(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記オゾン生成装置によって前記オゾン反応槽へ供給されるオゾンガスの量に基づき、前記第1過酸化水素供給装置による前記オゾン反応槽への導入される被処理水への過酸化水素の供給量を制御する、
請求項1記載の促進酸化水処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に図面を参照して好適な実施形態について詳細に説明する。
[1]第1実施形態
図1は、第1実施形態の促進酸化水処理システムの概要構成説明図である。
促進酸化水処理システム10は、原料ガスとしての酸素又は乾燥空気に放電し、オゾンガスを発生させ、オゾンガスを含むオゾン化ガス(=O
3+O
2あるいは、O
3+O
2+N
2)OGを供給するオゾン発生器11と、処理対象の液体である被処理水LQを流入流路12を介して供給する給水ポンプ13と、流入流路12を介して過酸化水素HP1を供給する第1過酸化水素供給装置14と、被処理水LQを収納する第1オゾン反応槽15と、被処理水LQを収納する第2オゾン反応槽16と、第1オゾン反応槽15から第2オゾン反応槽16に被処理水LQを導入する導入流路17と、導入流路17に導入された第1オゾン反応槽15を通過した被処理水の溶存オゾン濃度を測定し溶存オゾン濃度測定信号Sroを出力する溶存オゾン濃度計18と、溶存オゾン濃度測定信号Sroに対応する溶存オゾン濃度計18の測定結果に基づいて算出された追加して供給すべき量の過酸化水素HP2を通過した被処理水に追加供給する第2過酸化水素供給装置19と、第1オゾン反応槽15に導入するオゾン化ガスの供給量を調整する第1バルブ20と、第1バルブ20に接続され、第1オゾン反応槽15の底部に配置されて第1オゾン反応槽15内にバブル状のオゾン化ガスを供給する第1散気ユニット21と、第2オゾン反応槽16に導入するオゾン化ガスの供給量を調整する第2バルブ22と、第2バルブ22に接続され、第2オゾン反応槽16の底部に配置されて第2オゾン反応槽16内にバブル状のオゾン化ガスOGを供給する第2散気ユニット23と、第2オゾン反応槽16で反応後の被処理水LQを流出させる流出流路24と、促進酸化水処理システム10全体を制御するための制御装置25と、を備えている。
【0011】
次に第1実施形態の動作を説明する。
制御装置25は、給水ポンプ13を制御し、被処理水LQを流入流路12を介して供給する。
このとき制御装置25は、被処理水LQの供給量に対して、所定比率のオゾン化ガスOGを供給可能なようにオゾン発生器11を制御する。
【0012】
これによりオゾン発生器11は、原料ガスとしての酸素又は乾燥空気に放電し、オゾンガスを含むオゾン化ガスOGを発生させる。そしてオゾン発生器11は、オゾン化ガスOGを第1バルブ20を介して第1オゾン反応槽15内に配置された第1散気ユニット21に供給するとともに、オゾン化ガスOGを第2バルブ22を介して第2オゾン反応槽16内に配置された第2散気ユニット23に供給する。
【0013】
この結果、第1オゾン反応槽15内の被処理水LQには、第1散気ユニット21から所定量のバブル状のオゾン化ガスOGが供給される。
同様に、第2オゾン反応槽16内の被処理水LQには、第2散気ユニット23から所定量のバブル状のオゾン化ガスOGが供給される。
【0014】
これらと並行して制御装置25は、第1オゾン反応槽15及び第2オゾン反応槽16に供給したオゾン化ガスOGの量に対して所定比率の過酸化水素HP1を第1過酸化水素供給装置14に供給させる。この場合において、過酸化水素とオゾン化ガスOG(に含まれるオゾンO
3)との供給比率=H
2O
2(mol)/O
3(mol)=1〜5とするのが望ましい。
【0015】
これらの結果、第1オゾン反応槽15に供給されたオゾン化ガスOG中のオゾンおよび過酸化水素によりOHラジカル(=・OH)が生成される。
OHラジカルの生成は、(1)式あるいは(2)式による。
O
3+H
2O
2→・OH+HO
2+O
2 …(1)
【0016】
H
2O
2→H
++HO
2−
O
3+HO
2−→・OH+O
2−+O
2 …(2)
【0017】
この結果、第1オゾン反応槽15においては、生成されたOHラジカルにより、酸化促進処理がなされることとなる。
【0018】
ところで、水質その他の要因により、第1オゾン反応槽15における過酸化水素の消費量が通常時(被処理水LQに対して通常想定している消費量)よりも多くなると、第1オゾン反応槽15から第2オゾン反応槽16に到る過酸化水素の量が減少し、第2オゾン反応槽16において第2散気ユニット23により供給されるオゾンに対して過酸化水素が不足することとなる。
【0019】
この場合には、導入流路17に導入された第1オゾン反応槽15を通過した被処理水LQの溶存オゾン濃度が通常時よりも高い値となる。
【0020】
そこで、制御装置25は、過酸化水素の追加量(過酸化水素HP2の量)を最適な値とするために溶存オゾン濃度計18により、導入流路17に導入された第1オゾン反応槽15を通過した被処理水LQの溶存オゾン濃度を測定し、測定した溶存オゾン濃度に対応する溶存オゾン濃度測定信号Sroを制御装置25に出力する。
【0021】
そして、制御装置25は、初期供給された過酸化水素の不足分、すなわち、OHラジカルの不足分に相当する過酸化水素量を溶存オゾン濃度測定信号Sroに対応する今回測定された溶存オゾン濃度と通常の溶存オゾン濃度との差に基づいて算出する。
【0022】
ここで、オゾン化ガス、第1過酸化水素供給装置14で供給する過酸化水素及び第2過酸化水素供給装置19で供給する過酸化水素の単位水量当たりの添加量である添加率[単位は例えば、mg/L]の設定について説明する。
【0023】
ここで、第1過酸化水素供給装置14による過酸化水素(H2O2)の添加率をAd_PH_1(以下、第1過酸化水素添加率Ad_PH_1という)、第2過酸化水素供給装置19による過酸化水素の添加率をAd_PH_2(以下、第2過酸化水素添加率Ad_PH_2という)とする。
【0024】
また、本実施形態においては、第1オゾン反応槽15と第2オゾン反応槽16へのオゾンO
3の添加率をAd_O
3(以下、オゾン添加率Ad_O
3という)とし、第1オゾン反応槽15及び第2オゾン反応槽16に対し、1対1で分配することを想定するものとする。なお、オゾン反応槽が3槽以上ある場合も均等分配するものとする。
【0025】
制御装置25は、まず、第1オゾン反応槽15に流入する被処理水LQの水質に応じてオゾン添加率Ad_O
3及び第1過酸化水素添加率Ad_PH_1を決定する。
この時、オゾン添加率Ad_O
3に対する第1過酸化水素添加率Ad_PH_1の比率をK1とし、比率K1は一定とする。この比率K1の値は、1〜5の範囲で決定するのが望ましい。
【0026】
したがって、第1過酸化水素添加率Ad_PH_1は、オゾン添加率Ad_O
3及び比率K1に基づいて、次式により定められる。
Ad_PH_1=K1・Ad_O
3
【0027】
この場合において、オゾン添加率Ad_O
3及び比率K1の決定方法としては、事前にビーカ試験などで添加率を変えた試験を実施して、適切な添加率を決める方法などが上げられる。
また、流入する被処理水LQにおいて、大きな水質変動がないことを想定しており、必要に応じて適切な頻度で添加率を見直すことが好ましい。
【0028】
なお、後述する各実施形態のように流入する被処理水LQの水質をリアルタイムに測定する場合には、流入水質に連動させてオゾン添加率Ad_O
3及び比率K1を変化させる。実効的には、比率K1は一定で問題はないと考えられるので、流入水質に連動させてオゾン添加率Ad_O
3を変化させ、ひいては、第1過酸化水素添加率Ad_PH_1が決まることとなる。
次に第2過酸化水素添加率Ad_PH_2の決定について説明する。
上述したように流入した被処理水LQの水質に応じて、オゾン添加率Ad_O3及び第1過酸化水素添加率Ad_PH_1は決定されるが、第1オゾン反応槽15における実際の反応の進み方次第では、第2オゾン反応槽16で添加されるオゾンに対し、残存している過酸化水素が足りなくなる場合がある。
溶存オゾン濃度計18で測定した溶存オゾン濃度をDO
3とし、溶存オゾン濃度DO3が閾値を超えると第2オゾン反応槽16における処理に使える残存している過酸化水素が少ないと判断し、第2過酸化水素添加率Ad_PH_2を正の値として第2過酸化水素供給装置19から追加の過酸化水素を供給することとなる。
第2過酸化水素添加率Ad_PH_2は、溶存オゾン濃度をDO
3の関数として算出する。例えば、関数として、比例関数を用いて増加させる。この関数としては、階段状に増加させる関数を用いても可能である。
例えば、係数をK2とすると、
第2過酸化水素添加率Ad_PH_2=K2・DO
3、
あるいは、
第2過酸化水素添加率Ad_PH_2=K2・DO
3−DO
3の閾値
として求めればよい。
【0029】
そして、制御装置25は、算出した過酸化水素量に相当する過酸化水素HP2を第2過酸化水素供給装置19を制御して供給する。
【0030】
この結果、第2オゾン反応槽16においては、酸化促進処理において必要とされる十分なOHラジカルが生成され、促進酸化処理がなされ、促進酸化処理がなされてカビ臭物質等の分解率が高められるとともに、臭素酸の過酸化水素による還元作用により臭素酸生成リスクを抑制しつつ処理した被処理水LQが流出流路24から流出されることとなる。
【0031】
以上の説明のように、本第1実施形態によれば、第1オゾン反応槽15の出口である導入流路17を通過している時点の溶存オゾン濃度を指標として、過酸化水素追加分の注入要否及び注入量を判断することができ、促進酸化処理における過酸化水素の添加不足を回避できる。
【0032】
[1.1]第1実施形態の第1変形例
以上の説明においては、オゾン反応槽が、流入から流出する方向に二槽(第1オゾン反応槽15及び第2オゾン反応槽16)の場合を例として説明したが、三槽以上オゾン反応槽が存在する場合でも同様に適用が可能である。
【0033】
この場合においては、全ての反応槽間に溶存オゾン濃度計及び過酸化水素供給装置をそれぞれ設けるようにしたり、最後及び最後から一つ手前の反応槽の間に溶存オゾン濃度計及び過酸化水素供給装置を当該促進酸化水処理システム全体で一つずつ設けるようにしたりすることが可能である。
【0034】
より具体的には、第1オゾン反応槽〜第3オゾン反応槽がある場合には、第1オゾン反応槽と第2オゾン反応槽との間及び第1オゾン反応槽と第2オゾン反応槽との間のそれぞれに溶存オゾン濃度計及び過酸化水素供給装置を設けるようにしたり、第2オゾン反応槽と第3オゾン反応槽との間にのみ溶存オゾン濃度計及び過酸化水素供給装置を設けるようにしたりすることが可能である。
【0035】
これらの結果、促進酸化水処理全体で最適なオゾン及び過酸化水素比率で処理を行うことが可能となる。
【0036】
[1.2]第1実施形態の第2変形例
以上の説明においては、オゾン反応槽が、流入から流出する方向に二槽(第1オゾン反応槽15及び第2オゾン反応槽16)の場合を例として説明したが、物理的に複数の槽に別れておらず一つのオゾン反応槽しか設けられていない場合でも適用が可能である。
【0037】
図2は、一つのオゾン反応槽が設けられている場合の促進酸化水処理システムの説明図である。
図2において、
図1と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
図2において、
図1と異なる点は、第1オゾン反応槽15及び第2オゾン反応槽16に代えて一つのオゾン反応槽31を有する点並びに第2過酸化水素供給装置19及び溶存オゾン濃度計がオゾン反応槽31の被処理水LQの流路において被処理水LQの通過の中間地点に設けられている点である。
この場合において、「被処理水LQの流路において被処理水LQの通過の中間地点」とは、流れ方向に沿って、滞留時間で全体の30%〜70%に相当する位置(導入時が0%、導出時が100%)として設定される。
【0038】
また、
図2において、
図1と異なる点は、第1散気ユニット21が第2過酸化水素供給装置19及び溶存オゾン濃度計が設けられている地点よりも上流側に設けられ、第2散気ユニット23が第2過酸化水素供給装置19及び溶存オゾン濃度計が設けられている地点よりも下流側に設けられている点である。
【0039】
本第1実施形態の第2変形例によっても、制御装置25は、過酸化水素の追加量を最適な値とするために溶存オゾン濃度計18により、オゾン反応槽31において第2過酸化水素供給装置19及び溶存オゾン濃度計が設けられている地点よりも上流側から流れてきた被処理水の溶存オゾン濃度を測定し溶存オゾン濃度測定信号Sroを制御装置25に出力する。
【0040】
そして、制御装置25は、溶存オゾン濃度測定信号Sroに基づいて初期供給された過酸化水素の不足分、すなわち、OHラジカルの不足分に相当する過酸化水素量を今回測定された溶存オゾン濃度と通常の溶存オゾン濃度との差に基づいて算出し、算出した過酸化水素量に相当する過酸化水素を第2過酸化水素供給装置19を制御して供給する。
【0041】
この結果、オゾン反応槽31において第2過酸化水素供給装置19及び溶存オゾン濃度計18が設けられている地点よりも下流側において、酸化促進処理において必要とされる十分なOHラジカルが生成され、促進酸化処理がなされてカビ臭物質等の分解率が高められるとともに、臭素酸の過酸化水素による還元作用により臭素酸生成リスクを抑制しつつ処理した被処理水LQが流出流路24から流出されることとなる。
【0042】
[1.3]第1実施形態の第3変形例
以上の説明においては、オゾン反応槽において被処理水が水平方向に流れる場合の実施形態について説明したが、本第1実施形態の第3変形例は、被処理水LQが垂直方向に流れる場合の実施形態である。
【0043】
図3はオゾン反応槽内で被処理水が垂直方向に流れる場合の促進酸化水処理システムの説明図である。
図3において、
図1と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
図3において、
図1と異なる点は、第1オゾン反応槽15及び第2オゾン反応槽16に代えて垂直方向に長い一つのオゾン反応槽35を有する点並びに第2過酸化水素供給装置19及び溶存オゾン濃度計がオゾン反応槽35の被処理水LQの流路において被処理水LQの通過の高さ方向(上下方向)における中間地点に設けられている点である。
【0044】
この場合において、「被処理水LQの流路において被処理水LQの通過の高さ方向(上下方向)における中間地点」とは、水中であって高さ方向に有効高さで底部から30%〜60%(底部が0%、導入部が100%)の位置である。
【0045】
また、溶存オゾン濃度計18は、測定する水に、第2過酸化水素供給装置19で供給された過酸化水素を含まない段階の被処理水LQの溶存オゾン濃度を測定できるように設置する。従って、溶存オゾン濃度計18の測定対象の被処理水LQの方が、第2過酸化水素供給装置19で過酸化水素が添加される被処理水LQよりも上流側(高さ方向で上)となる位置に溶存オゾン濃度計18の測定位置が設けられている。
【0046】
また、
図3において、
図1と異なる点は、第1散気ユニット21及び第2散気ユニット23に代えて、散気ユニット36がオゾン反応槽35の底部に一つだけ設けられている点である。
【0047】
本第1実施形態の第3変形例によっても、制御装置25は、過酸化水素の追加量(過酸化水素HP2の量)を最適な値とするために溶存オゾン濃度計18により、オゾン反応槽31において第2過酸化水素供給装置19及び溶存オゾン濃度計18が設けられている地点よりも上流側から流れてきた被処理水の溶存オゾン濃度を測定する。
【0048】
そして、制御装置25は、初期供給された過酸化水素の不足分、すなわち、OHラジカルの不足分に相当する過酸化水素量を今回測定された溶存オゾン濃度と通常の溶存オゾン濃度との差に基づいて算出し、算出した過酸化水素量に相当する過酸化水素HP2を第2過酸化水素供給装置19を制御して供給する。
【0049】
この結果、オゾン反応槽31において第2過酸化水素供給装置19及び溶存オゾン濃度計18が設けられている地点よりも下流側において、酸化促進処理において必要とされる十分なOHラジカルが生成され、促進酸化処理がなされてカビ臭物質等の分解率が高められるとともに、臭素酸の過酸化水素による還元作用により臭素酸生成リスクを抑制しつつ処理した被処理水LQが流出流路24から流出されることとなる。
【0050】
以上の説明では、第1過酸化水素供給装置14が流入流路12を介して過酸化水素HP1を供給する構成について説明したが、オゾン反応槽35の水面あるいは水面付近に供給する様に構成することも可能である。
【0051】
[2]第2実施形態
図4は、第2実施形態の促進酸化水処理システムの概要構成説明図である。
図4において、
図1の第1実施形態と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
本第2実施形態が
図1の第1実施形態と異なる点は、溶存オゾン濃度計18が第2オゾン反応槽16の下流側(処理水出口あるいは、処理水出口近傍)に配置されている点である。
【0052】
したがって、最終的な被処理水LQの溶存オゾン濃度から、第2オゾン反応槽16において過酸化水素が不足しているか否かを判断し、その添加量を決定する。
第1オゾン反応槽15における過酸化水素の消費量が通常想定している量(第1過酸化水素供給装置14において設定している通常時の過酸化水素HP1の量)より多くなると、第2オゾン反応槽16で添加されるオゾン化ガスOGに対して過酸化水素が不足してくる。この時、第1オゾン反応槽15の出口での溶存オゾン濃度と同様に第2オゾン反応槽16の出口における溶存オゾン濃度もいつもよりも高い値となる。
【0053】
したがって、第2オゾン反応槽16の出口の溶存オゾン濃度を溶存オゾン濃度計18で測定し、指標とすることにより、過酸化水素追加分(第2過酸化水素供給装置19における過酸化水素HP2)の注入要否を判断することができ、その添加量が決定できる。
【0054】
ここで、第2過酸化水素供給装置19で供給する過酸化水素の単位水量当たりの添加量である第2過酸化水素添加率Ad_PH_2の設定について説明する。
【0055】
上記第1実施形態においては、第1オゾン反応槽15に残存しているオゾン量に基づいて第2過酸化水素添加率Ad_PH_2を設定していたが、本第2実施形態では、第2オゾン反応槽16に残存しているオゾン量に基づいているため、溶存オゾン濃度計18で測定される溶存オゾン濃度DO
3は、第2過酸化水素供給装置19により過酸化水素が供給された後の第2オゾン反応槽16の被処理水LQにおける溶存オゾン濃度DO
3であるので、溶存オゾン濃度DO
3がある閾値を超える場合は、第2過酸化水素添加率Ad_PH_2が低すぎたと言うことを意味している。従って、溶存オゾン濃度DO
3が閾値以下となるよう第2過酸化水素添加率Ad_PH_2の量をフィードバック制御すればよい。
【0056】
これにより、本第2実施形態によれば、第2オゾン反応槽16において第2散気ユニット23を介して添加されるオゾンに対しても不足しないよう過酸化水素追加分を必要に応じて添加することができ、過酸化水素の添加不足を回避できる。
【0057】
[2.1]第2実施形態の変形例
図5は、第2実施形態の変形例の第2実施形態の促進酸化水処理システムの概要構成説明図である。
【0058】
図5において、
図4の第2実施形態と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
上記第2実施形態においては、第1実施形態における導入流路17に導入された第1オゾン反応槽15を通過した被処理水の溶存オゾン濃度を測定する溶存オゾン濃度計18に代えて、溶存オゾン濃度計18が第2オゾン反応槽16の下流側(処理水出口あるいは、処理水出口近傍)に配置していた場合のものであったが、本変形例は、導入流路17に溶存オゾン濃度計18をつなぐ第1バルブ41と、第2オゾン反応槽16の下流側に溶存オゾン濃度計をつなぐ第2バルブ42と、を設け、制御装置25が第1バルブ41及び第2バルブ42を排他的に開状態あるいは閉状態とすることで溶存オゾン濃度計18を第1実施形態と同様の場合と、第2実施形態と同様の場合とで切り替えて用いることができ、より過酸化水素の追加分の制御を正確に行うことが可能となる。
【0059】
[3]第3実施形態
図6は、第3実施形態の促進酸化水処理システムの概要構成説明図である。
図6において、
図1の第1実施形態と異なる点は、溶存オゾン濃度計18に代えて過酸化水素濃度を測定して過酸化水素濃度測定信号Shpを出力する過酸化水素濃度計45を設置した点である。
【0060】
第1オゾン反応槽15において、過酸化水素の消費量がいつもより多くなると、第2オゾン反応槽16において、第2散気ユニット23により添加されるオゾンに対して過酸化水素が不足することとなる。したがって、第1オゾン反応槽15の下流側の導入流路17において過酸化水素濃度が想定している通常時の濃度よりも低い値となる。
【0061】
そこで、本第3実施形態においては、制御装置25は、過酸化水素濃度計45で測定して出力された過酸化水素濃度測定信号Shpに対応する過酸化水素濃度を指標として、過酸化水素を追加供給すべきか否かを判断し、添加量を決定するのである。
【0062】
本第3実施形態によれば、過酸化水素の過不足を直接的に残存過酸化水素濃度から判別しているため、正確に過酸化水素の追加量の制御を行える。
【0063】
[4]第4実施形態
図7は、第4実施形態の促進酸化水処理システムの概要構成説明図である。
図7において、
図1の第1実施形態と異なる点は、流入流路12において、被処理水LQに励起光を照射して蛍光強度を測定し蛍光分析信号Sfaを出力する蛍光分析計50を備えている点である。
ここで、蛍光分析計50は、励起光(波長345nm付近)に対する蛍光(波長425nm付近)の強度を測定し蛍光分析信号Sfaを出力している。
【0064】
この蛍光強度の測定は、例えば、促進酸化水処理システム10が、水道プロセスに適用される場合を考えると、取水した原料水の自然由来の有機物(フルボ酸様有機物などと言う)の量を測定することに相当する。すなわち、蛍光分析計50による測定結果は、有機物濃度の代表指標E260(吸光度)、TOC、トリハロメタン生成能などと相関があることとなる。
【0065】
これにより、制御装置25は、蛍光分析信号Sfaに対応する被処理水LQの蛍光強度で促進酸化処理における分解対象である水中有機物濃度を把握する。
したがって、制御装置25は、得られた蛍光強度を指標としてオゾン化ガスOGの添加量を制御する。より詳細には、蛍光強度が大きい時には、オゾン化ガスOGの添加量を多くし、蛍光強度が小さい時にはオゾン化ガスOGの添加量を少なくするのである。
【0066】
具体的には、上述した方法と同様に、被処理水LQの蛍光強度に連動させてオゾン添加率Ad_O
3算出し、所定の比率K1に基づいて、第1過酸化水素添加率Ad_PH_1を算出する。
また、第2過酸化水素添加率Ad_PH_2については、第1実施形態で上述したのと同様の方法を用いれば良い。
【0067】
さらに制御装置25は、蛍光分析計50の分析結果に基づくオゾン添加量に対する過酸化水素の添加量比は通常固定(一定)とする。例えば、モル比で1〜5程度が望ましく、第2オゾン反応槽16で添加されるオゾンに対しても不足しないように、かつ過剰にならないようにその比が決定されるのが望ましい。なお、水質など状況応じてオペレータが変更するように構成することも可能である。
【0068】
本第4実施形態によれば、被処理水LQの水中有機物濃度に基づいて、第1過酸化水素供給装置14において供給するオゾン濃度を決定した上で、さらに第1オゾン反応槽15の出口の溶存オゾン濃度を指標として、過酸化水素追加分(第2過酸化水素供給装置19で注入する過酸化水素HP2)の注入要否を判断し、その添加量を決定できるので、第1オゾン反応槽15における過酸化水素供給量をより正確にして、より確実に第1オゾン反応槽15で促進酸化処理が行えるとともに、第2オゾン反応槽16における過酸化水素供給量を抑制しつつより確実に促進酸化処理を行うことができる。
【0069】
[5]第5実施形態
図8は、第5実施形態の促進酸化水処理システムの概要構成説明図である。
本第5実施形態が
図7の第4実施形態と異なる点は、第4の実施形態の構成に加えて、第1オゾン反応槽15の出口の被処理水LQに励起光を照射して蛍光強度を測定し、蛍光分析信号Sfa2を出力する蛍光分析計51を備え、蛍光分析計50が出力した蛍光分析信号Sfa1及び蛍光分析計51が出力した蛍光分析信号Sfa2に基づいて過酸化水素の供給量を制御している点である。ここで、蛍光分析計51は、蛍光分析計50と同様に、励起光(波長345nm付近)に対する蛍光(波長425nm付近)の強度を測定している。
【0070】
この構成によれば、制御装置25は、第1オゾン反応槽15及び第2オゾン反応槽16における促進酸化処理の状況を、蛍光分析計50が出力した蛍光分析信号Sfa1に対応する蛍光強度及び蛍光分析計51が出力した蛍光分析信号Sfa2に対応する蛍光強度の変化から把握し、オゾン化ガスOGの添加量をフィードバック制御する。
【0071】
この場合において、蛍光強度の変化として、蛍光分析信号Sfa1に対応する蛍光強度と蛍光分析信号Sfa2に対応する蛍光強度との比、すなわち、
Sfa1/Sfa2
を求めて指標とするとよい。
【0072】
そして、得られた値が所定の一定値となるようにフィードバック制御を実施し、オゾン添加率Ad_O
3を算出し、算出したオゾン添加率Ad_O
3及び比率K1に基づいて、第1過酸化水素添加率Ad_PH_1を算出する。
さらに第2過酸化水素添加率Ad_PH_2については、第1実施形態で上述したのと同様の方法を用いれば良い。
【0073】
この場合において、オゾン化ガスOGの添加量に対する過酸化水素の添加量の比は通常固定(一定)とするが、水質など状況応じてオペレータが変更可能である。モル比で1/5程度が望ましく、第2オゾン反応槽16で添加されるオゾンに対しても不足しないように、かつ過剰にならないようにその比を決定する。すなわち、溶存オゾン濃度計18が出力した溶存オゾン濃度測定信号Sroに対応する第1オゾン反応槽15の出口の溶存オゾン濃度を指標として、過酸化水素追加分(第2過酸化水素供給装置の過酸化水素HP2)の注入要否を判断し、その添加量を決定できる。
【0074】
本第5実施形態によれば、第4実施形態の効果に加えて、第1オゾン反応槽15を通過して処理された後の被処理水LQの水中有機物濃度に基づいて、第2過酸化水素供給装置19において供給する過酸化水素HP2の注入要否及び添加量を決定できるので、第2オゾン反応槽16における過酸化水素供給量を抑制しつつより確実に促進酸化処理を行うことができる。
【0075】
[6]第6実施形態
図9は、第6実施形態の促進酸化水処理システムの概要構成説明図である。
本第6実施形態は、第5の実施形態の構成において用いていた2台の蛍光分析計50,51を蛍光分析計50のみの1台とし、三方バルブ55を制御装置25により自動切替することにより、測定対象水を変更し、第5実施形態と同等の制御を実施するものである。
このような構成が可能な理由は、蛍光分析計50は光学的な計測機器であり、測定に時間を要さないからであり、例えば、測定結果のふらつきを抑えるための移動平均などの平均化処理がなされたとしても数秒から長くて1分程度で測定できるからである。
従って、第1オゾン反応槽15における被処理水LQの滞留時間が例えば5分程度以上であれば、水質の変化も5分程度の時間で生じるため、蛍光分析計50を1台設けるだけでバルブの自動切替で測定対象水を変更しても被処理水LQと第1オゾン反応槽15出口の蛍光強度を十分測定できる。上述の例の場合、第1オゾン反応槽15の滞留時間が5分であったので、三方バルブ切替タイミングを5分毎とすることで測定が可能となる。
【0076】
[7]第7実施形態
図10は、第7実施形態の促進酸化水処理システムの概要構成説明図である。
本第7実施形態が第5実施形態と異なる点は、蛍光分析計51を第2オゾン反応槽16の出口の被処理水LQに励起光を照射して蛍光強度を測定し、蛍光分析信号Sfa2を出力するように構成した点である。
本第7実施形態によれば、第1オゾン反応槽15及び第2オゾン反応槽16を一体としたオゾン反応槽における促進酸化処理の状況を、供給された被処理水LQの蛍光強度(蛍光分析信号Sfa1に相当)と、第2オゾン反応槽16出口の蛍光強度(蛍光分析信号Sfa2に相当)の変化から把握し、オゾン添加量をフィードバック制御できる。
この場合においても、蛍光分析信号Sfa1に対応する蛍光強度/蛍光分析信号Sfa2に対応する蛍光強度を求めて指標とし、この値が所定の一定値となるようにフィードバック制御を実施する。
この場合においては、第5実施形態と比較して、上記指標の値は、小さくなるとともに、オゾン化ガスの添加量を変化させてから上記指標に変化が現れるまでの時間は遅くなる。
【0077】
[8]実施形態の変形例
上記第4実施形態〜第7実施形態においては、蛍光分析計50、さらに必要に応じて蛍光分析計51を用いていたが、蛍光分析計50,51に代えて吸光度計(例えば、波長260nmm付近)、またはTOC(Total Organic Carbon;全有機体炭素)計を設置するように構成することも可能である。
【0078】
この場合において、吸光度計を用いる場合には、蛍光強度よりも吸光度の感度が小さいため、その点を考慮して適用する必要がある。また、溶存オゾンも検出されるため、溶存オゾン濃度が高い部分の水を計測する場合には適していない。
また、TOCKは、促進酸化処理により水中の有機物成分が十分に分解される場合はTOCが変化し、減少するので、適用が可能である。
【0079】
本実施形態の促進酸化水処理システム10の制御装置25は、例えば、MPUなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶装置と、SSD、HDD、CDドライブ装置などの外部記憶装置と、ディスプレイ装置などの表示装置と、キーボードやマウスなどの入力装置を備えて構成可能であり、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成とされる。
【0080】
本実施形態の促進酸化水処理システム10の制御装置25で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、DVD(Digital Versatile Disk)、USBメモリ装置等の半導体記憶装置等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0081】
また、本実施形態の促進酸化水処理システム10の制御装置25で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の促進酸化水処理システム10の制御装置25で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
また、本実施形態の促進酸化水処理システム10の制御装置25のプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。