループ化するために抗ポリヒスチジンmAbと組み合わせたヒスチジンで標識された可溶性組み換えCD40L)、リンホトキシン、OX40L、RANKL、TRAIL)、CpG、並びに他のToll様受容体アゴニスト(例えば、CpG)のメンバからなるが、これらに限定されない群から選択され得る。
【0071】
一実施形態において、具体的には、CABは、フィーダ細胞に接触させることができるか、又はその上で培養することができる。他の実施形態において、本明細書において説明される培養系は、フィーダ細胞の不在下で実行することができ、フィーダ細胞を必要とする当該技術分野で既知の他の系に勝る利点を提供する。フィーダ細胞が使用され得る場合、フィーダ細胞は、間質細胞株、例えば、マウス間質細胞株S17又はMS5である。更なる実施形態において、精製されたCD19+細胞は、IL−10及びIL−4等のB細胞活性化因子サイトカインの存在下でCD40−リガンドを発現する、線維芽細胞の存在下で培養され得る。CD40Lはまた、組織培養プレート又はビーズ等の表面に結合されて提供され得る。別の実施形態において、精製されたB細胞は、IL−10、IL−4、IL−7、p−ODN、CpG DNA、IL−2、IL−15、IL6、IFN−α、及びIFN−δから選択される1つ若しくは2つ以上のサイトカイン又は因子の存在下で、CD40Lとともに、フィーダ細胞の存在若しくは不在下で、培養され得る。
【0072】
別の実施形態において、B細胞活性化因子は、CD40L及びB細胞に関するその教示に関して、その全体として参照により本明細書に組み込まれる、第PCT/US2000/030426号に開示されるもの等のB細胞又は他のフィーダ細胞へのトランスフェクションによって提供され得る。この文脈において、抗体分泌細胞へのB細胞の分化を促進する1つ若しくは2つ以上の因子、及び/又は抗体産生細胞の寿命を促進する1つ若しくは2つ以上の因子が、使用され得る。かかる因子としては、例えば、Blimp−1、TRF4、Bcl−xl若しくはBcl5のような抗アポトーシス因子、又はCD40受容体の構造的活性突然変異体が挙げられる。更に、TNF受容体関連因子(TRAF)等の下流シグナル伝達分子の発現を促進する因子もまた、B細胞の活性化/分化において使用され得る。この点において、TNF受容体スーパーファミリーの細胞活性化、細胞生存、及び抗アポトーシス機能は、TRAF1−6によってほとんど媒介される(例えば、R.H.Arch,et al.,Genes Dev.12(1998),pp.2821〜2830を参照されたい)。TRAFシグナル伝達の下流エフェクタとしては、細胞及び免疫機能の種々の態様に関与する遺伝子をオンにすることができる、NF−κΒ及びAP−1ファミリー内の転写因子が挙げられる。更に、NF−κΒ及びAP−1の活性化は、抗アポトーシス遺伝子の転写を介して、アポトーシスから細胞保護を提供することが示されている。
【0073】
プラットフォームは、全体として、又は部分的に、エクスビボ又はインビボで実行することができる。「エクスビボ」は、自然状態の最小限の改変を伴って、生物の外側の人工的環境において、細胞又は組織内又は上で行われる方法を指す。対照的に、「インビボ」という用語は、生きている生物内でそれらの正常な無傷状態において行われる方法を指す一方で、「インビトロ」方法は、その通常の生物学的状況から単離された生物の構成要素を使用して行われる。例えば、細胞は、インビボで不活性化されたクラミジア種(C.トラコマチス、C.シッタシ、及びC.ムリダルムを含む)又はペプチド若しくは断片に、あるいはエクスビボで生きている若しくは不活性化されたクラミジア種(C.トラコマチス、C.シッタシ、及びC.ムリダルムを含む)又はそのペプチドに曝露させることができ、当該方法は、本明細書においてより詳細に説明される。次いで、増殖したB細胞は、抗原に曝露又は架橋され、そのため、それらが結果的に分化し得る。やはり、これは、インビボ又はエクスビボで行うことができる。例えば、抗原は、対象に直接注射されてもよいか、又は対象のB細胞は、増殖した、分化したB細胞と、インビトロ(エクスビボ)で修飾された抗原に曝露若しくは架橋し、次いで、対象に戻すことができる。CABは、例えば、直接的インビボ投与、エクスビボ体細胞療法、インビボ移植可能なデバイス、及びエクスビボ体外デバイスにおいて使用することができる。
【0074】
ワクチン及び治療方法
治療を必要とする対象を治療する方法も本明細書に開示され、当該方法は、a)対象からB細胞を得ることと、b)工程a)からのB細胞を、クラミジアトラコマチス、又はその活性化タンパク質、ペプチド、若しくは断片に曝露することと、c)工程b)のB細胞を、クラミジア種(C.トラコマチス、C.シッタシ、及びC.ムリダルム等)、又はそのタンパク質、ペプチド、若しくは断片に由来しない抗原に曝露し、それにより、活性化された抗原提示クラミジア活性化B細胞(CAB)を得ることと、d)対象を、工程c)の活性化された抗原提示クラミジア活性化B細胞で治療することと、を含む。
【0075】
治療される対象は、様々な疾患又は障害を有し得る。活性化B細胞を使用して治療され得る任意の疾患又は障害は、本明細書に開示される方法を使用して治療され得る。例えば、感染性疾患及び癌は、これらの方法を使用して治療され得る。
【0076】
本明細書に開示されるクラミジア活性化B細胞を含むワクチンも開示される。エクスビボ免疫付与のための細胞ベースのワクチン、並びに抗原に対して指向された免疫応答を誘発するためのインビボ免疫付与のための組成物及び方法が本明細書に開示される。一実施形態において、腫瘍特異的抗原を発現するある種類の癌を有する対象が開示される。これにより、例えば、腫瘍特異的抗原を発現する癌細胞若しくは固形腫瘍の成長の遅延若しくは減退、又は癌細胞の総数若しくは総腫瘍量の低減により証明される、患者の治療結果の改善がもたらされ得る。関連実施形態において、患者は、特定の抗原、例えば、ウイルス抗原の発現に関連するウイルス感染、細菌感染、真菌感染、又は他の種類の感染に罹患していると診断されている。このワクチンにより、患者における原因となる感染性因子の成長の遅延、及び/又は典型的には特定の感染性疾患に関連する検出可能な症状の軽減若しくは排除により証明される、患者の治療結果の改善がもたらされ得る。
【0077】
ワクチンが投与のために調製される場合、それは、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と組み合わせられて、医薬製剤又は単位剤形を形成することができる。かかる製剤中の全活性成分は、製剤の0.1〜99.9重量%を含む。「薬学的に許容される」物質とは、製剤の他の成分と適合性であり、かつその受容者に有害ではない担体、希釈剤、賦形剤、及び/又は塩である。投与のための活性成分は、粉末若しくは顆粒として、溶液、懸濁液、又は乳剤として存在し得る。
【0078】
発現ベクター、形質導入細胞、ポリヌクレオチド、及びポリペプチド(活性成分)が製剤化及び投与されて、活性成分と生物の身体におけるそれらの薬剤の作用部位との接触をもたらす任意の手段により様々な疾患状態を治療することができる。それらは、個別の治療活性成分として、又は治療活性成分の組み合わせでのいずれかで医薬品との併用に利用可能な任意の従来の手段によって投与され得る。それらは単独で投与され得るが、一般に、選択される投与経路及び標準の薬務に基づいて選択される薬学的担体と投与される。
【0079】
一般に、水、好適な油、生理食塩水、水性ブドウ糖(グルコース)、並びに関連糖溶液及びグリコール、例えば、プロピレングリコール又はポリエチレングリコールが、非経口溶液に好適な担体である。非経口投与用の溶液は、活性成分、好適な安定剤、及び必要な場合、緩衝物質を含有する。単独又は組み合わせのいずれかでの重硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、又はアスコルビン酸等の酸化防止剤が、好適な安定剤である。クエン酸並びにそのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)塩及びナトリウムも使用される。加えて、非経口溶液は、塩化ベンザルコニウム、メチル−又はプロピル−パラベン、及びクロロブタノール等の防腐剤を含有し得る。好適な薬学的担体については、この分野の標準参照文章であるRemington’s Pharmaceutical Sciencesに記載されている。
【0080】
更に、標準の薬学的方法を用いて、作用持続期間を制御することができる。これらは、当該技術分野で周知であり、放出制御調製物を含み、適切な巨大分子、例えば、ポリマー、ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニル、ピロリドン、エチレンビニルアセテート、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、又は硫酸プロタミンを含み得る。巨大分子の濃度、並びに組み込み方法を調整して、放出を制御することができる。更に、この薬剤は、ポリエステル、ポリアミノ酸、ヒドロゲル、ポリ(乳酸)、又はエチレンビニルアセテートコポリマー等のポリマー材料の粒子に組み込まれ得る。組み込みに加えて、これらの薬剤を使用して、この化合物をマイクロカプセル内に捕捉することもできる。
【0081】
本明細書に開示される治療薬を含有する医薬製剤は、周知の容易に入手可能な成分を使用した当該技術分野で既知の手技によって調製され得る。治療薬は、例えば、筋肉内、皮下、又は静脈内経路により、非経口投与に適切な溶液としても製剤化され得る。治療薬の医薬製剤は、水溶液若しくは無水溶液又は分散液の形態、又は代替的に乳剤又は懸濁液の形態も採り得る。
【0082】
投与される用量は、所望の治療応答、免疫応答の刺激、又は本開示の他の箇所に定義される癌の治療をもたらすのに「有効な」量である。本発明の薬学的組成物の場合、有効用量は、典型的には、約10〜1011個の細胞の範囲内に入る。好ましくは、約10〜1010個の細胞が使用され、より好ましくは、約1×10及び2×10個の細胞が使用される。所望の効果を達成するために組み合わせで使用される場合、複数の用量は各々、有効量の定義内に入る。これらの用量は、例えば、1日に複数回、又は毎日、又は2日毎に、又は3日毎に投与され得る。追加の用量が、所望の効果が達成されるまで、例えば、月1回又は週1回ベースで投与され得る。その後、かつ具体的には免疫学的又は臨床的利益が弱まっているように見えたときに、追加のブースタ又は維持用量が必要に応じて投与され得る。
【0083】
細胞性ワクチンの種々の成分が「有効な組み合わせ」で存在し、これは、ワクチンが有効になるのに十分な量の成分が各々存在することを意味する。ワクチンが全体として有効である限り、任意の数の構成細胞又は他の構成物が使用され得る。これは、ワクチンを調製するために使用される方法にも依存する。
【0084】
薬学的組成物は、免疫応答の生成に関連する他の療法又は対象における癌の治療後に、治療前に、治療の代わりに、又は治療と組み合わせて投与され得る。例えば、対象は、外科的減量、化学療法、放射線療法、チェックポイント阻害剤、並びに免疫療法及び養子移入の他の形態によって事前に又は同時に治療され得る。かかる様式が使用される場合、それらは、好ましくは、本明細書に開示される組成物の免疫原性を妨害しない方法で、又はそれを妨害しないときに用いられる。免疫応答を刺激するために、対象に別のワクチン又は他の組成物が投与されている場合もある。かかる代替組成物としては、腫瘍抗原ワクチン、腫瘍抗原をコードする核酸ワクチン、抗イディオタイプワクチン、及び他の種類の細胞性ワクチン、例えば、サイトカイン発現腫瘍細胞株が挙げられ得る。
【0085】
抗腫瘍免疫学的応答の提供を目的とする別の戦略とともに本明細書に記載の細胞性ワクチンを併用投与することを含む併用療法が、本明細書に開示される。一併用療法では、対象に、刺激された同種異系リンパ球の腫瘍内留置剤が、腫瘍から離れた部位の本明細書に開示される抗原負荷CABを含む組成物での治療前、治療中、又は治療後のいずれかに投与される。別の併用療法では、対象が、腫瘍から離れた部位の本明細書に開示される抗原負荷CABでの治療前、治療中、又は治療後のいずれかに、代替細胞性ワクチン組成物で治療される。別の併用療法では、対象に、チェックポイント阻害剤が投与される。複数の異なる組成物又は投与方法が治療過程を通して用いられる場合、治療の各要素の順序及びタイミングは、免疫刺激又は抗腫瘍効果を最適化するように選択される。
【0086】
産生方法
対象において活性化された抗原提示クラミジア活性化B細胞を産生するための方法が本明細書に開示され、当該方法は、a)対象からB細胞を得ることと、b)工程a)からのB細胞を、クラミジアトラコマチス、又はその活性化タンパク質、ペプチド、若しくは断片に曝露することと、c)工程b)のB細胞を、クラミジア種(C.トラコマチス、C.シッタシ、及びC.ムリダルム等)、又はそのタンパク質、ペプチド、若しくは断片に由来しない所望の抗原に曝露し、それにより、活性化された抗原提示クラミジア活性化B細胞(CAB)を得ることと、を含む。
【0087】
様々な培養培地のうちのいずれかが、当業者に知られているであろう方法で使用され得る(例えば、John Wiley & Sons,Inc.によるCurrent Protocols in Cell Culture,2000〜2009を参照されたい)。一実施形態において、本明細書に記載の方法で使用するための培地としては、改変ダルベッコ培地(ウシ胎児又は他の適切な血清を含む、若しくは含まない)が挙げられるが、これに限定されない。例示的な培地としては、IMDM、RPMI 1640、AIM−V、DMEM、MEM、a−MEM、F−12、X−Vivo 15、及びX−Vivo 20も挙げられるが、これらに限定されない。更なる実施形態において、培地は、界面活性剤、抗体、プラスマネート若しくは還元剤(例えば、N−アセチル−システイン、2−メルカプトエタノール)、又は1つ若しくは2つ以上の抗生物質を含み得る。いくつかの実施形態において、IL−2、IL−6、IL−10、可溶性CD40L、及び架橋増強剤も使用され得る。B細胞は、所望の活性化を達成するための条件下で、所望の活性化を達成するのに十分な期間培養され得る。ある特定の実施形態において、B細胞は、B細胞の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は更には100%の活性化が所望される条件下で、それに十分な期間培養される。
【0088】
一例では、CABは、PBMC又は全血由来のCD4T細胞及びB細胞を除くすべての細胞型を枯渇させるための陰性免疫磁気選択系又はRosetteSep(商標)系を使用することによって生成され得る。選択された細胞は、適切な数のCABが本明細書における方法で使用するために産生されるまで、クラミジア種及びIL−2の存在下で培養される(細胞を1〜5日毎(好ましくは、2〜3日毎)に継代培養し、これによりクラミジア種及びIL−2を含有する培地が補充される)。使用のために採取したときに、CD4T細胞頻度のフローサイトメトリー評価を使用して、更なる免疫磁気選択が更なるCD4T細胞枯渇に必要であるかを判定することができる。
【0089】
B細胞活性化の誘導は、細胞増殖に関連したDNA合成を測定するH−チミジン組み込み又はカルボキシフルオセインスクシンイミジルエステル等の蛍光マーカを使用したフローサイトメトリーアッセイ等の技法によって測定され得る。B細胞増殖の最適測定のために、IL−2又はIL−4が適切な濃度で培養培地に添加され得る。代替的に、B細胞活性化が、免疫グロブリン分泌の関数として測定され得る。
【0090】
適切な期間、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9日間、又はそれ以上の日数、通常、約3日間培養した後、更なる容積の培養培地が添加され得る。個々の培養からの上清が培養中の種々の時点で採取され、Noelle et al.,(1991)J.Immunol.146:1 1 18−1 124に記載されるようにIgM及びlgG1について定量され得る。更なる実施形態において、酵素結合免疫吸着法(ELISA)がIgM又は他の抗体アイソタイプの測定に使用され得る。ある特定の実施形態において、IgG判定が、ヤギ抗ヒトIgG等の市販の抗体を捕捉抗体として使用して行われ、続いて、ビオチン化ヤギ抗ヒトIg、ストレプトアビジンアルカリホスファターゼ、及び基質等の様々な適切な検出試薬のうちのいずれかを使用した検出が行われ得る。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態について説明されている。それでもなお、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく種々の修正を加えてもよいことが理解される。したがって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内である。
【実施例】
【0092】
実施例1:クラミジア活性化B細胞の産生及び使用方法
本明細書に開示される方法及びプラットフォームで使用されるB細胞を、末梢血由来の単核細胞、並びにそれぞれ、骨髄及びリンパ節等の一次リンパ器官及び二次リンパ器官を含む多種多様な源から得ることができる。ヒトにおいて、例えば、B細胞は、約1〜15%の全末梢血白血球、20〜25%のリンパ節細胞、及び最大50%の脾細胞を含む。所望される場合、B細胞の頻度を、末梢血を得る前に患者に適切なサイトカイン及び動員成長因子、例えば、IL−4、GM−CSF、及びIL−3を投与することによりインビボで拡大することができる。単核細胞が密度勾配による遠心分離を用いてこれらの組織、例えば、末梢血から得られる一方で、リンパ節細胞は、例えば、組織を模倣し、続いて染色することによって無傷扁桃腺から単離されて、単一細胞懸濁液を得ることができる。好ましくは、単核細胞は、末梢血から得られる。量は異なり得るが、約500mLの血液を最初に患者から採取することができる(これを、例えば、8週間毎に繰り返してもよい)。単一細胞懸濁液中の末梢血又はリンパ器官から分離されていない単核細胞を、追加のピルビン酸塩、L−グルタミン、非必須アミノ酸、及び抗生物質を含有するFBS補充RPMI1640培地中、又は抗生物質を補充した無血清培地(例えば、X−VIVO(商標)20)中で培養する。CABを生成するために、バルク単核細胞を、当業者に理解されるように精製された不活性化C.トラコマチスEB、又は市販のBugBuster(登録商標)タンパク質抽出試薬を使用して生成されたC.トラコマチスEB由来の溶解物のいずれかで培養することができる。すべての試験したクラミジア種(C.トラコマチス[D及びE等の眼生殖株、並びにL2等の鼠径リンパ肉芽腫株]、C.シッタシ、及びC.ムリダルム等)は、活性化静止哺乳類B細胞で同じ有効性を示す。細胞を、更なる操作又はサイトカイン補充なしの完全培地中で、C.トラコマチスで培養する。培養を3日間行った後、すべての細胞を、後日使用するために凍結保存させてもよく、又は新鮮な温培地が3日目に供給される場合(この時点で追加のC.トラコマチスEBを供給する必要はない)、すぐに使用するためにC.トラコマチスの初期添加後4〜6日間培養してもよい。これらの条件の使用により、T細胞の増殖なしのB細胞の増殖及び活性化がもたらされる。興味深いことに、全C.トラコマチス刺激細胞を3日後に凍結保存させて後日解凍し、新鮮な温培地を有する培養物中に再び入れると、CABは、増殖を一晩再開する。
【0093】
抗原及びAPCの適切な選択により、所望の免疫応答を促進することができる。全タンパク質抗原(細胞溶解物を含む)を使用する場合、使用の前日に、又はペプチドを使用する場合、使用の数時間前に、新鮮な又は凍結保存されたCABを所望の抗原でパルスしてもよい。代替的に、所望の抗原のトランスフェクションを、RNAのトランスフェクション又はCABのウイルスベクター(例えば、アデノウイルス又はレトロウイルスベクター)による感染により行ってもよい。一方で、CABは、目的とする抗原に加えて、I型NKT細胞活性化グリコスフィンゴ脂質(例えば、アルファ−ガラクトシルセラミド)、II型NKT細胞活性化リン脂質若しくはリゾリン脂質(例えば、リゾホスファチジルエタノールアミン)、及び/又はガンマデルタT細胞活性化ビスホスフォネート(例えば、ゾレドロン酸)とのCABの装填又は架橋等の別個に又は同時にのいずれかで送達される種々の因子の添加により、それらのAPC活性を更に増大させることができる。トランスフェクション及びベクターによる感染を使用して、様々なサイトカイン、共刺激因子、又は抗癌剤を含む他のタンパク質のCABによる発現を誘導し、それらのインビボ活性を増大させることもできる。
【0094】
抗原装填及び任意の他の所望の操作後、CABを使用のために調製することができる。末梢血単核細胞(PBMC)を単核細胞源として使用する場合、CABが培養の4〜6日後に得られた細胞集団に最大50%しか提示しないため、使用前に細胞の免疫磁気分離が必要である。CD2及びCD43枯渇なしの特注EasySep(商標)ヒトB細胞濃縮キットをこの目的のために使用することができ、これを用いて、検出可能なT細胞、単球、又はDCなしで95%超のCABを得ることができる。しかしながら、任意の同様の市販の免疫磁気選択系が好適であるはずである。リンパ器官を単核細胞源として使用する場合、それらがC.トラコマチスから受けるB細胞の初期高頻度(全細胞の25〜50%)及び強い刺激により、培養物が4〜6日後に95%超のCABになり、使用前にCABを更に精製する必要はない。その後、生成された自己CABを、複数回投与プロトコルを使用して選択された患者に投与することができる。CABを、例えば、静脈内注入、ボーラス注射、及びカテーテル又は他の手段による部位特異的送達等の任意の好適な手段により患者に投与することができる。CABが凍結保存に従順であるため、それらを、産生直後に、又は所望される場合、潜在的には数年後に投与してもよい。
【0095】
実施例2:抗原のクラミジア活性化B細胞への共役方法
CABを実施例1に示されるように産生した。対象への投与直前に、新鮮な又は凍結保存されたCABを所望の抗原(タンパク質又はペプチド)と共役又は架橋することができる。共役又は架橋を、例えば、ゼロ長架橋剤1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDAC)を使用して行うことができる。CABをPBS(pH6.0)で洗浄し、2×10/mLで再懸濁し、その後、EDACを細胞懸濁液に添加し、続いて抗原(タンパク質又はペプチド)を適切な濃度で添加し、完全に混合し、4℃で1時間インキュベートする。インキュベートした後、抗原架橋細胞をPBS(pH7.4)で洗浄し、更なる処理を受けさせることができるか、又は投与のために調製することができる。CAB源(自己又は同種異系)にかかわらず、このプロセスを行うことができる。抗原の性質(タンパク質、ペプチド、核酸、脂質、又は炭水化物)及び架橋剤と生哺乳類細胞との適合性に応じて、他の種類の架橋剤を使用することが可能である。図12は、架橋剤の使用を示す。
【0096】
CABは、目的とする抗原に加えて、I型NKT細胞活性化グリコスフィンゴ脂質(例えば、アルファ−ガラクトシルセラミド)、II型NKT細胞活性化リン脂質若しくはリゾリン脂質(例えば、リゾホスファチジルエタノールアミン)、及び/又はガンマデルタT細胞活性化ビスホスフォネート(例えば、ゾレドロン酸)とのCABの装填又は架橋等の抗原架橋の別個に又は同時にのいずれかで送達される種々の因子の添加によりそれらのAPC活性を更に増大させることができる。トランスフェクション及びベクターによる感染を使用して、様々なサイトカイン、共刺激因子、又は抗癌剤を含む他のタンパク質のCABによる発現を誘導し、それらのインビボ活性を増大させることもできる。
【0097】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、開示される発明に属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に引用される刊行物及びそれらが引用される資料は、参照により具体的に組み込まれる。
【0098】
当業者であれば、日常的な実験のみを使用して、本明細書に記載の本発明の具体的な実施形態に対する多くの等価物を理解するか、又は解明することができる。かかる等価物は、以下の特許請求の範囲によって包含されるものとする。

本発明は以下の態様を含み得る。
[1]
活性化された抗原提示細胞(APC)を作製するためのプラットフォームであって、
a.クラミジア種、又はその活性化タンパク質、ペプチド、若しくは断片と、
b.B細胞の集団と、
c.抗原と、を含み、前記抗原が、クラミジア種に由来しない、プラットフォーム。
[2]
前記APCが、クラミジア活性化B細胞(CAB)である、請求項1に記載のプラット
フォーム。
[3]
前記クラミジア種が、C.トラコマチス、C.シッタシ、又はC.ムリダルムを含む、
請求項1又は2に記載のプラットフォーム。
[4]
前記クラミジア種が、不活性である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラットフ
ォーム。
[5]
a)が、クラミジアの主要外膜(MOMP)タンパク質を含む、請求項1〜4のいずれ
か一項に記載のプラットフォーム。
[6]
前記プラットフォームが、1つを超える抗原を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記
載のプラットフォーム。
[7]
前記プラットフォームが、2つを超える抗原を含む、請求項6に記載のプラットフォー
ム。
[8]
工程c)の前記抗原が、腫瘍関連抗原を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプ
ラットフォーム。
[9]
工程c)の前記抗原が、感染性因子を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のプラ
ットフォーム。
[10]
不活性B細胞と比較したとき、クラミジア活性化B細胞が、100%以上増殖する、請
求項1〜9のいずれか一項に記載のプラットフォーム。
[11]
クラミジア活性化B細胞が、不活性B細胞と比較して、より高い主要組織適合複合体(
MHC)及び共刺激分子発現レベルを有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のプ
ラットフォーム。
[12]
クラミジア活性化B細胞が、不活性B細胞と比較して、抗原を提示し、T細胞を活性化
するための改善された能力を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプラットフ
ォーム。
[13]
前記B細胞の集団が、不活性B細胞を上回る速度で、二次リンパ器官に移動する、請求
項1〜12のいずれか一項に記載のプラットフォーム。
[14]
前記B細胞の集団が、不活性B細胞を上回る速度で、T細胞動員を増強するように、サ
イトカインを分泌する、請求項1〜13のいずれか一項に記載のプラットフォーム。
[15]
前記プラットフォームが、エクスビボである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の
プラットフォーム。
[16]
前記プラットフォームが、インビトロである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の
プラットフォーム。
[17]
請求項1に記載のプラットフォームを使用して作製されるワクチン。
[18]
請求項1に記載のプラットフォームによって産生されるクラミジア活性化B細胞。
[19]
対象において活性化された抗原提示クラミジア活性化B細胞を産生するための方法であ
って、
a.対象からB細胞を得ることと、
b.工程a)からの前記B細胞を、クラミジア種、又はその活性化タンパク質、ペプチ
ド、若しくは断片に曝露することと、
c.工程b)の前記B細胞を、クラミジア種に由来しない所望の抗原に曝露し、それに
より、活性化された抗原提示クラミジア活性化B細胞(CAB)を得ることと、を含む、
方法。
[20]
前記クラミジア種が、C.トラコマチス、C.シッタシ、又はC.ムリダルムを含む、
請求項19に記載の方法。
[21]
工程a)からの前記B細胞を、クラミジア種に曝露した後、タンパク質、ペプチド、核
酸、脂質、炭水化物、又はそれらの断片を、前記CABに架橋する工程を追加し、前記タ
ンパク質、ペプチド、核酸、脂質、炭水化物、若しくはそれらの断片が、抗原である、請
求項19又は20に記載の方法。
[22]
工程a)の前記B細胞が、血液から得られる、請求項19〜21のいずれか一項に記載
の方法。
[23]
工程a)の前記B細胞が、末梢血単核細胞(PBMC)から得られる、請求項19〜2
1のいずれか一項に記載の方法。
[24]
工程a)の前記B細胞が、骨髄から得られる、請求項19〜21のいずれか一項に記載
の方法。
[25]
工程a)の前記B細胞が、リンパ器官から得られる、請求項19〜21のいずれか一項
に記載の方法。
[26]
前記クラミジア種が、不活性である、請求項19〜25のいずれか一項に記載の方法。
[27]
前記クラミジア種タンパク質が、主要外膜(MOMP)タンパク質を含む、請求項19
〜26のいずれか一項に記載の方法。
[28]
工程c)において、前記B細胞が、1つを超える抗原に曝露若しくは架橋されるか、又
は1つを超える抗原が、同時に使用される、請求項19〜27のいずれか一項に記載の方
法。
[29]
工程c)の前記抗原が、腫瘍関連抗原を含む、請求項19〜28のいずれか一項に記載
の方法。
[30]
工程c)の前記抗原が、感染性因子を含む、請求項19〜29のいずれか一項に記載の
方法。
[31]
前記方法が、インビトロで行われる、請求項19〜30のいずれか一項に記載の方法。
[32]
前記方法が、エクスビボで行われる、請求項19〜30のいずれか一項に記載の方法。
[33]
請求項19に記載の方法によって産生される、クラミジア活性化B細胞。
[34]
治療を必要とする対象を治療する方法であって、
a.前記対象からB細胞を得ることと、
b.工程a)からの前記B細胞を、クラミジア種、又はその活性化タンパク質、ペプチ
ド、若しくは断片に曝露することと、
c.工程b)の前記B細胞を、クラミジア種に由来しない抗原に曝露し、それにより、
活性化された抗原提示クラミジア活性化B細胞(CAB)を得ることと、
d.前記対象を、工程c)の前記活性化された抗原提示クラミジア活性化B細胞で治療
することと、を含む、方法。
[35]
前記クラミジア種が、C.トラコマチス、C.シッタシ、又はC.ムリダルムを含む、
請求項34に記載の方法。
[36]
工程a)からの前記B細胞を、クラミジア種に曝露した後、タンパク質、ペプチド、核
酸、又はそれらの断片を、前記CABに架橋する工程を追加し、前記タンパク質、ペプチ
ド、核酸、又はそれらの断片が、抗原である、請求項34又は35に記載の方法。
[37]
工程a)の前記B細胞が、血液から得られる、請求項34〜36のいずれか一項に記載
の方法。
[38]
工程a)の前記B細胞が、末梢血単核細胞(PBMC)から得られる、請求項34〜3
6のいずれか一項に記載の方法。
[39]
工程a)の前記B細胞が、骨髄から得られる、請求項34〜36のいずれか一項に記載
の方法。
[40]
工程a)の前記B細胞が、リンパ器官から得られる、請求項34〜36のいずれか一項
に記載の方法。
[41]
前記クラミジア種が、不活性である、請求項34〜40のいずれか一項に記載の方法。
[42]
前記クラミジア種タンパク質が、主要外膜(MOMP)タンパク質を含む、請求項34
〜41のいずれか一項に記載の方法。
[43]
工程c)において、前記B細胞が、1つを超える抗原に曝露又は架橋される、請求項3
4〜42のいずれか一項に記載の方法。
[44]
前記対象が、癌を有する、請求項34〜43のいずれか一項に記載の方法。
[45]
工程c)の前記抗原が、腫瘍関連抗原である、請求項44に記載の方法。
[46]
前記対象が、感染性疾患を有する、請求項34〜43のいずれか一項に記載の方法。
[47]
工程c)の前記抗原が、前記感染性疾患に特異的である、請求項46に記載の方法。
[48]
前記方法が、インビトロで行われる、請求項34〜47のいずれか一項に記載の方法。
[49]
前記方法が、エクスビボで行われる、請求項34〜47のいずれか一項に記載の方法。
[50]
前記対象が、哺乳類である、請求項34〜49のいずれか一項に記載の方法。
[51]
前記哺乳類が、ヒトである、請求項50に記載の方法。
[52]
活性化された抗原提示細胞を対象において産生するための方法であって、
a.免疫原性細胞を得ることと、
b.抗原を、前記免疫原性細胞に架橋し、それによって、活性化された抗原提示細胞を
産生することと、を含む、方法。
[53]
前記抗原が、タンパク質、ペプチド、核酸、脂質、炭水化物、又はそれらの断片を含む
、請求項52に記載の方法。
[54]
前記免疫原性細胞が、B細胞である、請求項52又は53に記載の方法。
[55]
工程a)の前に、前記免疫原性細胞を、クラミジア種、又はその活性化タンパク質、ペ
プチド、若しくは断片に曝露することを更に含む、請求項52〜54のいずれか一項に記
載の方法。
[56]
前記クラミジア種が、C.トラコマチス、C.シッタシ、又はC.ムリダルムを含む、
請求項55に記載の方法。
[57]
架橋が、ゼロ長架橋剤1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイ
ミド(EDAC)を使用して、実施することができる、請求項52〜56のいずれか一項
に記載の方法。
[58]
前記免疫原性細胞が、自己又は同種異系である、請求項52〜57のいずれか一項に記
載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13