【実施例】
【0021】
以下、本発明に係る幼児用三輪車の実施形態を図面に基づいて順次説明する。先ず、幼児用三輪車の全体構成を説明する。
図1において、Hは幼児用三輪車のハンドルフレームであって、中間付近の上下2ヶ所で支持された左右一対のハンドルマストM1、M2の下端部に前輪R1を嵌め込み、当該ハンドルマストM1、M2の上方部を左右外側方向へ折り曲げ、その両端部にハンドルグリップG1、G2を嵌着固定している。
【0022】
ハンドルマストM1、M2はハンドルパイプPの上下2ヶ所に枢動された中間金具により左右の間隔が固定維持される。D1、D2は前輪R1の車軸Q1、Q2に取り付けたペダル、J1、J2はクランク軸、U1、U2は固定リングである。Sは車体フレーム10に取着された硬質合成樹脂製のサドル、Tは背凭れであって、サドルSの後部に立脚した2本の柱により保持される。Nは幼児用三輪車の後部に取付けた小物入れ、R2、R3は後輪、61はサドルSの後方に設けられ折り畳み動作を開始する操作片である。
図10において、Wは日除け、Zは自力でペダルをこぐことができない幼少時において幼児用三輪車を操作する操作杆である。Iは自力でペダルをこぐことができない幼少時に、サドルSに座った幼児が転落するのを防ぐガード部材であり、前記ガード部材Iは背凭れTの側面に取付けた回動部材I1、I2に固定され、図の上方へ回動可能となっている。
【0023】
ペダルD1、D2は、
図2に示すように、クランク軸J1、J2と固定リングU1、U2を備え、クランク軸J1、J2の先端は揺動片Y1、Y2を両側に備え、揺動片Y1、Y2の所定位置には突片Y3、Y4が設けられ、揺動片Y1、Y2の先端には操作部が設けられる。ペダルD1、D2を前輪R1に固定するには、
図3に示すように、クランク軸J1、J2の先端を揺動片Y1、Y2の突片Y3、Y4が車軸Q1、Q2に固定されるまで挿入し、揺動片Y1、Y2の後方から固定リングU1、U2を差込んで容易に抜けないようにする。
【0024】
足載せステップ機構Eは、
図4に示すように、車体後部フレーム50の後部位置55で枢設する基盤フレームFと基盤フレームFの先端位置で枢設する足載せステップ基盤Aとで構成される。基盤フレームFには前後に摺動し一方にロック片Lを有するストッパーXが挿入され、車体後部フレーム50の後部位置55には前記ロック片Lが嵌め込まれる2ヶ所の溝56、57を設ける。足載せステップ基盤Aの前方には、ペダルD1、D2のクランク軸J1、J2を嵌合する嵌合孔B1、B2とクランク軸J1、J2の先端を挿入する挿入孔C1、C2が設けられ、後方には、足載せステップ基盤Aを使用時と不使用時に対応する位置で固定する固定片K(
図5参照)が設けられる。
【0025】
図5(a)は、足載せステップ機構Eの使用時における形態を示した図であり、基盤フレームFのストッパーXのロック片Lを車体後部フレーム50の後部位置55に設けた2ヶ所の溝56、57の内、使用時に対応する溝56に嵌め込んで使用時に対応する位置に固定し、足載せステップ基盤Aを後方に設けた固定片Kにより使用時に対応する位置に固定する。
【0026】
図5(b)は、足載せステップ機構Eの不使用時における形態を示した図であり、基盤フレームFのストッパーXのロック片Lを車体後部フレーム50の後部位置55に設けた2ヶ所の溝56、57の内、不使用時に対応する溝57に嵌め込んで不使用時に対応する位置に固定し、足載せステップ基盤Aを後方に設けた固定片Kにより不使用時に対応する位置に固定する。
【0027】
図6は、足載せステップ機構Eの使用時にペダルD1、D2を足載せステップ基盤Aに固定して足載せステップとした形態を示した図であり、足載せステップ基盤Aの前方に設けた嵌合孔B1、B2にペダルD1、D2のクランク軸J1、J2を嵌め込み、挿入孔C1、C2にクランク軸J1、J2の先端に備わった揺動片Y1、Y2を挿入し、所定位置に設けられた突片Y3、Y4によって挿入孔C1、C2に固定し、更に揺動片Y1、Y2の後方から固定リングU1、U2を差込んでストッパーとする。
【0028】
次に、自力でペダルをこぐことができない幼少時における幼児用三輪車の動作について説明する。その場合においては、前輪R1にペダルD1、D2があっても使用しないので、前輪R1からペダルD1、D2を取外す。即ち、クランク軸J1、J2の揺動片Y1、Y2に嵌め込んだ固定リングU1、U2を移動させ、揺動片Y1、Y2の先端に設けた操作部を摘んで突片Y3、Y4を解除したうえで車軸Q1、Q2から引き抜きペダルD1、D2を取外す。
【0029】
自力でペダルをこぐことができない幼少時においては、足載せステップ機構Eを使用するので、車体後部フレーム50の後部位置55に設けた2ヶ所の溝56、57の内、使用時に対応する溝56に基盤フレームFのストッパーXのロック片Lを嵌め込んで使用時に対応する位置に固定し、足載せステップ基盤Aを後方に設けた固定片Kにより使用時に対応する位置に固定する。その状態で前輪R1から取外したペダルD1、D2を足載せステップ基盤Aに固着する。即ち、足載せステップ基盤Aの前方に設けた嵌合孔B1、B2にペダルD1、D2のクランク軸J1、J2を嵌め込み、挿入孔C1、C2にクランク軸J1、J2の先端に備わった揺動片Y1、Y2を挿入し、所定位置に設けられた突片Y3、Y4によって挿入孔C1、C2に固定し、更に揺動片Y1、Y2の後方から固定リングU1、U2を差込んでストッパーとする。
【0030】
自力でペダルをこぐことができるようになったら、足載せステップ機構Eは使う必要がなくなるので、足載せステップ基盤AからペダルD1、D2を取外す。即ち、クランク軸J1、J2の揺動片Y1、Y2に嵌め込んだ固定リングU1、U2を移動させ、揺動片Y1、Y2の先端に設けた操作部を摘んで突片Y3、Y4を解除したうえで挿入孔C1、C2から引き抜き、同時に、嵌合孔B1、B2からクランク軸J1、J2を引き抜き、足載せステップ基盤AからペダルD1、D2を取外す。
【0031】
車体後部フレーム50の後部位置55に設けた2ヶ所の溝56、57の内、使用時に対応する溝56から基盤フレームFのストッパーXのロック片Lを抜き、不使用時に対応する溝57に嵌め込んで基盤フレームFを不使用時に対応する位置に固定し、足載せステップ基盤Aの後方に設けた固定片Kにより、足載せステップ基盤Aを不使用時に対応する位置に固定する。その状態で、足載せステップ基盤Aから取外したペダルD1、D2を前輪R1の車軸Q1、Q2に固定する。即ち、クランク軸J1、J2の先端を前輪R1の車軸Q1、Q2に挿入し、揺動片Y1、Y2の所定位置に設けられた突片Y3、Y4により車軸に固定されたら揺動片Y1、Y2の後方から固定リングU1、U2を差込んで容易に抜けないように固定する。
【0032】
図7は、ペダルD1、D2を前輪R1の車軸Q1、Q2から抜いた後に、軸孔に挿入する孔隠しVを示す。前記孔隠しVには、揺動片V1、V2を備え、揺動片V1、V2の所定位置に設けられた突片V3、V4によって容易に抜けないように固定する。孔隠しVは足載せステップ基盤AからペダルD1、D2を抜いた後に挿入孔C1、C2に挿入する孔隠しとしても使用する。
【0033】
本発明の幼児用三輪車は、玄関先等で保管する場合に、保管スペース等を大幅に省スペース化するため、足載せステップ機構Eの使用、不使用に係らず折り畳むことが可能となった。
図8は折り畳み機構部分の要部を示した分解図であり、10は両端を直角に折り曲げたコの字状の車体フレームであり、表側にサドルSを取着し、裏側は直角に折り曲げられた内側の前方位置11に車体前部フレーム30の一端31を嵌め込み、中間位置12に車体後部フレーム50の先端51を嵌め込み、ボルト・ナットにより折り畳み自在に連結支持している。車体前部フレーム30はハンドルパイプPの中間付近から後ろ下がりの状態に突出形成され、先端に車体中間フレーム40の前方41を挿入するステー32を有する。車体後部フレーム50は幼児用折り畳み三輪車の後端部の左右両側位置に配置した後輪R2、R3を回転自在に軸支し略コの字状に折り曲げた補強パイプ60の中間から前方に突出形成され、先端51に係止孔52とU字状の連結孔53と車体中間フレーム40の後方42を挿入するステー54を有する。車体中間フレーム40は車体前部フレーム30と車体後部フレーム50を連結するもので、前方41を車体前部フレーム30のステー32に挿入し、後方42を車体後部フレーム50のステー54に挿入して枢動自在に連結する。
【0034】
足載せステップ機構Eの使用時に幼児用三輪車を折り畳む場合、足載せステップ機構Eを使用時における位置から不使用時における位置に変更する。即ち、
図9に示すように、基盤フレームFのストッパーXのロック片Lを車体後部フレーム50の後部位置55に設けた2ヶ所の溝56、57の内、不使用時に対応する溝57に嵌め込んで不使用時に対応する位置に固定し、足載せステップ基盤Aを後方に設けた固定片Kにより不使用時に対応する位置に固定する。この状態から幼児用三輪車を折り畳むには、サドルSの後方に設けられた操作片61の下方を上に引き上げ、サドルSの後方を持ち上げると、車体前部フレーム30と車体中間フレーム40の前方の枢設位置と車体後部フレーム50と車体中間フレーム40の後方の枢設位置で折り畳まれる。足載せステップ機構Eは不使用時における位置に固定されているので、折り畳み動作に支障はない。
【0035】
足載せステップ機構Eの不使用時に幼児用三輪車を折り畳む場合、既に足載せステップ機構Eは不使用時における位置に変更されているので、折り畳み動作に支障はない。
【0036】
幼児用三輪車の後部には操作杆Zの挿入部62が設けられ、
図10(a)に示すように、操作杆Zの先端を挿入することにより、図示しない連動機構を介して、自力でペダルをこぐことができない幼少時において幼児用三輪車を操作可能とする。操作杆Zの先端は、
図10(b)に示すように、揺動片Z1、Z2を備え、揺動片Z1、Z2の所定位置に設けられた突片Z3、Z4によって容易に抜けないように固定する。これにより操作杆Zは幼児用三輪車に対しワンタッチで装着することが可能となる。なお、操作杆Zの不使用時、挿入部62は蓋体62aによって閉鎖されている(
図1参照)。
【0037】
以上説明したように、本発明によれば、前輪にペダルを備えたハンドルフレームと左右の後輪とを、サドルを取着した車体フレームによりフレーム構成してなる幼児用三輪車において、車体フレームを、ハンドルフレームの中間付近から後ろ下がりの状態で突設した車体前部フレームと、左右の後輪を回転自在に軸支し略コの字状に折り曲げた補強パイプの中間から前方に突出した車体後部フレームと、車体前部フレームと前方位置で枢設し、車体後部フレームと後方位置で枢設する車体中間フレームとにより形成し、車体中間フレームの前方、後方の枢設位置で折り畳むと共に、車体後部フレームに、ペダルを足載せステップとするための足載せステップ機構を付設したので、幼少時に使用しないペダルを足載せステップとして流用できるので、ペダルの共用化を図り、経済効果を高めることが出来る。